ドイツ銀行グループ - Deutsche Bank

年次報告書 2000年 ドイツ銀行
E_GB_001.qxd* 2001.11.2 9:59 AM ページ 1 (ブラック 版)
2000年 業績 年次報告書
2001/2002年の会計処理予定表
2001年5月3日
2001年5月17日
2001年3月31日現在中間報告
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキジビション・センター)にて、株主総会
2001年5月18日
配当金支払
2001年8月1日
2001年6月30日現在中間報告
2001年11月1日
2001年9月30日現在中間報告
2002年5月22日
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキジビション・センター)にて、株主総会
ドイツ銀行
003 83304 02 · 3/01
ドイツ銀行
E_GB_002.qxd 2001.11.2 10:10 AM ページ 2
ドイツ銀行 ドイツ銀行グループの概要
国際会計基準(IAS)に準拠
2000
支払配当総額
単位:百万ユーロ
1株当たり配当金
801
706
1株当たり純利益(営業権償却を除く)
600
489
460
’97
’96
’00
’99
’98
ドイツ銀行支払配当総額
9.9
’96
10.6
’97
11.5
12.0
4.06ユーロ
4.67ユーロ
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を含む)
7.78ユーロ
3.91ユーロ
税引前株主資本利益率(税引前RoE)
(営業権償却を除く)
32.4 %
22.0 %
税引前株主資本利益率(税引前RoE)
(営業権償却を含む)
29.4 %
19.6 %
費用/収益比率(営業権償却を除く)
73.3 %
74.4 %
費用/収益比率(営業権償却を含む)
75.6 %
76.4 %
百万ユーロ
百万ユーロ
6,811
6,619
438
616
11,468
8,084
トレーディング利益
6,891
4,521
投資による純収益
3,107
2,007
21,037
15,746
6,759
4,731
営業費用
’00
’99
従業員数(期末)
単位:千人
再構築費用
30
884
法人所得税
1,780
1,394
純利益
4,949
2,453
2000年12月31日現在
百万ユーロ
1999年12月31日現在
百万ユーロ
総資産
940,033
839,865
貸出金総額
306,981
284,149
報告株主資本
27,509
23,147
BIS規制自己資本比率
12.6 %
12.0 %
BIS規制コア自己資本比率
BIS規制自己資本
50
51
49
49
42
25
27
48
51
支店数
従業員数
26
’97
’98
7.4 %
5.9 %
370億ユーロ
352億ユーロ
店数/人数
店数/人数
2,287店
2,374店
98,311人
93,232人
長期格付
ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ニューヨーク)
’96
4.86ユーロ
7.93ユーロ
再構築費用および税金前利益
’98
9.02ユーロ
8.86ユーロ
純手数料収益
12.6
1.15ユーロ
706百万ユーロ
1株当たり純利益(営業権償却を含む)
貸倒引当金繰入
単位:%
1.30ユーロ
801百万ユーロ
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を除く)
純利息収益
自己資本比率(期末)
1999
’99
’00
Aa3
Aa3
スタンダード・アンド・プアーズ(ニューヨーク)
AA
AA
フィッチ(ロンドン)
AA
AA
6
10
12
アイデンティティー
Leading to results(すべては結果につながる)
−会長からのメッセージ
会社概要
取締役会
すべてのステークホールダーのために
19
23
27
31
35
39
43
ドイツ銀行株は株式相場が軟調に推移するなか健闘
一般個人顧客および富裕層向けバンキング部門
法人顧客および不動産投資銀行部門
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ 部門
資産運用部門
グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門
コーポレート・センター
従業員
47
銀行業務は人材がすべて
社会
51
社会貢献−明日への責任
2000年度の事業展開
55
取締役による概況説明
ドイツ銀行グループ
株主
顧客
2
3
連結決算書
66
67
68
69
70
134
137
169
損益計算書
貸借対照表
株主資本変動計算書
キャッシュ・フロー計算書
注記
調整注記
リスク・レポート
見通し
確認書および経営管理組織
171
178
確認書
経営管理組織
補足情報
180
182
190
191
最近10年の財務ハイライト
用語解説
索引
決算書に関する配布物
本2000年度年次報告書はドイツ銀行グループの2000年における組織体制に基づいている。
アイデンティティー
ドイツ銀行グループは、世界で最高の金融サービス会社となることを目指して、
業務に専念しています。顧客、株主、従業員、そして社会全般に価値を提供す
るために、これまでの経験や持てる能力、そして強固な財務基盤を積極的に活
用するよう努めています。当グループでは、以下の点をあらゆる行動の指針と
しています。
顧客重視
すべての行動の中心に顧客を据え、顧客重視の姿勢を徹底しています。
チームワーク
経験の異なる従業員が、協力することで、多様なビジネスを遂行し、成果をあ
げています。
革新性
顧客のニーズに応えるため、現状に満足することなく、絶えず新しい解決策の
提案に努めています。
パフォーマンス
よりよい結果を生み出すことを重視し、日々業務に取り組んでいます。
信頼
誠実で、しかも公正な態度を貫きます。
ドイツ銀行グループ
Leading to results(すべては結果につながる)
株主の皆様へ
ドイツ銀行グループは、2000年度、株主、顧客、社員、そして社会全般に対
して大きな付加価値を生み出しました。2000年度は当グループの事業戦略上、極め
て重要な年となりました。
当グループの業績は2000年度に過去最高を記録しました。純利益は前年度比
倍増の49億ユーロを達成しています。投資銀行部門の好調を背景とした増収に加え、
ドイツの税制改革の恩恵を享受したアリアンツの保有株式2.8%の売却(structured
placement)が増収に大きく貢献しました。支払配当総額は前年比13%増の801百
万ユーロを提案しています。これは、1.30ユーロ(税額控除を加味したベースでは
1.86ユーロ)の1株当たり配当金に相応します。
2000年度のビジネスは波乱の多い展開となりました。2000年度第1四半期には
素晴らしい業績を達成したものの、その後、市場は混迷を深めました。こうした困
難な状況にもかかわらず、すべての事業部門で年間を通じて比較的安定した収益を
計上できたことは、当グループがこうした状況下でも成功を収めることができるこ
とを示しています。
2000年度にこのように素晴らしい業績を達成できたのは、社員の努力の賜物
です。この場をおかりして、社員の皆さんに感謝の意を伝えたいと思います。競争
の激化する金融サービス業界にあって、優秀な人材を確保、維持し、またそうした
社員の熱意を支えることは非常に重要です。最も大切な資産と言える社員を擁して
いることを誇りに思うと同時に、今後も、世界的な規模で魅力ある職場を提供する
努力を惜しみません。
2000年度、当グループは業務効率をさらに上げ、グローバルな成長戦略を実
践、また欧州における地盤を一層強固なものにしました。バンカース・トラストと
の円滑な統合などを受け、投資銀行業務は拡大し、「バルジ・ブラケット(bulgebracket)」の仲間入りを果たしました。私たちのホームマーケットである欧州では、
今後も主導的な役割を果たすべく地位を強化しています。ドイツ国内で既に成功を
収めているドイチェバンク24を、欧州の他の地域で進めているサービスと統合し、
さらに「マックスブルー(maxblue)」のブランド名で、欧州において展開するオン
ライン証券業務との相乗効果も視野に入れています。個人顧客に幅広い選択肢を提
3
供することで、一般個人顧客向けバンキングの分野で、欧州金融機関として不動
の地位を築くことができるものと確信しています。一方、米国においても、オン
ライン証券会社で、ナスダックのマーケット・メーカーでもある、ナショナル・
ディスカウント・ブローカーズ・グループ・インクの買収を通じて、同ビジネス
の足場を固めています。
e-コマースおよびインターネットの重要性は、今後ますます高まることで
しょう。また、競争の激化する金融業界においては、革新性が何よりも重要にな
っています。当行では、e-コマースを事業戦略の中枢に据え、すべてのビジネ
ス部門においてe-コマースの活用を推進しています。一方、過去数年間にわたっ
て、電子サービス分野への投資を行ってきましたが、こうした投資は適切で、し
かも先を見据えたものであったことが証明されつつあります。例えば、オンライ
ンによる証券の販売において、当行は国際的な金融機関として主導的な役割を果
たすとともに、他の金融機関と協力して、オンラインの活用に対して、金融業界
における初期段階のグローバルな指針を確立する上でも大きな役割を果たしまし
た。
当行の目標は明確です。中核ビジネスに注力することで収益の拡大を伴う
成長を遂げること、そして、欧州金融サービス業界の統合に向けて積極的な役割
を果たすことです。こうした目標を達成するために、昨年初旬には、ドレスナー
銀行と提携を視野に入れた交渉を行いました。この交渉が不成立に終わったこと
は、当行に悪い影響を与えたと言うよりもむしろ、自行の強みを再認識し、内在
的な成長の可能性を探るよい機会となりました。それから1年が経った現在、当
行の財務基盤および事業戦略はともに健全であり、また将来に対する確信に溢れ
ています。当行では、投資に関するアドバイスをあまり必要としない個人顧客向
けビジネスにおいては、他社と提携して販売チャネルを拡大するなど、スケール
メリットの追求こそが、長期的な成功の秘訣であると確信しています。こうした
信念のもとで、自行の成長だけでなく戦略的な提携も視野に入れることで、欧州
全域における市場シェアの拡大を目指しています。
新体制の下では、顧客重視の姿勢を徹底し、組織を2つに集約しました。
これは、当グループのビジネスモデルを強化し、さらなる成長に向けて重要なス
テップとなっています。「投資銀行部門(CIB)」においては、法人顧客および機
関投資家に、魅力的な金融商品やサービスを窓口を統一して提供しています。一
4
ドイツ銀行グループ
方、「個人顧客および資産運用部門(PCAM)」では、個人顧客向けサービスと個
人顧客および機関投資家向け資産運用サービスを統合しました。これにより、個
人年金や企業年金の分野を始め、資産形成に係わる幅広い領域や急拡大している
アドバイザリー・サービスなどの分野における基盤を強化しました。当行は、昨
年、投資銀行ビジネスで世界で主導的な地位を確立しましたが、個人顧客および
資産運用ビジネスでもさらなる成長を追求し、グループ全体の収益構造のバラン
スを図っていきたいと考えています。
こうしたことは、2001年2月に公表した新体制の目標にも反映されています。
1株当たり純利益(保有株売却の利益を除いたベース)を2003年まで年率15%を
上回るペースで拡大し、また税引後株主資本利益率(税引後RoE)も年率で平均
15%超の達成を目指しています。
当行は、株主、顧客、従業員、社会全般の利益のために業務を遂行し、付
加価値を生み出すために努力を惜しみません。当行のあらゆる行動の指針となる
理念に変化はありません。これまで同様に、前途にあふれる可能性に挑戦してい
きたいと思います。
今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い致します。
ロルフ-E.ブロイヤー
取締役会会長
2001年3月
フランクフルト・アム・マイン
5
会社概要
新体制のもとで意欲的な目標に向かって、新しいミレニアム
に突入。
ドイツ銀行は、2001年2月1日以降、 れ、実際の業務は、「投資銀行部門(CIB)」
新体制のもとで事業運営を行っている。こ
と「個人顧客および資産運用部門(PCAM)」
の度の組織変更は、世界的に主導的な金融
の2部門が行う。
サービス会社の一社になるという目標を実
現するために実施された。事業の成長を重
この度の新体制導入の目的は次の通り
である。
視することで、従来の5部門から、取締役
- 預金、クレジット、資本市場、投資・
会の傘下に2部門へと組織を集約した。ド
運用アドバイザリーなど、広範にわた
イツ銀行グループは、新体制のもとでも、
る業務分野で、これまで以上に顧客重
引き続き、事実上の持株会社として運営さ
視のスタンスを徹底する。
- 法人顧客部門と投資銀行部門の連携を
強め、さらに、ポートフォリオ投資と
世界的ネットワーク*
* ドイツ銀行のグローバルな店舗網(インターネット):www.deutsche-bank.com/offices
6
ドイツ銀行グループ
運用の間の緊密性を高めることで、発
新体制
行体と投資家の双方の利益最適化を目
グループ取締役会
指す。
- 収益と費用の両面で大きな相乗効果を
コーポレート・センター
図る。
投資銀行部門
個人顧客および
資産運用部門
セールス/トレーディング
コーポレート・ファイナンス
トランザクション・バンキング
パーソナル・バンキング
プライベート・バンキング
資産運用
グローバル・テクノロジー
グローバル・テクノロジー
新体制の下で再編された2部門は、顧
客重視の姿勢を徹底し、次の2つの点で収
益の増加に貢献することが期待されてい
る。第一に、顧客ニーズに適した商品の提
供を拡大する。この意味で、顧客対応と顧
客に提供する商品の開発の役割を分け、
各々の責任を明確にしたことは大きな前進
DBサービス
である。第二に、社内効率が改善され、営
業上のチャンスが増大する。こうした収益
コーポレート・インベストメンツ
拡大とコスト削減の効果として、2003年
までに年間15億ユーロの実現を見込んでい
投資銀行部門は、M&Aアドバイザリ
ーや証券の発行などグローバルに成長が期
る。
待できる分野で、主導的な地位を築くため
投資銀行部門
の基盤を整えている。
投資銀行部門は、セールス/トレーデ
ィング、コーポレート・ファイナンス、ト
ランザクション・バンキングの各業務を、
個人顧客および資産運用部門
個人顧客および資産運用部門は、個人
新たに設けられたコーポレート・バンキン
顧客を対象とした伝統的銀行業務や証券業
グ・アンド・セキュリティーズ、トランザ
務、アドバイザリー業務に加えて、個人投
クション・バンキングの各セグメントに統
資家および機関投資家向けに資産運用業務
合する。これにより、機関投資家、中小企
を世界的規模で展開している。これにより、
業、多国籍企業の顧客に対して、窓口を一
同部門の販売力はますます強まっている。
本化して対応することが可能になる。つま
同部門は、パーソナル・バンキング、プラ
り、以前には分離していた業務を併合する
イベート・バンキング、資産運用の各業務
ことによって、既存顧客だけでなく新規の
で構成されている。
顧客ニーズに適応した金融サービスを、よ
り効率的に提供することができる。
7
この度の組織改革によって、当グルー
ービスを提供している。この分野において
プは初めて、情報技術(IT)の責任を各部
は、他企業との提携も視野に入れて推進し
門に移行した。今後は、各部門が、ITの開
ていく。
発やアプリケーションの活用の責任を直接
に負うことになる。これにより、商品開発
コーポレート・センター
や顧客対応に係わる分野で、ITの開発およ
グループ全体のスタッフ業務は、規模
び活用が、これまで以上に迅速で、また効
を大幅に縮小し、コーポレート・センター
率的に実行することが可能になる。
で引き続き遂行している。コーポレート・
センターは、グループ全体にわたる計画の
立案や監督、運営ならびに規則やリスク関
コーポレート・インベストメンツ
新たに設けられたコーポレート・イン
連業務に重点を置く。
ベストメンツは、DBインベスターによる
保有株式の積極的な運用、さらに当行のプ
2003年までの新たな経営目標−ドイツ銀行
ライベート・エクイティやベンチャー・キ
グループ
ャピタルへの投資を統合し、運営する。こ
当行では、新体制の導入によって、コ
れにより、こうした投資からのリスク調整
ストの削減と収益基盤の拡大を図り、今後
後のリターンを最大化することを目指して
数年間で、目標としている成長を達成でき
いる。
るものと確信している。新体制のもとでの
収益目標は次の通りである。
- 企業価値を増加させる。具体的にはグ
DBサービス
新設のDBサービスは、ドイツ銀行グ
ループ全体で1株当たり純利益を少な
ループ内だけでなく対外的な顧客向けサー
くとも年率で15%増加させる。この数
ビスを統括する。グループ内の管理業務や
字には、価格および売出し規模が市況
グループ全体に係わる購入業務など、様々
環境に大きく依存するため、保有株式
な業務サポートをDBサービスで一括管理
の売却利益は含まれていない。
することで、スケールメリットの享受を目
- 第2の目標としては、税引後株主資本
指している。一方で、対外的にも同様のサ
利益率(RoE)を平均して15%以上に
する。このため、当行の過少株主資本
を収益に積極的に活用していく。
グループ
目標
1株当たり純利益の成長率(年率)*
> 15 %
平均株主資本利益率 **
> 15 %
* 2000-2003
** 2001-2003/税引後/営業権償却を除く
8
ドイツ銀行グループ
投資銀行部門
投資銀行部門
投資銀行部門では、商品開発力と販売
力の相乗効果を十分に発揮すること、さら
目標
収益増加率(年率)*
に伝統的な銀行サービスの枠を超えた、セ
税引前利益増加率(年率)*
ールス/トレーディング、コーポレート・
平均株主資本利益率**
ファイナンス、トランザクション・バンキ
* 2000-2003
** 2001-2003/税引前/営業権償却を除く
>5%
> 10 %
30 %
ングなどのサービスを従来の顧客だけでな
く、中小企業の顧客にも提供すること、の
さらに重要な目標としては、収益の質
2点を戦略上の目標としている。こうした
の向上がある。このために、資本投入の必
戦略の実現に向けて邁進することで、当行
要性が低く、しかも安定した収益が見込め
は、この分野で急速に拡大している欧州市
る事業をこれまで同様に拡大していく予定
場においてシェアの増大を目指している。
である。
資本集約的な事業については、収益が
当行では、グローバルな販売拠点を通
限定されているため、更なる縮小を図る一
じて、幅広いバンキング・サービスを顧客
方、与信ポートフォリオ管理とリスク管理
に提供している。特に、世界的に成長が見
の一元化を進める。これらの措置は、資本
込まれる資産運用ビジネスにおいては、同
収益性の向上につながるものと考えられ
部門を通じて、積極的に参加していく基盤
る。
を整えている。
最後に、投資銀行部門では、コストの
削減にも取り組む。同一の顧客への重複し
た対応を減らし、情報技術の基盤を共有化
するなど合理化への可能性を模索する。さ
らに、電子媒体を通じた販売方法の推進も
加速させる。
個人顧客および資産運用部門
個人顧客および資産運用部門では、収
益の拡大が著しい分野に注力していく方針
である。具体的には、欧州、北米およびア
個人顧客および資産運用部門
目標
ジア太平洋地域における、富裕層の獲得に
力を注いでいく。同部門のすべての業務に
おいて、販売チャネルの多様化を推進して
く上で、e-コマースの活用が重要になって
いる。
収益増加率(年率)*
> 10 %
税引前利益増加率(年率)*
> 30 %
平均株主資本利益率**
70 %
* 2000-2003
** 2001-2003/税引前/営業権償却を除く
9
取締役会
ロルフ - E. ブロイヤー
10
Rolf-E. Breuer
ヨゼフ・アッカーマン
1937年生
Josef Ackermann
1985年取締役就任
1948年生
取締役会会長
1996年取締役就任
個人顧客および資産運用部門最高責任者
投資銀行部門最高責任者
コーポレート・インベストメンツ最高責任者、この他、ブラン
セールス/トレーディングおよびコーポレート・
ド・エクイティ、経営開発、社内外広報、IR、法務およびコン
ファイナンス(カール L. フォン・ベーム・ベツィ
プライアンス、プレス、経営幹部の能力開発で責任を負う。
ンクと共同)統括責任者
トーマス R. フィッシャー
テッセン・フォン・ヘイデブレック
Thomas R. Fischer
Tessen von Heydebreck
1947年生
1945年生
1999年取締役就任
1994年取締役就任
チーフ・リスク・オフィサー、チーフ・
個人顧客および資産運用部門において
オペレーティング・オフィサー、
プライベート・バンキング統括責任者
トレジャリー統括責任者
人事担当統括責任者
ドイツ銀行グループ
カール L. フォン・ベーム-ベツィンク
Carl L. von Boehm-Bezing
1940年生
1990年取締役就任
投資銀行部門においてトランザクション・バ
ンキングおよびコーポレート・ファイナンス
(ヨゼフ・アッカーマンと共同)統括責任者
クレメンス・ベルジック
Clemens Börsig
1948年生
2001年取締役就任
ファイナンシャル・コントロール、税務
および監査統括責任者
マイケル・フィリップ
Michael Philipp
1953年生
2000年取締役就任
個人顧客および資産運用部門において
資産運用統括責任者
ヘルマン-ヨゼフ・ランベルティ
Hermann-Josef Lamberti
1956年生
1999年取締役就任
個人顧客および資産運用部門におい
て、パーソナル・バンキング統括責
任者
情報技術統括責任者
11
すべてのステークホールダーのために
ドイツ銀行は、株主、
顧客、従業員、社会に責任を負っている。
企業は、経済活動のみを目的として運
収益は、顧客ニーズを満たし、魅力的な商
営されているのではなく、社会の一員でもあ
品と優れたサービスを適正な価格で提供す
る。それゆえに、企業は、その意思決定にお
る、企業の能力に大きく依存している。当
いて、様々な関係者の利害を考慮しなければ
行にとって、顧客は、あらゆる活動の指針
ならない。
である。当行が提供するサービスに満足の
ドイツ銀行は、株主、顧客、従業員、社
いく結果が得られた顧客は、当行との取引
会を4つの重要なステークホールダーと考え、 を今後も継続するであろう。
対等なパートナーと位置付けてきた。この4
者間の利害バランスを維持していくことは、 従業員
金融サービス会社の利益は、意欲的で、
当行が克服するべき大きな課題である。また、
当行では、企業アイデンティティーのなかで、 創意工夫に満ち、プロフェッショナルな従
これらの主要なステークホールダーに付加価
業員によって生み出される。銀行サービス
値を絶えず創造していくことを掲げている。
の複雑化や顧客への直接対応が重視されて
いる現在では、従業員の役割はますます重
要になっている。
株主
銀行の成長は、株主からの十分な資本
優れた人材を発掘し、維持していくこ
の提供に大きく依存している。しかしなが
とは、企業にとって特に重要な課題である。
ら、株主は、資本市場の他の商品と比較し
業種や規模の大小を問わず、あらゆる企業
て遜色のない利回りが得られ、投資リスク
が優れた人材を獲得するために競合してい
の面からも妥当だと判断できる場合にの
る。当行では、広範なキャリアプランの提
み、銀行に資本を提供する。一方、資本市
供や給与面での厚遇、研修制度などを充実
場では多様な投資機会があり、当行が投資
させることで、人材の獲得に対応している。
対象として選ばれるためには、こうした激
今後も、魅力的な職場環境を提供するため
しい競争にうち勝ち、市場や商品と自らの
に、当行は、従業員を重視した経営施策の
戦略を調整していく必要がある。そうする
見直しを行っていく。
ことによってのみ、当行の株式は、個人投
資家および機関投資家の両者にとって、魅
力的な投資対象であり続けるものと確信し
ている。
社会
企業の成功は、政治や社会との関わり
合いによっても決まる。当行は、文化、科
学および社会事象に幅広く関与しており、
こうした活動を通じて社会に対する責任を
顧客
12
あらゆる企業の収益は、顧客の満足度
負担している。このような活動には、芸術
が大きな要因になっている。つまり、企業
の後援や文化的伝統の保存が含まれてい
ドイツ銀行グループ
る。当行は、市民社会の一員として、他の
すべての市民と同様に、社会貢献の必要性
を認識している。特に、当行が重きを置い
ているのが、若い世代が将来に向けて展望
が開けるよう、様々な活動を継続的に支援
する事である。本年度の「アルフレート・
ヘールハウゼン・ソサイエティ・フォア・
インターナショナル・ダイアログ(Alfred
Herrhausen
Society
for
International
Dialogue)」のテーマは、「将来への展望∼
激化する教育」である。教育や訓練は、若
い世代が国内および国際的な責任を果たし
ていく上でも、また、人間形成の面でも不
可 欠 と な っ て い る 。 さ ら に 、「 自 助 支 援
(Helping People to Help Themselves)」基金
では、他社との協力のもとで、社会構造の
改善を目指した行動を推進している。
開放性と多様性
当行の2000年度年次報告書では、こう
したステークホールダーに対して、テーマ
を持ったメッセージを伝えるという、従来
四大要素
のアプローチを継続している。当行の年次
報告書に掲載されているデータや主要な数
値、およびその説明は、一般的な年次報告
書の内容を超えるものとなっている。当行
株主
顧客
従業員
社会
では、情報の透明性を重視し、当行に関心
を抱くあらゆる人物との対話を重視したい
と考えている。また、日々、緊密性を増し
ている現代において、グローバル企業とし
て主導的な役割を果たすことも目指してい
る。ドイツ銀行は、デモクラシー、寛容、
平等を徹底的に追求することで、こうした
責任を果たしていく所存である。
13
株主
顧客との良好な関係が株主への高いリターンを可能にする。
2000
1999
19981
構成上の
グループ別株主
機関投資家(銀行を含む)
81 %
77 %
64 %
データ
株式資本中の比率
個人投資家
19 %
23 %
36 %
地域別内訳
ドイツ
48 %
51 %
–
株式資本中の比率
欧州連合(ドイツを除く)
33 %
30 %
–
スイス
9%
7%
–
アメリカ合衆国
9%
9%
–
その他
1%
3%
–
+ 7.3 %
+ 75.6 %
– 21.9 %
6.0 %
5.6 %
6.6 %
62
60
–
主要な数値
ドイツ銀行株式の投資収益の変化
ドイツ株式市場の出来高に占めるドイツ銀行株式の割合
2
株主満足度指数
特別
インターネット上のサービス
プロジェクト
サービスの質の向上
1
2
14
IRの機能を充実
ユーロ圏のIR活動を積極化
電子メールによる中間報告書の任意送付
1999年8月末、ドイツ銀行の無記名株式は記名株式に転換。それ以降、株主は、電子株主名簿に登録されており、1999年および
2000年の数字はこれに基づくものである。データ収集方法の相違により、1998年の各数値は1999年、2000年の数値とは完全に対
応しない。
本指数は、株式の予想パフォーマンスおよび当社の一般的な情報評価に基づいて算出されている。1999年に初めて算出。1999年は
アンケート方式、2000年はドイツ銀行株主総会で実施された。
ドイツ銀行グループ
顧客
収益は当行との絆が強い顧客の満足度に依存している。
2000
1999
1998
8,872,000
8,419,000
493,000
449,000
400,000
法人顧客および不動産投資銀行部門
127,000
117,000
112,000
グローバル・コーポレート・アンド・
インスティテューションズ部門
2,200
1,700
1,200
法人顧客
6,300
5,700
4,500
個人顧客
4,700,000
構成上の
顧客数
データ
一般個人顧客および
パーソナル・バンキング(ヨーロッパ)11,200,000 1
富裕層向けバンキング部門
富裕層向けバンキング
資産運用部門
グローバル・テクノロジー・アンド・ グローバル・インスティテュー
主要な数値
11,500
4,100,000
3,600,000
1
6,000
–
–
70
サービス部門
ショナル・サービス
パーソナル・バンキング
顧客満足度指数
67 2
顧客忠実度指数
69
2
–
72
顧客満足度指数
–
71
–
顧客忠実度指数
–
82
–
1
1
3
1
1
1
1
1
–
(ドイツ国内)
法人顧客および不動産投資銀行部門
3
(ドイツ国内)
グローバル・コーポレート・アンド・
インスティテューションズ部門
ユーロマネー誌の「ポール・オブ・
ポールズ」における順位
4
資産運用部門
DM/スタンダード・アンド・プアーズ
における順位
グローバル・テクノロジー・アンド・
サービス部門
MACRO インターナショナル・
インスティテュートにおけるユーロ・
キャッシュ・クリアラー順位
特別
イノベーション・チームおよび
プロジェクト コンペテンス・チーム
映画およびテレビの領域における拡大、再生可能なエネルギーおよび医学技術
(法人顧客)、顧客グループに対する従来からの家族財産管理、ニュー・エコノ
ミー、企業のためのトップ・マネージャーやポートフォリオ・マネジメント
(富裕層向けバンキング部門)
dbマーケットプレース
B2B(企業対企業)取引のプラットフォーム。特に、取引処理/決済と市場参
クライアント・ポータル
総合口座や商品/ポートフォリオ情報へのアクセスが可能。個別のインターネ
ットページの提供。市場データ、リサーチ情報へのアクセスおよび証券/外国
為替の直接取引(全顧客グループに対する個別サービスの提供)。
加者の認証を確実化。
,
1
2
3
4
計算基準変更。
1998年の数字は算出基準の相違により比較できない。
顧客満足度指数と顧客忠実度指数は、0から100までの数値で評価。顧客の意識調査は原則として2年毎に行われる。
“ ビック・グループ ” においては5年以上の業績である(1999年以前:DM/マイクロパル)。
15
従業員
構成上の
データ
献身的で優秀な従業員が顧客との絆を強める。
学歴
年齢構成
特別
1999
1998
98,311
93,232
75,306
大学
37.2 %
36.8 %
32.6 %
高校卒業証明書
32.3 %
32.0 %
32.8 %
従業員
地域別配置
主要な
数値
2000
その他修学証明書
30.5 %
31.2 %
34.6 %
ドイツ国内
51.5 %
55.0 %
64.7 %
欧州(ドイツを除く)
24.2 %
20.9 %
20.6 %
北米
16.2 %
15.7 %
6.6 %
南米
0.6 %
0.9 %
0.6 %
アジア/太平洋
7.2 %
7.3 %
7.3 %
アフリカ
0.3 %
0.2 %
0.2 %
24歳以下
11.2 %
12.0 %
12.5 %
25-34歳
38.3 %
38.0 %
37.2 %
35-44歳
29.4 %
28.9 %
28.4 %
45-54歳
16.7 %
16.6 %
17.3 %
54歳超
4.4 %
4.5 %
4.6 %
従業員コミットメント指数1
欠勤率2
72
66
–
2.3 %
2.4 %
2.7 %
転職により当行を離職する従業員の割合3
7.8 %
6.8 %
5.7 %
研修および上級研修のための費用4(単位:百万ユーロ)
237.2
222.4
201.7
従業員株式を購入する従業員の割合
65 %
65 %
62 %
グローバル・エクイティ・プランに
参加している有資格管理職の割合
77 %
79 %
83 %
グローバル化−異文化間
クロス・ボーダー管理プロセスの効果の改善
プロジェクト マネジメント技術プログラム
1
2
3
4
5
16
共同投資および
繰越持分プラン
当行の顧客への付加価値提供のための経営陣と従業員のコミットメント増強
時間外手当の移動可能な利付口座
生活や教育、キャリア・プランの向上を図る施策による雇用主としての魅力
の改善(休暇や労働期間の改善)。
従業員コミットメント指数は2度目の算出。
欠勤率は、標準労働時間内の病気による欠勤を示す。
年間平均従業員数を基に算出。
1999年度の研修および上級研修には各部門に配属された推進グループは含まれていない。
グローバル・エクイティ・プランの基準数値APIPS(調整後税引前1株当たり純利益)は、1995-1997年4.18ユーロ、1998-2000年
4.81ユーロと推移した。
ドイツ銀行グループ
社会
当行は、地域社会へのコミットメントを通じて従業員のアイデンティティを強化。
構成上の
データ
主要な
数値
ドイツ銀行がビジネスを展開している国の数
2000
1999
1998
73
70
66
ドイツ銀行グループに関係する基金やその他慈善機関による支出およびプロジェクト関連の支出
(単位:百万ユーロ)
社会事象1
ドイツ銀行アルフレート・ヘールハウゼン基金
「自助支援」
5.0
5.3
5.3
14.4
13.5
–
ドイツ銀行シチズンシップ英国
4.2
3.6
1.0
アレックス・ブラウン・アンド・サンズ慈善基金
4.2
2.0
–
ドイツ銀行アメリカ基金
2
文化
社会および科学
環境
特別
マイクロクレジット・
プロジェクト ディベロップメント・
その他のプロジェクト関連支出
0.5
0.5
0.5
ドイツ銀行文化基金
3.7
3.5
3.1
その他のプロジェクト関連支出2
0.9
1.7
1.5
シュティフターフェアバント・ヒュア・
ディ・ドイチェ・ヴィッセンシャフトへの
ドイツ銀行の研究基金
5.7
5.3
4.9
ヴィッテン/へルデッケ大学の
ドイツ銀行家族経営企業研究所
1.1
0.6
0.2
アルフレート・ヘールハウゼン・ソサイエティ・
フォア・インターナショナル・ダイアログ
0.7
0.8
0.8
ISO14001、ワールドワイド・ヤング・リサーチャーズ・
フォア・エンバイロメント(WYRE)、UNEPカンファレンス
3.3
2.3
1.9
プロトタイプの炭素基金/世界銀行
5.2
–
–
経済的に恵まれない人々の経済的自立の支援、発展途上国の重視、起業資金貸付の多
層的システム
ファンド
グローバル・コンパクト
政府、非政府機関および産業界の間の対話促進のための国連イニシアティブに対する
支援
アレックス・ブラウン
200周年記念
非営利教育プロジェクトに対する支援(支援プロジェクトの例:世界的に有名な美術
館と市内の学校との間のパートナーシップ、歴史的倉庫を修復し教育センターとして
活用するプロジェクト、若い起業家のための大学センターの設立)
ウイメン・オン・ウオール
金融業界で働く女性のキャリア機会向上のためのネットワークの育成
ストリート/ウイメン・イン・
ヨーロピアン・ビジネス
1
2
米国の各基金は1999年に初めて導入された。
コーポレート・センターにおけるもののみ。
17
業績
2000年度にドイツ銀行の株価は上昇し、業績も好調であったことは、
当社のドイツ銀行への投資が正しかったことを示している。さらに、ラ・カイシャ
(la Caixa)とドイツ銀行は、共同で、戦略上のe-コマース・プロジェクトを推進
している。このなかで両社は、技術面のノウハウだけでなく、それぞれ強みを発揮
する市場に関する知識の蓄積も図っている。
ホセ・ヴィララサウ
José Vilarasau
ラ・カイシャ 会長
バルセロナ
株主
ドイツ銀行株は株式相場が軟調に推移するなか健闘
ドイツ銀行の株価は、厳しい相場展開となった2000年の株式市場において極
めて良好に推移した。
株価は市場動向に反して推移
2000年度、ドイツの株式相場が全般に
ドイツ銀行株は、2000年末時点におい
てDAX株価指数の6.2%を占めている。一方、
下落基調となったなか、ドイツ銀行の株価
2000年度中の当行株式売買高は約2,320億
は6.8%上昇した。ドイツの株式市場を代表
ユーロに達し、DAX構成銘柄中、第4位の
するDAX株価指数は7.5%下落した一方、銀
売買高となった。ユーレックス(Eurex)
行株価指数CDAXも2.3%下落した。こうし
においても、当行株式を対象とした取引は
たなかで、ドイツ銀行は、ドイツの主要銀
活発に行われている。
行株のなかで上昇した唯一の銘柄となった。
2000年末において当行株式は、無額面
また当行の株価は、欧州優良株価指数であ
株式616,514,046株となっている。時価総額
るダウジョーンズ・ストックス50の年間
は、前年度比で約40億ユーロ増の552億ユ
2.6%の下落を大幅に上回る推移を示した。
ーロとなり、ドイツの全銘柄のなかで第5
当行の株価は2000年度初旬に68.75ユ
位を占めている。
ーロの最安値(3月31日)まで下落したが、
2000年度中に50%上昇し、8月中旬には
103.27ユーロの最高値を記録した。こうし
た急反発の背景には、2000年度前半の業績
が好調であったことに加え、ドイツ税制改
革法案の可決により当行の保有株への恩恵
が見込まれたことがある。しかしながら、
ドイツ銀行株式に関する情報
特に明記するべき点は、ドイツ銀行が「バ
ルジ・ブラケット」と呼ばれる少数の優れ
た投資銀行グループの仲間入りすることを、
資本市場において認められたことである。
2000
ドイツ銀行株式の投資収益の変化
+ 7.3%
ドイツ株式市場の出来高に占めるドイツ銀行株式の割合
6.0%
一日当たりの平均出来高
1,070万株
2000年第4四半期の株式市場の全般的
な低迷、特にいわゆるニュー・エコノミー
銘柄への幻滅が広まる中で一部銘柄の大幅
な下落に引きづられ、2000年度末の当行の
2000年12月31日現在
発行済株式数
616,514,046 株
株式資本
1,578,275,957.76ユーロ
時価総額
552億ユーロ
株価
89.51ユーロ
株価の終値は89.51ユーロとなった。また、
DAX株価指数に占める比率
6.2%
米国における信用リスクの高まりに対する
ダウジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率
1.5%
懸念も投資家マインドを冷え込ませた。
有価証券識別上の数値:
記名株式 514 000
ADRスポンサード・レベルワン*
ロイター DBKGn.DE
比率
1:1
ブルームバーグ DBK GR
記号
DTBKY
US-CUSIP
251 525 309
* 店頭取引
19
魅力的な投資対象
は存在しない。欧州最大の貯蓄銀行である
ドイツ銀行の株式は、長期的な投資収
スペインのラ・カイシャ(la Caixa)は、当
益からみて絶対的にも相対的にも魅力的な
行株式の約4%を保有していることを明ら
保険会社、
投 資 対 象 と な っ て い る 。 1980年 初 頭 に
かにしている。
投資信託会社27%
10,000ユーロ相当のドイツ銀行株式を取得
株式資本の分布
616.5百万株
被雇用者および
年金受給者11%
その他個人8%
した投資家は、その後買い増しをせずに、 株主総会への出席状況
配当金のみを当行株式の追加購入に充当し
2000年6月9日の株主総会には、当行の
た場合、2000年度末時点で127,853ユーロ
議決権株式の31.9%(1999年:37.5%)に
の株式を保有していることになる。これは
該当する約5,600名(1999年:6,500名)の
年間平均で12.9%の収益に相当する。同期
株主が出席した。出席比率が過去最低とな
間の銀行株価指数CDAXおよびドイツDAX
った原因としては、登録株式に対する従前
株価指数の年間収益率各々10.5%、13.0%
の15か月委任状の適用範囲が非常に限定的
と比較すると、ドイツ銀行株のパフォーマ
であったことが挙げられる。しかし、2001
ンスは銀行株価指数CDAXを大きく上回り、 年初頭からの法規制の変化に伴い、出席率
ドイツDAX株価指数とほぼ肩を並べる水準
になっている。
向上の可能性は大幅に高まっている。
2000年の株主総会においては、すべて
の決議が多数の賛成により可決された。ま
国外における広範な株主層
その他機関投資家
および事業法人54%
株主構成
494,219人の株主
その他個人35%
機関投資家2%
株主名簿に登録されている株主数は、 に係わる承認も初めて得られた。過去数年
1999年度末の538,548人から2000年度末に
間と同様に、株主総会への参加者を対象に、
は494,219人へと減少した。銀行を含む機関
株主の満足度に関するアンケートを実施し、
投資家は、株式資本1,578,275,958ユーロの
このなかで株主総会出席の動機や投資対象
81%相当を保有している。外国人持株比率
としての当行株式の評価などに関する質問
は、前年度の48%に対して51%となった。 を行った。当行の株主満足度は若干の増加
諸外国のなかで、最も保有比率が上昇した
国はスイスである。当行の株式資本の約
1.3%は米国預託証券を通じて保有され、米
国で店頭取引されている。
ドイツ証券取引法第21条により、5%
超の株式を保有する株主については報告義
務があるが、これに該当する当行の大株主
被雇用者および年金受給者63%
20
た、本株主総会では、株式買戻プログラム
となっている。
株主
ニュー・メディアの積極的な利用
当行の株主は2000年より、株主総会の
個々の議案に関して、インターネットを通
ケーションの一つの手段として電子媒体の
活用を増やしているが、同時に投資家への
個別対応も重視している。
じて意見を述べることが技術的に可能にな
った。これはドイツの企業としては先駆的
な取り組みである。また、個人株主と機関
投資家の双方に、タイミングと内容の両面
において、平等に情報を提供するため、イ
ンターネットの利用を拡大している。例え
ば、中間報告書は、報道機関に開示される
のと同時にインターネット上でも掲載され
ている。一方、当行のホームページ
(www.deutsche-bank.com)は、1か月当た
り270万回以上のヒット件数を記録し、こ
の数字はさらに増加している。さらに、当
行の株主は、年3回発行される中間報告書
を電子メールで受け取ることもできる。当
行では、個人株主との間の迅速で容易なコ
ミュニケーション手段として、インターネ
ットの利用を拡大していく方針である*。
世界中の機関投資家および銀行アナリ
株価の長期的な推移
ストに対しては、これまでと同様に、取材
に応じるなどの直接的な手段でコミュニケ
1,500
ーションを図っていく。こうした業務を担
当しているのは、インベスター・リレーシ
1,300
ョンズ(IR)部門であり、同部門はバンカ
1,100
ース・トラストの買収を受けてニューヨー
900
クにもオフィスを置いている。当行では、
700
300回以上の個別ミーティングを開いて、
事業戦略や業績について個々に対応した。
500
また、ドイツ国内外で大小多数の機会を設
300
けて会社説明を行った。当行は、コミュニ
100
’80
* www.deutsche-bank.com/ir
’82
’84
’86
’88
’90
’92
’94
’96
’98
’00
1980年を100とした投資収益の指数
21
信頼
プライベート・バンクを選ぶ際に最も重視しているのが、
信頼である。金融機関だけでなく、担当してもらうリレーションシッ
プ・マネージャーが信頼できる人かどうかも大切だ。信頼は、あらゆ
る強固な関係の土台となるもの。私たちはドイツ銀行に対してこのよ
うな信頼を持っている。
セリア・モー/ローレンス・モー
Celia and Laurence Moh
シンガポール
顧客
一般個人顧客および富裕層向けバンキング部門
ドイチェバンク24および富裕層向けバンキング・ビジネスは引き続き収益を拡大
ドイチェバンク24
Telekom)(第3次募集)の新規株式発行に
一般個人顧客向けバンキング部門で
際して、個人顧客への販売力を存分に発揮
は、ドイチェバンク24*が、資本市場商品
した。また、高い株主資本利益率を有する
および不動産投資商品をはじめとした包括
24銘柄に投資する証券、「クイングス・グ
的な運用プログラムに加え、顧客が選ぶ販
ローバル・ブルー・チップス24(Quings
売チャネルを通じて金融サービスを提供し
Global Blue Chips 24)
」には、わずか一か月
ている。ドイツ銀行グループは、欧州全域
間に3億ユーロ以上の投資資金が集まった。
でこうした一般個人顧客向けバンキング
ドイチェバンク24の証券取扱高は、2000年
を展開している。
度末時点で335億ユーロであった。
ドイチェバンク24は、通年ベースで最
2000年度において、ドイチェバンク24
初の決算を迎えた2000年度、ドイツ市場に
は、顧客向けオンライン・サービスをさら
おいて革新的な金融サービスを提供し、収
に拡大した。モバイル・バンキングおよび
益力のある金融サービス会社としての基盤
WAPベースのモバイル売買委託技術の導入
を確立した。多様な商品およびサービスの
により販売チャネルが拡大し、さらに、e-
提供により、ドイチェバンク24は約40万人
の新規顧客を開拓し、2000年度末時点の個
人顧客および中小規模企業の顧客数は、あ
一般個人顧客および富裕層向けバンキング部門*
単位:百万ユーロ
2000
1999
収益
5,714
4,803
貸倒引当金繰入
– 170
– 94
– 4,561
– 4,079
わせて730万人を上回っている。特に、オ
ンライン・バンキングを利用する顧客数は
飛躍的に増加し、前年度比80%増の110万
営業費用
人に達した。これによりドイチェバンク24
その他の収益/費用の差額
– 74
– 147
(営業権償却を含む)
– 60
– 45
再構築費用および税金前利益
909
483
11
– 281
920
202
2,186
1,945
株主資本利益率(%)(営業権償却を除く)
45
13
株主資本利益率(%)(営業権償却を含む)
42
10
653
– 45
費用/収益比率(%)(営業権償却を除く)
80
87
費用/収益比率(%)(営業権償却を含む)
81
88
リスク加重調整済ポジション(単位:百万ユーロ)
43,929
44,471
セグメント資産(単位:百万ユーロ)
69,089
60,724
セグメント負債(単位:百万ユーロ)
78,931
74,391
は、ドイツ最大のオンライン銀行であるば
かりでなく、欧州においても主要なオンラ
イン銀行の一社となった。こうした成功に
は、オンラインによる証券取引(ブローカ
レッジ24**)の貢献が大きい。同取引によ
る2000年度末の保管口座数は、前年度比倍
増し、26万口座となった。
再構築費用
税引前経常利益
平均資本(単位:百万ユーロ)
価値創造(単位:百万ユーロ)
2000年度中に最もビジネスが拡大した
のは、証券および投資ビジネスである。ド
イチェバンク24は特に、インフィニオン
(Infineon)とドイツ・テレコム(Deutsche
* www.deutsche-bank-24.com
** www.brokerage24.com
* 注記に関しては、124頁の「セグメント情報の報告」を参照。
23
コマースとの連携も促進した。ドイチェバ
商品に、いつでも、どこからでもアクセス
(単位:百万人)
ンク24はドイツの銀行としては初めて、通
することができる。また、特別の設備を備
(各四半期末)
常の営業時間外に顧客がセルフサービス端
えたパーソナル・アンド・オンライン・イ
末を通じて保険証券を購入できるサービス
ンベストメント・センターに出向くことに
を提供した。
より、個人的な金融アドバイスを受けたり、
ドイチェバンク24:
顧客総数の増加
7,1
7,2
7,2
7,3
7,0
6,9
また、ドイチェバンク24は、カスタマ
6,5
ー・リレーションシップ・マネジメント
6,0
5,5
5,0
12/99 3/00 6/00 9/00 12/00
(CRM)を導入し、同一の顧客に多様な商
統合オンライン証券サービスにアクセスす
ることも可能になる。
こうした欧州全域へのサービスの拡大
品を販売する体制を強化した。これにより、 により、ドイチェバンク24は、約21,000人
顧客のライフステージや取引チャネルの選
の従業員を擁し、1,100万人以上の顧客を有
好を考慮に入れたサービスが提供できるよ
することになる。魅力的な商品、信頼でき
うになった。
るテクノロジー、欧州全域に浸透したブラ
ンド力、そして2,000を超える支店など、さ
らなる成長への基盤は整っている。ドイチ
展望
ドイチェバンク24は、預金および証券
ェバンク24が拠点を置くことになる欧州各
販売業務の収益拡大を目指している。ドイ
国の潜在的な顧客数は6,000万人を超えると
ツ銀行グループは、ドイツ国内で成功を収
見込んでいる。
めているドイチェバンク24の事業形態を、
2001年度中に他の欧州諸国にも拡大する予
富裕層向けバンキング 定である。つまり、ドイツ、イタリア、ス
ドイツ銀行は2000年度において富裕層
ペイン、フランス、ポルトガル、ベルギー
向けバンキング*の分野で、世界でも主導
およびポーランドにおける一般個人顧客向
的な金融機関の一社としての地位を確立し、
けバンキングは、ドイチェバンク24に統合
同部門の収益は過去最高を記録した。運用
ドイチェバンク24の
オンライン顧客数
される一方で、フランスでは、既に合意に
資 産 は 、 前 年 度 比 160億 ユ ー ロ 増 加 し 、
(単位:千人)
至 っ て い る バ ン ク ・ ウ ォ ル ム ( Banque
2,080億ユーロに達した。メキシコ、ギリシ
(各四半期末)
Worms)の中核事業買収を通じて、拡大を
アおよびトルコでプライベート・バンキン
図り、2001年度中にはドイチェバンク・エ
グ・センターを新設したことにより、現在
ス・エイ(Deutsche Bank S.A.)との業務
では、世界38か国、49万3,000人の顧客に
統合を予定している。また、2001年4月か
サービスを提供している。
1,100
1,000
900
746
815
750
625
500
250
0
12/99 3/00 6/00 9/00 12/00
らは、統合オンライン・ブローカーである
同部門は、ドイツ、米国、その他の3
「マックスブルー」を含めることで、サービ
つの市場に分け、同一のビジネスモデルに
スの幅がさらに拡大される。
基づいたビジネス展開を図っている。つま
欧州の顧客は、独自に選択したチャネ
り、リレーションシップ・バンキング、e-
ルを通じて、ドイチェバンク24の提供する
コマース、証券ブローカレッジ、資産運用
* www.db-privatebanking.com
24
顧客
の主要ビジネスに注力して業務展開してい
ー・オフィス・ゲーエムベーハー
(Deutsche Family Office GmbH)は、富裕
る。
ドイツ国内においては、主要な顧客グ
層向けの幅広い窓口として機能し、多様な
ループに対応するため、特別センター
サービスを提供するとともに透明性の向上
(Centers of Competence)を設置している。 にもつながっている。同オフィスは設立直
当行のカスタマー・リレーションシップ・
マネージャーは、提携先の協力を得て、定
後から頻繁に利用されている。
当行のe-コマース戦略は「革新性」を特
期的に知識を習得する機会を得ている。例
徴としている。ファズ・ネット(FAZ.Net)
えば、ボーフム大学のフィナンシャル・コ
との協力はその一例である。個々のニーズ
ンサルタント研究コース、ニューヨーク大
にあわせてカスタマイズできるファズ・ネ
学との交換プログラム、不動産および住宅
ットのホームページの利用者約6万人は、
関連の経済学研究についてライプチヒ大学
各自の個人情報メディアを統合することが
との提携などが挙げられる。当行は、資産
可能である。当行の富裕層向けバンキング
運用の分野で、ドイツ国内外の優れた専門
のホームページは、IR等コンサルティング
家を採用することに成功しているが、これ
会社のラファティーから同ビジネスにおけ
は当行の富裕層向けバンキング部門の真価
る世界で最も優れたホームページ、ベスト
を反映している。
3のうちの一つに選ばれている。
米国以外の国際資産運用業務について
新しい組織体制のもとでは、富裕層向
は、DBスイス(DB Switzerland)が統括す
けバンキングは他のビジネスとさらに緊密
ることになった。DBスイスは、ユーロマネ
に連携する体制が整った。これにより当行
ー誌から3年連続して「スイスにおける最
の顧客は直接の恩恵を享受する。従来より、
優秀外国銀行」に選ばれている。DBスイス
投資銀行部門、資産運用部門、富裕層向け
の顧客数、収益ともに大きく増加した。
バンキング部門の社員はお互いに協力し、
米国において当行の富裕層向けバンキ
成功を収めてきた。当行の新しい証券であ
ング部門は今後、ドイチェバンク・アレッ
るザベックス・ヘッジセレクト(Xavex
富裕層向けバンキング部門の拡大
ク ス ・ ブ ラ ウ ン ( Deutsche Banc Alex.
