ゴルフ場利用税に関する懇話会とりまとめ

ゴルフ場利用税に関する
懇 話 会 と り ま と め
平成22年1月
財団法人
地方自治情報センター
【目 次】
第1
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
第2
ゴルフ場利用税の沿革等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
第3
行政とゴルフ場との関わり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
第4
納税者の理解を得るための取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
第5
その他の議論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
第6
現地視察等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
第7
終わりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
【巻末資料】
資料1
ゴルフ場利用税の概要
資料2
ゴルフ場利用税の沿革
資料3
ゴルフ場利用税の税率の推移
資料4
ゴルフ場利用税収額等の推移
資料5
ゴルフ場利用税の非課税者数の推移
資料6
ゴルフ場利用税交付金の創設等の理由
ゴルフ場利用税に関する懇話会とりまとめ
<委員の構成>(50音順)
熊谷綜合法律事務所 弁護士
熊谷
信太郎
株式会社A.Cホールディングス リゾート事業部 本部長
國分
秀徳
茨城県
総務部税務課長
丹
勝義
千葉県
長南町長
藤見
昌弘
増田
浩三
藪本
吉秀
社団法人静岡県ゴルフ場協会
兵庫県
三木市長
<報
告
第1
はじめに
1
専務理事
書>
『ゴルフ場利用税に関する懇話会』
本懇話会は、ゴルフ場利用税について、ゴルフ場事業者(以下「事業者」という。)
の声も踏まえて、税のあり方や納税者の理解を得るための取組等について意見交換
を行い、課題を整理することを目的として、平成21年5月に設置された。その後、
4回にわたり議論を行い、この度、その意見を取りまとめたところである。
2
○
○
日程等
平成21年7月6日(月)
・
懇話会の運営等
・
ゴルフ場利用税の沿革等
平成21年8月4日(火)
・
○
○
第2
1
第3回懇話会
現地視察
平成21年10月13日(火)
・
第2回懇話会
各委員からの発表
平成21年9月9日(水)
・
第1回懇話会
第4回懇話会
まとめ
ゴルフ場利用税の沿革等
ゴルフ場利用税の沿革
【資料1】【資料2】【資料3】【資料4】【資料5】
(1) 娯楽施設利用税時代
○
昭和29年…娯楽施設利用税が創設される。
○
昭和32年…娯楽施設利用税の課税対象施設のうち、ゴルフ場の利用について
定額課税の方法が採用される。
(2) ゴルフ場利用税の創設及びその後の改正状況
○
平成元年…抜本的税制改革において消費税が創設されたことに伴い、娯楽施
-1-
設利用税の課税対象施設であった舞踏場、ぱちんこ場、雀荘、ボーリング
等の中から、課税対象施設をゴルフ場に限定し、ゴルフ場利用税が創設さ
れる。
○
平成15年…18歳未満の者、70歳以上の者、国民体育大会のゴルフ競技に参加
する選手等のゴルフ場の利用について、非課税措置が創設される。
2
ゴルフ場利用税交付金の沿革
○
【資料6】
昭和41年…市町村行政とゴルフ場との間に密接な関係があることから、娯楽施設
利用税市町村交付金制度が創設される(娯楽施設利用税収のうちゴルフ場の利
用に係る税収の6分の1を市町村に交付。)。
○
平成元年…ゴルフ場利用税の創設に伴い、交付率が10分の7に引き上げられる。
第3 行政とゴルフ場との関わり
1 はじめに
行政とゴルフ場との間には密接な関係があることから、ゴルフ場利用税のあり方
について、行政とゴルフ場との関わりという観点から議論を行った。
2
行政からゴルフ場に提供されるサービス
○
ゴルフ場に提供される行政サービスとしては、
①
ゴルフ場へのアクセス等周辺道路の整備・維持管理
②
ゴルフ場における生活環境整備として上下水道の整備・維持管理
