『ITSが創る新しいビジネスの可能性』 講 師 ITS

第16期
情報化推進懇談会
第3回例会:平成15年12月10日(水)
『ITSが創る新しいビジネスの可能性』
講
師
ITS‑Japan
専務理事
事務局長
てらじま
だいざぶろう
寺島
大三郎
氏
財団法人 社会経済生産性本部
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『ITSが創る新しいビジネスの可能性』
―
プロフィール ―
ITS−Japan
専務理事
昭和42年3月
事務局長
てらじま
だいざぶろう
寺島
大三郎
氏
東京大学経済学部卒業
トヨタ自動車工業株式会社
昭和42年8月
本社工場工務部
昭和45年11月
調査部
昭和47年10月
経済企画庁出向
入社
(調整局国際経済課および調査局内国調査課)
昭和50年2月
東京支社長付係長
昭和57年2月
海外企画部企画課課長
昭和62年2月
東京秘書部次長
平成5年1月
商品企画部部長
平成10年6月
(財)VICSセンター常務理事
平成14年6月
ITS−Japan専務理事
2
兼
調査部次長
『ITSが創る新しいビジネスの可能性』
1.ITSとは
ITS(Intelligent Transport Systems)は、人、交通機関、交通インフラを
含む移動分野に対してIT技術を活用していこうというものです。その最初のね
らいは、交通安全、渋滞、環境(排ガス等)などの自動車交通の基本問題への対
応策の一環として、マイナス面を少なくするためのものですが、二つめのねらい
として、個人生活の利便性向上、都市の活性化、産業の効率化・新産業の創出と
いった国民生活の向上と経済の活性化というポジティブな面も持っています。I
TSは、しばしば技術面が強調されて分かりにくくなっていますが、こうした全
体の手段と目的を、パッケージで理解する必要があると思います。
ITSの具体例
安全対策としてはASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全自動車)、路車
協調、救急システムなど、渋滞対策ではリアルタイム信号制御、優先車両信号制
御システム、ロードプライシングなどの円滑な交通を確保する仕組みがあります。
また、個人生活の利便性の向上という観点からは、テレマティックス、車のイン
テリジェント化、歩行者ITSなどの試みがなされており、都市の活性化という
面ではパーク&ライド、車両の共同利用、スマートタウン・エコポイントなどが
あり、来年の名古屋における世界会議でいろいろな試みが提示される予定です。
産業の効率化については、車両運行管理による稼働率のアップ、ICタグ等を使
った貨物所在管理・在庫管理などが挙げられます。
カーナビ・VICS・ETCの普及状況
2003 年 9 月末で、日本の自動車保有台数 7200 万台のうち、カーナビが約 1300
万台、VICSは 780 万台に搭載されており、急速に普及が進んでいます。さら
に、ETCも急ピッチで増え、6月 10 日に 100 万台を突破し、9月末で 160 万台、
11 月末現在で 190 万台にもなっています。
2.ITS世界会議
ITS世界会議の概要
ITS世界会議は、ヨーロッパ、アジア・太平洋、北米の3極持ち回りでこれ
まで 10 回開催されている、ITSを推進する世界の関係者(約 50 か国:3000〜
5000 人)が参加する世界的なイベントで、最新の研究、開発、導入などの成果発
表を通じた交流を行うとともに、官民学それぞれの立場からの意見、情報の交換
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を行っています。2004 年は名古屋、その後、サンフランシスコ、ロンドンで開催
され、2007 年には北京で行われる予定です。
2003 年 11 月のマドリード世界会議は、参加者 6300 人のうち日本人が約 1000
人で、会議の成功に貢献できたと思っています。ヨーロッパ側はECがかなり力
を入れており、ECの副代表、各国の運輸大臣を中心とした関係大臣、アメリカ
はAAA会長、日本は泉経済産業副大臣、中国は科学技術部副大臣が登壇されま
した。
トピックスとしては、「安全」が世界の願いであり、交通事故死者を世界的に低
減させていこうという問題意識が一致したことが大変特徴的でした。
2004 年愛知・名古屋会議
2004 年の愛知・名古屋会議は、e‑Japan戦略の中で国家戦略として位置づ
