石灰沈着性腱板炎

肩関節疾患シリーズ
No.3
石灰沈着性腱板炎
症状
・ 発症後 1~4 週
強い症状を呈する急性型
発症後 1~6 ヶ月
中等度の症状が続く亜急性型
発症後 6 ヶ月以降
運動時などが続く慢性型
・突然の激痛
・肩がぼんやりと腫れる、赤くなる
・腕を動かせない(髪をとく、洗濯物を干す、ベルトを通す動作など)
・夕方から夜にかけて痛む
・夜、肩が痛くて目が覚める
原因と病態
・原因は不明
・40~50 歳代の女性に多い
・肩の筋肉に石灰(リン酸カリウム結晶)が沈着して滑液包に炎症を起こす
その後吸収されるとともに痛みは消失する。
診断
・上記の症状
・肩の先端の骨を押すと痛い
・レントゲン撮影
石灰沈着している部分が白く映り、石灰沈着の有無を診断できます。(図 1)
・CT 撮影
石灰沈着の大きさや位置を確認する為に、この検査を行う場合があります。
・エコー検査
レントゲンで石灰沈着が写らない場合でも、エコー検査を行うと写る場合があります。
図1
レントゲン撮影
予防
今のところ予防方法はありません。
その為、上記の症状が出ましたらすぐにお近くの整形外科を受診してください。
治療
ほとんどの場合が保存療法で症状が軽減します。しかし、亜急性型、慢性型では石灰沈着が石膏状に
固くなり、時々強い痛みが再発する事があります。痛みが強く、肩の運動に支障がある場合、手術療法
で石灰を摘出する事もあります。
【保存療法】
発症後 1 週間から 4 週間の急性例
・激痛を早く取る為に、肩の筋肉に針を刺して沈着した石灰を破り、石灰を吸収する
・三角巾、アームスリングなどで安静する
・消炎鎮痛剤の内服、炎症を抑えるための注射
亜急性型、慢性型
・温熱療法(ホットパック、入浴など)
・運動療法(肩の運動や筋肉の強化)
【手術療法】
当法人では、尾山台整形外科クリニック(東京)にて手術を行っています。手術方法は、肩関節鏡視
下手術という方法を用います。この手術は、直径 1~4mm の細いカメラや器具を関節内に挿入して行い
ます。ほとんどの組織を傷めずに済むため、早期にリハビリを始め、早期に復帰する事が可能です。手
術では、白い石灰物質を除去していきます。石灰沈着は、固いチョークの粉のような状態であり、肩の
筋肉にこびりついている為、専用の機械で取り除いていきます。手術によって肩の筋肉に穴が空く形に
なりますが、これは外傷の損傷と異なり、自然と修復される為ほとんどの場合縫合する必要がありませ
ん。当法人では、最低 2 泊 3 日で退院が可能です。
セルフチェック
□ 原因なく、突然痛くなった
□ 痛みが強く目が覚める
□ 痛みがあり、腕を動かす事が出来ない
1)公益社団法人日本整形外科学会 HP:http://www.joa.or.jp/jp/index.html 引用
※早めに医療機関を受診されることをお勧めします。