材料工学科 2年生 前期・専門必修科目 「セラミックス」 第 11, 12, 13,14 回目 ( 新2号館 2301教室,火曜2限 ) 『 セラミックス材料の物性 』 磁性の分類,フェライト,強磁性体,永久磁石 サーミスタ特性,誘電体特性 を中心に 2012 年 6 月 19,26 日, 7 月 3,10 日(火) 材料工学科 教 授 永山 勝久 2012年度 材料工学科 2年生 前期 専門必修科目 『セラミックス』 単位認定 について (- レポート課題提出 と 期末試験について -) 1. 「レポート課題」 について ① レポート課題提示:6月26日(火)講義時及び永山研究室HPに掲載 ② レポート課題提出:7月10日(火) 2限 講義終了時(2301教室) 1) 履修者は必ずレポートを提出すること ※ 上記期日にレポートを未提出の場合は、単位は認定しない 2) 4月前期講義開始以降、出席を計4回取ったが、遅刻ならびに 欠席が多い学生は、『レポート課題』 に全力を注ぐこと 【注意】 1.レポートは必ずA4サイズの用紙を使用すること (※ 表紙(任意) を必ず付ける こと) 2.手書きの場合は、黒色万年筆、黒色ボールペン(※ 鉛筆書きは不可 ) 3.各種専門書,ホームページまたは講義で使用(HPに掲載)した資料中 の図,表を使用 する場合は、レポートの最後に 『参考文献』 を必ず付け、出典(著者名、書籍名・資料名 など)を必ず明記すること(※ 図,表の貼付け可 ) (※インターネット掲載の 図,表 を使用する場合は、http:アドレス名 を必ず明記すること) 2.『2012年度 セラミックス 前期・期末試験』 について ① 期末試験の日程:7月17日(火)(前期・講義最終日) ② 実施教室:後日、学生課が掲示(決まり次第講義で連絡) ③ 試験時間:10時50分~12時00分(:70分間) (※ 10時40分迄には必ず着席すること、座席表は当日掲示) (・・・前期末試験の日程、実施教室、試験時間等については、 後日学生課が掲示するため、各自十分確認・注意すること) [単位認定方法] ◎ 「シラバス中の成績評価欄」 に記載通り、 『レポート40%、期末試験60%』 で成績を付け、 これに出席点を加算し、単位を認定する 以上 セラミックスの物性 ーセラミックスの材料物性ー 機能大分類 ① ② ③ ④ 熱的機能 機械的機能 生物・化学的機能 電気・電子的機能 (・・・ 磁気的機能・磁性材料関連) ⑤ 光学的機能 ⑥ 原子力関連機能 ニューセラミックスの代表的な電気・電子・磁気的性質 1.『絶縁性』:物質に通電する際、大きな電気抵抗により電気を通さない性質 2.『誘電性』:物質に電圧を印加した時、物質の両表面に電荷が現れる性質 誘電特性は、比誘電率(:誘電率 ε と真空の誘電率 ε0 の比)の大きさ クオーツ(単結晶SiO2):3.8、 サファイヤ(単結晶Al2O3):9.4、 チタン酸バリウム(BaTiO3):4,590 ← 強誘電体(コンデンサ)となる 3.『導電性(半導体)』:特定のセラミックスは電気を通し、半導性を示す 1)サーミスタ:温度を上げると抵抗が下がり、電気を流す性質 2)バリスタ:電圧が高くなると電気抵抗が下がる性質 電子回路に必要以上の高電圧がかかるのを防ぐ電子部品 4.『圧電性』:①特定物質に応力(振動,歪)を加えると電気を発生する性質 ②特定物質に電気を流すと振動を発生する性質 「圧電セラミックス」:チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrTiO:PZTセラミックス) 5.『磁性』:通常のセラミックスは磁性を示さないが、フェライト(酸化鉄 Fe3O4, 酸化Ni,Baフェライトなどの混合焼結体)は強磁性(磁石特性)を示す 6.『超電導』:電気抵抗がゼロになり、一度流した電気が流れ続ける性質 フェライト磁石発見の歴史的推移 『1933年に世界初のフェライト磁石(OP磁石)の発明』 ①「KS鋼(1917年に本多光太郎博士(東北大)が発見した世界最強の 永久磁石(“近代磁石の始まり”):Fe-35%Co-6%Cr-6%W-0.9%C)」 ②「MK鋼(1931年に三島徳七博士(東大)が発見した析出硬化型・ 鋳造磁石:Fe-Ni-Al合金,KS鋼の倍(500Oe)の保磁力Hcを有する)」 ③「フェライトOP磁石(1933年に加藤与五郎、武井武両博士(東工大) が開発, 鋳造磁石とは原理1)が異なり、セラミックス強磁性粉末の 酸化鉄Fe3O4を主成分とし、これに各種フェライトを混合した結果、 コバルトフェライトCoFe2O4が優れた永久磁石になることを発見」 注)「OP磁石」:酸化物Oxide Powderの略(東工大所在地大岡山のOと 永久磁石Permanent Magnetの頭文字P をとったとも言われている ⇒ その後、Baフェライト,Srフェライト(AFe12O19 )高性能磁石へ発展 「フェライト磁石」は①,②の金属合金磁石とは異なり、セラミックス (酸化物)であること、強磁性の一部 となる“フェリ磁性(セミハード, 磁気記録用磁性体)” を利用した点 が大きな特徴 となる 1)①,②が形状磁気異方性を利用した磁石であるのに対し、フェライト 磁石はSm-Co,Nd-Fe-B磁石同様、結晶磁気異方性を利用した磁石 ④「Baフェライト磁石:BaFe12O19(BaO・6Fe2O3),1952年にオランダ のフィリップス社によって、フェライト磁石(OP磁石:1952年に日本で 発見)の性能を上回る「Baフェライト磁石」が開発され、高性能異方 性型フェライト磁石として世界に登場した」 ⑤「Srフェライト磁石:SrFe12O19(SrO・6Fe2O3),1961年にアメリカの、 ウェスチングハウス社によりBaフェライトを上回る「Srフェライト磁石」 が開発された」 上記、2つの磁石は、いずれも『マグネトプランバイト型』と呼ばれる 