けられており、オールジャパンとして産学官で取り組んでいこうということで、
世界会議の推進のために組織委員会が組織されています。
ここでの大きな目玉の一つは、日本が世界のITSの最先端の成果を、ショー
ケースとして提示することですが、それと並行して、ITSが一般的にあまり知
られていないので、市民にとっていかに暮らしに役立つものかアピールするため、
市民参加型のイベントにしたいと考えています。また、「安全」が最大のテーマに
なっているので、これに向けて世界が連携して取り組むことをアピールしていき
たいと思っています。
「e‑Japan戦略」とITS世界会議
2000 年にe‑Japan戦略ができたときに、5年以内に日本を世界最先端のI
T国家とすることを目指し、その一環として、ITSの導入により安全で快適な
移動を実現することとしています。そして、年ごとに作られている重点計画で、
2004 年に我が国で開催されるITS世界会議において官民を挙げた世界最先端の
ITSを実現し、世界会議を 2005 年愛知万博のプレイベントとして、住民参加型
ショーケースを提示することを目指しています。
世界会議のテーマは「飛躍する移動」で、ITSにより、新しい交通・移動の
時代を拓き、新たな社会を創造しようというものです。ショーケースのコンセプ
トは「いつでも だれでも どこでも 快適な移動情報空間」とし、「ITSスマー
トタウン」構想を推進しようということで現在準備が進められています。
日本組織委員会構成
日本組織委員会は、会長に豊田ITS‑Japan会長、副会長等に愛知県知事、
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名古屋市長など地元の代表のかたがた、オブザーバーとして4省庁の代表(警察
庁、総務省、経済産業省、国土交通省)がおられ、経団連の会長に顧問になって
いただいています。総合プロデューサーは、月尾東大名誉教授にお願いし、理事
として地域ITS推進協議会(札幌、新潟、愛知、関西、岡山、高知)、経済連合
代表(北海道、東北、北陸、関西、中国、四国、九州、山口)が入り、地元に中
心的な役割を果たしてもらいながら、基本的にはオールジャパンで臨んでいます。
名古屋会議は、ポートメッセなごやを主会場に 2004 年 10 月 18 日から 22 日ま
で開催され、開会式は愛知芸術文化センターで行われます。
市民参加コンセプト
今までのITS世界会議は、関係者だけの専門家会議でしたが、もっと一般の
生活者にも参加してもらい、暮らしに役立つ、国民経済に役立つITSを訴える
ため、名古屋会議は、専門化レベルの会議から市民参加型の会議にしていきたい
ということで、従来の技術展示中心だったものから、「ITSワールド」という企
画では、現在のITSの取り組みと未来のITSの社会像を分かりやすく説明す
るため、子供連れでITSを体験してもらえるようなものを考えています。
ショーケースコンセプト
また、具体的なITSのプランをショーケースの形で提示し、「いつでも どこ
でも だれでも 快適な移動情報空間」をコンセプトに、名古屋市地域、豊田市地
域で世界最先端のITSを実現して、それを参加者や市民にも見てもらうことに
しています。
ITSスマートタウンショーケースがめざす街づくり
移動情報空間を支えるITSを基盤に、人の移動を支援するITS、車の移動
を支援するITS、さらに都市の移動性・快適性と環境を向上させるITSを提
示することによって、Livable Society(生活しやすい街、生きがいのある街、共
に暮らせる街、環境にやさしい街)を移動という観点から実現していきます。
このショーケースは、自治体ITSプロジェクト(愛知県、名古屋市、豊田市
ほか)、行政ITSプロジェクト(4省庁5局)、民間ITSプロジェクトを日本
組織委員会が調整して構築されます。
ITS世界会議と「愛・地球博」との連携
2004 年 10 月にITS世界会議があり、その半年後、2005 年3月 25 日から半年
間にわたり「愛・地球博」が開催されるので、それと連携して、ITSの社会実
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験を世界会議および「愛・地球博」で継続し、ビジネスモデルも検証しながらマ
ーケットを把握し、ショーケースシステムの実用化につなげていこうと考えてい
ます。
3.ITS基本戦略
