都内中小企業の設備投資、資金繰り等の状況

都内中小企業の設備投資、資金繰り等の状況
四半期調査:平成 28 年第Ⅱ四半期(4~6月)
設備投資:減少傾向続く
採算状況:2期連続で後退する動き
資金繰り:3期ぶりに悪化
雇用人員:「不足」感の高まりが一服
■設備投資■────────────────────────────
設備投資の動向を後方4四半期移動平均でみると、当期(平成28年4~6月)に設
備投資を「実施した」割合は17.7%となった。前期(平成28年1~3月)の18.2%よ
り0.5ポイント減少し、平成27年第Ⅲ四半期以降、減少傾向が続いている。
来期(平成28年7~9月)の設備投資の「実施予定」割合(後方4四半期移動平均)
は17.6%とほぼ横ばいの見通しとなっている。
図表1 設備投資の実施割合(全体) −後方4四半期移動平均−
《 概要 》
22
□設備投資
20
設備投資の動向を後方4四半期移動平均でみると、当期に設備投資を「実
%
(実施予定)
18.2 → 17.7
18
施した」割合は17.7%となった。前期の18.2%より0.5ポイント減少し、平成
27年第Ⅲ四半期以降、減少傾向が続いている。
(17.6)
16
来期の設備投資の「実施予定」割合(後方4四半期移動平均)は17.6%と
ほぼ横ばいの見通しとなっている。
14
□採算状況
12
当期の採算状況を採算DI(「黒字」-「赤字」)でみると、
▲10.1(前期▲7.3)
と2.8ポイント悪化し、2期連続で後退する動きとなった。
注)来期「実施予定」割合(後方4四半期移動平均)は、後方3四半期実績と来期予定の平均。
□資金繰り
当期の資金繰り状況を資金繰りDI(「楽」-「苦しい」
)でみると、▲21.0
(前期▲19.7)と1.3ポイント低下し、3期ぶりに悪化した。
□雇用人員
Ⅲ
Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ (予定)
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
業種別にみると、設備投資を「実施した」割合は、製造業が22.0%(前期23.1%)、
卸売業が14.5%(同15.3%)と、それぞれ2期連続で減少した。小売業10.9%(同11.0%)
は、平成26年第Ⅲ四半期の15.7%をピークに減少傾向が継続しており、慎重な姿勢が
続いている。サービス業21.5%(同21.5%)のみ、横ばいで踏みとどまった。
来期の設備投資の「実施予定」割合(後方4四半期移動平均)は、卸売業のみ14.8
当期の雇用状況を雇用人員DI(「不足」-「過剰」
)でみると、11.9(前期
%と増加を見込んでいる。一方、製造業は21.9%、小売業は10.4%と引き続き減少す
14.9)と3.0ポイント低下し、「不足」感の高まりが一服した。
る見通しとなっている。
―6―
図表2 設備投資の実施割合(業種別)
−後方4四半期移動平均−
30
業種別にみると、製造業▲12.2(前期▲5.7)は6.5ポイント、卸売業▲5.5(同▲0.3)
は5.2ポイント、小売業▲31.2(同▲29.7)は1.5ポイント低下し、いずれも前期に引き
%
(実施予定)
製造業
22.0
25
20
続き悪化となった。一方、サービス業3.6(同0.5)のみ3.1ポイント上昇し、持ち直す
動きとなった。
規模別にみると、中規模1.0(同13.0)は12.0ポイントと大きく悪化したほか、大規
(製21.9)
(サ21.5)
サービス業
21.5
模33.6(同36.4)は2期連続での悪化となった。一方、小規模▲30.2(同▲32.1)は5
期ぶりに、中小規模▲9.0(同▲9.5)は2期ぶりに、採算DIが改善した。
卸売業14.5
15
(14.8)
10
小売業10.9
5
図表4 採算状況(業種別・規模別)
(10.4)
黒字
Ⅲ
業種別
Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ (予定)
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
注)来期「実施予定」割合(後方4四半期移動平均)は、後方3四半期実績と来期予定の平均。
全体
25.9( 28.0)
製造業
26.7( 29.6)
卸売業
28.0( 32.3)
■採算状況■────────────────────────────
サービス業
当期の採算状況を採算DI(「黒字」-「赤字」)でみると、▲10.1(前期▲7.3)と
小規模
規模別
図表3 採算DIの推移
↑黒字
DI
20
10
赤字↓
0
-10
-20
製造業
▲12.2
全体
▲10.1
-40
▲5.5
(▲0.3)
33.5( 32.6)
▲31.2
(▲29.7)
47.7( 45.9)
43.6(39.3)
3.6
(0.5)
26.4( 30.1)
▲30.2
(▲32.1)
45.9( 48.3)
36.3(34.7)
1.0
(13.0)
29.4(21.0)
36.6( 30.0)
40
▲9.0
(▲9.5)
36.3( 37.4)
40.3( 45.0)
48.5(53.2)
20
▲12.2
(▲5.7)
38.9(35.3)
38.5(35.1)
30.4(34.0)
中規模
0
60
14.9( 16.8)
80
100
33.6
(36.4)
%
