企業の環境への取り組み に関する実態調査

企業の環境への取り組み
に関する実態調査
2010年5月
名古屋商工会議所
近年、地球的規模で環境問題への対応が求められているなか、本所では昨年度環境委員会を設置
するとともに環境行動計画を策定し、今年度からその実践に取り組むこととしている。
加えて本年 10 月には、いよいよCOP10が開催されるなど、環境への関心が一層高まるものと
判断されることから、本所会員企業の環境への取り組み状況などについて今般改めて実態調査を行
なった。調査概要等は以下の通りである。
【調査概要】
Ⅰ.時
期 平成22年3月中旬~4月中旬
Ⅱ.方
法 郵送・インターネットによるアンケート方式
Ⅲ.対
象 名古屋市に本社を置く会員事業所約 2,150 社
Ⅳ.内
容
1.環境への取り組み状況について
2.本所環境関連事業に対する認知度と期待する事業について
3.COP10ならびに生物多様性の認知度について
Ⅴ.回答状況
回答企業638社(回答率29%)
Ⅵ.回答企業内訳
業種
回答社数
全体
638
100.0%
製造業
157
24.6%
建設業
77
12.1%
卸売業
134
21.0%
小売業
37
5.8%
サービス業
95
14.9%
運輸業
43
6.7%
その他
72
11.3%
規模
全体
~20人
21~50人
51~100人
101~200人
201~300人
301人~
構成(%)
回答社数 構成(%)
638
100.0%
116
18.2%
174
27.3%
114
17.9%
83
13.0%
36
5.6%
109
17.1%
1
【調査結果】
1.環境への取り組み状況について
(1)現在の状況について
9 割以上の企業が環境対策を実施しており、規模(従業員数)が大きくなるほど環境への取
り組み意識が高くなっている。(300 人以上の企業の 66.1%が「積極的に取り組んでいる」と回
答した。
【図1】)
また、業種別では各業種とも何らかの形で環境に取り組んでいる。僅差ではあるが取り組
み比率が高いのは、サービス業、小売業、製造業の順となった。
【図2】
【図1】規模別
【図2】業種別
(2)今後の取り組みについて
今後、何らかの形で環境へ取り組んでいきたいとする企業のウェイトが増加している(①+
②の企業数:現在 582 社⇒今後 619 社)。
【表1】、
【表2】、
【図3】但し、企業活動への負担
には配慮するという企業が多い。
【表1】現在の取組状況
①積極的に取り組んでいる
②法規制をクリアする程度には取
り組んでいる
③ほとんど取り組んでいない
空白
合計
249 39.0%
333 52.2%
55
1
638
8.6%
0.2%
【表2】今後の取り組み
①積極的に取り組んでいきたい
②企業活動の負担にならない範
囲で取り組んでいきたい
③取り組みの必要性を感じている
ものの、取り組めない
④特に取り組む必要性を感じて
おらず、取り組む予定もない
空白
合計
【図3】
現 在
今 後
2
226 35.4%
393 61.6%
16
2.5%
3
0.5%
0
638
0%
(3)環境への取り組み理由について
環境への配慮や環境対策に取り組む理由については、上位から「法規制の遵守」(76.2%)、
「省エネなどコスト削減策として有効」(68%)、「企業イメージ向上」(54.7%)の順となってい
る。
【表3】
、
【図5】
、
【図6】
特に環境に積極的に取り組んでいる企業は、「省エネなどコスト削減策として有効」をはじ
め「企業イメージの向上」、「地域貢献や近隣住民への配慮」、「ビジネスチャンスの拡大」を理
由に上げる比率が法規制クリア程度の取り組み企業等と比べて高い結果となった。
【図4】
【表3】環境対策等に取り組む理由(複数回答有)
①法規制の遵守
②企業イメージの向上
③省エネなど、コスト削減策として有効
④ビジネスチャンスの拡大
⑤取引先からの要請
⑥地域貢献や近隣住民への配慮
⑦その他
486
349
434
143
135
264
27
【図4】取り組み姿勢別
76.2%
54.7%
68.0%
22.4%
21.2%
41.4%
4.2%
【図5】規模別