六方晶の結晶構造を有し、フェリ磁性を示す高性能永久磁石である 「フェライト磁石」は「原料が酸化物系セラミックス磁性粉末」と安価 なため、1968年にSm-Co磁石が発見されるまでは、低コストかつ 高性能を有する磁石材料として、世界中で研究・開発が行われた なお、「フェライト磁石の工業化と大量生産」に成功を修めたのが、 TDK(当時の東京電気化学工業株式会社)を始めとする、日本の 企業であり、その後のエレクトロニクス時代を担う磁石材料として、 フェライト磁石は、現在でも世界で最も数多く生産・利用されている 世界における永久磁石の生産量と生産額の比較 『フェライト磁石』が、生産量94%(45万トン),生産額50.11%(22億5千万円)で共に世界第1位 高性能磁石特性を有する『ネオジム磁石』の生産量と生産値は共に第二位であるが、その 生産量は4.27%しかない。 現在、資源の少ない、希土類元素を使用しない(レアアース・ フリー)安価な高性能酸化物系セラミックス・フェライト磁石の開発が世界中で期待されている 永久磁石材料の年産量の比較: 2000年 年生産量(トン) 百分率(%) アルニコ フエライト サマコバルト ネオジ焼結 ネオジプラマ グ 7300 450000 1000 16400 4000 3.43 0.84 1.52 94.0 0.21 4.27 永久磁石の年産総生産額の比較: 2000年 アルニコ フエライト サマコバルト ネオジ焼結 ネオジプラマ グ 年生産値(百万ドル) 160 2250 120 1480 480 百分率(%) 3.56 50.11 2.67 32.96 10.69 43.65 フェライトの応用分野 TDK(株)HPより 1.磁性体セラミックス(フェライト,酸化鉄セラミックス [:図1,表1 参照]) 軟磁性材料(ソフト) (ex.磁気ヘッド材料, トランス用材料) 半硬磁性材料 (セミハード) (ex.磁気記録 用材料) 硬磁性材料(ハード) (ex.永久磁石材料) 図1 磁性体セラミックス (フェライト,酸化鉄 セラミックス)の用途 表1 代表的な鉄酸化物系化合物 物 質 結晶系 系 性 色 相 α -Fe2O3 γ -Fe2O3 α -FeOOH (α -Fe2O3・H2O) Fe3O4 Fe(Fe2O4) MnFe2O4 CoFe2O4 NiFe2O4 ZnFe2O4 六方晶 立方晶 直方晶 非磁性 強磁性 非磁性 赤褐色 茶 色 黄 色 X線密度 [g/cm3] 5.29 5.07 4.28 立方晶 立方晶 立方晶 立方晶 立方晶 強磁性 強磁性 強磁性 強磁性 非磁性 黒 色 黒 色 黒 色 黒 色 赤褐色 5.24 5.00 5.29 5.38 5.33 六方晶 六方晶 強磁性 強磁性 黒 色 黒 色 5.28 5.15 永久磁石 BaFe12O19 SrFe12O19 鉱物名 α-Hematite Heamatite γ-Hematite Maghemite Goethite Magnetite (Jacobisite) (Trevorite) (Flanklinite) 備 考 赤鉄鉱,ベンガラ ガンマ 針鉄鉱,黄鉄 磁鉄鉱,黒鉄 磁鉄鉱,鉄黒 マンガンフェライト コバルトフェライト ニッケルフェライト 亜鉛フェライト,タン (顔料) バリウムフェライト ストロンチウムフェライト フェライトの一般式:M・Fe2O4 ・・・ M:2価の金属イオン (M = Mn, Ni, Zn, Ba,Sr,・・・) **酸化鉄(磁性体酸化鉄)・・・Fe3O4 : マグネタイト 「主な用途」: ①ビデオテープ,カセットテープ用磁性体 磁気記録用 磁性体粉末 BaO・6Fe2O3 ②フロッピーディスク用磁気記録媒体 ③モータ回転用マグネット(ex. PC用ハードディスクHDD SrO・6Fe2O3 ④スピーカー(ex.携帯電話,音楽プレーヤー)用 注)現在:CD, MO, MD(光磁気記録用各種メディア材料) マグネットドライブモータ) (※ ビデオテープ、フロッピーディスク等の記録用媒体は全て γ-Fe2O3 粉末を使用) 『磁性材料(強磁性体材料)の実用的分類』[:図2 参照] ①軟磁性材料(ソフト磁性材料) ・・・保磁力Hcが小さく、磁化率χrが大きい(⇒ M/Hが大きい)材料 例)磁気ヘッド,トランス用磁芯材料 ②硬磁性材料(ハ-ド磁性材料) ・・・保磁力Hcが大きく、かつ飽和磁化MS,残留磁化Mrが 共に大きい材料, 例)永久磁石材料 ③半硬磁性材料(セミ・ハ-ド磁性材料) ・・・①と②の中間的性質を示す磁性材料 例)磁気記録用材料:磁気テ-プ材料,磁気ディスク材料, 垂直磁気記録材料,光磁気記録材料 B:磁束密度[単位:Gauss] (強磁性体中の磁化の大きさMと 外部磁場Hの両者を合せた物理量) 図2 磁性材料とB-Hヒステリシス曲線 ①軟磁性材料,②永久磁石材料,③半硬質磁性材料 『強磁性体の特徴』 外部からの磁場印加によって、強磁性体特有の磁化挙動を示す ( ⇒ 強磁性体の特徴となる、外部磁場Hに対する磁化Mの変化) ↓ “磁化曲線=ヒステリシス(M-H)曲線”[:図3 参照] ・・・強磁性体が有する単位体積当りの磁化(磁気モーメント)の 大きさMが、外部磁場Hの増大と減少に伴い、連続的に変化 する時の物質の磁性状態(過程)を示す曲線 『磁化M』 :原子が有する孤立電子(不対電子,スピン)によって 発生する磁気モ-メントの総和 ( ⇒ 結晶を構成する全ての原子が有する不対電子の総和) 『磁場H』 :物質に対し、外部から連続的に印加する磁場力(磁場の強さ) 強磁性体の磁化過程 -磁化Mと磁場Hの関係(ヒステリシス曲線)- 磁化M 残留磁化Mr DB E 保磁力Hc O F 飽和磁化Ms C 磁化率 χ=M/H A 磁場H G 図 ヒステリシス曲線(M-H曲線) 『強磁性体の磁化過程』 ①:最初の状態(H=0,M=0) ②:初磁化過程 (χ r:磁化率,Ms:飽和磁化) ③:外部磁場を取りさった状態 (Mr:残留磁化(H=0) ④:-Hcの磁場で強磁性体中の 磁化Mは完全にゼロになる (Hc:保磁力) ⑤:②とは反対方向に飽和磁化 した状態(-Ms) ⑥:③とは反対方向に生じた残留磁化(-Mr) 図3 ヒステリシスM-H曲線 ⑦:④とは反対方向の保磁力Hc [M-H曲線は閉じる] ⑧:②と同一方向の飽和磁化状態Ms 注)χ r:強磁性体に磁場印加した時の最初の傾き[磁化率χ r=M/H] Ms:強磁性体内の全ての磁気モ-メントが印加磁場(外部磁場) 方向に配列した時に生じる磁化M[飽和磁化] Mr:飽和磁化状態Msにある強磁性体に逆方向の磁場を印加し、 外部磁場がH=0の時に強磁性中に残存する磁化M[残留磁化] Hc:強磁性体中に残った磁化を全てゼロにするために必要な磁場 世界最強の永久磁石材料 Nd2Fe14B相の結晶構造 結晶構造:正方晶(a=8.81Å,c=12.21Å) 単位胞 :4×Nd2Fe14B=68個の原子 Fe:56個,Nd:8個,B:4個 特異構造:下に示す積層構造を呈する (9層稠密構造) Nd4Fe2B2(C面) | Fe11(Fe-Cr2元系で表れるσ相と同一、 かつC面に平行でない) | Fe4 | Fe4 | Nd4Fe2B2(C面/2) | なお Fe4 1)C軸にはFe原子のみ | 2)Nd, B原子は、C面 Fe11 および1/2C面のみ | Nd4Fe2B2(C面) Nd1, 4f Nd2, 4g Fe1, 4e Fe2, 4c Fe3, 8j1 Fe4, 8j2 Fe5, 16k1 Fe6, 16k2 B , 4f トヨタ・プリウス(ハイブリッドカー) ウィキペディア (Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/ より Nd-Fe-B永久磁石:1982年に住友特殊金属の佐川眞人らによって、 Nd-Fe-B磁石(ネオジム磁石)が発明された。ネオジム磁石を使った 永久磁石式同期モーターは、新型ハイブリッドカーや電気自動車の 発電・動力用モーターに大量に使用される ハイブリッドカーの駆動モーターには、車1台当たり、 1.2kgのNd-Fe-B焼結磁石が使用される ※ 駆動モーターの中で、最も普及しているのが『永久磁石型同期モーター(PM)』 であり、現在、実用化されている電気自動車や、トヨタのハイブリッドカーなどに搭載 補足:【磁性の基礎】 『磁性の分類』[:表2 参照] :原子が有する固有の不対電子*) (電子,スピンの自転)による 磁気モ-メントの配列の仕方(スピンの秩序性)で、磁性状態は 以下の ① ~ ④ に分類される *) 不対電子を有する原子(⇒室温以上で強磁性状態を示す元素) ⇒ Fe族3d遷移金属[26Fe,27Co,28Ni]+4f 希土類金属64Gd ① 常磁性 :不対電子による磁気モ-メントが外部磁場方向 に配列せず、バラバラの方向をとる磁性状態 ② 反強磁性 :2つの磁気モ-メント↑と↓の大きさが同じで、 完全に正・負の磁気モーメントを打ち消す磁性状態 ③ フェリ磁性 :外部磁場によって、反強磁性と同じスピン配列を とるが、2つの磁気モ-メントの大きさに差があり、 ある方向に強い磁性を示す(⇒「磁気記録材料」) ④強磁性 :全ての磁気モ-メントが一方向(外部磁場方向) に完全に揃い、強い磁性を示す (⇒ 「実用磁性」 ・・・トランス,磁気ヘッド,永久磁石材料 など) 表2 磁性体の種類 1.原子が電子による磁気モーメントを持つ場合 ⇨ 強磁性、反強磁性 ⇨ 常磁性、反磁性 2.原子が電子による 磁気モーメントを持たない場合(互いに打ち消し合う・・・常磁性) 図 フェライトのフェリ磁性および 各種磁性の磁気モーメント配列モデル サーミスタ,バリスタ、誘電体(電気・電子的特性) (1)サ-ミスタ(thermistor)*) [:図1 参照]特性 [定義]:温度により材料の電気抵抗値が変化する性質 (・・・温度調整、測定用の温度センサー用素子) ①CTRサ-ミスタ(Critical Temperature Resistor:臨界温度サ-ミスタ ②NTCサ-ミスタ(Negative Temperature Coefficient thermistor) ③PTCサ-ミスタ(Positive Temperature Coefficient thermistor) *) サーミスタ(thermistor) Thermally Sensitive Resistor 電気抵抗の特異な温度依存性 を利用して、材料の電気抵抗を 測定することにより温度を検出 するセンサー素子 図1 3種類の代表的サ-ミスタ の電気抵抗の温度依存性 ① 『CTRサ-ミスタ』:結晶の構造変化が生じる相転移点で 電気抵抗が急激に低下する材料 V2O5:80℃以下(単斜晶系)では抵抗が負の温度係数を持った半導体 80℃以上(ルチル構造:正方晶系)では電気伝導度が2ケタ以上増加 (抵抗が急激に減少)し、金属的挙動[温度の増加につれ抵抗は増加する ・・・抵抗:正の温度係数]を示す [応用]:温度スイッチなどの各種センサ材料 ② 『NTCサ-ミスタ』:抵抗が温度上昇に伴って単調(指数関数的)に減少する材料 (CTRサ-ミスタとは異なり、相転移には無関係) 不純物注入型遷移金属酸化物(Fe2O3-Ti系,NiO-Li系), ZrO2-Y2O3系,SiCなど [応用]:ダイオ-ド,ヒュ-ズ,各種温度スイッチ類など ③ 『PTCサ-ミスタ』:相転移点で抵抗が急激に上昇する材料 (⇒ 「CTR及びNTCサ-ミスタ」とは逆に、抵抗は温度上昇に伴って増加し、 かつCTRサ-ミスタ同様,結晶の相変化に起因する) ・・・「正方晶-立方晶変態」に伴う抵抗変化 (ex.