ITS基本戦略委員会の設立
さらにITSの中長期的な在り方について検討するため、ITS‑Japanで
は基本戦略委員会を作り、今年の7月に報告をまとめました。
カーナビ、VICSなどの普及は順調ですが、ビジネスは必ずしも期待通りの
展開になっていません。そこで、昨年 12 月に設置されたITS基本戦略委員会は、
ITSが果たすべき社会的貢献と日本のITS国際戦略を明確にし、ITS業界
の閉塞感を打破したいということで始まり、その目的を短期・中長期的に期待さ
れるビジネス分野の提案、上記を実現するにあたっての省庁への提言、ITS‑J
apanの果たすべき役割提言とし、国際情報研究所副所長の坂内先生に委員長
をお願いしました。委員は、大学の先生(工学系、経済学系)、専門家(経団連の
産業本部長、日本経済新聞の論説員、法律など)、ユーザー(物流、観光、ドライ
バーなど)を含め全体として 34 人のかたにお願いし、企画WG、将来展望WG、
国際比較WGの三つのワーキンググループに分かれてご検討いただきました。
ITSの適用分野と期待される事業
まず、安全・安心分野については、交通事故死者ゼロ空間の実現と、グローバ
ル e‑Safety の推進です。グローバル e‑Safety とは、いわゆる交通安全運動だけ
でなく、科学的知見も総動員して産官学で世界が競い合い、協調しながらその実
現に貢献していこうという提案です。効率・環境分野では、渋滞ゼロ空間の実現、
自動運転推進への取り組みなどを考えています。利便・環境分野では、快適移動
空間の実現、ETCの多目的利用推進、スマートタウンの全国展開、プローブカ
ー&VICSなどを提案しています。共通分野(基盤整備)では、ITSプラッ
トフォームを提案し、日本がアドバンテージをとっている技術を国際展開しよう
と考えています。
交通事故死者ゼロ空間の実現
ヨーロッパは 2010 年に交通事故死者を 50%減、アメリカは 2011 年に 15%減と
いっています。日本では、1970 年のピーク時に1万 6000 人のかたが自動車事故で
亡くなっていましたが、昨年度にはそれが 8200 人と半減しました。小泉首相はこ
れをさらに半減させようと言っておられて、その実現のためにITSのモデル地
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域を決めて産官学連携で集中的にと取り組もうとしています。
快適移動空間の実現(生活サポートナビ)
これまでは車中心のナビゲーションでしたが、人が生活するうえでは車の運転
だけでなく、バスや地下鉄に乗ったり、ショッピングや散歩をしたりします。そ
の生活全般の移動をサポートしていこうというのが、「いつでも どこでも だれ
でも 安全で快適なインターモーダルな移動を支援」する生活サポートナビの考え
方です。
そのときに、いちばんポイントになるのが、位置の特定です。歩行者が今どこに
いるかを特定し、その人が行きたい目的地に向かってどのような情報が提供でき
るかということですが、ここではマーカを路上に簡単なチップで埋め込むことに
よって、GPSよりも高い精度で一人一人がいる場所を特定し、道案内ができる
ものが検討されています。
スマートタウンの全国展開
名古屋界会議では、いろいろなITSのショーケース実験が行われます。それ
を、中央省庁の強力な支援のもとに、それぞれの地域特性に合った形で全国に展
開していきたいと思います。
ETCの多目的利用推進
ETCでは日本は後発ですが、急速に普及が進み、今やアメリカに次ぐ普及率
になっています。ただ、日本のシステムは高機能すぎて高いという欠点がありま
す。しかし、日本のシステムは全国共通のシステムになっており、1500〜1900 か
所のインターチェンジで採用されています。これをさらに道路という線的展開か
ら、ETCをベースにした共通のシステムとして、一般の駐車場、ガソリンスタ
ンド、コンビニエンスストアなど、生活の中に面的に展開していきたいと考えて
います。
ITSプラットフォーム提案(通信と位置特定)
ITSプラットフォームの基本要素は、情報通信と位置特定です。情報通信で
は、動画を送るには大容量が必要ですが、一般的な交通情報の提供であれば簡単
なシステムでも十分です。位置特定についても、何十センチの精度が必要なもの
から、10 メートルぐらいの誤差があってもいいものもあるでしょう。そこで、位
置精度と情報量でサービスのクラスを分けて基本的なプラットフォームを標準化
