米国海洋政策の現状と課題

助成
米国海洋政策の現状と課題
2009 年 3 月
社団法人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会
は じ め に
米 国 で は 、2003 年 か ら 2004 年 に か け て 海 洋 政 策 を 大 き く 転 換 す る こ と と
な る 勧 告・提 言 が 発 表 さ れ た 。一 つ は 大 統 領 任 命 の The U.S. Commission on
Ocean Policy が 2004 年 に 発 表 し た 報 告 書 で あ り 、も う 一 つ は 民 間 財 団 Pew
Charitable Trust に よ る Pew Oceans Commission が 2003 年 に 発 表 し た 報
告 書 で あ る 。 い ず れ の 報 告 書 も 海 洋 の 管 理 統 治 ( Ocean Governance) 及 び
持 続 可 能 な ( Sustainable) 海 洋 資 源 利 用 を 強 調 し 、 そ の た め の 連 邦 の 海 洋
行政に係る機関の大幅な機構改革などを勧告・提言している。
ブ ッ シ ュ 大 統 領 は 、 The U.S. Commission on Ocean Policy の 勧 告 ・ 提 言
を 受 け て 、 2004 年 末 に U.S. Ocean Action Plan を 公 表 し た 。 こ れ 以 降 米 国
に お け る 海 洋 政 策 は こ の 行 動 計 画 を 基 に 様 々 な 取 組 み が な さ れ て い る が 、未
だ 着 手 さ れ て い な い 、あ る い は 不 十 分 な 分 野 が 残 さ れ て い る と の 指 摘 が あ る 。
本 稿 は 、 2009 年 1 月 に 米 国 が 政 権 交 代 を 迎 え た こ と を 踏 ま え 、 こ れ ま で
の 取 組 み や 今 後 の 課 題 の 整 理 を 試 み た も の で あ る 。本 稿 が 関 係 各 位 の ご 参 考
に資することができれば幸いである。
ジェトロ・ニューヨーク・センター船舶部
(社団法人日本中小型造船工業会共同事務所)
ディレクター
小濱
照彦
シニアリサーチャー
氏家
純子
目
1.
米 国 の 海 洋 政 策 を 巡 る 状 況 ···································································· 1
1.1
2000 年 海 洋 法 に 基 づ く 海 洋 政 策 の 包 括 的 検 討 ······································· 1
1.2
U.S. Ocean Action Plan の 実 施 状 況 と 評 価 ··········································· 4
1.3
最 近 の 議 会 に お け る 立 法 活 動 ···························································· 6
(参 考 )
2.
3.
次
The Pew Oceans Commission に つ い て ··········································· 7
米 国 お け る 海 洋 政 策 に 係 る 政 策 決 定 機 構 ··················································· 8
2.1
海 洋 政 策 委 員 会 ( Committee on Ocean Policy) ···································· 8
2.2
海 洋 関 連 立 法 政 策 の 決 定 に 関 わ る 上 下 両 院 の 委 員 会 ································ 10
海 洋 政 策 及 び 海 洋 関 係 プ ロ グ ラ ム に 係 る 主 要 行 政 機 関 ································· 12
3.1
National Oceanic and Atmospheric Administration ······························· 12
3.2
National Science Foundation ··························································· 13
3.3
National Aeronautics and Space Administration ·································· 13
3.4
U.S. Geologic Survey ······································································ 14
3.5
U.S. Navy( Office of Naval Research、 Naval Research Laboratory) ······· 14
3.6
National Institutes of Health( The National Institute of Environmental
Health Sciences) ·········································································· 15
3.7
4.
5.
6.
7.