代表材料:BaTiO3 ・・・セラミックスコンデンサ材料) [応用]:電圧異常と回路の短絡保護材料・・・大電流が流れると、サ-ミスタの 温度が上昇し,抵抗値が増加し電流量を低下させる サーミスタ(代表的3種類)の特徴 (Thermistor, Thermally Sensitive Resistor) (1)NTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient) : 温度が上昇すると抵抗値が連続的に減少する (2)PTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient) : 温度が上昇すると特定の温度以上で抵抗値が 急激に増加するサーミスタ (3)CTRサーミスタ(Critical Temperature Thermistor) : 温度が上昇すると抵抗値が急激に減少する ※ NTCサーミスタ(温度制御用センター素子として多用)の 温度と抵抗値の関係式 1 1 B( ) T T0 0 R R exp R : 温度Tにおける抵抗値 T : 温度(K) R0: 基準温度T0における抵抗値 T0 : 基準温度(K) (一般に25℃(=298K)を使用) B : 定数 [身近な用途・応用例] : 電子体温計、冷蔵庫、冷凍庫、エアコンの制御用温度センサー (その他:OA機器、カーエアコン、自動車エンジン用温度計測センサー) (2)バリスタ(variable resister)特性 [定義]:電流-電圧特性が非直線的なセラミックス半導体材料 (電圧が増加すると抵抗が急減し、非オ-ム則を示す材料) ※ V=IR に従わない [:図2,図3 参照] ⇒ 低電圧域では温度依存性が小さいが、 臨界降伏電圧VBで、突然電気抵抗値が 消失し、電流が急激に増加(流れる) 図2 ZnOバリスタの典型的なI-V特性 (電流はVBで急激に増加) 図3 ZnOとSiCのバリスタ特性 用途: ① 整流器で発生する異常電圧から、回路素子を保護 ② 落雷,高電圧の流入による電気回路の破壊防止用 (3)誘電体特性[:図4 参照] :絶縁体と同様、電界を印加した場合に 定常電流は流れないが、 電荷を蓄積できる特性(コンデンサー特性)を有する材料 [:図5, 図6 参照] ① 常誘電体:誘電率の低い物質 [:BaTiO3の高温相(立方晶型)] ② 強誘電体:外部電界によって双極子モ-メントが整列することに よって自発分極が発生し、かつ自発分極の方向が変化できる物質 [:BaTiO3の低温相(正方晶型)] ③反強誘電体:自発的な双極子の配列が結晶内で平行になるよりも、 反平行になる方が安定な物質 [:ジルコン酸鉛(PbZrO3)] 図4 電界を印加した時の 誘電体の分極モデル A C F t :誘電率 A:電極面積 t :電極間距離(誘電体の厚さ) 図5 BaTiO3の結晶構造 図6 BaTiO3の誘電率の温度依存性 (a) BaTiO3の高温相(常誘電体) (εa :a軸方向の誘電率, (b) BaTiO3の低温相(強誘電体) εc :c軸方向の誘電率) 『固体電解質(安定化ジルコニアセラミックス)』 ZrO2:1100℃で結晶変態(・・・低温:単斜晶→高温:正方晶) ↓ 数%の容積変化の発生(・・・亀裂発生に伴う自己破壊の誘発) ↓ ∴ 安定化剤の添加(CaO,MgO,Y2O3を数%~数十%添加) ・・・室温で立方晶を呈し、高温での結晶変化がない (※ 室温以上で立方晶構造を安定化させ、 高温での結晶構造変態を完全に抑制させる) 『安定化ジルコニア(Stabilized Zirconia)』 ・・・Zr4+ と Ca2+,Mg2+,Y3+ の置換によって 結晶格子中に酸素イオンO2-が不足し、 酸素イオンの伝導体(=『固体電解質』) として応用[:図1 参照] → 各種酸素センサ素子 [:図2, 図3, 図4 参照] ↓ PSZ:セラミックス高温・高強度構造材料 『部分安定化ジルコニア(PSZ:Partially Stabilized Zirconia)』 :正方晶ZrO2(高温安定相)またはあるいは正方晶ZrO2 + 立方晶ZrO2(安定化ZrO2)の混在構造 ⇒ 『強靱,高強度セラミックス材料』の代表 [機構]:PSZセラミックスに外力が加えられた場合、正方晶構造が 単斜晶構造に相転移して、外力を相変態時の駆動エネルギ- として吸収する ⇒ 『結晶(構造,相)転移による強化機構』 ・・・ TTZ (Transformation Toughened Zirconia) 特徴 :①高強度,高靭性 ②熱伝導率は小さく(断熱性良好),熱膨張係数は金属に近い Y3+:結合手が3つ O2-のホールを介した イオン伝導 (・・・結晶中を移動) Zr4+:結合手が4つ O2- : 〃 が2つ 図1 Y2O3添加による ZrO2の安定化 (単斜晶から 立方晶型 への相転移) 図2 安定化ZrO2固体電解質を用いた 酸素センサの酸素濃度と起電力の関係 図3 自動車用排気ガス用 酸素センサ素子の構造 E=55.7log10PR/PM (E:起電力,PR:大気中の酸素濃度,PM:被測定ガスの酸素濃度 ex) 自動車排気ガス中のCOまたはCO2濃度を測定) E(O2-のイオン伝導によって生じた起電力) PR(大気中のO2量) = 55.7log10 PM(測定ガス中のO2量) (SOFC) 図4 ZrO2セラミックス用途 燃料電池(fuel cell) 電気化学反応によって電力を取り出す装置 :-極の水素と+極の空気中酸素等を常温または高温環境 で反応させることにより継続的に電力を取り出すことができ る発電装置。 