微生物による食中毒早見表

微生物による食中毒早見表
〈食中毒の原因細菌・ウイルスとその感染経路及び予防対策〉
種 類
主な症状
潜伏期
腸炎ビブリオ
サルモネラ
カンピロバクター
腸管出血性大腸
菌
その他の
病原性大腸菌
黄色ブドウ球菌
ウエルシュ菌
セレウス菌
ボツリヌス菌
下痢型:
下痢、腹痛、嘔
気、発熱
嘔吐型:
嘔気、嘔吐、腹
痛、下痢、発熱
胃腸障害に始ま
り、後に神経症状
があらわれる(目
がかすむ、口唇
のしびれ、口の中
の乾き、食べ物を
飲み込めなくな
る、呼吸困難等、
死亡例が多い)
下痢
通常、発熱などの 腹痛
前駆症状の後、 (発熱、嘔吐)
腹痛
発熱(長引く)
嘔気、腹痛、下痢 重症の場合
下痢
下痢(長引く)
ギラン・バレー症 ・激しい腹痛
嘔吐(又は嘔気) 腹痛
候群又はフィッ
・血便
発熱
嘔気(又は嘔気)
シャー症候群を起 ・溶血性尿毒症症
こすことがある
候群
・脳症
下痢
腹痛
嘔吐
発熱
普通10∼24時間
5∼72時間(平均 一般に2∼7日
程度(2,3時間とい
12時間)
間、平均2∼3日
う場合もある)
下痢型:
多くの場合6∼18
12時間∼5日(ほ
8∼16時間
1∼5時間(平均3 時間(1∼5時間、
とんどは72時間
嘔吐型:
時間)
30∼48時間のこ
以内)
1∼5時間(平均
ともある)
2∼3時間)
感染経路
沿岸の海水及び 動物
(所在・運び屋) 海泥
そ属昆虫
原因となりやすい
海産魚介類
食品
肉類
肉加工品
卵
卵加工品
平均3∼5日
嘔気
嘔吐
腹痛
下痢
腹痛
下痢
嘔吐
発熱
重症の場合
しぶり腹を伴う
頻回の便意と膿
粘血の排泄(赤
痢)
一般的に8∼36時
間(早くて5∼6時 1∼5日(多くは3
間、遅くて2∼3
日以内)
日)
コレラ菌
ノロウイルス
下痢(軟便∼水
様)(重症の場合
は「米のとぎ汁
様」水様便)
嘔吐
脱水症状
下痢
嘔吐
腹痛
嘔気
発熱
(一般的に軽症)
通常1日前後(早
くて3時間、遅くて 通常1∼2日
5日以内)
動物
ヒト、動物の糞便
化膿した傷、毛
ヒト、動物の糞
髪、鼻腔、手指、
便、土壌
乳房炎、牛乳
土壌、河川水、植 土壌、海泥、河川
ヒトの糞便
物等
泥、魚類
水、魚介類、ヒト
の糞便
食肉(特に鶏
肉)、水
あらゆる食品が原因となりうる
弁当
おにぎり
生菓子等
いずし
米飯、弁当、おに ハム・ソーセージ あらゆる食品が
ぎり
類
原因となりうる
缶詰食品
あらゆる食品が あらゆる食品が
原因となりうる(特 原因となりうる(特
に水、魚介類)
に生カキ)
・通常の加熱調理
では芽胞は死滅
・手洗い
しない。
・清潔な手袋、マ
・菌の増殖を防ぐ
スク、帽子等の着
ことが重要→10
用
∼50度の温度に
・器具類の殺菌
保存しない。調理
・低温保存
後速やかに喫食
・手指に化膿傷の
する。
ある場合は調理
・喫食直前に中心
の際に気をつけ
部までよく加熱
る
し、栄養型菌を死
滅させる。
予防対策
・食品(特に肉類)
の十分な加熱
・ねずみ、ハエ、
・魚介類の水洗い
ゴキブリの駆除及
・二次汚染の防止
び侵入防止
(包丁・まな板の
・食品取扱者の検
使い分け、冷蔵庫
便とサルモネラ保
の区分など)
菌者の発見
・低温保存
・食品の低温保
・調理してから喫
存、食肉、鶏卵な
食するまでの時
どは生産直後か
間を短縮する
ら低温で流通させ
る
・手洗い
・鶏肉など食肉は
中心部まで十分
加熱する。
・食肉から他の食
品への接触を避
ける
・食肉を取り扱っ
た調理器具から
の汚染を防止す
る。
・飲料水(井戸
水、貯水槽)の塩
素消毒の徹底
・手洗い
・器具の殺菌
・十分な加熱(75℃1分以上)
・低温保存
・ハエ、ゴキブリの駆除
・使用水の衛生管理
菌の性状
グラム陰性、
桿菌、
べん毛あり、
好塩性
グラム陰性、
単毛性、
桿菌、
微好気性
腸内細菌科、グラム陰性、桿菌、周
グラム陽性、
毛性
球菌、
エンテロトキシン
産生
ベロ毒素産生
腸内細菌科、
グラム陰性、
桿菌、
一般に周毛性
腹部膨張
下痢
腹痛
放屁
(嘔吐なし)
赤痢菌
煮物
グラム陽性、
桿菌、
偏性嫌気性、
芽胞形成
・食品への汚染を
完全に防ぐことは
困難
・通常の加熱調理
では芽胞は死滅
しない。
・増殖を防ぐこと
が重要→10∼50
度の温度に保存
しない。調理後速
やかに喫食する。
・通常の加熱調理
では芽胞は死滅
しない。
・気密性の容器包
装に入れられて
いる食品は十分
な加熱殺菌を行う
(120℃4分以上)
・いずし等加熱し
ていない食品に
ついては確実な
予防法はない。
・摂取前に十分に
加熱する(ボツリ
ヌス菌の毒素は
比較的熱に弱い)
大腸菌と同様
・汚染地域での生
水、氷、生野菜、 赤痢と同じ
未加熱食品の摂
取を避ける
グラム陽性、
桿菌、
偏性嫌気性、
芽胞形成
グラム陽性、
大桿菌、
嫌気性、
芽胞形成
グラム陰性、
桿菌
グラム陰性、
桿菌、
べん毛あり、
通性嫌気性
生カキ、ハマグ
リ、ヒトの糞便、水
・カキなど二枚貝
は中心までよく加
熱する(中心温度
85℃1分以上)
・食品取扱者の健
康管理(下痢や嘔
吐のあるときは調
理作業を控える)
・手洗い
・井戸水や貯水槽
の衛生的管理
小型で球状のウ
イルス
ヒトの腸管細胞で
のみ増殖