ワインを作る修道院

ワインを作る修道院
2009. 5 月公開
(イメージ)
赤い屋根と白壁が瀟酒な神言会多治見修道院。葡萄畑に囲まれたこの修道院は日本でも珍し
いワインを醸造する修道院です。人々に愛される多治見修道院の歴史とともに、ワインにつ
いてご紹介します。
人々に愛される美しき修道院
修道院の歴史
日本でも有数の修道院に数えられる由緒ある神言会多治
見修道院。1930 年、カトリック神言修道会の宣教師・モー
ル神父により、日本人司祭と修道士育成のため設立されま
した。今でも併設の修錬院を中心に、神学生が研鑽を積む
場所となっています。大聖堂は天井画やステンドグラスで
彩られ、さながら中世ヨーロッパの雰囲気。なかでもイエ
ス・キリストの生涯を描いたフレスコ壁画と、聖堂脇にあ
る副祭壇のモザイク寄せ木細工の美しさは有名です。キリ
ストの生涯は 1954 年、ドイツの宗教画家フーグルの原
画を元に南山大学の辻元一氏によって、モザイクは神言会
の宣教師ワイペルト神父によって制作されました。教会内
部の撮影はできないので、ぜひ自分の目で確かめてみま
しょう。厳かな大聖堂は、葡萄畑や緑豊かな中庭に囲まれ
(イメージ)
たバロック風の外観とともに、魅力あふれる神聖な場所と
して多くの人々を惹きつけています。
修道院ワインの誕生
多治見修道院外観
ワイン作りの歴史
神学生や信者が祈りを捧げる大聖堂内にステンドグラスか
ら日差しが降り注ぐ様子は、何とも心洗われる眺め。聖堂
の外には、青い葡萄の房が下がる畑が広がり、初夏には瑞々
しい若葉が修道院を彩ります。栽培された葡萄は修道院本
館の地下室で醸造され、ワインになるのです。ワイン作り
は 1933 年、ミサで使うものを自分たちで賄うことを目
的に、修道士達により始められました。以来、修道院ワイ
(イメージ)
修道院で育つぶどう
ンとして多くの人々に飲まれています。第二次世界大戦中
とその後しばらくは、ワインの輸入ができなかった全国の
教会に、ミサ用ワインの供給も行いました。
修道院ワインは爽やかな味わい
ワインの味
多治見が陶芸の町になりえた理由に、良い土に恵まれたこ
とが挙げられます。それは、とりもなおさず多治見の土が
水はけの悪い粘土質で、葡萄の栽培に向かない証し。この
地で生産を続ける苦労は並大抵ではありません。しかし赤
ワイン、白ワインともに、厳しい条件下で生まれたとは思
えないほど味わい豊かです。白ワインは、日本ワインの父
と謳われる川上善兵衛が日本の土壌に合わせて品種改良し
たローズシオタという珍しい品種の葡萄をブレンド。青リ
ンゴのようなフレッシュな酸味と甘みがあり、ドライな飲
みごたえです。赤ワインは、瑞々しい果実の風味が爽やか
で軽い飲み口。「多治見修道院ワインゼリー」や「多治見
(イメージ)
多治見修道院ワインゼリー
修道院ワイン無花果のパウンドケーキ」などにも使われ、
赤ワインスイーツはワインと並んで多治見の名産品になっ
ています。
ワインフェスタ
開催日:2009年11月3日(祝)
場所:多治見修道院 時間:10:00∼14:00 料金:2000円
お問い合わせはこちらまで
カトリック多治見教会:0572-22-1583
営業時間 9:30∼15:30(火∼土)11:00∼15:30(日) 月休み
取材協力
多治見修道院
多治見市観光協会