U.S. Coast Guard ·········································································· 15
海 洋 政 策 の 形 成 に 影 響 を 及 ぼ す 非 政 府 グ ル ー プ ・ 団 体 ································· 16
4.1
Joint Ocean Commission Initiative ·················································· 16
4.2
Consortium for Ocean Leadership ····················································· 18
4.3
Friends of NOAA ··········································································· 20
海 洋 政 策 関 連 立 法 活 動 ········································································· 22
5.1
第 110 議 会 に お い て 成 立 し た 法 律 ······················································· 22
5.2
第 110 議 会 に お い て 審 議 さ れ た 法 案 ···················································· 23
5.3
第 111 議 会 に お け る 立 法 活 動 ···························································· 35
海 洋 関 連 施 策 に 係 る 予 算 ······································································· 36
6.1
連 邦 政 府 機 関 に お け る 海 洋 関 連 施 策 に 係 る 予 算 ······································ 36
6.2
National Oceanic and Atmospheric Administration の 海 洋 関 連 施 策 と 予 算 · 38
6.3
National Oceanic and Atmospheric Administration の 自 己 評 価 ················ 42
海 洋 政 策 に 係 る 課 題 ············································································ 44
7.1
Joint Ocean Commission Initiative の 提 言 ·········································· 44
7.2
Consortium for Ocean Leadership の 提 言 ············································ 45
1. 米国の海洋政策を巡る状況
1.1 2000 年 海 洋 法 に 基 づ く 海 洋 政 策 の 包 括 的 検 討
米 国 に お け る 国 と し て の 包 括 的 な 海 洋 政 策 へ の 取 組 み は 、1960 年 代 半 ば に ま で 遡 る こ
と が で き る 。1966 年 に は 、海 洋 科 学・エ ン ジ ニ ア リ ン グ 及 び 海 洋 資 源 に 関 す る 大 統 領 委
員 会 が 設 置 さ れ た( Stratton Commission)。同 委 員 会 は 、1969 年 、連 邦 海 洋 プ ロ グ ラ
ム を 再 編 成 し 、 海 洋 気 象 庁 ( The National Oceanic and Atmospheric Administration
( NOAA))を 設 置 す る こ と と な る 勧 告 等 を 行 っ た 。 し か し な が ら 、 そ の 後 も 米 国 の 海 洋
管理は分裂し、多くの法律、規則及び慣行によって混乱したままであった。
米 国 第 106 議 会 に お い て 成 立 し た 2000 年 海 洋 法 ( The Ocean Act of 2000) は 、 大 統
