脳卒中・脳腫瘍センター

脳卒中・脳腫瘍センター
本年1月より当院に脳卒中・脳腫瘍センターが新設されました。本センターでは、脳卒
中と脳腫瘍という専門性とチーム医療が必要とされる脳の病気に対して、最新の診断と治
療技術に基づいた最高かつ最善の診療を行うことを目的としています。頭部外傷などの脳
神経外科全般の疾患に対する治療も行い、負担の少ない神経内視鏡を用いた手術や“切ら
ずに行う”脳血管内治療も取り入れています。また、頭の中の病気を治すだけでなく、日
常生活をより快適に過ごせるように手術後の傷や骨の凹みなどの創部の整容(その人の本
来の姿に戻すという意味です)にも気を配っています。
脳卒中には大きく分けると脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が切れる脳出血またはく
も膜下出血があります。脳卒中は三大成人病の一つとされ、すべての人にとって身近な病
気です。最近では発症前の予防や早期発見・早期治療で症状の改善を図ることができるよ
うになってきました。発症急性期には手術や薬剤治療を行い、早期からのリハビリテーショ
ンを計画的かつ組織的に行う脳卒中専門病棟(ストローク・ケア・ユニット)で治療する
ことが症状の改善につながります。このような治療を行うために、病院内のスタッフや近
隣医療機関との連携と地域医療ネットワークをさらに充実・強化していきます。そして、
予防と早期発見のために脳ドック(MRI 検査による脳の検診)を当院で近々始める予定で
す。
ところで、脳腫瘍とは頭蓋内に発生したできものを総称した呼び名です。個々の腫瘍の
種類(神経膠腫、髄膜腫や下垂体腺腫など)、出来た場所(大脳、脳幹や小脳など)や大
きさ等によって、手術療法、放射線療法、化学療法および免疫療法、またはこれらを効果
的に組み合わせた集学的治療が必要とされます。症状、診断、治療において専門性と特殊
性が高く、同時に痛みを和らげる緩和医療も考慮し、初期の治療後も、治療や検査のため
に定期的な診察が長期にわたって求められます。迅速に、苦痛少なく、身体機能を損なわ
ずに脳腫瘍の治療をすることをめざし、満足度を高める医療を推進していきます。
さて、現時点の本センターはまだ途上段階です。診療をすすめながら、理想とする脳卒
中・脳腫瘍センターを築き上げ、様々な診断・治療技術を導入して集学的医療を行い、患
者さんの個々の生活の質に配慮し、その人にとって最善の方法とは何かを常に考えていき
たいと思います。そして、市民の皆さんが安心した生活をこの地で送れるために、地域の
センターとして信頼されるよう医療の向上を目指し努力していきたいと考えています。
脳卒中・脳腫瘍センター長 酒井 圭一