第6回インピーダンスとは 集中定数回路による インピーダンス整合回路

第6回 インピーダンスとは
講義資料は
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からダウンロードできます.
初版 : 2016年11月20日
ユビキタス無線工学
担当 : 根日屋 英之
2017年5月18日
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集中定数回路による
インピーダンス整合回路
2017年5月18日
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1
電気信号の流れは水の流れで考える
送り側の
電子回路
(信号源)
放水口
受水口
外径
φA
水
外径
φC
水
受け側の
電子回路
(負荷)
水
水タンク A
水タンク C
内径
φB
ホース B (伝送線路)
水タンク A と水タンク C をホース B でつなぐとき,φA = φB = φC であれば,水は途中
で漏れることなく,水タンク A から水タンク C へ送ることができる. このφA,φB,φC の外径
や内径の概念を,電子回路ではインピーダンスと考える.
2017年5月18日
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もし,ホースの内径が水タンクの
放水口や受水口の外径と異なるときは ・・・
内径
φB
放水口
送り側の
電子回路
(信号源)
外径
φA
水
水タンク A
水漏れ
受水口
外径
φC
水
ホース B (伝送線路)
受け側の
電子回路
(負荷)
水タンク C
水漏れ
水タンク A と水タンク C をホース B でつなぐとき,φA ≠ φB, φB ≠ φC であると,水は
タンクとホースのつなぎ目から水が漏れる.電子回路ではこの概念をインピーダンスの不整合
といい,インピーダンスの不整合が起こっている箇所では電気信号が一部,反射を起こす.
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ホースの内径が水タンクの放水口や受水口の
外径と異なるときは,異径ジョイントを入れる.
放水口
送り側の
電子回路
(信号源)
水
水タンク A
受水口
外径
φA
外径
φC
ホース B (伝送線路)
水
受け側の
電子回路
(負荷)
水タンク C
内径
φB
異径ジョイント
異径ジョイント
ホースの内径が水タンクの放水口や受水口の外径と異なるときは,異径ジョイントを入れる.
この異径ジョイントを入れることは,電子回路ではインピーダンス整合回路を入れることになる.
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回路の設計
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3
回路の設計
① 電源の加え方.
バイアス設計 ・・・ ② 真空管,トランジスタ,
FETの動作点の設定
回路の設計
インピーダンス整合 ・・・ 回路と回路を接続する
インターフェース設計
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ルネサス μPC2745TB
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4
今どきの回路設計
電子回路 に電源を供給するときは,その集積回路の電源供
給ピンに,雑音を落とすためのバイパスコンデンサを入れる.
電源ライン
バイパス
コンデンサ
バイパス
コンデンサ
電子回路 #1
(集積回路 IC)
電子回路 #2
(集積回路 IC)
電子回路 #1 の出力インピーダンスの抵抗成分と電子回路 #2の入
力インピーダンスの抵抗成分が等しい IC が部品として購入できる.
そのようなICを接続するときには,IC間にカップリングコンデンサを
入れて,直結する.
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今どきの回路設計
電子回路 に電源を供給するときは,その集積回路の電源供
給ピンに,雑音を落とすためのバイパスコンデンサを入れる.
電源ライン
バイパス
コンデンサ
バイパス
コンデンサ
電子回路 #1
(集積回路 IC)
インピーダンス
整合回路
電子回路 #2
(集積回路 IC)
電子回路 #1 の出力インピーダンスの抵抗成分と電子回路 #2の入
力インピーダンスの抵抗成分が等しくないときは,インピーダンス整
合回路を,電子回路 #1と電子回路 #2の間に挿入する.
