小泉中だより 平成28年度 小泉中学校 学校報 平成28年12月22日(木)発行 №47 青森市の中2少女のいじめ自殺・・・ この「いじめ」を、君はどう考える? 校長 小木曽敏樹 今年の8月、青森県青森市の中学2年の少女が、電車に飛び込み自殺しました。持っていたスマートフォ ンには、「もう、二度といじめたりしないでください」などと、いじめ被害を訴える遺書が残されていました。その 後の調査で、インターネットや学校内で、「きもい」「うざい」「死ね」といった言葉を日常的にかけられていたり、 事実無根のうわさを流されていたり、容姿を侮辱する言葉を流されたりしていたことが分かりました。 ここでいうインターネットとは、皆さんもよく知っているだろう有名な無料通信アプリです。 青森県警察少年課は、いじめに関しての調査を生徒100名近くに行い、いじめに深く関わっていたと思わ れる女子生徒10名近くを、侮辱罪(ぶじょくざい)、名誉毀損罪(めいよきそんざい)の疑いで取り調べ、児 童相談所に通告しました。 「児童相談所に通告する」ということは、どういうことか分かりますか? この事件当時、10名近くの女子 生徒はみんな13歳。刑事責任を問うことができません。14歳になっていたならば、少年法という法律に基 づき、少年犯罪として扱われたかもしれません。しかし、13歳だったので、児童福祉法という法律に基づい て、「触法少年」(刑法に触れる罪を犯しているが罰せられない)として警察から児童相談所に「通告」した わけです。通告を受けた児童相談所は、調査や検査を行い、女子生徒たちや保護者を指導するか、また は、家庭裁判所に送致するかを決めます。家庭裁判所に送致された場合は、調査と検査に基づき、裁判 所が審判をし、処分を決めます。重いものとしては、少年院への送致があります。 これまでに、「17歳の少女が・・・」とか、「16歳の少年が・・・」 とかが、「多くの人が閲覧できるネット上」で個人情報を公開した り特定の人を誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)したりして、侮辱罪な どで罰せられたことはありましたが、『14歳未満の少年少女』が、 『特定の人たちとグループを組んで会話する無料通信アプリ』で の誹謗中傷を、警察が犯罪行為として通告(13歳なので)する のは初めてのことのようです。 女子生徒たちによる集団のいじめで、「死」まで追い詰めてしま ったこの事件を、君たちはどう考える? 止めることはできなかっ たのだろうか? この事件から学ぶことは、実はたくさんあります。 1つは、『特定の人たちとグループを組んで会話する、皆さんもよく知っているだろう有名な 無料通信アプリ』の中での会話でも、人数が多ければ「公然性」が認められ、侮辱罪や名誉 毀損罪が適用されると言うことです。誰かの悪口を書き込んでいませんか? 誰かの個人情 報や写真、会話などのスクリーンショットを本人の許可なく勝手に貼っていませんか? この事件は今後さらに調査され、いじめと自殺の関係性が明らかになれば、「殺人」に匹敵します。そうな れば児童相談所は、少女たちが14歳未満でも家庭裁判所に送致する可能性があります。裁判所で審判 が下された結果、一番重い審判は、14歳未満であっても少年院に入ること、次は関東にある児童自立支 援施設に入ることです。次は各都道府県にある児童自立支援施設に入ること。少女たちは、まさか親から 引き離され、一人遠いところの施設に入所させられるなんて思ってもいなかったでしょう。どんな気持ちでい じめていたかは分かりませんが、いじめが「犯罪」であることを深くは理解していなかったのかもしれません。 2つ目は、『いじめは、犯罪』であり、犯罪は罰せられるということ です。少女たちはまさかこんなことになるとは思っていなかったでし ょう。軽い気持ちで行っていたことが、相手を傷つけ追い込んでしま い、取り返しのつかない事態になってしまった。言い訳は通用しませ ん。『いじめは、犯罪』だから。 この事件がマスコミで報じられると、児童相談所に通告されたと思われる少女たちの「名前」と「顔写真」 がネット上に掲載されてしまいました。しかも、事実かウソかも分からないいじめの様子まで書き込まれてい ます。「○○中学2年A子(14 歳)【顔写真やプリクラの画像】トイレで少女に暴力を振るった実行犯」といっ たように。いじめをした加害者である少女たちが、今度は社会からいじめを受ける被害者になってしまってい ます。ネット上では10人以上の名前が出ています。つまり、通告されていない少女たちも、重大ないじめを 行った人物として掲載されているわけです。名前も顔写真もいじめの様子もが全世界に発信された彼女た ちは、もう同じ中学校には通えないでしょう。家にも住んでいられないでしょう。 3つ目は、『ネットの世界を、甘く考えるな』ということです。このネット社会では、たった数秒で 全世界に向けて情報が発信され、それは永久に消えることはありません。少女たちの名前も 写真も何百年経とうとも消えることはないのです。 この事件では、一人の尊い命が失われました。彼女が描いていた夢も希望も、 全てが失われました。ご両親、ご家族の悲しみはどんなに大きいことでしょう。愛 する娘を死に追いやられたくやしさは、想像できないほど大きいものだと思います。 いじめてしまった少女たちはどうなのだろうか?ネットに名前も顔もさらされて、一 人の仲間を死に追いやった人間として、今後何十年も生きていかなくてはなりま せん。少女たちの親や家族はどうなのでしょう。やはり少女たちと同様に、死に追いやった少女の親として生 きていかなくてはならないわけです。少しだけいじめに関わった仲間たちはどうだろう?自分も同じだと自分 を責めて、一生涯忘れることができない重い反省を持ち続けて生きていくことだろう。いじめに参加していな い生徒たちは大丈夫なのだろうか? そんなことはないはずです。見ていたけど助けなかった。知っていたけ ど先生に言わなかった。自分には関係ないことと知らないふりをした。実行犯ではないけれど、確実に亡くな った少女を死に追いやる側にいて、助ける側にはいなかったことを、一生悔やむことだろう。亡くなった少女 の友だちはどうだろう?先生たちはどうだろう?地域の人たちはどうだろう? 4つ目は、『いじめは、まわりの全ての人を不幸にする』ということです。この事件では一人の 尊い命だけでなく、もっともっと多くのものが失われ、傷つき、苦しむことになっています。そうで す。君だって、自分も含め、仲間や家族といった多くの人を不幸にする可能性があるのです。 どんな小さないじめでも、やったあなたは「犯罪者」。そして、知らないふりは「共犯者。」 もう一度読み 返そう、 私たちの『小泉 中宣言』 私たちは笑顔あふれる小泉中学校を目指します。 1 誰にでもすすんで挨拶します。 2 一人ぼっちの人がいたら声をかけます。 3 全ての人に対して、自分がされて嫌なこと、言われて嫌なことはしません。 4 いけないことはいけないと、勇気をもって言います。 5 友達の良さを認め合います。
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