HedgeSelect)に、2000年度末時点で、欧
運用資産(単位:10億ユーロ)
Brown)の証券ビジネスと結びつき、大幅
州の投資家から20億ユーロ近くの投資が行
に強化されることを見込んでいる。同社の
われていることからも、当行の成功は明ら
新規発行に対するアドバイザリー・サービ
かである。
208
192
150
122
スは、高い評価を得ており、こうした同社
の強みは当行の商品の幅を拡大するのみな
100
98
72
50
らず、欧州およびアジアの顧客の利益にも
つながると考えている。2000年にフランク
フルトに設立されたドイチェ・ファミリ
200
0
’96
’97
’98
’99
’00
25
グローバルなネットワーク 業界におけるリーダーとしての地位
を確固としたものにするため、当社の様々なニーズに応えてくれるパートナーの一
社として、ドイツ銀行を選んだ。ドイツ銀行の欧州における強みと世界的なネット
ワークは、当社の欧州におけるさらなる発展を支えるだろう。
フランシス・マルクス
Francis Markus
ロベルト・ゾラド
Robert Zolade
グループ・エリオール共同会長
パリ
顧客
法人顧客および不動産投資銀行部門
ドイツ銀行は2000年に
顧客への営業体制を強化し、中規模の企業向けに対して革新的な資本市場サ
ービスを提供する体制を整えた。
インターネットの活用による販売チャネル
タル・パートナーズ(DB Capital Partners)
の拡大
と協力することで、プライベート・エクイ
当行は、法人顧客向けの金融ポータル
ティの分野でもビジネスを拡大した。
(玄関)サイト、dbビジネス・ダイレクト
当行では、信用力の高い顧客企業に注
(db business direct*)を開設した。この取
力し、また業種別に専門能力の高い人材を
引の決済は、サービス・センターを通じて
配置することで、今年度も引き続きリスク
行われている。また、SAPの協力のもとで、 対応コストを抑制した。
オフィス機器および情報技術(IT)商品を
当行は、法人顧客向けのポートフォリ
扱う電子取引市場を運営するエマロ・ア
オ運用の分野においても、欧州最大規模の
ー・ゲー(emaro AG)を設立した。同市場
一社となっている。その運用資産は、前年
の参加者は、透明性の高い市場運営、迅速
比30%増加し、200億ユーロに迫る規模と
な納品、低いコストといった恩恵を享受し
なっている。
ている。また、当行は外部の電子取引市場
の運用者向けに、新しい商品の提供も行っ
ている。
法人顧客および不動産投資銀行部門*
企業の高い成長を支援
単位:百万ユーロ
2000
1999
収益
3,450
3,049
貸倒引当金繰入
– 284
– 200
– 1,978
– 1,817
– 145
– 129
– 63
– 61
当行は2000年度も引き続き、成長が著
しい業種、つまりバイオテクノロジー、環
境、マイクロテクノロジー、オートメーシ
営業費用
ョン、マルチメディア、テレビ/映画産業
その他の収益/費用の差額
の顧客企業に注力した。従来のクレジッ
ト・ファイナンスによるサービスを強化、
補完するために、資本市場を活用した大規
模なファイナンスを提供した。また、成長
が見込まれる企業の設立段階、あるいは設
立以前の段階に資金を提供したり、IPO
(株式新規公開)を控えた企業の株式に投資
(営業権償却を含む)
再構築費用および税金前利益
1,043
903
11
– 22
税引前経常利益
1,054
881
平均資本(単位:百万ユーロ)
5,223
4,582
株主資本利益率(%)(営業権償却を除く)
21
21
株主資本利益率(%)(営業権償却を含む)
20
19
334
256
費用/収益比率(%)(営業権償却を除く)
60
62
費用/収益比率(%)(営業権償却を含む)
61
64
88,529
91,699
再構築費用
価値創造(単位:百万ユーロ)
を行う資金提供者(ビジネス・エンジェル)
の仲介にも力を入れた。
一方、DVC(ドイチェ・ベンチャー・
リスク加重調整済ポジション(単位:百万ユーロ)
キャピタル(Deutsche Venture Capital))、
セグメント資産(単位:百万ユーロ)
148,350
137,773
DBインベスター(DB Investor)
、DBキャピ
セグメント負債(単位:百万ユーロ)
106,664
135,097
* www.db-business-direct.com
* 注記に関しては、124頁の「セグメント情報の報告」を参照。8
27
蓄積してきたノウハウを活かし、順調なス
ァンド)を活用した6つの風力発電施設が
タート
含まれている。さらに、風力発電施設と同
リレーションシップ・マネージャー
様の施設やバイオマス発熱・発電施設の計
は、専門性の高いサービスを提供するため、 画も進んでおり、投資家への販売が予定さ
他部門との連携を強めている。欧州では
れている。
2000年度に、従来からのリレーションシッ
信用状(L/C)業務および国際決済業
プ・バンキング業務に、他部門で業界担当
務は、引き続き堅調に推移した。利息や通
者が有している高い専門性やビジネス化へ
貨の運用に係わる幅広い金融商品は顧客か
のプロセスを取り入れるなどして、同業務
ら高い評価を得ている。一方、顧客企業が
の戦略的な強化に取り組んだ。ドイツ国内
リスクを分析し、リスク管理を徹底する上
の他、イタリア、スペイン、ポルトガル、 で有益なリスク管理サービスへの需要も高
オーストリア、ベルギー、オランダ、フラ
法人顧客および不動産投資銀行部門
革新的な顧客企業
案件規模:8億2,000万ユーロ
テレビ/映画産業26%
バイオ
テクノロジー21%
マルチメディア20%
オート
環境
メーション9%
テクノロジー8%
マイクロテクノロジー16%
28
まった。
ンス、中東欧の数か国でこうした連携を強
2000年度は、クレジット・デリバティ
めて業務を展開している。既に買収の合意
ブを使った証券化案件にも取り組み、その
が成立しているバンク・ウォルムの中核事
規模も拡大している。1998年以降の取引総
業買収によって、今後、フランスに新しい
額は188億ユーロである。これにより拘束
拠点を確立することになる。
資本を大幅に削減することによる成長の余
当行は、中小規模の企業の成長段階に
地が高まっている。
応じたアドバイザリー・サービスを提供し
当行は、幅広い金融商品やサービスを
ている。2000年7月1日にはDBコンサルト
一括して提供することにより、アセット・
(DB Consult)を設立し、M&Aアドバイザ
ファイナンス市場における地位を強化する
リー・サービスに対する要望が強い、中小
ことができた。一方で、注力している業種
規模の顧客企業への体制を強化した。
に特化したプロジェクト・ファイナンスの
同部門のコーポレート・ファイナンス
推進を引き続き強化した。意思決定や処理
と投資銀行部門の商品開発担当や各業界担
能力の迅速化、合理化がはかられた。2001
当の間の連携を強めることによって、中小
年2月1日から実施された新しい組織体制の
規模の顧客企業に幅広いサービスを提供し
下では、欧州のセールス・ファイナンス、
ている。こうしたグループ内の連携を強め
リースおよびフリート・マネジメント業務
ることで、資本力を必要としないビジネス
の廃止が決まっている。
からの収益が増加した。当行はまた、グル
ープ内の子会社と共同で、環境保全型のエ
科学の推進
ネルギー・プロジェクトを推進し、資金調
当行は、1997年末からヴィッテン/ヘ
達を行っている。こうしたプロジェクトに
ルデッケ私立大学と提携し、家族経営企業
は、事業運営ファンド(オペレーター・フ
の研究を目的とした「ドイツ銀行家族経営
顧客
研究所」を設立した。当研究所では、学際
的な研究や関連したテーマの実地調査を目
的とした3つの講座を開設している。当研
究所は、こうした目的に沿った大学内の研
究機関としてはドイツ国内で唯一となって
おり、当行が中小規模の企業をいかに重視
しているかを表している。
拡大基調にある不動産関連ビジネス
当行は、欧州の商業用不動産向け資本
市場における基盤をさらに強化した。特に
ドイツ国外における成長が著しく、ユーロ
ハイポ・アー・ゲー(Eurohypo AG)
*の新
規事業の50%以上を海外が占めている。不
動産投資アドバイザリー、リストラクチャ
リング、マーケティング・サービスを提供
する不動産投資銀行ビジネスは急速に拡大
している。当行は、これらのサービスを今
ユーロハイポ・アー・ゲー
後さらに拡大する予定である。また、主に
海外不動産金融ビジネスの急速
海外不動産に投資する新しいオープン・エ
ンド型投資信託、
「グルントベジッツ・グロ
ーバル(grundbesitz global)**」の設定に
な拡大
単位:百万ユーロ
内、シンジケート総額
よって不動産投資商品の拡充を図った。さ
6,552
らに、初めて、クローズド・エンド型投資
6,000
信託の株式をインターネット***を通じて
5,000
投資家に提供できる体制を整えた。
4,000
3,000
2,062
2,000
1,207
*
www.eurohypo.com
473
410
’96
’97
1,000
0
** www.grundbesitz-invest.com
*** www.deutsche-grundbesitz.com
’98
’99
’00
29
グローバルな資源
地域に根差し、しかもグローバルなネットワーク
に支えられたサービスの提供。アルゼンチン共和国にとってドイツ銀行が重要なパ
ートナーである理由はここにある。
ダニエル・マルクス
Daniel Marx
アルゼンチン共和国、経済省、財務長官
30
顧客
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテ
ューションズ部門 当グループ部門の2000年度の業績は極めて良好で
あった。
2000年度の収益および利益は、厳しい
一方、利益も非常に良好であった。税
相場展開にもかかわらず、順調であった前
引前利益は、前年度比ほぼ80%増の40億ユ
年度を上回るものとなった。これにより、 ーロとなった。税引前株主資本利益率(営
当行は収益ランキングで世界第2位の投資
業権償却を除く)は、前年度の23%に対し
銀行の地位を占めた。当行は、アナリスト
て34%となった。収益の大幅な増加以外に、
やメディアだけでなく、顧客からも「バル
こうした良好な利益に寄与した要因が幾つ
ジ・ブラケット」の一員として認められる確
かあげられる。第一に、コスト管理が継続
固とした地盤を固めた。また、ユーロマネ
されたことである。営業権償却を除いたベ
ー誌の「ポール・オブ・ポールズ(Poll of
ースで費用/収益比率は70%の水準にあ
Polls)」において、2年連続でNo.1の投資銀
り、これは金融機関のなかでもトップレベ
行に選ばれた。市場リスクやコストの徹底
ルとなっている。当部門では、信用リスク
した管理、資本の適切な配分によって、当
およびマーケット・リスクに関しても、非
行は、最も優れた投資銀行の一社として世
常に厳格な基準を適用している。収益の対
界的に認識されている。
前年度比増加は、実質的に変化していない
経済的資本およびリスク加重調整済ポジシ
高い成長を持続
グローバル・コーポレート・アンド・
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門*
単位:百万ユーロ
2000
1999
14,651
9,703
インスティテューションズ部門*の2000年
度の収益は、前年度比50%超増加し、147
収益
貸倒引当金繰入
億ユーロとなった。これまで、競合他社の
営業費用
なかでこれ程高い成長率を達成した例はな
その他の収益/費用の差額
い。2000年度の収益の大幅な増加は、バン
カース・トラストとの統合が成功裡に終わ
り、その真価が発揮されたことに大きく依
拠している。当行の収益は、弾力性と安定
性を有し、2000年度下半期に資本市場が低
迷したなかでも、同部門の収益は大きく落
ち込まず、安定して推移し、2000年度の収
85
–3
– 10,422
– 6,916
– 204
– 70
(営業権償却を含む)
– 401
– 254
再構築費用および税金前利益
4,110
2,714
再構築費用
– 135
– 495
税引前経常利益
3,975
2,219
12,801
10,743
株主資本利益率(%)(営業権償却を除く)
34
23
株主資本利益率(%)(営業権償却を含む)
31
21
2,456
861
費用/収益比率(%)(営業権償却を除く)
70
70
費用/収益比率(%)(営業権償却を含む)
73
73
リスク加重調整済ポジション(単位:百万ユーロ)
137,120
135,714
セグメント資産(単位:百万ユーロ)
584,627
584,939
セグメント負債(単位:百万ユーロ)
555,018
593,760
平均資本(単位:百万ユーロ)
価値創造(単位:百万ユーロ)
益は、競合大手に匹敵、あるいは上回る結
果となった。
* www.db.com
2001年2月1日から導入した新しい組織体制のため、
同部門のインターネット・アドレスはすべて、2001
年春に変更される。
* 注記に関しては、124頁の「セグメント情報の報告」を参照。
31
ョンの下で達成されている。すなわち、当
るなかで、ほぼ倍増した。当行は、現在、
部門は、資本市場が困難でも収益を生み出
株式業務において世界で上位3社の一角を
す力を有していることを示している。
占めている。株式部の全業務分野で収益の
増加に貢献した。特に、株式デリバティブ
すべてのビジネスで収益が拡大
業務は好調に推移し、派生商品関連分野の
2000年度の債券および外国為替部(グ
高い専門能力は、変動の激しい相場展開の
ローバル・マーケッツ)の収益は、好調で
なかで収益安定の要因になっている。2000
あった前年度を大幅に上回った。収益拡大
年度の株式部の収益は、債券および外国為
に大きく貢献したのは、クレジットや仕組
替部の収益にほぼ匹敵し、グローバル・コ
商品、新興市場関連といった高い価値を生
ーポレート・アンド・インスティテューシ
み出すビジネスである。一方、その他の商
ョンズ部門内の収益の分散化に貢献した。
品・サービスの提供においても優れた結果
投資銀行部(グローバル・インベスト
を生み出した。例えば、外国為替取引で、 メント・バンキング)は、2000年度にビジ
ドイツ銀行はユーロマネー誌の「フォーレ
ネスを拡大し、将来的な成長基盤を確実な
ッ ク ス ・ ポ ー ル ( Forex Poll)」 に お い て
ものとした。バンカース・トラスト統合後
2000年度の外国為替における世界第1位の
の順調な展開を反映して、収益は大幅に増
銀行に選ばれ、22年ぶりにトップの座に返
加した。株式引受業務の業績も極めて良好
りづいた。また、当行は、2000年度の「ユ
であった。ヨーロピアン・アエロノーティ
ーロマネー・アワード・フォー・エクセレ
ック・ディフェンス・アンド・スペース・
ンス(Euromoney Award for Excellence)」、 カンパニー(European Aeronautic Defence
グローバル・コーポレート・
アンド・インスティテューションズ部門
クレジット・デリバティブのトレーディング
名目金額(単位:10億ユーロ)
120
90
76.7
60
30
20.4
0
’97
32
’98
’99
’00
and Space Company)(EADS)、ドイツ・
ヤー(IFR Derivatives House of the Year)」
テレコム(第3次募集)、インフィニオン、
を受賞した他、2年連続で「クレジット・デ
ドイツ・ポスト(Deutsche Post)等の重要
リバティブ・ハウス・オブ・ザ・イヤー
な新規株式発行案件に携わったことは、特
(Credit Derivatives House of the Year)」お
150.5
49.7
「IFRデリバティブ・ハウス・オブ・ザ・イ
に注目に値する。
よび「ユーロボンド・ハウス・オブ・ザ・イ
M&Aアドバイザリー業務では買収取引
ヤー(Eurobond House of the Year)」に選
金額ベースで、前年度の1,310億ユーロに比
ばれた。当行では、顧客から最高の金融機
べ、149%増の総額3,260億ユーロを達成し
関として認められることこそが、株主価値
た。M&A市場自体は前年比47%増の拡大に
増大に向けた重要な要因となると確信して
とどまっている。特筆するべき案件として
いる。
は、ボーダフォン・マンネスマン
株式部(グローバル・エイクティ)の (Vodafone-Mannesmann)の買収、AM-FM
2000年度収益は、世界の株式相場が低迷す
によるクリアー・チャネル・コミュニケー
顧客
ションズ(Clear Channel Communications) 当行は、欧州地域において強固なビジネス
の買収、さらに日本のテクノロジー企業と
基盤を有し、これが大きな強みとなってい
しては過去最大の案件となったNTTコミュ
る。このことは今後、当行が世界の資本市
ニケーションズによるベリオ・インク
場で成長を遂げる上で、大きな要因になる
(Verio Inc.)の買収が挙げられる。2000年
度の力強い成長を受け、当行は引き続き
と考えられる。
ドイツ銀行は、優れた人材を採用し、
M&Aビジネスの拡大に力を注ぐ方針であ
長期雇用できる体制を整えており、当部門
る。こうした決意の証として、M&Aの分野
の戦略はこうした当行の強みによって支え
で豊富な実績を持つ複数の専門家を採用し
られている。
た。当行では、優秀な人材が活躍できる体
制を整えている。
グローバル・バンキング業務は、バラ
ンスシートの拡大を抑えながらも、1999年
度に比べ収益を拡大した。リスク・ポジシ
ョンは引き続き安定的に推移した。クレジ
ット・プロダクトと戦略的なアドバイザリ
ー業務の連携強化が奏効し、こうした素晴
らしい結果を達成する一因となった。
差別化戦略
現在、ドイツ銀行は世界でもトップク
ラスのビジネス基盤を確立している。こう
したなか、グローバル・コーポレート・ア
ンド・インスティテューションズ部門は、
グローバル・コーポレート・アンド・イ
ンスティテューションズ部門
M&Aアドバイザリー業務の大幅な拡大
案件金額(単位:10億ユーロ)
326.1
市場を上回る成長を達成するための明確な
300
戦略を打ち出している。この戦略は、当行
250
の強みとも言える、強固な財務基盤とスケ
ールメリットに依拠している。当行では、
200
こうした特異性に加えて、セールスおよび
150
131.0
トレーディング能力を活かして業務基盤の
107.6
一層の拡充に努めている。投資銀行部門の
卓越した専門能力と個人投資家や機関投資
家への販売能力を結合することで、当行は
独自の地位を確立することができる。また、
100
50
42.5
25.6
0
’96
’97
’98
’99
’00
33
業績 フィナンツァ・アンド・フトゥーロ(Finanza & Futuro)では、
実績とは、投資パフォーマンスだけではない。彼らにとって、実績は、顧客
との多面的なビジネス関係を意味し、顧客のニーズに対して適切な解決策を
見つけられるかどうかである。私たちは、経験からこのことを知っている。
アンナ・カザリ
Anna Casali
コカコーラ人事担当取締役、ミラノ
34
顧客
資産運用部門
2000年度も世界最大規模で、最も分散投資を図っている
資産運用会社の一社となった。
ドイチェ・アセット・マネジメント
ドイチェ・アセット・マネジメント
(Deutsche Asset Management)*は、世界
は、南北アメリカ**で、卓越した複数の年
21か国で4,500人の従業員を擁し、このうち
金運用基金だけでなく、その他の大手機関
500人以上が高い専門性を持つ運用プロフ
投資家との間にも、新規の取引を開始した。
ェッショナルである。当社の運用プロフェ
同地域の運用資産残高は300億ユーロを超
ッショナルは、リスク・プロフィールを考
えている。
慮に入れる一方で、顧客資産の収益拡大を
プルデンシャル・インスティテューシ
目指し、また、個々の顧客の投資目的に沿
ョナル・ビジネス(Prudential Institutional
った商品の提案に努めている。
Business)を買収したことで、英国におい
2000年度末には、当部門内で新しい組
ては財務上、非常に良好な状態で運用基盤
織体制を導入し、グローバルな商品戦略と
を拡大した。新規ビジネスでは、当社は
地域に密着したサービスの統合を図った。 2000年度に英国で成功を収めた運用会社2
当部門は、南北アメリカ、欧州、アジア/
社のうちの1社である。新規ビジネスに対
太平洋地域の主な3地域に分けて、ビジネ
スを展開している。一方、グローバルな販
売網については、機関投資家、個人顧客、
資産運用部門*
オールタナティブ投資の3つの組織に分か
単位:百万ユーロ
2000
1999
収益
1,981
1,538
れて構成されている。こうした、地域およ
び商品別の組織構成の相乗効果を高めるた
貸倒引当金繰入
0
0
– 1,200
– 809
めに、マーケティングやセールス、管理業
営業費用
務においても、グローバル規模で新しい組
その他の収益/費用の差額
– 72
– 86
(営業権償却を含む)
– 99
– 78
再構築費用および税金前利益
709
643
–6
– 42
税引前経常利益
703
601
平均資本(単位:百万ユーロ)
886
775
株主資本利益率(%)(営業権償却を除く)
90
88
株主資本利益率(%)(営業権償却を含む)
79
78
669
562
費用/収益比率(%)(営業権償却を除く)
60
53
費用/収益比率(%)(営業権償却を含む)
65
58
2,366
2,002
セグメント資産(単位:百万ユーロ)
7,869
6,013
セグメント負債(単位:百万ユーロ)
6,303
5,558
織体制を導入した。
2000年度末の運用資産残高は、前年度
比7%増加し、6,290億ユーロに達した。
機関投資家向け資産運用ビジネス
保険会社、事業法人、慈善団体、その
他の機関投資家向けの株式、債券、不動産
再構築費用
価値創造(単位:百万ユーロ)
関連商品などの運用資産残高は、前年度の
4,230億ユーロから、2000年度には4,360億
ユーロに増加した。
* www.deam-global.com
** www.deam-us.com
リスク加重調整済ポジション(単位:百万ユーロ)
* 注記に関しては、124頁の「セグメント情報の報告」を参照。
35
する機関投資家からの純運用資産額は170
続き過去最高を記録した。ドイツ****では、
億ユーロに達した*。
当行の投資信託への純流入資金は、1999年
アジア/太平洋地域においてドイチ
度に比べ50%以上増加し、120億ユーロと
ェ・アセット・マネジメントは、グローバ
なった。特定のセクター向けファンドとフ
ルにビジネスを展開している資産運用会社
ァンド・オブ・ファンズへの資金流入が顕
の一社として、強固な地位を確立している。 著である。2000年度に38の新規ファンドを
この地域の運用資産残高は、700億ユーロ
設定し、純流入資金の半分以上がこれらの
となっている。ドイチェ・アセット・マネ
新規ファンドに投資された。
ジメントは、日本*においては、外資系と
2000年度の革新的な出来事の一つとし
して最大の資産運用会社である。一方、オ
て、DWS株式型ノーロード・ファンドの証
ーストラリア**およびシンガポール***で
券取引所上場が挙げられる。アクティブ運
は、機関投資家向け運用会社のうち上位5
用の投資信託としては、初めて取引所で売
社の一角を占めている。
買できるようになった。これにより、投資
家は売買手段の拡大と柔軟な投資が可能に
個人顧客向け資産運用ビジネス
ミューチュアル・ファンドの全世界の
資産運用ビジネス
資産運用における投資規模の増加
(単位:10億ユーロ)
629*
600
589
500
なった。
イタリアにおける、フィナンツァ・ア
運用資産残高は1,880億ユーロに拡大した。 ンド・フトゥーロ(Finanza & Futuro)*の
米国における投資信託ビジネスは120億ユ
運用資産残高は90億ユーロに拡大した。イ
ーロに達している。欧州におけるビジネス
タリアで最大の外資系資産運用会社となっ
は引き続き堅調に推移している。2000年度
ている。また、ポーランド**では、3番目
も、運用規模と運用パフォーマンスの両面
に大きい外資系資産運用会社として基盤の
で、欧州の資産運用会社の中で主導的な地
拡大を図っている。
位を占めた。運用資産残高は1,260億ユーロ
400
300
229
197
200
157
100
に達し、複数の独立系運用評価機関から運
用パフォーマンスが高く評価された。アジ
魅力的なパフォーマンスと投資対象の
アでは個人顧客向け資産運用ビジネスを展
分散化を狙って、ヘッジ・ファンド、プラ
開しており、特に日本、シンガポール、オ
イベート・エクイティ、不動産関連などの
ーストラリアにおける成長が期待される。
オールタナティブ投資に対する顧客からの
DWSグループの運用資産残高は前年度
需要は高まっている。また、ファンド・オ
比70億ユーロ増加し、900億ユーロと引き
ブ・ファンズは、顧客がオールタナティブ
0
’96
*内訳
’97
’98
’99
’00
オールタナティブ投資
機関投資家:4,360億ユーロ
*
www.deam-japan.com
個人顧客:1,880 億ユーロ
**
www.db.com/dam/australia
オールタナティブ投資:50 億ユーロ
*** www.deam-singapore.com
* www.finanzaefuturo.it
**** www.dws.de
** www.dws.com.pl
36
顧客
商品に投資するうえで重要な手段となって
グローバル・リサーチ・センター
いる。ドイチェ・アセット・マネジメント
ドイチェ・アセット・マネジメント
は、2000年度にオールタナティブ投資の分
は、資産運用業界が抱える問題を慎重に検
野で大きく前進し、市場における主導的な
討した結果、顧客が引き続き付加価値の高
地位を確立した。
い投資サービスを享受できるように、グロ
米国に拠点を置いて運用しているヘッ
ーバル・リサーチ・センターを設立した。
ジ・ファンドの資産残高は、欧州や日本市
グローバル・リサーチ・センターは、顧客
場で大幅に増えたことから、前年度比約5
が付加価値の高い投資サービスを受けられ
倍の40億ユーロに拡大した。分散型のファ
る投資プロセスと商品を開発することを目
ンド・オブ・ファンズや、アービトラージ、 指している。当センターでは、ファイナン
株式のロングやショート戦略の活用によっ
スやポートフォリオ管理、統計学、オペレ
て、商品領域が積極的に拡大された。
ーション、リサーチ、人工知能など多様な
欧州や極東地域においては、既にプラ
専門知識を持つ、研究者、実務家、学者が
イベート・エクイティ・ファンドの運用を
専属で開発、研究に取り組んでいる。同セ
行っているが、さらに世界的規模のプライ
ンターは革新性と実用性を重視している。
ベート・エクイティのファンド・オブ・フ
先駆的な業績の一つとして、プラン・スポ
ァンズを投入した。これにより、顧客は、 ンサーの選好に基いて、最適なポートフォ
世界中のプライベート・エクイティへの投
資が可能になる。
ドイチェ・アセット・マネジメントの
リオを構築するための新しい枠組である
「確率的効率フロンティア(Probabilistic
Efficient Frontier)
」が挙げられる。
欧州およびオーストラリアにおける不動産
ドイチェ・アセット・マネジメント
投資事業は、ドイツ銀行の他部門で行われ
は、今後も引き続き、販売チャネルと商品
ている不動産投資信託ビジネスと統合を図
の多様化を図るとともに、ビジネスを展開
っている。これが完了すれば、運用資産が
する地域も拡張する方針である。
地域別運用資産
合計 6,290億ユーロ
欧州 2,990 億ユーロ
200億ユーロを超える、世界でも最大規模
の不動産関連資産運用会社の一つとなる。
当行の顧客は、これまで以上に世界的な規
模で不動産関連への投資機会を得るだけで
なく、それを支える高い専門能力を活用す
ることができるだろう。
南北アメリカ
2,600億ユーロ
アジア/太平洋地域
700億ユーロ
37
斬新なアイデア ドイツ銀行は、当社のビジネスに適した
革新的な解決策を提案してくれる。当社は、ドイツ銀行の金融市場に
関する豊富な知識は言うまでもなく、将来にわたる年金業界の枠組み
を変える可能性を持つ、最新のテクノロジーに関する知識も活用する
ことができる。
ジェニー・ロッサーMBE
Jenny Rosser MBE
英国航空年金スキーム、マネージング・ディレクター
ロンドン
顧客
グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門
情報技術(IT)およびドイツ銀行のグローバル規模の銀行サービスを処理す
る専門部門
同部門は、ドイツ銀行グループ内だけ
グローバル・インスティテューショナル・
でなく外部の顧客企業に対しても、支払、 サービス部
処理およびカストディ・サービスを提供し
ている。
グローバル・インスティテューショナ
ル・サービス**部の3業務は、2000年度に
21世紀を迎え、金融サービス業界にお
グローバルにビジネスを展開する主要銀行
いては特にデジタル化の流れが急速に進ん
の中で躍進した。グローバル・キャッシ
でいる。最新の金融商品の提供や効率的な
ュ・サービスはユーロ決済処理で世界最大
銀行業務の運営には、ITの活用が不可欠で
を誇り、米ドル決済では第4位を占めてい
ある。さらに、販売チャネルの一つとして、 る。グローバル・セキュリティーズ・サー
また、グローバルな金融市場を結びつける
ビスは、証券カストディ業務で世界第4位
手段としてもインターネットが活用され、 を占めるとともに、クロスボーダーの国際
これらは銀行業務にとってITの重要性を増
証券カストディ業務では第2位でとなって
す要因になっている。
いる。コーポレート・トラスト・アンド・
同部門*は、こうした背景から、ITプロ
エージェンシー・サービスは、ユーロ建ミ
ジェクトの速やかな実行、中枢機能への集
ディアム・ターム・ノートの発行体および
中、各部門の事業戦略への緊密な連携の3
グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門*
つの主な要望に応えられる体制を整備した。
単位:百万ユーロ
2000
1999
収益
1,539
920
好調な業績
2000年度の同部門の業績は好調に推移
し、これはグループ内だけでなく外部の顧
客ニーズに適したサービスの提供に注力す
るという方針が確実に実を結んでいること
を示している。
税引前利益は、前年度のマイナスから、
1億6,900万ユーロへと増大した。こうした
好業績の背景には、バンカース・トラスト
から引き継いだグローバル・インスティテ
貸倒引当金繰入
2
0
– 1,309
– 851
その他の収益/費用の差額
– 88
– 33
(営業権償却を含む)
– 51
– 30
再構築費用および税金前利益
144
36
25
– 44
税引前経常利益
169
–8
平均資本(単位:百万ユーロ)
914
812
株主資本利益率(%)(営業権償却を除く)
24
3
株主資本利益率(%)(営業権償却を含む)
19
–
価値創造(単位:百万ユーロ)
83
– 99
費用/収益比率(%)(営業権償却を除く)
88
93
費用/収益比率(%)(営業権償却を含む)
91
96
3,750
3,996
営業費用
再構築費用
ューショナル・サービスの統合と移行が順
調に進んだことが主な要因として挙げられ
る。
* www.deutshche-bank.com/gts
** www.gis.deutsche-bank.com
リスク加重調整済ポジション(単位:百万ユーロ)
セグメント資産(単位:百万ユーロ)
28,825
7,269
セグメント負債(単位:百万ユーロ)
37,708
14,036
* 注記に関しては、124頁の「セグメント情報の報告」を参照。
39
支払代行機関としての地位を固めるととも
度比30%増)することが可能になり、また、
に、米国における債券受託業務でも主導的
これによる総費用の増加は同5%にとどま
な地位を確立している。米国の債券受託で
っている。このように、当行はIT関連費用
は、特にミューチュアル・ファンドや年金
の重心を、既存システムの維持から、増大
基金の資産担保証券の受託が主体となって
する取扱量の処理および革新的金融サービ
いる。
スの提供を可能にする新規アプリケーショ
今後も、商品の多様化や個別の顧客ニ
ンの基盤構築に移行することができた。
当行のソフトウェアは、高い競争力を
ーズに適した解決策を提供し、またグロー
バルなネットワークと地域に根付いた専門
維持している世界6か所(エシュボーン、
能力を活かすことで、当部門のビジネスを
ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、
さらに拡大する方針である。
バルセロナ、バンガロール)に拠点を置く
国際センターで開発されている。
トランザクション・スペシャリスト
1999年に設立されたetb AG(ヨーロピ
e-ビジネスの世界的展開
当行のe-コマース業務(グローバルe*)
アン・トランザクション・バンク・アー・
ゲー(european transaction bank AG)
*)は、 の重要性と領域は、2000年度に大きく拡大
2000年度業務計画に沿って、ビジネスを拡
した。e-コマースは部門横断的な性格を持
大した。8月に、顧客のデリバティブに係わ
ち、インターネット上での安全な支払や処
るサービスを開始したのに続き、証券決済
理技術の更新などを含んだ、テクノ ロ ジ
業務もetbに統合した。2000年度にドイツ銀
ー・プラットフォームの構築およびシステ
行グループ向支払および証券取扱サービス
ムの開発を行う。
この分野で先端を走る企業との提携(e
の取扱件数は、最高で1日当たり1,900万件
を記録した。
グローバル・テクノロジー・
アンド・サービス部門:
支払業務取引量の増加
ネットの開発の分野で基盤を強化した。
取引単位:百万件
817
例えば、昨年、携帯電話からの安全で
ITサービスの生産性が向上
830
800
744
692
700
ITサービス業務は、ソフトウェアの開
迅速な支払業務を展開する、ペイボックス・
発、更新、維持とITの基盤となるインフラ
ネット・アー・ゲー(paybox.net AG)***の株
の間を結ぶ役割を果たしている。2000年
式を50%取得した。さらに、同じく50%の
度には、オペレーション業務に係わるハー
株式を所有しているパゴ・イートランザク
ドウェアおよびアプリケーション費用を、 ション・サービシズ・ゲーエムベー ハ ー
600
いくつかのケースで大幅に削減することが (PAGO eTransaction Services GmbH)****
できた。生産性の向上を図ったことで、新
500
1H/99 2H/99 1H/00 2H/00
40
ベンチャー**)を通じて、当行はインター
規ITアプリケーションの投資を拡大(前年
* www.etb-ag.com
*
**
***
****
www.global-e.deutsche-bank.com
www.dbeventures.com
www.paybox.net
www.pago.de
顧客
と共同して、リスク評価や支払処理、注文
ンターネット上で独自の金融サイトを構築
や債務管理等の取引サービスを推進する、 することができる。マネーシェルフは、当
e-コマース向けのソリューションを提供し
行にとって、インターネットを活用した銀
ている。
行サービスの革新的な基盤といえる。
新しく開発した法人顧客向けポータル
(玄関)サイトであるdbビジネス・ダイレク
専門子会社
ドイツ銀行グループ内に限定せず、外
ト*は、銀行、サービス、情報の3つのユニ
ットで構成されている。銀行ユニットでは、 部にも銀行関連サービスを提供するため
各法人顧客に応じた銀行サービスが個別に
に、複数の専門子会社を設立した。
集積され、インターネット上で処理が可能
そのうちの一社である、2000年8月1
になっている。サービス・ユニットは、顧
日に設立したサイニウス・ゲーエムベーハ
客の日常業務の推進を支援し、また情報ユ
ー(Sinius GmbH)*では、当行が長年にわ
ニットでは、世界各国の株価や金利、およ
たって蓄積してきた銀行業務のノウハウを
び金融ニュースが検索できる。
統合し、多面的サービス提供会社として、
当 行 は dbマ ー ケ ッ ト プ レ イ ス ( db-
ITインフラストラクチャーを企画、実施、
Marketplaces)を通じて、電子市場のオペ
運営している。サイニウスの従業員数は約
レーション業務のための統合金融サービス
1,000人で、サービスを提供する顧客企業
を提供している。また、グローバル・マー
は全業種にわたっている。
ケッツ・ポータル(Global Markets Portal)
を通じて、法人顧客に、多様な投資銀行サ
ービスに一括してウェブ上でアクセスでき
グローバル・テクノロジー・
アンド・サービス部門:
ユーロ決済における世界の
マーケット・リーダー
る体制を提供している。一方、個人顧客向
けポータルサイトである、マネーシェル
市場占有率
フ・ドット・コム(moneyshelf.com)**は、
ドイツ銀行 23%
2000年9月1日から営業を開始し、金融商品
のスーパーマーケットとして革新的なサー
ビスを提供している。個人顧客は、マネー
シェルフ・ドット・コムを通じて、複数の
金融機関にある当座預金を統合できる一方、
証券や投資信託、保険商品の確認、比較、
購入が可能になっている。さらに、一人ひ
とりの顧客は、自分自身の必要に応じてイ
*
www.db-business-direct.de
** www.moneyshelf.com
*
www.sinius.com
その他 77%
41
斬新なアイデア 金融市場に係わる決断を左右し、読者から信頼
を得るために、新聞の情報源は高い基準に基づいて選別されている。これこ
そが、当社が、ドイツ銀行リサーチ部門のエコノミストやアナリストに取材
する理由となっている。
シュテファン・ロルツ
Stephen Lorz
ボーゼン・ツァイトゥンク新聞
政治経済・ビジネス主筆
フランクフルト・アム・マイン
42
顧客
コーポレート・センター
コーポレート・センターは、ドイツ銀行
グループの経営統一を担う取締役会をサポートする。
コーポレート・センターの業務は、戦
た 。 1999 年 の テ レ ・ コ ロ ン ブ ス ( Tele
略的意味合いを帯びている。従って、コー
Columbus)の買収に続き、2000年2月には
ポレート・センターの各部門は、資本およ
ケーブル・ネットワーク運営会社スマット
び人的資本などの戦略的な管理や企業ブラ
コム・アー・ゲー(SMATcom AG)を買収
ンドの構築に注力している。一方、コーポ
した。これにより、DBインベスターは220
レート・センターは、グループ全体を通じ
万人の加入者を擁するドイツで第2位のケ
すべての重要な業務が、同一の基準に沿っ
ーブル・ネットワーク会社となった。
て遂行されているかを、管理・指導する役
その他の重要な動きとしては、特殊フ
割をも担っている。当行は、特に、効率的
ァイバー製造会社トレヴィラ(Trevira)の
なリスク管理を重視し、銀行業務の中核を
買収、バッテリー製造会社ヴァルタ(Varta)
なす不可欠な機能であると考えている。以
の買収、エレクトロニクス企業メメック
上の業務は、コーポレート・センターの業 (Memec)の株式取得があった。
務の一部であるグループ内外のコミュニケ
原則として、今後3年から5年にわたっ
ーション活動とともに、当行が一貫した戦
て、当該企業の業績が良好に推移すること
略を遂行するうえで、重要な役割を果たし
が見込まれ、また投資からの撤退について
ている。
明確な出口戦略が持てる場合にのみ、新規
に株式を取得する方針である。
DBインベスター
DBインベスターが保有する上場企業
ドイツ銀行が所有する事業会社の株式
の株式時価総額は、2000年度末時点で189
ポートフォリオを管理するDBインベスター
億ユーロとなっている。株式含み益は約
*は、アリアンツ・アー・ゲー(Allianz AG) 142億ユーロで、前年度末比37億ユーロの
株式の2.8%を機関投資家に売却した。これ
減少となっている。この主な原因としては、
は、前年度の2.0%の売却に続くものである。 アリアンツ株式の一部売却とダイムラーク
現在、承認段階にある新しい税制の枠組み
ライスラー(DaimlerChrysler)株価の大幅
を利用した、この画期的な取引によって、 な下落が挙げられる。
DBインベスター:
各年末時点の株式含み益*
単位;10 億ユーロ
当グループは約25億ユーロの資金を得た。
DBインベスターは、2000年度において
プライベート・エクイティ業務を強化し、
幾つかの魅力ある株式投資案件に関わっ
ドイツ銀行グループのトレジャリー
19.0
2000年度においても、資本および流動
性の管理は引き続き重要な事柄であった。
17.9
16.4
14.2
15
11.3
資本および流動性の管理とビジネス上の必
10
要性の間の調整を図るため、各ビジネス部
5
門およびコーポレート・センターで、トレ
ジャリー業務が遂行された。
* www.db-investor.de
0
’96
’97 ’98 ’99 ’00
* 銀行以外の上場株式
43
各ビジネス部門は国別、地域別および
2000年度に、平均満期4年の総額147億ユー
グローバルな資産/負債管理委員会
ロの証券を資本市場で発行し、流動性の高
(ALCO)に加わっている。トレジャリーの
い債券として機関投資家に売却された。ま
運営のもとで、少なくとも月に一回は会議
た、英ポンド建による債券発行が増加した
が行われ、資産および負債管理に関わる問
ことで、調達資金の通貨の多様化が進んだ。
題に対処している。グローバルな資産/負
当行は、インターネット上のオークション
債管理委員会は、グループ各部門への資本
でユーロ債券を初めて投資家に提供した初
や流動性の配分、およびバランスシートの
めての発行体となり、自ら新しい販売チャ
調整などの、当グループの財務に関する戦
ネルを切り開いた。
略的な決定を行い、それを取締役会に提案
した。
このような総合的な対応を図ることに
当行では、当行の債券保有者が流通市
場でその価値を享受できるように努めてい
る。つまり、流動性が高い指標銘柄の発行
よって、当行は規制資本の14億ユーロを、 に重点を置き、流通市場を支援し、格付機
資産の証券化を通じて切り離した。これは、 関や投資家との密度の濃いコミュニケーシ
コア自己資本比率の引上げにもつながっ
ョンを図っている。
た。
2000年3月にドイツ銀行は、ドイツの
金融機関としては初めて、米国中央銀行が
グループ・トレジャリー
BIS規制コア自己資本比率(%)
7.4
6.3
5.4
6*
5.9
5.2
4**
2
0
’96
’97
’98
’99
’00
* 2000年以降:米国の金融持株会社に
関しては最低6%
** 規制上の最低比率
44
ドイツ銀行グループのファイナンシャル・
コントロール
承認する「金融持株会社」となった。これ
ドイツ銀行では、ファイナンシャル・
により、当行は米国でマーチャント・バン
コントロール部が、グループ内のすべての
キング業務とコマーシャル・バンキング業
財務データ(リスク・データを含む)とそ
務の兼営が可能になった。但し、このため
の統合について、世界全域にわたり責任を
にはコア自己資本比率をBIS規制最低比率
負っている。ファイナンシャル・コントロ
の4%に対して、6%以上に維持する必要
ールの大枠は、グループ全体の標準的なガ
がある。ドイツ銀行の2000年度末のコア自
イドライン、手続、効率的な会計システム、
己資本比率は7.4%に達し、要求水準を大き
包括的なコントロール・プロセスで構成さ
く上回っている。
れている。
格付会社のムーディーズおよびスタン
ファイナンシャル・コントロール部
ダード・アンド・プアーズは2000年度、当
は、当グループ全体および各部門の財務状
行の格付け見通しを、それぞれAa3から
況と財務動向について、株主、一般公衆、
Aa3+、AA-からAAに格上げした。このこと
監督当局等に対する対外的な報告の作成基
は、当行の資金調達に好影響を及ぼしただ
準を設定する。また、当行内の意思決定者
けでなく、当行債券の流通市場におけるス
に対し、最新の計画、運営、管理情報を提
プレッドの安定にもつながった。当行は、 供している。
顧客
当行のファイナンシャル・コントロー