水素を補充することで連続的発電が可能 『燃料電池の種類』 1 固体高分子形燃料電池 (PEFC) 2 りん酸形燃料電池 (PAFC) 3 溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC) 4 固体酸化物形燃料電池 (SOFC)・・・セラミックス燃料電池 5 アルカリ電解質形燃料電池 (AFC) 6 直接形燃料電池 (DFC) 7 バイオ燃料電池 燃料電池 『固体酸化物形燃料電池(SOFC,Solid Oxide Fuel Cell)』 電解質に酸化物イオンの透過性が高い安定化ジルコニア ZrO2 等の『ペロブスカイト酸化物イオン伝導性セラミックス』 を用い、空気極で生成した酸素オンO2-が電解質を透過し、 燃料極で水素と反応させ、電気エネルギーを発生させる 水素だけではなく天然ガスや石炭ガス等も燃料として用い ることが可能で、発電効率も高く、すでに56.1%LHVを達成 し、家庭用・業務用の1kW-10kW級としても開発されている 電極材としては導電性セラミックスを用い、火力発電所の 代替などの用途が期待されている 日本では2009年6月世界最高レベルの63%の発電効率を 達成している 愛知万博シャトルバス (トヨタ・日野・FCHV) 燃料電池自動車トヨタ・FCHV ホンダ・FCXクラリティ 光学的機能 - 代表材料 - 光通信用ガラスファイバー[:SiO2(石英ガラス)製ファイバー] ※ 単結晶石英ガラス(SiO2):可視光(人間が目で見ることが できる波長を有する光)を最も良く伝える固体材料 [光ファイバ(Optical fiber)の概要および要求特性] ① 直径50~125μm ② 屈折率が高い:1.5(cf.空気:1.0,水:1.3,ダイヤモンド:2.4) ③ 1本のファイバーで、1Tbps(1012ビット/秒)以上の光デジタル 信号(電話回線1万本以上)かつ100kmを無中継で伝送可能 ④ 1秒間に地球を5周程度回る速度(秒速約20万km)で、 光デジタル信号を高速伝送する ⑤ 光ファイバー中での損失量は、1kmで数%程度(約0.3dB*)) と非常のロスが少ない *) 光が1km伝送することによって、1/1に減衰する時、1デシベル (dB) とする = “1㎞での減衰率がゼロ(損失が全くない)” コア径:約50μm,クラッド径:約125μmのファイバーの外周部を シリコーン樹脂で被服 図 光ファイバー中の光デジタル信号の伝送機構 [製造法の一例] :原料ガス(SiCl4:四塩化ケイ素)+GeCl4:四塩化ゲルマニウム)+O2+H2)を 石英ガラスチューブ内で燃焼・分解 原料ガス中から Si(+Ge)O2 が石英チューブの内側に析出 石英ガラスチューブごと加熱して引き伸ばし、ファイバー状に加工する 光ファイバー用セラミックス材料 石英ガラス(SiO2)製光ファイバーは、1秒間に地球を5周 程度回る速度(秒速約20万km)で大容量のデジタル信号を 高速伝送し、損失量は1kmで数%程度と極めて小さい レーザー素子用セラミックス材料 1.医療用・・・歯科口腔内・外科治療用レーザー ①歯肉切開や歯周治療など軟組織用メス ②歯や骨などの硬組織・外科手術用メス 2.情報・家電用・・・光ディスクCD,DVD,MO等の 記憶データ・情報読み出し用レーザー素子 レーザーマウス,レーザーポインター,LED ルビーレーザー (Ruby laser) ルビー:Al2O3 (アルミナ)中の Alを 0.01~0.5%程度、発光原子Crで置換 サファイア(Sapphire)は純粋なAl2O3) ネオジムヤグ (Nd:YAG) レーザー ルビー(人工宝石) YAG:イットリウム・アルミニウム・ ガーネット(Yttrium Aluminum Garnet) :YとAlの複合酸化物(Y3Al5O12)から 成るガーネット構造の結晶 エルビウムヤグ (Er:YAG) レーザー ①医療用、②情報・家電用以外にも、白色,赤色等 発光ダイオードLEDの蛍光体や人工宝石としても多様 (セラミックス固体結晶を用いた固体レーザ-発振素子) 各種半導体レーザー材料 (LED:Emitting Diode,発光ダイオード) レーザーポインター 青色LED 窒化物Ⅲ-Ⅴ族セラミックス化合物半導体LED薄膜の構造 発光ダイオードLEDの応用例 LED懐中電灯 iPodのバックライト 自動用ヘッドライト(ホンダ・インサイト 白色LED照明の世界市場 白色LED:1 - 2W, 白色電球:60W 2万~6万時間, 1000時間 白熱灯に比べて約87%、蛍光灯に比べて約30%消費電力 が削減可(・・・省エネルギー型次世代照明) 高温高強度セラミックス材料 - 金属に代わる次世代構造材料 - 1.自動車用材料 ①排ガス浄化用セラミックス HC(炭化水素),CO(一酸化 炭素),NOx(窒素酸化物)等を 吸蔵させる触媒用セラミックス担体 ②排気ガス測定センサー用 ③スパークプラブ (ガソリン着火素子 ・・・自動車への 最初の応用) ④エンジン用セラミックス ・・・高温・高強度・活性雰囲気 ・冷却不要な高性能エンジン ⑤ターボチャージャー ・・・高温・高強度・軽量特性を 有する高性能ターボチャジャー (窒化珪素Si3N4) 『セラミックエンジン』 :エンジン部品(シリンダ、ピストン、ターボチャージャー等) にセラミックを使用することにより性能向上を目指している が、高精度の加工が困難なため、実用化には至っていない 原子力関連セラミックス材料 ①核燃料(MOx:M=U,Pu・・・),②原子炉・炉心材料, ②核分裂反応制御材料,④中性子遮蔽材料 など 原子力発電所で使用する全ての材料に使用 原子力発電所で使用する原子炉の炉心・核燃料UO2 生体バイオ関連セラミックス 『生体材料(バイオマテリアル:biomaterial)』 :医学・歯学分野において、主にヒトの生体に移植 することを目的とした材料(人工関節,口腔内歯科用 インプラント,人工骨,人工血管用材料など) 『生体材料の要件』・・・生体組織との反応がない (良好な生体組織適合性) 『例)人工骨の主要材料』・・・・Ca10(PO4)6(OH)2 (水酸化アパタイト:リン酸カリシウム) ※ ステンレス製の骨材とは異なり、徐々に骨組織へ 