7.紫外線専門委員会 - 日本化粧品工業連合会

第34回 化粧品技術情報交流会議
紫外線防御測定法に関する2013の活動
~ ISO TC217 WG7における活動と
粧工連自主基準改定に関わる国内外の動き ~
紫外線専門委員会
報告内容

紫外線専門委員会の活動方針

2013年活動実績

ISO TC217 WG7での活動

自主基準の改定

日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進

今後の方向性
紫外線専門委員会の事業方針および事業計画
2013年度
事業方針
社会の変化に対応し、紫外線防止用化粧品にかかわる評価方法、表示方法などに
ついて科学的妥当性および倫理的な観点から検討・評価し、国際的なハーモナイ
ゼーションを構築することにより、化粧品産業の健全な発展に貢献する。
事業計画
1. 社会の変化、環境の変化を捉え、紫外線防御効果測定法の改良・発展を企画し、
粧工連自主基準および紫外線防御の重要性の社会的な周知活動を推進する。
2. 粧工連紫外線防止効果自主基準について国外規制当局、海外工業会への連絡
と測定法の詳細説明を行い、改定に対する理解と協力要請を推進する。
3. ISO/TC217/WG7会議での紫外線防御試験法国際ハーモナイゼーションについ
て以下の項目を推進する。
4. ISO 24443 In vitro Determination of sunscreen UVA protectionの粧工連自主
基準への可能性を検討する。
5. Water resistanceについてWG7内の検討をフォローする。
6. In vitro SPF Ad Hoc Groupに参加し、In vitro SPF試験法の検討動向をフォ
ローする。
報告内容

紫外線専門委員会の活動方針

2013年活動実績

ISO TC217 WG7での活動

自主基準の改定

日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進

今後の方向性
2013年 紫外線専門委員会活動一覧
● 紫外線専門委員会
 第126回 紫外線専門委員会
 第127回 紫外線専門委員会
 第128回 紫外線専門委員会
 第129回 紫外線専門委員会
 第130回 紫外線専門委員会
1月9日
4月10日
7月11日
9月17日
11月11日
●紫外線防御指数表示に関するアジア地域対応タスクフォース(以下、アジア地域対応TF)
 第5回 アジア地域対応TF
1月9日
 第6回 アジア地域対応TF
4月10日
 第7回 アジア地域対応TF
7月7日
●ISO TC217 WG7会議
 韓国
 タイ
5月13日および14日
11月6日および7日
●External SPF in vitro ad hoc group meeting
 パリ
 パリ
 パリ
12月12日および13日 (2012年度)
4月22日および23日
10月1日および2日
報告内容

紫外線専門委員会の活動方針

2013年活動実績

ISO TC217 WG7での活動

自主基準の改定

日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進

今後の方向性
ISO TC217 WG7での活動概要
ISO
国際標準化機構
TC217 「化粧品」に関する技術委員会
WG7
紫外線防止効果測定法に関するワーキンググループ
ISO TC217 WG7におけるこの1年間(2012.11~2013.11)の経過概要
・In vitro SPF測定法
2011年12月に一旦廃案後、Preliminary Work Item(PWI 24445)として再検
討に入り、現在も検討継続中
・耐水性試験法(Water Resistance)
米国からの提案により、水浴法とSPFの保持率を別検討で進行中
1) PWI 16217 – Water resistance
2) PWI 18883 – Determination of percentage of water resistance
・光安定性試験法(Photostability)
In vitro SPFに加えて光安定性の議論を平行して進めることは困難との理
由で2013年5月に廃案
PWI 24445
In vitro SPF測定法
【これまでの検討経過】



被験試料を塗布する基板(プラスチックのプレート)への塗布の再現性が課題と
なり、2011年12月に一旦廃案
その後、2012年1月にIS化のスケジュールの制限のないPreliminary Work Itemと
なりPWI 24445 として検討を継続が決定
ISO内外の専門家により構成されているExternal ad hoc groupが中心となって、
問題解決方法を探る試みを継続
【2013年の進捗状況】


