血圧測定 (嶋津秀昭ほか著,医用工学概論,㈱コロナ社,2007年,転載箇所は中島章夫・福長一義が執筆) 手動血圧計 手動非観血式血圧計はマンシェット,排気弁付き加圧ゴム球,圧力計 血管の開閉は,つぎの心臓の拍動に伴って血圧が上昇した際にも起こり, (マノメータ)から構成される。マノメータには,水銀柱を利用したリバ 最終的には最高血圧から最低血圧まで心臓の拍動に合わせて起こる。聴 ロッチ型と,スプリング圧力計を利用したタイコス型がある。血圧の測 診法では,このときに血管で発生するコロトコフ音を聞き取ることで, 定方法には,健康診断などで一度は体験したことがある聴診法と触診法 最高血圧と最低血圧を測定している。すなわち,カフの減圧に伴って音 がある が聞こえ始めた圧力を最高血圧,音が消失したカフの圧力を見て最低血 聴診法の原理を健康診断で血圧を測定する手順を例に説明する。血圧 圧を推測しているのである。また,コロトコフ音の発生要因は単純に血 を測定する際には被験者は椅子に座り,腕を台の上にのせる。これは安 管が開閉することだけではなく複雑な要因が組み合わさっていると考え 静状態にして,上腕(血圧測定部)を心臓と同じ高さに設定する意味があ られている。 る。そして,圧迫帯(マンシェットまたはカフと呼ばれる)を上腕に巻き, カフの指先側の上腕動脈上に聴診器を当てる。つぎに,測定者が加圧ゴ ム球を用いてカフの中に急速に空気を送り込むことによって,上腕を圧 迫する。このとき上腕動脈が完全につぶれるまで,すなわち腕の血流が 止まるまで圧迫する。そして聴診器を聞きながら,空気をゆっくりと一 定の速さで抜いてカフの圧力を下げて(減圧)いく。 右図に,この一連の操作における上腕動脈の血圧と,カフによる圧迫 圧との関係を示した。カフ圧が最高血圧を超えると血管は完全につぶれ, その末梢側には血流が流れなくなる。ここから徐々に減圧してゆくと, ちょうど最高血圧よりカフ圧が少し低くなった際に,つぶれていた血管 が開通する。しかし,血圧はつねに心臓の拍動に伴って変動しているた め,カフ圧よりも低い血圧になったところで再び血管は閉塞する。この 聴診法における上腕動脈の血圧と,カフによる圧迫圧との関係
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