日常生活に要する費用の取り扱いについて

資料6
日常生活に要する費用の取り扱いについて
介護保険法に基づく設備基準・運営基準の省令では、サービス提供事業所が介護保険の
給付対象となる利用料のほかに利用者から支払いを受けてよい費用について定められてい
ます。
そのなかで、
「提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費
用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの」については「その他
の日常生活費」として「通所介護等における日常生活に要する費用の取り扱いについて(平
成 12 年3月 30 日 老企第 54 号)
」において、具体的な取り扱いとその他の日常生活費の
対象となる範囲が定められているため、その基準に従って費用を徴収することとなります。
(費用徴収してはいけないものを徴収していた場合、返還する必要がでてくるものもあり
ます)
以下、
「その他の日常生活費」について解説します。
「その他の日常生活費」とは利用者やその家族の自由な選択に基づいて、サービス提供
事業所が通所介護等のサービスの一環として提供する日常生活上の便宜に係る経費がこれ
に該当する。
☆ポイント!
①「利用者・家族の自由な選択に基づいて」
⇒一律に提供する便宜については「その他の日常生活費」として請求できない。
②「サービス提供事業所が通所介護等のサービスの一環として」
⇒サービス事業所が提供する便宜でも、利用者個人の嗜好に関するものの購入などに
ついては提供すべきサービスと関連のない便宜として請求が可能
※利用料等イメージ
指定サービスの費用
介護報酬対象
介護サービス費
(
食
費
)
(
居
住
費
)
((
特特
別別
なな
室食
料費
))
1割(2割)負担
1
そ
の
他
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日
常
生
活
費
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い
ス
費
と
用
は
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「その他の日常生活費」はその性質上介護サービスに係る費用であるため、以下の基準
が遵守されなければならないとされています。
① 「その他の日常生活費」の対象となる便宜と、保険給付の対象となっているサ
ービスとの間に重複関係がないこと。
②
保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目
による費用の受領は認められないこと。したがって、お世話料、管理協力費、共益
費、施設利用補償金といったあいまいな名目の費用の徴収は認められず、費用の内
訳が明らかにされる必要があること。
③ 「その他の日常生活費」の対象となる便宜は、利用者等又はその家族等の自由
な選択に基づいて行われるものでなければならず、事業者又は施設は「その他の
日常生活費」の受領について利用者等又はその家族等に事前に十分な説明を行い、
その同意を得なければならないこと。
④ 「その他の日常生活費」の受領は、その対象となる便宜を行うための実費相当
額の範囲内で行われるべきものであること。
⑤ 「その他の日常生活費」の対象となる便宜及びその額は、当該事業者又は施設
の運営規程において定められなければならず、また、サービスの選択に資すると
認められる重要事項として、施設の見やすい場所に掲示されなければならないこ
と。ただし、
「その他の日常生活費」の額については、その都度変動する性質のも
のである場合には、
「実費」という形の定め方が許されるものであること。
☆ポイント!
①
事業所が行うべきとされているサービスや施設のみで利用する用具などは介護報酬に
含まれている、と考えられるため、事業所の責任において用意する必要があり、その費
用について利用者に負担を求めることはできません。
例
・介護保険施設等入所者の通院に係る費用(特定施設入居者生活介護では別に定めあり)
(但し家族の希望により、家族等が行う場合を妨げるものではありません。
)
・事業所内で利用する車いすや歩行器等、介護に必要な一般的な福祉用具に関する費用。
(オーダーメイドの用具が必要な場合や、一時的な利用で使い慣れている用具を持ち
込むことまでを制限するものではありません)
②
一律にその便宜を提供し、画一的に費用を徴収することが問題なのであって、利用者
全員に説明を行い、自由な選択をしてもらったうえで、結果的に全員に同じ便宜を提
供する、ということは差し支えありません。
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資料6
(1) 通所サービス(通所介護、通所リハビリテーション)
①
利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する
場合に係る費用
②
利用者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを事業者が提供する場
合に係る費用
(2) 短期入所(生活介護、療養介護)
①
利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する
場合に係る費用
②
利用者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを事業者が提供する場
合に係る費用
(3) 認知症対応型共同生活介護
①
利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する
場合に係る費用
(4) 特定施設入所者生活介護
①
利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する
場合に係る費用
(5) 介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス及び介護療養施設サービス