③
ゴルフ場周辺の自然環境の保護として水質検査・農薬検査
等がある。このほか、ごみ処理、ゴルフ場利用中における事故等に対応するための
救急車等の整備、有害鳥獣駆除等があげられる。
○
これらの行政サービスの提供のために、ゴルフ場利用税やゴルフ場利用税交付金
が使われていると考えてよいのではないか。
○
これらの行政サービスは、ゴルフ場利用者(以下「利用者」という。)にも還元
されていると言えるのではないか。
3
ゴルフ場と地域との関わり
○
ゴルフ場に行政サービスが提供される一方、ゴルフ場は地域に大きな影響を与え
ていると考えることができるのではないか。
例えば、観光客数の増加による地域の活性化があげられる。
また、地域の雇用にも関係するなど、自治体にとっては、財政面以外でも大き
な影響がある。逆に、過度な料金競争の中で事業者により従業員のリストラや賃
-2-
金の引き下げが行われると、地域活力の衰退や住民税減収などの悪影響が生じる
といったことも考えられるのではないか。
○
ゴルフ場を作ることで、地域にとっては治水と同じような効果があり、ゴルフ場
が地域の防災に役立っているという見方もできる。
○
ゴルフ場が地域の自治会費の大部分を負担してくれることで、消防団等の地域活
動が行いやすくなるという面もある。
○
ゴルフ場利用税について検討する際には、町が潤うからこそ地域一体となってゴ
ルフ場が作られたという経緯を考える必要がある。地域一体となったゴルフ場によ
り、地域が潤うことを期待するからこそ、様々な行政サービスが提供されるのであ
り、こういった点も踏まえてゴルフ場利用税のあり方を検討していくことが必要な
のではないか。
○
ゴルフ場と自治体は共存共栄の関係にあり、この関係が崩れた場合には、ゴル
フ場事業者、自治体ともに成り立たなくなると言えるのではないか。そうならな
いためにも、地域、自治体、事業者が連携を図り、一層密接な関係を築いていく
ために、話し合いの場を十分に設けていくことが大切ではないか。
4
その他
○
近年のゴルフ場に係る経営状況の厳しさを反映してか、過疎地域の活性化として
期待されていた地域のゴルフ場において、ゴルフ場利用税や固定資産税の滞納や雇
用の縮小等がみられる。
○
若年層によるゴルフ場の利用が少ない。また、高齢になると体力的理由でゴルフ
場を利用する者が少なくなる。将来的に、利用者数の減少が懸念される。
○
地域と一体となったゴルフ場という観点からは、行政も含めての地域内における
ゴルフ場同士の連携が密であることが望ましいと思われるが、最近はそのような機
会が減っているきらいがある。
5
行政とゴルフ場との具体的な関わりの例
(1) はじめに
行政とゴルフ場との関係については、上記のとおり議論が行われたところであ
るが、本報告書においては、ゴルフ場利用税の税収の10分の7が市町村に交付金
として交付されていることを踏まえて、行政とゴルフ場との関係の中でも、特に
市町村とゴルフ場との関係について、具体例を紹介することとする。
(2) 三木市の事例
-3-
○
ゴルフ場利用税交付金を活用し、市からゴルフ協会への補助を行っている。
当該補助をもとに、ゴルフ協会による市民ゴルフ大会やジュニアゴルフ教室が
開催されており、市は、市民の参加を呼びかけている。市民ゴルフ大会に多数
の市民が参加することにより、市民交流の輪が拡がることを期待している。
○
市民がゴルフ場との接点を感じられるようにするため、市民ゴルフ大会は2
か月に一度、2つのゴルフ場で開催され、2年間で市内すべてのゴルフ場を回
れるように開催される。
○
ゴルフ場利用税への理解を深めてもらうためにポスターや広報を通じて、ゴ
ルフ場利用税が市の大切な財源であることをPRしているほか、ホームページ
によりゴルフ場利用税の使途を紹介している。
○
市とゴルフ場の共存共栄の視点からは、市内のゴルフ場について、観光パン
フレットによるPRのほか、市のホームページに各ゴルフ場のホームページを
リンクさせることで紹介をしていることがあげられる。
○
市外からの利用者については、「ゴルフ場に来ている」のではなく、「三木市
に来ている」と実感してもらうことが重要である。
利用者に、三木市に来たことを感じてもらうため、市内25箇所すべてのゴル