置換され、骨の再生を促す等の利点を有する Al2O3, ZrO2製人工歯 Al2O3および水酸アパタイト製 セラミックス製人工歯根 整形外科用人工骨材料の構造 (人間の骨の主成分:リン酸カリシウムCa10(PO4)6(OH)2) Al2O3, ZrO2セラミックス製 人工関節 水酸化アパタイト製 (リン酸カルシウム系化合物) 各種人工骨補充材料 ①集積回路IC(Integrated Circuit) :半導体で構成された電子回路 複数の回路が複数の端子を有する 小型パッケージに封入されている (・・・多数の素子を一つにまとめた 電子部品) ②大規模集積回路LSI (Large Scale Integration) :1970年代に開発されたコンピュータ のメインメモリ用電子部品 ③超大規模集積回路:VLSI (Very Large Scale Integration) :1980年代に開発され始めた大規模な集積回路 10万~1000万個程度のトランジスタ素子 が集積されたマイクロプロセッサ 『応用例』 :CCDセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor) CMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor) ・・・デジタルカメラ, ビデオカメラ用固体撮画像用半導体センサ パソコン,携帯電話,デジタル家電,カメラ用 各種電子機器用セラミックス製基板とICパッケージ (超小型電子回路保護用材料,左:基板、右:パッケージ) 多層セラミック回路基板 (スーパーコンピュータ用) 次世代3次元デバイス -球状半導体Si(ボール・セミコンダクター)- 球状単結晶Si表面に集積回路を形成 する次世代3次元電子デバイスへ応用 (⇒集積密度の顕著な向上) 1.ナノテクノロジーの概要 1 nm = 1/10 億 m = 1/100万 mm ( = 10-9m ) 1μm(10-6 m) 100 nm(10-7 m) LSIの最小素子寸法 ナノ領域 10 nm(10-8 m) ウィルス、カーボンナノチューブ 1 nm(10-9 m) タンパク質分子、DNA二重らせん径 1Å(オングストローム,=10-10 m) 水素原子の直径 2.日本政府における科学技術の重点4分野 (2002年度に制定・発表,現在も継続中) 1. ライフサイエンス(生命科学) 2. IT(Information Technology:情報・通信技術) 3. 環境 4. ナノテクノロジー・材料 (1)次世代情報通信システム用 ナノデバイス・材料 (2)基礎技術:ナノレベルでの計測・評価・加工など (3)革新的な物性・機能を有する物質(材料)開発 ※ 日本政府のナノテクノロジー分野に対する研究費 :558億円(2001年度) カーボンナノチューブ ・・・0.5~10 nmの直径と1μm程度の長さの円筒構造を有する炭素の結晶 (→ 1991年、NECシステムデバイス基礎研究本部 飯島澄男 主席研究員に よって発見) 【特徴】 ① 立体構造の違いにより、半導体/金属の両方の性質をとる → 『究極の集積度を有する新たな半導体の創製』 ② 高い(金属をはるかに超える)電気伝導特性 ③ 巨大磁気抵抗 ④ 水素吸着特性→『水素燃料エンジン、燃料電池』など 『ナノ・テクノロジー』 の21世紀における応用分野 ① IT,② 医療・バイオ,③ 環境・エネルギー ◎『新材料の創製(ex.ナノ結晶・ナノ粒子、ナノ粒子分散・析出・複合)』 富士通研究所(FUJITSU)ホームーページより http://jp.fujitsu.com/group/labs/ 有機化学美術館 ホームページより http://www.org-chem.org/yuuki/yuuki.html フラーレンC60(1985年,クロート博士により発見 ) と カーボンナノチューブ(炭素の中空・円筒状物質) ・・・導電性、半導体、燃料電池、軌道エレーベーター など無限の可能性を有する) 1991年に、日本の飯島 澄男博士(当時,NEC 筑波研究所。現在、NEC 特別主席研究員、 産業総合技術総合研究所ナノチューブ応用研究センターセンター長、名城大学大学院理工 学研究科教授) が発見 1) 『ナノセラミックス』 の定義 :ナノサイズの超微細結晶粒からなる「ナノ多結晶体」やナノレベの 超微細構造制御が可能な「無機膜」などがあり、ナノ微粒子化により 機能特性(電気・電子・磁気特性)や構造特性(超硬度、超延性など) の顕著な改善を可能とする『次世代社会を牽引する新たな材料』 「無機材料研究(セラミックス材料)」の新たな展開を可能 とし、特に「環境保全・新エネルギー関連」への応用が期待 応用例:「ナノ光触媒」 ・・・ex.酸化チタン:TiO2 ①地球温暖化防止・環境浄化用材料 ②環境ホルモンの分解用材料 ③光触媒デバイス用材料 ④色素増感型太陽電池 など 『ナノガラスの応用例』 「高強度・超大型薄型テレビのディスプレイ用ガラス」 ①超短パルスレーザーで薄くて軽い高強度ガラスを実現 ②立体映像の臨場感あふれる大型ディスプレイを実現 (社)ニューガラスフォーラムNew Glass Forum (NGF),ホームページより http://www.newglass.jp/ngfinfo/index-j.html 『大容量光メモリ用ナノガラス薄膜』 ナノガラス薄膜を用いた大容量光ディスク ナノガラス薄膜の集光機能により高い記録容量を実現 (・・・映画20本分が1枚の小型ディスクに記録可能) (社)ニューガラスフォーラムNew Glass Forum (NGF),ホームページより http://www.newglass.jp/ngfinfo/index-j.html 次世代航空機用セラミックス材料 - 次世代航空機機体用複合材料 - ①炭素繊維強化・複合材料・・・C/Cコンポジット) ②ガラス繊維強化・複合材料・・・GFRP ・・・民間航空機への複合材料の利用は、1940年に レーダードームの『GFRP:ガラス繊維強化プラスチ ック化』から開始。 