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コンデンサCの容量値の決め方
インピーダンス[Ω]
周波数[Hz]
ムラタ製作所社のデータシートより転載
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伝送の原理
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伝送の原理
RT
RS
RL
伝送路
信号源
負荷
RS =RT =RL
根日屋 英之,植竹 古都美:「ユビキタス無線工学と微細RFID」(第2版)(東京電機大学出版局)より転載
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インピーダンス整合の重要性
RS
50Ω
RT
I
50Ω
RL
50Ω
RS
50Ω
RT
I
50Ω
Vs = 100V
VL = 50V
I = 1A
Po = 50W
50Ω
RT
I
50Ω
RL
10Ω
VL
Vs 100V
Vs 100V
RS=RT = RL
100Ω
RS
VL
VL
Vs 100V
RL
RS=RT < RL
Vs = 100V
VL = 66.7V
I = 0.667A
Po = 44.5W
RS=RT > RL
Vs = 100V
VL = 16.7V
I = 1.67A
Po = 27.9W
根日屋 英之,植竹 古都美:「ユビキタス無線工学と微細RFID」(第2版)(東京電機大学出版局)より転載
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インピーダンス整合の重要性
RT
RS
RL
伝送路
信号源
負荷
(a) RS =RT =RLの場合
RT
RS
信号源
RL
RT
インピーダンス
整合回路
伝送路
RL
負荷
(b) RS =RT ≠RLの場合
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特性インピーダンス
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伝送線路を用いると,離れた二つの
回路の距離の差を電気的に短くできる
回路1
回路2
RT
RS
RL
伝送路
信号源
負荷
RS = RT または, RT = RL
回路1
回路2
RS
RL
負荷
信号源
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特性インピーダンスの概念
R ⋅ Δl
分布定数線路
L ⋅ Δl
分布定数線路
C ⋅ Δl
G ⋅ Δl
Δl
特性インピーダンス = Zo =
R ⋅ Δl + jωL ⋅ Δl
R + jω L
=
G ⋅ Δl + jωC ⋅ Δl
G + j ωC
Rが非常に小さくGが非常に大きいと ⇒ Zo ≒
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L
C
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集中定数回路と分布定数回路
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集中定数回路と分布定数回路
10MHzにおける30mm
電圧[V]
1GHzにおける30mm
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+10V
+9.9998V
10
+8.09V
5
0
起点
-5
電圧の変化
-10
-15
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
距離[ 10MHz では X 100m ,1GHz では X 1m]
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10
集中定数回路
C2
入力
出力
C1
L1
R1
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分布定数回路
マイクロストリップ線路
による伝送線路
C2
入力
出力
チップ・コンデンサ
C1
L1
マイクロストリップ線路
によるコイル
マイクロストリップ線路
によるコンデンサ
R1
チップ抵抗
スルーホール処理
したグラウンド/パタ-ン
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インピーダンス整合回路の考え方
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インピーダンスとは
全ての電子回路はR,L,Cの
直列回路の等価回路で表され,
R
L
C
R
X
抵抗成分
リアクタンス成分
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⎛
1 ⎞
⎟
Z = R + ⎜⎜ jωL +
jωC ⎟⎠
⎝
⎛
j ⎞
⎟
Z = R + ⎜⎜ jωL + 2
j ωC ⎟⎠
⎝
1 ⎞
⎛
Z = R + j⎜ ωL −
⎟
ωC ⎠
⎝
= R + jX
で与えられる Z をインピーダン
スという.ここで,ωは角速度
(各周波数)で,f を周波数とす
ると,ω=2πf となる.
24
12
どんな電子回路もインピーダンスで表される
TX +3V
C506
C509
22u/6.3V
0.1u
GND
R502
10
入
力
0.1u
0.1u
●
●
●
GND
7t
7t
7t
L501
820nH
C507
C510
100k
47
R503
10k
1k
GND
0.01u
56p
0.01u
C508
C505
160p 160p
L500
270nH
GND
C502
L502
270nH
Q502
2SK241
0.1u
GND
GND
C511
GND
0.1u
D502
1S1076
GND
出
力
出
力
R506
R505
10k
51
C513
R508
51
0.1u
GND
抵抗成分
C515
R501
R500
抵抗成分
L504
5p
C504
入
力
L505
GND
R504
0.01u
L503
Q501
2SK241
C503
Q500
2SK241
リアクタンス
成分
5.1
GND
C512
C501
リアクタンス
成分
R507
GND
GND
C514
GND
0.1u
GND
等価回路
GND
-1V リミッタ
D503
1S1076
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どんな電子回路もインピーダンスで表される
リアクタンス
成分
入
力
入
力
アンテナ
2017年5月18日
抵抗成分
等価回路
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アンテナの電気的特性
2017年5月18日
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インピーダンス整合回路の考え方
リアクタンス成分
リアクタンス成分
jX1
抵抗成分
抵抗成分
R1
回路 1
リアクタンス成分
リアクタンス成分
jX2
?