領に対し、米国の海洋政策の包括的な検討を行う委員会を設置すること、委員会からの
勧 告 ・ 提 言 に 対 す る 回 答 を 議 会 に 行 う こ と 等 を 規 定 し て い る 1。
こ れ に よ り 、 The U.S. Commission on Ocean Policy( USCOP) が 2001 年 9 月 に 設
置 さ れ 、 3 年 後 の 2004 年 9 月 20 日 に そ の 報 告 書 「 An Ocean Blueprint for the 21st
Century」 を 公 表 し た 。 報 告 書 に お い て は 、 大 統 領 、 議 会 、 行 政 府 機 関 に 対 し 212 項 目
に及ぶ勧告・提言が行われている。
こ の 勧 告・提 言 に 対 し 、ブ ッ シ ュ 大 統 領( 当 時 )は 、2004 年 12 月 17 日 付 け で 、2000
年 海 洋 法 の 規 定 に 従 い USCOP 勧 告 へ の 公 式 回 答 と な る 「 U.S. Ocean Action Plan
( OAP) 」 を 公 表 、 議 会 に 提 出 し た 。
1.1.1 An Ocean Blueprint for the 21st Century
上 述 の と お り 、 USCOP の 報 告 書 で は 212 項 目 の 勧 告 ・ 提 言 が な さ れ て い る が 、 そ の
う ち 以 下 の 5 分 野 13 項 目 に つ い て 「 重 要 か つ 必 須 」 で あ る と し て い る 2 。
(1) 管 理 の 向 上
・ 大 統 領 府( The Executive Office of the President)内 に 大 統 領 補 佐 官 を 座 長 と す る
「 国 家 海 洋 会 議 ( National Ocean Council) 」 の 設 置
・ 海 洋 政 策 に 関 す る 大 統 領 諮 問 会 議 ( President’s Council of Advisors in Ocean
Policy) の 創 設
・ NOAA を 強 化 し 、 連 邦 機 関 の 機 構 を 向 上 さ せ る こ と 。
・国家海洋会議によって促進かつ支持される、地域海洋会議を創設するための弾力性
のあるかつ自発的なプロセスを開発すること。
・連邦水域について調整された管理制度の創設
(2) 賢 明 な 決 定 の た め の 健 全 な 科 学
・全米の海洋研究に係る投資の倍増、海洋開発にかかる新分野の立ち上げ及びこれら
をサポートする先端技術、近代的なインフラの整備
・全米の統合化海洋観測システム及びモニタリングネットワークの実現
1
2
http://www.oceancommission.gov/documents/oceanact.pdf
http://www.oceancommission.gov/documents/full_color_rpt/welcome.html
-1-
(3) 教 育 - 未 来 へ の 基 礎
・調整され効果的なフォーマル及びインフォーマルなプログラムを通しての海洋教育
の向上
(4) 個 別 管 理 課 題
・沿岸及び流域の管理及びこれらの間のリンクの強化
・水質汚染、特にノンポイント汚染について測定可能な汚染削減のための目標の設定
及びこれら目標を達成するためのインセンティブ、技術援助及び他の管理ツールの
強化
・評 価 と 配 分 の 分 離 、地 域 漁 業 管 理 審 議 会( Regional Fishery Management Council)
システムを改善及び特化された漁業権の使用の検討による漁業管理の再構築
・ 国 連 海 洋 法 条 約 ( United Nations Convention on the Law of the Sea) の 批 准
(5) 実 施
・オフショアの石油・ガス開発及び新しい活動からの収入のうち未割当分をベースと
する、連邦または州レベルでの改善された海洋・沿岸管理を支える「海洋政策信託
基 金 ( Ocean Policy Trust Fund) 」 の 創 設
1.1.2 U.S. Ocean Action Plan
OAP は 海 洋 生 物 資 源 及 び 海 洋 生 態 系 の 管 理 を 主 目 的 と し 、既 存 の 政 策 イ ニ シ ア テ ィ ブ
や プ ロ グ ラ ム の 整 理 ・ 統 括 や 計 画 を 示 し て い る 。 OAP は 、 6 分 野 に ま と め ら れ て お り 、