フ場に三木市の広報誌や観光パンフレットを置いている。
これにより、三木市に来たゴルフ場利用者を、そのまま三木市の観光に誘導
するよう努めており、これも市とゴルフ場の共存共栄の一例である。
(3) 長南町の事例
○
ゴルフ場の存在により、アクセス道路の整備、維持管理、周辺の自然環境の
保護、水質検査など様々な行政需要が発生している。特にアクセス道路の整備
については、町内の10ゴルフ場のうち、6ゴルフ場について整備している。
○
これらのことは地域ばかりでなく、利用者にも行政サービスとして還元され
ていると言えるものと考えている。
○
長南町では、毎年プロのレディスゴルフトーナメント開催に際し、地域だけ
でなく多くの近隣からの協力も得て、運営への協力をボランティアで行ってい
る。他方、トーナメントの主催者側からは、福祉等への寄附が行われており、
住民への還元がなされている。こういったことも、町とゴルフ場の共存共栄の
関係の一つと言えるだろう。
○
ゴルフ場利用税への理解を深めてもらうために、ゴルフ場利用税が果たす役
割や貴重な地方財源であることについて、プロのレディスゴルフトーナメント
-4-
や町民ゴルフ大会において、啓発・啓蒙を行っている。
第4
1
納税者の理解を得るための取組
はじめに
ゴルフ場利用税については、利用者の十分な理解を得たうえで納税されることが
望ましい。そこで、実際に利用者に接する機会の多い事業者からの意見も頂戴し、
利用者からの納税の理解を得るための取組について、議論を行った。
2 各論
(1) ゴルフ場事業者としての立場から
○
利用料金が低下傾向にある中、ゴルフ場利用税が料金に占める割合は上がっ
ており、利用者にとってゴルフ場利用税が大きな存在になっているという見方
もできると思われる。
○
利用者の反応として、ゴルフ場の利用についてだけは消費税のほかに別途税
金がかかるのはなぜか、という声がある。
○
他方、緑化協力金や消費税と同じように、払うことが当たり前だと考える利
用者も多いように感じられる。これは、ゴルフ場利用税を理解しているという
より、「ゴルフに行けば払わなければいけないものだ」と思っている利用者が多
いのではないだろうか。
○
特別徴収を行う事業者の立場としては、利用者にゴルフ場利用税について理
解してもらうことが望ましい。また、税がどのように使われているのかについ
て自治体が利用者にPRすることにより、特別徴収義務者が税を徴収しやすい
環境ができれば望ましいのではないだろうか。
○
利用者から納税への理解を得やすくするために、「ゴルフ場利用税」という名
称を「施設利用税」と改め、ゴルフ場の利用者についてのみ課される税金、と
いうイメージを和らげることもひとつの案として考えられるのではないか。
○
特別徴収義務者への交付金を増加させることで、特別徴収義務者は徴収に係
るモチベーションが増し、利用者に対するサービス向上等により、利用者から
の納税が促進されるという面もあると思われる。
(2) 利用者に対するゴルフ場利用税に関するPRについて
○
利用者にゴルフ場利用税による行政サービスを実感してもらい、納税への理
解を得やすくするために、県や市町村は、ゴルフ場利用税、交付金の使途につ
-5-
いて、利用者や事業者に対してきちんとPRをすることが重要である。
○
納められた税金の使途についてのPRの方法として、ポスターを作成しゴルフ
場のフロントや各市町村へ配布して掲示するなどの取組がある。
○
市町村は、自ら賦課徴収はしないものの、ゴルフ場と密接な関係にあり、ゴ
ルフ場利用税交付金の使われ方の周知に特に取り組むことが重要である。その
際、ゴルフ場に関する市町村独自の取組等の紹介と併せて行うなどの工夫の仕
方が考えられるのではないか。
○
利用者や事業者にとって、市町村にゴルフ場利用税交付金が交付されなくな
ることで被る不利益はイメージしやすいが、県にゴルフ場利用税収が入らなく
なることで被る不利益についてはイメージしにくい面もあると思われる。
県は課税団体であり、ゴルフ場利用税の負担を求めるにあたって県行政が果
たしている行政サービスについて、十分なPRをすることが重要である。
○
各市町村独自のPRに向けた取組の重要性もあるが、課税団体の県の調整の下、