導的な地位を確立することを目指してい
ル部は、営業部門からの独立性を確保する
る。これに関連して、ファイナンシャル・
ため、直接の報告体制を採ると同時に、一
コントロール部は、いわゆる「財務の透明
元的な組織体制を敷いている。ファイナン
性に関するイニシアティブ」を開発した。
シャル・コントロール部の組織構造は、当
セグメント情報についての修正報告が、初
行グループに対応している。各業務ユニッ
めて、2001年第1四半期について公表され
トごとに配置されているビジネス・エリ
る。財務の透明性は、ドイツ銀行およびフ
ア・コントローリング部は、報告作成のほ
ァイナンシャル・コントロール部の象徴と
かに、各業務の企画、運営、管理において
なるだろう。
経営幹部をサポートしている。
2000年度には、ファイナンシャル・コ
ントロール部内の報告機能を強化、拡大す
る様々な措置が講じられ、当グループの価
値志向の経営体制が強化された。一例とし
て、当行の2000年度連結決算書は、前年度
以前より3週間以上早い、2001年1月末にま
とめられた。
ドイツ銀行株式のニューヨーク証券取
引所上場(米国会計基準(US GAAP)に依
拠)を決定した後、これと並行して、2000
年半ばには米国会計基準(US GAAP)に従
ったグループ決算書の作成が開始された。
当該プロジェクトは、非常に意欲的なスケ
ジュールに沿って進行している。
会計および報告全般にわたる基本的な
システムの再構築が開始された。
当行は、株主および一般公衆に対して
透明性の高い情報開示を進め、この点で主
45
046-049 Banking is people 2001.11.2 6:03 PM ページ 46
信頼 当社では、マルチメディア言語や上級研修プログラムが必要になったとき、ドイツ
銀行のラーニング・アンド・ディベロップメントと協力している。信頼に基づいた協力関係
のなかで、社員こそが最も重要な資本である、という点で意見が一致している。
アストリッド・ティートゲンス
Astrid Tietgens
M.I.Tニューメディア マネージング・ディレクター
フリードリッヒスドルフ・イム・タウヌス
46
046-049 Banking is people 2001.11.2 6:03 PM ページ 47
従業員
銀行業務は人材がすべて
当行の意欲的な目標を達成するために不
可欠なのが、顧客の要望に応えられる優秀な従業員である。
ドイツ銀行グループの総従業員数は、 見直しなどが、その例に挙げられる。こう
前年度の93,232人から2000年度には98,311
した絶え間ない変化と構造的な再編のなか
人に増加した。この主な要因としては、当
で、当グループでは、部門や地域を超えた
グループに初めて連結された子会社数の増
価値の共有を図り、指針としている。独自
加が挙げられる。
の企業文化や企業アイデンティティーの確
地域や部門間の従業員の配置異動が行
われた一方、各市場のビジネス・チャンス
や顧客のニーズに照らして、様々な地域お
よび部門で従業員が採用された。
立が、従業員の帰属意識を高め、業務を推
進するうえで精神的な支えとなるのである。
こうした考えのもとで、グループ全域
にわたり、広範な「ドイツ銀行グループの
特に、従業員数の増加が大きかったの
アイデンティティー」プログラムを引き続
は海外の事業部門(前年度比5,751人増)で
き推進した。当プログラムでは、日常業務
あり、なかでも、ロンドン、ニューヨーク、 でこうした価値を応用し、具体的な行動の
シンガポールにおける増加が目立った。当
指針とすることに重点を置いた。当グルー
グループの従業員の半数近くが、ドイツ国
プの全従業員は、職務遂行のうえで、こう
外で業務に従事している。一方、ドイツ国
した価値を応用することが求められている。
内における従業員数は若干減少した(前年
こうした価値の共有が、各部門や個人の目
度比672人減)。各部門の従業員の構成比は、 標を達成するうえで役に立っている、と当
全世界的な規模で、一般個人顧客および富
グループの大半の従業員は確信している。
裕層向けバンキング部門が33%、グローバ
ル・テクノロジー・アンド・サービス部門
求められているリーダーシップ ― DBユ
が25%、グローバル・コーポレート・アン
ニバーシティーがその要求に応じている
ド・インスティテューションズ部門が18%、
当グループの従業員は、急速に変化す
法人顧客および不動産投資銀行部門が14%、 る高度な要求に対応し、また新しい戦略を
資産運用部門が5%、サービス部を含むコー
柔軟に推進することが求められている。こ
ポレート・センターが5%となっている。
のため、知識、経験、意欲に溢れ、共通の
指針となる価値の共有
従業員
2000
現在推進中の組織再編が従業員に与え
る影響は大きなものとなっている。ナショ
従業員コミットメント指数
ナル・ディスカウント・ブローカーズ・グ
欠勤率
ループ・インク(National Discount Brokers
Group, Inc.)の買収、約1,000人の従業員を
擁するサイニウス・ゲーエムベーハーの縮
小、その他子会社数社における雇用条件の
72
2.3 %
転職により当行を離職する従業員の割合
7.8 %
研修および上級研修のための費用(百万ユーロ)
237.2
従業員株式を購入する従業員の割合
65 %
グローバル・エクイティ・プランに参加している
有資格管理職の割合
77 %
47
046-049 Banking is people 2001.11.2 6:03 PM ページ 48
価値に基づき的確なサポートを与えられる
に即した企業としての当行の地位を高める
リーダーシップを備えた管理職の役割は大
うえで、重要な役割を果たしている。専門
きい。当グループにおいて、優れたリーダ
能力の高い人材は、自らの市場価値の維持、
ーシップとは、従業員に展望を与えること
増大のために、会社が何を行ってくれるか
である。従って、当グループではこうした
を求めているのである。
リーダーシップを持った人材を発掘、確保
し、資質を伸ばすことを最重要課題の一つ
意欲を高め、価値を生む報酬および従業員
にしている。さらに、社内のあらゆるレベ
参加制度
ルにおいて、リーダーシップの発揮が求め
られていることに応じて、初めてリーダー
する従業員の意欲を高めるため、当行は、
シップを発揮しなければならない職務に就
報酬体系を改訂し、革新的な施策を加えた。
いた有望な若手社員を含んだ、全従業員向
ドイチェバンク24に属する約14,000人の従
けのプログラムが策定されている。
業員(歩合制)に対しては、実績に応じた
当グループの戦略に沿って、あらゆる
変動報酬体系を導入した。このことは、今
研修・啓発活動を統合するための総合的な
後、これらの従業員がその報酬の一部につ
コンセプトのもとで、DBユニバーシティー
いて、より大きな個人的責任を負うことを
は導入された。DBユニバーシティーは、単
意味する。当行の従業員持株制度であるdb-
にエレクトロニクス上で知識を集積し、伝
シェア(db-share)は、新たに17か国で追
達するだけでなく、戦略上の問題を処理す
加導入された。当制度の世界全体の加入率
地域別従業員の比率
総従業員数 98,311人
ドイツ 51.5%
ヨーロッパ
(ドイツを除く)
24.2%
北アメリカ
16.2 %
管理職に熱意と献身を促し、職務に対
るグローバルチームも関わっている。また、 は65%で、前年度とほぼ同じ水準になって
人材開発、戦略的企画、当行の企業文化の
いる。このことは、従業員と株主の利害が
形成の3つの連携を図っている。学習方法
一致していることを反映している。
としては、インターネットによる研修、各
昨年、当行は1,200人以上の新卒者を
人が出席する授業、時としてチューターが
採用した*。その出身は世界各国にわたり、
モニターするバーチャル・フォーラムが提
主要な金融ビジネスの拠点および当行の進
供されている。
出先に配属された。インターネットを通じ、
DBユニバーシティーは、各ビジネス
あるいは大学との緊密な連携によって、専
部門ごとに個別のビジネススクールを設置
門家および優秀な若手の採用キャンペーン
する予定で、既に6校が設置されている。 を世界的な規模で実施したことで、就職先
南アメリカ
0.6%
アジア/太平洋地域
7.2 %
アフリカ 0.3 %
48
一方、スクール・オブ・リーダーシップな
どの部門を超えた多数の学科も提供してい
る。
DBユニバーシティーは、従業員を重
視した人事方針を持ち、また魅力的で時代
* www.deutsche-bank.com/career
046-049 Banking is people 2001.11.2 6:03 PM ページ 49
従業員
として選ばれる企業になるという目標に向
かって一歩前進した。
インターン制度(apprentices)は、有
望な若手を発掘するうえで第2の手段とな
っている。昨年は、1,388件におよぶ基本研
修の契約が交わされ、これは当行が引き続
き、若年層に人気の高い雇用主であること
を示している。当年度末時点で、2,953人
のインターンが銀行業務、情報技術および
オフィス・コミュニケーションの研修を受
けている。
従業員の就業年数
5年未満
47.3%
5年以上14年未満
29.2 %
14年以上
23.5 %
49
パートナーシップ 1億を超える世界の貧困世帯を対象とした支援活動で、グ
ローバルにリーダシップを発揮しているドイツ銀行とそのマイクロクレジット・ディベロ
ップメント・ファンドを賞賛している。マイクロクレジットを利用しているすべての世帯
は、ドイツ銀行とのパートナーシップによって元気づけられたと感じている。
50
モハメド・ユヌス博士
Dr. Mohammed Yunus
グラメーン・バンク設立者
ダッカ
社会
社会貢献 明日への責任 ドイツ銀行は、未来を担う若い世代を一貫し
て支援している。
ドイツ銀行では事業運営のほかに、社
会事象、文化、科学、社会との対話、スポ
支援、若者や失業者向けの就業相談プログ
ラムにまでに及んでいる。
ーツ、環境にわたる幅広い社会活動に参加
英国では、若者を支援するプロジェク
している。グローバルに展開している社会
トに注力し、例えば、従業員が実際に学校
活動としては、マイクロクレジット・プロ
に出向いて、恵まれない若者と直接向き合
グ ラ ム ( Microcredit Programme) を 通 じ
い、若者が人生に前向きに取り組むように
て、開発途上国が持続的に経済発展を遂げ
支援している。その他にも、地域社会と協
るための諸策を支援している。
力して、仕事を推進するうえで、e-コマー
スがいかに重要であるかを若者に伝える支
社会的責任
援活動も展開した。
ドイツ国内においては、1987年以来、
ドイツ銀行アルフレート・ヘールハウゼン
基 金 ( Deutsche Bank Foundation Alfred
Herrhausen)の「自助支援」*を通じて、
社会的な貢献を行ってきた。同基金は、
5,000万ユーロ以上の資金をもとに若い世
社会
代を支援し、特に、将来に向けた展望が開
ドイツ銀行に関係する基金別支出およびプロジェクト関連支出
単位:百万ユーロ
かれるような支援活動を目指している。
社会事象
2000年度も引き続き、「若者―学校―産業」
プロジェクトが継続され、2,500人以上の
ドイツ銀行アルフレート・ヘールハウゼン基金
「自助支援」
ドイツ銀行アメリカ基金
2000
5.0
14.4
若者が経済問題を研究し、新聞紙上でその
ドイツ銀行シチズンシップ英国
4.2
経験を公表した。さらに、同基金は、ドイ
アレックス・ブラウン・アンド・サンズ慈善基金
4.2
ツ 連 邦 雇 用 庁 ( Bundesanstalt für Arbeit)
その他のプロジェクト関連支出
0.5
と協力して、非就労の若者による小規模な
文化
会社設立を支援した。
米国においては、ドイツ銀行アメリカ
基金が、その広範な地域社会活動(CRA:
コミュニティ・リインベストメント・アク
ト(Community Reinvestment Act))に対
して、連邦準備制度理事会(FRB)から
「特に優れている」という価値の高い栄誉
を得た。同基金の地域社会活動は、公共基
盤の強化から社会的に恵まれない人々への
* www.deutsche-bank-stiftung.de
ドイツ銀行文化基金
3.7
その他のプロジェクト関連支出
0.9
社会および科学
シュティフターフェアバント・ヒュア・ディ・ドイチェ・
ヴィッセンシャフトへのドイツ銀行の研究基金
5.7
ヴィッテン/ヘルデッケ大学の
ドイツ銀行家族経営企業研究所
1.1
アルフレート・ヘールハウゼン・ソサイエティ・
フォア・インターナショナル・ダイアログ
0.7
環境
ISO 14001、ワールドワイド・ヤング・リサーチャーズ
フォア・エンバイロメント(WYRE)、UNEPカンファレンス
3.3
プロトタイプの炭素基金/世界銀行
5.2
51
文化および芸術の支援
1970年代後半以降、当行は「職場にア
るペーター・シュタインのファウスト I お
よび II の新作を後援した。
ートを」のモットーに基づき、現代美術*
の収集に力を注ぎ、現在では約50,000点の
社会との対話と学術
当行のシュティフトゥンクスフォンズ
コレクションを保有している。こうしたコ
レクションは、出版物やイベントの開催を (Stiftungstonds)(研究基金)は、学術的
通じて、一般にも公開されている。また、 な支援活動の一環として、シュティフター
ソロモン R.グッゲンハイム基金(Solomon
フェアバント・ヒュア・ディ・ドイチェ・
R. Guggenheim Foundation)と協力して、 ヴィッセンシャフト(Stifterverband für die
ドイツ・グッゲンハイム・ベルリン美術館
deutsche Wissenschaft)(ドイツ科学研究
**において1年に4回、展覧会を開催してい
者協会)と協力して、基礎研究および特別
る。
研究プロジェクトの条件改善を目指してい
米国においては、ニューヨークのグッ
る。ポツダム大学では、ラビの研究を中心
ゲンハイム美術館およびジューイッシュ・
にした宗教学の寄付講座が当年度に承認さ
ミュージアム、またボルチモア・ミュージ
れた。アルフレート・ヘールハウゼン・ソ
アム・オブ・アートなど幾つかの美術館を
サイエティ・フォア・インターナショナ
支援した。また、ニューヨークのメトロポ
ル ・ ダ イ ア ロ グ ( Alfred Herrhausen
リタン・オペラにおけるミレニアム・コン
Society for International Dialogue)*は 、 現
サートのパートナーも務めた。英国では、 代社会の問題に焦点を当てたフォーラムと
様々な分野の若い芸術家を支援した。
して位置付けられている。これらフォーラ
文化基金(Cultural Foundation)***は、 ムや会議、刊行物の2000年度における中心
ドイツ・グッゲンハイム・ベルリン美術館
来訪者数単位:千人
107
100
100
52
た。
より大きな重点を置いた。「グレンツデン
ドイツ銀行のヒストリカル・インステ
カ ー ( GrenzDenker)」 と 「 リ テ ラ ロ グ
ィテュート(Historical Institute)**は、独
(Literalog)」を通じて、社会の変化を文化
立機関として、当行の歴史における真の解
的側面から捉え、解釈するためのイベント
釈を目指して、独自および外部のリサーチ
を進めている。ここでの主要課題の一つは、
例としては、フランクフルト・オペラと協
国家社会主義の下における当行の活動につ
50
力してオペラ奨学金制度を運営している。 いての研究である。新たな重点研究テーマ
0
’00
る。2000年度には、独自のプロジェクトに
を開始した。有能な若者への支援活動の一
25
’99
的テーマは、世界的な世代間の衝突であっ
75
85
’98
当行のグローバルな文化支援の表れであ
また、文化基金では、EXPO2000の文化プ
としては、独米の経済金融関係の歴史が挙
ログラムの一環として、高い賞賛を得てい
げられる。
*
www.sammlung-deutsche-bank.com
** www.deutsche-guggenheim-berlin.de
* www.deutsche-bank.de/ahg
*** www.kultur-stiftung.org
** www.deutsche-bank.com/history
社会
環境および持続的発展
ユーゲント・フォルシュト基金
こうした持続的成長を支援するグロー
バルな活動が認められ、当行は、国連の
(Jugend forscht Foundation)およびドイツ 「 グ ロ ー バ ル ・ コ ン パ ク ト ( G l o b a l
銀行は、2000年度、10年間の「ヤング・ヨ
Compact)」のメンバーに招聘された。グ
ーロピアンズ・エンバイロメント・リサーチ
ローバル・コンパクトでは、選ばれた非政
( Young Europeans’ Environmental Research)」
府組織(NGOs)、政府、企業が、環境、人
に対する支援を全世界に向けて拡張した。 権、労働環境問題に関するネットワークに
ハノーバーで開催されたEXPO2000におけ
参加している。
る初のグローバルな研究発表会では、70か
国以上から参加した若い科学者140人以上
ドイツ銀行
が、天然資源の持続的開発を促す新たな方
マイクロクレジット・ディベロップメン
法を提示した。
ト・ファンド
当行は、人類の持続的発展を支援して
ドイツ銀行のマイクロクレジット・ディ
いる。2000年に導入された「持続性」という
ベロップメント・ファンドは、開発途上国
概念*は、当行の環境管理システムに経済
における、一般に資金調達が不可能な、小
的、社会的側面を付加したものである。当
規模な事業の立ち上げや若者の研修、村落
行の環境管理システムは、2000年度に再度、 の設備の購入に対して、マイクロクレジッ
国際基準ISO 14 001の認証を得た。また、 トによる支援を行い、開発途上国の安定し
当行は「持続可能な発展のための世界経済
た経済構造の促進に大きく貢献している。
人会議
(World Business Council for Sustainable
開発途上国の政府組織や現地の銀行がこう
Development)」に加入し、国連環境計画
した活動を支援している。昨年度は51,000
(UNEP)の金融サービス会議を主催した。 件、1,900万米ドルのマイクロクレジットが
当行では、世界銀行の「プロトタイプの炭
文化基金による後援分野
1995年-2000年:395件のプロジェクト 演 劇 7%
文 学 11%
供与された。
音 楽 43%
素基金(Prototype Carbon Fund)」に520万
ユーロを出資し、これを通じて、人類の持
続的な成長をさらに支援していきたいと考
えている。当ファンドは、2000年度末時点
で1億4,500万米ドルの資金を有し、アジア、
東欧、ラテンアメリカ、アフリカ各国にお
ける温暖化ガス排出量を削減するプロジェ
クトを支援している。
美 術 24%
* www.deutsche-bank.com/sustainability
その他 15%
53
パートナーシップ 私にとって、銀行とは、
必要な時にいつでもどこでも存在しているものである。
ドイチェバンク24を私が選択する理由は、支店に出向
くだけでなく、電話やインターネットを通じて、いつで
も適切なアドバイスが受けられ、あらゆる商品が揃って
いるからである。ドイチェバンク24は、良きパートナ
ーとなっている。
カトリン・シュプルンク
Kathrinn Sprunck
教師
フランクフルト・アム・マイン
2000年度の事業展開
取締役による概況説明
バンカース・トラストの完全統合および
ドイチェバンク24の独立が反映された初の年度
2000年度は、これまでの戦略的な動きが決算に反映された初めての年
度となった。バンカース・トラストの統合が通年ベースで初めてドイツ銀
行グループの業績に反映されるとともに、ドイチェバンク24が法律上独立
の主体として初めて通年の業績をあげた。一方で、2000年度は、テクノロ
ジーを大幅に増強することで、グループの各部門およびグローバル・テク
ノロジー・アンド・サービス部門の多様なe-コマース業務を統合し、包括的
なe-コマース戦略を打ち出した年となった。こうした当グループのe-コマー
ス戦略は概ね高く評価されている。投資銀行、資産運用、ポートフォリオ
運用の各ビジネスのみならず、リスク管理部門においても、優秀な人材を
配置し、また技術的な資源のさい配を進めたことで、株式市場におけるチ
ャンスを生かすことが可能となり、結果として顧客および当行の利益につ
収益構造
ながった。
総額28,659百万ユーロ
2000年の純利益は、好調であった1999年度の純利益の2倍の49億ユー
ロに達した。収益は、前年比3割強の287億ユーロを記録した。バンカー
純利息収益 24%
純手数料収益 40%
ス・トラストとの統合の成功がこのような好業績に大きく寄与しているの
みならず、世界有数の投資銀行としての地位を強化することにもつながっ
トレーディング利益 24%
た。
収益の構造としては手数料収益およびトレーディング利益の比重が増
した。これら2つのセグメントからの収益は、1995年度には全収益の40%を
占めていたのに対し、2000年にはほぼ3分の2を占めるまでになった。また、
アリアンツ株式の計画的売出しの結果、投資による純収益が全収益の11%
を占め、収益の増加に大きく貢献した。
営業費用には、特に投資銀行部門の実績に応じた報酬体系による支払
額の負担が大きく影響した。包括的なe-コマース戦略を推進するための投資
も反映されている。さらに、米ドルおよび英ポンドに対してユーロが軟調
に推移したことが、費用増加の要因となった。その他の費用は僅かに増加
投資による純収益 11%
したが、主要部門に最高業務執行責任者を任命するなど、コスト管理の徹
底をはかっている。
保険業務による純収益 1%
2001年2月初めに実施された新組織のもとで、当行は2003年度まで、
毎年15億ユーロの収益の増加を目指している。
55
貸倒引当金繰入前純利息収益
貸倒引当金繰入前純利息収益は、前年比2.9%増の68億ユーロとなった。
2000年度に連結会社グループの成長が主な増加要因となった。さらに、初
めて通年ベースでバンカース・トラストの業績が含まれたこともまた、純
利息収益の増加に寄与した。
全収益に対する純利息収益は、手数料およびトレーディング利益が大幅
に増大したため、1999年度の31%から2000年度には24%に減少した。
貸倒引当金繰入
与信業務のリスクを十分にカバーするため、438百万ユーロの貸倒引当
金繰入が行われた。これは、前年度を178百万ユーロ(28.9%)下回ってい
る。
信用リスク引当金の正味要繰入額773百万ユーロは、主にドイツ国内の
与信業務におけるものであった。与信ポートフォリオの質を改善するため
の施策により、この数年間、要繰入額を減額することが可能であった。
信用エクスポージャーの削減と、数か国に対する行内格付の改善によ
り、正味186百万ユーロのカントリー・リスク引当金の戻入れが行われ、カ
ントリー・リスク引当金総額は、3億ユーロを下回った。債権の売却と返済
期限の延長により、カントリー・リスクを生じる与信エクスポージャーは、
この数年間で大幅に軽減された。
一定の手続に従ってグループ内で計算される潜在的信用リスクに対す
る包括的価値修正額の内、149百万ユーロの戻入れを行った。
グループの貸倒引当金総額は、貸出金総額の2.3%に相当する72億ユー
ロに達している。
貸倒償却は13億ユーロであり、その内、3億ユーロはクロスボーダーの
与信取引に関連し、特に返済期限延長契約との関係で行われたものであっ
た。こうした償却は、対応する引当金が前年までに既に相当程度計上され
ていたため、2000年度の利益への影響は軽微であった。
債務不履行比率(対貸出金総額)は0.43%で、1994年度から1999年度
までの平均0.41%をわずかに上回った。
56
2000年度の事業展開
貸倒引当金繰入後純利息収益は、前年比6.2%増の64億ユーロとなっ
た。
純手数料収益の構造
総額11,468百万ユーロ
純手数料収益
証券業務 42%
資産運用 28%
純手数料収益は、前年度の52.5%増に続き、2000年度も41.9%という
注目すべき伸び率を達成し、新たな局面に入った。純手数料収益はこの2年
で、2倍の115億ユーロに達し、当グループの収益構造に占める割合が最大
になった。
前年度比34億ユーロ増のほぼ3分の2は、組織的な事業成長に起因し、
また3分の1強は、初回連結とバンカース・トラストの完全統合による。手
数料収益は全業務部門で前年度業績を上回り、特に証券業務は純手数料収
益の42%を占めた。なかでも株式・投資信託業務からの手数料収益が特に
好調に推移した。
当行は、顧客向けの資産運用業務をさらに拡大し、これによる手数料
は、前年比50%増の32億ユーロに達した。資産運用の取扱高(保険業務の
資本投資を除く)は、7,030億ユーロであった。
貸出手続および保証業務は8億ユーロの収益となった。支払業務からの収
益も同額となった。両業務からの収益は、ともに前年比2桁台の増加であった。
支払業務 7%
国外商業業務・
旅行代金決済業務 3%
貸出手続/保証 7%
その他 13%
M&Aアドバイザリー業務は、特に大きく拡大した。同業務の取扱高お
よび手数料収益は、前年度の2倍超の増加となり、2001年度にも当該ビジネ
スは引き続き好調に推移するものと考えている。
トレーディング利益
トレーディング業務は本年度も好調に推移し、安定した収益を達成し
た。2000年度第1四半期には25億ユーロの利益を計上したのみならず、不安
定な市場展開となったその後の各四半期においても、約15億ユーロの利益
を達成した。通年では69億ユーロの利益を達成し、好調であった前年度24
億ユーロの52.4%増となった。
57
トレーディング利益の過半は証券トレーディングからのものであった。
トレーディング利益の構造
総額6,891百万ユーロ
世界の株式市況が厳しさを増したにもかかわらず、株式トレーディングから
利付証券 12%
の収益が2倍強となった。2000年度から、SIC第16号に従い、自己株式のト
株式 45%
レーディング純利益(税引前180百万ユーロ)は損益計算書に計上されず、
直接、株主資本の部に計上されている。比較数値もこれに従って調整され
た。
外国為替トレーディングからの利益が、初めて10億ユーロを超え、全
体のトレーディング利益に貢献をした。欧州における好業績が主因となっ
ているものの、バンカース・トラスト統合の恩恵を受けた北米や、アジ
ア・太平洋地域における好調も寄与した。また、外国為替ビジネスをグロ
14%
OTCデリバティブ/
スワップ 17%
その他 12%
ーバルに統括することで、顧客を重視したビジネスの基盤をさらに強化し
た。
OTCデリバティブおよびスワップのトレーディングによる利益は12億
ユーロとなり、トレーディング利益全体に占める割合は、株式トレーディ
ングに次いで二番目に大きくなっている。
保険業務による純収益
保険業務による純収益は、ほほ前年度と同じ、382百万ユーロとなった。
特に1999年度における販売の好調、ならびに個人および企業の老齢年金を
改善する必要性が一般に認識されてきたことを追い風として、取扱高およ
び受取保険料収入が増加した。生命保険の顧客のための給付義務が強化さ
れたことに対応し、保険料金額も大幅に増加した。
投資による純収益
投資による純収益は31億ユーロとなった。特別ファンドの初回連結の
影響に加え、アリアンツ株式の計画的売出しによる収益も含まれている。
営業費用
営業費用は、対昨年度で53億ユーロ増加し、210億ユーロとなった。前
年度と比べ33.6%増となった主な要因としては、初回連結の実施やバンカー
ス・トラストの統合、ならびに為替レートの影響があげられる。特に投資
銀行業務の収益が大幅に改善したことを背景として、実績に応じた報酬額
58
2000年度の事業展開
はかなり増加した。これらの影響を加味すると、営業費用の増加率は、5%
未満まで低下し、これは将来に対する投資を反映した水準と言える。
人件費は前年より35億ユーロ増え、132億ユーロとなった。この増加は
営業費用
(単位:10億ユーロ)
人件費
その他の営業費用
13.2
主に実績に応じた報酬システムによる。2000年の正規従業員数は年間平均
で約88,800人となり、昨年比14%増となった。バンカース・トラストの統
10
9.7
7.8
6.0
合を受け、ドイツ国外における従業員の増加が主な増加要因となった。
5
そ の 他 の 営 業 費 用 ( 減 価 償 却 費 を 含 む ) は 対 前 年 度 18 億 ユ ー ロ
0
(29.5%)増加し、78億ユーロとなった。取扱高の大幅な増加と約400百万
‘99
‘00
ユーロの部門を超えたe-コマース戦略への投資が増加の主な原因となった。
有形固定資産およびその他の資産の減価償却費も増加した(324百万ユーロ
増)。
その他の収益/費用
その他収益からその他費用を控除した差額、マイナス425百万ユーロに
は、企業買収による営業権の償却(15年で定額法により償却)672百万ユー
ロが含まれ、この内、446百万ユーロは、バンカース・トラストの営業権に
帰属するものであった。
純利益
税引前経常利益は前年比74.9%増の67億ユーロとなった。一方、法人
所得税は27.7%増の18億ユーロにとどまった。両者の増加率の差は、2001
年以降のドイツの法人税率引下げによる繰延税金負債の戻入れ、およびア
純利益
(単位:10億ユーロ)
リアンツ株式の売出しにかかる非課税利益を反映している。
4.95
税引後純利益は49億ユーロにのぼり前年度比25億ユーロ(同101.8%増)
4
増加した。
3
2.45
主要な数値
2000年度の業績は概ね、前年度に比べかなり改善された。1株当たり純
2
1.73
1
利益(営業権償却を除く)は前年度4.86ユーロの約2倍、9.02ユーロとなっ
た。一方で、営業権償却を含めた1株当たり純利益は、3.87ユーロ増の7.93
ユーロとなった。税引前株主資本利益率は、営業権償却を除いたベースで前
0
‘98
‘99
‘00
年度
59
22.0%に対して32.4%まで増加。営業権償却を含んだベースでは、前年度の
19.6%に対して29.4%となった。
費用/収益比率は、貸倒引当金繰入、再構築費用および法人所得税を
除くすべての収益および費用に基づいて計算される。これに基づく費用/
収益比率は、営業権償却を除いたベースで、前年度比1.1%改善し73.3%、
営業権償却を含むベースでは75.6%となった。
連結利益
ドイツ銀行グループの連結利益は801百万ユーロにのぼり、これはドイ
ツ銀行の配当可能利益となる。当行は、この利益を、1株当たり配当を1.15
ユーロから1.30ユーロに増額する原資に充当するように、2001年5月17日開
催の株主総会で提案する。1株当たり0.56ユーロの転嫁可能な法人所得税を
含めると、ドイツ国内の株主が受け取る1株当たり配当は1.86ユーロ(1999
年度:1.64ユーロ)になる。この13%の配当増は、2000年度の好調な事業
グループ部門の税引前利益
(単位:百万ユーロ)
展開を反映するとともに、今後数年間にわたって良好な業績を達成してい
1999
2000
く強い自信の表れである。
3 ,975
部門別業績
損益計算書と同様に、前年度の各部門の利益には、バンカース・トラ
ストの数字が7か月分しか含まれていないことを考慮しなければならない。
2,219
さらに、ユーロ安が、時として為替レートの影響を増大したことも考慮す
る必要がある。但し、税引前経常利益およびこれに基づく主要な数値につ
いては、上記のいずれの影響も甚大ではなかった。
1,054
920 881
703
601
202
「セグメント情報」(124頁参照)では、グループの業績を5つの部門お
169
–8
P1)
CORE 2) GCI3)
AM4)
よびコーポレート・センター、ならびに「その他/調整/連結」項目に分
けて詳細を明らかにしている。
GTS5)
1) 一般個人顧客および富裕層向けバンキング
2) 法人顧客および不動産投資銀行
3) グローバル・コーポレート・アンド・イン
スティテューションズ
4) 資産運用
5) グローバル・テクノロジー・アンド・サー
ビス
2000年度、5つのグループ部門は6,821百万ユーロの税引前経常利益を
計上した。全部門の業績が大幅に改善され、2,926百万ユーロという大幅な
利益の増加に貢献した。なかでもグローバル・コーポレート・アンド・イ
ンスティテューションズ部門の利益は、前年比1,756百万ユーロ増加し、
3,975百万ユーロを達成した。また、一般個人顧客および富裕層向けバンキ
ング部門の成長も顕著で、同718百万ユーロ増加し、920百万ユーロとなっ
た。
60
2000年度の事業展開
コーポレート・センターの税引前経常損失は440百万ユーロとなり、大
部分が営業費用に起因しているが、当該費用は前年度より24百万ユーロ減
少している。
「その他/調整/連結」項目は、当グループの税引前経常利益に348百
万ユーロ寄与した。アリアンツ株式の売却益を計上したにも関わらず前年
度比56百万ユーロの減少となったのは、e-コマースの推進や当行株式のニュ
ーヨーク証券取引所への上場準備といった全社的なプロジェクトを推進す
るための費用に起因している。
セグメント情報の透明性を高めるため、コーポレート・センターおよ
び「その他/調整/連結」項目の各実績は、2001年度から各グループ部門
に配分される。これにより、各グループ部門の業績とグループの連結業績
との調整が簡明になる。
一般個人顧客および富裕層向けバンキング部門
一般個人顧客および富裕層向けバンキング部門は、1999年度の再編、
拡大に向けた動きを受け、2000年度に過去最高収益を達成した。前年度比
911百万ユーロの増収となった主な原動力は証券業務の手数料収入であっ
た。つまり、株式および革新的な商品(例えば、ザベックス・ヘッジセレ
クトやクイングス・グローバル・ブルー・チップス24)についての強力な
販売力を十分に発揮することで収益の増加に貢献した。また、預金業務に
おける取扱高およびマージンの増加は、純利息収益にかなりの増加をもた
らした。営業費用は482百万ユーロ増加したが、収益を下回る水準にとどま
った。営業費用の増加要因としては、初回連結および実績に応じた報酬体
系の影響、ビジネスの発展に伴う取引コストの増加、IT関連費用の増加、な
らびに一般個人顧客および富裕層向けバンキング・ビジネスのさらなる拡
大が挙げられる。
61
一般個人顧客および
富裕層向けバンキング部門
(単位:百万ユーロ)
一般個人顧客向けバンキング部門は、当グループの税引前経常利益の増
加に大きく貢献し、税引前経常利益は前年より718百万ユーロ増加し、920百
1999
2000
万ユーロを記録した。同部門のグループ全体の税引前経常利益に占める割合
は、同じく好調に推移した富裕層向けバンキング部門のシェアを上回るもの
5,714
であった。このことは、2001年度から他のヨーロッパ諸国に拡張される予
4,803
定の「ドイチェバンク24」のコンセプトの正当性を裏付けることとなった。
45 %
一般個人顧客および富裕層向けバンキング部門の株主資本利益率(営業権償
却を除く)は、前年比32%ポイント改善し、45%を記録した。これは、全
グループ部門の中で、資産運用部門に次ぐ2番目の株主資本利益率である。
920
13 %
202
法人顧客および不動産投資銀行部門 収益
税引前利益
株主資本
利益率*
*営業権償却を除く。
法人顧客および不動産投資銀行部門は、2000年度に大変良好な業績を
達成した。同部門の収益は前年比401百万ユーロ増の3,450百万ユーロを記
録した。こうした好業績の背景には、預金業務による利息収益の増加、金
利および通貨管理、国際支払およびコーポレート・ファイナンスによる手
数料収益の増加などから、好調に推移した法人顧客向バンキング業務の貢
献が大きい。営業費用は前年度比161百万ユーロ増の1,978百万ユーロにと
どまった。営業費用の比較的穏やかな増加は、初回連結の影響に加え、IT経
法人顧客および不動産投資銀行部門
(単位:百万ユーロ)
費の増加およびe-コマースへの投資を反映している。これらのことから、法
人顧客および不動産投資銀行部門の株主資本利益率(営業権償却を除く)
1999
2000
は前年度と同じ21%を達成し、2000年度の税引前経常利益は前年比173百万
3,450
ユーロ増の1,054百万ユーロとなった。
3,049
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門
の業績は、前年度に引き続き記録的な水準を達成した。特に2000年度下半
881
1,054
21% 21%
期には厳しい市場環境のなか健闘し、より厳しい市況においても成功でき
ることを示した。同部門の税引前経常利益は3,975百万ユーロに達し、大変
良好であった前年度と比べても1,756百万ユーロ増となった。また、収益は
収益
税引前利益
*営業権償却を除く。
株主資本
利益率*
前年比4,948百万ユーロ増加し、14,651百万ユーロを記録した。こうした収
益の大幅増には、すべてのビジネスが貢献した。特にグローバル・エクイ
ティ部の貢献が著しく、株式デリバティブ関連業務が好調に推移したこと
により、収益は前年度比ほぼ倍増となった。また、グローバル・インベス
62
2000年度の事業展開
トメント・バンキング部の収益も大幅に増加した。これは、バンカース・
トラストとの迅速な統合に伴った、株式引受およびM&Aアドバイザリー業
務の成功による。こうした収益水準と比較して、営業費用は前年比3,506百
グローバル・コーポレート・アンド・
インスティテューションズ部門
(単位:百万ユーロ)
1999
2000
万ユーロ増の10,422百万ユーロとなり、低い水準にとどまった。費用の増
14,651
加要因としては、初回連結(例えば、ナショナル・ディスカウント・ブロ
ーカーズ(National Discount Brokers))の影響および実績に応じた報酬額
の増加に加え、取扱高の著しい増加が挙げられる。費用/収益比率は、前
9,703
年度と同レベルが維持された。このほか、当部門は、e-コマースへの投資や
34%
グローバル・インベストメント・バンキング部などの増強を積極的に推進
した。当部門の株主資本利益率(営業権償却を除く)は、前年比11%増の
3,975
34%へと改善された。
資産運用部門
資産運用部門の税引前経常利益は、前年比102百万ユーロ増の703百万
23%
2,219
収益
税引前利益
株主資本
利益率*
*営業権償却を除く。
ユーロを記録。株主資本利益率(営業権償却を除く)は2%改善し、90%と
なった。この背景には、同部門の収益が大きく増加したことが寄与してお
り、同部門の収益は、主に資産運用業務の手数料収益の増加によって、443
百万ユーロ増加した。取引案件は、機関投資家および富裕層顧客向け業務
の両方において増加した。本年度末のグローバルな運用資産総額は、前年
度末の5,890億ユーロに対して、6,290億ユーロとなった。営業費用の391百
万ユーロの増加には、実績連動報酬の増加に加え、アメリカ、ヨーロッパ
およびアジア/太平洋地域における事業拡大費用が含まれている。
グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門
資産運用部門
(単位:百万ユーロ)
1999
2000
88% 90%
1,981
グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門の税引前経常利益
は、前年比177百万ユーロ増の169百万ユーロに達した。同部門の株主資本
1,538
利益率(営業権償却を除く)は前年比21%ポイントの大幅改善により、
601 703
24%になった。こうした好調の背景には、バンカース・トラストから引き
継いだグローバル・インスティテューショナル・サービス部が存在する。
また、2000年度中にグローバル・セキュリティーズ・サービス、グローバ
ル・キャッシュ・サービスならびにコーポレート・トラスト・アンド・エ
収益
税引前利益
株主資本
利益率*
*営業権償却を除く。
ージェンシー・サービス業務の商品領域が統合され、世界の主要銀行の中
63
グローバル・テクノロジー・アンド・
サービス部門
(単位:百万ユーロ)
1999
2000
にあってその地位を拡大した。グローバル・テクノロジー・アンド・サー
ビス部門はその軸足をe-コマースにおけるグローバルな基盤強化(特に、マ
ネーシェルフ・ドット・コム・アー・ゲーの設立ならびにペイボックス・
ネット・アー・ゲーおよびパゴ・イートランザクション・サービシズ・ゲ
1,539
ーエムベーハーへの出資)と、当行のITアプリケーションの最適化に移した。
さらに、サイニウス・ゲーエムベーハーとともに、当行のIT専門技術を将来
的にグループ外へも同様に提供するため、子会社1社を分割新設した。
920
24%
貸借対照表
当グループの総資産は、前年より1,002億ユーロ(11.9%)増加し、
169
3%
9,400億ユーロとなった。本年度に新たに連結された企業によって、総資産
–8
収益
税引前利益
は320億ユーロ増加した(前年度比820億ユーロの増加)。資産額の穏やかな
株主資本
利益率*
増加は、リスクに対するポジションが一貫して管理された結果である。
*営業権償却を除く。
資本の裏付けを要するBIS規制リスク加重調整済ポジション(リスク加
重調整済資産およびマーケット・リスク・ポジション)は前年度と同じ、
2,930億ユーロであった。これは、リスク加重調整済ポジションを現水準以
上に増加させないという、当行の目標を達成したことを意味する。
貸借対照表
(単位:10億ユーロ)
資産額の増加の半分以上は、ディーリング目的所有資産に関連してお
総資産
BIS規制リスク加重調整済ポジション
940
800
627
600
400
293
0
‘99
‘00
構成している。
他方、当行の貸出金総額は前年比8.0%増の3,070億ユーロとなり、総
資産に対する比率はさらに減少した。この傾向は数年来続いており、総資
産に対する投資銀行業務の影響が増していることを反映している。
293
200
‘98
その他の変動利付有価証券(346億ユーロ増)の所有高増加により、2,904
億ユーロに達した。これらは現在、総資産の31%(1999年度末:28%)を
840
254
り、当該資産は、確定利付有価証券(284億ユーロ増)ならびに株式および
貸出総額の228億ユーロの増加は、為替レートの変動に加え、企業およ
び金融機関(特に西ヨーロッパの顧客)に対する貸出金の増加(201億ユー
ロ増)に主に起因している。個人および中小企業の顧客に対する貸出金は、
わずかに1.4%の増加にすぎず、861億ユーロであった。
64
2000年度の事業展開
投 資
投資は、主として公社債所有高の増加により、前年比121億ユーロ増の
823億ユーロとなった。上場有価証券(特別ファンドを通じて所有するもの
を含む)の時価は615億ユーロ、対応する簿価は466億ユーロであり、その
結果149億ユーロの含み益が生じた。この含み益の前年比34億ユーロの減少
は、アリアンツ株式の売出しと、ダイムラークライスラーの株価の下落に
起因する。
負 債
他行からの預金は1.8%増の1,778億ユーロであり、増加分のすべてが
要求払である。他方、その他の顧客預金は15.0%増の3,346億ユーロであっ
た。この435億ユーロの増加の内、241億ユーロが期限付預金に関連し、179
億ユーロが要求払預金に、残りが貯蓄預金(15億ユーロ増)に関連してい
た。当行はまた、債券および短期金融商品の発行により資金を調達したた
め、証書債務合計は367億ユーロ増の2,010億ユーロとなった。こうした増
加分の大半(269億ユーロ)が期日1年以内の短期金融商品であった。劣後
資本は、前年度とほぼ同じ154億ユーロが計上されている。
株主資本
当グループの純収益の内、41億ユーロが利益剰余金に繰り入れられ、
株主資本は2,750億ユーロになった。
BIS規制自己資本は370億ユーロに増加した。リスク加重調整済ポジシ
ョンは引続き一定であったため、新たな資本に基づく自己資本比率は前年
度末の12.0%から12.6%に上昇した。また、コア自己資本比率も前年度末の
5.9%から7.4%に改善した。
65
損益計算書
ドイツ銀行グループ
損益計算書
単位:百万ユーロ
純利息収益
貸倒引当金繰入
[注記]
[3], [9], [15]
[4], [16]
貸倒引当金繰入後純利息収益
自2000年1月1日 自1999年1月1日
