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「卒業論文要旨」
平成22年度卒業論文
ブライダル産業の変遷
~憧れの”お嫁さん”はどこから~
北海道教育大学 函館校 人間地域科学過程
情報科学専攻 社会情報分野
7227 佐藤 真梨
要旨
ブライダル産業をテーマに卒業論文を書いた理由は昨年、就職活動を進めていくなかで、
ブライダル業界に興味を持ったためである。ブライダル産業とはなにか、今までどのよう
な経緯を辿って今に至り、少子化、晩婚化といった様々な社会問題を抱える中で、これか
らどのような道を歩んでいくのかを調べてみようと思った。
ブライダル産業に興味を持った根底には結婚式に対する「憧れ」があった。”綺麗な真っ
白なウエディングドレスを着て、教会で結婚式を挙げる”そんな憧れである。私は結婚式
に出席した経験がない。どこからその”憧れ”はやってきたのだろうか。
そこで、人々に影響を与えるものとして"メディア"に焦点をあてた。様々なメディアは私
に、また、結婚式にどのような影響を与えているのだろうかということを調べた。
また、社会問題にも焦点を当て、少子化、晩婚化、非婚化が起こる理由、国民の意識の
変化を調べた。
はじめにでは研究動機とブライダル産業の定義について述べている。ブライダル産業とは
結婚式場業とその他関連会社が連携をとり成り立っている。本論文では結婚式場に焦点を
あてて検証していく。
第1章1節ではブライダル産業の歴史について調べた。元々は行われていなかった結婚式
がどのように日本に広まっていったのだろうか。はじまりは、明治時代、日本に伝統に基
づく挙式の準備が進められるなかで生まれた「神前式」であった。始めは裕福な家庭のみ
ホテルで「神前式」を行っており、一般家庭は自宅でひっそりと行っていた。それが大正
天皇の結婚式が行われたことをきっかけに、結婚式に対する関心が高まり、一気に神前式
が国民の間に広まっていった。それでもまだ家の中で儀式を行っていった一般庶民は、戦
後人々の生活が裕福になっていくと同時に外部(ホテル)で結婚式をあげるようになって
いった。
高度経済成長と同時期に結婚式は派手になっていき、海外渡航が自由化した翌年には海
外ウエディングが登場した。団塊世代の結婚時期と重なった年には年間婚姻件数がピーク
に達した。バブル景気の時期には結婚式は一層派手になり、バブルが崩壊すると一気にジ
ミな結婚式を行うカップルが増えていった。このように、結婚式は時代の変化と共に変化
しているのである。
2 節では、メディアによる影響を検証した。芸能人がテレビ番組の視聴者に与える影響は
大きい。ファッションや言葉、キャラクター等が、メディアで取り上げられることで流行
するように、人気の芸能人が着用する服や小物もメディアで取り上げられることによって
流行する。
芸能人の結婚披露宴は 1980 年山口百恵・三浦友和の結婚式を皮切りにテレビで特集され
るようになった。郷ひろみ・二谷友香里の結婚式では視聴率 47.6%を記録した。
実際に、一般人の結婚式の流行の先端には芸能人の結婚式があった。
他にも、代表的なメディア媒体としてテレビドラマが挙げられる。フジテレビで月曜9
時から放送されているドラマ枠を 11 年分見てみると、44 作品中、21 作品で結婚式に関わ
るシーンが含まれていることがわかる。また、子供向けのアニメ(ちびまるこちゃん、ド
ラえもん等)にも結婚式のシーンやウエディングドレス姿の女性が登場しており、幼い頃
からそのようなシーンを目にする可能性があることがわかった。
第2章では挙式と披露宴の紹介をしている。神前式、キリスト教挙式、人前式等様々な
形式が存在し、それぞれにどのような特徴があるのかを調べた。挙式形式を選択する理由
として、
「雰囲気」
、
「憧れ」
、
「便利さ」が挙げられている。
披露宴の形式も様々である。
(着席スタイル、立食ビュッフェ、着席ビュッフェ)また、
”
キャンドルタワー”
”クロスハンド””ブーケトス”等人気の高い演出についても述べてい
る。
第3章では結婚に対する意識の変化と様々な問題について述べている。日本が今抱えて
いる社会問題に「未婚化」
「晩婚化」「少子化」が挙げられる。晩婚化すると子どもを産む
意思が弱くなり、少子化に繋がる。女性の地位が昔に比べて高くなってきており、結婚し
て家庭に入らず、仕事を続けたいと考える人も多く存在するようになり、未婚化になる。
結婚をしない理由にはもうひとつ、
「理想の相手に巡り合っていない為」というものがある。
男性と女性がお互いに求める理想は違う。
独身者の意識も「ある程度の年齢までには結婚するつもり」という考えから「理想の相
手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」という考えに変わりつつある。これは当
人の意識の変化ももちろんそうだが、そうさせている日本社会があることも事実である。
他に結婚のメリットや結婚適齢期、子どもに対する意識、できちゃった結婚についての結
婚観も調査している。
このような影響を受けて、ブライダル産業はこれからどのように変化していくのだろう
か。最近では婚姻件数、挙式件数共に減少している。結婚式を行わないカップルも増えて
いる。その原因として、
「再婚」
「できちゃった結婚」「晩婚」が多いことが挙げられると考
える。その為、現在ブライダル産業では、ウエディングドレスを着て写真を撮ることがで
きる、フォトウエディングなどが流行している。また、できちゃった結婚をしたカップル
用に、短期間で結婚式の準備をすることができるプランも考案されており、様々なタイプ
のカップルに対応できる体系が整っている。
卒論全体をまとめると、ブライダル産業は時代と共に変化し続け、顧客の変化に素早く
反応し、時代、顧客に合った結婚式を提供していることがわかった。流行の先駆けとして
昔は芸能人の結婚披露宴などがあった。一生に一度の結婚式の情報がなかなか得ることが
できなかった昔に比べて最近ではその他にも情報収集できるメディア媒体が増えている為、
自分で好きな結婚式を挙げることができるようになったという変化があったように思う。
また、私自身の憧れに関しては、テレビドラマやアニメ、ネット広告、ホテルでのブラ
イダルフェアといった普段生活している中で自然と目に入っているものからきているもの
だということがわかった。
少子化、晩婚化等という社会問題も多く存在するが、ブライダル産業は、その問題があ
る中でどのように生き残っていくのかを考え、常に新しい形の結婚式が生まれている。
このように、ブライダル産業はこれからも時代と共に歩んでいくのだろう。