第117回日商簿記検定試験3級解説

第117回日商簿記検定試験3級解説
第1問 仕訳問題
1.現金過不足の処理
決算時に現金過不足額が生じた場合には、現金過不足勘定は使用せず、直接、現金勘定を減少
又は増加させる処理をする。
帳簿残高\280,000、実際有高\275,000
帳簿残高を実際有高の金額に修正するため、\5,000現金勘定を減少させる処理をする。
\3,300は、従業員個人が負担すべき交通費を店の現金で肩代わりして支払った取引であるため、
従業員立替金勘定を用いて処理をする。残りの現金不足額の原因は不明であるため、雑損勘定を
用いて処理をする。
<仕訳>
(従 業 員 立 替 金)
3,300 (現
金)
5,000
(雑
損)
1,700
2.商品仕入時の為替手形振出の処理
商品を仕入れた場合には、仕入勘定を用いて処理をする。
代金について、為替手形を振り出した場合(引受済)には、得意先に対する売掛金勘定の減少の
処理をする。残額については、買掛金勘定を用いて処理をする。
<仕訳>
(仕
入) 120,000 (売
掛
金) 100,000
(買
掛
金) 20,000
3.貸し倒れ処理した売掛金の回収の処理
前期に貸倒れとして処理した売掛金が当期に回収された場合には、償却債権取立益勘定を用い
て処理をする。
<仕訳>
(当 座 預 金) 60,000 (償却債権取立益) 60,000
4.給料支払いの処理
給料を支払った場合には、給料勘定を用いて処理をする。従業員の給料から所得税の源泉徴収
額を預かった場合には、所得税預り金勘定を用いて処理をする。手取金については、当座預金口
座から振り替えて支払ったため、当座預金勘定の減少の処理をする。
<仕訳>
(給
料) 200,000 (所 得 税 預 り 金) 20,000
(当 座 預 金) 180,000
5.水道光熱費と事業主の所得税の処理
事業主の所得税については、引出金勘定を用いて処理をする。
また、水道光熱費のうち\20,000についても、事業主個人の家計が負担すべきものであるため、
引出金勘定を用いて処理をする
代金については、当座預金口座から振り替えて支払ったため、当座預金勘定の減少の処理をす
る。
水道光熱費勘定の金額 \50,000−\20,000=\30,000
引出金勘定の金額 \210,000+\20,000=\230,000
<仕訳>
(水 道 光 熱 費) 30,000 (当 座 預 金) 260,000
(引
出
金) 230,000
-1-
第2問 当座預金勘定と当座借越勘定の二勘定制の問題
<仕訳>
仕
訳
取引日
借 方 科 目
金
10
1 当座預金勘定残高\500,000
10
4
10
9
10
15
10
額
貸 方 科 目
金
額
現
金
100,000
当 座 預 金
100,000
仕
入
600,000
金
400,000
当 座 預 金
買
掛
金
当 座 預 金
当 座 借 越
300,000
300,000
100,000
300,000
19
当 座 借 越
250,000
売
上
250,000
10
24
当 座 借 越
当 座 預 金
50,000
450,000
受 取 手 形
500,000
10
26
支 払 手 形
200,000
当 座 預 金
200,000
10
29
広 告 宣 伝 費
80,000
当 座 預 金
80,000
買
掛
当 座 預 金
(10/ 4)(現
金)(100,000)
10/ 1 前 月 繰 越 500,000
入)(300,000)
(10/24)(受 取 手 形)(450,000) (10/ 9)(仕
(10/15)(買 掛 金)(100,000)
(10/26)(支 払 手 形)(200,000)
(10/29)(広告宣伝費)( 80,000)
当 座 借 越
(10/19)(売
上)(250,000) (10/15)(買 掛 金)(300,000)
(10/24)(受 取 手 形)( 50,000)
10月末の当座預金勘定の残高
\500,000−\100,000−\300,000−\100,000+\450,000−\200,000−\80,000= \170,000
-2-
第3問 残高試算表作成問題
[資料Ⅱ]平成19年9月中の取引
(1)現金勘定の記入
借方記入
(現
金) 83,000 (当 座 預 金) 83,000 ※①