至2000年12月31日 至1999年12月31日
6,811
6,619
438
616
6,373
6,003
純手数料収益
[17]
11,468
8,084
トレーディング利益
[18]
6,891
4,521
保険業務による純収益
[19]
382
385
[6], [20]
3,107
2,007
[7], [8], [21]
21,037
15,746
[7], [22]
– 425
– 523
6,759
4,731
30
884
6,729
3,847
1,780
1,394
4,949
2,453
特別利益
–
–
特別利益に対する法人所得税
–
–
4,949
2,453
2000年度
1999年度
投資による純収益
営業費用
その他の経常収益/費用の差額
再構築費用および税金前利益
再構築費用
[12], [23]
税引前経常利益
経常利益に対する法人所得税
[13], [24]
税引後経常利益
純利益
純利益の処分
単位:百万ユーロ
[25]
純利益
4,949
2,453
少数株主持分に帰属する利益
80
50
少数株主持分に帰属する損失
3
5
4,071
1,702
801
706
2000年度
1999年度
9.02
7.93
8.86
7.78
4.86
4.06
4.67
3.91
利益剰余金繰入
連結利益
1株当たり純利益の数値
単位:ユーロ
1株当たり純利益(営業権償却を除く)
1株当たり純利益(営業権償却を含む)
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を除く)
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を含む)
66
[26]
連結決算書
貸借対照表
ドイツ銀行グループ
資産
単位:百万ユーロ
現金および預け金
[注記]
2000年12月
1999年12月
31日現在
31日現在
[27]
17,972
21,879
他行への預け金および貸出金
[3], [28]
117,413
115,453
顧客に対する貸出金
[3], [29]
373,605
352,371
貸倒引当金総額
[4], [32]
– 7,198
– 7,850
ディーリング目的所有資産
[5], [33]
290,404
233,000
投資
[6], [34]
82,290
70,206
無形固定資産
[7], [35]
8,553
8,536
有形固定資産
[8], [36]
9,196
9,049
保険会社の資本投資
[37]
28,900
21,472
法人所得税資産
[38]
5,151
7,277
その他の資産
[39]
13,747
8,472
940,033
839,865
2000年12月
1999年12月
31日現在
31日現在
資産合計
負債および資本
単位:百万ユーロ
他行からの預金
[10], [42]
177,767
174,655
その他の顧客預金
[10], [43]
334,589
291,042
証書債務
[10], [44]
200,741
164,060
ディーリング業務による債務
[11], [45]
127,137
123,268
引当金
[12], [46]
39,191
31,755
法人所得税負債
[47]
5,811
7,852
その他の債務
[48]
11,287
7,705
劣後資本
[49]
15,410
15,504
少数株主持分
株主資本
[50]
引受済資本金
資本剰余金
自己株式
利益剰余金
為替換算累積差額
連結利益
負債および資本合計
[25]
591
877
27,509
23,147
1,578
1,573
10,626
10,438
131
118
14,109
10,067
264
245
801
706
940,033
839,865
67
株主資本変動計算書
ドイツ銀行グループ
株主資本変動計算書
単位:百万ユーロ
[注記50]
2000年度
引受済資本金前期末残高
ドイツ銀行の引受済資本金の増加
1999年度
1,573
+
引受済資本金当期末残高
資本剰余金前期末残高
5
1,363
+
210
1,578
1,573
10,438
7,265
引受済資本金の増加による
株式プレミアムの資本剰余金への繰入
+
資本剰余金当期末残高
自己株式前期末残高
+
118
−
–
119
自己株式トレーディングによる損益(税引後)
+
132
−
+
131
利益剰余金前期末残高
10,067
8,323
+ 4,071
+
連結会社グループの変動およびその他の変動
–
+
14,109
為替換算累積差額前期末残高
為替換算差額
29
19
1,702
42
10,067
245
+
118
118
純利益から利益剰余金への繰入
利益剰余金当期末残高
3,173
10,438
12月31日現在の残高
自己株式当期末残高
90
+
155
為替換算累積差額当期末残高
264
245
連結利益前期末残高
706
600
利益剰余金への繰入後純利益
+
801
+
706
ドイツ銀行の配当
–
706
–
600
連結利益当期末残高
グループ株主資本当期末残高
68
188
10,626
801
706
27,509
23,147
連結決算書
キャッシュ・フロー計算書
ドイツ銀行グループ
キャッシュ・フロー計算書
単位:百万ユーロ
[注記51]
2000年度
1999年度
4,949
2,453
16,646
4,288
3,661
6,622
9,963
19,500
– 1,787
– 4,595
7,024
25,534
純利益
純利益中のキャッシュを伴わない項目および純利益の
営業活動に使用した/から得たキャッシュ純額への調整
評価減、減価償却、修正、評価増および引当金の変動
その他のキャッシュを伴わない項目の変動
投資および有形固定資産の売却益
その他の修正(純額)
–
–
–
小計
キャッシュを伴わない構成要素調整後の営業活動による
資産および負債の変動
他行への預け金および貸出金
顧客に対する貸出金
ディーリング目的所有有価証券および
ディーリング目的所有その他の資産
営業活動によるその他の資産
他行からの預金
その他の顧客預金
証書債務
営業活動によるその他の債務
利息および配当金の受取
利息の支払
再構築引当金の特定目的使用に伴う支出
法人所得税の支払
– 1,183
– 22,659
– 22,137
– 50,325
– 49,550
– 4,533
3,125
41,348
8,377
8,627
42,951
– 35,866
–
612
– 1,819
– 12,226
– 15,338
24,268
29,622
43,265
3,410
32,135
– 25,516
–
912
– 1,467
営業活動に使用した/から得たキャッシュ純額
–
4,770
30,313
–
–
–
–
43,635
1,460
34,378
2,132
980
6,152
30,005
1,598
50,356
5,972
5,271
4,754
投資売却収入
有形固定資産売却収入
投資購入支出
有形固定資産購入支出
連結会社グループの変動による影響
その他の投資活動によるキャッシュ・フロー(純額)
投資活動から得た/に使用したキャッシュ純額
1,453
–
–
–
–
– 34,750
株式発行収入
支払配当金
劣後資本の変動
–
–
193
706
94
財務活動に使用した/から得たキャッシュ純額
–
607
6,101
21,879
20,175
4,770
1,453
607
17
30,313
– 34,750
6,101
40
17,972
21,879
現金および現金同等物(現金および預け金)前期末残高
営業活動に使用した/から得たキャッシュ純額
投資活動から得た/に使用したキャッシュ純額
財務活動に使用した/から得たキャッシュ純額
為替レート変動の現金および現金同等物に対する影響
現金および現金同等物(現金および預け金)当期末残高
–
–
–
3,383
600
3,318
69
注記
ドイツ銀行の連結決算書は、貸借対照表日現在効力を有する国際会計基準
(IAS)に準拠している。また、ドイツ商法第292a条に規定する、ドイツ商
法に準拠した連結決算書の作成が免除されるための要件および欧州連合の開
示要求を満たしている。
ここに記載した連結決算書には、現行の効力を有するIASがすべて適用さ
れている。可決されたがまだ拘束力を持たない基準の早期適用はしていない。
当決算書はユーロ建てで作成されている。公表数値は明瞭性の目的で百
万ユーロ単位で表示されている。IAS準拠の連結決算書とドイツの報告基準
準拠の連結決算書との相違は、134頁から136頁の調整注記において詳述され
ている。
[1]連結に含まれている会社
連結決算書には、ドイツ銀行のほかに国内企業117社(1999年度:94社)
および外国企業1,061社(1999年度:873社)が含まれている。国内企業25
社および外国企業238社が新たに連結された。このなかにはSIC第12号の適
用開始による特定目的事業体45社が含まれていた。さらに、22の特別ファ
ンドがSIC第12号の適用開始により連結された。国内企業2社および外国企業
50社が連結会社グループから外された。
2000年度の連結会社グループの拡大をもたらした会社取得は、First
Australian Property Group Holdings Pty Ltd(シドニー)およびその子会社4
社、Bank Wspólpracy Regionalnej Spólka Akcyjna w Krakowie (クラカウ)
ならびに期末日に取得したNational Discount Brokers Group, Inc.(ジャージ
ー・シティ)およびその子会社13社であった。
さらに、以下のe-コマース会社を連結に含めた。
−easycash GmbH (ラーティンゲン)
−emagine gmbh (エシュボルン)
−emaro Aktiengesellschaft (ヴァルドルフ)
−moneyshelf.com AG (フランクフルト・アム・マイン)およびその子会
社3社
新連結会社は持株リストでは記号が付されている。
70
連結決算書
連結会社の増減は、グループ貸借対照表およびグループ損益計算書の関
連科目に以下のような影響を与えた。
連結会社グループの変動による貸借対照表の関連科目への影響
単位:十億ユーロ
2000年12月31日現在
総資産
+ 32
ディーリング目的所有資産
+ 13
投資
+ 17
証書債務
+ 28
連結会社グループの変動による損益計算書の関連科目への影響
単位:百万ユーロ
2000年度
再構築費用および税金前利益
+353
純利息収益
+269
純手数料収益
+227
投資による純収益
+246
営業費用
+345
国内および外国の関係会社合計477社は、資産、負債および資本、財政状
態ならびに損益状況に対して重要性がないため、連結されていない。グルー
プの連結総資産に占める割合は約0.1%である。このほか78社が、議決権の
行使が制限されているか、あるいは株式が再売却の目的で所有されていると
の理由により、IAS第27号に基づき連結から除外されている。
持分法適用会社のグループは17社増加し、合併により1社除外された。合
計37社が持分法により評価されている。これらの企業の決算書は、グループ
の会計方針に統一するための修正がなされていない。
関連会社265社は、重要性がないため持分法による評価は行われなかった。
全持株リストは、フランクフルト・アム・マインの商業登記所に預けられ
ている。それは191頁の申込用紙を用いて無料で請求できる。
71
[2]連結の原則
資本の連結は、帳簿価額法を用いて実施されている。2000年に初めて連
結された会社については、各々の取得日が基準として用いられた。営業権は
定額法で償却されている。
グループ内債権および債務、費用および収益ならびに内部損益は、重要
性のないものを除き消去されている。保険会社の決算書は、平準化準備金
を除き変更を加えずに連結決算書に含められている。この業務の特殊性の
ため、保険会社のグループ内取引のポジションの相殺は原則として行われて
いない。
[3]貸出金
他行への預け金および貸出金および顧客に対する貸出金は、必要に応じ貸
倒れ控除後の額面金額または原価により計上されている。割増額および割引
額は繰延べられ、期日までの期間にわたって利息として計上されている。期
日前補償金は4年間(平均残存期間)にわたって収益計上されている。
法的請求権がある場合でも、受取利息はその実現の見込みがほぼ確実とな
らない限り収益として計上されない。
[4]貸倒引当金
貸倒引当金は、価値修正、すべての認識可能な信用およびカントリー・リ
スク引当金および潜在的債務不履行リスク引当金で構成されている。貸倒引
当金総額に計上される金額は、将来発生が見込まれる債務不履行見積り額、
経済情勢、様々な貸出金ポートフォリオの構成、特性、成績およびその他の
重要な要因によって算出されている。この評価では、金銭債権およびオフ・
バランスシートのポジション(例えば、金利または通貨取引、保証および信
用状)を対象としている。
信用リスク引当金は、グループ全体に一律に適用される慎重な基準に従い、
債務不履行予想額で計上されている。
外国への貸出に関する移転リスク(カントリー・リスク)は、各国の経済、
政治、地域情勢を考慮に入れた格付システムに基づいて評価されている。
72
連結決算書
貸出業務における潜在的信用リスクは、過去の債務不履行の経験に基づく
グループ会社の評価を基準として、包括的価値修正により引当金計上されて
いる。
ディーリング取引はすべて公正価値で貸借対照表に計上され、公正価値の
[5]ディーリング目的所有資産
変動は損益計算書に計上されている。ディーリング目的所有資産およびディ
ーリング業務による債務は、強制力のあるネッティング権があり、かつその
ネッティングが、期待される実際の将来キャッシュ・フローを合理的に反映
している場合、ネッティングされている。
解釈指針委員会の決議した解釈指針(SIC)第16号に従って、2000年度の
自己株式トレーディング
期首以降、IAS準拠の連結決算書に含まれる損益計算書には、自己株式トレ
ーディングに係る費用または収益は計上されていない。IAS準拠の連結決算
書上、当該損益はトレーディング利益から除外され、税引後で、自己株式の
残高と同様に、株主資本の部に含めて計上されている。
非連結の関係会社株式は原価で計上されている。関連会社は持分法で評価
[6]投資
されて連結決算書に含められている。ただし、重要性が乏しい場合原価で評
価されている。一時的でない減価の場合は評価減の処理が行われる。
投資目的の公社債およびその他の確定利付有価証券、株式およびその他の
変動利付有価証券ならびにその他の持分は原価で計上されている。ただし、
永久的減価については評価減が行われている。
取得した無形固定資産は、取得原価から該当する計画的減価償却を控
[7]無形固定資産
除した額で計上されている。
企業取得による営業権は主として15年にわたって償却されている。経済的
に独立した事業単位の取得による営業権は、5年にわたって定額法により償
却されている。
73
自社開発のソフトウェアは、それにより当行に経済的便益の生じる可能性
が高く、かつその製造原価を信頼性をもって測定できる場合、資産計上され
ている。ソフトウェアは、見積有用期間である3年から5年にわたって定額法
により償却されている。
一時的でない可能性が高い減価の場合、あるいは、将来経済的便益が得ら
れない場合には計画外の評価減が行われる。
[7]無形固定資産
償却年数
単位:年
営業権
[8]有形固定資産
5 –15
自社開発のソフトウェア
3–5
その他の無形固定資産(ライセンスおよび権利)
3–6
有形固定資産は、取得原価から該当する計画的減価償却を控除した額で計
上されている。資産は各々の見積耐用年数にわたって定額法により減価償却
されている。有形固定資産の各資産の耐用年数の決定に当たっては、物理的
年数、技術の進歩ならびに契約上および法律上の制限を考慮している。
一時的でない可能性が高い減価の場合は、計画外の評価減が行われる。
有形固定資産を維持するために要した支出は、それが資産の性質を変えず
しかも規則的に発生する限り、費用として処理されている。
[8]有形固定資産
通常耐用年数
単位:年
土地および建物
EDP機器
その他の事務所用什器備品
[9]リース業務
借手の場合
2–6
3–10
リース資産の所有に伴うリスクと利益が貸手にあるリース契約(オペレー
ティング・リース)に基づく資産のリース料は、借手では賃借費用として処
理されている。
74
25–50
連結決算書
IASに準拠すれば、リース資産の所有に伴うリスクと利益がほとんどす
べて借手に移転する場合、ファイナンス・リースとして扱われる。貸手で
貸手の場合…
...ファイナンス・リース
は、借手に対する債権が、残存価額を考慮した約定支払金額の現在価値
で、計上されている。
IAS原則に準拠して貸手に所有権が帰属するリース資産(オペレーティン
...オペレーティング・リース
グ・リース)は、有形固定資産として計上されている。減価償却は、各々の
固定資産に適用される原則に準拠して行われている。リース料は使用に応じ
て収益に計上されている。
預金、証書債務は、返済金額または額面金額で評価されている。割引発行
[10]預金、証書債務
による債券および類似の債務は現在価値で計上されている。
ディーリング業務はすべて公正価値で計上され、変動は損益計算書に計上
[11]ディーリング業務による債務
されている。ディーリング業務による債務には、ディーリング目的所有資産
と相殺された場合を除くデリバティブのマイナスの時価、および有価証券の
空売りによるショート・ポジションが含まれている。
年金および類似の債務に対する引当金は、保険数理の原則に準拠して、予
測単位積増方式によって計算されている。原則として、適用される昇給率、
[12]引当金
年金債務
年金調整率、割引金利は、特定国の状況が反映されている。グループの中に
は、国の規則に従って年金給付基金を設定している企業もある。
再構築引当金は、IAS第37号に規定された条件を満たし、詳細な正式の再
再構築引当金
構築計画が作成、承認され、将来の実施が確定した場合に認識される。
75
その他の引当金
その他の引当金は、未確定取引による未確定債務または予想損失の金額で
計上されている。
[13]繰延税金
繰延税金は、貸借対照表に着目した一時的差異の概念によって計算されて
いる。そこでは、資産および負債の残高が、各グループ会社に関連する税務
上の残高と比較される。この評価差額から一時的差異の額が算定され、これ
について、その解消される時期に関わりなく、繰延税金資産または繰延税金
負債が計上されねばならない。繰延税金は、負債法に従い、特定国における
将来の税率を用いて計算されている。繰延税金資産は、法人所得税が同一の
課税機関によって徴収される場合、繰延税金負債と相殺されている。
[14]通貨の換算
外貨建資産・負債および未決済の直物為替取引は、原則として貸借対照表
日現在の直物相場仲値で、為替予約取引は貸借対照表日現在の先物相場で換
算されている。
連結決算書においては、連結外国会社の貸借対照表科目は、それぞれの貸
借対照表日現在の仲値でユーロに換算されている(決算日法)。2000年度よ
り、損益計算書科目は、加重平均レートで換算されている(平均レート法)
。
損益計算書の関連科目に対する為替レート変動の影響は、127頁に説明され
ている。資本連結から生じる換算損益は為替換算累積差額として株主資本の
部に計上されている。営業権の換算は、取得時現在の為替レートにより行わ
れている。負債および損益の連結から生じる換算損益は損益に影響を与えな
いように処理されている。
76
連結決算書
損益計算書注記
[15] 純利息収益
[15] 純利息収益
単位:百万ユーロ
利息収益
貸出および金融市場業務
確定利付有価証券
配当等収益
2000年度
1999年度
41,115
29,592
39,348
27,742
1,767
1,850
971
1,502
株式およびその他の変動利付有価証券
627
1,221
持分出資
230
154
86
96
持分法適用会社出資
関係会社出資
利息費用および類似の費用
預金
28
31
35,754
24,905
24,895
17,601
証書債務
9,702
6,305
劣後資本
1,157
999
479
430
リース業務による当期収益
865
1,112
リース資産の減価償却費
274
441
リース業務によるその他の費用
112
241
6,811
6,619
リース業務利益
合計
[16] 貸倒引当金
[16] 貸倒引当金
単位:百万ユーロ
2000年度
1999年度
損益計算書の借方に繰入
1,675
2,079
損益計算書の貸方に戻入
1,111
1,321
76
50
為替ヘッジによる利益(−)/ 損失(+)
– 50
– 92
合計
438
616
償却済債権取立額
[17] 純手数料収益
[17] 純手数料収益
単位:百万ユーロ
2000年度
1999年度
証券業務
4,828
3,320
資産運用
3,227
2,153
支払業務
770
700
国外商業業務、旅行代金決済業務
367
336
貸出手続および保証
795
676
1,481
899
11,468
8,084
その他の業務
合計
77
手数料収益の額は13,032百万ユーロ(1999年度:9,205百万ユーロ)であ
り、対する手数料費用は1,564百万ユーロ(1999年度:1,121百万ユーロ)
で、特に証券業および資産運用に関するものであった。
次の管理および代理業務が第三者に対して提供された:保管、資産運用、
信託資産管理、抵当権、保険契約および不動産ファイナンス契約の委託、
ならびに合併および買収。
[18] トレーディング利益
[18] トレーディング利益*
単位:百万ユーロ
証券
2000年度
4,021
2,650
822
1,161
3,199
1,489
1,105
833
1,012
756
債務証書および関連するデリバティブ
株式および関連するデリバティブ
外国為替、金属および商品
外国為替
金属および商品
その他の自己勘定取引業務
OTCデリバティブ/スワップ
93
77
1,945
1,278
1,174
744
771
534
7,071
4,761
– 180
– 240
6,891
4,521
その他の金融取引
トレーディング利益
自己株式トレーディングに係る利益(–)/損失(+)の調整
損益計算書のトレーディング利益
1999年度
* 利息および配当収益、資金調達コストおよびトレーディング業務による手数料を含む。
その他の金融取引は、特に、新興市場のトレーディングおよび金融市場
の証書およびデリバティブのトレーディングからなっている。2000年度期
首より効力が生じた解釈指針委員会のSIC第16号に従って、自己株式トレー
ディングに係る費用または収益は損益計算書に計上されていない。当該損
益はSIC第16号に従い株主資本の部に含まれている。比較数値もこれに従っ
て調整されている。
78
連結決算書
[19] 保険業務による純収益
[19] 保険業務による純収益
単位:百万ユーロ
正味受取保険料
保険料払戻引当金総額からの分担
2000年度
1999年度
3,784
3,591
259
226
1,860
1,831
38
73
収益合計
5,941
5,721
保険金請求費用
1,730
1,488
保険業務における正味引当金の変動
1,996
2,748
保険業務のための費用
330
350
資本投資のための費用
791
143
その他の費用
209
180
5,056
4,909
保険料払戻前純収益
885
812
保険料払戻費用
503
427
合計
382
385
資本投資による収益
その他の収益
費用合計
正味保険料および資本投資による収益の増加により、保険業務による純
収益は73百万ユーロ(+9.0%)増加して、保険料払戻引当金への繰入前で
885百万ユーロとなった。この結果、保険料払戻費用を通じての保険契約者
の受取額は、前期より76百万ユーロ増加して503百万ユーロであった。
[20] 投資による純収益
[20] 投資による純収益
単位:百万ユーロ
2000年度
1999年度
投資による利益/損失
3,647
2,062
投資の評価増/評価減
– 540
– 55
合計
3,107
2,007
2000年度の投資による純収益は1999年度と同様に、主に、アリアンツ株
式の売却益からなっていた。
79
[21] 営業費用
[21] 営業費用
単位:百万ユーロ
2000年度
1999年度
13,169
9,670
10,983
8,020
強制社会保険拠出金
1,037
857
年金およびその他の従業員給付費用
人件費
賃金および給料
1,149
793
その他の営業費用
6,580
5,112
減価償却費および修正
1,288
964
事務所用什器備品
687
633
土地および建物
203
155
無形固定資産
349
140
49
36
21,037
15,746
2000年度
1999年度
842
1,082
その他の諸資産
合計
[22] その他の経常収益/
費用の差額
[22] その他の経常収益/費用の差額
単位:百万ユーロ
その他の収益
その他の当期経常収益
雑収入
その他の費用
481
−
601
1,267
1,605
その他の当期経常費用
440
597
営業権償却
672
473
95
97
その他の税金
損失引受による費用
雑損失
差額
その他の当期経常収益
842
2
3
58
435
– 425
– 523
その他の当期経常収益は特に、土地建物の賃貸料収入および有形固定資
産売却益からなっていた。
雑収入
前年度の雑収入は特に、米ドル建てで契約されたバンカース・トラスト購
入価額に対する為替ヘッジ取引による非経常利益576百万ユーロによるもの
であった。
80
連結決算書
その他の当期経常費用は特に、貸出または証券業務に関係のない未確定
その他の当期経常費用
債務および予想損失に対する引当金の繰入ならびにDeutschen Wohnen AG
(エシュボルン)の居住用財産の維持費用が含まれている。
雑損失は特に、ユーロへの転換に関連する費用からなっていた。1999年
雑損失
度は、さらに西暦2000年問題対応費用があった。
[23] 再構築費用
[23] 再構築費用
単位:百万ユーロ
再構築対策費用
2000年度
1999年度
38
898
バンカース・トラストの留保金支払
154
107
再構築引当金戻入益
162
121
30
884
合計
この項目には、Deutschen Financial Services Corp.の再構築対策の費用30
再構築対策費用
百万ユーロが含まれている。さらに、Eurohypo AGについて8百万ユーロの
費用が富裕層顧客向け業務の支店網閉鎖に関連した再構築対策費用として
含まれている。
バンカース・トラストの取得に関連し、一定の従業員について留保金支払
プログラムの合意がなされた。
バンカース・トラストの
留保金支払
請求権は、契約により合意された最低勤務期間(平均3年)にわたって取
得される。2000年度の按分負担額は154百万ユーロであった。
戦略的グループ再構築計画の枠内で1997年度に繰入れられた再構築引当
再構築引当金戻入益
金のうち、71百万ユーロが戻入れられた。さらにバンカース・トラストの
統合に関連して1999年度に繰入れられた再構築引当金64百万ユーロならび
に法人顧客および不動産投資銀行部門およびグローバル・テクノロジー・
アンド・サービス部門の再構築対策に対する引当金27百万ユーロが戻入れ
られた。これらの戻入は、個々のプログラムの終了により、特定の対策が
実施されなくなったため、行う必要があった。
81
[24] 経常利益に対する法人所得税
[24] 経常利益に対する法人所得税
単位:百万ユーロ
2000年度
1999年度
当期税金
1,713
1,784
繰延税金
67
– 390
1,780
1,394
合計
当期税金は、当年度の課税所得に基づき、多様なグループ会社に適用さ
れる当該国の税率を用いて計算された。
ドイツでは、1999年度より発効した利益に対する法人税率40%に加えて、
5.5%の統一割増税が課されている。これにより、法人所得税の実効税率は
42.2%になっている。実効税率10.225%の営業税と合わせて、2000年度の
ドイツ国内の税金総負担率は前年度と同じ52.4%であった。課税所得のうち、
既に45%の法人所得税を課された配当所得またはその他の営業投資による
所得からなる部分については、法人所得税率は引き続き45%となる。ドイ
ツ法人税法上、利益に対する基本負担率42.2%は、配当金支払については
31.65%(法人所得税30%+統一割増税5.5%)に軽減される。この配当支払
側の法人所得税の軽減と並行して、ドイツに納税義務のある株主の側でも、
税額控除を受けることにより自らの個人所得税額との相殺が認められ、こ
の相殺額が、配当支払会社に課される残りの税負担31.65%と対応している
(帰属法)。
繰延税金は一時的差異の発生および解消(−8百万ユーロ)、税率の改定
(−147百万ユーロ)および繰延税金資産の評価修正(+222百万ユーロ)に
よるものであった。
82
連結決算書
次表は2000年度について、税引前純利益から算出された法人所得税と損
益計算書に実際に計上された法人所得税との関係(調整)を示している。
算出された法人所得税はドイツ国内の税金総負担率52.4%に基づいて計算さ
れている。
単位:百万ユーロ
2000年度
1999年度
3,526
2,020
税引前純利益から算出された法人所得税
配当に対する内国法人所得税の軽減
–
172
– 204
国外所得に対する税率差異
–
535
–
損金不算入費用
非課税収益
53
183
131
– 1,805
– 803
繰延税金資産の評価修正
222
197
営業権償却
358
247
3
– 141
1,780
1,394
その他
計上された法人所得税
2001年5月17日の株主総会には、ドイツ銀行の配当可能利益801百万ユー
[25] 純利益の処分
ロを配当することが決議案として提案される。これは、1株当たり1.15ユー
ロから1.30ユーロへの増配に相当する。
株式が証券取引所で取引されている会社は1株当たり純利益の報告と計
[26] 1株当たり純利益の数値
算方法の記述が要求されている。「希薄化後1株当たり純利益」は「1株当た
り純利益」と同様に公表しなければならない。1株当たり純利益数値の計算
に際しては、平均流通株式数の計算上、自己株式数を控除しない。
IAS準拠の「1株当たり純利益」は純利益(少数株主持分に帰属する利
1株当たり純利益
益/損失を除く)をその期間の平均流通普通株式数で除して計算する。
83
希薄化後1株当たり純利益
追加的に開示される「希薄化後1株当たり純利益」は付与された先買権に
よる株式数の増加により起こりうる希薄化効果を示している。純利益も、
希薄化の可能性がある普通株式への転換による収益または費用の増減につ
いて調整されている。従って「希薄化後1株当たり純利益」は、その期間の
調整後利益(少数株主持分を除く)を、増加する可能性のある株式数を含
めた株式数で除して算出される。
以下の表は、基礎となった主要な数値および株式数を示したものである。
2000年度
1999年度
1株当たり純利益(営業権償却を除く)
9.02ユーロ
4.86ユーロ
1株当たり純利益(営業権償却を含む)
7.93ユーロ
4.06ユーロ
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を除く)
8.86ユーロ
4.67ユーロ
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を含む)
7.78ユーロ
3.91ユーロ
平均流通株式数
614,698,508
592,894,817
付与された先買権により増加した、
または増加する可能性のある株式数を含めた株式数
625,948,432
616,580,994
1998年の株主総会で決議されたグローバル・エクイティ・プランおよび
1999年度より実施されたdbシェア・プランのため、基礎数値となる「調整
後税引前1株当たり純利益」(APIPS)が、これまで適用してきた計算方法に
従って引き続き算定される。これは、1999年度に行った損益計算書の表示
方法の変更による影響を受けない。
84
連結決算書
貸借対照表注記
[27] 現金および預け金
[27] 現金および預け金
2000年
単位:百万ユーロ
1999年
12月31日現在 12月31日現在
現金および中央銀行預け金
公共部門事業体債務証券および中央銀行借入適格為替手形
政府短期証券、割引政府債および
類似の公共部門事業体債務証券
為替手形
合計
16,113
13,404
1,859
8,475
1,673
8,346
186
129
17,972
21,879
[28] 他行への預け金および貸出金
[28] 他行への預け金および貸出金
単位:百万ユーロ
国内銀行
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
国外銀行
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
当座/決済勘定
8,709
5,717
10,993
21,544
金融市場
4,855
8,505
75,967
64,328
貸出金
7,675
9,255
9,214
6,104
21,239
23,477
96,174
91,976
3,511
6,946
50,812
54,085
合計
このうち:
証券担保付金融市場業務
[29] 顧客に対する貸出金
[29] 顧客に対する貸出金
2000年
単位:百万ユーロ
国内顧客
1999年
12月31日現在 12月31日現在
154,681
149,937
事業会社および金融機関
60,743
57,006
一般個人顧客および富裕層
69,685
68,860
公共部門
23,522
23,251
731
820
その他
国外顧客
218,924
202,434
197,571
181,723
16,636
16,133
4,556
3,763
161
815
373,605
352,371
証券担保付金融市場業務
75,365
82,840
抵当貸出および抵当権により担保されたその他の債権
61,764
60,311
公共部門事業体への/により保証された貸出
28,876
29,594
事業会社および金融機関
一般個人顧客および富裕層
公共部門
その他
合計
このうち:
85
関係会社および参加関係のある
会社への貸出金
単位:百万ユーロ
関係会社
参加関係のある会社
2000年
1999年
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在
銀行に対する貸出金
–
165
63
126
顧客に対する貸出金
993
1,885
1,986
1,181
11
6
–
–
保険会社の資本投資/その他の資産
償還請求債権
取消不能与信契約
[30] 貸出金総額
–
92
–
85
48
66
82
147
[30] 貸出金総額
単位:百万ユーロ
顧客に対する貸出金*
手形割引**
他行への預け金および貸出金
合計
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
289,897
268,660
195
130
16,889
15,359
306,981
284,149
* 証券担保付金融市場業務および有価証券直物取引を除く。
** 貸出金として区分計上されていないもの。
貸出金総額には、未収利息、ブローカーおよび決済機関に対する債権な
らびに与信業務以外から生じたその他の債権合計約250億ユーロを含む。
貸出金総額のうち、1,623億ユーロ(52.9%)(1999年度:1,590億ユー
ロ)は国内の借手に、1,447億ユーロ(47.1%)(1999年度:1,251億ユー
ロ)は国外の借手に対するものであった。
86
連結決算書
貸出金総額に含まれていたファイナンス・リースは、5,873百万ユーロ
[31] リース業務
(1999年度:4,807百万ユーロ)に増加した。
ファイナンス・リースとして計上されているリースに対する総投資額は
6,622百万ユーロ(1999年度:5,564百万ユーロ)であった。この数値は以
下の期間で構成されている。
単位:百万ユーロ
2000年
12月31日現在
1年以下
1,189
1年超−5年以下
3,089
5年超
2,344
合計
6,622
未回収のリース料の現在価値は5,497百万ユーロであった。この数値は
以下の期間で構成されている。
単位:百万ユーロ
1年以下
2000年
12月31日現在
960
1年超−5年以下
2,656
5年超
1,881
合計
5,497
前受ファイナンス収益合計額は883百万ユーロであった。貸手の利益と
なる無保証の残存価値は299百万ユーロであった。この中には偶発リース
料2百万ユーロが含まれている。リース業務の債権に対する価値修正額は6
百万ユーロであった。
87
[32] 貸倒引当金総額
[32] 貸倒引当金総額
信用リスク
貸倒引当金総額の変動状況
単位:百万ユーロ
1月1日現在
カントリー・
潜在的リスク
合計
リスク(包括的価値修正)
2000年 1999年 2000年 1999年 2000年 1999年 2000年 1999年
6,307* 5,917
756
1,034
836**
830
7,899
7,781
増加
損益計算書の
借方に繰入
1,653
2,020
22
59
–
–
1,675
2,079
1,027
842
303
–
–
–
1,330
842
減少
貸倒れ
損益計算書の
貸方に戻入
776
931
186
370
149
20
1,111
1,321
為替換算差額
57
100
5
33
3
20
65
153
12月31日現在
6,214
6,264
294
756
690
830
7,198
7,850
*
連結会社グループの変動による43百万ユーロ調整後
** 連結会社グループの変動による6百万ユーロ調整後
貸倒引当金総額の分類
単位:百万ユーロ
他行への預け金および貸出金
顧客に対する貸出金
手形割引
(貸出金として区分計上されていないもの)
その他の科目
(保証、信用状など)
合計
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
234
573
6,510
6,704
1
4
453
569
7,198
7,850
貸出金ポートフォリオには、未発生の価値修正リスク負担分44億ユーロ
(1999年度:41億ユーロ)が含まれていた。
貸倒引当金総額の主要比率
貸出金総額に対する割合(%)
88
2000年度
1999年度
貸倒比率
0.43
0.30
残高比率
2.32
2.75
連結決算書
[33] ディーリング目的所有資産
[33] ディーリング目的所有資産
単位:百万ユーロ
公社債およびその他の確定利付有価証券
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
152,338
123,960
19,585
21,816
公共部門発行者
80,705
66,364
その他の発行者
52,048
35,780
金融市場証券
公社債およびノート
このうち:自己社債
含む:証券取引所上場適格の有価証券
このうち:上場証券
株式およびその他の変動利付有価証券
株式
2,880
1,743
152,338
123,960
130,012
95,875
80,298
45,703
77,714
43,225
投資有価証券
1,064
1,632
その他
1,520
846
80,284
45,340
含む:証券取引所上場適格の有価証券
このうち:上場証券
デリバティブのプラスの時価
その他のディーリング目的所有資産
合計
77,726
42,223
53,764
61,351
4,004
1,986
290,404
233,000
ディーリング業務による未決済のデリバティブ取引の期末日現在の再調
達原価は1,446億ユーロ(1999年度:1,198億ユーロ)であった。
強制力のあるネッティング契約908億ユーロ(1999年度:584億ユーロ)
を考慮に入れた場合、デリバティブのプラスの時価は538億ユーロ(1999
年度:614億ユーロ)であった。
投資科目82,290百万ユーロ(1999年度:70,206百万ユーロ)には、非連結
[34] 投資
関係会社出資、持分法適用会社出資およびその他の投資が含まれていた。
89
内訳および推移
以下の表は投資の内訳と推移の詳細を示している。
[34] 投資
その他の投資
株式および
その他の変動利付
有価証券
その他の
持分
3,651
非連結関係会社
出資
持分法適用
会社出資
公社債および
その他の確定利付
有価証券
1,494
1,533
50,611
13,579
–6
–
20,024
– 2,782
112
–
– 33
722
46
195
308
495
24,304
7,944
1,327
振替
–4
143
–
56
– 195
売却
622
44
34,212
4,327
975
1,170
2,094
61,449
14,516
4,115
–
– 154
–
–
–
2000年1月1日現在
86
–
176
179
89
為替レート変動
–1
–
10
11
2
当期評価減
6
–
40
392
105
当期評価増
–
–
–
3
–
振替
–
–
–
–
–
売却
34
–
153
2
3
2000年12月31日現在
57
–
73
577
193
1999年12月31日現在
1,408
1,401
50,435
13,400
3,562
2000年12月31日現在
1,113
1,940
61,376
13,939
3,922
証券取引所上場適格の有価証券
–
–
61,376
8,842
–
証券取引所上場有価証券
–
–
38,604
7,655
–
単位:百万ユーロ
取得原価
2000年1月1日現在
連結会社グループの変動
為替レート変動
取得
2000年12月31日現在
持分法による評価の変動累計額
評価減
簿価
含む:
非連結関係会社出資のうち、39百万ユーロが銀行に対する出資であった。
持分法により評価されている銀行への出資は79百万ユーロであった。その
他の投資には株式投資が5,404百万ユーロ含まれており、このうち898百万
ユーロが銀行に対する投資に関連するものであった。
90
連結決算書
持分法による評価の変動累計額には、2000年度の持分法適用会社の持分
按分した損益および支払配当金の差額合計マイナス22百万ユーロが含まれ
ていた。
シンジケート契約債務はなく、売却または売却益の受取については何の
制限もなかった。
非連結関係会社、関連会社、20%以上のその他の主要な持分所有会社、
および議決権の5%超を保有する大規模公開会社に対する持分は、持株リ
ストでは連結会社の後に示されている。ここには、ドイツ銀行が無限責任
株主となっている会社に関する情報も含まれている。持株リストは、フラ
ンクフルト・アム・マインの商業登記所に預けられているが、191頁の申
込用紙を用いて無料で請求することもできる。
長期金融資産として取り扱われる
単位:百万ユーロ
公社債およびその他の確定利付有価証券
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
61,376
50,435
14,790
9,293
公共部門発行者
20,804
18,022
その他の発行者
25,782
23,120
金融市場証券
有価証券
公社債およびノート
このうち:自己社債
株式およびその他の変動利付有価証券
株式
7,388
9,875
13,939
13,400
12,837
6,804
投資有価証券
969
6,372
その他
133
224
75,315
63,835
合計
公社債および株式の増加ならびに投資有価証券の減少は主として、SIC
第12号に従った初回連結、特に特別ファンドの連結によるものである。
91
含み損益情報
上場有価証券(中間持株会社所有の有価証券を含む)の時価総額は615
億ユーロであった。この金額は、銀行業以外の事業会社に対する出資の時
価179億ユーロ(下表参照)、その他の株式(通常5%未満)の時価52億ユ
ーロならびに公社債およびその他の確定利付有価証券の時価384億ユーロ
から成っていた。これに対応する簿価は、公社債の簿価386億ユーロおよ
び株式の簿価77億ユーロならびに中間持株会社の簿価3億ユーロであり、
その結果149億ユーロ(1999年度:183億ユーロ)の含み益が生じていた。
92
連結決算書
直接あるいは間接に当行に帰属する所有割合および時価情報は以下の通
重要な株式所有...