県下の各市町村が統一的なPRを行うことにより、一層効果的なPRとなるよう
に工夫する、という考え方もあるのではないだろうか。
(3) 納税者からの理解を得やすい税率とするために
ア
はじめに
地方税法でゴルフ場利用税の標準税率は定められているが、「道府県は、ゴル
フ場の整備の状況等に応じて、ゴルフ場利用税の税率に差等を設けることがで
きる。」(第76条第3項)とも規定されている。
このため、ゴルフ場利用税の税率には、都道府県ごとに、利用料金、ホール
の数、平均距離、付帯設備、芝生の状況等いくつかの判定要素を組み合わせた
税率決定基準によりゴルフ場の等級を決定し、その区分された等級ごとに税率
が定められている状況にある。
納税者からの理解を得るためには、税率決定基準が納得を得られやすいもの
であることが望ましい。そこで、ゴルフ場利用税の課税団体として税率決定基
準に深い関わりがある県からの意見を踏まえ、ゴルフ場利用税の税率決定基準
について議論を行った。
イ
県としての立場から
○
税率決定基準は、複雑な場合があり、また各都道府県が条例により独自に
定めていることから、都道府県間でばらつきがあるのは事実である。このた
め、事業者、利用者に理解されにくい場合がある。
○
現在、税率決定にあたって判定要素として用いられることの多い、ホール
-6-
数や平均距離は客観的に判定できる要素ではあるが、ゴルフ場の等級を決定
する要素として用いる場合には、利用者の納得が得られるような使い方を工
夫する必要がある。
○
利用料金は最も一般的な判定要素であるが、税率決定基準として、等級を
細かく設定する場合、事業者が季節毎に利用料金を変更すると、利用料金が
変わるたびに、その都度税率も決定し直す必要がある。このような状況も考
えれば、税率について、あまり多くの段階を設定することは避けた方がよい
のではないかとも考えられる。
○
パック料金として総額表示となっているため、税率決定基準となる利用料
金の特定が難しいゴルフ場が増加している。
また、価格競争が激化する中、税額を低く抑えるために、課税対象料金に
ついて、課税対象外料金への「移し替え」が疑われるケースがある。
○
利用料金を判定要素として用いる際のもう一つの論点は、その範囲である。
利用料金は、キャディフィーとカートフィーという任意性(選択性)があると
考えられ得る料金と、グリーンフィー等の任意性(選択性)がない料金から構
成されると認識されている。しかしながら、判定要素として用いる利用料金に
は両方を含めるか、任意性(選択性)のない料金に限るかについて、都道府県
間で相違がある。さらに、任意性(選択性)のない料金に限るとした場合でも、
キャディフィーとカートフィーは、任意性(選択性)がある料金と考えるかど
うかについて、各都道府県で取扱いが分かれている。
ウ
ゴルフ場利用税の税率決定基準に係るその他の意見
○
附帯設備や芝生の状況を基準とすることは、客観的な判定が難しいという
問題があるのではないか。特に芝生の状態は時期によって変わり、ラフ、フ
ェアウェイ、グリーン等どこを基準にするのかという点が難しいのではない
だろうか。
○
平均距離を基準とすることについては、利用者から見れば、平均距離が長
ければ価値が高く、短ければ価値が低いというわけでは必ずしもないのでは
ないだろうか。
○
利用料金が判定要素となっている場合、価格競争の中で事業者は税率を低
くするために利用料金を下げているということがあるのではないだろうか。
ゴルフ場利用税が事業者の価格競争に影響を与えない方法として、事業者に
とっても簡便で、料金引下げのインセンティブにもならない定額課税という
考え方はないだろうか。
-7-
第5
その他の議論
市町村行政とゴルフ場との間に密接な関係があることから、ゴルフ場利用税を市
町村税とすることも考えられるのではないか、という点についても意見が出された。
○
市町村の地域づくりと密接な関係があると考えられること、また、納税義務者
である事業者との日常的なやり取りも行い易いといった観点から、市町村税とす
ることも十分考えられるのではないか。
○
例えば税率を7割に軽減してでも税収の全額を市町村に帰属させる市町村税と
することで、市町村が課税団体としての責任を明確に持つこととなり、自らの税