抵抗成分
R2
抵抗成分
回路 2
「回路1」と「回路2」をうまく接続して信号が効率よく伝送できるには ?
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インピーダンス整合回路の設計 (考え方)
★ 抵抗成分 : エネルギーの伝送に関与する.
★ リアクタンス成分 : 損失を発生する.
R
X
抵抗成分
リアクタンス成分
インピーダンス整合回路の設計
Step 1 : リアクタンス成分を無くす.(ゼロにする.)
Step 2 : 抵抗成分をうまく接続する.
2017年5月18日
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電気信号の流れは水の流れで考える
送り側の
電子回路
(信号源)
放水口
受水口
外径
φA
水
外径
φC
水
受け側の
電子回路
(負荷)
水
水タンク A
水タンク C
内径
φB
ホース B (伝送線路)
水タンク A と水タンク C をホース B でつなぐとき,φA = φB = φC であれば,水は途中
で漏れることなく,水タンク A から水タンク C へ送ることができる. このφA,φB,φC の外径
や内径の概念を,電子回路ではインピーダンスと考える.
2017年5月18日
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15
インピーダンスの意味するものは
2017年5月18日
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電気信号の流れは水の流れで考える
送り側の
電子回路
(信号源)
放水口
受水口
外径
φA
水
外径
φC
水
受け側の
電子回路
(負荷)
水
水タンク A
水タンク C
内径
φB
ホース B (伝送線路)
水タンク A と水タンク C をホース B でつなぐとき,φA = φB = φC であれば,水は途中
で漏れることなく,水タンク A から水タンク C へ送ることができる. このφA,φB,φC の外径
や内径の概念を,電子回路ではインピーダンスと考える.
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もし,ホースの内径が水タンクの
放水口や受水口の外径と異なるときは ・・・
内径
φB
放水口
送り側の
電子回路
(信号源)
外径
φA
水
受水口
外径
φC
水
ホース B (伝送線路)
水タンク A
受け側の
電子回路
(負荷)
水タンク C
水漏れ
水漏れ
水タンク A と水タンク C をホース B でつなぐとき,φA ≠ φB, φB ≠ φC であると,水は
タンクとホースのつなぎ目から水が漏れる.電子回路ではこの概念をインピーダンスの不整合
といい,インピーダンスの不整合が起こっている箇所では電気信号が一部,反射を起こす.
2017年5月18日
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ホースの内径が水タンクの放水口や受水口の
外径と異なるときは,異径ジョイントを入れる.
放水口
送り側の
電子回路
(信号源)
水
水タンク A
受水口
外径
φA
外径
φC
ホース B (伝送線路)
水
受け側の
電子回路
(負荷)
水タンク C
内径
φB
異径ジョイント
異径ジョイント
ホースの内径が水タンクの放水口や受水口の外径と異なるときは,異径ジョイントを入れる.
この異径ジョイントを入れることは,電子回路ではインピーダンス整合回路を入れることになる.
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改めて,インピーダンスとは
R
L
全ての電子回路はR,L,C
の直列回路の等価回路で表
され,
C
1 ⎞
⎛
Z = R + j ⎜ ωL −
⎟
⎝
ωC ⎠
= R + jX
R
抵抗成分
X
で与えられる Z をインピーダ
ンスという.ここで,ωは角速
度(各周波数)で,f を周波数
とすると,ω = 2πf となる.
リアクタンス成分
2017年5月18日
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リアクタンス成分のキャンセル方法
アンテナ ・・・ 3.28MHz に共振させる
リアクタンス成分のキャンセル
・・・ 共振させる
アンテナ
f = 3.276MHz
インピーダンス整合回路
・・・ 抵抗成分Rの変換も行う
送信機の出力インピーダンス : 50Ω
アンテナの入力インピーダンス : 50Ωにしたい
2017年5月18日
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単に「インピーダンスは*Ω」と書かれ
ているときは,Z=R を示す.
このとき,すでに,その回路(アンテナ)
は目的周波数で共振(リアクタンス成分
はゼロ → jX=0)していて,Z=R(抵抗
成分のみ)のこと.
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