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施設分娩中の軽蔑と虐待の予防と撲滅 - World Health Organization

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施設分娩中の軽蔑と虐待の予防と撲滅
世界保健機関 声明
全ての女性が、尊厳を保ち、尊重
されたヘルスケアを受ける権利
や、暴力や差別を受けない権利を
含めた、到達し得る最高基準の健
康に対する権利を持っている。
photo: UNICEF
世界中で、医療施設での出産中に、多くの女性が軽蔑的で虐待的な扱い
を経験している。そのような扱いは、尊重されたケアを受ける女性の権
利を侵害するだけでなく、彼女たちの人生、健康、身体的な尊厳への権
利、そして差別からの自由をも脅かす可能性がある。この声明は、この
重要な公衆衛生と人権の問題に、より多くの行動、対話、研究とアドボ
カシーを求めるものである。
背景
安全で、容認できる、質の良いセクシャル・リプロダク
ティブ・ヘルスケアへの万人のアクセス、特に避妊具
へのアクセスと妊産婦ケアへのアクセスを保証するこ
とによって、世界的な妊産婦の有病率や死亡率を劇的
に減らすことができる。この数十年で、要望の創出、
地域動員、教育、金銭的インセンティブや政策的対策
を通して、女性が出産時に施設を利用することへのイ
ンセンティブを増やすことによって、施設分娩率は改
善してきた。
しかしながら、妊娠中、特に出産中の女性の経験に関す
る研究結果の蓄積が描いた絵は、憂慮すべきものであ
る。世界中の多くの女性が、施設分娩中に軽蔑的で、
虐待的な扱いや放置を経験している。(1-3) これは女
性と医療者間の信頼形成を妨げるばかりでなく、女性
が妊娠分娩に関わる医療サービスを探し求め、利用す
ることへの強力な行動抑制ともなりうる。(4) 軽蔑的
で虐待的な女性に対する扱いは、妊娠、分娩、産後の
すべての期間を通して起こりうるが、女性は特に出産
中に脆弱である。このような実践は、母親と乳児両者
に対する直接的で有害な結果をもたらす可能性がある。
施設分娩中の軽蔑的で虐待的な扱いの報告は、あか
らさまな身体的虐待、深刻な屈辱や言語的虐待、強
制的または同意を得ていない医療処置(避妊手術を
含む)、個人情報保護の欠乏、同意形成における情
報提供の怠慢、鎮痛剤の提供拒否、全体的なプライ
バシーの侵害、医療施設への入院拒否、出産中に生
命の危険がある女性の放置、避けられる合併症、そ
して支払いの能力がないことを理由にした出産後の
母親と新生児を施設内に留め置くことを含む。(5)
その他には、思春期の少女、未婚女性、社会経済的
なステータスの低い女性、少数民族出身の女性、移
民女性、HIV陽性の女性は、特に軽蔑的で虐待的な扱
いを経験しやすい。(5)
全ての女性が、妊娠出産を通して尊厳を保ち、尊重
されたヘルスケアを受ける権利や、暴力や差別を受
けない権利を含めた、到達し得る最高基準の健康に
対する権利を持っている。出産中の虐待、放置、
軽蔑は、国際的に採択されている人権基準や原則
に記されているように、女性の基本的な人権の侵害
に値する。(6-9) 特に、妊婦は尊厳において平等で
あり、自由に情報を求め、受け、分け与える権利、
差別を受けない権利、セクシャル・リプロダクティ
ブ・ヘルスを含んだ到達し得る最高基準の身体的、
精神的な健康を享受する権利を持つ。(10)
施設分娩中の軽蔑と虐待の予防と撲滅
女性の施設分娩中の軽蔑や虐待の経験を示すエビ
デンスの存在が広く知られているにもかかわら
ず、(1-3,5) 現在、軽蔑と虐待をどのように科学
的に定義し、測定すべきかに関する国際的な合意
はない。結果として、その蔓延の程度や、女性の
健康、福利、選択への影響は知られていない。分
娩時の女性に対する軽蔑的で虐待的な扱いを、
より明確に定義し、測定し、理解すること、さら
に、どうすればそれが予防でき、撲滅されうるの
かに関する研究課題が、山積している。
尊敬の念を持った高水準の分娩ケアを達成するた