また、短期及び長期の重点事項として、以下の 9 項目を取り上げている。
(1) 海 洋 に 係 る リ ー ダ ー シ ッ プ 及 び 調 整 機 能 の 向 上
・閣僚級海洋政策委員会の創設
・メキシコ湾における地域パートナーシップの支援
・ NOAA を 商 務 省 傘 下 と す る た め の NOAA 組 織 法 の 成 立 に 向 け た 努 力
(2) 海 洋 、 沿 岸 及 び 五 大 湖 に つ い て の 理 解 の 増 進
・総合的な海洋観測を含む全地球観測ネットワークの構築
・ 海 洋 に 関 す る 優 先 研 究 計 画 ( Ocean Research Priorities Plan) と 実 施 戦 略 の 策 定
・珊瑚礁地域行動戦略の実施
(3) 海 洋 、 沿 岸 及 び 五 大 湖 の 資 源 の 利 用 と 保 全 を 向 上
・漁業管理のための市場原理による利用拡大を促進するための地域漁業委員会との共
同作業
(4) 沿 岸 及 び 流 域 の 管 理
(5) 海 上 輸 送 へ の 支 援
・政権の国家輸送行動課題の実行
(6) 国 際 的 な 海 洋 科 学 及 び 海 洋 政 策 の 推 進
・国連海洋法条約批准の支援
1.1.1 に述べた USCOP 報告書において「重要かつ必須」であるとされた 13 項目と OAP
の重点事項を比較すると、強い関係が見られるもの、関係は見られるものの明確でないも
の、勧告に対応する行動が見られないもの及び勧告に無い行動があることがわかる(図表 1)。
-2-
図表 1
USCOP 重 要 13 項 目 と OAP 重 点 9 項 目 の 比 較
USCOP 重要 13 項目
(1)管理の向上
・大統領府(The Executive Office of the
President)内に大統領補佐官を座長とす
る 「 国 家 海 洋 会 議 ( National Ocean
Council)」の設置
・海洋政策に関する大統領諮問会議
(President’s Council of Advisors in
Ocean Policy)の創設
・NOAA を強化し、連邦機関の機構を向上
させること。
・国家海洋会議によって促進かつ支持され
る、地域海洋会議を創設するための弾力
性のあるかつ自発的なプロセスを開発す
ること。
・連邦水域について調整された管理制度の
創設
(2)賢明な決定のための健全な科学
・全米の海洋研究に係る投資の倍増、海洋
開発にかかる新分野の立ち上げ及びこれ
らをサポートする先端技術、近代的なイ
ンフラの整備
・全米の統合化海洋観測システム及びモニ
タリングネットワークの実現
(3)教育-未来への基礎
・調整され効果的なフォーマル及びインフ
ォーマルなプログラムを通しての海洋教
育の向上
(4)個別管理課題
・沿岸及び流域の管理及びこれらの間のリ
ンクの強化
・水質汚染、特にノンポイント汚染につい
て測定可能な汚染削減のための目標の設
定及びこれら目標を達成するためのイン
センティブ、技術援助及び他の管理ツー
ルの強化
・評価と配分の分離、地域漁業管理審議会
(Regional Fishery Management
Council)システムを改善及び特化された
漁業権の使用の検討による漁業管理の再
構築
・国連海洋法条約(United Nations
Convention on the Law of the Sea)の批
准
(5)実施
・オフショアの石油・ガス開発及び新しい
活動からの収入のうち未割当分をベース
とする、連邦または州レベルでの改善さ
れた海洋・沿岸管理を支える「海洋政策
信託基金(Ocean Policy Trust Fund)」
の創設
OAP 重点 9 項目
(1)海洋に係るリーダーシップ及び調整機能
の向上
・閣僚級海洋政策委員会の創設
・メキシコ湾における地域パートナーシッ
プの支援
・NOAA を商務省傘下とするための NOAA
組織法の成立に向けた努力
?
(2)海洋、沿岸及び五大湖についての理解の
増進
・総合的な海洋観測を含む全地球観測ネッ
トワークの構築
・海洋に関する優先研究計画(Ocean
Research Priorities Plan)と実施戦略の
策定
・珊瑚礁地域行動戦略の実施
? ?
(3)海洋、沿岸及び五大湖の資源の利用と保
全を向上
・漁業管理のための市場原理による利用拡
大を促進するための地域漁業委員会との
共同作業
?
?
(4)沿岸及び流域の管理
?
(5)海上輸送への支援
・政権の国家輸送行動課題の実行
(6)国際的な海洋科学及び海洋政策の推進
・国連海洋法条約批准の支援
?
