中小企業のSWOT分析の1考察

中小企業のビジョン・戦略構築のための
SWOT分析
敵を知り 己を知らば 百戦危うからず
敵は 今や時代であり外部環境であり
己とは 自社(内部環境)である
平成22年 2月
あなたの夢実現のナビゲーター、アシスタント
渡邉ビジネスシステム研究所 中小企業診断士 渡邉 勲
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Tel:047-448-5421 Fax:047-440-2191
中小企業のビジョン・戦略構築のための
SWOT分析
敵を知り 己を知らば 百戦危うからず
「孫子の兵法」の有名な一節です
今や企業の優劣は、売上高や従業員や資本金などの規模や、
人的資源や物的資源などで決まるものではなくなってきています。
経営者(トップ)の企業経営に対する熱い思いや情熱と
英知の結集が不可欠となってきているのです。
今日のような変化の激しい時代こそ、小回りのきく中小企業が、
真の力を発揮できる時と認識を新たにし、
泣き言や言い訳ばかりを先行させないで、
冷静な判断をもって、経営にあたっていきましょう。
そのためにも、先ず己(自社)を知り(把握し)、
敵(ライバル)である時代や環境の変化を認識し
適応していくことです。
やや抽象的になりがちなSWOT分析を、中小企業でも導入しやすい
ようにした一考察です。ぜひ試してみてください。
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SWOT分析は何のために行うのか
経営理念
経営基本方針・行動指針の
確認(再構築)
強み・弱みを
握するために
創業の精神 信条 社是・社訓
従業員や取引先に対す基本方針 等
経営者自らの志、情熱の確認
経営計画(利益計画)
己(自社)を知る
利益を出すための売上・費用計画
定性要因分析
経営力 商品・サービス力 営業力・
販売力 経営管理力 企業風土等
定量要因分析
財務構造 収益構造 財務指標等
損益分岐点分析
主力商品・主力事業等のシェア、
貢献利益
自社の強み・弱みの把握
経営ビジョンン(目標)の
設定
目指す あるべき姿
ありたい姿
中長期ビジョン
↓
生き残り 勝ち残るための1里塚
としての
短期ビジョン(3∼5年)
戦略構築
経営ビジョン達成の筋道
マーケティング(4P)
事業領域(分野)
既存時魚と新規事業
商品・市場分析
伸ばす商品と捨てる商品
ライフサイクル
今後の主力商品・主力事業
経営革新
中長期計画(大枠計画)
優先順位付け
↓
短期(3∼5年計画)
年度別 商品別 事業部門別
数値計画 行動計画
↓
初年度計画(予算)
月別数値計画(季節変動)
部門別行動計画
敵を知る
敵は時代・環境
SWOT分析
適応状況を知る
機会と脅威をつかむ
ために
外部環境分析
国際化・グローバル化
規制緩和・規制強化
技術革新・IT(情報)化
社会の成熟化
女性の社会進出
少子化・高齢化
社会貢献・地位個貢献
地球環境問題
その他
修正
計画
PDCAサイクル
実行の企業風土
検証
実行
政治 経済 社会 技術
今後のビジョンや成長戦略を立てるために 不可欠のものなのです
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経営体・経営活動(マーケティング)とSWOT分析
顧客を獲得・確保するために 己(内部環境・自社)を知り 敵(外部環境と顧客)を知る
経営資源
マーケティング
企業を取り巻く
外部環境
(障害物)
への対応
製品・商品
・サービス ヒト 人材
経営者の夢やビジョン
モノ 設備・機器等
P(政治)
E(経済)
S(社会)
T(技術)
価格
(切口の例)
経営姿勢
(経営理念や創業の精神)
(経営基本方針や経営戦略)
資金
収益構 造
財務構 造
CF
目標達成計画
(具体的数値計画・行動計画)
情報
販売促進
基幹業務
情報系
消費者・生活者
販路
国際化
規制
技術
IT情報化
成熟化
少子化
高齢化
女性の社会進 出
社会貢献
環境対応
など
使用者
どうアプローチする
頭脳次 第
価値観
ライフスタイルの変化
ニーズの多様化