りである。
所有割合*
Allianz AG**
BHS tabletop AG
Continental AG
時価
(%)
2000年
12月31日現在
単位:百万ユーロ
4.2
3,987
28.9
8
7.8
175
DaimlerChrysler AG
12.1
5,312
Deutsche Beteiligungs AG Unternehmensbeteiligungsgesellschaft
15.3
85
DEUTZ AG
25.4
43
9.2
267
19.6
33
Heidelberger Zement AG(議決権株式の8.9%)
Philipp Holzmann AG
LEONI AG
8.8
17
10.1
613
mg technologies ag
9.3
212
Motor-Columbus AG
9.9
92
Münchener Rückversicherungs-Gesellschaft AG
9.7
6,521
26.4
304
Linde AG **
NÜRNBERGER Beteiligungs-AG**
Phoenix AG
13.1
24
Südzucker AG (議決権株式の14.2%)
11.4
199
8.4
18
10.1
23
Vossloh AG**
WMF Württembergische Metallwarenfabrik AG**
(議決権株式の15.2%)
合計
43.8
DIVACO AG & Co. KG(議決権株式の19.4%)
38.9
Mannesmann Arcor AG & Co. KG
SMATcom AG
Tele Columbus GmbH
...上場会社
17,933
Clean Car AG
Gerling-Konzern Versicherungs-Beteiligungs-AG
(議決権株式の24.9%)
銀行業以外の事業会社に対する
...非上場会社
30.0
8.2
45.0
100.0
*
連結した特別ファンドが所有するものを含む。
** このうち一部は、保険会社の資本投資。
上記の株式所有に関して、当行は単なる経済的利益のみを追求しており、
経営上の意思決定には影響力を及ぼしていない。このため、当該出資は原
価で評価されている。
93
[35] 無形固定資産
[35] 無形固定資産
営業権
自社開発
ソフトウェア
その他
145
単位:百万ユーロ
取得原価/製造原価
2000年1月1日現在
9,325
722
営業権の修正
– 62
–
–
連結会社グループの変動
812
22
20
為替レート変動の影響
–
1
8
取得
–
180
84
振替
–
–
–
除売却
–
1
37
10,075
924
220
1,229
406
21
–
–
2
当期償却
672
126
51
臨時償却
–
170
2
評価増
–
–
–
振替
–
–
–
12
–
1
1,889
702
75
1999年12月31日現在
8,096
316
124
2000年12月31日現在
8,186
222
145
2000年12月31日現在
償却費
2000年1月1日現在
為替レート変動の影響
除売却
2000年12月31日現在
簿価
営業権の修正のうち60百万ユーロ(税引後)は、バンカース・トラスト
関連の再構築引当金の取崩しによるものである。残りの2百万ユーロは、
Deutsche Bank S.A./N.V.(ブリュッセル)の購入価格が後日減額されたこ
とに関連している。
初回連結による営業権の増加には特に、National Discount Brokers
Groupの取得によるものが678百万ユーロ、First Australian Property Group
の購入によるものが57百万ユーロ含まれていた。
自社開発の無形固定資産(自社開発ソフトウェア)の製造原価180百万
ユーロが資産計上された。
過年度に資産計上されたソフトウェア(当行で開発したものおよび購入
したものともに)をe-コマース・プロジェクトの観点で再評価した結果、
自社開発ソフトウェアについて容認されている製造間接費の資産計上は取
りやめることとなった。この再評価に基づく評価減は臨時償却として計上
された。
94
連結決算書
[36] 有形固定資産
[36] 有形固定資産
単位:百万ユーロ
土地および
建物
事務所用
什器備品
リース設備
取得原価/製造原価
2000年1月1日現在
4,828
4,206
3,904
連結会社グループの変動
37
162
248
為替レート変動の影響
49
36
101
取得
382
847
903
振替
–4
–
4
除売却
87
369
2,163
5,205
4,882
2,997
652
2,246
991
–
9
–1
当期償却
203
687
274
臨時償却
–
–
–
当期評価増
–
–
–
振替
–
–
–
13
276
884
842
2,666
380
1999年12月31日現在
4,176
1,960
2,913
2000年12月31日現在
4,363
2,216
2,617
2000年12月31日現在
減価償却費
2000年1月1日現在
為替レート変動の影響
除売却
2000年12月31日現在
簿価
簿価総額2,652百万ユーロ(1999年度:2,275百万ユーロ)の土地および建物
は当行の事業活動の範囲内で使用されていた。当期の有形固定資産の賃貸料収
入は198百万ユーロ(1999年度:199百万ユーロ)であった。有形固定資産の前
払金は71百万ユーロ(1999年度:43百万ユーロ)であった。
リース資産は以下の種類の固定資産で構成されている。
単位:百万ユーロ
土地および建物
事務所用備品および通信テクノロジー関連機器
車両運搬具
航空機
専門的設備および機械
その他
合計
オペレーティング・リース
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
21
264
37
178
851
722
1,698
1,306
10
217
0
226
2,617
2,913
95
解約不能オペレーティング・リースの将来の最低リース料は、合計で
1,804百万ユーロ(1999年度:2,122百万ユーロ)であり、期限の内訳は以
下の通りである。
2000年
12月31日現在
単位:百万ユーロ
1年以下
459
1年超−5年以下
1,127
5年超
218
合計
[37] 保険会社の資本投資
1,804
保険会社の資本投資の内訳は以下の通りであった。
[37] 保険会社の資本投資
単位:百万ユーロ
連結範囲
1999年
12月31日現在
の変動
増加
振替
減少
評価増
評価減 貸借対照表価額
2000年
12月31日現在
土地および建物
686
–
25
–
–
–
26
685
参加持分および関係会社出資
147
–32
1
–
–
–
–
116
株式、投資有価証券および
その他の変動利付有価証券
4,995
– 923
3,964
–308
3,305
1
159
4,265
無記名公社債および
その他の確定利付有価証券
1,576
1,123
2,788
–99
2,485
–
6
2,897
登録公社債、債務証書および貸出金
7,846
35
1,411
–
506
–
–
8,786
抵当権、土地担保および
年金土地担保に係る債権
2,270
1
801
–
1,076
–
1
1,995
386
5
209
–
98
–
–
502
3,139
9
14,714
407
8,734
21
147
9,409
484
–
46
–
217
–
–
313
合計
21,529
218
23,959
0
16,421
22
339
28,968
相殺
– 63
銀行預け金
保険契約者の計算および
リスク負担による資本投資
その他
相殺後の資本投資
* 為替レート変動による6百万ユーロ調整後
96
貸借対照表価額
21,466*
– 68
28,900
連結決算書
保険会社の資本投資には、連結関係会社への預け金合計1,298百万ユー
ロ(1999年度:1,195百万ユーロ)が含まれていた。相殺項目は、もっぱ
ら、資本連結に含まれた連結会社出資に関するものであった。
連結範囲の変動は主に、SIC第12号に従った特別ファンドの初回連結に
よるものである。
[38] 法人所得税資産
[38] 法人所得税資産
単位:百万ユーロ
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
当期税金
1,178
1,896
繰延税金
3,973
5,381
合計
5,151
7,277
繰延税金資産は、対応する繰延税金負債と相殺後で計上されている。
相殺前の繰延税金資産は、以下の項目から構成されていた。
単位:百万ユーロ
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
投資
549
有形固定資産
329
513
ファイナンス・リース
576
1,250
その他の資産
606
1,702
1,495
繰越欠損金
823
942
貸倒引当金総額
350
361
年金引当金
390
694
その他の引当金
586
425
12,155
2,013
5,711
80
23,171
8,379
ディーリング資産/債務
その他の負債
繰延税金資産(総額)
期間が確定していない繰越欠損金のうち866百万ユーロ(1999年度:
978百万ユーロ)および未利用の税務恩典574百万ユーロについては、現時
点での見積上、実現可能と見込まれないことから、繰延税金の計上をしな
97
かった。将来年度の新たな情報により、繰延税金資産の修正が必要となる
場合もある。
[39] その他の資産
[39] その他の資産
単位:百万ユーロ
その他の資産
9,112
4,926
保険会社のその他の資産
1,482
1,137
繰延勘定
3,153
2,409
13,747
8,472
合計
その他の資産
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
その他の資産には特に、投資に帰属しないオプションおよびスワップの
プレミアム(バンキング勘定)、通貨ヘッジ業務の相殺項目、取立のため
の受取項目およびプライベート・エクイティ投資が含まれている。
合計金額の増加は、主としてプライベート・エクイティ投資およびオプ
ション・プレミアムの増加による。
保険会社のその他の資産
保険会社のその他の資産には、主に、保険業務による債権、銀行への当
座預け金ならびに利息および賃貸料債権が含まれている。
[40] 劣後資産
[40] 劣後資産
単位:百万ユーロ
他行への預け金および貸出金
2
61
顧客に対する貸出金
115
389
公社債およびその他の確定利付有価証券
250
558
株式およびその他の変動利付有価証券
[41] 買戻契約に基づく取引
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
28
76
保険会社の資本投資
415
538
合計
810
1,622
2000年12月31日現在、貸借対照表に計上され、買戻契約に基づいて売
却された資産の簿価は47,401百万ユーロ(1999年度:23,619百万ユーロ)
であった。
98
連結決算書
[42] 他行からの預金
[42] 他行からの預金
単位:百万ユーロ
要求払
国内銀行
国外銀行
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
9,089
8,480
43,086
36,406
契約期限または通知期限付
20,361
16,220
105,231
113,549
合計
29,450
24,700
148,317
149,955
他行からの預金には、発行済の登録抵当証券が1,063百万ユーロ(1999
年度:989百万ユーロ)、発行済の登録公共部門抵当証券が868百万ユーロ
(1999年度:614百万ユーロ)および証券担保付預金が34,474百万ユーロ
(1999年度:49,665百万ユーロ)含まれていた。
[43] その他の顧客預金
[43] その他の顧客預金
単位:百万ユーロ
国内顧客
事業会社および
金融機関
一般個人顧客および
富裕層
公共部門
契約・通知期限
3ヵ月
2000年 1999年
12月31日現在 12月31日現在
貯蓄預金
契約・通知期限
3ヵ月超
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
建築貯蓄預金
2000年 1999年
12月31日現在 12月31日現在
6,422
7,218
14,357
12,256
2,482
2,375
7
10
17
16
–
–
6,387
7,174
14,207
12,132
2,482
2,375
–
1
3
6
4
–
その他
27
31
127
104
–
–
国外顧客
3,564
3,763
1,513
1,269
–
–
181
6
–
1
–
–
事業会社および
金融機関
一般個人顧客および
富裕層
3,376
3,749
1,509
1,266
–
–
公共部門
1
1
1
–
–
–
その他
6
7
3
2
–
–
9,986
10,981
15,870
13,525
2,482
2,375
合計
貯蓄預金および建築貯蓄預金
99
その他の預金
その他の預金
契約期限または
通知期限付
1999年
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在
要求払
単位:百万ユーロ
国内顧客
2000年
12月31日現在
38,451
33,864
47,893
46,237
事業会社および
金融機関
24,340
18,776
34,043
32,821
一般個人顧客および
富裕層
11,883
13,351
14,279
11,848
公共部門
274
309
1,191
750
その他
486
500
811
783
国外顧客
96,226
82,872
123,681
101,188
事業会社および
金融機関
83,625
74,032
102,829
84,418
一般個人顧客および
富裕層
10,604
8,053
10,929
10,062
1,203
619
9,634
6,346
794
168
289
362
134,677
116,736
171,574
147,425
公共部門
その他
合計
そ の 他 の 顧 客 預 金 に は 、 発 行 済 の 登 録 抵 当 証 券 が 7,949百 万 ユ ー ロ
(1999年度:7,959百万ユーロ)、発行済の登録公共部門抵当証券が4,444百
万ユーロ(1999年度:4,536百万ユーロ)および証券担保付預金が50,557
百万ユーロ(1999年度:57,653百万ユーロ)含まれていた。
関係会社および参加関係のある
会社への債務
単位:百万ユーロ
他行からの預金
その他の顧客預金
100
2000年
12月31日現在
関係会社
参加関係のある会社
1999年
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在
24
185
107
114
392
418
532
836
保険会社のその他の債務
2
1
–
–
偶発債務
–
173
206
20
連結決算書
[44] 証書債務
[44] 証書債務
2000年
12月31日現在
1999年
12月31日現在
発行債券
94,401
88,004
発行金融市場証券
91,268
64,319
単位:百万ユーロ
未決済自行引受手形および約束手形
その他
1,556
2,404
13,516
9,333
200,741
164,060
+++++
合計
このうち:
抵当証券
11,539
9,915
公共部門抵当証券
34,499
29,557
ディーリング業務による債務には、有価証券の空売りによるショート・
[45] ディーリング業務による債務
ポジション73,118百万ユーロ(1999年度:57,593百万ユーロ)およびディ
ーリング目的所有資産のプラスの時価とネッティングされた場合を除くデ
リバティブのマイナスの時価54,019百万ユーロ(1999年度:65,675百万ユ
ーロ)が含まれていた。
[46] 引当金
[46] 引当金
単位:百万ユーロ
年金および類似の債務に対する引当金
保険業務引当金
再構築引当金
その他の引当金
合計
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
4,237
4,174
27,937
20,361
193
974
6,824
6,246
39,191
31,755
ドイツ銀行グループの各社は、従業員の大部分に対して、会社の退職年
年金債務
金給付を支給している。年金制度は、一部、掛金建制度もあるが、主に給
付建制度である。両タイプの制度とも、給与に連動している。給付建年金
制度による給付は一般に、グループにおける勤務年数にも依存している。
ドイツ国内会社の従業員に対する年金給付は大部分が内部資金により調
達される。一方、ドイツ国外の会社については外部資金により、一部は投
101
資信託を通じて調達される。外部資金の利用可能資産(制度資産)は公正
価値で評価されている。
給付建年金制度は、以下の原則に基づいて年次決算書に含まれている:
債務の範囲は、国際会計基準委員会(IASC)のIAS第19号(1998年改訂)
に規定する保険数理的原則に従って決定される。同基準は、債務の評価お
よび費用の計算に、いわゆる予測単位積増方式を用いることを明記してい
る。年金債務の実際評価額は、評価日現在の、取得された給付建債務の現
在価値である。
当年度の引当金の額は、前年度の引当金に、期首に算定した年金費用を
加算し、当年度中の支払額を減算した額に相当する。
年金制度に関連して生じる損益に、特に影響を与えるのは、リスクの不
規則な推移(罹病・死亡の予測と実際の差異)、計算パラメータの変更
(特に割引率、将来の年間昇給率および将来の給付水準の年間上昇率)、お
よび制度資産に係る予測外の損益である。これらの損益は、その発生額ま
たは未認識額が、年金債務および制度資産の実際評価額の最大額の10%を
超えるまでは、損益計算書に含まれない(回廊方式)。
積立状況
この結果、積立状況は以下の通りとなっている。
2000年
単位:百万ユーロ
年金および類似の債務に対する引当金から
資産計上された制度資産の積立超過部分559百万ユーロ
(1999年12月31日現在:540百万ユーロ)を控除した額
3,678
3,634
+
18
–
未認識純利益(−)/損失(+)
+
112
–
308
制度資産の公正価値
+ 2,402
+
2,292
未認識移行時差額
給付建債務の現在価値
102
1999年
12月31日現在 12月31日現在
6,210
5,618
連結決算書
制度資産の増減は以下の通りである。
単位:百万ユーロ
制度資産の増減
2000年度
1999年度
2,292
794
前期末現在の制度資産の公正価値
初回連結による制度資産の増加
–
+ 1,051
為替レート変動の影響
+
88
+
131
制度資産の実際収益
+
44
+
319
制度資産への拠出
+
92
+
57
制度資産から支払われた年金給付
–
104
–
59
退職金の支払および振替の影響
–
10
–
1
当期末現在の制度資産の公正価値
2,402
2,292
以下の表は、給付建年金制度に対する引当金の増減、および損益計算書
年金引当金の増減
に計上された費用および収益の額を示している。
単位:百万ユーロ
2000年度
1999年度
3,634
3,855
前期末現在の年金および類似の債務に対する引当金から
資産計上された制度資産の積立超過部分を控除した額
初回連結によって増加した、年金引当金から資産
計上された制度資産の積立超過部分を控除した額
–
–
344
為替レート変動の影響
–
4
–
3
移行時差額の償却
–
50
未認識利益(–)/損失(+)の償却
–
14
–
過去勤務費用の償却
–
1
–
当期勤務費用
+
321
+
241
利息費用
+
337
+
277
制度資産の期待収益
–
147
–
188
退職金の支払および振替の影響
–
77
+
4
会社から支払われた年金給付
–
229
–
151
制度資産への拠出
–
92
–
57
当期末現在の年金および類似の債務に対する引当金から
資産計上された制度資産の積立超過部分559百万ユーロ
(1999年12月31日現在:540百万ユーロ)を控除した額
3,678
–
3,634
103
債務の保険数理上の評価にあたっては、各グループ会社の現地の経済情
勢に見合ったパラメータを用いた。
規準値の範囲
割引率
4.0%から9.0%
将来の年間昇給率
2.0%から6.0%
将来の給付水準の年間上昇率
2.5%まで
現在の、保険数理計算により算出された確率が、個々の寿命測定計算の
基礎として用いられた。年齢や勤務年数による上下動の確率も考慮に入れ
られた。
給付建年金制度のための費用は、当年度において138百万ユーロであった。
保険業務引当金
単位:百万ユーロ
生命保険業務引当金*
その他の保険業務引当金
補填引当金
未確定保険請求等引当金
保険料払戻引当金
その他の引当金
合計
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
9,424
3,735
18,513
16,626
16,129
14,623
540
216
1,395
1,143
449
644
27,937
20,361
* ただし投資リスクは保険契約者が負担する。
生命保険業務引当金は、保険契約者および受取人に対する保険会社の債
務を表しており、貸借対照表の資産に計上されている資本投資によってカ
バーされていなければならない。
104
連結決算書
再構築引当金の2000年度中のプログラム別の増減は以下の通りであった。
単位:百万ユーロ
戦略的
グループ再構築
バンカース・
トラスト統合
その他の
再構築
プログラム
合計
294
479*
234
1,007
–
–
38
38
139
232
74
445
2000年1月1日現在
当年度の増加
再構築引当金
目的使用:
人事対策向け
インフラ対策向け
33
105
29
167
取崩し
71
142
27
240
2000年12月31日現在
51
0
142
193
* 為替レート変動の影響33百万ユーロを調整後
人事対策には、退職金契約、早期退職契約、および退職前パートタイム
雇用契約による雇用契約終了が含まれている。
インフラ対策には、特に、建物に空きのあるテナント賃借契約や建設プ
ロジェクトを終了させるコストや、諸手続の再構築および/または関連事
業の閉鎖によって不要となったハードウェアおよびソフトウェアの償却が
含まれている。
1997年度の連結決算書において915百万ユーロ(このうち7億ユーロが
戦略的グループ再構築
人事対策向けであり2億ユーロがインフラ対策向けであった)が、戦略的
グループ再構築計画のために繰り越された。プログラムは、3年計画であ
ったため、2000年度末に終了した。
1999年度末までに為替レートの変動を考慮後で合計566百万ユーロが特
定目的に使用された。
1999年度になって59百万ユーロの追加計上が必要となったが、これは、
当時計画されていた再構築対策、特に一般個人顧客および富裕層向けバ
ンキング部門の再構築対策を実施するために、追加費用が必要とされた
ことによる。これらの費用はこの引当金の設定当時には、具体的にまた
十分な信頼性をもって測定し得なかったために、含めることができなか
った。一方、バンカース・トラスト取得を背景として特定の対策が実施
されなくなったため、1999年度に121百万ユーロが取崩された。
105
未実施の諸対策に向けて2000年度に対して294百万ユーロが残された。
そのうち172百万ユーロが2000年度において特定目的に使用された。
一般個人顧客向けバンキング業務における対策の実施については、
1999年度に追加計上された金額のうち 51百万ユーロが未使用であり 、
2001年度において利用可能である。労使協議会との協議手続が必要であ
ったため、2000年度下半期まで各対策に着手することはできなかった。
従ってプログラムは2001年度に完了する予定である。
残る71百万ユーロは、既に特定目的に使用することがなくなったため、
取崩された。
バンカース・トラスト統合
1999年度のバンカース・トラストの初回連結によって再構築引当金は
630百万ユーロ増加し、これは営業権に含められた。このほかに531百万ユ
ーロが、バンカース・トラストの取得に関連した再構築対策のため、1999
年度の損益計算書に費用として計上された。この合計12億ユーロのうち、
9億ユーロが人事対策向けであり、3億ユーロがインフラ対策向けであっ
た。
これらの対策は既に1999年度下半期に着手され、715百万ユーロが特定
目的に使用された。
その後、2000年度末までに実施される諸対策のために、為替レート変動
33百万ユーロを考慮後で479百万ユーロが、未使用で利用可能であった。
2000年度において337百万ユーロが特定目的に使用された。
再構築計画は、2000年度末までに実施される予定であった。特定の対策
は実施されず、その結果142百万ユーロが取崩され、このうち64百万ユー
ロは損益計算書の貸方に、また78百万ユーロは営業権に対する修正として
計上された。
106
連結決算書
この項目には、一般個人顧客向けバンキング業務分離の一環として実施
その他の再構築引当金
される営業基盤の再構築、ならびにグローバル・テクノロジー・アンド・
サービス部門と法人顧客および不動産投資銀行部門における特定の再構築
対策に対する引当金が含まれている。各プログラムは1年の実施期間を見
越している。
2000年度において合計103百万ユーロが特定目的に使用された。
ドイチェバンク 24 の営業基盤の再構築に関する対策は、労使協議会と
の協議手続が必要であったため、2000年度下半期まで着手することができ
なかった。従って、全額135百万ユーロが未使用であり、2001年度に実施
される諸対策のために利用可能である。
2000年 度 に お い て Deutschen Financial Services Corp.お よ び Eurohypo
AGで実施された再構築対策に対して再構築引当金が38百万ユーロ追加計
上された。このうち7百万ユーロが未使用であり、2001年度に利用可能で
ある。
グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門と法人顧客および不
動産投資銀行部門における特定の対策は実施されず、その結果27百万ユー
ロが取崩され、損益計算書に戻入された。
その他の引当金の増加は主として、実績連動報酬が増加し、しかも未払
その他の引当金
となっているためである。そのほか、この項目には、従業員に対する将来
の支払、バンキング勘定の有価証券/デリバティブ業務および訴訟リスク
に備える引当金も含まれている。
107
その他の引当金の増減は以下の通りである。
人材領域
バンキング
勘定の有価
証券/デリバ
ティブ業務
訴訟リスク
その他
4,927
129
262
928
単位:百万ユーロ
2000年1月1日現在
為替レートの変動/連結会社グループの変動
136
–
6
99
繰入
5,016
79
75
1,058
目的使用
4,042
20
163
1,281
221
1
11
152
5,816
187
169
652
取崩し
(未使用金額)
2000年12月31日現在
人材領域における引当金には、主として、その大部分が2001年度上半期
に従業員に支払われる実績連動報酬に対するものが含まれている。
[47] 法人所得税負債
当期税金に関する税金負債は、公共部門に対する当期税金の未払額を指
す。繰延税金負債は、対応する繰延税金資産と相殺後で3,127百万ユーロ
計上された。
相殺前の繰延税金は、以下の貸借対照表項目の評価差額が解消される際
に生じる将来の税金負担である。
税金負債
単位:百万ユーロ
ファイナンス・リース
ディーリング資産/債務
1,593
1,578
11,052
1,008
投資
735
383
有形固定資産
357
528
その他の負債
7,656
3,845
21,393
7,342
繰延税金負債(総額)
108
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
連結決算書
子会社の利益剰余金のうち3,344百万ユーロ(1999年度:1,327百万ユー
ロ)については、持分割合を超えた費用負担が生じる可能性があるため、
繰延税金負債を計算しなかった。
単位:百万ユーロ
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
当期税金
2,684
3,508
繰延税金
3,127
4,344
合計
5,811
7,852
[48] その他の債務
[48] その他の債務
単位:百万ユーロ
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
繰延勘定
3,552
2,146
その他の債務
5,691
3,745
保険会社のその他の債務
2,044
1,814
11,287
7,705
合計
その他の債務には、劣後資本に関する支払期日前の未払利息、賃金およ
その他の債務
び給料勘定から控除した未払の税金および保険料ならびにその他の未払税
金が含まれている。また、バンキング業務以外で生じたその他の債務もこ
こに計上されている。
保険会社のその他の債務には、主に、保険業務から発生する保険契約者
保険会社のその他の債務
に対する債務が含まれている。
[49] 劣後資本
[49] 劣後資本
単位:百万ユーロ
劣後債務
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
10,755
11,028
利益参加資本金
1,380
1,380
匿名社員出資金
768
713
2,507
2,383
15,410
15,504
ハイブリッド資本証券
合計
109
主な劣後債務
金額
発行者/種類
利率
償還期限
600,000,000マルク 1992年Deutsche Finance
(Netherlands) B.V.(アムステルダム)社債
8.00 %
2002年
2月6日
500,000,000マルク 1992年Deutsche Finance
(Netherlands) B.V.(アムステルダム)社債
8.13 %
2002年
5月6日
2,000,000,000マルク 1993年Deutsche Finance
(Netherlands) B.V.(アムステルダム)社債
7.50 %
2003年
2月10日
1,100,000,000米ドル 1996年Deutsche Bank Financial Inc.
(ドーバー/米国)ヤンキー債
6.70 %
2006年
12月13日
550,000,000米ドル 2000年Deutsche Bank Financial Inc.
(ドーバー/米国)ミディアム・ターム・ノート 7.50 %
2009年
4月25日
300,000,000米ドル BT Institutional Capital Trust A
(ウィルミントン/米国)変動利付債
2026年
12月1日
8.09 %
上記の劣後債務に関しては、発行者側に償還期限前の償還義務のあるも
のはない。清算または破産の場合、これらの債務に起因する債権および利
息債権は発行者の全債権者の劣後弁済でない債権に対して劣後弁済とな
る。これらの条件は、個々に明記されていない劣後借入金に対しても適用
される。
劣後債務全体に対する利息費用は785百万ユーロ(1999年度:746百万
ユーロ)であった。この数値に含まれている支払期日前の未払利息233百
万ユーロ(1999年度:238百万ユーロ)は「その他の債務」の中の「その
他の債務」に計上されている。
利益参加資本金
発行済利益参加資本金発行状況は次の通りである:
− 2002年12月31日満期の1991年新株引受権付無記名利益参加証券12億
マルク。損失参加の定めに従うことを条件として償還は2003年6月30
日に行われる。利益参加証券の保有者は額面金額につき年9%の配当
支払を受ける権利を有し、この権利は株主に対する利益配分より優先
される。
− 2003年12月31日満期の1992年新株引受権付無記名利益参加証券15億
マルク。損失参加の定めに従うことを条件として償還は2004年6月30
日に行われる。利益参加証券の保有者は額面金額につき年8.75%の配
当支払を受ける権利を有し、この権利は株主に対する利益配分より優
先される。
110
連結決算書
2000年度の利益参加資本金に対する利息総額122百万ユーロ(1999年
度:122百万ユーロ)は(「その他の債務」の中の)「その他の債務」に計上
されている。
1999年5月17日の株主総会において取締役会は、総額25億ユーロまでの
新株引受権付利益参加証券および/または転換権付利益参加証券、新株引
受権付社債および転換社債を、2004年4月30日までに一度にまたは数回に
分けて発行する権限を与えられた。条件付資本金80,000,000ユーロがこの
ために利用可能である。
さらに取締役会は1997年5月20日の株主総会において、総額30億マルク
までの新株引受権付利益参加証券および/または転換権付利益参加証券、
新株引受権付社債および転換社債を、2002年4月30日までに一度にまたは
数回に分けて発行する権限を与えられた。条件付資本金153,600,000ユー
ロがこのために利用可能である。
Deutschen Bank Luxembourg S.A.における匿名社員出資金は、以下の2
匿名社員出資金
種類からなり、総額715百万米ドルである:
− 額面価額の6.825%の非累積的年間利益配分がなされる340百万米ドル。
この権利は株主に対する利益配分より優先される。損失参加の定めに
従うことを条件として償還は2007年12月28日に行われる。
− 額面価額に対し12ヶ月LIBOR+0.80%に基づく変動利益配分がなされ
る375百万米ドル。この非累積的利益配分の権利は株主に対する利益
配分より優先される。損失参加の定めに従うことを条件として償還は
2007年12月28日に行われる。
匿名社員出資金に係る利息費用は、総額54百万ユーロ(1999年度:38
百万ユーロ)相当であり、この数値に含まれている支払期日前の未払利息
0.5百万ユーロは(「その他の債務」の中の)「その他の債務」に計上され
ている。
111
ハイブリッド資本証券
米国ウィルミントンにあるグループ会社を通じて、券面総額1,693百万
米ドル、500百万ユーロおよび200億円の、革新的な資本証券(信託優先証
券)8本が発行された。これはグループのコア資本の一部である。これら
は確定および変動利付の無期限の非累積的証券であり、発行者に、個々の
期間(5年から30年)の満了時にコール・オプションが与えられている。コ
ール・オプションが行使されない場合、一定の発行証券には利息のプレミ
アムがつく。
これらの革新的資本証券に係る利息費用は総額196百万ユーロ(1999年
度:93百万ユーロ)相当であり、この数値に含まれている支払期日前の未
払利息0.7百万ユーロは(「その他の債務」の中の)「その他の債務」に計上
されている。
[50] 株主資本
以下の表は引受済、授権および条件付資本金の推移を示したものである。
引受済資本金
授権資本金
株主先買権除外
授権資本金
条件付資本金
1,572,716,851.20
531,468,910.90
7,052,574.80
350,400,000.00
単位:ユーロ
1999年12月31日現在
従業員株式の発行
5,559,106.56
– 5,559,106.56
2000年6月9日の株主総会決議に基づく増加
2000年12月31日現在
30,000,000,00
1,578,275,957.76
531,468,910.90
31,493,468.24
350,400,000.00
引受済資本金は、無額面株式616,514,046株から成っており、株式は登録
されている。当年度において、従業員株式2,171,526株が発行された。当年
度の平均流通株式数は614,698,508株であった。2000年12月31日現在、グ
ループはドイツ銀行株式を1,913,281株所有していた。
112
連結決算書
株主総会によって取締役会は、監査役会の同意を得て以下のような新株
株主総会による授権
発行により増資をする、内容の異なる4種類の権限を与えられた(授権資本
金):
− 2 0 0 2 年 4 月 3 0 日 ま で に 現 金 払 込 み に よ る 新 株 発 行 に よ っ て 総 額
255,645,940.60ユーロまでの増資をし、その際に株主先買権を付与す
る権限(1997年5月20日の株主総会決議)。このうち103,645,940.60ユ
ーロの授権資本金が残っている。
− 2003年4月30日までに現金払込みまたは現金以外の出資による新株発
行によって総額127,822,970.30ユーロまでの増資をし、その際に通常
付与される株主先買権を付与する権限。ただし、現金以外の出資によ
る増資が会社買収や持分の取得を意図してなされた場合は、先買権を
除外することができる(1998年5月20日の株主総会決議)。
− 2004年 4月 30日 ま で に 現 金 払 込 み に よ る 新 株 発 行 に よ っ て さ ら に
50,000,000ユーロの増資をする権限。株主の通常の先買権は、新株の
発行価格が、その発行価格確定時における既上場株式の市場価格に対
して著しく低くない限り、除外することができる(1999年5月17日の
株主総会決議)。
− 2 0 0 4 年 4 月 3 0 日 ま で に 現 金 払 込 み に よ る 新 株 発 行 に よ っ て 総 額
250,000,000ユーロまでの増資をし、その際に株主先買権を付与する
権限(1999年5月17日の株主総会決議)。
すべての場合において株主先買権は、端株について、ならびに発行済の
新株引受権または転換社債の保有者に先買権を付与するために、除外する
ことができる。
さらに定款には、このほかに、ドイツ銀行の従業員に対して株式およ
び/またはオプションを発行する、4種類の権限が含まれている。
1996年5月28日の株主総会決議により授権された授権資本金のうち未使
用の1,493,468.24ユーロおよび、2000年6月9日に付与された取締役会の権
限、すなわち、監査役会の同意を得て、2005年5月31日までに一度にまた
は数回に分けて現金払込みによる新株発行によって総額30,000,000ユーロ
までの増資をする権限は、従業員株式の発行用として指定されている。こ
れについては、株主先買権は除外されている。
1999年5月17日の授権に基づいて取締役会は、従業員株式のほかに、当
行およびその関係会社のすべての従業員に対し、詳細に規定された条件に
113
従って株式を購入できる譲渡不能のオプションを付与することができる。
この目的のために、条件付資本金40,000,000ユーロが利用可能である。
さらに、1998年5月20日の授権に基づいて取締役会は、2003年5月10日
までに利付転換社債を上級経営幹部に対して発行することができる。この
関連で、株式資本は条件付で76,800,000ユーロ増額された。この授権は
2000年度に第3回目の一部利用がなされた。社債保有者は、その転換社債
をドイツ銀行の新株式に転換する権利を有する。
株式を基礎とした報酬
当行は、当行のあらゆる範囲の報酬政策制度をもって、当行株式の価値
増大への誘因を生み出し、需要の高い有能な人材や専門家に対し、競争力
のある報酬パッケージを提供したいと考えている。
グローバル・エクイティ・プラン
発行年度
2000年度
1999年度
1998年度
失効年度
2003年度
2002年度
2001年度
額面利率
4.75%
3%
3%
29.83ユーロ
38.30ユーロ
62.81ユーロ
転換価格*
当初付与権利(額面)
引受率(%)
期首残高
2000年度資格喪失
2000年度割当
期末残高
このうち:取消不能権利
34,841
28,424
28,411
千ドイツ・マルク
千ドイツ・マルク
千ドイツ・マルク
76.90%
−
56,400
−
78.70%
5,587,800
272,000
−
83.10%
5,389,000
220,800
−
6,911,800
5,315,800
5,168,200
0
31,000
105,400
*仮定:APIPSは一定、ドイツ銀行株価は2000年度末現在。
2000年度において、当行は、当行の上級経営幹部のうち約3,250名に対
してグローバル・エクイティ・プラン(GEP)の参加資格を付与した。有
資格の上級経営幹部のうち約77%が申し出を引受け、転換社債を購入した。
このプランへの参加は任意である。転換の可能性は、当行の調整後税引前
1株当たり純利益(APIPS)に直接依存している。この数値が各基準期間にお
114
連結決算書
いて所定の基準値を超えた場合にのみ、転換社債をドイツ銀行株式に転換
できる。額面価額1,000ドイツ・マルクの社債1口当たり200株が付与され
る。転換権を行使する場合、1株につき、転換価格が転換される社債の各
額面金額を超過する場合には当該超過金額を追加で現金払込みしなければ
ならない。転換価格は、今日既に確立されている基準に従い、1998年度か
ら2002年度までの利益を考慮して計算される。
2000年度においては、条件付資本金との関連付けにより、グローバル・
エクイティ・プランについては費用が発生しなかった。
dbシェア・プラン
発行年度
2000年度
1999年度
引受済従業員株式数
2,171,526
1,900,074
281,519
263,292
このうち:退職従業員によるもの
引受率
65.3%
65.2%
81百万ユーロ
54百万ユーロ
215,850千ユーロ
131,960千ユーロ
オプション−行使可能年度
2003年度
2002年度
オプション権の当初付与数
従業員株式のための費用
発行日現在の従業員株式の時価
1,889,237
1,636,782
このうち:部門別取締役会メンバーによる引受済
0.02%
0.02%
部門別取締役会メンバー参加率
66.7%
75.0%
−
1,633,288
期首残高
2000年度資格喪失
期末残高
このうち:取消不能権利
2000年12月31日現在値下率*
4,771
29,783
1,884,466
1,603,505
1,240
9,856
66.67%
57.21%
* 仮定:APIPSは一定、ドイツ銀行株価は2000年度末現在。
当行は、従業員の参加を通して従業員の責任の分担を支援し続けている。
2000年度において、当行は再度、従業員に対して従業員株式を提供した。
参加は任意である。前年度において、従業員は、購入株式1株につき、無
償のオプション1口(最高60株まで)を受取った。このオプションは、3年
後に行使することができる。この行使の可能性も調整後税引前1株当たり
純利益(APIPS)に直接依存している。この数値が各基準期間において所
定基準値を超えた場合にのみ、オプションは行使できる。無償オプション
が条件付資本金に関連付けられているため、これに関しては、費用は発生
しなかった。
115
dbシェア・スキーム
付与年度
当初付与権利
2000年度
1999年度
1998年度
10,162,112
4,874,106
3,489,296
−
3,425,999
1,441,368
期首残高
2000年度資格喪失
299,272
130,400
44,729
2000年度割当
1,975,126
1,269,146
998,368
期末残高
7,887,714
2,026,453
398,271
2001年度
2,670,378
1,482,569
398,271
2002年度
4,429,812
543,884
−
2003年度
749,785
−
−
2004年度
37,739
−
−
86.02ユーロ
60.17ユーロ
69.12ユーロ
このうち:以下の年度に割当
1権利当たりの当行の平均費用
年次賞与支払額の範囲内において、グローバル・コーポレート・アン
ド・インスティテューションズ部門、資産運用部門、富裕層向けバンキン
グ部門およびグローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門の従業員
のメンバーは、株式に対する権利の形で実績連動報酬(賞与)の一部を受
取る。このプランに参加している従業員は、期日において一定数までの株
式を引受けるか、または、ある一定の条件の下で相当額の現金支払を受け
る資格を有する。割当は、通常3等分される。dbシェア・スキームに関し
て各年度に帰属する費用は、損益計算書に計上されている。この制度は、
当行が価値ベースの報酬に特別な重要性を置いていることを示している。
株式評価益権(SAR)
付与年度
2000年度
SAR当初付与数
6,214,992
2000年度資格喪失
期首残高
SARの行使価格
富裕層向けバンキング部門におけるSARの当初付与数
2000年度資格喪失
期末残高
富裕層向けバンキング部門におけるSARの行使価格
116
165,851
6,049,141
70.00ユーロ
458,500
0
458,500
86.50ユーロ
連結決算書
2000年2月に初めて、グループの選ばれた上級経営幹部に対して株式評
価益権(SAR)が付与され、富裕層向けバンキング部門では特別プログラ
ムが開始された。SARは、2003年1月まで行使制限され、その後の3年間に
行使することができる。対象となった上級経営幹部は、行使価格と行使日
の株価の差額に等しい金額を現金で受取る権利がある。この制度も当行の
経営陣に対する価値ベースの報酬の要素である。
株式評価益権の費用は、制度の行使期限までの期間にわたり繰延べられ、
株価の変動に従って調整される。2000年度において、46百万ユーロが損益
計算書に費用計上された。
2000年6月9日の株主総会決議により、ドイツ銀行は、2001年9月30日ま
自己株式
でに現在の株式資本の5%までに相当する自己株式を購入する権限を与え
られた。株式は、株式市場を通して、または全株主に対する公開買付によ
り購入することができる。株式の購入対価は、株式市場を通じた購入の場
合には、その直前3取引日のフランクフルト証券取引所における当行株式
の平均株価の±5%を超えてはならない。公開買付を行う場合には、その
対価は公開買付日の直前3取引日のフランクフルト証券取引所における当
行株式の平均株価の−5%から+15%を超えてはならない。
ドイツ銀行の取締役会は、監査役会の同意を得て、株式市場を通してま
たは全株主に対する公開買付以外の方法で、会社買収や持分の取得を目的
として現物出資により株式を取得した場合には、その株式を売却する権限
が与えられた。
このほかドイツ銀行の取締役会は、全株主に対する公開買付により購入
した自己株式の売却時において、当行が発行した新株引受権、転換社債お
よび転換可能参加権の保有者に対して、オプションまたは転換権を行使し
て資格を得た場合に限り、株式先買権を付与する権限が与えられた。これ
らの場合、当該部分については、株主先買権は除外されている。
取締役会はまた、株式が従業員株式として当行および関係会社の従業員
および退職従業員に対して発行される場合、または当行の従業員に対して
117
付与された当行株式のオプション権を実行するために使用される場合に
は、株主先買権を除外する権限が与えられた。
2000年 12月 31日 現 在 、 当 グ ル ー プ が 保 有 す る ド イ ツ 銀 行 株 式 は
1,913,281株であった。
当年度末現在、ドイツ銀行株式1,592,962株(1999年度:1,718,461株)、
すなわち、株式資本の0.26%(1999年度:0.28%)が、貸出金の担保とし
てドイツ銀行およびその関係会社に差し入れられていた。
規制自己資本および規制自己資本
比率
IASに準拠して計算されたBIS規制自己資本は36,957百万ユーロ(1999年
度:35,172百万ユーロ)であり、その内訳は、コア資本21,575百万ユーロ、
補完的資本15,382百万ユーロであった。適格Tier III資本はなかった。リス
ク加重調整済ポジション293,408百万ユーロ(1999年度:292,621百万ユ
ーロ)を基礎として、BIS規制自己資本比率は12.6%(1999年度:12.0%)、
コア自己資本比率は7.4%(1999年度:5.9%)である。
118
連結決算書
規制目的の連結会社グループのコア資本および補完的資本の内訳は、
コア資本および補完的資本
2000年度末現在、以下の通りである。
単位:百万ユーロ
コア資本
2000年12月31日現在
引受済資本金
資本剰余金
利益剰余金、連結利益、
自己株式、為替換算累積差額
少数株主持分
ハイブリッド資本証券
匿名社員出資金
補完的資本
2000年12月31日現在
上場有価証券未実現損益
1,578 (45%適格)
5,287
10,626
包括的価値修正
15,305
累積的優先証券、
利益参加資本金
2,786
劣後債務
ただしBIS規制上、適格なもの
6,619
591
690
2,507
768
控除項目*
– 9,800
合計
21,575
合計
15,382
コア資本の額での
最大適格額
15,382
補完的資本の剰余額
–
このうちマーケット・リスク・
ポジションをカバーするための
Tier III資本として適格なもの
–
* 主に、営業権の未償却額、予定配当額、規制目的の連結会社グループとの相違調整。
規制目的の連結会社グループには、ドイツ銀行グループ内の、すべての
与信会社、金融サービス会社および金融会社、ならびに補助的な銀行業サ
ービスを提供する会社が含まれている。保険会社、ファンド管理会社、金
融業以外の事業会社は含まれていない。
119
キャッシュ・フロー計算書注記
[51] 現金および現金同等物の規模
と推移
貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書および注記と並んで、キ
ャッシュ・フロー計算書は、IAS準拠の連結決算書の不可欠の構成要素であ
る。
キャッシュ・フロー計算書は、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の各
区分に分類して、グループの現金および現金同等物の規模および推移につ
いての情報を提供する。優先基準であるIAS第7号に加えて、銀行特有のド
イツ会計基準であるDRS 2-10による報告義務も、作成に当たり考慮に入れ
られた。
特別収入・特別支出は、国際的に解釈が限定的であることを背景として、
現在は区分表示されていない。一方、再構築引当金の特定目的使用に伴う
支出が今回初めて計上された。前年度の数値はこれに従って調整された。
現金および現金同等物の計上金額の主な内訳は、現金および中央銀行預
け金ならびに公共部門事業体債務証券および中央銀行借入適格為替手形で
ある。
キャッシュ・フローは、経常利益の定義に対応させて、営業活動に割り
当てられている。その他のキャッシュを伴わない項目の変動には、特にデ
リバティブのプラスおよびマイナスの時価が含まれている。
投資活動から得た/に使用したキャッシュ純額は、大部分が、投資およ
び有形固定資産の売却収入および購入支出によるものである。また、保険
会社の資本投資の増減による影響もここに計上されている。
財務活動から得た/に使用したキャッシュ純額の計算には、自己資本提
供者との関係のみが含まれている。外部からの借入資金提供者との関係は、
当行の営業活動の一部であることから、営業活動から得た/に使用したキ
ャッシュ純額の計算に含められている。
120
連結決算書
連結会社出資の取得およびその他の事業会社の取得のために、当年度は
純額で1,024百万ユーロ(1999年度:5,272百万ユーロ)が支出された。連
結会社の売却により44百万ユーロを受取り、そのうち19百万ユーロが損益
計算書に利益計上された。
現金および現金同等物は、連結会社グループの変動によって、395百万
ユーロ増加した。連結会社グループの重要な変動、ならびに新たに含めら
れた連結会社の資産および負債の関連科目の内訳は、70頁から71頁に開示
されている。
キャッシュを伴わない投資および財務活動はなかった。
121
その他の情報
[52] セグメント情報の報告
IASに準拠したグループのセグメント情報の報告は、第1形式では、グル
セグメント情報の報告原則
ープ部門別の実績を示している。その基礎は、内部経営管理情報システム
である「部門別収益性計算」である。これは、当行の部門別経営管理組織
の枠組の中で、計画、舵取り、統制のための手段として中心的重要性を持
っている。その数値には、グループ部門別の損益構成項目ならびに資産お
よび負債が含まれており、これらはIAS準拠の連結決算書と一致するよう
調整されている。同時に「その他/調整/連結」の欄には、グループ部門
に直接関連付けられなかった項目が含まれている。この欄には、部門横断
的な戦略的プロジェクトの費用に加えて、事業会社に対する株式所有など、
グループ部門に割当てられなかった貸借対照表科目から生じる損益も含ま
れている。また、「その他/調整/連結」の欄には、内部の舵取りを目的
として、IAS準拠の連結決算書で認識された金額と例外的に差異が生じる
場合の調整項目が含まれている。例えば、これらには、自己株式のトレー
ディング利益の報告やトレジャリーのポジションの評価が含まれる。
第2形式では、セグメント情報の報告は、IAS準拠の連結決算書を基礎
とした地域セグメント別のグループの実績を示している。割当ての基準は、
グループの会社または支店の所在地である。各地域セグメントの数値は、
連結ベースで表示されている。連結欄には、地域間のグループ内部項目が
含まれている。
組織変更および方法論的改良点は、当年度の報告に際して、また前年度
の比較数値について、ともに考慮されている。
セグメント情報の報告
グループ部門別のセグメント情報の報告として外部に公表された情報
は、グループ取締役会に対する内部報告と一致しており、IASの準拠要件
よりもさらに進んだものである。
...グループ部門別
収益科目は、主として純利息収益、純手数料収益、トレーディング利益、
保険業務による純収益および投資による純収益からなっている。グループ
部門別の収益は、主としてグループ外の第三者との業務から生じたもので
ある。グループ部門間の業務は、概して通常の市場の条件で取引されてい
る。
122
連結決算書
純利息収益には、外部費用および外部収益に加えて、市場金利法に基づ
く計算上の項目が含まれている。この方法で計算される内部の条件では、
グループ部門がすべてのポジションを金融および資本市場を通して資金調
達するか、または投資すると仮定している(外部資金調達の仮定)。自己
の資本を有する法的に独立した単位との比較可能性を得るため、グループ
の連結資本に関して受取った利息は、純利息収益の一部としてグループ部
門に比例按分して割当てられている。
貸倒引当金繰入には、信用リスクに対する価値修正純繰入額および償却
済債権取立益ならびにカントリー・リスクに対する価値修正および包括的
価値修正が含まれている。
グループ部門別の営業費用は、直接費および間接費から成っている。人
件費およびその他の直接営業費用から成る直接費は、責任の原則に従って
配賦されている。間接費には、グループ部門および非営利ベースで業務を
行う内部サービス提供部門間での配賦額が含まれている。これらは、サー
ビス提供部門では費用の払戻として、サービス受入部門では費用の負担と
して計上されている。配賦基準は、原則として、契約により合意されてい
る。
営業権償却は、発生時にグループ部門に配賦される。これは、その他の
収益/費用の差額の実質的な構成項目である。
再構築費用の科目には、承認された再構築プログラムに関する損益(再
構築引当金の繰入および取崩しを含む)が含まれている。
平均資本は、経済的資本を基礎としてグループ部門に割当てられており、
これによって、リスクの状況が考慮されている。
税引前利益と平均資本との比率が、株主資本利益率(RoE)である。ド
イツ銀行の価値主導型経営におけるこの重要な比率は、グループ部門に割
当てられた資本の収益性を測定するものである。
株主資本利益率と資本市場から導き出された資本コスト(15%)との比
較により、価値創造の重要な数値が得られる。株主資本利益率が資本コス
トを超えている場合には、価値が創造されており、そうでない場合には、
価値が消耗されていることになる。価値創造は、営業権償却を除外して計
算される。
資源の投入(営業費用およびその他の費用)と資源の産出(収益および
その他の収益)を比較した費用/収益比率は、グループ部門の効率性を測
定するものである。
123
グループ部門別セグメント情報の報告
単位:百万ユーロ
グローバル・
法人顧客 コーポレート
および
・アンド・
不動産
インスティ
投資銀行 テューションズ
グローバル・
テクノロジー
・アンド・
資産運用
サービス
コーポ
レート・
センター
その他
/調整
/連結
グループ
合計
収益
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
5,714
4,803
3,450
3,049
14,651
9,703
1,981
1,538
1,539
920
2
0
1,322
1,603
28,659
21,616
貸倒引当金繰入
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
– 170
– 94
– 284
– 200
85
–3
0
0
2
0
0
0
– 71
– 319
– 438
– 616
営業費用
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
– 4,561
– 4,079
– 1,978
– 1,817
– 10,422
– 6,916
– 1,200
– 809
– 1,309
– 851
– 442
– 466
– 1,125
– 808
– 21,037
– 15,746
– 74
– 147
– 145
– 129
– 204
– 70
– 72
– 86
– 88
– 33
0
14
158
– 72
– 425
– 523
– 60
– 45
– 63
– 61
– 401
– 254
– 99
– 78
– 51
– 30
0
0
2
–5
– 672
– 473
再構築費用および税金前利益
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
909
483
1,043
903
4,110
2,714
709
643
144
36
– 440
– 452
284
404
6,759
4,731
再構築費用
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
11
– 281
11
– 22
– 135
– 495
–6
– 42
25
– 44
0
0
64
0
– 30
– 884
税引前経常利益
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
920
202
1,054
881
3,975
2,219
703
601
169
–8
– 440
– 452
348
404
6,729
3,847
平均資本(百万ユーロ)
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
2,186
1,945
5,223
4,582
12,801
10,743
886
775
914
812
516
451
22,526
19,308
RoE(%)
(営業権償却を除く)
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
45
13
21
21
34
23
90
88
24
3
32
22
RoE(%)
(営業権償却を含む)
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
42
10
20
19
31
21
79
78
19
–
29
20
価値創造(百万ユーロ)
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
653
– 45
334
256
2,456
861
669
562
83
– 99
費用/収益比率(%)
(営業権償却を除く)
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
80
87
60
62
70
70
60
53
88
93
73
74
費用/収益比率(%)
(営業権償却を含む)
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
81
88
61
64
73
73
65
58
91
96
76
76
リスク加重調整済ポジション(百万ユーロ)
2000年12月31日現在
43,929
1999年12月31日現在
44,471
88,529
91,699
137,120
135,714
2,366
2,002
3,750
3,996
17,714
14,739
293,408
292,621
その他の収益/費用の差額
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
含む:営業権償却
2000年1月1日から12月31日まで
1999年1月1日から12月31日まで
124
一般個人顧客
および
富裕層向け
バンキング
– 173
– 111
4,022
1,424
セグメント資産(百万ユーロ)
2000年12月31日現在
1999年12月31日現在
69,089
60,724
148,350
137,773
584,627
584,939
7,869
6,013
28,825
7,269
17,754
– 33,538
856,514
763,180
セグメント負債(百万ユーロ)
2000年12月31日現在
1999年12月31日現在
78,931
74,391
106,664
135,097
555,018
593,760
6,303
5,558
37,708
14,036
71,020
– 54,313
855,644
768,529
連結決算書
リスク加重調整済ポジションは、バーゼル委員会の最低基準(BIS規制)
に準拠した、マーケット・リスク相当額を含むリスク加重調整済資産から
なっている。
グループ部門に割当てられたセグメント資産は、他行への預け金および
貸出金、顧客に対する貸出金、ディーリング目的所有資産、および投資か
らなっている。セグメント負債は、他行からの預金、顧客預金、証書債務、
劣後資本、およびディーリング業務による債務からなっている。
以下の表は、セグメント情報の報告の第2形式を示している。
...地域別
地域別セグメント情報の報告
単位:百万ユーロ
総資産
2000年12月 1999年12月
31日現在
31日現在
貸出金総額
2000年12月 1999年12月
31日現在
31日現在
債務 *
2000年12月 1999年12月
31日現在
31日現在
経常収益**
2000年度
1999年度
10,981
ドイツ
357,547
348,191
174,190
164,818
282,334
262,048
13,686
欧州(ドイツを除く)
461,662
324,983
94,105
81,136
364,423
270,147
8,890
5,444
97,005
107,319
13,631
14,589
81,495
78,486
2,275
1,991
北アメリカ
344,544
283,368
61,603
48,282
270,203
222,746
7,318
5,784
南アメリカ
12,926
12,321
11,967
10,695
11,504
10,508
251
289
連結
– 333,651
– 236,317
– 48,515
– 35,371
– 296,862
– 214,178
– 2,919
– 1,791
合計
940,033
839,865
306,981
284,149
713,097
629,757
29,501
22,698
アジア/太平洋/アフリカ
* 他行およびその他の顧客預金ならびに証書債務
** 純利息収益、純手数料収益、トレーディング利益、保険業務による純収益、投資による純収益およびその他の経常収益からなっている。
125
[53] 金融商品の公正価値
[53] 金融商品の公正価値
単位:十億ユーロ
2000年12月31日現在
公正価値
簿価
1999年12月31日現在
公正価値
簿価
資産
現金および預け金
他行への預け金および貸出金
関連するデリバティブ
顧客に対する貸出金
関連するデリバティブ
18.0
18.0
21.9
21.9
117.2
117.2
114.8
114.9
0
–
0
–
369.0
367.1
347.7
345.7
0
–
0
–
290.4
290.4
233.0
233.0
投資
73.1
71.6
63.4
62.2
関連するデリバティブ
– 0.7
–
– 0.6
–
178.0
177.8
174.8
174.7
– 0.1
–
– 0.1
–
335.1
334.6
291.5
291.0
– 0.2
–
– 0.3
–
200.8
200.7
162.9
164.1
0.2
–
0.6
–
127.1
127.1
123.3
123.3
劣後資本
15.6
15.4
15.7
15.5
関連するデリバティブ
– 0.2
–
–
–
ディーリング目的所有資産
負債
他行からの預金
関連するデリバティブ
その他の顧客預金
関連するデリバティブ
証書債務
関連するデリバティブ
ディーリング業務による債務
その他の科目
偶発債務
与信契約債務および発行債務
配賦不能デリバティブ
34.7
34.7
36.9
36.9
113.5
113.4
107.5
107.5
0.2
–
0.4
–
期限が未確定、短期および/または確定利付期限が180日以内の債権お
よび債務の公正価値は、商品や市場の状況に従い、簿価で認識されるか、
または現在価値法を使用して計算された。
表示の公正価値は、我々の意見では、金融商品が貸借対照表日において
見識のある自発的な当事者間の対等な取引により公正に売買される金額に
一致している。
126
連結決算書
入手可能な場合は市場価格を利用した。これは主に証券取引所および活
発な市場で売買される有価証券およびデリバティブの場合であった。その
他の金融商品については、内部の評価モデル(特に現在価値法)を使用し
た。銀行業以外の事業会社に対する所有株式ならびに保険会社の資産およ
び負債は考慮されなかった。
2000年12月31日現在、金融商品の公正価値と簿価の差額は21億ユーロ
(1999年度:31億ユーロ)であった。この数値は、評価に算入された市場
パラメータの変動および金融商品の購入・売却によって推移する。
以下の表は、貸借対照表および損益計算書における為替レート変動の影
[54] 外貨
響を示したものである。
貸借対照表における
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
単位:百万ユーロ
外貨建資産
このうち:米ドル
外貨建負債(株主資本を除く)
このうち:米ドル
外貨の平価変動による総資産の変動*
このうち:米ドルによるもの
592,100
414,400
331,200
276,900
634,400
452,300
329,900
303,600
+ 20,300
+ 33,500
+ 18,400
+ 24,700
為替レートの変動
* 資産側に基づく
損益計算書における
為替レート変動の影響
影響額調整後の増減
1999年度/2000年度
%
単位:百万ユーロ
純利息収益
+ 121
+
純手数料収益
+ 333
+ 3,051
+ 36.2
トレーディング利益
+ 245
+ 2,125
+ 44.6
投資による純収益
+ 35
+ 1,065
+ 52.2
営業費用
+ 646
+ 4,645
+ 28.3
再構築費用および税金前利益
+ 115
+ 1,913
+ 39.5
71
+
為替レートの変動
1.1
127
[55] 残存期間に基づく期日別内訳
以下の表は、選ばれた貸出金および負債について、残存期間に基づく期
日別内訳を示したものである。
[55] 残存期間に基づく期日別内訳
単位:百万ユーロ
3カ月以下
3カ月超−1年以下
1年超−5年以下
5年超
2000年12月 1999年12月 2000年12月 1999年12月 2000年12月 1999年12月 2000年12月 1999年12月
31日現在
31日現在
31日現在
31日現在
31日現在
31日現在
31日現在
31日現在
貸出金
顧客に対する貸出金
183,280
180,922
43,425
34,446
68,557
62,219
78,343
74,784
他行への期限付預け金
および貸出金
貸出金
4,003
2,645
2,175
2,218
2,893
3,465
5,530
6,464
36,269
43,879
4,376
7,995
6,880
601
–
–
17,055
9,294
4,312
9,540
19,834
17,648
20,175
13,953
240,607
236,740
54,288
54,199
98,164
83,933
104,048
95,201
86,789
96,433
15,842
16,541
12,337
7,131
10,624
9,664
16,622
16,855
6,692
5,081
4,536
4,478
488
467
115,056
107,789
26,041
16,680
13,528
9,331
16,949
13,625
証書債務
49,057
53,848
57,881
25,792
60,557
53,844
33,246
30,576
劣後資本
220
128
159
512
5,234
5,132
9,797
9,732
267,744
275,053
106,615
64,606
96,192
79,916
71,104
64,064
金融市場
公社債およびその他の
確定利付投資有価証券
合計
負債
他行からの定期預金
貯蓄預金および
建築貯蓄預金
その他の顧客からの
その他の期限付預金
合計
[56] 偶発債務およびその他の契約
[56] 偶発債務およびその他の契約債務
債務
単位:百万ユーロ
偶発債務
再割引為替手形による偶発債務
保証および補償契約による偶発債務
その他の契約債務
発行および引受契約債務
取消不能与信契約
128
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
34,744
36,925
1
2
34,743
36,923
225,914
183,447
656
837
112,741
106,670
純レポ業務
64,917
49,350
有価証券借入による引渡契約債務
26,135
14,917
その他の契約債務
21,465
11,673
260,658
220,372
合計
連結決算書
権利請求されていない発行および引受契約債務は656百万ユーロであっ
発行および引受契約債務
た。2000年度末現在において298百万ユーロの権利請求がなされた。
取消不能与信契約のうち98,802百万ユーロは、ノンバンクに対する当座
取消不能与信契約
貸付および手形割引に関する契約であった。
強制力のあるネッティング権(包括的ネッティング契約)に基づき、
純レポ業務
64,917百万ユーロのレポ業務がネッティングされなければならなかった。
賃貸借契約から生じる年次支払債務は総額889百万ユーロであり、残存
その他の契約債務
期間は最高61年であった。これらの債務のうち304百万ユーロが関係会社
に対するものであった。
2000年度末でリース資産の取得のための契約債務が3,224百万ユーロあ
った。
株式会社および有限会社に対する出資ならびにその他の出資の未払込分
に関する将来の払込義務は2000年度末現在で412百万ユーロであり、その
他の将来の払込義務は44百万ユーロであった。有限会社法第24条に基づく
連帯債務は31百万ユーロであった。その他の既存の連帯債務に関しては、
いずれの場合にも共同出資者の信用状態に問題はない。
Liquiditäts-Konsortialbank GmbH(フランクフルト・アム・マイン)に
対する参加持分に関して66百万ユーロまでの追加出資義務があり、また、
ドイツ連邦銀行協会e.V.(ベルリン)に属する他の株主の出資義務の履行
に関して持分に比例した偶発債務が存在する。
その他の出資に関する将来の払込義務は、2000年12月31日現在総額14
百万ユーロであった。
預金保険基金規定第5条第10項に基づき、ドイツ銀行は、当行が過半数
を出資している銀行のためにとった措置によりドイツ連邦銀行協会e.V.