源として維持、涵養していこうとすることにつながるのではないか。
○
市町村税にした場合、事業者は固定資産税とゴルフ場利用税を市町村に払うこ
とになるが、事業者からの理解は得られるだろうか。
○
複数の市町村にまたがっているゴルフ場も存在していることを考えれば、引き
続き都道府県で賦課徴収をした方が税務行政の執行面では容易ではないか。
第6
1
現地視察等
はじめに
本懇話会の議論をより充実したものとするため、森町所在のゴルフ場において、
ゴルフ場の現状、事業者からみたゴルフ場利用税、ゴルフ場と地域との関わり等に
ついて現地視察・意見交換を行った。
また、森町において、ゴルフ場利用税と町の行政との関わり等について現地視察
・意見交換を行った。
2
森町所在のゴルフ場における現地視察
(1) ゴルフ場利用税と経営について
○
70歳以上の者について非課税措置がとられているが、この非課税措置はシニア
層への営業において紹介している。
○
ゴルフ場利用税が廃止された場合、利用者は一時的には利用料金が安くなった
と感じると思われる。しかしながら、一時的なものにとどまるのではないだろう
か。一定期間が経過すれば、税額分安くなった料金からさらに値引きを求められ
ることも予想される。
○
70歳以上の者について非課税措置が創設されたが、それを理由として70歳以上
の利用者が増えているかどうかは分からない。したがって、ゴルフ場利用税の存
-8-
在の有無が、利用者数の増減に影響するかどうか一概には言えない面がある。一
方、行政にとっては、税収が減るということになるのだろう。
(2) 事業者の立場からみたゴルフ場利用税について
○
ゴルフ場利用税という税があることについては、利用者には既にある程度認
知されていると思われる。
○
しかしながら、ゴルフ場利用税の使途については、利用者はよく分かってい
ないのではないだろうかと感じられる。利用者にゴルフ場利用税による行政サ
ービスを実感してもらうためにも、利用者が収めた税金の使途が分かる方法を
工夫する余地はあるのではないだろうか。
○
事業者の立場からは、特別徴収義務者への交付金を増やしてもらえれば、利用
者に対するサービス向上につなげることが出来る。そのことが利用者の増加につ
ながり、結果として税収増も期待できるのではないか。
3
森町における現地調査
(1) ゴルフ場と町の関わり
○
平成15年に町内のゴルフ場で国体少年男子ゴルフを行った。それを契機に、
以後、町内の3つのゴルフ場を輪番で、毎年町長杯を行っている。
○
森町ではゴルフ人口の増加のために、子どもの頃からのゴルフの普及に努め
ている。
(2) ゴルフ場利用税交付金によってゴルフ場に提供される行政サービス
○
ゴルフ場では芝を維持するために大量の水を放出する必要がある。十分な水
量を確保するため、ダムに貯水された水を県企業局を通して配水池へ管でつな
げ、ゴルフ場が十分に水を使えるようにしている。
○
現在スマートI.Cの設置を検討中であるが、これが完成した際には、ゴル
フ場までのアクセス時間が短縮され、利用者にとっての利便性が向上する。
○
さらに、スマートI.Cとゴルフ場を結ぶ町道である一宮圃場18号線と円田
宮代線を整備しており、これにより、ゴルフ場までのアクセスの利便性向上が
図られる。
○
ゴルフ場へのアクセス道路を作った場合、そのために発行された起債は何年
もかけて償却される。このように、ゴルフ場が行政から得た受益は整備が終わ
ったからといって、その時点で無くなるものではない。
ゴルフがオリンピック種目になることで、ゴルフ場利用税のあり方について
-9-
も議論される可能性があると聞いているが、行政とゴルフ場との関係は、ゴル
フがオリンピック種目になったからといって切れてしまうような簡単なものと
は言えないのではないだろうか。
第7
終わりに
今回の懇話会においては、行政とゴルフ場との関係を中心に、自治体や事業者と
いうそれぞれの立場ごとの取組等について、活発な意見交換が行われ、議論を深め
ることができた。
事業者及び自治体においては、双方が共存共栄の関係にあるという点に理解を持
つことが重要であり、総務省においては、今回のとりまとめを、今後、税制のあり
方を検討する際に活かしていくことが望まれる。
- 10 -