個性化 ・高度化
・複雑化
競合状況
己を知る
敵を知る
(経営資源) 内部環境 (マーケティング)
外部環 境
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経営体・経営活動(マーケティング)とSWOT分析
●内部環境分析(己を知る)
●外部環境分析(敵を知る)
経営資源
改善・改革策
P(政治)E(経済)S(社会)T(技術) 競争状況
強み
弱み
資金
(切り口)
国際化
グローバル化
規制
緩和・強化
技術進歩
情報
IT化進展
知的資産
成熟化
企業風土
少子化
人
物
機会
脅威
適応・対応策
高齢化
マーケティング
改善・改革策
強み
弱み
地域貢献
商品・サービス
環境対応
価格
その他
競合状況
販路
販売促進
脅 威 業界内競合
新規参入
代替品
売り手
買い手
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ツールとしてのSWOT分析
①内部環境分析
③事業領域の明確化
②外部環境分析
④経営戦略策定
(事業戦略策定)
①内部環境分析 強みと弱みのリストアップの例
人材(ヒト)
・優秀な技術者
・余剰労働力
・従業員の他業種での経験
資産(モノ)
・土地や建物
資金(カネ)
・業績
技術力・ノウハウ
(知的資産)
・開発力 ・品質管理能力 ・コストダウン能力
・企画力、マーケティング能力
ネットワーク・人脈
・相談しやすい専門家(税理士 中小企業診断士 弁護士など)
・取引先との連携提携、協働、パートナーシップ
その他
・組織力
・機械や設備
・自己資金
・企業文化
・施設
・ノウハウ所有者
・製品
・資金調達力
・IT活用能力
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・ブランド力
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企業の内部環境分析 (経営資源 知的資産等)
同業者 業界同規模企業
類似企業・ライバル企業と比較する
S 強み(優れているもの)
ヒト
モノ
W 弱み(劣っているもの)
有資格者
独自技術や技
能保持者、先端
技術習得者
等
設備
機器
等
資金
カネ
利益
業績等
基幹業務
情報
インターネット
Eメール
収集・発信
知的資産
売り方 作り方
サービス等
特許
実用新案権
商標・のれん
等
指示命令伝達
報告連絡相談
企業風土
挨拶 返事 5S
時間・約束厳守
等
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企業の内部環境分析 (経営資源 知的資産等)
同業者 業界同規模企業
類似企業・ライバル企業と比較する
企業の内部環境分析 (経営資源 知的資産等) 同業者 業界同規模・類似企業と比較する
S 強み 他社より優れているもの
W 弱み 他社より劣っているもの
有資格者
独自技術や技
能保持者
ヒト
人材
先端技術習得
者
人一倍明るく
元気な人
笑顔の素敵な人
挨拶の素晴らし
い人
きれい好きの人
こんな人
いませ
んか
電話応答やテレ
アポをとるのが
うまい人
字や絵のうまい
人
何かで賞をとっ
た人
などなど
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敵を知る 外部環境(世の中の変化)分析
敵とは 時代の変化であり 環境の変化である
激変消滅の時代
社会が変わり・市場が変わる
その環境変化で 自社や自社の属する業界はどのような影響を受けるのか
切り口から変化をとらえ対応の方向を考える
1.先見性を研ぎすま
す
2.変化は斑模様にやっ
てくる
3.変化の基本軸をとらえ
る
どんな変化が起き
どのような時代に
なってきているのか
どのようになって
いくのだろうか
①環境変化の基本方
向は
②環境変化が自社の
属する業界に与える
影響は
③環境変化が自社に
与える影響は
①国際化・グローバル化
②規制緩和
③情報化・技術革新・IT化
④成熟化・ニーズやライフスタ
イルの変化
⑤少子化・高齢化
⑥女性の社会進出
⑦社会貢献
⑧地球環境問題