することを提案し、そのロードマップを委員会としてまとめています。
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また、委員会として「日本のITS新全体構想」を策定しています。そして、
ITSビジネスの実現にあたり、4省庁(警察庁、国土交通省、総務省、経済産
業省)それぞれにITS推進室があって別々にやっていては難しいので、4省庁
が連携して取り組むことなどを要望としてまとめました。
ポスト戦略委員会
戦略委員会の報告を受けて、ITS戦略推進に向けた官民協力として、4省庁
5局のITS関連組織とITS‑Japanが連携し、日本のITS推進のアクシ
ョンプランを作ろうということで調整を進めています。
ITS‑Japanは、世界会議や国際連携の事務局としての役割を果たすこと
はもちろんですが、多岐にわたるITS関係者をまとめ、政策提言や官民連携・
官連携の窓口となり、潤滑油としてうまく機能していくことが大変重要だと思っ
ています。ビジネス基盤整備についても、民間がビジネスをやろうとすると、規
制の問題もあり、省庁の権限が大変ぶつかり合うところなので、例えば中国にビ
ジネスを展開したいと思ったときに、相手側との橋渡し役が必要です。
4.ビジネス化に向けた課題
ITSビジネスは、インフラ協調型と民間主導型の二つに大きく分けられます。
インフラ協調型とは、例えばETCについても、道路公団がゲートを作らなけれ
ばできませんし、ゲートを作っても車戴器が売れなければ実用化できませんから、
それぞれが協調したプランの中でやらなければいけないわけです。ITSには、
公共事業という形で受注する形で政府や公的部門との協調型ビジネスが常に存在
します。
民間主導型でできるサービスには、BtoB型とBtoC型があり、例えばタクシ
ー会社の交通運行管理などは、特に官とは関係なく進められます。
もう一つの視点は、ビジネスの国際化です。これについてはVICSの国際展
開が今一つの焦点になっています。
留意点はコラボレーションで、官民連携、産学連携、産業間・企業間連携が極
めて重要です。さらに、国際標準化という意味で国際的連携も避けられない問題
です。また、日本をはじめ先進国では飽食の時代を迎え、VICSなどもお客さ
んから欲しいといってくれることはなく、実際に使ってみて「これはいい」とい
うことで支持されるわけです。あればあるに越したことはないけれども、わざわ
ざお金を出してまでということで課金がなかなか難しく、ビジネスモデルの構築
が課題になっています。
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ITS‑Japanの取り組み
ITS‑Japanは、主にベンチャー企業のかたがたを対象に、ベンチャー企
業とITS‑Japanの会員企業との間でアイデアを出し合うIT&Tビジネ
ス研究会というものを設置し、そこで評価されたものをITS Plaza で発表し、
投資会社等にも入ってもらってITSのビジネスとして実現していこうという取
り組みをしています。これは、ITSの前にIT&T(Information Technology &
Transportation)ということで既存技術を活用し、新しいビジネスモデルの検討
をしようというものです。
ここでは、インターネットおよび携帯電話の爆発的普及期と同じように、コン
テンツが必要です。そして、巨額の資金が必要なインフラと、標準的なプラット
フォームの整備は大企業やり、良質なコンテンツまたはサービスを提供するベン
チャーを支援し、ITTビジネスを創出しようということで取り組んでいます。
ITSビジネス事例
テレマティックスの典型分野としては、カーナビ、VICSがあります。この
ビジネスは、交通の実態を把握するため情報を収集する仕組みが必要です。これ
を実際に行っているのは、警察庁が県警を通じて設置している交通感知機です。こ
れ自体は、信号制御のために交通流を観測するために何十年にわたって行われて
きました。それを一般のドライバーに活用してもらおうというのが、このビジネ
スのかなり重要なポイントです。そのインフラ設備には、税金が何百億円という
規模で使われており、その上にカーナビ、VICSを含めたビジネスが成り立っ
ているのです。
ETCは、DSRCという狭域通信方式を使って、現在ある大規模なインター
チェンジでなく、無人で一車線だけのスマートインターチェンジを実現します。