(ベルリン)が何らかの損害を被った場合、同協会に対し補償を行う義務
を負っている。
当行の業務活動の中で、法律の規定により、総額7,239百万ユーロの担
保が要求された。
先物およびオプション取引所での取引による債務ならびに決済機関に対
する債務は、担保として有価証券の差入れが必要となり、その額は2000年
12月31日現在9,479百万ユーロであった。
129
DWS Investment Management S.A.(ルクセンブルグ)は、同社が管理
するファンドの一部について特定期間の業績保証を行っている。
不動産譲渡の際に、さまざまなグループ会社が買手に対し、取消不能な
期間限定の売戻権を与えた(買戻しの申し出)。現時点の情報に従って売
戻権の評価額が当該不動産の対価を超える場合は、適切な引当金が設定さ
れている。
商事会社Klöckner & Co. AG(ドゥイスブルグ)の転売に関連して合計67
百万ユーロの偶発債務があった。
[57] 担保に供されている資産
以下の債務および偶発債務に関して表示金額相当の資産が担保に供され
た。
単位:百万ユーロ
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
他行からの預金
21,054
21,657
その他の顧客預金
12,235
10,700
証書債務
1,304
278
偶発債務
28
22
34,621
32,657
合計
担保に供されている資産の内訳は以下の通りである。
単位:百万ユーロ
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
公共部門事業体債務証券
および中央銀行借入適格為替手形
1,460
1,970
346
顧客に対する貸出金
8,696
7,881
22,238
19,968
投資
668
3,002
有形固定資産
383
–
34,621
32,657
ディーリング目的所有資産
合計
130
666
他行への預け金および貸出金
連結決算書
[58] 信託業務
当行の信託業務は以下の通りである。
信託資産
単位:百万ユーロ
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
他行への預け金および貸出金
1,462
1,006
顧客に対する貸出金
4,154
1,033
公社債およびその他の確定利付有価証券
株式およびその他の変動利付有価証券
参加持分
有形固定資産
合計
1
1
157
197
–
886
79
78
5,853
3,201
信託債務
単位:百万ユーロ
他行からの預金
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
39
78
その他の顧客預金
3,078
3,123
証書債務
2,736
–
合計
5,853
3,201
当年度の平均従業員数(実働フルタイム相当)は合計88,799人(1999年
[59] 従業員
度:78,229人)で、このうち女性は38,717人(1999年度:33,667人)で
あった。これらの数値にはパートタイム従業員が比例的に含まれている。
国外勤務者は平均44,404人(1999年度:35,586人)であった。
131
[60] 支援宣言
次に掲げる会社に関して、ドイツ銀行は政治リスクの場合を除き、これ
らの会社がそれぞれの契約債務を履行できることを保証する。
[60] 支援宣言*
Deutsche Futures Singapore Pte Ltd.,
Singapur (旧社名: Deutsche Morgan
Grenfell Futures Pte Ltd.)
ALD AutoLeasing D GmbH, Hamburg
Deutsche Bank OOO, Moskau
DB Investments (GB) Limited, London
Deutsche Bank Polska S.A., Warschau
Deutsche Asset Management
Europe GmbH, Frankfurt am Main
(旧社名: Deutsche Fonds Holding GmbH)
Deutsche Bank (Portugal), S.A., Lissabon
(旧社名: Deutsche Bank de Investimento,
S.A.)
Deutsche Grundbesitz-lnvestmentgesellschaft mbH, Eschborn
Deutsche Asset Management
International GmbH, Frankfurt am Main
(旧社名: Deutsche Asset Management
GmbH)
Deutsche Bank Rt., Budapest
Deutsche Grundbesitz Management
GmbH, Eschborn
Deutsche Bank S.A., Buenos Aires
Deutsche Morgan Grenfell Group plc,
London
Deutsche Bank S.A., Paris
Deutsche Asset Management
Investmentgesellschaft mbH
vormals DEGEF Deutsche Gesellschaft
für Fondsverwaltung mbH,
Frankfurt am Main
Deutsche Australia Limited, Melbourne
Deutsche Bank Americas Holding Corp.,
New York/USA (旧社名: Deutsche Bank
North America Holding Corp.)
Deutsche Bank BausparAktiengesellschaft, Frankfurt am Main
Deutsche Bank Canada, Toronto
Deutsche Bank Finance N.V., Curaçao
Deutsche Bank Financial Inc., Dover/USA
Deutsche Bank Lübeck Aktiengesellschaft
vormals Handelsbank, Lübeck
Deutsche Bank Luxembourg S.A.,
Luxemburg
Deutsche Bank (Malaysia) Berhad,
Kuala Lumpur
Deutsche Bank S.A. – Banco Alemão,
São Paulo
Deutsche Securities Limited, Hongkong
(旧社名: Deutsche Morgan Grenfell Capital
Markets Limited)
Deutsche Bank S.A./N.V.,
Antwerpen (事業本拠地 Brüssel)
Deutsche Securities Asia Limited,
Hongkong
Deutsche Bank Saar Aktiengesellschaft,
Saarbrücken
DWS Investment GmbH, Frankfurt am
Main (旧社名: DWS Deutsche Gesellschaft
für Wertpapiersparen mbH)
Deutsche Bank, Sociedad Anónima
Española, Barcelona
Deutsche Bank Società per Azioni, Mailand
Deutsche Bank (Suisse) S.A., Genf
Deutsche Bank Trust Aktiengesellschaft
Private Banking, Frankfurt am Main
Deutsche – Equities S.A., Paris (旧社名:
Deutsche Morgan Grenfell – Equities S.A.)
Deutsche Finance (Netherlands) B.V.,
Amsterdam
Deutsche Futures London Limited, London
(旧社名: Deutsche Morgan Grenfell Futures
Limited)
* 持株リストでは、損益供与契約を結んでいる会社に記号が付されている。
132
DWS Investment S.A., Luxemburg
(旧社名: DB Investment Management S.A.)
EUROHYPO Aktiengesellschaft
Europäische Hypothekenbank der
Deutschen Bank, Frankfurt am Main
(旧社名: Frankfurter Hypothekenbank
Centralboden Aktiengesellschaft)
Schiffshypothekenbank zu Lübeck
Aktiengesellschaft, Hamburg
Versicherungsholding der Deutschen Bank
Aktiengesellschaft, Berlin und Bonn
連結決算書
取締役に対する2000年度の報酬総額は63,409,804.56ユーロであった。
ドイツ銀行の元取締役またはその遺族には30,998,330.04ユーロが支払われ
[61] 取締役および監査役に対する
報酬ならびに貸付金
た。監査役に対しては、固定報酬174,580ユーロのほかに配当連動の報酬
総額1,522,500ユーロが支払われた。
元取締役およびその遺族のための年金債務引当金は総額176,724,627ユ
ーロであった。
2000年度末現在においてドイツ銀行の取締役および監査役に対する貸出
金および偶発債務は、それぞれ5,254,212.26ユーロおよび953,191.85ユー
ロであった。
[62] 当期の取締役会
[62] 当期の取締役会
Josef Ackermann
Tessen von Heydebreck
Carl L. von Boehm-Bezing
Hermann-Josef Lamberti
Rolf-E. Breuer (スポークスマン)
Edson Mitchell (2000年6月9日就任;2000年12月22日死去)
Michael Dobson(2000年6月9日退任)
Michael Philipp (2000年6月9日就任)
Thomas R. Fischer
Ronaldo H. Schmitz (2000年6月9日退任)
マンデイト・リストは、ドイツおよび国外におけるマンデイトの明細を
[63] マンデイト
記載したものである。191頁の申込用紙を用いて無料で入手することがで
きる。
133
調整注記
連結決算書における会計処理および評価方法の相違:
IASとドイツ商法(HGB)の比較
ドイツの報告体系と異なり、国際会計基準(IAS)は、債権者保護を、
保守的な報告および評価の基準によってではなく、意味ある情報を提供す
ることによって達成しようとする。以下の項目については、IASの異なる
目的のために、連結決算書上、異なる会計処理と評価の方法または異なる
報告方法が適用されている。
貸出金
リース業務による
IASの原則により借手に帰属すると見なされるリース(ファイナンス・
リース)のリース資産は、グループが貸手であり、かつファイナンス・
リースの要件が満たされている場合、連結決算書において、有形固定資
産ではなく、顧客に対する貸出金として報告されている。税務的な面は
ここでは考慮されない。
債権債務のネッティング
同一期日かつ、同一通貨建てまたは自由に転換可能な通貨建てであり、
最終的に同一の契約相手方に帰する債権および債務は、IASの規定するネ
ッティングの要件を満たしている場合、ネッティングされている。この
ネッティング要件には特に、強制力のあるネッティング権の存在が含ま
れている。さらに、当該ネッティングは、期待される実際の将来キャッ
シュ・フローを適切に反映していなければならない。ネッティングは、
レポ業務の債権債務について、グループが売手と買手の双方となる場合、
大幅に利用されている。
貸倒引当金
標準的な国際実務慣行に従って、貸倒引当金は資産の部の貸出金の後に
独立項目として開示されている。これにより、貸倒引当ての方針が、より
明確に示されることになる。
ディーリング目的所有資産
トレーディング業務はすべて公正価値で貸借対照表に計上されている。
この結果、ドイツ法の下では未実現利益と見なされる果実部分も、計上額
に含まれている。ディーリング目的所有資産は主に、市場価格で計上され
ているディーリング目的所有有価証券および貸借対照表日現在未決済のデ
リバティブ取引のプラスの時価からなっている。
134
連結決算書
解釈指針委員会の決議したSIC第16号に従って、2000年度の期首以降、
自己株式トレーディング
IAS準拠の連結決算書に含まれる損益計算書には、自己株式トレーディング
に係る費用または収益は計上されていない。IAS準拠の連結決算書上、当該
損益はトレーディング利益から除外され、税引後で、自己株式の残高と同様
に、株主資本の部に含めて計上されている。
トレーディング資産およびトレーディング債務は、強制力のあるネッティ
ング権があり、かつそのネッティングが、期待される実際の将来キャッシ
トレーディング業務における
ネッティング
ュ・フローを適切に反映している場合、ネッティングされている。
取引の経済実態に従って、貸付有価証券は、グループが貸手である場合、
貸付有価証券
引き続き所有有価証券として報告される。これに対し、ドイツ商法によれ
ば債権の計上が求められる。これはグループが借手である場合も同様であ
り、ドイツ商法によれば債務の計上が求められる。
投資には、ドイツ商法の下では流動性準備金に割り当てられる有価証券
投資
も含まれており、また(非連結)関係会社出資、関連会社出資および持分
所有も含まれている。
自社開発のソフトウェアは、それにより当行に経済的便益の生じる可能
無形固定資産
性が高く、かつその製造原価を信頼性のある方法で測定できる場合、資産
計上されている。
税法に基づく数値はIAS準拠の決算書では報告されない。結果として、
有形固定資産
有形固定資産は通常、ドイツ商法準拠の決算書よりも高い額で報告される。
ディーリング業務による債務には、デリバティブのプラスの時価とネッ
ディーリング業務による債務
ティングされた場合を除いて、デリバティブのマイナスの時価が含まれて
135
いる。このような場合、ドイツ商法では、未決済取引により生じる可能性
のある損失について、損失を補う意図による含み益資産が認識され、当該
損失が相殺されない限り、引当金の設定が求められる。
ショート・ポジションもディーリング業務による債務として報告されて
いるが、これはドイツ商法では、他行に対する債務および/または顧客に
対する債務として報告されなければならない。
引当金
年金および類似の債務
年金引当金の保険数理上の計算に当たり、予測昇給率が考慮に入れられ
ている。当期年金支払額の修正は繰り延べられ、即時に全額は取り崩され
ない。また、市場金利も用いられている。
繰延税金
繰延税金は、貸借対照表に着目した一時的差異の概念に基づいて計上さ
れている。そこでは、貸借対照表上の各資産および負債の残高が、税務上
の残高と比較される。この評価差額から一時的差異が算定され、これにつ
いて、その解消される時期に関わりなく、繰延税金資産または繰延税金負
債が計上される。一方、ドイツ商法に基づく繰延税金は、商法上の損益と
税法に基づいて計算された利益との期間差異としてのみ認められる。
少数株主持分
少数株主持分は、負債および資本側の株主資本の部の外に、独立項目と
して計上されている。
信託業務
経済実態に従って、当行が自行名義で第三者のために取引する信託業務
は、貸借対照表に計上されない。
136
連結決算書
リスク・レポート
世界的な金融機関の長期的生存能力と持続的成功は、そのすべての事業
リスク管理 − 競争力の中核
に内在するリスクを、企業レベルで最適な形で管理できるかどうかに決定
的に依存している。リスク管理は、ドイツ銀行の競争力の中核であり、機
能の上で、リスクを引き受ける各グループ部門から独立している。ドイツ
銀行のリスク管理の卓越性を決定する要因は、リスクを識別、測定、集計
し管理する能力、資本を割り当てる能力、そしてリスクを適切に評価する
能力にある。当行のリスク哲学は、意識的な確立されたリスク嗜好性の枠
内で株主利益を最大化するという当行の目的に支えられている。当行のリ
スク管理は、リスクの取扱いについての企業レベルの行内文化に枠組を与
えるものである。ドイツ銀行は、リスク管理原則に基づく幅広い方法によ
り、各グループ部門の業務と密接なつながりを持った組織構造とリスク手
続を通じて、リスクを管理している。
以下に掲げる主要5原則が、ドイツ銀行のリスク管理アプローチを支え
リスク管理原則
ている。
− 信用リスク、マーケット・リスク、流動性リスク、オペレーショナ
ル・リスク、ビジネス・リスクの管理は、組織内のすべての階層にお
いて一つの統合された方法によって行われる。それは、これらが相互
に分かちがたく結びついているからである。
− リスク管理専任のグローバルな組織は、業務部門構造と密接なつなが
りを持っている。
− リスク管理は、機能上も組織上も、各グループ部門から独立なものと
する。
− グループ・リスク委員会(Board)(2001年2月から新グループ・リス
ク委員会(Committee))がグループ・レベルのリスク管理について
責任を負う。
− グループ取締役会および監査役会が、グループ内のリスクに関して全
体的な責任を負う。
グループ最高リスク責任者は、グループ取締役会のメンバーであり、グ
ループ内のすべてのリスク管理活動に関して全体的な責任を負う。個々の
リスク管理組織
グループ最高リスク責任者
グループ部門の最高リスク責任者は、グループ最高リスク責任者の直属と
なる。
137
グループ・リスク委員会(Board)
グループ・リスク委員会は、グループ最高リスク責任者を委員長とし、
グループ内のすべてのリスク管理について責任を負う。この委員会には、
各グループ部門の最高リスク責任者も含まれる。グループ・リスク委員会
の職責は以下の通りである。
− グループの全体的な事業戦略と整合したリスク嗜好性を設定する。
− グループのリスク嗜好性と整合したリスク原則、リスク手続、リスク
手法を承認する。
− 全行のリスク・ポートフォリオの視点からリスクを管理する。
− 引受リスク量に対応するような合理的な方法で経済的資本を各グルー
プ部門に割り当てる。
− 組織構造を承認し、主要なリスク管理担当者を任命する。
各グループ部門のリスク管理部
各グループ部門のリスク管理部は、それぞれの最高リスク責任者の指揮の
もとで、主に以下の責任を負う。
− グループ・リスク委員会の設定したリスク原則およびリスク戦略の枠
内で、特定のポートフォリオを管理する。
− 信用リスク、マーケット・リスク、オペレーショナル・リスクの限度
枠を承認する。
− ポートフォリオを定期的に再検討する。
− 適切なリスク管理システムを開発し導入する。
さらに、各グループ部門からもリスク管理部からも独立したファイナン
シャル・コントロール部、監査部、法務部が、統制機能を果たしている。
ファイナンシャル・コントロール部は、リスクを測定し、関連データの質
および統一性を確保する。監査部は、内部統制手続を監視し、その行内お
よび規制上の基準に照らした妥当性を確保する。法務部は、法的な枠組を
用意し、全般的な支援と助言を行う。
138
連結決算書
リスク管理
監査役会
グループ取締役会
リ
ス
ク
政
策
独
立
し
た
リ
ス
ク
統
制
− グループ最高リスク責任者
リ
ス
ク
・
ポ
ー
ト
フ
ォ
リ
オ
管
理
グループ・リスク委員会(Board)
グループ与信政策委員会
− 各グループ部門の最高リスク責任者
一般個人顧客および富裕層向け
バンキング
リ
ス
ク
管
理
法人顧客および不動産投資銀行
グローバル・コーポレート・アンド・インスティ
テューションズ
資産運用
グローバル・テクノロジー・アンド・サービス
2001年2月に公表されたドイツ銀行の行内組織改編を受け、独立した
リスク管理責任も新組織に従って改編された。
リスクのタイプ
ドイツ銀行がさらされているリスクの中で最も重要なリスクは、銀行業
特有のリスクと、一般企業活動によるリスク、すなわちビジネス・リスク
である。さらに、グループの保険会社には保険業特有のリスクがある。
リスクは、当行の事業活動に本来備わっている一部分である。当行はこ
銀行業リスク
れを、信用リスク、マーケット・リスク、流動性リスク、およびオペレー
ショナル・リスクに区分している。
信用リスクは、当行に対して顧客が契約上の支払義務を履行しない可能
信用リスク
性がある場合に存在する。
139
ドイツ銀行にとってこれは、単独では最も大きなリスクであり、以下の
タイプからなっている。
− 債務不履行リスク:顧客による契約上の支払義務の不履行。
− カントリー・リスク:行政措置(例えば、移転規制)または当該国特
有の経済的要因(例えば、通貨切り下げ)により、顧客がその支払義
務を履行することが不可能となるリスク。
− 決済リスク:当行が自ら行う場合または当行が顧客もしくは第三者の
取次業者として行う場合のいずれでも、財務上の義務が期日に決済さ
れないまたは全く決済されない場合に生じるリスク。
マーケット・リスク
マーケット・リスクは、市場相場(金利、株価、為替レート、商品価格)
の変動および、それらの相関関係やボラティリティの程度に関する不確実
性から生じる。
流動性リスク
流動性リスクとは、当行の支払義務が、期日に全額きちんと履行されな
い可能性をいう。また、高過ぎる金利での借入れや、市場より低い利回り
での余資の運用を余儀なくされることによる潜在的損失も、このリスクの
対象に含まれる。
オペレーショナル・リスク
オペレーショナル・リスクは、予測不能な事象、経営破綻、および従業
員、顧客関係、技術、資産、その他の第三者/規制当局に関する不適切な
管理統制や管理統制上/システム上の欠陥によって損失の生じる可能性、
ならびにプロジェクト・リスクおよびその他のリスクである。
ビジネス・リスク
一般ビジネス・リスクは、市場環境、顧客行動、技術進歩といった事業
環境の変化による利益の不確実性を指す。これらの結果、収益が急速に減
少し、対応するコストの調整が追いつかない場合がある。
140
連結決算書
保険業務に特有とされるリスクは、予測不能な理由によって支払額が予
保険リスク
定より高くなるリスク(追加リスク)、全般的な状況や被保険者の行動が
時を経て変化し、しかもそうした変化が即時に認識されず掛金の調整や保
険条件の変更によって考慮されないリスク(変化リスク)である。
ドイツ銀行は、リスクの監視・管理のために、広範な量的手法を用いて
リスク管理手法
いる。その中には、多くのリスク要因に共通の手法もあれば、特定のリス
ク項目の特色に合わせて特に調整された手法もある。これらの量的管理手
法は以下のために情報を提供する。
− 単一ポジションあるいはポートフォリオの市場価値の、市場パラメー
タの変動に対する感受性を数値化する(いわゆる、感度分析)。
− 相互依存性や相関関係を考慮に入れ、統計的手法を用いて、リスク総
量を測定する。
− シナリオ分析によって、市場価格の極端な変動によるリスクへのエク
スポージャーを把握する。
ドイツ銀行のリスク原則とリスク限度枠は、リスクを全グループ部門に
わたって効果的に管理するため、これらの量的管理手法に結び付けられて
いる。ドイツ銀行は、量的手法の適切性と信頼性を、変転するリスク環境
に照らして絶えず評価することを原則としている。
以下に掲げるのは、リスクの測定、管理、報告に用いられる最も重要な
量的手法である。
貸借対照表上の株主資本は、各グループ部門が引き受けたリスクから生
経済的資本
じる損失を吸収するのに使われる。ドイツ銀行は、経済的資本を中心的な
手法として用いており、これによって帳簿上の資本を5つのグループ部門
に割り当て、また各部門の収益性と、資本を効率的に利用する相対的な能
力を評価している。経済的資本は、与えられた日におけるエクスポージャ
ーから生じる予想外の損失を吸収するために、その与えられた日において
必要となる株主資本の額を、かなりの確実性を持って表すために設計され
た測定尺度である。
141
これは、個々の業務部門レベルからグループ・レベルに至る各階層におけ
る当行のリスク・ポジションを総合的に示すために用いられる。ドイツ銀
行は、信用リスク、マーケット・リスク、オペレーショナル・リスクおよ
び一般ビジネス・リスクについて、経済的資本を計算している。
予想損失
ドイツ銀行は、信用リスクの構成項目である債務不履行リスクとカント
リー・リスクの測定尺度として、予想損失を用いている。予想損失は、当
行の過去の損失経験値に基づいて、ある1年間に与信の債務不履行によっ
て生じる可能性のある損失を表す。
規制目的のリスク報告
ドイツの銀行規制当局は、以下の方法によって、リスク引受能力を評価
している。
− リスク・ポジション:引受リスク総量。当行の資産を、規則に従い、
債務不履行リスクとマーケット・リスクについて加重調整することに
より計算される。ドイツの銀行規制当局はドイツ銀行に対し、要求さ
れる規制上の資本の構成項目のうちマーケット・リスク部分の計算
に、内部目的のヴァリュー・アット・リスク・アプローチを用いるこ
とを認めている。
− 規制上の株主資本:リスク・ポジションの裏付けとして当行が維持し
なければならない規制上の資本。
ヴァリュー・アット・リスク
およびストレス・テスト
142
ヴァリュー・アット・リスクおよびストレス・テストについては、156
頁からのマーケット・リスクの項で説明されている。
連結決算書
信用リスクは、当行全体のリスク・ポジションの中で最大の構成項目で
信用リスク
ある。信用リスクは、契約相手方が当行にとって経済的利益となるような
契約上の義務を履行することを、ドイツ銀行が信用した場合に生じる。
ドイツ銀行の信用リスク管理のための原則は、以下の通りである。
− グループ・リスク委員会が、全体的なリスク管理政策に沿って、信用
リスクの引受額を確定し、グループ取締役会がこれを承認する。
− 与信規程は、グループ・リスク委員会の下位組織であるグループ与信
政策委員会(GCPC)によって決定される。
− 各グループ部門が与信規程を実行し、与信戦略を実践する。
個々のグループ部門ごとに信用リスク管理部が設けられ、以下について
第一義的管理責任を負っている。
− 与信相手方の信用度を評価する。
− 与信限度枠を承認する。
− 信用エクスポージャーを管理する。
− 与信ポートフォリオを定期的に再検討し、管理する。
− 個別仕様の信用リスク管理システムを開発し導入する。
ドイツ銀行は、一連の原則を確立して、債務不履行リスクの引受態勢
与信規程および与信手続
を整えている。それは、同リスクの測定や積極的な管理にも及んでいる。
与信取引の承認や信用エクスポージャーの管理は、これらの原則から導
き出されるポートフォリオ規程および当行の与信戦略の枠内で実施され
る。当行はこれに関して、中核となる原則を数多く導入した。
当行は、個々の契約相手方への貸出に関する意思決定を、その契約相手
一債務者の概念
方に対する信用エクスポージャー総量に基づいて行う。契約相手方が法人
の場合は、グループ関連企業すべてを対象とする。
143
信用報告書
書面による報告が、すべての与信意思決定の基礎となっている。この報
告書は、ある与信意思決定について、関連あるすべての情報を記載し、評
価するものである。ドイツ銀行の与信規程には、この報告書の記載内容に
ついての詳細な基準が明示されている。
意思決定権限のレベル
グループ取締役会は、その与信意思決定に関する権限の大部分を、顧客
グループ別、リスク種類別に分かれたリスク管理部に委譲している。グル
ープ取締役会の下で最高の権限を持つのは、部門別の与信委員会である。
リスク評価
与信承認手続のうち最も重要なのは、詳細なリスク評価である。契約相
手方が法人の場合、このリスク評価は、当該債務者の財政状態、マーケッ
ト・ポジション、当該債務者を取り巻く事業環境、および当該債務者の経
営管理の質を分析することによって行われる。クロスボーダー取引の場合
は、カントリー・リスクの分析も行われる。
このリスク評価手続により、各エクスポージャーについてリスク格付が
なされる。ドイツ銀行は、法人、銀行、銀行以外の金融機関、保険会社、
商業用不動産金融会社、個人および自営業者といった異なる顧客グループ
について、異なるリスク格付の等級を持っている。
リスク格付は、与信意思決定の結果に影響を与えるだけでなく、与信の
拡大や取引条件の変更に必要とされる意思決定権限のレベルにも影響を与
える。
与信限度枠
与信限度枠は、ある顧客に対する信用エクスポージャーの上限を設定す
るものであり、商品別、残存期間別に細分される。
与信の定期的な再検討
全般的な原則として、すべての与信意思決定は、年に1度、再検討され
る。
144
連結決算書
2000年度のリスク・プロフィール
2000年度において、与信業務を取り巻く外部環境は、年初の相対的に力
信用リスクの推移
強いスタートから不確実性を増した年度末へと徐々に悪化した。債券市場
では、格下げや破産申請の例が増え、信用格差が拡大した。また一方で、
新たな金融危機が新興市場を襲った。
ドイツ銀行の与信業務プロフィールは、こうした環境に対し、良好な状
態であった。当行のホールセール業務における貸出エクスポージャーは、
業種別貸出金総額
合計:2,810億ユーロ
個人 21%
為替レートの変動、特に米ドル相場の上昇による影響を除けば、量的に見
てほぼ一定の水準を保った。貸出金総額は、規制資本および経済的資本の
銀行業および保険 15%
統制の取れた割当のもとで管理され、リスク調整済収益性測定尺度に基づ
製造 13%
いた業績の改善やリスク引当金必要額の好ましい推移に貢献した。外国為
替の変動を別とすれば、報告された貸出金総額の緩やかな増加は、主に西
ヨーロッパ業務の比較的リスクの低い領域で生じたものであった。
デリバティブおよび外国為替取引の契約相手方に対する信用エクスポー
ジャーは、当年度中、米ドルの根強い強さと他の取引リスクの不安定な条
件のもとで増加した。これらの商品におけるドイツ銀行の市場主導的なプ
ロフィールは、個別および総合的な顧客ポートフォリオの信用エクスポー
ジャーの、多様なストレス・シナリオに基づく積極的な管理を土台として
おり、洗練された技術と特殊領域の専門家、与信実務スタッフに支えられ
ていた。これらの要因により、この業務の取引量の拡大は、それに伴う信
用リスクの増大を遥かに上回った。
当年度の貸倒引当金純繰入額は合計564百万ユーロであり、貸出金総額
商業用不動産 12%
との関連で、また統計的手法で計算された予想損失895百万ユーロと比較
して、近年最低の水準を達成した。当期末現在の信用リスクに関する経済
的資本は、業務ライン間の分散効果による利益を考慮に入れて82億ユーロ
であった。1999年度より減少した主な原因は、引当金や預かり担保の調整
額をより適切に反映するための計算モデルの改良であった。
当行の信用リスク管理手続および管理組織は、ポートフォリオ中で最も
信用リスクの高い領域に強く焦点を絞るように設計されている。与信業務
公共部門、
社会保険機関 10%
卸売および小売 8%
その他* 21%
* 超国家的組織、通信、医薬品およびその他
に精通したスタッフによる専門チームが、投資不適格のレバレッジ取引や
仕組み金融取引におけるリスクを監督する。新興市場、ヘッジ・ファンド、
アセット・バック取引等も、ポートフォリオおよび取引のリスク管理にお
いて焦点となる特殊領域である。
145
適切に設定されたエクスポージャー限度枠が、これらの重要なサブ・ポ
ートフォリオに適用される。規律正しい限度枠の厳守と年間を通じた継続
適用により、年度末の好ましくない環境は、ポートフォリオの質にわずか
な影響しか与えなかった。レバレッジ取引により保有するポートフォリオ
は、年度末現在、貸出金総額の3%未満であった。新興市場に基盤を置く
契約相手方グループに対する貸出金総額は、これより少し大きい程度であ
った。
グループ部門別の信用リスク・プロフィール
グローバル・
コーポレート
法人顧客およ
一般個人顧客
・アンド・インスティ
び不動産
および富裕層
テューションズ
2000年
12月31日現在
単位:十億ユーロ
投資銀行 向けバンキング
2000年
2000年
12月31日現在
12月31日現在
その他1)
2000年
12月31日現在
2000年
12月31日現在
グループ合計
1999年
12月31日現在
261.45
貸出金総額2)
88.10
133.02
56.63
3.65
281.40
偶発債務
17.57
15.54
1.01
0.62
34.74
36.93
取消不能与信契約
74.81
33.50
4.43
0.00
112.74
106.67
49.14
1.02
0.00
1.02
51.18
OTCデリバティブ3)
信用リスク合計、総額
4)
信用リスク合計、引当金控除後
予想損失
61.353)
229.62
183.08
62.07
5.29
480.06
466.40
227.69
179.38
60.58
5.21
472.86
458.55
0.33
0.35
0.21
0.01
0.90
1.00
3.98
3.01
1.09
0.16
8.24
11.28
信用リスク
経済的資本
1)資産運用、グローバル・テクノロジー・アンド・サービスおよびコーポレート・センター。
2)当リスク・レポートでは、貸出金総額は、ブローカーまたは決済機関に対する債権、その他の債権および未収利息の合計約250億ユーロを除く。
3)OTCデリバティブについては、ネッティング後のプラスの時価が示されている。1999年度の数値を現行のネッティングに従って再計算した場合、合計額は420億ユーロに減少す
る。
4)担保および引当金控除前の数値。
業種別の信用リスク・
プロフィール
与信ポートフォリオは、各業種間に良好に分散されている(145頁のグ
ラフ参照)。銀行およびその他の金融機関と、10カ国蔵相会議の参加国に
対するものを合わせると、トレーディング業務における契約相手方リスク
の半分以上を占める。このことが、与信業務プロフィールの手堅さとこれ
らの商品における損失経験の最小化の土台となっている。大規模および中
堅企業向け与信業務において、業種エクスポージャーは良好に分布してい
る。
146
連結決算書
主要業種に対するグループのエクスポージャー総量は、毎年、正式に再
検討される。その際、トレンド、見通し、およびそれがポートフォリオに
与える可能性の高い影響も考慮に入れられる。最大の契約相手方グループ
に関する業種エクスポージャー戦略およびリスク引受態勢は、この時に
(または、状況に応じてより頻繁に)追認または修正される。特定業種の
エクスポージャーは、明示された業種別限度枠の範囲内で管理される。
信用リスク・プロフィールの全般的な格付状況は、2000年度において、
信用格付別の信用リスク・
プロフィール
やや改善した。
通信業など特定の業種における格下げの影響は、業種別限度枠の厳守に
よって、また投資適格の契約相手方が圧倒的大部分を占めていたことから、
限定的であった。北アメリカのホールセール業務における緩やかな格下げ
傾向は、他の地域あるいは他の業務における平均的な信用度の質を積極的
に改善することによって相殺された。
政府および政府機関発行の確定利付有価証券の取扱業務におけるドイツ
銀行の卓越した存在は、トレーディング可能資産のポジションに反映され
ており、同項目では他の商品に比べ、信用度の質が極めて高くなっている。
信用格付別の信用リスク・プロフィール
貸出金総額1)
Standard & Poor's の 2000年
信用格付相当
12月31日
単位:十億ユーロ
現在
偶発債務
OTC
トレーディング
デリバティブ2)
可能資産3)
1999年
12月31日
現在
2000年
12月31日
現在
1999年
12月31日
現在
2000年
12月31日
現在
1999年
12月31日
現在
2000年
12月31日
現在
1999年
12月31日
現在
AAA-AA
31.20
26.07
3.02
3.92
18.42
12.51
127.50
113.65
A
42.82
32.66
3.91
4.27
20.54
32.72
36.58
13.06
BBB
66.87
65.52
14.18
15.88
8.72
8.08
7.65
20.37
115.16
107.10
10.98
11.01
2.68
4.42
4.69
11.13
23.07
28.52
2.52
1.76
0.66
2.72
2.81
3.86
2.28
1.58
0.13
0.08
0.16
0.90
0.06
0.71
281.40
261.45
34.74
36.92
51.18
61.352)
179.29
162.78
BB
B
CCCおよびそれ以下
合計
1) 当リスク・レポートでは、貸出金総額は、ブローカーまたは決済機関に対する債権、その他の債権および未収利息の合計約250億ユーロを除く。
2)OTCデリバティブについては、ネッティング後のプラスの時価が示されている。1999年度の数値を現行のネッティングに従って再計算した場合、合計額は420億ユーロに減少する。
3) 公社債およびその他の確定利付有価証券。当行のリスクと見なされない特定目的事業体の有価証券240億ユーロを除く。
147
地域別の信用リスク・
プロフィール
西ヨーロッパと北アメリカが、与信ポートフォリオ全体の85%超を占めて
いた。アジア/太平洋地域のエクスポージャーは主に、日本、オーストラリ
アおよびその他の投資適格国におけるものであった。新興市場地域の債務者
には、多国籍法人や国際金融機関の子会社との取引に関するものが相当程度、
含まれていた。
地域別の信用リスク・プロフィール(債務者の居住地による)
単位:十億ユーロ
貸出金総額
偶発債務 OTCデリバティブ*
2000年
1999年
2000年
1999年
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在
東ヨーロッパ
3.46
4.19
0.69
0.70
0.28
0.26
西ヨーロッパ
221.11
198.70
25.00
23.47
26.33
28.61
0.30
0.58
0.38
0.60
0.46
0.36
アジア/太平洋
13.48
17.49
3.21
5.65
7.48
7.23
北アメリカ
38.92
35.15
4.56
5.46
13.15
16.73
中央および南アメリカ
4.10
5.27
0.90
0.99
3.09
4.56
その他
0.03
0.07
0.00
0.05
0.39
3.60
281.40
261.45
34.74
36.92
51.18
61.35*
アフリカ
合計
* OTCデリバティブについては、ネッティング後のプラスの時価が示されている。1999年度の数値を現行の
ネッティングに従って再計算した場合、合計額は420億ユーロに減少する。
148
連結決算書
貸倒引当金は、信用リスクから生じる損失を吸収するのに使われる。貸倒
貸倒引当金
引当金は、ポートフォリオに内在する信用損失リスクについて、適切と判断
される水準で設定され、維持される。
経営陣は引当金の十分性を、以下に基づいて判断する。
− 当該ポートフォリオの信用リスク。
− 支配的な経済情勢。
− ポートフォリオの質。アセット・クオリティ・レビュー(与信業務の
質をレビューする行内の独立チーム。グローバル・コーポレート・ア
ンド・インスティテューションズ部門の一部が担当)によるもの。
− 実際の損失経験および引当金の全体的な水準。
信用損失に備える特定引当金の水準は、適切十分な引当額を確定するため、
定期的に再評価される。経営陣の判断により当該債権が回収不能と見なされ
た場合は、貸倒償却等の処理を行わなければならない。
以下の表に示す通り、
グループ部門別の貸倒引当金
− 特定リスク引当金は、ポートフォリオのパフォーマンスが年間を通じ
て良かったことを反映して、ほぼ安定した水準にとどまった。
− カントリー・リスク引当金は、特にロシアにおいて顕著だった収益性
の低い貸出金を売却し、イラクにおける回収不能債権を償却処理した
ことを大きく反映して、急減した。
− 包括的価値修正は、直近5年間の当行の平均償却経験値を反映して、
減少した。
149
グループ部門別の貸倒引当金
グローバル・
コーポレート
法人顧客およ
一般個人顧客
・アンド・インスティ
び不動産
および富裕層
単位:十億ユーロ
信用リスク
テューションズ
2000年
12月31日現在
投資銀行 向けバンキング
2000年
2000年
12月31日現在
12月31日現在
その他
2000年
12月31日現在
2000年
12月31日現在
グループ合計
1999年
12月31日現在
229.62
183.08
62.07
5.29
480.06
466.40
特定リスク*
1.459
3.340
1.370
0.046
6.214
6.264
カントリー・リスク
0.274
0.016
0.004
0.000
0.294
0.756
包括的価値修正
0.199
0.348
0.110
0.032
0.690
0.830
1.932
3.704
1.484
0.078
7.198
7.850
227.69
179.38
60.58
5.21
472.86
458.55
引当金
引当金総額
信用リスク
引当金繰入後
*
偶発債務引当金を含む。
カントリー・リスク
ドイツ銀行はカントリー・リスクを多種多様なレベルから管理してい
る。主要な焦点となる領域は以下の3点である。
クロスボーダー移転リスク
クロスボーダー移転リスクは、貸手の居住地と異なる司法圏の契約相手
方に対する債権から生じるリスクである。クロスボーダー移転リスクには
当行自身の国外支店および子会社に対する貸出金も含まれる。クロスボー
ダー移転リスクの管理統制は1980年代のラテン・アメリカ危機時に特に必
要性が高かった。
カントリー信用
エクスポージャー総量
カントリー信用エクスポージャー総量は、リスクがあると見なされる特
定国の顧客に対する貸出金債権を表す。これには、当行の現地営業拠点の
現地顧客に対する貸出金総額(現地通貨建の融資であっても)も含まれる。
また、これら現地顧客の在外子会社に対する貸出金も含まれる。エクスポ
ージャー総量の管理統制は1997年/1998年のアジア危機時に特に有用だ
った。
150
連結決算書
極端に不利な状況を仮定したイベント・リスク・シナリオは、トレーデ
イベント・リスク・シナリオ
ィング・ポジションの潜在的マーケット・リスクの管理統制に利用され
る。(これらはマーケット・リスクの項でより詳細に記述されている。)
当行はこれらの3種類の主要な管理統制を使用して、各国および地域ご
とに引受可能なリスク水準の限度枠を設定している。これらの国別限度枠
はグループ取締役会が直接に、またはグループ与信政策委員会がグループ
取締役会の代理として設定する。国別限度枠は内部的なカントリー・リス
ク格付(独立のカントリー・リスク調査チームにより設定される)を反映
し、当行のリスク嗜好性を基礎としている。
これらの限度枠の使用に関するデータは当行の各リスク委員会およびグ
ループ取締役会により定期的にレヴューされる。
2000年12月31日現在、クロスボーダー移転リスクの面から見た当行の
国際ポートフォリオの合計は1,069億ユーロであった。これには、未使用
カントリー・リスク・
エクスポージャー
の貸出限度枠および現地拠点の資金再調達を除く、全ての信用取引および
貸出商品が含まれる。これは1999年12月31日現在の1,154億ユーロに対応
している。左のグラフにはクロスボーダー債権の期末日現在の地域別内訳
地域別のカントリー・リスク
合計1,069億ユーロ
が表示されている。この金額の大半は格付の高いOECD加盟国(ユーロ圏
の国々を含む)に対する債権であり、移転リスクという点では限定的な懸
念しか存在しない。89億ユーロだけが新興市場の借手(ラテン・アメリカ、
西ヨーロッパ 61%
北アメリカ 26%
カリブ地域、日本以外のアジア、東ヨーロッパ、中東およびアフリカの全
ての国)に対するクロスボーダー債権であり、1999年度の111億ユーロか
ら減少している。その内訳は次頁に表示されている。
こうした状況の中で当行は1999年度に、世界的な戦略およびフランチャ
イズ展開に合致した事業規模を維持しながら新興市場のエクスポージャー
を減少させることを決定した。アジア危機の経験に照らして、当行のエク
スポージャー削減戦略は、クロスボーダー移転リスクのみならず、カント
新興市場 8%
日本、
オーストラリアおよび
ニュージーランド 5%
151
新興市場カントリー・リスク
単位:百万ユーロ
リー信用エクスポージャー総量、とりわけ最もリスクの高いターム・ロー
ンについてのエクスポージャーを減らすことにも焦点を合わせることが決
1999
2000
定された。
その結果、ドイツ銀行の新興市場に対する貸出金エクスポージャー合計は
4,190
3 , 616
74億ユーロまで減少した。これはユーロ安の進行を背景として達成された
2 ,545
2 , 240
1,930
(新興市場の活動の多くが米ドルで行われていることに関連する)。米ドル
が一定であったと仮定した場合、残高は70億ユーロまで減少する。
1,857
1,227
1,375
605
432
日本以外の 中央、 東ヨーロッパ
アジア 南アメリカ
中東
アフリカ
決済リスク
この合理化の一環として当行は、一定の収益性の低い貸出金(特にロシ
アにおける)を、価値修正引当金の使用および必要な償却処理を前提に流
通市場で売却することにより切り離した。当行はまた、全く回収が期待で
きないイラクにおける貸出金の償却を決定した。
国際資本市場における主要銀行の一行として、ドイツ銀行はまた、主と
して外国為替および貴金属取引に関連する決済リスクにさらされている。
決済リスクは主として債務の相互決済が期限どおりに、あるいは全く履行
されなかった場合に生じる。当行は継続的にこれらのリスクを承認された
限度枠内で監視している。ドイツ銀行はまた、支払ネッティング契約の作
成を検討している。また、ドイツ銀行は決済リスクを減少させる業界内の
動きに積極的に関与しており、例えば、当該目的で設立されたCLS銀行(即
時に個々の取引をリンクさせた決済(Continuous Linked Settlement)を
行う銀行)の一員である。
デリバティブ業務による
債務不履行リスク
154/155頁の表は、貸借対照表日現在未決済の当行のトレーディング業
務から生じた商品別のデリバティブ取引および報告年度通年の平均値を表
示している。
過年度と同様、デリバティブ業務は、投資銀行業務が引き続き成長した
ことにより拡大した。デリバティブ業務の再調達原価(プラスの時価)は