1975年には、NASAが研究的 にB727やB737のエレベーター(昇降舵)、DC10の 尾翼(垂直安定板)等に複合材を利用し金属構造に 対して約30%の軽量化に成功 この研究成果を量産機に採用したのは、米国ボー イング社のB757とB767のラダー(方向舵)が最初 次世代超音速機技術の研究開発 (現在の大型旅客機に比較して2倍の 速度で飛行し、300人の乗客を運ぶ 次世代の超音速旅客機の開発 ) マッハ5で飛行する極超音速機システム JAXA ホームページ より (http://www.jaxa.jp/) イプシロンロケット (全段固体で惑星探査にも使用できる 世界最高性能の多段式固体ロケット) 謎に包まれる惑星の素顔を探る 水星探査プロジェクト「BepiColombo」 ・・・「BepiColombo(ベピコロンボ)」は、 日本とヨーロッパ(ESA):欧州宇宙 機関との共同で計画中の水星探査 ミッション用・惑星探査機 他 次世代ロケット・往還機、 地球観測・通信・気象用人工衛星 惑星探査機(太陽系)など多数あり 技術水準・経済性ともに世界のトップ レベルの日本の主力大型ロケットH-IIA 技術水準・経済性ともに世界のトップレベル 日本の主力大型ロケット・H-IIA H-IIAロケットとCFRP(炭素繊維強化プラスチック) 黒い部分(中間部)・・・全面CFRPサンドイッチ構造 白い部分(上部)・・・人工衛星搭載部(炭素繊維複合材料) 白い部分(下部)・・・固体ロケットブースターケース(CFRP) スペースシャトル機体表面のセラミックスタイル 宇宙から帰還直後のスペース シャトルの機体表面タイル ディスカバリー号の発射の瞬間 (STS-120,2007年10月,16日 間の飛行,ISSの組立を実施) 初飛行は1981年、2回目の 飛行は1982年、総計135回の 発射を実施 2011年6月に退役 宇宙で撮影した エンデバー号表面タイル スペースシャトル機体用セラミックス製耐熱タイル :高純度シリカ製タイル ⇒ 全体で3万枚が使用 (SiO2,99.7%ガラス(アモルファス)繊維製タイル) スペースシャトルが地球に帰還する際、 大気との摩擦により1万度を超える場合も あるため、超高温から機体を保護するため 機体表面に耐熱シリカSiO2製タイルを使用 月面基地 (2006年12月にアメリカ航空宇宙局 NASAが発表した月面基地の建設構想図) 2020年までに建設開始、2024年頃には長期滞在を予定 米国 2020年~:建設開始, 2024年~:長期滞在を予定 日本 2020年:月面着陸, 2030年~:月面基地建設構想 国際宇宙ステーション ISS 2011年6月8日に、ロシア・ソユーズで ISS に向かい、 日本人宇宙飛行士 古川 聡 氏が11月まで滞在 日本実験棟 きぼう 地上400キロメートル上空の国際宇宙ステーション 米国・ロシア・欧州・カナダなど世界15ヶ国が参加す る国際協力プロジェクト日本は「きぼう」実験棟を開発 し、宇宙環境を利用したで実験等で活躍中である 材料科学研究に対する宇宙環境の利点・特徴 無対流 熱による対流が起きない ため、物質のわずかな荷 電状態を利用した分離・ 精製などが効率的に行え ます。また、結晶成長で も拡散特性のみによる良 質な結晶ができ、エレクト ロニクスや医療品、バイ オテクノロジーなどの分 野で応用が期待されます。 無浮力・無沈降 軽いものや重いものを均一 に混合することができ、軽く て強い耐熱合金や複合材 料などの新材料などをつく ることができます。 熱対流が起きないので、 効率的な分離・精製が 可能になる。 重い物質と軽い物質が 均一に混合する。 ・電気泳動分離の向上 ・拡散支配による良質な 結晶成長 ・比重差を無視した 均一混合状態の形成 無静圧 無接触・浮遊 試料の自重によるひずみ 無容器プロセス や電子配列の乱れが生 じないため、欠陥のない 超音波や電磁波・静電気を利 優れた大型結晶がつくれ、 用して、物体を空間に保持し 画期的な半導体やセンサ たまま溶解や凝固を行うこと で容器との接触による不純 材料などの製造が可能 物の混入を防ぐことができ、 になります。 光学用の超高純度ガラスを 作ることができます。 格子欠陥のない単結 晶製造。 ・欠陥のない単結晶作製 (材料の変形、歪みがない) 空間に浮いて真球となる。 ・材料の浮遊現象に起因 した非接触溶解及び凝固 企業が求める人材(大学生)とは(東洋経済より) ・・・自分で考え、行動できる学生(学部,大学院生) ↓ 1.自分の大学を熟知している学生(建学の精神,歴史, 現状,理念 など)(・・・社会,組織人としての素養) 芝浦工業大学・・・1927年に有元史郎が本学の前身となる 東京高等工商学校を設立(・・・本年で創立85年目) 1)実学教育(・・・社会で堅実に活躍できる技術者育成) 2)時代が求める創造性豊かな人材育成 (・・・『社会に学び、社会に貢献する技術者の育成』) 2.自己成長力(行動力と問題意識・課題解決力)を 明確にもっている学生(入社3年目の自己像を有している) 3.