2回目までのリングテストの結果は、ラボ間のばらつきが予想以上に大きく、結果
に大きな影響を与える要因の確定に至っていないが、結果の解析にあたっては、
①repeatability(同一条件下での繰り返し再現性)、②reproducibility(ラボ間、別テ
クニシャン間再現性)、③accuracy(in vivoとin vitroの一致性)の3点について整理
して進めることになった。
2回目までのリングテストでrepeatability とreproducibilityに重要な影響を与える因
子が明らかになっていないため、今後は、塗布ロボットを用いた試験、および一つ
のラボに複数のテクニシャンを集めた試験を実施することで、条件を揃えて各種要
因の影響を検討する予定。
PWI 16217 耐水性試験法 / PWI 18883 SPF保持率測定法
【これまでの検討経過】


一昨年よりISO TC217 WG7内で新たにサンスクリーンの耐水性試験法(Water
Resistance)の検討がスタート。
2012年10月に行われたISO TC217 WG7会議で、水浴方法(Water immersion
procedure)と水浴前後でのSPF保持率(Percentage water resistance retention)
は分けて検討すべきであるとの提案が米国からなされ、それぞれWater
resistance (PWI16217) およびDetermination of percentage water resistance
(PWI18883) の2つに分けて検討開始。
【2013年の進捗状況】



耐水性に影響を与える因子として、水浴時の水流の強さ、水温、水質、水浴時間、
バスタブの形状・大きさ等の影響が考えられたため、これまで4回のリングテストを実
施して、どの因子が耐水性に強い影響を与えるのか検討が重ねられてきた。
2013年5月のISO TC217 WG7会議で、水温、pH、硬度、水浴前後の導電率および
水流速度に基準を設けて、ある程度ラボ間の条件が揃った状態で試験が実施され
た3回目のリングテスト結果が案内されたが、ラボ間のばらつきは予想以上に大き
い結果となった。
各種条件を議論するには、まずはラボ間のデータを安定させる必要があると考えら
れたことから、4回目のリングテストでは、標準サンプルを用いてバリデーションに焦
点を絞ったリングテストを実施することとなった。
PWI 16217 耐水性試験法 / PWI 18883 SPF保持率測定法
【日本の状況】


リングテストには、紫外線専門委員会メンバー企業に定常的に水浴施設を使用して
いる機関がないことから日本は参加していない。ただし、耐水性の議論自体には賛
成のため、積極的に議論には参加。
現在の水浴方法の検討項目のうち、水の硬度条件については注視していく。
一般的に日本の水の硬度は他国と比較して非常に低いため、日本の通常の水の硬度
が外れてしまうような条件が設定されないよう、ISO TC217 WG7会議での検討の行方
を注視する必要がある。ただし、これまでのリングテスト結果からは、水の硬度が結果
に大きな影響を与えるパラメーターであるという結果は得られていない。

耐水性試験で得られた結果を用いてどのように表示法を選択するかについては、
ISO TC217 WG7会議での検討に合わせて、日本国内の紫外線専門委員会でも検
討することになっており、既に幾度か議論を重ねている。大きくは、水浴前後でSPF
を測定してその保持率を求めるヨーロッパ方式か、水浴後のSPFのみを測定する米
国方式かに分かれるが、概ねヨーロッパ方式を押す声が強いものの、一致した結論
は得られておらず、引き続き各社の意見を持ち寄って議論していく予定である。
PWI 18607
光安定性試験法
【これまでの検討経過】

昨年、PhotostabilityがNew Work Item Proposal(NWIP)として提案され、賛成多
数で承認
日本は、「光安定性はIn vitro SPF測定法を考える上で重要な要素の一つで
あり、これ自体独立させて議論すべきものでなく、In vitro SPF測定法とともに
議論される方が好ましい」との立場をとっていたため反対票を投じた
【2013年の進捗状況】


2013年5月のISO TC217 WG7会議にて、米国より、photostability検討のそもそ
もの目的とその標準化の必要性に関して疑義が提示された。
米国の提案をもとに議論された結果、In vitro SPFに加えてphotostabilityの議
論を平行して進めることは複雑なため延期する旨の提案がなされ、その場で各
国の意見確認が行われ、賛成多数でphotostability検討は廃案
日本は「In vitro SPF測定法の検討においてphotostability概念をきちんと考慮
する」ということを条件に「廃案」に賛成した
ISO TC217 WG7での検討の現状まとめ
IS発行に至るまでの流れ
Preparatory Committee Enquiry
PWI
WD
CD
Approval
FDIS
DIS
Publication
IS
In vivo SPF
In vitro SPF
ISO24442
2011年12月発行
Water resistance
In vitro UVA
Determination of percentage
water resistance
Photostability
PW:
WD:
CD:
DIS:
FDIS:
IS:
廃案
Preliminary Work Item
Working Draft
Committee Draft
Draft International Standard
Final Draft International Standard
International Standard
ISO24443
2012年5月発行
In vivo UVA
ISO24444
2010年11月発行
本日の報告内容