注)カッコ内は前期(平成28年1~3月)の数値。四捨五入のため合計が100にならない場合がある。
■資金繰り■────────────────────────────
当期の資金繰り状況を資金繰りDI(「楽」-「苦しい」)でみると、▲21.0(前期▲19.7)
-30
小売業▲31.2
34.5(35.1)
27.3( 27.9)
DI値
▲10.1
(▲7.3)
36.0(35.3)
38.4( 35.5)
15.7( 16.2)
大規模
サービス業
3.6
卸売業
▲5.5
38.1( 36.7)
30.0(30.6)
中小規模
赤字
35.7(37.8)
16.5( 16.2)
小売業
2.8ポイント悪化し、2期連続で後退する動きとなった。
収支均衡
と1.3ポイント低下し、3期ぶりに悪化した。
業種別にみると、製造業▲21.8(同▲17.7)は3期ぶりの悪化となったほか、卸売
-50
業▲16.8(同▲14.4)と小売業▲35.0(同▲32.6)はともに2期連続の悪化となった。
-60
Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
一方、サービス業▲14.0(同▲17.7)のみ、前期に引き続き上昇した。
―7―
DI
■雇用人員■────────────────────────────
図表5 資金繰りDIの推移
当期の雇用状況を雇用人員DI(「不足」-「過剰」)でみると、11.9(前期14.9)と
0
卸売業
▲16.8 サービス業
▲14.0
-20
製造業
▲21.8
全体 ▲21.0
-30
小売業 ▲35.0
-40
-50
3.0ポイント低下し、「不足」感の高まりが一服した。
DI
↑不足 過剰↓
苦しい↓
-10
図表7 雇用人員DIの推移
30
サービス業24.1
20
小売業 14.2
全体
11.9
卸売業
6.4
10
製造業4.4
0
-10
-60
-20
Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
業種別にみると、製造業4.4(前期8.4)、卸売業 6.4(同12.8)、小売業14.2(同 15.4)
規模別にみると、小規模▲34.0(前期▲35.2)は1.2ポイント資金繰りDIが上昇し、
平成27年第Ⅱ四半期以来の改善となった。一方、中小規模▲22.0(同▲20.1)は1.9ポ
は前期から一転してDI値が低下した。一方、サービス業 24.1(同23.9)は、ほぼ横ば
イント、中規模▲9.8(同▲6.7)は3.1ポイント、大規模3.4(同5.7)は2.3ポイントと、
いで推移した。
規模別にみると、大規模21.9(同29.0)、中規模11.2(同19.9)、中小規模12.3(同
それぞれ悪化した。
13.0)でDI値が低下した。一方、小規模8.3(同7.9)はDI値が上昇した。
図表6 資金繰り状況(業種別・規模別)
楽
全体 10.5(11.1)
11.0(12.3)
卸売業
10.8(12.2)
小売業
8.6(9.3)
サービス業
40
14.3(11.1)
60
80
100
73.1(71.8)
小売業 5.0(3.5)
75.8(77.6)
中規模
11.9(9.0)
大規模
11.4(4.7)
0
%
16.6(20.5)
6.4
(12.8)
14.2
(15.4)
24.1
(23.9)
14.3(12.9)
70.9(70.5)
20.7(21.2)
65.1(62.1)
23.1(28.9)
55.2(61.6)
40
4.4
(8.4)
30.0(29.4)
79.6(82.1)
20
16.0(16.7)
19.2(18.9)
64.1(65.1)
中小規模 8.4(8.2)
11.9
(14.9)
20.4(21.4)
72.4(75.0)
卸売業 10.2(7.7)
DI 値
不足
71.1(72.1)
小規模 6.0(5.0)
3.4
(5.7)
注)カッコ内は前期(平成28年1~3月)の数値。四捨五入のため合計が100にならない場合がある。
適正
サービス業 5.9(5.5)
規模別
規模別
20
製造業 11.6(8.3)
▲9.8
(▲6.7)
24.7(22.3)
68.0(72.1)
▲16.8
(▲14.4)
▲22.0
(▲20.1)
33.0(31.4)
60.3(62.1)
全体 8.5(6.5)
▲34.0
(▲35.2)
39.8(41.9)
56.0(57.3)
過剰
▲21.8
(▲17.7)
▲14.0
(▲17.7)
25.1(27.6)
54.4(51.4)
図表8 雇用人員の状況(業種別・規模別)
▲35.0
(▲32.6)
43.6(41.9)
17.7(16.8)
0
27.6(26.6)
63.8(62.5)
14.9(15.6)
DI値
▲21.0
( ▲19.7)
32.8(30.0)
47.7(48.8)
中小規模 11.0(11.3)
大規模
31.5(30.8)
61.6(61.2)
5.8(6.7)
中規模
58.0(58.1)
56.2(57.7)
11.1(9.9)
小規模
苦しい
業種別
業種別
製造業
普通
33.3(33.7)
60
80
8.3
(7.9)
12.3
(13.0)
11.2
(19.9)
21.9
(29.0)
100 %
注)カッコ内は前期(平成28年1~3月)の数値。四捨五入のため合計が100にならない場合がある。
―8―
石油系溶剤を含まないインキを使用しています。