:強い関係が見られるもの
:関係は見られるものの明確でないもの
?:勧告に対応する行動が見られないもの及び勧告に無い行動
-3-
1.2 U.S. Ocean Action Plan の 実 施 状 況 と 評 価
1.2.1 U.S. Ocean Action Plan の 実 施 状 況
OAP の う ち 、 「 閣 僚 級 海 洋 政 策 委 員 会 」 は 、 2004 年 12 月 17 日 の 大 統 領 令 に よ り 、
環 境 審 議 会 ( Council on Environmental Quality( CEQ) ) 内 に 同 議 長 が 議 長 を 兼 務 す
る 海 洋 政 策 委 員 会 ( Committee on Ocean Policy) が 設 置 さ れ た 。
海 洋 政 策 委 員 会 は 、2007 年 1 月 、OAP の ア ッ プ デ ー ト を 行 う と と も に 3 、傘 下 に 設 け
た 小 委 員 会 、 パ ネ ル の う ち 、 NSTC Joint Subcommittee on Ocean Science and
Technology( JSOST)が 、
「 Charting the Course for Ocean Science in the United States
for the next decade」 と 題 す る 報 告 書 を ま と め 、 海 洋 に 関 す る 優 先 研 究 計 画 と 実 施 戦 略
を 策 定 し て い る 4。
ま た 、 関 係 行 政 機 関 で も 、 例 え ば 国 立 公 園 局 (National Park Service( NPS) )が 、 海
洋 公 園 保 全 行 動 計 画 ( National Park Service Ocean Park Stewardship Action Plan) 5
を ま と め る 等 の 活 動 が 行 わ れ て い る 。 こ の 行 動 計 画 は 、 NOAA や 他 の 連 邦 機 関 及 び 公
共・私的機関のパートナーシップによる海洋公園の保護、避難場所及び準備場所のシー
ムレスなシステムの確立も取り上げられている。さらに、マッピング、保護の向上、公
共の教育と関与、及び探査と保全の技術能力の向上に関連する行動が記載されている。
な お 、 2004 年 に 米 議 会 上 院 外 交 委 員 会 は 、 国 連 海 洋 法 条 約 の 批 准 を 勧 告 し た 。 2007
年 5 月 に ブ ッ シ ュ 大 統 領 も ス テ ー ト メ ン ト を 発 し 、 第 110 議 会 ( 2007~ 2008 年 ) に お
い て 「 国 連 海 洋 法 条 約 の 批 准 を 行 う よ う 」 に 上 院 を 促 し た 。 2007 年 10 月 に 上 院 外 交 委
員 会 は 、国 連 海 洋 法 条 約 へ の 上 院 の ア ド バ イ ス と 同 意 を 勧 告 し た が 、当 時 の 上 院 は 第 110
議会中の批准を全く行わなかった。
1.2.2 Joint Ocean Commission Initiative
USCOP は 、大 統 領 、議 会 、行 政 府 機 関 に あ て た 勧 告 ・ 提 言 を 発 表 し た 後 、2000 年 海
洋 法 の 規 定 に よ り 、2004 年 末 任 期 が 満 了 し た 。一 方 、大 統 領 の 諮 問 機 関 で あ っ た USCOP
と は 別 に 、 民 間 の Pew Charitable Trust が Pew Oceans Commission 6 を 組 織 し 、 2003
年 に 報 告 書 を 発 表 、政 策 提 言 を 行 っ て い る 7 。両 者 の 目 的 は ほ ぼ 同 じ で あ り 、USCOP の
任 期 満 了 以 降 合 同 し て 「 Joint Ocean Commission Initiative( JOCI) 」 と し て 活 動 し
ている。
このイニシアティブの主要目的は、エコシステム管理、海洋ガバナンス改革、向上さ
れた漁業管理、管理決定のための科学への依存の増大及び海洋・沿岸プログラムへの予
算資金の増大等の必要を含む中核となる優先事項を有する海洋政策の進歩を維持するこ
とにある。
2006 年 3 月 、 超 党 派 上 院 議 員 10 名 は 、 JOCI に 対 し て 、 ① USCOP と Pew Oceans
Commission の 勧 告 の う ち 議 会 が 実 行 す べ き 上 位 10 事 項 は 何 か 、② 予 算 の 配 算 を 最 優 先