(現
金) 12,000 (受 取 手 数 料) 12,000
(現
金) 190,000 (売買目的有価証券 ) 176,000←現金勘定の記入の文章より
(有価証券売却益) 14,000←解答用紙より
貸方記入
(支 払 家 賃) 17,000 (現
金) 17,000
(給
料) 120,000 (現
金) 120,000
(2)当座預金勘定の記入
借方記入
(当 座 預 金) 260,000 (売
上) 260,000 ※④
(当 座 預 金) 436,000 (受 取 手 形) 436,000 ※②
(当 座 預 金) 156,000 (売
掛
金) 156,000
貸方記入
(仕
入) 120,000 (当 座 預 金) 120,000 ※⑥
(支 払 手 形) 230,000 (当 座 預 金) 230,000 ※③
(買
掛
金) 95,000 (当 座 預 金) 95,000
(現
金) 83,000 (当 座 預 金) 83,000 ※①と同一取引 削除
(借
入
金) 50,000 (当 座 預 金) 51,000
(支 払 利 息)
1,000←当座預金勘定の記入の文章と9/1残高試算表、解答用紙より
(3)受取手形勘定の記入
借方記入
(受 取 手 形) 416,000 (売
上) 416,000 ※⑤
(受 取 手 形) 192,000 (売
掛
金) 192,000
貸方記入
(当 座 預 金) 436,000 (受 取 手 形) 436,000 ※②と同一取引 削除
(4)支払手形勘定の記入
借方記入
(支 払 手 形) 230,000 (当 座 預 金) 230,000 ※③と同一取引 削除
貸方記入
(仕
入) 367,000 (支 払 手 形) 367,000 ※⑦
(買
掛
金) 275,000 (支 払 手 形) 275,000
(5)売上勘定の記入
借方記入
(売
上) 104,000 (売
掛
金) 104,000
貸方記入
(当 座 預 金) 260,000 (売
上) 260,000 ※④と同一取引 削除
(受 取 手 形) 416,000 (売
上) 416,000 ※⑤と同一取引 削除
(売
掛
金) 434,000 (売
上) 434,000
(6)仕入勘定の記入
借方記入
(仕
入) 120,000 (当 座 預 金) 120,000 ※⑥と同一取引 削除
-3-
(仕
入) 367,000 (支 払 手
(仕
入) 115,000 (買
掛
貸方記入
(買
掛
金) 67,000 (仕
(7)上記以外の取引
①
(貸 倒 引 当 金) 41,000 (売
掛
(貸 倒 損 失) 19,000
②
(備
品) 300,000 (未
払
形) 367,000 ※⑦と同一取引 削除
金) 115,000
入)
67,000
金)
60,000
金) 300,000
第4問 売上原価勘定を用いての売上原価算定の仕訳問題
売上原価算定
期首商品棚卸高+当期商品仕入高−期末商品棚卸高=売上原価
この計算式を売上原価勘定で行う
1.期首商品棚卸高の金額を売上原価勘定の借方に振替える処理をする。
2.当期商品仕入高(純仕入高)の金額を売上原価勘定の借方に振替える処理をする。
3.期末商品棚卸高の金額を売上原価勘定の貸方に振替える処理をする。
損益勘定への振替え
売上原価勘定の残高の金額を損益勘定へ振替える処理をする。
借 方 科 目
金
額
①
売 上 原 価
780,000
②
売 上 原 価
9,540,000
③
繰 越 商 品
④
損
益
貸 方 科 目
繰 越 商 品
仕
金
額
780,000
入
9,540,000
630,000
売 上 原 価
630,000
9,690,000
売 上 原 価
9,690,000
第5問 精算表(逆進)の作成問題
未記帳事項
1.手形の割引の処理と貸倒引当金の見積り
①手形の割引
(当 座 預 金) 64,000 (受 取 手 形) 65,000
(手 形 売 却 損)
1,000
②貸倒引当金の見積り
見積額(\291,000【受取手形】−\65,000【未記帳事項1.①】+274,000【売掛金】)
×3%=\15,000
繰入額 \15,000−\8,000=\7,000
(貸倒引当金繰入)
7,000 (貸 倒 引 当 金)
7,000
2.配当金領収証受取りの処理