そうなると、これまでの用地買収も、人件費も要りません。一車線だけ増やせば一
般の道路と合流することも容易になり、地域の活性化にもつながります。さらに、
先ほど言ったように、一般の駐車場やガソリンスタンドなどにも活用し、ETC
の活用を線から面に拡大していきたいと考えています。
また、昨年、インターネットITS協議会が設立され、車とインターネットを
常時接続できるような環境を作り、ユーザーやドライバーだけでなく同乗者にと
っての利便を向上させようということでいろいろなビジネスモデルが検討されて
います。
ITSビジネス事例1:ナビット社
そのほかに、ベンチャー分野として、ナビット社が歩行者に非常にきめ細かな
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情報をサービスしています。これは、例えば地下鉄を利用するとき、何号車に乗
れば何番出口で降りられるとか、バス停の近くになるといった情報を、PDAや
携帯電話に提供しようというものです。さらに、これには駅情報が細かく3Dで
入っており、大人の目の高さや子供の目の高さで見た道案内の画像を利用者のニ
ーズに合せて選択することができます。この会社は、コンテンツを作るために学
生アルバイトを使って駅情報を丹念にデータ化しています。
ITSビジネス事例2:自動車メーカー(トヨタの一部事例)
車両のインテリジェント化
トヨタは、車両のインテリジェント化ということで、1997 年から 2010 年に向け
てロードマップを作り、運転を支援する機能、判断を支援する機能、情報を提供
する機能などいろいろな支援機能を進めています。
例えばブラインドコーナーモニターでは、車のノーズにカメラをつけて、運転
席から見えない部分をカバーします。また、レーダークルーズコントロールでは、
車間距離を一定以上に保つ機能を持たせ、先行車に追随して走ります。
ロジスティックスの面では、バスロケーション案内システム、インテリジェン
トタクシーシステムなどが実用化されつつあります。
IMTS(Intelligent Multimode Transit System)は、バスの隊列自動運転
機能です。これには車線保持機能、隊列走行機能、衝突防止機能、速度制御機能
などが組み込まれており、車が3台あると2〜3台めは1台めに追随して走り、
電車の連結機能と同じで運転手が要りません。そして、ある地点からはそれぞれ
ばらばらの車として走るわけです。
5.トピックス
自動運転(AHS)
自動運転はITSの重要なテーマであり、すでに東京から大阪まで東名高速を
自動で運転できる性能にかなり近くなっていると聞いています。ただ、技術的に
は手の届くところまできていても現実は足踏みをしています。それは、何か問題
があったときにメーカーの製造物責任、行政の道路管理責任の問題が生じるとい
うことでなかなか手が出せないのです。AHSによって安全、環境、資源、ユー
ザーメリットという観点で現状よりよくなることは確実ですが、責任所在論が解
決しなければ進展は難しいでしょう。
そこで、自動運転のフェーズイン実用化イメージとして、「タイムシェアリング
AHS」が考えられます。ある特定の区間で、深夜時間帯に一般車両通行止めにし
てAHS車を走らせるのです。しかも、最初は前後を有人車両が護衛すればより安
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全です。もしそこで事故が起きても、その時間帯は閉鎖されていてほかの車は入っ
てきませんから物損だけで済みます。そういうところから入っていったらどうで
しょうか。
安全・環境対策への貢献、物流の画期的な効率化、旅行を楽しくする夢の車の
実現のためにいろいろな条件を整備していけば、技術的な条件はかなり整いつつ
あると思います。
VICSの中国展開
現在、北京市と上海市からVICSの導入を打診されていますが、中国側にも
四つの関連省があってなかなか進まない中、民間の人たちがコアになってプロジ
ェクトを推進しようという試みがなされています。VICSは、国際的にいちばん
パフォーマンスのあるシステムですが、国際展開はされておらず、日本独自のシ
ステムにとどまっています。これを中国で実現できれば、国際的展開の足がかりに
なるということで、私どもはぜひこれを進めたいと思っています。
以
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上