3
4
5
6
7
http://ocean.ceq.gov/oap_update012207.pdf
http://ocean.ceq.gov/about/docs/orppfinal.pdf
http://www.nps.gov/pub_aff/oceans/conserve.htm
Pew Oceans Commission に つ い て は 、 章 末 の 参 考 を 参 照 さ れ た い 。
http://www.pewtrusts.org/our_work_report_detail.aspx?id=30009
-4-
すべき事項は何か、③効果的かつ統合された海洋管理の確立のための法律と連邦予算プ
ロ セ ス の 変 更 を 優 先 す べ き 事 項 は 何 か 、と 質 問 し た 。こ れ に 応 じ て JOCI は 、2006 年 6
月 、 議 会 に 対 し 「 From Sea to Shining Sea – Priorities for Ocean Policy Reform」 と
題 す る 報 告 書 を 提 出 し た 。そ の 内 容 は 、上 院 の 要 請 に 応 え 、海 洋 エ コ シ ス テ ム を 保 護 し 、
再生し、かつ維持するための議会アクションの最も緊急な優先事項を識別したものであ
り 、 以 下 の 10 項 目 で あ る 8 。
(1) 国 家 海 洋 政 策 の 宣 言 ( ス テ ー ト メ ン ト ) の 採 択
(2) NOAA の 機 能 を 強 化 す る 組 織 法 の 制 定 及 び 海 洋 政 策 に 関 し 行 政 機 関 の 調 整 機 能 の 強
化
(3) エ コ シ ス テ ム を ベ ー ス と す る 地 域 に お け る 海 洋 管 理 の 振 興
(4) 改 善 さ れ た マ グ ナ ソ ン - ス テ ィ ー ブ ン ズ 魚 類 保 全 ・ 管 理 法 ( Magnuson-Stevens
Fishery Conservation and Management Act) の 再 承 認
(5) ブ ッ シ ュ 政 権 の 「 海 洋 に 関 す る 優 先 研 究 計 画 と 実 施 戦 略 」 に お け る 主 要 イ ニ シ ア テ
ィブと整合した海洋関連の研究と教育のイノベーションと競争を支援する法律の制
定
(6) 統 合 海 洋 観 測 シ ス テ ム ( IOOS: Integrated Ocean Observing System) の 承 認 及 び
予算拠出を行う法律の制定
(7) 国 連 海 洋 法 条 約 の 批 准
(8) 連 邦 政 府 及 び 州 政 府 に よ る 海 洋 と 沿 岸 の 管 理 と 理 解 を 向 上 さ せ る た め の 専 用 の 資 金
ソ ー ス と し て 米 国 財 務 省 に 海 洋 信 託 基 金 ( Ocean Trust Fund) の 創 設
(9) 中 核 に な る 海 洋 及 び 沿 岸 プ ロ グ ラ ム の 基 礎 と な る 資 金 の 増 加 と 統 合 さ れ た 海 洋 予 算
の策定への指向
(10) 第 109 議 会 に お け る 海 洋 及 び 沿 岸 関 連 法 案 の 審 議 の 促 進
JOCI は 、プ レ ス ・リ リ ー ス や 議 会 あ て の 書 簡 や 公 聴 会 証 言 及 び 公 共 公 開 ス ピ ー チ 参 加
等 に よ っ て 海 洋 政 策 の 改 革 の 促 進 に 積 極 的 で あ る 。他 の 最 近 の 活 動 に は「 An Agenda for
Action Moving Regional Ocean Governance from Theory to Practice 9 」 と 題 す る リ ポ
ー ト の 公 表 刊 行 や 、 下 院 法 案 H.R.21 の 立 法 化 を 支 持 す る 議 会 あ て の 書 簡 が あ り 、 こ れ
は海洋信託資金の創設と国連海洋法条約の批准を支持、賛成したものであった。
1.2.3 Joint Ocean Commission Initiative に よ る 評 価
JOCI は 、ま た 、2005 年 以 降 海 洋 政 策 の 実 施 状 況 を 評 価 し 公 表 し て い る( Ocean Policy
Report Card)。各 年 に 実 施 さ れ た 、あ る い は 実 施 さ れ な か っ た USCOP と Pew Oceans
Commission の 勧 告 を 具 体 化 す る 措 置 に つ い て 成 績 を つ け て お り 、 2007 年 版 は 2008 年