【図6】業種別
3
(4)現在取り組んでいる環境対策について
全体では、「節電・節水の推進」(80.3%)、「室内温度の管理」(76.5%)、「省資源化やリサイク
ルの推進」(54.9%)、「クールビスやウォームビズの実施」(54.5%)の回答が多かった。【表4】
また、各対策とも企業規模が大きくなるほど取り組み企業数が増加する結果となった。300
人以上の企業の突出が目立った対策は「グリーン購入の実施」、「清掃や緑化運動等、地域の環
境活動への参加」、「環境に配慮した製品の開発」だった。【図8】
業種別では、当然ではあるが「エコドライブの推進」で運輸業が突出した結果となった。
また、「節電・節水の推進」ではサービス業の取り組みが高い結果となった。【図9】
【図7】取り組み姿勢別
【表4】現在、実施中の環境対策(複数回答有)
①室内温度の管理
②省エネ機器・設備の導入や
活用
③節電・節水の推進
④クールビスやウォームビズの
実施
⑤エコドライブの推進
⑥屋上緑化
⑦廃棄物の発生抑制
⑧省資源化やリサイクルの推進
⑨グリーン購入の実施
⑩環境に配慮した製品の開発
⑪清掃や緑化運動等、地域の
環境活動への参加
⑫その他
空白
【図8】規模別
488
76.5%
274
42.9%
512
80.3%
348
54.5%
252
35
321
350
183
110
39.5%
5.5%
50.3%
54.9%
28.7%
17.2%
194
30.4%
26
2
4.1%
0.3%
【図9】業種別
4
(5)今後、取り組むべき対策について
今後、取り組むべき対策は、「省エネ機器・設備の導入や活用」(40%)がトップとなった
が、中小・小規模企業クラスにおいても関心が高く、すべての規模の企業が 30%以上の割合で
回答した。【表5】【図 10】
省エネ機器の導入は企業にとって大きな経営課題であり、これに関連して環境対策への課
題で「対策に必要な資金の不足」(48%)がトップとなっている。
【表6】
また、300 人以上の企業では、「清掃や緑化運動等、地域の環境活動への参加」、「環境に配慮し
た製品の開発」において突出した結果となった。
【図 10】
【図 10】規模別
【表5】今後取り組みたい対策(複数回答有)
①室内温度の管理
②省エネ機器・設備の導入や
活用
③節電・節水の推進
④クールビスやウォームビズの
実施
⑤エコドライブの推進
⑥屋上緑化
⑦廃棄物の発生抑制
⑧省資源化やリサイクルの推進
⑨グリーン購入の実施
⑩環境に配慮した製品の開発
⑪清掃や緑化運動等、地域の
環境活動への参加
⑫その他
空白
145
22.7%
255
40.0%
151
23.7%
122
19.1%
150
71
176
198
76
117
23.5%
11.1%
27.6%
31.0%
11.9%
18.3%
127
19.9%
35
2
5.5%
0.3%
5
(6)環境対策に取り組む上での課題について
環境対策に取り組む上での課題については、規模別に見ると総じて「対策に必要な資金の
不足」と回答している。また、300 人以上の企業では、「対策に必要な人材の不足」と回答し
ており、45.0%をしめている。【表6】、【図 11】
業種別においても「対策に必要な資金の不足」がトップとなったが、なかでも運輸業の突
出が目立った(69.8%)。この背景には排出ガス規制強化への対応もあるものと思われる。
また、「対策に必要な情報の不足」においても運輸業と小売業が際立つ結果となった。
【図 12】
【表6】環境対策への課題(複数回答有)
①対策に必要な情報の不足
②対策に必要な技術の不足
③対策に必要な資金の不足
④対策に必要な人材の不足
⑤取引先の理解
⑥業界内の意識向上
⑦一般消費者の理解
⑧課題は特にない
⑨その他
206
123
306
221
59
133
56
101
24
32.3%
19.3%
48.0%
34.6%
9.2%
20.8%
8.8%
15.8%
3.8%
【図 11】規模別
【図 12】業種別
6
2.本所環境関連事業に対する認知度と期待する事業について
(1)環境関連事業に関する認知度