配当金領収証を受け取った場合には、現金勘定を用いて現金勘定の増加の処理をする。
配当金を受け取っているため、貸方科目は受取配当金勘定を用いて処理をする。
(現
金) 21,000 (受 取 配 当 金) 21,000
-4-
3.備品売却の処理
(未
収
金) 33,000 (備
品) 300,000
3,000
(備品減価償却累計額) 225,000 (固定資産売却益)
(減 価 償 却 費) 45,000
4.仮払金精算の処理
(現
金)
4,000 (仮
払
金) 80,000
(旅 費 交 通 費) 76,000
精
勘 定 科 目
現
金
試算表
借 方
貸 方
101,000
算
整理記入
借 方
貸 方
表
損益計算書
借 方
貸 方
21,000
貸借対照表
借 方
貸 方
126,000
4,000
当
座
預
金
793,000
受
取
手
形
291,000
金
274,000
売買目的有価証券
売
繰
掛
越
商
64,000
857,000
65,000
226,000
274,000
780,000
30,000
品
56,000
51,000
33,000
810,000
56,000
51,000
未
収
金
21,000
仮
払
金
80,000
貸
付
金
500,000
500,000
建
物
1,500,000
1,500,000
備
品
800,000
支
払
80,000
300,000
500,000
形
180,000
金
186,000
金
8,000
7,000
15,000
建物減価償却累計額
495,000
45,000
540,000
備品減価償却累計額
405,000
90,000
270,000
買
貸
手
54,000
掛
倒
資
引
当
本
売
金
3,000,000
上
7,710,000
受
取
家
賃
180,000
受
取
利
息
15,000
受
取
配
当
金
180,000
186,000
225,000
3,000,000
7,710,000
36,000
144,000
10,000
46,000
25,000
21,000
入
5,835,000
給
料
546,000
代
275,000
25,000
300,000
76,000
191,000
支
払
地
56,000
51,000
67,000
仕
5,840,000
546,000
旅
費
交
通
費
115,000
水
道
光
熱
費
96,000
料
108,000
24,000
84,000
費
36,000
5,000
31,000
損
18,000
保
消
手
険
耗
形
品
売
却
12,225,000
貸倒引当金繰入
96,000
1,000
19,000
7,000
7,000
12,225,000
有価証券評価(益)
30,000
-5-
30,000
減
価
償
却
45,000
費
180,000
135,000
消
耗
品
5,000
5,000
( 未 払 ) 地 代
25,000
25,000
( 前 受 ) 家 賃
36,000
36,000
(前払)保険料
24,000
24,000
未
10,000
10,000
収
利
息
固定資産売却(益)
3,000
当期純(利益)
3,000
685,000
848,000
その他の決算整理仕訳(推定)
①有価証券の評価替え
(売買目的有価証券 ) 30,000
②商品の処理
(仕
入) 56,000
(繰 越 商 品) 51,000
③減価償却費の計上
(減 価 償 却 費) 135,000
④受取家賃の繰り延べ
(受 取 家 賃)
⑤受取利息の見越し
(未 収 利 息)
⑥支払地代の見越し
(支 払 地 代)
⑦保険料の繰り延べ
(前 払 保 険 料)
⑧消耗品の処理
(消
耗
品)
848,000
7,979,000
(有価証券評価益)
30,000
(繰 越 商 品)
(仕
入)
56,000
51,000
(建物減価償却累計額)
(備品減価償却累計額)
45,000
90,000
36,000 (前 受 家 賃)
36,000
10,000 (受 取 利 息)
10,000
25,000 (未 払 地 代)
25,000
24,000 (保
料)
24,000
5,000 (消 耗 品 費)
5,000
険
-6-
685,000
7,979,000
4,937,000
4,937,000