自己分析力が高く、これを相手に伝達できる学生 4.PDCAサイクルを堅実に遂行できる学生 本学の歴史(本学の変革概要) 1927年(昭和2年):有本 史郎(本学創立者)により 東京高等工商学校(本学の前身) を開校 1943年(昭和18年):東京高等工学校 に改編 1949年(昭和24年):芝浦工業大学 を設立 ・・・機械工学科、土木工学科を開設し、1965年(昭和41年) までに逐次、学科を開設し、工学部11学科体制を確立 1949年(昭和24年):芝浦工業大学高等学校 を開校 ・・・1982年(昭和57年):同中学校開設 1962年(昭和37年):学校法人 芝浦工業大学 に名称変更 1980年(昭和55年):芝浦工業大学柏高等学校 を開校 ・・・1990年(平成11年)同柏中学校開設 1966年(昭和41年):大宮キャンパス竣工 1991年(平成3年) :システム工学部(3学科)を開設 2009年(平成21年):システム理工学部に名称変更 芝浦キャンパス・デザイン工学部を開設 2012年(平成24年):創立85周年 現在に至る 本学 材料工学科の推移(歴史) 1) 昭和34年(1959年)3月 金属工学科として発足(・・・工学部11学科中、6番目) (1949年:機械,土木、1950年:電気、1954年:建築,工業化学、 1959年:金属,電子 ・・・) 2) 昭和38年(1963年)3月 大学院 修士課程 金属工学専攻 設置 3) 平成 8年(1996年)4月 材料工学科 に名称変更 4) 同 年 同 月 大学院 材料工学専攻 に名称変更 1) 博士課程(2専攻):平成7年(1995年)3月設置 (1) 地域環境システム専攻、 (2) 機能制御システム専攻 2)物質系(材料工学科+応用化学科)への改組:平成15年(2003年)4月~ ↓ ※ 2006(平成18)年4月・・・本学豊洲キャンパス開校 (芝浦校舎から工学部全学科を移転) 2007年4月・・・本学創設80周年(1927(昭和2)年 東京高等工商学校として発足) 3) 2010年3月 本学材料工学科 学科創設 50周年 ・・・学群制に移行 : 『材料科学・化学群(Materials Science and Chemistry)』 ※ 工学部(豊洲)+システム理工学部 (大宮:2008年4月, 生命科学科、2009年4月,数理科学科,2009年4月に改組) +デザイン工学部 (芝浦:2009年4月) : 『3学部体制』 【 2012年度 材料工学科 創設52周年 現在に至る 】 企業が求める大学生の要素・人材 - 2012年卒業 大学生の内定率 59.9%, 過去2番目の低迷 の現状を踏まえて - 企業が求める大学生の6大要素(NEC 遠藤社長) 1.基礎学力・・・大学1,2年生の教養・基礎学力 (工学リベラルアーツ:工学を基盤とする倫理感ある大学教養教育) 2.専門力・・・大学で何を学んだが 自分の大学,学部,学科,専攻を熟知 自分の興味や強み(専門性)が明確化 3.自己力・・・問題意識,解決力・自己分析力が高い 4.プレゼンテーション能力・・・自分の考えを伝達 5.コミュニケーション能力・・・社会,他人との関わり 6.国際力・・・国際感覚に優れ、語学力の高い人材 就職力と人間力を磨く大学を選ぼう 読売新聞東京本社 総務局人事課次長 採用担当デスク 原田 泰久 氏のコメント 読売新聞 2010年12月15日(水)朝刊(全面記事)より 大学生の就職を取り巻く環境は『氷河期の再来』と大変 厳しい。大学に行けば必ず就職できる時代ではない。 自分が何を学んで社会で働きたいかをイメージすること が内定を勝ち取る最大のポイントとなる。 『就職活動にとって不可欠な5つの要素』 1.初年次教育:大学生としての基礎力を有すること 2.キャリア教育:就職を常に意識して勉学に励むこと 3.インターンシップ:仕事の本質を体験すること 4.社会人としての基礎力:人より一歩前に踏み出すこと 5.就職直前の心構え:就活を決してあきらめないこと 大学人(教育・研究者)にとって必要な5P 国際基督教大学ICU 鈴木典比古 学長 ・・・①価値観,②創造力,③決断力,④説得力, ⑤実行力 等が総合された全人格を有する人間 1.Passion(情熱)・・・自ら考え情熱をもって取り組む 2.Persuation(説得)・・・自分の考えを丁寧に伝える 3.Patience(忍耐)・・・辛抱強く自分の考えを貫き 答え(結果)を導く 4.Perspevtive(見通す力)・・・洞察力,先見性 5.Planning(計画力)・・・事前準備,意義ある計画 ↓ P(Plan)D(Do)C(Chek)A(Act)を確実に遂行 社会人としての不可欠な要素(社会人基礎力) 3つの能力 12の能力要素 内 容 前に踏み出す力 主体性 物事に進んで取り組む力 (アクション) 働きかけ力 他人に働きかけ巻き込む力 実行力 目的設定し確実に実行する力 考え抜く力 課題発見力 現状を分析し目的や課題を (シンキング) 明らかにする力 計画力 課題の解決に向けたプロセス を明らかにし準備する力 創造力 新しい価値を生み出す力 チームで働く力 発信力 自分の意見をわかりやすく (チームワーク) 伝える力 傾聴力 相手の意見を丁寧に聞く力 柔軟性 意見の違いや立場の違いを 理解する力 状況把握力 自分と周囲の人々や物事との 関係性を理解する力 規律性 社会のルールや人との約束 を守る力 ストレスコントロール ストレスの発生源に対応する力 工学部 材料工学科 永山研究室 豊洲キャンパス 研究棟10F-M-25室 【 所属学生 2012 年度 計 31 名 】 大学院生 (14名) 東京大学生産技術研究所・東京大学先端科学 技術研究センター, JAXA 宇宙科学研究本部 修士2年生: 6名 等 と 共同研究を実施中 修士1年生:10名(秋期学会に向けて精力的に研究を実施中) ※ 2012年度 材料工学専攻 修士1年生:47名 学部生 (17名) 4年 卒論生:9名(内,4名が本学大学院へ進学) 3年 ゼミ生 :8名(現在、最終学年に向けて進路相談中) ①次世代半導体デバイス(高効率球状太陽電池Si, Ⅲ-Ⅴ族) ②アモルファス,高機能非平衡材料, ③高性能永久磁石材料 ④ナノ・ハイブリッド・新量子マテリアル創製実験 など 『21世紀の新たな物質創製科学研究』を、皆さんとご一緒に 行うことを豊洲校舎で楽しみにしています。 永山研究室一同
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