平成 19 年度 1982 事例●082 株式会社テクノアース(山口県萩市) 平成19年度 建設業の新分野進出モデル構築支援事業 ダチョウふれあいパークの開設および ダチョウ肉や装飾品の製造・販売 一般土木、上下水道に関する土木工事を主な事業としてる(株)テクノアースは、 健康食品として注目されているダチョウ肉の製造・販売を成功させた建設業者の 事例に着目し、ダチョウに関連する観光事業をも含む新分野の開拓を目指すこと とした。 1.事業の背景と動機 岐阜県の成功事例をきっかけに のんびりと施設を歩き回るダチョウ。その肉 は、コレステロールが低く、近年健康食として も注目されている 建設業の経営資源を活かしてダチョウ 飼育に取り組んでいる岐阜県・道下建設 の事例を知り、平成 18 年に萩市からダ チョウ牧場開設用地(1 万 8000 平方メー トル)の払い下げを受け、飼育施設の建 設等に自社の建設機材や土木技術が活 かせることから本事業を推進することに なった。ダチョウの飼育には特別な技術 が必要なく、1 年で商品化が可能なことも 有利と判断した。 2.進出時の苦労やその対応 飼育ノウハウは すでに蓄積、実行の段階へ ダチョウは性格がおとなしく、成長も早い。比 較的飼育が簡単だという 株式会社テクノアース 代表者●中尾 登志雄(代表取締役) 所在地●山口県萩市 資本金●3,000 万円 従業員数●12 名 事業内容●昭和 35 年個人商店として設立、 昭和 55 年有限会社として法人化。一般土木、 舗装業として、山口県萩市(旧むつみ村)の公 共工事や民間工事を手がけてきた。 URL●http://tec-e.jp/ 萩市 82 財団法人建設業振興基金 平成 17 年に道下建設を視察してダチ ョウ飼育のノウハウを蓄積し始め、平成 18 年には山口県・蓋井島のエミウ飼育地 も視察。平成 19 年には中小企業経営革 新支援法に承認され、日本オーストリッチ 協議会、同事業協同組合にも加盟する等 の準備を進め、実行の段階にきていた。 3.新事業の概要 飼育や商品の分析から 観光事業まで 事業の大きな柱としては、(1)試験飼育 および肉加工用ダチョウの購入、(2)ダチ ョウの肉や加工食品・装飾品の開発、(3) 先進地の視察、(4)開発商品の分析(山 口県産業技術センター)および味覚の評 価、(5)ダチョウの里(萩ふれあい動物パ ークのひとつ)の開園、(6)販売価格およ び販売ルートの確立、がある。(5)に関し ては、観光面の効果も期待できる。 4.事業の推進体制 事業者・行政・組合・高校等による 協力体制 (株)テクノアースを中心にダチョウの 飼育・観光の事業化を 推進し た。ほか に、萩市むつみ総合支所(観光客の誘致 等)、日本オーストリッチ事業協同組合 (飼育指導と資材供給等)、山口県産業 技術センター(成分分析)、山口県立奈古 高校(ダチョウ加工品の試作等)、こいこ いがんこ村・ハピネスふくえ等の道の駅 (商品の販売)、(株)ソルテック(市場調 査等)が協力した。 5.差別化戦略・競争戦略 今後、地元及び全国的な 消費量の伸びが期待できる ダチョウ肉には、低脂肪、低カロリー、 低コレステロール、高鉄分等の特徴があ り、健康食品という位置づけで販売でき る。一方、いまだ日本の食肉消費量の 1%に満たず、また中国地域での飼育数 は少ないため、地元での消費の伸び及び 全国的な販売展開が期待できる。 6.成果と今後の課題 観光事業が先行し、 商品の製造・販売が続く 飼育面(土地、 牧草地、飼育管理者 等)ではとくに問題は生じていないが、最 も近い屠畜場は岐阜県にあり、ダチョウ の輸送コストとそれにともなうダチョウが 受けるストレスの解消は今後の課題。本 事業が実施されている萩ふれあい動物 パーク(仮称:ダチョウの里のほか、近隣 の昆虫王国、むつみ牧場、伏馬ハーブ 園、ひまわりロード、むねの丘キャンプ場 を含む総称)は、年間 100 万人の観光客 を集める萩と津和野の中間に位置し、相 乗効果が期待できるうえ、平成 20 年度 以降の目標としては、ダチョウの里の入 場者数増加やダチョウ飼育数の拡大と飼 育施設の拡張、ダチョウ生肉の安定供給 体制の確立を目指したい。
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