め、保健システムは女性のセクシャル・リプロダ
クティブ・ヘルスと人権に対する尊重を保証する
方法で編成され、管理されなければならない。
世界中の多くの政府、専門職集団、研究者、国際
機関、市民社会グループや地域が、すでにこの問
題に取り組む必要性を強調しているにもかかわら
ず、(11-14) 多くの例で、妊産婦を尊重するケア
は政策に反映されておらず、具体的ではなく、あ
るいは意味のある行動に未だ結びついていない。
施設分娩中の軽蔑と虐待を世界的に予防し、撲滅
するため、以下のような行動が実施されるべきで
ある。
1. 軽蔑と虐待に関する研究や行動に対し、
政府と開発パートナーが、より多くの支援を
すること
世界中の公的、民間の医療施設における軽蔑や虐待を
定義・測定し、それらが女性の健康の経験や選択に及
ぼす影響をより良く理解するための更なる研究に対し、
政府と開発パートナーのより多くの支援が必要とされて
いる。政府とヘルスケアサービス提供者に必要な専門
的ガイダンスを与えるために、異なる状況での介入の効
果や実施のエビデンスが求められている。
2. 質の高いケアの極めて重要な要素とし
て、尊重されるケアに強く焦点を当てた妊産
婦ケアの質を改善するためにデザインしたプ
ログラムを開始し、支援し、維持すること
全ての女性が尊重され、有能な医療者による心遣いの
ある妊産婦ケアのサービスを受けられることを保証する
ために、医療者の行動、臨床環境や保健システムの変
革をサポートする、より多くの行動が必要とされている。
これは意思決定支援、移動手段の確保、食料や飲料へ
のアクセス、個人情報の保護、プライバシー、情報を提
供された上での選択、女性の権利に関する情報、侵害
を是正するメカニズム、高い専門的な基準の臨床ケア
を保証することを通した社会的サポートが含まれる(し
かしこれに限定しない)。ユニバーサル・ヘルス・カバレ
ッジの一部として、安全で質の高い、人々を主体とした
ケアに焦点をあてることは、行動を導くのに役立つ可能
性がある。
photo: World bank
施設分娩中の軽蔑と虐待の予防と撲滅
3. 妊娠出産を通して尊厳、尊重を守ったヘ
ルスケアに対する女性の権利を強調すること
国際的な人権枠組みは、分娩中の軽蔑や虐待は重要な
人権問題であると強調しており、(6-8, 15) 敬意を持っ
た妊産婦ケアの重要性への意識を高め、政策イニシア
チブを作り出していくよう、女性の健康を主張する人々
を支援することができる。権利に基づいたアプローチを
用いて保健システムを編成・管理することで、出産の場
で、敬意を払った質の高いケアの提供を促進することが
できる。
4. 敬意を払ったケアと軽蔑的なケアの実
践、説明責任のシステムと意味のある専門
職のサポートに関するデータを生み出すこと
が求められる
保健システムは、権利と倫理的な基準に関する明確な
政策が開発され、実行されることを保証しながら、分
娩中の女性の扱いに対する説明責任を果たさなければ
ならない。ヘルスケア提供者には、どのレベルにおいて
も、出産中の女性が共感と尊厳をもって扱われることを保
証するためのサポートとトレーニングが必須である。すでに
尊重した妊産婦ケアを提供し、女性と住民の参加を促し、
尊重したケアを追求し、継続的に改善している保健サービ
スは、特定され、研究され、記述される必要がある。
5. ケアの質を改善し、軽蔑的で虐待的な実践
を撲滅するため、女性を含んだ全ての利害関係
者を参加させること
出産中の軽蔑と虐待を終わらせることは、女性、地
域、ヘルスケア提供者、管理者、医療トレーニング・
教育・認定機関、専門職協会、政府、保健システム関
係者、研究者、市民社会グループ、国際機関がすべて
参加する、包括的なプロセスを通して、初めて達成可
能となる。我々はこれらの団体に、軽蔑や虐待が継続
的に特定され、報告されていること、またその地域に
適した予防的、治療的対策が実行されることを保証す
る努力に加わることを求める。
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