⑨その他
どう対応すべきか
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ツールとしてのSWOT分析2
①内部環境分析
③事業領域の明確化
②外部環境分析
④経営戦略策定
(事業戦略策定)
②外部環境分析 機会と脅威のリストアップ
政策の動向
・規制強化、規制緩和
・新しい施策
経済情勢
・景気の動向
競争の状況
・新規参入の動向
社会的ニーズ
・業界の景気
・顧客のニーズやライフサイクルの変化、流行の変化
地域特有の課題、ニーズ
・人口の増減
・少子化や高齢化の進展状況
技術革新 IT化
・新技術開発の動向
その他
・社会貢献 地域社会との調和融合
・為替、円相場の動向
・金利や物価の動向
・流通業者、供給業者の動向
・同業者の動向
・立地条件の変化
・IT化の進展
・地球環境問題
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企業を取り巻く外部環境の変化を分析するシート 1
変化の切り口
国際化
グローバル化
規制緩和
技術革新
IT化 情報化
成熟化
ニーズの変化
ライフスタイルの変化
⇒個性化
[時代の流れ・変化]
[自社の属する業界や自社への影響・現象]
[自社の対応課題]
和風⇒洋風(欧風、北米風、2×4工法等)
国産材⇒輸入材
建築基準法等関連法規の改正
在来工法(匠)⇒プレカット、近代工法 耐震免震工
法 重機、建設機械の進歩 道具の変化 耐震金
物
CAD 積算、構造計算 3D イメージ表示 ITの戦
略的活用
生活様式の変化 和風⇒洋風(台所⇒システムキッ
チン トイレ⇒水洗 ウォッシュレット 風呂⇒浴槽
畳⇒フローリング 納戸⇒クローゼット オール電化
扇風機ストーブ⇒冷暖房空調機器 床暖房
少子化
子供部屋(鍵付き⇒開放型)
高齢化
高齢者向け(バリアフリー化) 戸建⇒マンション
⇒人口減 市場縮小
女性の社会進出
地域貢献 社会貢献
環境対応
その他
家事の外注化 ホームセキュリテイ
街並み景観調和 防火防災 消防
家庭ごみ廃棄 リサイクル 太陽光発電
単身世帯増
所有から賃借へ 中古市場の整備
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企業を取り巻く外部環境の変化を分析するシート 2
変化の切り口
[時代の流れ・変化]
[自社の属する業界や自社への
影響・現象]
[自社の対応課題]
シート1より
切り口を選び
具体的に
分析する
携帯電話
インターネット
高齢化など
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己を知り敵を知る
現在と3年後5年後を
予測する
イメージ図
(B) 顧客
顧客の成長は続くか
顧客企業は成長するのか
(D) 仕入 外注先
仕入先や外注先等が
減少することはないの
か
仕入先や外注先等の
経営力が強化して
脅威になることはな
いのか
(C)
(A) 自社の経営カの分析
・定性分析
・定量分析
・経営資源分析
(強みと弱み)
同業者
同業者の数は今後
増加するのか
減少するのか
同業者の経営力は
強化されるのか
弱体化するのか
(E) 法令等
法令等の変更により
自社の経営は有利になるの
か 不利になるのか
自社の経営力(図A)の分析とともに、顧客(B)、同業者(C)、仕入・外注先(D)、法令等(E)の分析を行い、総合的に判断する
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中小企業のSWOT分析
これまでの分析結果を以下のように整理して仕分けする
S 強み
人
物
W 強み
金
情報
知的資産 企業風土
O 機会
人
物
金
情報
知的資産 企業風土
T 脅威
国際化 法規制 技術進歩 少子化 成熟化 社会貢献 その他
グローバル
IT化
高齢化 女性進出 環境対応
国際化 法規制 技術進歩 少子化 成熟化 社会貢献 その他
グローバル
IT化
高齢化 女性進出 環境対応
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