紫外線専門委員会の活動方針

2013年活動実績

ISO TC217 WG7での活動

自主基準の改定

日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進

今後の方向性
紫外線防止効果測定法に関わる自主基準の改定
2010年11月
ISO24444 In vivo SPF測定法 発行
2011年10月
日本化粧品工業連合会SPF測定基準<2011年改定版>発行
ISO24444 In vivo SPF測定法をSPF測定法として採用
2011年11月
ISO24444 In vivo SPF測定法の日本語版を作成、会員各社に配布
2011年12月
ISO24442 In vivo UVA 防止効果測定法 発行
2012年6月
日本化粧品工業連合会UVA防止効果測定基準<2012年改定版>発行
ISO24442 In vivo UVA防止効果測定法を自主基準として採用
PA分類を改め、PA++++を新設することを発表(2013年1月1日から発効)
2012年6月
自主基準説明のための冊子「紫外線防止用化粧品と紫外線防止効果
―SPFとPA表示― 2012年改定版」を発行、会員各社に配布
UVA防止効果測定法自主基準改定の案内
自主基準の改定後の動き
In vivo UVA防止効果測定法はその表示法であるPA分類において
PA++++が新設され、2013年1月1日から製品への表示が可能となった。
実際の商品への表示例
市場での大きな混乱もなく、順調に関連企業および消費者に受け入れら
れたと考えている。今後の国内での定着に向けてフォローを続ける。
(海外での日本の自主基準の受け入れにはまだ課題が残っているため、その解
決に向けた取り組みを継続 ⇒ 別途案内)
ISO24443の将来的な採用について
In vivo UVA
ISO24444、2010年11月発行
In vivo SPF
ISO24442、2011年12月発行
In vitro UVA
ISO24443、2012年5月発行
日本の自主基準として採用
日本の自主基準として未採用
ISO24443 の日本の自主基準未採用理由
1.本試験法は、in vivo SPF値を用いてスペクトルの補正を行うことが必
要であり、in vitro法とはいいながらin vivo試験が必須となっている
2.ファンデーションのように粉末主体の製品ではin vivoの UVA値
(UVAPF)との相関が得られていない。そのため、ISO24443ではこれら製
品の除外規定が加えられている
紫外線専門委員会内で、将来的な日本での導入の可能性に向けた議論
継続
本日の報告内容

紫外線専門委員会の活動方針

2013年活動実績

ISO TC217 WG7での活動

自主基準の改定

日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進

今後の方向性
日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進
日本の自主基準改定に伴い、海外、特に近隣のアジア各国の理解を
得るため、粧工連により「紫外線防御指数表示に関するアジア地域対
応タスクフォース」が組織され、紫外線専門委員会もこれに参加し、中
国、韓国、台湾、アセアンの4つの国/地域に対して、日本の自主基準
の説明および各国での受け入れに向けて活動を行ってきた。
日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進(中国)

国家食品薬品監督管理総局(CFDA、旧SFDA)および紫外線の専門家と
の交流会および会議を通して、日本の新しい自主基準の説明と受け入れ
に向けた交渉を重ねてきたが、PA++++表示法の受け入れだけでなく、測
定法としてのISOの受け入れも現時点では実現していない。

CFDAから指摘された受け入れの阻害要因は

表示の上限を上げる(PA++++導入)消費者メリットが分かりにくい

測定方法の科学的妥当性の説明
IS採用における経緯、日本での自主基準改定の考え方と一部測定
検討結果を提示したものの、CFDAの説得には至らず。
日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進(中国)

CFDAの技術専門委員との間で、CFDAの公認紫外線防御指数測定
機関において新試験法(ISO24442: In vivo UVA防止効果測定法)を
実施し、中国での再現性を確認し、その科学的妥当性を評価する共
同研究を実施を計画。共同研究先としては、上海市皮膚病性病医院
の王学民教授を中心として実施することが決定されており、具体的な
検討が進められることとなっている。
日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進(韓国)

2012年8月時点で、PA++++表示については認められない旨のメール
を韓国食品医薬品安全庁(KFDA)より受け取っており、業界団体であ
る韓国化粧品協会(KCA)等との交渉を実施してきた。

