知識メディアとデータベース

ヒューマンメディア工学
Human Media Engineering
知識ベースとデータベース
加藤 俊一
Toshi KATO
いままでは「感性の人」
きょうからは「知識の人」
「脳ミソのブートキャンプ」
始まるよぉ〜!
人にやさしい情報環境
ヒューマンメディア情報環境
„
感性メディア
„
„
„
知識メディア
„
„
„
情報の効果・価値
一人一人の主観的・直感的な情報処理
情報の文脈(感性的+応用分野的)
多様な知識の構造と利用
体感メディア(仮想メディア)
„
„
情報の体感・実感・共感
仮想現実+強化現実
感性と感性メディア技術
„
Gorgeous
& Elegant
Rather
Simple
主観的・直感的な
マルチメディア情報処理
„
Cute!
„
„
一人一人の特性
„
„
知覚感性: 視点・解釈
創出感性: 表現・伝達
個人・グループ対応
情報の効果・価値
„
比較・翻訳・共有
知識と知識メディア技術
[Chemistry DB]
[Plant Eng. DB]
"Water
= Solvent"
„
„
„
"Water
= Cooler"
知識の共有
共通の知識(コモンセンス)
利用者の要求と分野的な文脈(オントロジー)
今日の目当て
„
「知識」とは何か?
我々は「知識」をどう利用している?
我々は「知識」をどう得ている?
„
アタマの中にある「知識」を「外在化」
„
„
データ・情報・知識
„
データ data:
„
„
„
情報 information:
„
„
„
(例) 文字列
(例) 画像の信号
(例) 文字列で伝えられるメッセージの内容
(例) 写真や映像に映っている内容
知識 knowledge:
„
„
(例) メッセージを理解・生成するための約束
(例) 画像を理解・生成するための約束
データ・情報・知識
„
データ: 具体的に記載・計測された値
„
↓↑ ← 知識: 理解・生成するための規則
„
情報: 抽出される抽象的な内容
(注) 業界が異なると定義も異なる。これは理工系の定義。文系で
は、情報が具体で、データが抽象らしい。
知識の枠組み(1)
„
「事実」に関する知識
„
„
„
„
„
対象の属性
対象間の関係
機能・役割
状態
事例・事象
(例)
(例)
(例)
(例)
(例)
車種:乗用車
タイヤ part_of 車
移動の手段
走行中
タイヤがパンクした
[課題1] 「対象」の記述
„
様々な「動物」(例:イヌ、ネコ、トリ)を
言葉・図式で説明してみよう。
„
階層的な分類
„
„
性質の共通点・相違点
例外の扱い
フレーム型知識表現の例
いろいろな家具
部分集合
部分集合
いろいろな椅子
いろいろな机
Aさんの机
要素
Bさんの椅子
要素
フレーム型知識表現の例
いろいろな家具
「家具」という概念
部分概念
部分概念
いろいろな椅子
いろいろな机
「椅子」という概念
「机」という概念
Aさんの机
実例
「Aさんの机」という
実例
Bさんの椅子
実例
「Bさんの椅子」という
実例
フレーム型知識表現の例
クラスフレーム:家具
上位クラス:
テンプレートスロット:大きさ
テンプレートスロット:質量
クラスフレーム:机
クラスフレーム:椅子
上位クラス:家具
オウンスロット:年間製造台数=100万
テンプレートスロット:引き出しの個数=4
上位クラス:家具
オウンスロット:年間製造台数=400万
テンプレートスロット:背もたれの高さ
インスタンスフレーム:Aさんの机
インスタンスフレーム:Bさんの椅子
クラス:机
スロット:大きさ=W90,H90,D70
スロット:質量=30kg
スロット:引出の個数=6
クラス:椅子
スロット:大きさ=W50,H90,D50
スロット:質量=30kg
スロット:背もたれの高さ=50cm
フレーム型知識表現の例
いろいろな車
部分集合
部分集合
いろいろな大型車
いろいろな乗用車
Toshiさんの車
要素
ENDOWさんの車
要素
フレーム型知識表現の例
いろいろな車
「車」という概念
部分概念
部分概念
いろいろな大型車
いろいろな乗用車
「大型車」という概念
「乗用車」という概念
Toshiさんの車
実例
「Toshiさんの車」という
実例
ENDOWさんの車
実例
「ENDOWさんの車」
という実例
フレーム型知識表現の例
クラスフレーム:車
上位クラス:
テンプレートスロット:大きさ
テンプレートスロット:質量
クラスフレーム:乗用車
クラスフレーム:大型車
上位クラス:車
オウンスロット:年間製造台数=100万
テンプレートスロット:乗車定員=4
上位クラス:車
オウンスロット:年間製造台数=40万
テンプレートスロット:乗車定員=12以上
インスタンスフレーム:Toshiさんの車
インスタンスフレーム:Eさんの車
クラス:乗用車
スロット:大きさ=W1900,H1415,L5090
スロット:質量=1630kg
スロット:ドア=4
クラス:乗用車
スロット:大きさ=W1740,H1415,L4640
スロット:質量=1730kg
スロット:ドア=2
フレーム型知識表現の例
クラスフレーム:車
テンプレートスロット:大きさ
テンプレートスロット:質量
クラスフレーム:乗用車
上位クラス:車
テンプレートスロット:乗車定員=4
クラスフレーム:XJ6
クラスフレーム:CLK320
上位クラス:乗用車