① 入所者又は入院患者(以下「入所者等」という。)の希望によって、身の回り品として日
常生活に必要なものを施設が提供する場合に係る費用
②
入所者等の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを施設が提供する場
合に係る費用
③ 健康管理費(インフルエンザ予防接種に係る費用等)
④ 預り金の出納管理に係る費用
⑤ 私物の洗濯代(介護老人保健施設のみ。介護老人福祉施設は徴収不可)
(6) 小規模多機能型居宅介護、複合型サービス
①
利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する
場合に係る費用
②
利用者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを事業者が提供する場
合に係る費用
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資料6
①「身の回り品として日常生活に必要なもの」とは
⇒一般的に要介護者等の日常生活に最低限必要と考えられる物品(例えば、歯ブラシや化
粧品等の個人用の日用品等)であって、利用者等の希望を確認した上で提供されるもの
をいいます。個人用の日用品であるため、共用で使うものは含みません。
利用者の希望を確認したうえで、個別に提供するものであるため、利用者の選択の余
地なく事業所が一律に提供し、画一的に料金を徴収することは認められません。
「身の回り品として日常生活に必要な物」
例:歯ブラシ、化粧品、シャンプー、タオル等の日用品
事業所が単価を設定し、
利用者等の自由な選択により提供する
⇒徴収可○
事業所で利用者全員に同じものを一律に提
供し全員から画一的に料金を徴収
⇒徴収不可×
※「身の回り品として日常生活に必要な物」の具体例に挙がっていたとしても、介護
に必要である品物については保険給付の対象となるものとの重複関係があるため、
徴収することはできません。
(例)入浴時・清拭時に利用するタオル
食事介助の際に利用するウェットティッシュ等
②「教養娯楽として日常生活に必要なもの」とは
⇒事業者又は施設がサービスの提供の一環として実施するクラブ活動や行事における材
料費等が想定されるものをいいます。①と同様にすべての利用者に一律に提供される
教養娯楽に係る費用(共用の談話室等にあるテレビやカラオケ設備の使用料等)につい
て、「その他の日常生活費」として徴収することは認められません。
教養娯楽に関わる提供されるものの具体例
一律に提供される(選択の余地がない)教養娯楽に係る
費用
・BGM、有線放送・観葉植物のリース代
・動物のエサ代・絵画・花
⇒ 徴収不可
サービス提供の一環として参加者を募集して
行う教養・娯楽に係る材料費等の費用
(習字、お花、絵画、刺繍等のクラブ活動等)
⇒徴収可○
作業療法等機能訓練の一環として行われる
クラブ活動や入所者等が全員参加する定例
行事における材料費等
⇒保険給付に含まれるため徴収不可×
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資料6
・個人の嗜好に基づくいわゆる「贅沢品」
・個人専用の家電製品の電気代
・個人の希望に応じて事業者等が代わって購入する新聞、雑
誌等
・事業者等が実施するクラブ活動や行事であっても、一般的
に想定されるサービスの提供の範囲を超えるもの(例えば、
利用者の趣味的活動に関し事業者等が提供する材料等や、
希望者を募り実施する旅行等)に係る費用
※例示列挙であり、これに限定されるわけではありません。
※個人専用の家電であっても、褥瘡予防マットのように介護に必要な物に関しては電気代
の徴収はできません。
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資料6
問1 おむつ、おむつパッド、おむつの処理代について利用者から徴収することは可能か
(答) 老企 54 号別紙Q&Aに「介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス及び介
護療養施設サービスの入所者等並びに短期入所生活介護及び短期入所療養介護の利
用者のおむつに係る費用については、保険給付の対象とされていることから、おむ
つ代を始め、おむつカバー代及びこれらに係る洗擢代等おむつに係る費用は一切徴
収できないことに留意すること」とあり、それ以外のサービスについては、その他
の日常生活費としての基準を順守したうえでの徴収は可能となっている。
問2 人工肛門を増設している入所者または入院患者のストマ用装具について、その実
費を利用者から徴収することは可能か
(答) その他の日常生活費として徴収は可能であるが、いわき市においては、直腸機
能障害・ぼうこう機能障害の障害者手帳を有する場合、障がい者施策によって費
用の一部が助成される場合があり、いわき市への相談に便宜を図るなど適切な対
応をお願いしたい。
問3 施設内で行った行事等で撮影した写真を単価を定めて販売することは可能か
(答) サービス提供とは関係のない費用として、希望者にのみ販売・費用徴収するとい
うことであれば可能である。
問4 夏季に布団代わりに使用するタオルケットを利用者から徴収することは可能か。
また寝具を家から持参するよう家族にいうことは可能か
(答)
寝具は介護サービス(宿泊を提供するサービス)を提供するうえで必要な物であ
るため、その費用を利用者から徴収することはできない。寝具に関しても施設で用
意すべきものであり、入所者に強制的に持参させるものではない。
問5 利用者の水分補給のために清涼飲料水や経口補水液の代金を利用者から徴収した
り、または家族等に現物を持参させることは可能か。
(答) 利用者の水分補給は、介護サービスを提供するうえで必要なことであり、当該物
品に係る費用は事業者が負担することが原則であるが、嗜好品として、利用者本人
の希望によって事業者が用意した飲み物以外の飲み物を提供する場合などについて
は介護サービスとは関係のない費用として徴収できる場合もある。
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