「名古屋商工会議所環境行動計画」を知っていたか。という問いに対して「知らなかった」が
80%を超えており、引き続き会員等への周知活動が必要であるとの結果が得られた。
【図 13】
また、「名商エコクラブ(仮称)」が設立された場合、参加を希望するか。という問いに対
しては「参加に要する費用や負荷、メリットなどを勘案して検討する」が約 75%を占めており、
何らかのメリットが感じられる事業であれば参加するとの回答が大半をしめた。【図 14】
クラブ設立に向けて、環境対策に関する事業者のニーズの把握に努め具体的なメリットが
感じられる活動を展開していくことが求められている。
【図 13】環境事業の認知度
【図 14】エコクラブへの参加希望
(2)期待する事業について
環境対策に関して、行政や商工会議所に望むものについて回答を求めたところ、全体では、
「環境に関する法律や規制についての情報提供」、「環境対策に関する事例紹介などの情報提
供」に関する回答が多かった。また、200 人以上の企業で「新規の情報や技術を知ることがで
きる講習会・展示会の開催」を希望する回答が約 45%あった。
【表7】、【図 15】
業種別でも、規模別と同様の傾向が出ていたのに加え運輸業で「補助金や優遇融資」と回答
していた企業が 60.5%あった。法律や規制や環境対策の事例紹介に関する情報収集について
興味が高かった。
【図 15】
【表7】行政や会議所に期待するもの(複数回答有)
①環境に関する法律や規制につい
ての情報提供
②環境対策に関する事例紹介など
の情報提供
③環境教育のための経営者・従業
員向けセミナーの実施
④新規の情報や技術を知ることがで
きる講習会・展示会の開催
⑤専門家の派遣や相談窓口の設置
⑥補助金や優遇融資
⑦特にない
⑧その他
425 66.6%
380 59.6%
191 29.9%
219 34.3%
51
8.0%
297 46.6%
32
5.0%
6
0.9%
7
【図 15】規模別
3.COP10ならびに生物多様性の認知度について
(1)COP10の認知度について
周知されているだけあって、70%近くの企業が「開催時期・開催地とも知っている」と
回答した。
【表8】
なかでも 300 人以上の規模の企業では 86.2%と突出しており意識の高さがうかがえた。
【図 16】
【表8】COP10 の認知度
①開催時期、開催地とも知っ
ている
②開催時期は知っている
③開催地は知っている
④開催時期、開催地とも知ら
ない
【図 16】規模別
441
69.1%
37
102
5.8%
16.0%
58
9.1%
(2)生物多様性の認知度については
生物多様性については「ある程度知っている」と回答した企業が、41.5%でトップ。
「あま
り知らないが、これから知ってみたいと思う」と関心を示す企業も約 30%近くあった。
【表9】
やはり、ここでも 300 人以上の規模で「ある程度知っている」と回答した企業が 59.6%と
突出しており意識の高さがうかがえた。【図 17】
【図 17】規模別
【表9】「生物多様性」の認知度
①かなり知っている
②ある程度知っている
③あまり知らないが、これから知っ
てみたいと思う
④あまり知らない
⑤ほとんど知らないし、今後もあまり
知りたいと思わない
空白
23
265
3.6%
41.5%
191
29.9%
151
23.7%
7
1.1%
1
0.2%
8
(3)企業と生物多様性の関連について
また、企業と生物多様性の関連については、52.2%の企業が「あまり関連していない」と回
答した。
一方で「密接に関連していると思う」12.2%、「一部の工程や業務などは関連している」
24.8%と何らかの形で関連するとした企業が 37%あった。【表 10】
業種・規模別では特に大きな特徴はみられなかった。
【図 18】
、
【図 19】
【表 10】事業活動と「生物多様性」との関連性
①密接に関連していると思う
②一部の工程や業務などは関連
している
③あまり関連していない
④まったく関連はない
空白
【図 18】規模別
78
12.2%
158
24.8%
333
65
4
52.2%
10.2%
0.6%
【図 19】業種別
9