1,419.8億ユーロ(1999年度:1,197.5億ユーロ)となった。強制力のある
ネッティング契約を含めると、純再調達原価は511.8億ユーロ(1999年
度:613.5億ユーロ。現行のネッティングに従って再計算するとこの金額
は420億ユーロである)となった。
152
連結決算書
クレジット・デリバティブのトレーディング業務は、期末日現在、プラ
スの時価601百万ユーロとなった。クレジット・デリバティブは154/155頁
の表に含まれ、ドイツの銀行規則に従って、金利関連取引または株式/指
数関連取引に割当てられている。
トレーディング業務のほか、デリバティブ取引はバンキング勘定のリス
クを管理するためにも使われている。
特に、当行は多数の信用保全取引を締結した。2000年12月31日現在こ
れらの取引でカバーされる貸出金金額は250億ユーロに上る。
OTCデリバティブ業務の
OTCデリバティブのトレーディング業務 - 契約相手方区分別分類
単位:十億ユーロ
ネッティング後のプラスの時価
2000年
1999年
12月31日現在 12月31日現在
OECD中央政府
1.70
1.89
OECD与信機関
24.61
39.05
OECD金融機関
11.09
6.70
その他(企業、私個人)
9.65
9.93
非OECD中央政府
0.01
0.04
非OECD与信機関
3.01
1.82
非OECD金融機関
1.11
1.92
51.18
61.35
合計
規制上の契約相手方区分別分類
1999年度の数値を現行のネッティングに従って再計算した場合、合計額は420億ユーロに減少する。
153
デリバティブのトレーディング業務
残存期間別の名目金額
2000年12月31日現在
単位:百万ユーロ
1年以下
1年超−5年以下
5年超
合計
646,730
2,013,576
61,292
1,899,169
0
1,373,344
708,022
5,286,089
179,798
222,331
346,321
342, 201
90,244
116,571
616,363
681,103
0
小計
3,062,435
2,648,983
1,580,159
7,291,577
取引所売買商品
金利先物
金利オプション購入
金利オプション売却
1,283,688
127,586
86,570
436,851
15,897
22,235
55,894
0
0
1,776,433
143,483
108,805
小計
4,560,279
3,123,966
1,636,053
9,320,298
1,142,305
308,206
152,807
120,493
35,356
146,114
17,499
10,628
1,187
101,652
392
527
1,178,848
555,972
170,698
131,648
0
1,723,811
209,597
103,758
2,037,166
2,386
460
741
636
0
0
2
0
0
3,024
460
741
1,727,398
210,233
103,760
2,041,391
42,726
28,627
30,955
22
12,539
49,705
57,425
0
2,268
6,538
14,268
0
57,533
84, 870
102,648
22
102,330
119,669
23,074
245,073
72,839
18,825
15,850
131
1,618
2,995
0
12
44
72,970
20,455
18,889
209,844
124,413
23,130
357,387
その他の取引
OTC商品
貴金属取引(含む:金)
商品
17,405
6,069
17,481
5,288
4,688
216
39,574
11,573
小計
23,474
22,769
4,904
51,147
9,889
2,405
2,706
1,733
348
332
0
0
0
11,622
2,753
3,038
38,474
25,182
4,904
68,560
4,912,050
3,001,018
1,711,895
9,624,963
金利関連取引
金利先渡契約
金利スワップ(同一通貨間)
OTC商品
金利オプション購入
金利オプション売却
その他の金利取引
通貨為替レート関連取引
OTC商品
為替予約取引
異種通貨間スワップ
外国為替オプション購入
外国為替オプション売却
その他の外国為替取引
小計
取引所売買商品
外国為替先物
外国為替オプション購入
外国為替オプション売却
小計
株式/指数関連取引
OTC商品
株式/指数スワップ
株式/指数オプション購入
株式/指数オプション売却
その他の株式/指数売買
小計
取引所売買商品
株式/指数先物
株式/指数オプション購入
株式/指数オプション売却
小計
取引所売買商品
先物
オプション購入
オプション売却
小計
取引所売買商品以外の合計
銀行規制目的で認識されるネッティング契約後のプラスの時価
* 時価はOTCデリバティブについてのみ記載されている。
154
連結決算書
2000年度の平均値
プラスの時価*
394
60,455
マイナスの時価*
名目金額
プラスの時価
マイナスの時価
283
65,341
111
– 4,886
754,416
5,241,699
485
57,062
471
62,454
6,751
7,610
– 6,751
0
590,020
660,834
163
6,842
88
20
73
6,965
40
72,375
– 3,916
7,247,132
64,497
70,003
7,610
68,459
純時価*
2,290,138
193,416
201,438
68,459
72,375
– 3,916
9,932,124
64,497
70,003
30,764
19,892
4,625
27,969
18,849
2,795
1,043
4,625
– 3,256
0
1,477,095
328,163
175,561
136,836
0
31,948
16,067
4,649
13
0
29,146
15,037
9
2,652
0
5,207
2,117,655
52,677
46,844
3,256
55,281
50,074
4,328
719
5,659
55,281
50,074
5,207
2,128,361
52,677
46,844
3,262
9,644
4,010
55,289
65,121
70,308
675
3,616
11,855
4
292
4,073
0
13,379
304
191,393
15,767
17,756
20
10,682
21
– 748
9,644
– 10,682
–1
12,926
14,713
– 1,787
60,712
32,144
24,961
12,926
14,713
– 1,787
309,210
15,767
17,756
1,591
3,727
1,426
3,252
165
475
49,961
12,108
851
2,265
822
2,221
5,318
4,678
640
62,069
3,116
3,043
11,705
1,407
1,771
5,318
4,678
640
76,952
3,116
3,043
141,984
141,840
144
9,618,249
136,057
137,646
51,177
155
マーケット・リスク
ドイツ銀行では、グローバル・コーポレート・アンド・インスティテュ
ーションズ部門(グループ部門)のトレーディング・ユニットおよび、同
じくグローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門
に属し、非トレーディング業務の金利リスクの管理に責任を負うものとし
て指定されたユニットが、その資産、負債および流動性の管理権限の範囲
内で、マーケット・リスクを引き受ける権限を与えられている。特定の子
会社では、非トレーディング業務から生じる金利リスクはグループ・マー
ケット・リスク管理部の全般的責任のもと業務部門の責任において管理さ
れている。
ヴァリュー・アット・リスク
特に通常の市場状況におけるマーケット・リスクを量的に測定するため
の方法として、ヴァリュー・アット・リスク・アプローチが用いられている。
ヴァリュー・アット・リスクは、あるポートフォリオについて、通常の市場
状況で一定の期間および一定の確率において最大の、将来発生する可能性
のある(市場価格に関連する)損失を測定する。ヴァリュー・アット・リ
スク法は、全てのトレーディング業務および商品にわたって適用される継
続的で統一的な測定を可能にする。これは、リスク見積の時系列での比較、
また日次のトレーディング実績との比較を容易にする。
ドイツ銀行のヴァリュー・アット・リスク・モデルはモンテ・カルロ・
シミュレーション・プロセスを使用している。市場パラメータのボラティ
リティおよび相関関係は直近の12ヶ月間について観察され、加重調整せず
に使用されている。ヴァリュー・アット・リスクの見積は信頼水準99%と
保有期間1日を用いて実施されている。
ドイツ銀行はドイツの銀行監督当局から、当局に対する報告およびマー
ケット・リスク規制における所要自己資本の計算に、独自のヴァリュー・
アット・リスク・モデルを使用することを認可されている。
ヴァリュー・アット・リスク・
156
経験的な市場の動きに基づいたヴァリュー・アット・リスク法が意味のあ
モデル数値をチェックするための
るものかどうかは、事後検証によって確かめられる。ここでは、日次の損
事後検証
益が、ヴァリュー・アット・リスク法を用いた見積予測と比較される。
連結決算書
四半期に一度開催される事後検証委員会は、グループ、部門およびビジ
ネス・エリアごとに事後検証結果を検討する。
委員会はリスク・マネージャー、リスク・コントローラーおよびビジネ
ス・エリア・コントローラーで構成される。彼らはパフォーマンスの変動
を分析し、当行のヴァリュー・アット・リスク・モデルの予測能力を評価
する。事後検証結果の統計的分析の結果を使用して、委員会はリスク見積
プロセスの改善に貢献する。
グループのヴァリュー・アット・リスクはグローバル・コーポレート・
アンド・インスティテューションズ部門トレーディング・ユニットのマー
グループのヴァリュー・アット・
リスク
ケット・リスクならびに非トレーディング・ユニットの金利リスクおよび
外国為替リスクからなっている。
グループのヴァリュー・アット・リスク
合計ヴァリュー・
アット・リスク
単位:百万ユーロ
金利リスク
株価リスク
2000年度 1999年度
2000年度 1999年度
商品価格リスク
外国為替リスク2)
1)
2000年度 1999年度
2000年度
1999年度
2000年度 1999年度
期末ヴァリュー・
アット・リスク
37.7
61.3
35.2
58.0
12.3
17.8
2.9
1.4
5.0
8.0
30.9
33.8
25.8
31.0
10.8
9.0
1.3
0.6
3.5
2.7
65.5
61.3
62.6
58.0
42.2
27.4
6.8
3.8
11.8
19.9
43.6
47.8
38.3
44.5
18.7
14.5
3.5
1.9
7.5
8.6
最小ヴァリュー・
アット・リスク
最大ヴァリュー・
アット・リスク
平均ヴァリュー・
アット・リスク
1)保有期間1日、信頼水準99%
2)第5条第1項第2文の第1原則に従って除外される項目を除く。
グループの通期のヴァリュー・アット・リスクおよびトレーディング収
益実績は次ページのグラフに示されている。この事後検証は2000年度にお
いてヴァリュー・アット・リスクの幅を越えることがなかったことを示す。
157
グループの2000年度のトレーディング収益およびヴァリュー・アット・リスク*
単位:百万ユーロ
120
80
40
トレーディング収益
0
– 40
ヴァリュー・
アット・リスク
– 80
1/00
2/00
3/00
4/00
5/00
6/00
7/00
8/00
9/00
10/00
11/00
12/00
* グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門トレーディング・ユニットおよび、非トレーディング・ユ
ニットの金利リスクと外国為替リスクに責任を負うユニットの収益およびヴァリュー・アット・リスク。
ドイツ銀行のマーケット・リスクの開示は以下を規定したドイツの銀行
規制上の報告規則に基づいて行われている。
− トレーディング目的で(トレーディング勘定)、およびトレーディン
グ目的以外で(バンキング勘定)、保有する資産および負債の定義
− ドイツの銀行業法およびその他の規則や規定に従って決定された連結
子会社
その結果、マーケット・リスクの開示内容は、内部リスク管理、当局報
告目的および外部開示目的のマーケット・リスク報告間で一貫している。
これは近く適用される予定のバーゼル委員会の要件にも合致している。そ
こでは、透明性/市場の規律の下での適正資本規制目的および情報目的の
ために、銀行が内部モデリング技法を使用することが期待されている。
グローバル・コーポレート・アンド・
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門ト
インスティテューションズ部門
レーディング・ユニットのヴァリュー・アット・リスク(信頼水準99%、
トレーディング・ユニットの
保有期間1日)は、29.4百万ユーロから60.8百万ユーロの間で上下し、平均
ヴァリュー・アット・リスク
値は40.8百万ユーロ、また2000年12月31日現在では34.9百万ユーロであっ
た。グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門
の2000年度通期のヴァリュー・アット・リスク限度枠は合計73百万ユーロ
であった。
158
連結決算書
2000 年度の日次のヴァリュー・アット・リスク、保有期間1日、信頼水準99 %
単位:百万ユーロ
55
50
45
40
35
30
1/00
2/00
3/00
4/00
5/00
6/00
7/00
8/00
9/00
10/00
11/00
12/00
1999年度から2000年度への年明け後に生じたヴァリュー・アット・リ
スクの増加は、主として、当時市場に存在した全般的不透明感を反映した、
高収益への期待感に関連する金利エクスポージャーによるものであった。
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門はま
た、株式市場においても平均より高いエクスポージャーで当期をスタート
した。その後、前半6ヶ月間のヴァリュー・アット・リスクは全体として
減少傾向であり、これを中断したのは5月の乱高下のみであった。この乱
高下は、株式市場が軟化するにつれて質への逃避が予測され、これにより、
金利エクスポージャーが増加した結果生じた。金利および株式ポジション
の削減後、年度の後半においては、当行のヴァリュー・アット・リスクは
バンカース・トラストとの統合前に保たれていた水準に戻り、全般的に安
定した。ドイツの銀行規制当局の報告システムで規定しているリスク項目
に従って分類した同グループ部門トレーディング・ユニットのマーケッ
ト・リスクは以下の表の通りである。
トレーディング・ユニットのリスク項目別ヴァリュー・アット・リスク
合計ヴァリュー・
金利リスク
株価リスク
2000年度 1999年度
2000年度 1999年度
商品価格リスク
外国為替リスク
アット・リスク*
単位:百万ユーロ
2000年度 1999年度
期末ヴァリュー・
アット・リスク
最小ヴァリュー・
アット・リスク
最大ヴァリュー・
アット・リスク
平均ヴァリュー・
アット・リスク
2000年度
1999年度
2000年度 1999年度
34.9
45.3
32.1
41.1
12.3
17.8
2.9
1.4
5.0
6.7
29.4
30.7
25.4
27.5
10.8
9.0
1.3
0.6
3.6
2.7
60.8
54.1
49.2
48.4
42.1
27.6
6.8
3.8
12.0
25.9
40.8
41.4
35.1
37.6
18.7
14.5
3.5
1.9
7.4
8.7
*保有期間1日、信頼水準99%
159
ヴァリュー・アット・リスクの最小値および最大値は、この数値の2000
年度の変動幅を示している。
金利リスクおよび株価リスクのヴァリュー・アット・リスクは、それぞ
れ2つの構成要素からなっている。一般リスクは、一般的な市場の動きに
よる価値の変動を表しており、他方、特定リスクは発行者関連の要因によ
るものである。
金利リスクの平均ヴァリュー・アット・リスク35.1百万ユーロは、一般
リスク24.4百万ユーロと特定リスク24.8百万ユーロからなっている。また
株価リスクの平均ヴァリュー・アット・リスク18.7百万ユーロは、一般リ
スク12.9百万ユーロと特定リスク10.8百万ユーロからなっている。
下記のグラフは、プラスのトレーディング収益がトレーディング日数の
99%において達成されたことを示している。2000年度のトレーディング日
で、その日のヴァリュー・アット・リスクを超える損失が発生した日はな
かった。これは、ドイツ銀行のヴァリュー・アット・リスク・モデルが、
マーケット・リスクを過少見積しておらず、むしろリスクの保守的な見積
であることを示している。
2000年度のトレーディング・ユニットの収益およびヴァリュー・アット・リスク
単位:百万ユーロ
90
50
トレーディング・ユニットの収益
0
–30
ヴァリュー・アット・リスク
–70
1/00
2/00
3/00
4/00
5/00
6/00
7/00
8/00
9/00
10/00
11/00
12/00
以下に示されるトレーディング・ユニット収益の統計的分布は、当行の
ヴァリュー・アット・リスク予測の合理性を、実際のトレーディング損益
のボラティリティと比較できるようにしたものである。次頁のグラフにお
いて示される通り、セールス&トレーディング業務のトレーディング・ユ
ニットの平均日次トレーディング収益は31.2百万ユーロであり、ヴァリュ
ー・アット・リスクの実際水準は42.8百万ユーロであった。これに対し、
160
連結決算書
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門の平
均ヴァリュー・アット・リスク予測値は40.8百万ユーロであり、非常に近
似していた。このことはヴァリュー・アット・リスク予測値が、収益の平
均水準近辺における実際の収益ボラティリティの非常に適切な見積であっ
たことを示している。
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門:
日次のトレーディング・ユニットの収益
日次平均31.2百万ユーロ
42.8 百万ユーロ*
42.8百万ユーロ*
日数
20
15
40.8 百万ユーロ**
40.8 百万ユーロ**
10
5
単位:
百万ユーロ
–10 – 5
0
0
5
10
15
20
25 30
35
40
45
50
55
60
65
70 >75
* 日次収益の標準四部位分布(信頼水準99 %)
**平均ヴァリュー・アット・リスク(信頼水準99 %)
買い持ちした場合の(実際収益とは異なる)理論上の収益とヴァリュ
ー・アット・リスクとの比較を基礎とする類似の分析もまた使用され、ヴ
ァリュー・アット・リスクが、値下りリスクおよび収益ボラティリティ両
方の予測指標として有効であることを更に強調している。
ヴァリュー・アット・リスクが日次で計算され、通常の市場変動におけ
る最大損失の予測値を提供する一方で、週次で行われるストレス・テスト
は、トレーディング・ポートフォリオについて極端な市場変動をシミュレ
ートする。
このようなストレス・テストは、イベント・リスク・シナリオを含み、
種々の業務およびグループ部門のマーケット・リスクの裏付けとして要求
される経済的資本を査定するための基礎を形成している。
ストレス・テストは極端な市場変
各国特有のイベント・リスクの分析は、例えば新興市場ポートフォリオ
のリスク管理にとって、非常に重要である。さまざまな国における株式、
金利および外国為替市場の著しい変動がシミュレートされ、その確率がイ
ベント・リスク格付の割当てを通じて計算される。
イベント・リスク・シナリオは
動をシミュレートする
新興市場のリスク分析を補足する
161
この(行内の)イベント・リスク格付は、頻度が遥かに高く、観測期間も
より短い(1か月から3か月)ことから、信用リスク評価のためのより長期
の国の格付と区別する必要がある。国のイベント・リスク格付の格下げは、
限度枠管理を通じて、取ることのできるトレーディング・ポジションの削
減につながる。
ドイツ銀行は各国特有のイベント・リスク・シナリオを、重要なリスク
にさらされる全ての主要な新興市場について計算している。イベント・リ
スク格付は、週次で評価され、格付および限度枠を委員会が隔週でレヴュ
ーする。グループ・マーケット・リスク管理部はこれらの限度枠を、他の
マーケット・リスク限度枠をいつでも変更できるのと同様に、変更でき
る。
株式ポートフォリオのリスク管理
トレーディング資産と区分して、ドイツ銀行は銀行業以外に対する株式
のポートフォリオを所有しており、ここには、銀行業以外の事業会社に対
する株式ポートフォリオが含まれる。
事業会社に対する株式所有
経営持株会社として、DBインベスターは事業会社に対する株式ポートフ
ォリオ全体の管理および再編に責任を負っている。(一部の事業会社株式
はドイツ銀行により直接所有されている。)DBインベスターは、法律環境
と市場状況を条件として、上場会社株式の大半を今後数年間で売却するこ
とを現在計画している。
将来的には、経済的資本の計算に、事業会社株式ポートフォリオの特定
の所有株式の株価の極端な変動も考慮されることになる。
プライベート・エクイティ投資
プライベート・エクイティ投資は原則として証券取引所に上場されてい
ないか、あるいは、少なくとも出資当初は上場されていなかった企業また
はファンドに対する、銀行の自己勘定、あるいは第三者の資金を利用した、
資本の提供と定義される。その意図は主として後日、当該投資の売却によ
りキャピタル・ゲインを実現させることにある。プライベート・エクイテ
ィ投資には開業、初期成長または事業拡大に関する持分投資であるベンチ
ャー・キャピタルも含まれる。またプライベート・エクイティ投資は事業
への直接投資に限定されず、レバレッジド・バイ・アウト(LBO)で調達
した資金による消極的投資および第三者の投資家との共同投資も含まれ
る。
162
連結決算書
プライベート・エクイティ投資には種々の所有権および経営への影響力
が伴う。プライベート・エクイティ・ポートフォリオ中の会社に対する劣
後ローンの提供も、ドイツ銀行のプライベート・エクイティ活動の一部と
考えられている。
グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ部門、
資産運用部門、グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門、法人
顧客および不動産投資銀行部門、ならびにDBインベスターが、プライベー
ト・エクイティ業務に携わった。(2001年度初期に、これらの活動はドイ
ツ銀行内の組織再編の一環として、再編成された。)
グループ取締役会によって付与された業務権限および限度枠権限の範囲
内で、各グループ部門はプライベート・エクイティ投資を、取締役会に承
認された原則、規程および限度枠に従って実行し、管理している。設定さ
れた限度枠を超える投資契約には全て取締役または取締役会全員の承認が
要求される。リスク管理部およびファイナンシャル・コントロール部は部
門別の比較可能性を確保するために、投資およびパフォーマンスの標準報
告様式を採用した。
経済的資本がプライベート・エクイティ投資についても計算され、それ
が当行のさらされているリスク総量を測定するための全体的量的枠組に含
まれる。リスク管理目的から、シニア・リスク・マネージャーによって承
認されたパフォーマンス格付およびリスク格付が、種々のプライベート・
エクイティ企業に対する個々の投資に割当てられる。全ての投資について、
リスク・プロフィール、パフォーマンス、時価見積額および経済的資本の
使用額を示すポートフォリオ報告書が定期的に作成される。
2000年度末において、プライベート・エクイティ投資の簿価は79億ユー
ロであった(このうち、194百万ユーロはトレーディング目的で所有され、
ヴァリュー・アット・リスク計算に含まれた)。ポートフォリオ(簿価ベ
ース)の58%は北アメリカに集中しており、37%は西ヨーロッパ、4%は
ラテン・アメリカであった。ドイツ銀行のプライベート・エクイティ・ポ
ートフォリオは旧経済と新経済に対する投資を程よく均衡させており、広
範囲の業種をカバーしている。
163
流動性リスク
近年のグループの貸借対照表総額の著しい増加に照らして、流動性管理
は中心的位置を占めるようになった。流動性リスク管理は銀行の支払能力
を保全し、合理的な費用による適切な期間の資金調達で資産ポートフォリ
オを保持することを可能にする。
無担保資金調達の分散状況
ドイツ銀行は純キャッシュ・フローを、通貨ごと、地域ごとに、世界規
個人顧客 25%
模で監視している。キャッシュ・フロー監視に利用される内部システムは、
他行 24%
資本市場での
証券発行
20%
日次で通貨ごとに将来の期待キャッシュ・フローを把握する。監視手続に
は、流動資産(主としてトレーディング商品)の売却可能性に関する継続
的な評価も含まれる。
当行は貸借対照表の重要な部分を、利用可能な有価証券商品を利用して、
担保付きで資金調達している。その結果、金融および資本市場における無
担保資金調達への依存は限定されている。
グラフには2000年12月31日現在の無担保資金調達の内訳が示されてい
る。
貸借対照表上の所有資産の流動性は、当行が短期的流動性不足に陥るの
を防ぐために重要な要素である。これは継続的に監視されている。有価証
コマーシャル・
ペーパー/
預金証書
18%
信託 5%
券商品には多種多様な流動性の高い有価証券が含まれ、これらは市場が逼
迫した状況であっても、現金に換金できるものである。これら流動性の高
い資産はまた、顧客の既存の与信限度枠内での引出によって生じる不測の
流動性不足からも当行を保護する。また、当行は平均約300億ユーロの流
動性の高い有価証券ポートフォリオを、複数の主要な拠点におけるユーロ、
その他銀行業以外 5%
小/中規模資本の法人顧客 3%
米ドルおよび他の主要通貨による多額の現金決済活動を担保するものとし
て、所有している。
世界的展開を基礎として当行は、地域、通貨、商品および期日について
十分に分散された種々の資金調達源泉を確保している。これには個人顧客
預金および信託預金、ならびにその他の顧客預金や長期資本市場での証券
発行による資金が含まれる。調達源泉の分散の強化により、ドイツ銀行は
より不安定な金融市場における調達を削減することができた。
164
連結決算書
オペレーショナル・リスクは今後、銀行業界において、主要な課題とな
オペレーショナル・リスク
るだろう。このことは、現在議論されている2004年に効力を生じるであろ
う新しい自己資本規制の下でオペレーショナル・リスクにも資本の裏付け
が課される、という点から間違いない。更に、新しい規制の枠組みには、
銀行の組織およびリスク管理に関する質的要件が、リスク認識およびリス
ク測定の量的指針に加えて含まれる見込みである。ドイツ銀行は、これら
の要件の多くを既に満たしている。
ドイツ銀行は国内および国際的な銀行業界組織の作業に積極的に参加し
ており、新しい自己資本規制にオペレーショナル・リスクを組み込む議論
に対し、実務を踏まえた提案をすることを目指している。更に当行は、当
行の行内オペレーショナル・リスク管理を左右する将来の規制要件も満た
すよう、準備を進めている。
ドイツ銀行はオペレーショナル・リスクに関するグローバルな枠組の導
入に着手した。オペレーショナル・リスク規程は、前年度に導入され、グ
オペレーショナル・リスク
管理(組織および規程)
ループ内のオペレーショナル・リスクの管理および報告に関する職務と責
任を規定している。オペレーショナル・リスク管理の責任は、原則として
各グループ部門に属する。各グループ部門はリスクを負担し、どの形態お
よびどの尺度に基づいてリスクの引受、統制あるいは削減を行うかを決定
する。また、どの形態のリスク回避方法が適用されるべきか決定する。こ
こでは、費用対便益分析が重要な役割を果たしている。
オペレーショナル・リスクに関する責任は、信用リスクおよびマーケッ
ト・リスクのための既存の機能と並列的に、当行のリスク管理に統合され
た。これは各業務部門から独立している。グループ最高リスク責任者は、
オペレーショナル・リスクについてグループ・レベルで責任を負うオペレ
ーショナル・リスク最高リスク責任者(CRO OR)を任命した。当該最高リ
スク責任者はグループ・リスク委員会に出席し、かつオペレーショナル・
リスク委員会の委員長を務める。
165
オペレーショナル・リスク委員会は、各部門のオペレーショナル・リス
ク責任者および重要なスタッフ機能の代表者を含み、オペレーショナル・
リスク管理のためのグループ行内規程を開発し、導入する。
手段および報告
この枠組の重要な要素の一つに、当行が開発したオペレーショナル・リ
スクの自己査定 (dbリスク・マップ)がある。この自己査定は、各業務部門
における現在のリスク・プロフィールについて概要を明らかにし、リスク
管理方法、優先順位およびリスク指標の決定に役立つ。当行は現在、リス
ク査定の枠組みの中で定義付けられたリスク要因を、当業界に関連するも
のとして識別されたその他のリスク指標とともに監視する、スコアカー
ド・システムを構築中である。オペレーショナル・リスク・イベントから
生じる損失を報告するグループ・レベルのデータベース(db IRS)は、リ
スク管理の成功に関する情報および選択されたリスク指標の質に関するフ
ィードバック情報を提供する。これらの手段を利用することによって、部
門レベルでもグループ・レベルでも、完全かつ一貫したオペレーショナ
ル・リスク報告が可能となる。
グループ保険会社における保険業
務特有のリスク
保険業務特有のリスクに対しては、適切な一連の手法がある。これには、
対人保険における実証された寿命測定計算の利用と統計的に十分な安全の
ための余裕、リスク引受についての厳格な規程とそれへの準拠性の絶え間
ない監視、保険ポートフォリオ内の分散化による全体でのリスクの平準化
が含まれる。
損害保険では、ポートフォリオに取り込まれたリスクとその推移が絶え
間なく監視されている。保険金請求の動きの変化や市場動向の変化によっ
て得られた知識は、リスクの査定および価格決定プロセスにおいて利用さ
れる。
すべての保険会社において、慎重性の原則に従って、引当金が設定され
ている。さらに、自己勘定のリスクは、選定された再保険業者にリスクを
移転することにより限定されている。
166
連結決算書
総合的リスク・ポジションを算定するために、全種類のリスクに関する
総合的リスク・ポジション
経済的資本の数値が、リスクの種類間の分散化を考慮することなく、合算
される。すなわち、基礎となっているのは、極端な損失が全種類のリスク
において同時に発生するという保守的な仮定である。
2000年12月31日現在、グループの経済的資本使用額は、合計158億ユー
ロ(1999年度:152億ユーロ)であり、これには、部門横断的な信用リス
クの分散効果が考慮されている。この数値には今のところ、流動性リスク、
決済リスク、保険業務特有のリスクおよびDBインベスターの事業会社に対
する株式所有は含まれていない。
経済的資本
単位:十億ユ−ロ
2000年12月31日現在
信用リスク
8.2
マーケット・リスク(プライベート・エクイティを含む)
3.7
オペレーショナル・リスク
2.8
ビジネス・リスク
1.1
合計
15.8
銀行規制上の観点から、バーゼル委員会の最低基準(BIS規制)のドイ
ツでの実施基準に基づいて算定したリスク・ポジション(マーケット・リス
監督法に基づく自己資本および
リスク・ポジション
ク相当額を含むリスク加重調整済資産)は、下記の表の通りである。
BIS規制リスク・ポジション
単位:百万ユーロ
リスク加重調整済資産
マーケット・リスク相当額
合計
2000年12月
31日現在
2000年9月
30日現在
2000年6月 2000年3月 1999年12月
30日現在
31日現在
31日現在
285,480
299,034
283,620
299,174
283,945
7,928
7,302
8,523
10,325
8,676
293,408
306,336
292,143
309,499
292,621
167
自己資本
BIS規制自己資本は、以下の表の通りである。
ドイツ銀行の自己資本比率は12.6%であり、BIS規制上求められている最
低比率8%を十分に上回っている。
BIS規制自己資本
単位:百万ユーロ
コア資本(Tier I)
21,575
22,143
21,302
18,421
17,338
補完的資本(Tier II)
15,382
17,207
17,185
18,212
17,338
0
0
0
0
496
36,957
39,350
38,487
36,633
35,172
利用可能Tier III資本
適格自己資本合計
コア自己資本比率
(マーケット・リスクを含む)
BIS規制自己資本比率
168
2000年12月 2000年9月 2000年6月 2000年3月 1999年12月
31日現在 30日現在 30日現在 31日現在
31日現在
7.4 %
7.2 %
7.3%
6.0%
5.9 %
12.6 %
12.8%
13.2 %
11.8 %
12.0 %
連結決算書
見通し
2001年には、グローバルな景気循環の環境は、より暗さを増すと思われ
る。その主な原因は、米国における経済成長の鈍化である。
ユーロ圏では、この景気低迷による影響を限定的な規模でしか受けない
であろう。理由は、個人需要が依然として強いこと、また欧州中央銀行に
よる将来の金利引き下げの可能性があることである。
ドイツでは、2001年に約2%の経済成長が見込まれている。税制改正に
より期待されるプラス効果と、堅調な輸出によって、米国の景気低迷がド
イツ経済に及ぼす影響は限定される。また、経済拡大の減速とエネルギ
ー・コストの低下によって、2001年もインフレーションは抑制される。当
行は、ユーロ/米ドル間の為替レートは、2001年に等価になると予測して
いる。
2001年は全般にいくぶん伸び悩み傾向の景気観測がなされているが、当
行は、2つの新規業務グループ、すなわち投資銀行部門(CIB)と個人顧客
および資産運用部門(PCAM)、およびそれらの各業務部により参加してい
る市場区分において、極めて良好な中期的成長が、引き続き期待できるも
のと見込んでいる。例えばCIBでは、株式や債券の発行業務、合併および
買収(M&A)に関するアドバイザリー業務などが、これに該当する。とり
わけヨーロッパについては、2001年の統合後、続く数年間で、M&A業務
の市場規模は2桁の成長率を示すものと予想している。
富裕層向け資産運用業務、すなわち、資産家および高所得者の顧客向け
業務または資産運用業務において、当行は、新設PCAM業務グループによ
り、この市場区分の成長に参加するのに申し分のない位置につけている。
他の業務区分において当行が富裕層向けに提供している商品およびサー
ビスも強化される。
新たな経営管理構造を、一貫した形で完全に導入することは、現時点に
おける当行の最重要課題の一つである。その利点は、コスト面での相乗効
果を実現することだけでなく、とりわけ、顧客のための改善を通じ、新た
な収益可能性を創出し開発することにもあると当行は考えている。
169
このように成長と収益を牽引力として行内の手続および組織構造に密接
なつながりを持たせたことのプラスの結果は、既に、年初来数ヵ月の好調
な業績に表れている。
全体として2001年度は、景気循環による一時的な落ち込みが若干あり、
また引き続き株式市場の不安定性は高いものの、2000年度と同様、好調な
業績となるであろう。
170
確認書および経営管理組織
取締役会の報告
ドイツ銀行の取締役会は、連結決算書について責任を負っている。連結決算書は、国際会計
基準に準拠して作成されており、ドイツ商業法による連結決算書の作成の免除に関するドイツ
商法第292条aの要件を充足している。さらに、欧州連合の開示要件を充足している。
正確な会計処理の責任を果たすには、効率的な内部管理および統制システムならびに機能的
な監査機構が要求される。ドイツ銀行の内部統制システムは、体系化され、手続化された組織
の運営に適用される方針および手続を書面により伝達すること、債務不履行リスクおよびマー
ケット・リスクに関する増大したリスクの管理ならびに職務の分離に基づいている。内部統制
システムは、すべての事業取引、資産および会社記録を対象としている。ドイツ銀行の監査は、
グループのすべての部門を対象とし、また組織上の委任事項をも遵守した広範な監査計画に従
って実施されている。
KPMGドイチェ・トロイハント−ゲゼルシャフト・アクツィエンゲゼルシャフト経済監査会
社は、国際監査基準(ISA)およびドイツの会計規則に準拠して連結決算書を監査し、これに
ついての監査報告書を提出した。KPMGドイチェ・トロイハント−ゲゼルシャフトおよびドイ
ツ銀行の監査部門は、連結決算書の検討および内部統制システムの適切性の評価に関する監査
の過程において必要なすべての書類を自由に閲覧することができた。
2001年3月13日
フランクフルト・アム・マイン
ドイツ銀行
ヨゼフ・アッカーマン
カール L. フォン・ベーム-
クレメンス・ベルジック
ベツィンク
ロルフ-E. ブロイヤー
トーマス R. フィッシャー
ヘルマン-ヨゼフ・
マイケル・フィリップ
テッセン・フォン・ヘイデブレック
ランベルティ
171
独立監査人の監査報告書
私どもは、ドイツ銀行の作成した2000年1月1日から2000年12月31日ま
での会計年度の連結決算書、すなわち貸借対照表、損益計算書、株主資本
変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、および注記について監査を行っ
た。国際会計基準(IAS)に準拠した連結決算書の内容およびその作成に
関する責任は会社の取締役会にある。私どもの責任は、実施した監査に基
づき、上記の連結決算書について意見を表明することにある。
私どもは上記の連結決算書の監査を、国際監査基準(ISA)およびドイ
ツの監査規則に準拠して実施した。これらの基準は、連結決算書に重要な
記載誤りがないかどうかについて合理的な確証をもって判断するために、
私どもが監査を計画し、実施することを要求している。連結決算書上の計
上額および開示事項の基礎となった証拠は、私どもの監査の枠組の中で、
試査により検証されている。監査はまた、経営陣が適用した会計原則およ
び経営陣が行った重要な見積りならびに連結決算書全体の表示の検討をも
含んでいる。私どもは、私どもの監査が監査意見の合理的な基礎を提供し
ていると確信している。
私どもの意見では、上記の連結決算書は上記の会計年度のグループの純
資産、財政状態、損益およびキャッシュ・フローの状況を、国際会計基準
に準拠して、真実かつ公正に表示している。
私どもの監査はまた、EC第7指令第36条で要求され、会社の取締役会に
より作成された、2000年1月1日から2000年12月31日までの会計年度に係
るグループの状態に関する追加的な開示事項の組織的表示も対象としてい
る。監査の結果、除外事項はなかった。私どもの意見では、当該組織的表
示は全体として、連結決算書に含まれるその他の開示事項とともに、グル
ープの状態について適切な理解を提供し、将来の発展に伴うリスクを適切
172
確認書および経営管理組織
に表示している。さらに、私どもは、2000年1月1日から2000年12月31日
までの会計年度に係る連結決算書およびグループの状態に関する追加的な
開示事項の組織的表示は、会社がドイツ商法に準拠した連結決算書および
グループ取締役会報告書の作成義務を免除されるための要件を満たしてい
ることを確認する。
2001年3月16日
フランクフルト・アム・マイン
KPMGドイチェ・トロイハント−ゲゼルシャフト
アクツィエンゲゼルシャフト
経済監査会社
ロルフ・ノンネンマッヒャー
ラインハルト・プラール
経済監査士
経済監査士
173
監査役会報告書
監査役会は、昨年の4回の定例会議において、当行の事業の状況および戦略なら
びに当行の事業部門の展開、さらにその時々の事態および事業方針上の基本的な問
題について、広く議論を行った。
1999年度年次決算書および2000年度の計画立案と並んで、リスク管理の再構築、
グループの融資事業の拡張、当行のe-コマース戦略およびリテール・バンキングの
将来像に議論が集中した。
監査役会はまた、当行の持株ポートフォリオの変動について議論した。取締役会
からの関連する提案については、ドイツの法律または定款の要求がある場合、厳密
ヒルマー・コパー
監査役会会長
に審査し、承認された。
一般的な経済状況、特にその当行に対する影響についても、常時徹底した議論の
対象となった。通貨および金利の状況、原油価格の変動ならびに新興市場の発展お
よびそのドイツ、ヨーロッパに対する影響に話題が集中した。
さらに、その時々における個別の関心事についても、取締役会スポークスマンと
監査役会会長との間の定例会議において検討された。
監査役会は、4回の臨時会議において、計画されていたドレスナー銀行との合併、
その計画の失敗、および取締役会に関連する人事問題について、審議し、決議を行
った。
信用リスクおよびマーケット・リスク委員会は、6回の会議において、ドイツの
法律および定款に基づき承認を義務づけられたすべての約定ならびにすべての大型
融資および高いリスクを伴う融資について十分に検討した。必要な範囲で、委員会
は承認を与えた。信用リスクおよびマーケット・リスクとは別に、委員会は、また
174
確認書および経営管理組織
オペレーショナル・リスクについても検討を行った。グローバルな産業株ポートフ
ォリオについても、十分に取り上げられ議論された。
統括委員会および監査委員会は、本年度中2回会議を行った。共同決定法の規制
に基づき設置されている調停委員会は、2000年度は招集されなかった。
監査役会は、1月26日の会議で、1999年度における事業の拡張および2000年度の
事業計画について議論した。グループのリスク管理の再構築およびフィリップ・ホ
ルツマン・アー・ゲー(Phillipp Holzmann AG)に関連する最新の展開についての
報告が取り上げられた。さらに、監査役会は、教授クレメンス・ベルジッヒ博士を
2001年1月1日付けで取締役会のフルメンバーに任命することを決議し、2000年の
定時株主総会をもって退任したいとのロナルド・シュミッツ博士の意向を容認する
旨決議した。
3月8日および同月14日の2回の臨時会議では、計画されていたドレスナー銀行と
の合併が取り扱われた。最初の会議では、監査役会は、ドレスナー銀行およびアリ
アンツ・アー・ゲーとの想定された基本合意について報告を受けた。2回目の会議
では、関連する決議が行われた。
4月5日の定例会議では、1999年度年次決算書が承認され、確定した。さらに、監
査委員会ならびに信用リスクおよびマーケット・リスク委員会が、その活動につい
て報告を行った。グループのリスクの状況についても開示された。2000年の株主総
会の議題が同意され、テッセン・フォン・ヘイデブレック博士が、取締役会メンバ
ー兼ドイツ銀行労働関係担当取締役として重任される旨同意された。さらに、監査
役会は、2000年6月9日付けで退任し、取締役会メンバーとしての契約を解消した
いとのマイケル・ドブソン氏の意向を容認した。
取締役会は、4月20日の臨時会議において、ドレスナー銀行との合併に至らなか
ったことを監査役会に報告した。
175
6月8日の第4回臨時会議において、監査役会は、エドソン・ミッチェル氏および
ミカエル G. フィリップ氏を、2000年6月9日付けでドイツ銀行の取締役会のフルメ
ンバーに任命する決議を行った。
監査役会は、6月25日の会議において、2000年度上半期の事業展開について報告
を受け、またe-コマースを促進するグローバルeイニシアティブについての報告を
受けた。
10月23日の本年最後となった会議において、本年度の当初9か月間のグループの
事業展開およびプライベート・バンキングの業務計画についての報告を受けた。さ
らに、アメリカ合衆国のナショナル・ディスカウント・ブローカーズおよびフラン
スのバンク・ウォルムの買収が議論された。従業員株式の発行に関連して当行の株
式資本を増加させる決議が行われた。
当行の監査人の代表は、監査役会の財務諸表会議、監査委員会会議ならびに信用
リスクおよびマーケット・リスク委員会会議に出席しており、提起された問題につ
いて意見を述べた。
昨年の株主総会において選任された年次決算書の監査人であるフランクフルト・
アム・マインのKPMGドイチェ・トロイハント−ゲゼルシャフト・アクツィエンゲ
ゼルシャフト経済監査会社は、会計処理、2000年度年次決算書および取締役会報告
書ならびに連結決算書および注記を監査し、無限定の監査報告書を発行した。当該
監査報告書は、調査のために監査役会に提出された。監査役会は、当該監査結果に
同意する。
本日、取締役会が作成した年次決算書を承認し、これにより同決算書は確定した。
監査役会は、利益処分案に同意する。
176
確認書および経営管理組織
ルイス R. フゲス氏が、2000年8月19日付で、監査役会を退任した。監査役会は、
7年間の在籍中における同氏の誠実なサポートおよび献身に対して感謝の意を表し
たい。彼の後継者として、2000年9月7日付で、フランクフルト・アム・マイン地
方裁判所により、ヴァルドルフ/バーデンのサップ・アー・ゲー(SAP AG)の共
同会長兼最高業務執行担当役員である教授ヘニング・カーゲルマン博士が任命され
た。
2000年12月22日、エドソン・ミッチェル氏が、47歳で、米国メイン州にて航空
機事故のため死亡した。同氏は、1995年以来当行に在籍し、その間、不断の献身と
当行の利益増大への決意のもと業務に従事してきた。傑出したプロフェッショナル
としての能力、卓越したリーダーシップの資質、真のビジネス感覚、そして優れた
魅力ある人格を認められていた同氏は、そのユニークで持続的な成果、特に当行の
投資銀行業務の促進により、記憶にとどめられることになるだろう。彼は、国際的
に強い尊敬を受けていた人物であった。
監査役会は、取締役会および当行従業員に対し、真摯な個人的献身に対して、謝
意を表明したい。
2001年3月28日
フランクフルト・アム・マイン
監査役会
ヒルマー・コパー
会長
177
監査役会
監査役会
Hilmar Kopper
Professor Dr.- Ing. E. h.
