米国食肉輸出連合会(USMEF)ファクトシート 温室効果ガス問題

 米国食肉輸出連合会(USMEF)ファクトシート
温室効果ガス問題
温室効果ガス とは?
温室効果ガスとは 温室効果 をもたらすガスのことである。これには二つの発生経路がある:
•
ガスそのものが放射線を吸収する場合の直接的な効果。この場合、放射線を吸収するガ
スが増えると地球を暖めることになり、ガスが減少すれば冷やすことになる。
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非直接的な放射強制。これは、物質の化学変化により他の温室効果ガスが産生される場
合、あるガスが他のガスの寿命に影響する場合、または、ガスが地球の放射平衡を変える
大気プロセス(雲など)に影響する場合に起こる。(EPA、2008 年)
これらのプロセスはすべて、地球の温度に影響する。
二酸化炭素(CO2)とは何か、なぜこれが問題なのか?
二酸化炭素とは自然発生する温室効果ガスの一つである(水蒸気、メタン、亜酸化窒素、オゾンの
ように)。CO2 は自然発生するとはいうものの、米国環境保護庁(EPA)によると、CO2 濃度は産業
革命前(1750 年頃まで)から今日までの間に全世界的に激増した(約 36%)。CO2 を含め多くの
温室効果ガスが、植物や動物の呼吸、植物の成長と腐敗などの自然作用により継続的に大気中
に排出され、また除去される。これらのガスはまた、産業プロセス、輸送、または家畜の飼育など、
人に関連する活動によっても産生される。温室効果ガスは米国などほとんどの国々で劇的に増加
している(図 1)。
国連(UN)は、牛の飼育により輸送より多くの温室効果ガスが産生されており、土地使用および土
地使用の変化からの排出が含まれる場合、畜産業は全世界的に人が関連する活動に由来する
CO2 の 9%の原因となっていると述べている(UN ニュース、2006 年)。そうだとしても、人に関連す
る CO2 排出の圧倒的大部分は化石燃料の燃焼によるものである。CO2 は動物の呼吸や糞尿分
解からも産生される。UN は、人による肉および乳製品の消費が毎年増加しており、家畜牛の頭数
が増え、これに伴い産生される CO2 量も増えていると述べている。また、森林を農地へ転換するこ
とによっても環境への CO2 排出は促進される。
メタン とは何か、なぜこれが問題なのか?
どの反芻動物も植物性物質の消化を助ける特別な消化器系を有する。この代謝過程でメタンが副
産物として産生され、呼気または排泄物中に排出される。産生するメタン量は動物の代謝、また消
費する飼料の量、質およびタイプに基づき大きく変わる。
非反芻動物(豚など)もはるかに少ない
量ではあるがメタンを産生する。また、メタンは糞尿の腐敗によっても産生される。メタンは大気中に
自然発生するとはいえ、その濃度は人に関連する活動により 1750 年から 2005 年までの間に全世
界的に 148%増加した。気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate
Change、IPCC)によると、メタンは大気中に熱を閉じ込めておく効果が CO2 の 20 倍高く、はるか
に強力な温室効果ガスとなる。
メ タ ン は 気 候 変 動 を も た ら す 温 室 効 果 ガ ス の 一 つ で あ る 。 米 国 環 境 保 護 庁 ( Environmental
Protection Agency、EPA)によると、反芻家畜は毎年 8,000 万メートルトンのメタンを全世界的に産
生しており、これは人に関連する活動で排出される世界のメタンガス量の約 28%に相当する。米
国では、牛が毎年 550 万メートルトンのメタンを排出しており、米国のメタン排出量の約 20%を占
める。
メタン排出を制限するために何ができるか?
メタンは米国の牛生産者にとって大きな懸念である。EPA によると、栄養的および遺伝的に改善す
ることはメタン排出を減らす一方で、乳牛の効率を上げることに関与しているという。
EPA およびアイオワ州立大学はともに、メタン排出を減少させるための有効な手段として次の項目
を挙げている:
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放牧管理の改善
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景観改善。樹木や低木が細かい粒子のバイオフィルターとして働き、排出運動を緩やかに
し、排出濃度を下げることができる。
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土質試験をした後、適切な改良材と肥料の追加
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必要な栄養素を牛の飼料に補充する。飼料の変化でメタン排出を削減できる。
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窒素排泄を最低限に抑える。窒素排泄が減少すると、アンモニア形成も減少する。
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適切な水資源の供給および水質保護
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遺伝子および繁殖効率の改善
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糞尿を正しく取り扱う。沈殿池の液体/ヘドロなど酸素を制限するシステムの中で貯留また
は処理された糞尿は、メタンを産生する。メタン形成は糞尿の組成、周囲温度、湿度、およ
び糞尿の貯留時間に大きく影響されるが、湿った環境で増加する。尿と糞を分離するとア
ンモニア排出を減らすことができる。
×1012 g(CO2 換算量) 図 1:米国における 1990 年と比較した温室効果ガス排出の総量変化(EPA、2008 年)