オウンスロット:年間製造台数=1000
テンプレート
スロット:乗車定員=5
スロット:大きさ=W1900,H1415,L5090
スロット:質量=1630kg
スロット:ドア=4
上位クラス:乗用車
オウンスロット:年間製造台数=500
テンプレート
スロット:乗車定員=4
スロット:大きさ=W1740,H1415,L4640
スロット:質量=1730kg
スロット:ドア=2
インスタンスフレーム:Toshiさんの車
インスタンスフレーム:Eさんの車
クラス:XJ6
スロット:色=紺
クラス:CLK320
スロット:色=黒
フレーム型世界観による知識表現(1)
„
„
„
インスタンス instance
世界には「個体」が存在する。
クラス class
共通する特徴をもつ「個体の集合」を考えること
ができる。
属性 attribute
各個体やクラスには、それを特徴付けるいくつか
の性質がある。
フレーム型世界観による知識表現(2)
„
フレーム frame
„
クラスを表す:
クラスフレーム
〔例〕 「車」「乗用車」「XJ-6」
„
個体を表す:
インスタンスフレーム
〔例〕 「加藤の自家用車」
„
属性を表す:
スロット slot
〔例〕 「タイヤの数」「ワイパーの数」
„
属性の値:
スロット値 slot value
〔例〕 「タイヤ数:4」「ワイパー数:1」
フレーム型世界観による知識表現(3)
„
フレーム frame
„
属性の値:
スロット値 slot value
〔例〕 「タイヤ数:4」「ワイパー数:1」
「ドア数:4」
„
„
属性の値の制約: ファセット faset
制約の記述:
ファセット値 facet value
〔例〕 「タイヤ数:4」「ワイパー数:1〜3」
「ドア数:2〜5」
フレーム型世界観による知識表現(4)
„
汎化関係
„
インスタンスの属するクラス(is_a)
〔例〕 「加藤の乗用車」は「XJ-6」の一つ
„
クラスが属する上位クラス(a_kind_of)
〔例〕 「XJ-6」は「乗用車」の一つ
„
オウンスロット own slot
上位クラスにだけあるスロット値
〔例〕 「XJ-6の年間生産量」
„
テンプレートスロット template slot
上位クラスのスロット値を下位に継承 inheritans
〔例〕 「乗用車のタイヤ数:4」(既定値 default value)
[宿題1] 「対象」の記述
„
様々な「動物」(例:イヌ、ネコ、トリ)を
言葉・図式で説明してみよう。
„
階層的な分類
„
„
„
„
„
フレーム
クラスとクラス
クラスとインスタンス
属性の共通点・相違点
例外の扱い
(注意)Is_a関係の例
くまのぷーさんを階層分類してみよう。
ミッキー
ディズニー
ぷーさん
キャラクター
ドナルド
Aさんの
分類
サンリオ
キティ
ガンダム
キキララ
(注意)Is_a関係の例
くまのぷーさんを階層分類してみよう。
人間
哺乳類
くま
動物
犬
爬虫類
Bさんの
分類
蛇
鳥類
トカゲ
ぷーさん
(注意)Is_a関係の例
くまのぷーさんを階層分類してみよう。
„
„
„
Aさんは「ぷーさん」を
「ディズニーキャラクター」の一つとして見ている。
Bさんは「ぷーさん」を
「くま」の一つとして見ている。
人によってものの見方が異なる場合がある。
[課題2] 「対象」の記述
„
様々な「時計」とその構造を
言葉・図式で説明してみよう。
„
„
階層的な分類
どんな部品から成り立っているか
フレーム型世界観による知識表現(5)
„
部品関係
„
クラス(インスタンス)を構成する部品
(has_a, a_part_of)
〔例〕 「乗用車」は「4つのタイヤ」を持つ
「加藤の乗用車」は「GBワッペン」を持つ
部品関係の知識表現
部品関係の知識表現
„
汎化関係との違い
„
„
ボディ・シート・ハンドル、、、を汎化しても
「乗用車」という概念は定義できない。
複雑な「システム」の説明
„
„
様々な単位の部品に分解して記述
+
各部品の役割・部品間の関係の記述も重要
[宿題2] 「対象」の記述
„
様々な「時計」とその構造を
言葉・図式で説明してみよう。
„
階層的な分類
„
„
„
„
フレーム
クラスとクラス
クラスとインスタンス
部品関係に注目した説明
„
„
クラスと部品
属性の値の共通点・相違点
[余談] 知識表現のパロディ
„
参考書
きたやまようこ
「イスとイヌの見分け方」
理論社
[余談]イスとイヌの見分け方
断片的な知識ではイスとイヌを見分けられなくなってしまう!
背
座
尾
尾
前足
前足
後足
後足
[余談] 知識表現のパロディ
„
解説 、、、すると面白くなくなるけど
イス(物体)とイヌ(生物)という
全然違うクラスの間にフレームと
ファセットの形式的な類似性を見出して、
パロディ化
[余談] 知識表現のパロディ
„
でも、なぜ面白いの?
書き下した知識が
断片的で、穴だらけ
(いくらでも違うものが該当)だから
知識ベース Knowledge Base
„
知識を適切な表現方法に従って記述
„
„
„
„
„
„
事実
ルール・経験則
メタ知識
計算機に格納
必要に応じて引き出せる→推論エンジン
(参考) データベース Data Base
[本日の参考書]
„
「情報の共有と統合」〔岩波〕
„
„
第3章 知識の共有と再利用
情報処理学会編
「エンサイクロペディア情報処理20002001」
„
第5章 人工知能