会長
Dipl.- Ing. Berthold Leibinger
Frankfurt am Main
Chairman of the Board of Management
会長統括委員会
of TRUMPF GmbH + Co. KG, Ditzingen
Hilmar Kopper
Heidrun Förster*
委員会
– 委員長
副会長
Dr. Klaus Liesen
Heidrun Förster*
Deutsche Bank AG, Berlin
Chairman of the Supervisory Board
– 副委員長
of Ruhrgas AG, Essen
Dr. Ulrich Cartellieri
Dr. rer. oec. Karl-Hermann Baumann
Lothar Wacker*
Chairman of the Supervisory Board
Margret Mönig-Raane*
of Siemens Aktiengesellschaft,
First Chairperson of the Gewerkschaft
仲介委員会
Munich
Handel, Banken und Versicherungen,
Hilmar Kopper
Düsseldorf
– 副委員長
Heinz Brülls*
Heidrun Förster*
Dr. Michael Otto
– Deputy Chairperson
Chairman of the Board of Management
Dr. Ulrich Cartellieri
Dr. Ulrich Cartellieri
of Otto-Versand (GmbH & Co.),
Gerhard Renner*
Frankfurt am Main
Hamburg
Klaus Funk*
Gerhard Renner*
Hilmar Kopper
Deutsche Bank AG, Mainz
Member of the National Executive of
– 副委員長
Deutsche Angestellten-Gewerkschaft,
Heidrun Förster*
Hamburg
– Deputy Chairperson
Deutsche Bank AG, Aachen
監査委員会
Sabine Horn*
Deutsche Bank AG,
Frankfurt am Main
Louis R. Hughes
Dr. rer. oec. Karl-Hermann Baumann
Dr. Hermann Scholl
Heinz Brülls*
Chairman of the Board of Management
Dr. Ulrich Cartellieri
of Robert Bosch GmbH, Stuttgart
Michael Freiherr Truchseß
President and Chief Operating Officer
von Wetzhausen*
Lockheed Martin Corporation, Bethesda
Klaus Schwedler*
2000年8月19日退任
GTG Gesellschaft für Technisches
信用およびマーケット・リスク
Gebäudemanagement mbH, Eschborn
委員会
Prof. Dr. Henning Kagermann
Hilmar Kopper
Co-Chairman and CEO
Michael Freiherr Truchseß
– 副委員長
of SAP AG, Walldorf/Baden
von Wetzhausen*
Dr. Ulrich Cartellieri
2000年9月7日退任
Deutsche Bank AG, Frankfurt am Main
Dr. Klaus Liesen
Ulrich Kaufmann*
Lothar Wacker*
– 代理委員
Deutsche Bank AG, Düsseldorf
Deutsche Bank AG, Cologne
Adolf Kracht
Adolf Kracht
Dipl.- lng. Albrecht Woeste
Consultant, Munich
Chairman of the Supervisory Board and
Dr. rer. oec. Karl-Hermann Baumann
– 代理委員
the Shareholders’ Committee
of Henkel KGaA, Düsseldorf
178
* 従業員選出
確認書および経営管理組織
諮問委員会
諮問委員会
Dr. Mark Wössner
Max Dietrich Kley
Dr. Ronaldo H. Schmitz
委員長
Member of the Board
Frankfurt am Main
Gütersloh
of Executive Directors
2000年6月27日就任
of BASF Aktiengesellschaft,
Dipl.-Volkswirt Dr. h. c. Tyll Necker
Ludwigshafen
副委員長
Jürgen E. Schrempp
Chairman of the Board of Management
President of Hako-Werke GmbH & Co.,
Dr. Jürgen Krumnow
Bad Oldesloe
Frankfurt am Main
Sir John Craven
Georg Krupp
Chairman and
London
Frankfurt am Main
Chief Executive Officer
Dr. jur. Walter Deuss
Yoh Kurosawa
KarstadtQuelle AG, Essen
2000年1月2日死去
Dr. Frank Trömel
Chairman of the Board of Directors
Deputy Chairman of the
Michael Dobson
IBJ The Industrial Bank of Japan, Ltd.,
Supervisory Board
Frankfurt am Main
Tokyo
of DELTON Aktiengesellschaft
of DaimlerChrysler AG, Stuttgart
Dipl.- lng. Hans Peter Stihl
of Andreas Stihl, Waiblingen
2000年6月27日就任
für Beteiligungen,
Francis Mer
Dr. Karl-Gerhard Eick
Président Directeur Général
Member of the Executive Board
UNISOR, Paris
Marcus Wallenberg
Executive Vice President
of Telekom AG, Bonn
2000年2月1日就任
Bad Homburg vor der Höhe
Heinz-Joachim Neubürger
INVESTOR AB, Stockholm
Member of the Management Board
Dr. Michael Endres
of Siemens Aktiengesellschaft,
Dr. Ulrich Weiss
Frankfurt am Main
Munich
Frankfurt am Main
Prof. Dr. Dr. h. c. Joachim Funk
August Oetker
Werner Wenning
Mannesmann AG, Düsseldorf
General Partner
Member of the Board of Management
2000年12月31日退任
of Dr. August Oetker, Bielefeld
of Bayer AG, Leverkusen
Ulrich Hartmann
Eckhard Pfeiffer
Dr. Jürgen Zech
Chairman of the Board of
Houston
Chairman of the Board of Management
of Gerling Group
Managing Directors
of E.ON AG, Düsseldorf
Dr. techn. h. c. Dipl.- lng. ETH
Versicherungs-Beteiligungs-
Ferdinand Piëch
Aktiengesellschaft, Cologne
Dr. Karl-Ludwig Kley
Chairman of the Board of Management
Member of the Executive Board
of Volkswagen AG, Wolfsburg
of Deutsche Lufthansa AG, Cologne
Dr. rer. pol. Dipl.- Kfm.
Gerhard Rüschen
Bad Soden am Taunus
179
最近10年の財務ハイライト
単位:百万ユーロ
IAS準拠の数値1
貸借対照表
2000 2
1999 2
1998
1997
総資産
940,033
839,865
626,603
533,259
資産
現金および預け金
他行への預け金および貸出金
顧客に対する貸出金
貸倒引当金総額
ディーリング目的所有資産
投資
有形固定資産4
貸出金総額5
17,972
117,413
373,605
– 7,198
290,404
82,290
9,196
306,981
21,879
115,453
352,371
– 7,850
233,000
70,206
9,049
284,149
20,175
92,697
274,825
– 7,158
169,003
45,309
5,560
248,585
10,272
83,043
265,098
– 7,176
118,404
34,112
5,895
229,016
負債および資本
他行からの預金6
その他の顧客預金6
このうち: 貯蓄預金および建築貯蓄預金
要求払
契約期限または通知期限付
証書債務
引当金7
劣後資本
株主資本
177,767
334,589
28,338
134,677
171,574
200,741
39,191
15,410
27,509
174,655
291,042
26,881
116,736
147,425
164,060
31,755
15,504
23,147
151,032
229,208
24,516
87,091
117,601
102,947
24,598
7,186
17,641
146,631
224,260
23,893
91,260
109,107
77,942
26,391
6,615
16,405
損益決算書
2000
1999
1998
1997
純利息収益
貸倒引当金繰入
純手数料収益
トレーディング利益
保険業務による純収益
投資による純収益
営業費用
再構築費用および税金前利益
再構築費用
法人所得税
純利益
6,811
438
11,468
6,891
382
3,107
21,037
6,759
30
1,780
4,949
6,619
616
8,084
4,521
385
2,007
15,746
4,731
884
1,394
2,453
5,539
835
5,311
1,774
336
1,182
10,121
4,032
–
2,306
1,726
5,689
1,102
4,569
1,841
311
469
9,347
2,315
1,271
523
521
主要な数値
1株当たり配当金
ドイツ銀行支払配当総額
1株当たり純利益(営業権償却を除く)9
1株当たり純利益(営業権償却を含む)
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を除く)9
希薄化後1株当たり純利益(営業権償却を含む)
税引前株主資本利益率(RoE)
(営業権償却を除く)9
税引前株主資本利益率(RoE)
(営業権償却を含む)
費用/収益比率(営業権償却を除く)9
費用/収益比率(営業権償却を含む)
年度末のBIS規制自己資本比率10
年度末のBIS規制自己資本10
年度末の従業員数
1
2
2000
1999
1998
1997
1.30ユーロ
801
9.02ユーロ
7.93ユーロ
8.86ユーロ
7.78ユーロ
1.15ユーロ
706
4.86ユーロ
4.06ユーロ
4.67ユーロ
3.91ユーロ
1.12ユーロ
600
3.50ユーロ
3.17ユーロ
3.50ユーロ
3.17ユーロ
0.92ユーロ
489
32.4 %
22.0 %
25.9 %
29.4 %
73.3 %
75.6 %
12.6 %
36,957
19.6 %
74.4 %
76.4 %
12.0 %
35,172
24.8 %
69.1 %
70.2 %
11.5 %
29,343
74.6 %
10.6 %
24,692
98,311
93,232
75,306
76,141
IASの適用により、1994年度からの貸借対照表および損益計算書からの数値ならびに主要な数値は、過年度
の数値と部分的にのみ比較可能である。
SIC第16号の適用により、1999年度および2000年度からの貸借対照表および損益計算書からの数値ならび
に主要な数値は、過年度の数値と部分的にのみ比較可能である。
180
3
4
5
0.94ユーロ
0.92ユーロ
6.4 %
銀行会計法の適用により、1992年度および1993年度の貸借対照表の数値は、過年
度の数値と部分的にのみ比較可能である。損益計算書の比較数値は修正された。
1998年度からは自社開発のソフトウェアを除く。
有価証券により担保された金融市場業務および有価証券直物取引を除く。
、過年
た。
補足情報
ドイツ商法準拠の数値
6
7
8
1996
1995
1994
1993 3
1992 3
1991
453,051
368,981
303,009
284,603
254,987
229,460
11,840
69,536
235,229
– 6,750
90,587
28,326
5,305
210,324
9,159
55,842
209,389
– 7,319
56,670
25,244
4,633
193,990
6,492
51,708
180,568
– 7,565
33,556
20,763
4,600
178,201
3,846
50,076
158,123
4,575
48,903
150,606
4,226
56,216
139,333
6,310
170,154
5,694
164,391
5,132
153,246
109,392
192,056
24,040
69,497
98,519
72,404
22,013
5,330
15,180
91,446
154,096
23,727
49,470
80,899
64,880
18,414
4,244
14,338
63,327
134,917
23,065
42,125
69,727
58,295
15,193
4,200
13,230
54,700
141,093
23,898
42,367
74,828
55,981
12,817
4,185
10,745
50,553
123,844
23,228
35,868
64,748
51,368
11,290
2,948
9,880
52,462
116,265
21,294
30,462
64,509
42,885
5,168
614
8,726
1996
1995
1994
1993
1992
1991
5,391
338
3,502
1,649
317
683
7,781
2,652
152
1,366
1,134
5,527
678
2,864
1,040
311
105
6,972
1,954
131
739
1,084
5,777
1,237
2,861
531
286
444
6,407
1,866
58
931
877
5,985
1,680
2,989
1,021
261
5,573
977
2,367
580
47
5,281
849
2,125
570
38
5,998
5,328
4,941
1,053
1,147
805
936
899
721
1996
1995
1994
1993
1992
1991
0.92ユーロ
460
0.92ユーロ
459
0.84ユーロ8
400 8
0.84ユーロ
398
0.77ユーロ
355
0.77ユーロ
352
2.19ユーロ
2.16ユーロ
1.82ユーロ
2.35ユーロ
1.99ユーロ
1.53ユーロ
2.16ユーロ
2.10ユーロ
1.78ユーロ
17.1 %
13.7 %
14.1 %
24.5 %
21.0 %
21.3 %
74.8 %
9.9 %
22,389
73.8 %
10.1 %
20,405
69.1 %
10.4 %
19,194
58.5 %
11.3 %
20,830
62.2 %
10.5 %
17,849
61.7 %
10.7 %
16,934
74,356
74,119
73,450
73,176
74,256
71,400
1998年度からはショート・ポジションを除く。
1998年度からは法人所得税負債を除く。
1株当たり0.15ユーロすなわち73百万ユーロの記念特別配当金を
除く。
9
10
バンカース・トラストの取得を背景に、営業権償却全体の重要な影響を開示する目的で、「営業権償却を
除いた」主要な数値が1999年度に初めて(1998年度の比較数値とともに)含められた。
1998年度よりIAS準拠。
181
用語解説
用語解説
IAS(国際会計基準)
国際的な会計士団体、財務諸表作成
者および財務専門家により設定された
びディスカッション・フォーラム(ユ
ーズネット/ニュースグループ)が含
まれる。
会計基準。これらの基準により、欧州
連合ばかりでなく世界的に会計処理お
営業権
企業の買手が、将来の利益を期待し
て、個々の識別可能な資産および負債
の公正価値(公正価値を参照)を超過
インターネット・ポータル
して支払う額。
よび開示の比較可能性を確保する。か
ワールドワイドウェブのユーザー向
かる財務報告の主な目的は、財務諸表
けナビゲーション補助として設計され
に関心のある広範囲の関係者、特に投
た、インターネット(インターネット
資家にとって意思決定に必要な情報を
を参照)上の入口。データは、ウェブ
1株当たりの再構築費用および税金
開示することである。規則の本文には、
の内容を明確な構造をもった方法によ
前利益(IAS準拠)を、投資による純
一般的な会計原則と現在ほぼ40近くあ
って示すようコンパイルされ処理され
収益、非連結会社からの特別配当金、
る基準書が含まれている。
る。
雑損失および雑収入について調整した
APIPS
(調整後税引前1株当たり純利益)
もの。APIPSの計算は、1999年度に行
アセット・バック証券(資産担保証券)
取引可能な有価証券の形態による債
イントラネット
インターネットの技術を用いてイン
った損益計算書の表示方法の変更によ
る影響を受けない。
権証券化の特定のタイプ。これらの有
ターネット(インターネットを参照)
価証券は一定の金融資産の組み直しに
内に構築された、会社の社内ネットワ
より創設される(証券化を参照)。
ーク。多くの場合、社内報のような記
引き受けたリスクの結果として損失
事、求人、電子メール機能などを従業
を被った場合、例えば、借手または契
員に提供する。通常、インターネット
約の相手方の支払債務不履行の場合な
一般個人顧客向けバンキング
一般には、個人、自営業者および小
規模企業向けの業務。
(インターネットを参照)とイントラ
エクスポージャー
どに、当行が失うことになる金額。
ネットとの間にはファイアウォールが
本書では、セルフ・サービス、オン
インストールされ、インターネットか
ライン・バンキングおよびカードとい
らの損傷や不正アクセスから社内ネッ
標準化されていない金融商品(デリ
った相補的な販売チャネルを含む支店
トワークを保護する一方で、インター
バティブを参照)で、証券取引所で取
業務。一般個人顧客向けバンキングに
ネットへの十分なアクセスを可能とす
は富裕層向けバンキング(富裕層向け
る。
OTCデリバティブ
引されず、市場参加者間で直接取引
(店頭取引)されるもの。
バンキングを参照)は含まれない。
ヴァリュー・アット・リスク(VAR)
インターネット
オプション
市場価格の変動による潜在的損失を
特定資産(例えば、有価証券または
相互に接続された多数のネットワー
算出する方法。ヴァリュー・アット・
外国為替)の特定量を将来の特定期日
クおよび個々のリソースからなる世界
リスクは、通常の市場状況の下での与
またはそれ以前に予め決められた価格
最大のコンピュータ・ネットワーク。
えられた保有期間(例えば、1日)に
で契約相手方(売り手)より購入(コ
インターネットの主なサービスには、
おける予め決められた確率(例えば、
ール)または売却(プット)する権
電子郵便(電子メール)、ワールドワ
99.90%)での最大の損失を示す。
利。
イドウェブ(www)検索エンジン、
ファイル転送プロトコル(FTP)、およ
182
補足情報
オペレーショナル・リスク
株主価値
する。
管理不能な事象、経営破綻、および
戦略的かつ戦術的意思決定を、会社
従業員、顧客関係、技術、資産、その
の価値の着実な増加に集中させる経営
他の第三者/規制当局に関する不適切
上の概念。指針となる原則は、資本コ
に定められた管理統制や管理統制上/
ストを上回る利益のみが株主のための
期中に会社が獲得し、消費したキャッ
システム上の欠陥による損失の可能
価値を付加するというものである。
シュ・フローの計算および表示ならび
性、ならびにプロジェクト・リスクお
よびその他のリスク。
株式、債券あるいはその他の市場性
営業、投資および財務活動の結果、
に期首および期末における現金および
株主資本利益率(RoE)
一般には、利益(純利益)と投下資
オールタナティブ投資
キャッシュ・フロー計算書
現金同等物所有高(現金準備)の調
整。
本との関係において会社や銀行の収益
状況を示す比率。
キャッシュ・マネジメント
ある有価証券以外の対象に対する投
本書では、当期中の平均投下資本
キャッシュ・マネジメントは、会社
資。例えば、ヘッジ・ファンド(ヘッ
(少数株主持分は除く)に対する税引
や金融機関が財務活動を最適化するた
ジ・ファンドを参照)やプライベー
前純利益の比率。
ト・エクイティなど。
貨による流動性資産の管理を取り扱
環境監査
オンライン・バンキング
めの、ドル、ユーロおよびその他の通
う。
会社の環境管理システムが欧州連合
電子ネットワーク(インターネット
の規制に準拠していることの文書によ
を参照)を通じてのバンキング業務の
る公式の証明。会社の環境管理につき
リレーションシップ・バンキングの
取引。
公認の環境専門家による監査を受けた
考え方に基づいて、個人および小規模
後、与えられる。
企業の顧客が、会社の年金体系、会社
格付
専門機関により実施される、発行者
の信用状態および負債証券に関する標
準化された評価。
確率的効率フロンティア
投資対象の分散を基礎としたポート
の起ち上げ、あるいは不動産金融に関
カントリー・リスク
クレジット・デリバティブ
切り下げ)により、顧客がその支払義
貸出金、債券またはその他のリスク
務を履行することが不可能となるリス
調整済資産やマーケット・リスク・ポジ
ク。
ションに関連する信用リスク(信用リ
スクを参照)を担保提供者に移転する
記名株式
会社の合併および買収。
する問題について助言を得られる。
行政措置(例えば、移転規制)また
は当該国の経済的要因(例えば、通貨
フォリオ最適化の方法。
合併および買収(M&A)
金融センター
特定の者の名前により登録される株
式。株式会社法の求めに従い、その者
手段。基礎となる原リスク負担者(信
用リスクの売り手)の信用関係は、変
更も再設定もされない。
は株主名簿に、いくつかの個人情報お
株式発行市場
主に、会社の新規株式公開または新
よび所有株式数とともに登録される。
これらの株主名簿に記載された者のみ
グローバルe活動
ドイツ銀行では、グローバルeは電
株発行に関連する活動。国営会社の民
がその会社の株主と見なされ、例えば、
子ビジネス活動すべてを意味する。グ
営化も取り扱う。
株主総会での権利行使などの権利を有
ローバルeは、ドイツ銀行のインター
183
用語解説
ネット戦略と同義である。グローバル
= 税引前経常利益
eを特徴付ける内容には、e-コマース
− 経常利益に対する法人所得税
(e-コマースを参照)のいくつかの主要
商品が含まれる。
= 税引後経常利益
一般に、特別損益がなければ、経常
利益は純利益に一致する。
経済的資本
信用リスク(信用リスクを参照)、
マーケット・リスク(マーケット・リ
スクを参照)またはオペレーショナ
量、質および決済日について標準化
された先物契約であり、金融、資本、
貴金属または外国為替市場で取引され
る商品が、将来の特定期日に合意価格
で購入または売却される。かかる契約
後期エクイティ
新規株式公開準備という、会社発展
の比較的後の段階での資本参加。
ル・リスク(オペレーショナル・リス
クを参照)およびビジネス・リスク
先物
(例えば、株式指数に関するもの)に
おいては、債務の履行のために(有価
証券の現物引渡または購入にかえて)
差金決済が要求されることが多い。
公正価値
(ビジネス・リスクを参照)の結果と
資産または負債が見識のある自発的
して被る予想外の損失をカバーするた
で独立した契約当事者間で公正に取引
めに指定された資本。従ってこの額は、
される金額。公正価値は多くの場合、
ヘッジ・ファンド(ヘッジ・ファンド
報告上の株主資本とは明確に区別しな
時価と一致する。
を参照)のポートフォリオ(ポートフ
ければならない。必要とされる経済的
コーポレート・トラスト・アンド・エ
に基づいて、ある与えられた1年間で
ージェンシー・サービス
損失に相当する。当行全体の経済的資
株式および確定利付金融の円滑な事
務管理を保護するサービス。
本の合算数値は、極端な損失の際にも
当行がその義務を満たせるようにする
にはどれだけの株主資本を有する必要
があるかを表している。
株式(証券)。
仕組み商品
金利、株式、外国為替または商品と
いった領域からの基本的投資商品を組
コーポレート・ファイナンス
み合わせた金融商品。
法人顧客向け業務における、資本市
場関連の革新的な、特別のコンサルテ
ィングを必要とする金融サービスを指
経常利益
リスク分散のために組み合わされた
ォリオを参照)に組み入れられている
資本は、一定の確率(信頼水準を参照)
それを超えることがないとされる見積
ザベックス・ヘッジセレクト証券
資産担保金融
事業法人および顧客部門の選定資産
す一般的な用語。
のための融資の一タイプ。
コミットメント
持続性
銀行の通常業務による利益を表すも
のとして国際的に認められた主要な数
値:
純利息収益(貸倒引当金繰入後)
自分の会社、その目標および価値感
持続性とは、人間の生活基盤を持続
と一体化できること、激務をいとわな
可能な形で発展させ、一方で将来にも
+ 純手数料収益
い労働意欲、ならびにその会社で働き
備えることを目指した、経済、生態環
+ トレーディング利益
続ける意向。
境、および社会的責任の相互作用を意
+ 保険業務による純収益
+ 投資による純収益
− 営業費用
味する。
裁定取引
ほとんどリスクなしに利益を得るこ
+ その他の経常収益/費用の差額
とを意図して、同一の有価証券を異な
− 再構築費用
る市場で同時に売買すること。
184
資本割当
会社の各事業領域への利用可能資本
の割当。
補足情報
証券化
一般には、証券(例えば、株式また
は債券)によって証明される権利。
信用リスクの標準リスク原価
デリバティブ
貸出業務について事前に計算される
基礎となる商品(例えば、株式、債
リスク・プレミアム。過去の経験値に
券、外国為替または指数)の価格、価
本書では、証券(例えば、債券また
基づいて、1年以内に債務不履行によ
格変動および価格予想値によってその
はコマーシャル・ペーパー)を発行す
って生じると予測される損失を意味す
価額の大部分が決定される商品。デリ
ることにより、貸出金の付け替えやさ
る。
バティブは、スワップ(スワップを参
まざまな種類の債権の資金化を行うこ
と。
照)、オプション(オプションを参照)
信頼水準
および先物(先物を参照)を含む。
ヴァリュー・アット・リスク(ヴァ
初期投資
会社発展の初期段階での資本参加。
リュー・アット・リスクを参照)で規
定される区間内で生じる潜在的損失の
確率。
新興市場
主に金融部門で、新興諸国の将来成
長を期待できる市場。
すべてのタイプの証券取引の総称。
主に財務分析、顧客向け投資顧問、ポ
ートフォリオ管理ならびに証券保管お
商業活動(情報の流れおよび商品ま
たはサービスの取引)に関連して交換
されるすべての電子的データの総合
スワップ
一般には、ある支払フローを他の支
払フローと交換すること。
信託銀行業務
電子商取引/e-コマース
計。e-コマースの対象は、企業間、企
業と行政当局間、および会社と個人間
の関係に及ぶ。e-コマースでは、さま
金利スワップとは、同一通貨による
ざまなデータ伝送形態(電話、テレビ、
異なる条件(例えば、固定または変動)
データ・ネットワーク[インターネッ
の金利支払フローの交換のこと。
トを参照])が用いられる。
通貨スワップは、異種通貨による金
よび決済からなる。
利支払フローおよび元本の交換。
電子バンキング
信用リスク
セグメント情報
を参照)を通じてのまたはデータキャ
電子ネットワーク(インターネット
顧客がその債務を履行できなくなる
事業別(部門別)および地域別に分
リスク。信用リスクには、債務不履行
類された会社の資産および収益の開
リスク、カントリー・リスクおよび決
示。
済リスクが含まれる。
業務の取引。
投資家向け広報(インベスター・リレ
ダイレクト・ブローカレッジ
信用リスク相当額
リアエクスチェンジによるバンキング
ーションズ、IR)
電話または、インターネット(イン
IRは、現在および潜在的資本提供者
規制目的の信用リスク(信用リスク
ターネットを参照)等のオンライン媒
と会社との間の、体系的な常時双方向
を参照)を示す数値(リスク加重調整
体による証券取引。ダイレクト・ブロ
コミュニケーションをいう。会社の主
済資産)であり、株主資本(与信相当
ーカレッジの顧客は、取引する有価証
な出来事、財務成績、事業戦略、およ
額[与信相当額を参照]を信用状態に
券および取引の時期を自ら決定し、そ
び経営に対する資本市場の期待につい
応じて加重調整した値に相当)によっ
の際、取引銀行から個人的な助言を受
て、情報が提供される。IRの主目的の
て担保されていなければならない。
けない。
一つは、市場が会社の株を確実に正し
く評価してくれるようにすることであ
る。
185
用語解説
投資家向けサービス
目にはまた、トレーディング業務に割
券。銀行規制上は、これらはコア資本
投資サービス、実績測定、ポートフ
り当てられた発生利息、配当および資
の一部となる。貸借対照表では劣後資
ォリオ顧問サービス、信託およびポー
金調達コスト構成要素の割当分に自己
本として表示されている。
トフォリオ管理、証券貸出ならびに仕
勘定取引による手数料を加算したもの
組み投資管理を提供する。
も含まれている。
バランス・スコアカード
投資銀行業務
値洗い
標に置き換えるためのツール。財務数
戦略的経営目標を質的および量的目
資本市場志向の業務の総称。これは
主に、証券およびそのデリバティブ
(デリバティブを参照)の発行と売買、
現在の市場価格による評価。例えば、
値と非財務数値との組み合わせによっ
トレーディング業務(トレーディング
て、さまざまな経営レベルでの均衡の
利益を参照)に適用される。
取れた業績測定が可能となる。
ネッティング契約
バンキング勘定
金利および通貨の管理、コーポレー
ト・ファイナンス(コーポレート・フ
ァイナンスを参照)、合併および買収
2当事者間で締結される契約で、こ
トレーディング勘定(トレーディン
(M&A)アドバイザリー業務、仕組み
れにより、特定の状況−例えば、支払
グ勘定を参照)に含まれなかったすべ
金融、ならびにプライベート・エクイ
不能−の場合に、未決済の業務による
てのリスク・ポジション。
ティ(プライベート・エクイティを参
当事者間の債権債務を相互に相殺する
照)を含む。
ことができるとした契約。法的拘束力
トレーディング勘定
銀行規制上の用語で、銀行が、価格
BIS規制自己資本
のあるネッティング契約を含めて考え
国際的銀行に対する1988年バーゼル
た場合、債務不履行リスクは総額から
適正資本合意(最終改訂1996年1月)
純額に削減される。
に従った規制自己資本。コア資本(特
や金利の変動から利益を得るために短
に、株式資本および剰余金)、補完的
期再売却の意図をもって所有する、金
パーソナル・アンド・オンライン・イ
資本(主に、利益参加資本金、劣後債
融商品、株式、および譲渡可能債権の
ンベストメント・センター
務ならびに上場有価証券、債券、株式
ポジションをいう。ここには、トレー
ドイチェバンク 24のパーソナル・
および参加持分に対する再評価積立
ディング勘定のポジションと密接に関
インベストメント・センターは、同行
金)ならびにTier III資本(主に、短期
連する業務(例えば、ヘッジ目的のも
の支店での助言により顧客に投資の便
の劣後債務)から構成される。
の)も含まれる。トレーディング勘定
宜を図る。ドイツ銀行のオンライン・
に属さないリスク・ポジションは、バ
インベストメント・センターであるマ
ンキング勘定(バンキング勘定を参照)
ックスブルーは、顧客にインターネッ
国際的銀行が、その債務不履行リス
に含まれる。
ト(インターネットを参照)による証
ク(オフバランスシート取引を含むリ
券売買を可能とする。これらは相俟っ
スク加重調整済資産)およびマーケッ
て、顧客に対し、最高レベルの証券・
ト・リスク(マーケット・リスクを参
投資サービスを提供している。
照)を、規制自己資本(コア資本、補
トレーディング利益
市場価格で評価(値洗いを参照)さ
れた有価証券、金融商品(特に、デリ
バティブ。 [デリバティブを参照] )、
BIS規制自己資本比率
完的資本およびTier III資本 [BIS規制自
ハイブリッド資本証券
己資本を参照] )によってカバーする
外国為替または貴金属の自己勘定取引
支払額が利益に連動し、損失の際は
ために用いる比率。Tier I、Tier IIおよ
による収益および費用の差額。この科
累積されないことを特徴とする資本証
びTier III資本の、リスク加重調整済資
186
補足情報
産とマーケット・リスク・ポジションに
ビジネス・リスク
ファンド・オブ・ファンズ
係数12.5を乗じた値の合計に対する最
ビジネス・リスクは、市場環境、顧
ドイツでは、他のファンドに投資す
低比率は8%である。コア資本のリス
客行動、技術進歩といった一定のパラ
る証券ファンド。投資は、ドイツにお
ク加重調整済資産に対する最低比率は
メータの変化による、企業の業績を取
いて公衆への販売のために登録された
4%と規定されている。
り巻く一般的な不確実性をいう。
あらゆるファンドに対して行うことが
BIS規制リスク・ポジション
1株当たり純利益
できる。リスク分散のため、ファン
ド・オブ・ファンズは、1つの対象ファ
BIS規制に基づくリスク・ポジション
IAS(IASを参照)に準拠して算定さ
ンドにその資産の20%を超えて投資す
は、主にバンキング勘定(バンキング
れる主要な数値であり、会社の平均普
ることはできない。顧客にとってファ
勘定を参照)およびトレーディング勘
通株式数に対する税引後純利益(少数
ンド・オブ・ファンズは、リスク調整済
定(トレーディング勘定を参照)の契
株主持分に帰属する損益を除く)とし
のポートフォリオ(ポートフォリオを
約相手方リスクからなるリスク加重調
て表される。基本1株当たり純利益の
参照)とプロによるファンド選択とを
整済資産と、マーケット・リスク・ポジ
ほかに、希薄化後1株当たり純利益に
兼ね備えたものである。
ションのリスク加重調整済の額(金利、
ついても、付与された先買権が株式総
国際的には、他の投資信託に投資す
通貨、株式および商品の価格リスク)
数の増加につながるまたはつながる可
る投資信託。これらは、証券ファンド
からなる。当行のリスク・ポジション
能性がある(希薄化)場合には表示し
でもよく、不動産ファンド、ヘッジ・
は規制上の要請に従って計算され、資
なければならない。
ファンドやプライベート・エクイテ
本によってカバーされなければならな
ィ・ファンドでもよい。
い。
費用/収益比率
B2B(ビジネス・トゥ・ビジネス)
価するための比率であり、営業収益に
一般には、会社の原価の有効性を評
企業間、すなわち供給業者、製造業
対する営業費用で表される。
者および販売業者間の電子商取引(電
富裕層向けバンキング
高所得者および資産家の顧客を対象
とする業務。
本書では、純利息収益、純手数料収
子商取引を参照)の決済を指す用語。
益、トレーディング利益、保険業務に
このようにB2B事業は完結した付加価
よる純収益、投資による純収益および
非上場会社に対する資本投資。例え
値チェーンに係わっている。
その他の経常収益に対する、一般管理
ば、ベンチャー・キャピタルやバイ・
費およびその他の経常費用で表される
アウト・ファンドなど。
ビジネス・エンジェル
比率。
起業家の経験、ビジネスや技術のノ
ブローカー
ウハウ、専門分野の人脈やネットワー
日和見的ロング/ショート株式投資戦
クおよび資金を提供して、若い技術系
略
会社の起ち上げを支援する個人富裕
プライベート・エクイティ
ブローカーは、銀行や個人投資家か
ら証券売買の注文を受け、顧客名義で
株式の買い持ち(ロング)と空売り
当該売買を実行する。この業務の対価
家。ビジネス・エンジェルの利点は、
(ショート)を同時に行うことにより
として通常ブローカーは手数料を受け
資本投資の代替形態という点にある。
平均以上のリターンを生むことを目指
新設の技術志向会社への直接投資は高
す投資戦略。
いリスクを伴う一方、高いリターンの
潜在的可能性も秘めている。
取る。
ヘッジ・ファンド
一般に、機関投資家または富裕な個
187
用語解説
人投資家が投資するファンド。ヘッ
ジ・ファンドは、投資信託では通常利
マネーシェルフ
により作成された米国会計原則。この
マネーシェルフ・ドット・コム・ア
ほか、証券取引委員会(SEC)の提供
用できない戦略を採ることができる。
ー・ゲー(moneyshelf.com AG)はド
する解釈および解説が、特に証券取引
例えば、空売り、レバレッジ、裁定取
イツ銀行の100%子会社である。同社
所に上場している会社にとって関連が
引(裁定取引を参照)、デリバティブ
は、インターネット(インターネット
ある。IAS(IASを参照)と同様、その
(デリバティブを参照)などである。
を参照)(moneyshelf.com)に電子プ
主たる目的は、財務書類に関する意思
米国では投資家が100名を超えてはな
ラットフォームを提供し、さまざまな
決定に必要な情報を、特に投資家に対
らない旨の法的規制があるため、よく
供給者からの選定された幅広い金融商
して提供することである。
あるケースでは最低投資額は100万米
品を取り揃えている。顧客は直接オン
ドルである。ヘッジ・ファンドのリタ
ラインで価格やサービスを比較し、取
ーンは通常、伝統的な投資のリターン
引を実行することができる。マネーシ
とは相関関係がない。
ェルフは名高い投資信託、保険会社と
ミディアム・ターム・ノートは、無
協力している。マネーシェルフはドイ
担保の負債証券をさまざまな時期に発
ツ銀行のグローバルe活動(グローバ
行するために利用される弾力的な社債
ルe活動を参照)の一つである。
プログラムである。発行額、通貨、償
ポートフォリオ
一 般 に は 、 1つ ま た は 複 数 の 種 類
(例えば、有価証券、貸出金、持分参
加証券または不動産)に属する所有資
ユーロ建ミディアム・ターム・ノート
(MTN)
還日(1年から10年)は資金需要に応
持分法
じて修正できる。ユーロMTNはユーロ
産の全部または選定されたもの。ポー
事業方針に重要な影響を与えること
市場において、主に米ドル建てで発行
トフォリオを組む目的は、主にリスク
ができる会社(関連会社)に対する所
され、引受銀行シンジケート団が発行
の分散である。
有持分の評価方法。持分法の下では、
ごとの全額引受を保証する。
有価証券の場合は、価格リスク規準
会社の当期純損益の持分按分した割当
に従ってグループ化された同種取引、
分は所有持分の簿価に反映される。配
特に有価証券および/またはデリバティ
当については、持分按分した金額が簿
ブ(デリバティブを参照)のこと。
価から減算される。
与信相当額
比較可能性を確保する目的で、顧客
に対する不安定な債権を、リスク内容
に関して同等の安定的債権に換算する
保管
証券の保管および事務管理、また証
券分野における付加的なサービス。
マーケット・リスク
対応するポジションを手仕舞い得る
またはヘッジし得る前に起きた、市場
モバイル・バンキング
クレジット・デリバティブの場合、顧
に使えるWAPモード携帯電話(WAP
客に対する債権の量は時の経過ととも
モード携帯電話を参照)等のモバイル
に変動する可能性がある。与信相当額
機器を使って、いつでもどこからでも、
は、現在のエクスポージャー、未利用
口座や証券ポートフォリオにアクセス
与信限度枠の一部、およびデリバティ
できる可能性。
ブ業務では時に将来の債権の潜在的増
価格(金利、株価、為替レート、商品
価格)の予測不能な変動によって、当
行が突然の評価損失を被るリスク。
加に関する上乗せからなる。
US GAAP
(米国で一般に認められた会計原則)
財務会計基準審議会(FASB)およ
びアメリカ公認会計士協会(AICPA)
188
ために用いられる方法。与信限度枠や
全種類のサービスおよび取引の実行
与信トレーディング
貸出金または与信関連商品のトレー
ディング。
補足情報
予測債務不履行度
ある契約相手方が一定期間(例えば、
レバレッジド・ファイナンス
通常、社外の投資家の援助を受け、
1年)以内に支払債務不履行となる確
かつ一般には経営陣が関与して行われ
率。
る、会社買収のための資金調達。特徴
は、買収資金調達のレバレッジ効果が
予測単位積増方式
IAS第19号(1998年改訂)に従って、
非常に高いことであり、買収資金はも
っぱら買収目的会社の将来のキャッシ
企業の給付建債務の保険数理上の現在
ュフローのみに基づいて提供され、当
価値および関連する当期勤務費用の算
該会社の資産によって担保される。
定に用いられる、給付債務の評価方法。
この方法では、将来の給付増加の基礎
レポ
として、例えば、予測昇給率などを考
売却した有価証券を買戻す契約(対
慮に入れる。退職後給付債務を割り引
象資産が依然として売主の資産である
く際に用いる割引率は、貸借対照表日
場合は真の買戻契約)。買主の立場か
現在の優良社債の市場利回りを参考に
らは、当該取引は逆レポとなる。
決定される。
WAPモード携帯電話
リスク管理サービス
相互に依存する企業のリスクを識別
移動体によるインターネット(イン
ターネットを参照)接続のための特別
し、定量化し、またリスク分散の効果
なソフトウェア(WAP=ワップ、ワイ
的な戦略を導き出すサービス。
ヤレス・アプリケーション・プロトコ
ル)を装備した携帯電話。取り込んだ
流動性リスク
流動性リスクは、銀行がその現在お
データは携帯電話の画面に表示され
る。
よび将来の契約上の支払義務を標準的
な市場条件で、または所定の期間内に、
完全に履行できないリスクである。
リレーションシップ・バンキング
一般には、商品専門家とともに、適
任のリレーションシップ・マネージャ
ーが、定められた市場セグメント内で、
選定された法人顧客を担当すること。
本書では、国内および国際法人顧客
向け業務におけるリレーションシッ
プ・マネジメントの考え方。
189
索引
索引
<あ行>
顧客 3, 4, 6, 7-・, 12, 15, 23-45, 61, 63, 65
取締役会 7, 10-11, 43, 133
ITサービス 40
コーポレート・インベストメンツ 7-8
トレジャリー 43
etb 40
コーポレート・センター 7-8, 43-45, 47,
トレーディング利益 55, 57-58, 66, 78,
一般個人顧客および富裕層向けバンキン
61
127, 180-181, 185
グ部門 23-25
一般個人顧客向けバンキング 7, 16, 2324, 61
インターネット 14, 15, 21, 25, 27, 29,
39, 40-41, 44
<さ行>
<な行>
再構築費用 66, 123-124, 180-181
ネッティング 73,75,89,134-135, 187
残存期間による分類 128
年金債務 75, 101-102, 133
支援宣言 132
インベスター・リレーションズ 21, 192
時価総額 19, 20
<は行>
e-コマース 4, 9, 25, 40, 55, 59, 64
自己資本比率 65, 168
配当金 3, 180-181
e-ビジネス 4, 41
自己資本比率(BIS規制) 65, 118, 167-
バンカース・トラスト 55-・, 106
営業権 94, 106, 123, 124, 180-181, 184
営業費用 55, 58-59, 61-62, 66, 80, 123,
168, 180-181
引当金 67, 75-76, 180, 102-・
事業会社に対する株式所有 43, 162
費用/収益比率 60, 124, 180-181
資産運用 35-37, 57, 63, 77-78
1株当たり純利益 59, 66, 83-84, 180-181
M&A 28, 33, 57, 63
支店 6
ファイナンシャル・コントロール 44,
オンライン証券 3, 4, 24
支払 28, 40-41, 57, 77
138,163
社会 12-13, 17, 51-53
不動産 23, 27, 29, 37, 62, 130
<か行>
社会的責任 51
富裕層向けバンキング 7, 15, 24-25
会社組織(新体制)
従業員 12, 16, 24, 35, 47-49, 59, 115-
保険業務 55, 58, 66, 79, 180-181
124, 180-181
– 投資銀行部門 4, 7-9, 169
116, 131, 180-181
– 個人顧客および資産運用部門 4-5, 7-9
純手数料収益 57, 66, 71, 77, 180
<ま行>
格付け 44, 147,148, 161
純利益 3, 55, 59, 65, 66, 69, 180-181,
マンデイト 133
貸倒引当金 66, 67, 72, 77, 88, 123, 124,
134, 149-150, 180-181
184
純利益の処分 66, 83
貸出金 72, 85-86, 134, 180-181
純利息収益 55-56, 66, 77, 123, 180-181
貸出金総額 86-87, 125, 145-・, 153, 180-
償却、減価償却費、評価減および貸倒れ
181
59-60, 124, 152
目標 5, 6, 8-9
持分出資 77, 90, 129
<や行>
有形固定資産 135, 180-181
株式資本 19, 20, 113, 183
証券業務 40, 57, 77
株主 12, 14, 19-21
情報技術(IT) 27, 39, 40, 55, 64
<ら行>
株主資本 65, 112, 118, 141-142, 167
税金 59, 76, 82-83, 108-109, 136, 180-
リース 29, 74-75, 77, 87, 95-96, 129, 134
株主資本利益率(RoE)5, 60, 123, 124,
180-181
株主総会 20, 60, 83, 111, 113-114
181
利益参加資本金 109, 110-111
セグメント報告 122-125
利益剰余金 65, 66, 67-68
組織体制 6-8
リスク・プロフィール 145-168
連結会社グループ 56, 69, 70-71, 94, 96,
監査役会 133, 174-178
管理職 16, 48, 114, 117
<た行>
グループ部門
中小規模の企業 27
連結の原則 72
– 資産運用部門 35-37
デリバティブ 32, 58, 145-・, 152-・, 156
連結利益 60, 66, 67-68
– 法人顧客および不動産投資銀行部門 27-29
投資 65, 73, 89-90, 184
– グローバル・コーポレート・アンド・インスティテューションズ
投資による純収益 58, 66, 79, 180-181
部門 31-33
投資銀行 3-4, 7, 31-33, 55, 58, 63, 64, 177
– グローバル・テクノロジー・アンド・サービス部門 39-41
ドイチェバンク 24 23-24
経済的資本 141-142, 146, 163, 167, 187
ドイツ銀行株式 19-21, 112, 115, 118
コア自己資本比率 44, 65, 118, 168
取引業務 40
190
97, 108, 119
補足情報
決算書に関する配布物
決算書に関する配布物
2000 Annual Report of
注文方法:
Deutsche Bank Group (IAS)
(ドイツ銀行グループ2000年度
年次報告書 (IAS準拠))
ドイツ語
英語
フランス語
スペイン語
日本語(本年度中頃以降)
– 電子メール
[email protected]
– インターネット
www.deutsche-bank.com/00
– ファックス : +49 69 95 00 95 29
– 電話 : +49 69 95 00 95 30
– 郵便
Annual Financial Statements
and Management Report of
Deutsche Bank AG for 2000
(2000年度ドイツ銀行年次決算書および 取締役会報告書)
ドイツ語
英語
フランス語
List of mandates 2000 (2000年マンデイト・リスト)
ドイツ語/英語
List of shareholdings 2000 (2000年株主リスト)
ドイツ語/英語
List of Advisory Council members 2000 (2000年諮問評議会評議員リスト)
ドイツ語
郵送の際、ここで折る。
From:
Name/company (御名前/会社名)
Street (御住所)
Deutsche Bank AG
Leser-Service-PKS
Postcode (郵便番号)Town/city(市町村)
D-60262 Frankfurt am Main
Germany
Country (国名)
191
Impressum
Impressum
ドイツ銀行グループ
D-60262 フランクフルト・アム・マイン
タウヌスアンラーゲ 12番
業績見通し
写真
リスク要因を含む
Harry Borden,(ロンドン)
本年次報告書には、ドイツ銀行の将来
10頁
電話 +49 69 910-00
にわたる業績に関する記述が含まれてい
Wolfgang von Brauchitsch,(ボン):
電子メール [email protected]
ます。これらの記述は仮定および推定に
11頁
基づくものです。当行は、これらの記述
Andreas Pohlmann,(ミュンヘン):
インベスター・リレーションズ:
が現実的であると考えていますが、それ
10, 11, 174頁
電話 : + 49 69 9 10-3 80 80
を保証してはいません。
Matthias Ziegler,(ミュンヘン):
電子メール: [email protected]
業績見通しの前提となっている仮定に
は、リスク要因や不確実性を含んでいる
インターネット上の年次報告書:
ため、現実の値が予測とは大きく異なる
www.deutsche-bank.com/ 00
ケースが存在します。例えば、資本市場、
為替相場、金利、経済環境の変化が挙げ
られます。
当行では、業績見通しの更新を行う予
定はありません。
192
18, 22, 26, 30, 34, 38, 42,
46, 50, 54頁
年次報告書 2000年 ドイツ銀行
E_GB_001.qxd* 2001.11.2 9:59 AM ページ 1 (ブラック 版)
2000年 業績 年次報告書
2001/2002年の会計処理予定表
2001年5月3日
2001年5月17日
2001年3月31日現在中間報告
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキジビション・センター)にて、株主総会
2001年5月18日
配当金支払
2001年8月1日
2001年6月30日現在中間報告
2001年11月1日
2001年9月30日現在中間報告
2002年5月22日
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキジビション・センター)にて、株主総会
ドイツ銀行
003 83304 02 · 3/01
ドイツ銀行