2012年11月に発出されたKFDAの機能性化粧品などの審査に関する
規定の一部改正に関するパブコメに対し、JCIAに加えてKCAからも
PA++++表示の新設に関する意見書を提出していただいたが、2013年
6月26日付けで発出された「機能性化粧品などの審査に関する規定
の一部改正告示」においてはPA++++表示導入は見送られた。
日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進(台湾)

2012年8月に実施された台湾食品医薬品安全局(TFDA)とJCIAの交
流会の中で、日本の新たな自主基準の受け入れに向けて説明を実
施した結果、大枠として台湾での受け入れに大きな問題はないと考え
られた。

2013年1月末に数社からPA++++表示製品に関して含薬化粧品の承
認を受けたとの報告があり、2013年2月にはTFDA医療器材・化粧品
組組長 劉麗玲氏より以下の発言があった。「欧米とアジアでは肌質
も異なるので、グローバル地域で基準をハーモナイズするのは難しい。
できればアジア圏で効能効果基準策定に関するワーキンググループ
が立ち上げられればよいと考えている。紫外線表示についても唯一
のオフィシャルな国際会議であるICCRでハーモナイズを検討してほし
いが、欧米とは肌質、化粧品使用習慣が異なるのでアセアンのような
検討フレームが東アジアでも望まれる。JCIAが新設したPA++++表示
についてはTFDAは拒否せず受け入れる。」
日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進(アセアン)

2013年6月21日にタイFDAより紫外線防止製品の防御機能の測定法
および表示方法に関する通知が出され、タイにおいてISO法および
PA++++表示が認められた。

現時点ではアセアン全域の基準とはなっていないため、アセアン全体
の動きは今後も注視していく。
本日の報告内容

紫外線専門委員会の活動方針

2013年活動実績
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ISO TC217 WG7での活動

自主基準の改定
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日本の自主基準改定の海外での受け入れ推進

今後の方向性
この1年の動きと今後の方向性まとめ

日本国内では2013年1月よりISO24442 In vivo UVA 防止効果測定法を取り入れた
UVA防止効果測定基準が発効された。それ伴ってPA分類表示も変更され、2013年1
月よりPA++++を追加した新たな表示方法が開始された。これまで、特に大きな混乱
もないことから、順調に関連企業および消費者に受け入れられたと考えている。

SPF測定法とUVA防止効果測定法の日本自主基準にISO法が取り入れられたことに
よって、日本国内における紫外線防止効果測定法の国際ハーモナイゼーションは大
きな一区切りを迎えたといえるが、すでにISOとして発行されたIn vitro UVA防止効果
測定法は自主基準として採用されていない。

日本の自主基準の海外の各国における受け入れは、継続的な働きかけによって
徐々に進展を見せている。ただし、現時点で新たなPA表示法のみならず、測定法と
してのISO24442自体も受け入れていない中国に対しては、今後も日本の自主基準
の早期の受け入れに向けた働きかけが必要。

国際的な動きとして、ISO TC217 WG7では、In vitro SPF測定法および2つの耐水性
試験に関わる測定法の3つの測定法が継続検討されているが、既に発行された測定
法についても一定期間ごとに見直しすることになっており、In vivo SPF測定法
(ISO24444) については再検討の時期がきている。
今後の活動内容

日本国内における新たな自主基準導入後のフォロー

各国における日本の自主基準の受け入れに向けた働きかけ

ISO24443 In vitro UVA防止効果測定法の日本自主基準への
採用可能性検討

より優れた in vitro SPF法の開発とISOに対する提案

ISO TC217 WG7会議における議論への継続参加

紫外線防止効果表示の将来像と国際ハーモナイゼーションの
検討
Critical Wavelength 法

臨界波長が370nmを超えるとき、”Broad Spectrum Protection”(UVA防御能)があると認める。

測定のための諸条件(プレートの表面粗さ、プレ照射量、塗布量など)がISOのin vitro UVA法と異なる点が多い。
1.10
CW = 328 nm
90%
0.00
300
320
10%
340
360
Wavelength (nm)
380
400
Normalized Attenuation
サンスクリーンの吸光スペクトラムを短波長側(290nm)から積分し、積分面積が全体(290 – 400nm)の90%となる臨界波長を求
める
Normalized Attenuation

CW = 383 nm
1.10
90%
10%
0.00
300
320
340
360
Wavelength (nm)
380
400
ISO Discussions - 進捗状況