「蛍光灯リサイクル」による 環境負荷の軽減を構築

平成 19 年度
1997
おお な
か
事例●097 株式会社太名嘉組(沖縄県浦添市)
平成19年度
建設業の新分野進出モデル構築支援事業
「蛍光灯リサイクル」による
環境負荷の軽減を構築
蛍光灯本体及び含まれる水銀が「土壌汚染対策法」、「廃棄物処理法」等で分別
収集することが指定され、産廃物としてリサイクル施設での処理が必要となった。
しかし、沖縄県内には施設がないことから、(株)太名嘉組は工業団地に用地を取
得し、リサイクルプラントを設置、稼動させ、得られた材料をリサイクルする事業に
取り組んでいる。
1.事業の背景と動機
収集された廃棄サークル管。効率的に収集
する体制確立がカギ
自社グループ、
専門業者と幅広い連携
建設業界は厳しさを増しているが、(株)
太名嘉組は、この傾向をすでに10年前
から予測、余力のあるうちに民間にシフト
し、新分野に進出することにした。沖縄県
に競争相手のいない「蛍光灯リサイクル」
という環境ビジネスに着目し、その事業に
取り組むことは、企業価値を上げることに
もつながり、企業メセナ発信にもなると考
えた。
全体とりまとめと廃棄蛍光灯の収集体
制構築は(株)太名嘉組が担当、リサイク
ルプラント運営はグループ企業の(株)太
盛工業の土木セクションが行う。廃棄蛍
光灯の収集・運搬・活用は専門業者に委
託する予定である。リサイクル材である金
属と水銀の活用は専門業者が行うが、ガ
ラスの活用は(株)太名嘉組が県立芸術
大学(那覇市)等に働きかけ、今後、アー
トガラス製品への応用も模索している。社
内体制は、担当部署が営業部であるの
で、リーダーは営業統括の名嘉太助常務
取締役であり、小野寺企画開発室長が実
務を担当している。
2.進出時の苦労やその対応
効率的収集と
蛍光灯処理適正単価の設定
蛍光灯のガラスから作られたリサイクルアート
作品
株式会社太名嘉組
代表者●名嘉 謙(代表取締役)
所在地●沖縄県浦添市
資本金●1 億円
従業員数●96 名
事業内容●総合建設業、土木、建設、電気水
道工事、建設機器・車輌賃貸、土地売買、砂
利・砂採取販売。「誠心誠意」をモットーに経営
を行っている。
URL●http://www.oonaka.co.jp/
浦添市
4.事業の推進体制
進出には企業価値を高める
環境ビジネスに着目
苦心した点は、廃棄蛍光灯を大量か
つ、効率的に収集する体制の構築及び
蛍光灯 1 本あたりの適正処理単価の設
定等であった。県工業団地の用地取得に
際しては、当初の予想とは異なり、厳しい
審査であったが無事クリアし、リサイクル
で有用な材料を得られる生産でもあると
いうことを理解してもらえた。
3.新事業の概要
廃棄蛍光灯を処理して得られた
材料をリサイクル
沖縄県内の廃棄蛍光灯を収集、プラン
トで処理し、金属、水銀、ガラスペレットに
仕分けて、各々を必要とする専門業者に
引き渡した後、金属や水銀は各業者によ
って販売、再利用を図る。蛍光灯からの
ガラスペレットは高品質なので、そのガラ
スを用いたアート、ガラス製品などへの応
用も将来的には企画している。
5.差別化戦略・競争戦略
沖縄県内唯一の施設で、
省エネ推進が追い風に
廃棄蛍光灯の回収、リサイクル事業は
沖縄県内に前例がなく、先行メリットを享
受できる。また、省エネ推進に伴い、従来
の白熱灯が蛍光灯に転換することが想
定され、廃棄、収集にはずみがつくこと
も、事業の追い風となっている。
6.成果と今後の課題
廃棄蛍光灯の収集体制確立と
プラント稼動
蛍光灯収集に関しては、自治体などへ
啓蒙すると同時に、中間処理業者(収集
を行う)の組合等とも連携して全体の体制
を構築する必要がある。そのため、専門
業者との連携だけではなく、自治体の協
力が不可欠であるので、シンポジウムな
どを開催して収集に関する意識を向上す
る必要がある。また、工場の建築確認審
査、並びにプラント建設の許認可をできる
だけ早く実現して、プラントを稼動できる体
制にすることや、廃棄蛍光灯の収集・営業
体制の確立が重要な課題である。
新分野進出一覧
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