食欲の秋!みなさん噛んで食べていますか? ~食事の時間は健康づくり

No23
2016年10月発行
食欲の秋!みなさん噛んで食べていますか?
~食事の時間は健康づくりの時間です~
噛むことの効果
けんせい歯科 歯科衛生士 朝倉 宏子
ご飯やパンなどの炭水化物は、しっかり噛むことで唾液の消化酵素により糖に分解されます。
噛めば噛むほど口の中でより多くの糖に分解され、胃と腸での吸収が早まります。糖が一定
量吸収されると、満腹中枢が働いて「もう満腹だ
よ!」という信号を出します。逆にあまり噛まず
に飲み込むと、胃腸での消化吸収に時間がかかっ
てしまうためその信号が遅くなり、食べ過ぎてし
まいます。よく噛めばより早く満腹感を得られる
ため、自然と食べる量が減ります。また、噛むた
めに必要な筋肉は顎だけではなく、首筋、胸、背
中などの筋肉も使っています。より噛むことで、
それらのすべての筋肉がしっかり運動し、代謝率
もアップすると同時に正しい姿勢を保ちます。
しっかりと噛んで唾液を出そう!
噛むことの最大の利点は、なんと言っても唾液が出ることです。唾液の中には健康を保つために欠か
せない様々な成分が含まれています。唾液には次のような働きがあります。
●自浄作用:1 日に 1.5 リットルも分泌される唾液は、その流れで口の中をきれいにする作用があ
ります。よく噛むことにより唾液の量は増えるので、噛めば噛むほど自浄作用は高まります。
●むし歯予防作用:唾液には、歯のエナメル質の成分であるハイドロキシアパタイトが含まれ
ています。これにより歯の表面を常に修復(再石灰化作用)しています。
●粘膜保護作用:唾液に含まれる粘性タンパク質のムチンには保湿作用があり、口の中の乾燥
を防ぐとともに、食物などの外部刺激から口の粘膜を保護します。
●抗菌作用:口の中は無数の常在菌が存在しています。もちろん善い菌もあれば悪い菌もあり
ます。唾液に含まれるラクトフェリン、リゾチームという抗菌物質は悪い菌ばかりが増えす
ぎないよう細菌数のバランスを保つ役割を持っています。またペルオキシダーゼという酵素
は発がん性物質の働きを抑えると言われています。
しっかり噛むためのポイント
毎日の食事で「私は一口 30 回しっかり噛んでいる」と胸を張って言える人は、
どれ位いるでしょうか?噛むことがよいと分かっていても実行している人はそう多くないのでは?
でも、ちょっと意識するだけで、今よりも「噛む」という健康習慣が身につくかもしれません。
参考「歯科衛生だより vol.30 食事の時間は健康づくりの時間です!」より