2 月 公 表 さ れ た 。 2007 年 版 で は 、 平 均 点 が C と 評 価 さ れ て お り 、 2006 年 の C- か ら 若
8 http://www.jointoceancommission.org/resource-center/1-Reports/2006-06-13_Sea_to_Shinin
g_Sea_Report_to_Senate.pdf
9 http://www.jointoceancommission.org/resource-center/1-Reports/2007-08-01_Agenda_for_A
ction_Regional_Ocean_Governance.pdf
-5-
干 進 捗 し た と の 評 価 を 与 え て い る 10 。 ま た 、 2007 年 版 で は 、 研 究 、 マ ネ ジ メ ン ト 及 び
インフラストラクチャーの分野において、予算資金増加の必要性、州及び連邦政府機関
を 支 援 す る 海 洋 信 託 基 金 の 設 置 の 必 要 に ハ イ ラ イ ト を 当 て て い た 。な お 、2007 年 版 か ら 、
海 洋 及 び 気 候 変 動 に リ ン ク す る 活 動 を 新 た に 分 類 し て い る 。各 分 野 の 評 価 は 、図 表 2 の
とおりである。
図表 2
事
海洋政策の評価
評
項
価
2007 年
2006 年
2005 年
D
C-
D+
地域及び州の海洋ガバナンスの改革
A-
A-
B-
国際的リーダーシップ
C+
D-
F
研究、科学及び教育
C-
D+
D
漁業管理改革
C+
B+
C+
海洋政策とプログラムへの新規資金拠出
D+
F
F
C-
D+
国家的海洋ガバナンスの改革
C
海洋変化と気候変動の間のリンク
総
C
合
注 ) JOCI Ocean Policy Record Card よ り 作 成
2006 年 以 来 、 上 院 歳 出 委 員 会 は 毎 年 JOCI の 評 価 を レ ビ ュ ー し て い る 。 2008 年 に は
前 2 年間と同様、歳出委員会はその分析に同意し、コミッションの勧告を取り入れて
NOAA 予 算 を 編 成 し た 。 同 委 員 会 の 予 算 案 は 、 NOAA に 対 し 44 億 4,000 万 ド ル の 歳 出
を 認 め る も の で あ っ た 。こ の 額 は 2008 会 計 年 度 に 承 認 さ れ た 38 億 9,000 万 ド ル か ら 5
億 4,900 万 ド ル の 増 大 で あ り 、2009 会 計 年 度 の 予 算 請 求 額 の 41 億 1,000 万 ド ル は 2008
会 計 年 度 か ら 3 億 4,200 万 ド ル 上 回 る も の で あ っ た 。
1.3 最 近 の 議 会 に お け る 立 法 活 動
第 110 議 会 ( 2007~ 2008 年 ) の 初 期 に 、 議 会 に 下 院 法 案 H.R.21「 21 世 紀 の た め の
海 洋 と そ の 保 全 、 教 育 及 び 国 家 戦 略 ( The Ocean, Conservation, Education, and
National Strategy for the 21st Century) 11 」 が 提 出 さ れ た 。 H.R.21 法 案 は 、 最 初 は 第
108 議 会 に 提 出 さ れ た 。 そ の 目 的 は 、 USCOP と Pew Oceans Commission の 双 方 の 勧
告 の 多 く を 具 体 実 施 化 し よ う と す る も の で あ り 、 米 国 の 海 洋 、沿 岸 、五 大 湖 の 管 理 の た
めの包括的国家海洋政策の確立にある。法案は以下の事項を内容としている。
・海洋エコシステムの保全のための国家的海洋政策の確立
・ NOAA の 組 織 再 編
http://www.jointoceancommission.org/resource-center/2-Report-Cards/2008-02-27_2007_O
cean_Policy_Report_Card.pdf( 2007 年 版 )。 2005 年 版 、 2006 年 版 も JOCI の 公 式 Website
( http://www.jointoceancommission.org/) に て 公 開 さ れ て い る 。
1 1 http://thomas.loc.gov/cgi-bin/query/z?c111:H.R.21:
10
-6-
・海洋政策に関する国家海洋アドバイザーと連邦アドバイザー組織の確立
・地域ガバナンスの組織化の促進による「地域的調整」の強化
法案に対して、支持者は、汚染・生態環境及び有害生物の侵入及び過剰漁猟など海洋
エコシステムへのストレスの故に、海洋保全の向上の必要を指摘しており、米国経済と
そ の 安 寧 に 対 す る 海 洋 の 重 要 性 を 反 映 す る よ り 大 き い 投 資 が 必 要 で あ る 、と 考 え て い る 。
一方、アラスカの漁業業界グループ等は、提起された法案は他と同じ義務や努力規定が
あることから、より大きな官僚組織に導くことになり、他の法的義務要求と衝突し、結
果は混乱と訴訟になる、との疑問を呈した。
第 110 議 会 で は 、議 会 が 、海 洋 政 策 に つ い て 包 括 的 な ア プ ロ ー チ を 続 け る の か 、ま た
は特定の主題や課題に集中するのかについて、その疑問はオープンなまま残された。さ
らに、ブッシュ政権の行動のまたは無行動については、議会による監査・監督を続けて
行っていた。
な お 、第 110 議 会 に は 、海 洋 と 五 大 湖 に 関 す る 約 100 件 以 上 の 法 案 が 提 出 さ れ た 。こ
れらについては、後述することとする。
(参 考 )
The Pew Oceans Commission に つ い て
Pew Oceans Commission は USCOP と は 全 く 別 に 独 立 し た 非 政 府 の 海 洋 政 策 の 諮 問
グ ル ー プ で あ り 、USCOP よ り も 早 く( 2000 年 4 月 )に 設 立 さ れ た 。民 間・私 的 な 諮 問
グループの性格にも係わらず、そのコミッション・メンバーには沿岸州知事(アラスカ
及びニューヨーク)、他の海洋関連の地方の公的代表、著名な海洋学者、海洋生物・資
源 の 科 学 者 、 海 洋 行 政 関 係 者 、 海 洋 環 境 科 学 者 な ど 計 18 名 が 集 り 、 そ の 活 動 は Pew
Charitable Trust か ら 約 550 万 ド ル の 寄 附 に よ っ て 賄 わ れ た 12 。
Pew Charitable Trust は 、民 間 ・ 私 的 な 慈 善 団 体 と し て は 、他 の 財 団 に 比 べ 、科 学 問
題につき大学や関係アカデミック・グループに積極的な財政的支援をしていることでも
定評があり、とくに環境・自然保護のテーマ、科学と社会・国民のクオリティ・オブ・
ラ イ フ な ど テ ー マ の 研 究 調 査 と 公 共 政 策 の 提 言・勧 告 の 積 極 的 活 動 は 良 く 知 ら れ て い る 。
2000 年 の 海 洋 法 の 成 立 の 直 前 か ら「 海 洋 は 現 在 と 次 世 代 の フ ロ ン テ ィ ア 」と の 公 共 認
識 と 海 洋 に 対 す る 一 般 的 関 心 の 高 揚 の 必 要 が 高 ま り 、 米 国 民 の 間 に 対 話 ( Dialog) を 促
進 す る こ と が 必 要 で あ る と Pew Charitable Trust は 認 め 、 「 海 洋 コ ミ ッ シ ョ ン 」 の 設
立に導かれていった。
な お 、USCOP と Pew Oceans Commission は 相 互 に 独 立 し た も の で あ り 、USPOC は
公 式 に は Pew Oceans Commission の 調 査 報 告 の 成 果 を 取 り 入 れ て は い な い 。 し か し 、
USCOP の 報 告 書 取 り ま と め 最 終 段 階 に お け る Preliminary Report へ の 公 共 コ メ ン ト と
同レベルまたはそれ以上に参照・参考にしたものと思われる。
Pew Charitable Trust の Website に 、 同 Commission の 活 動 が 紹 介 さ れ て い る
( http://www.pewtrusts.org/our_work_detail.aspx?id=130)。
12
-7-
2. 米国おける海洋政策に係る政策決定機構
2000 年 海 洋 法 は 、海 洋 、沿 岸 、五 大 湖 が 米 国 に と っ て 重 要 で あ る こ と を 議 会 が 認 識 し
た 結 果 で あ る と い え る 。 1.で ふ れ た と お り 、 同 法 に 基 づ き 設 置 さ れ た USCOP の 勧 告 を
受 け 、 ブ ッ シ ュ 政 権 が 議 会 に 対 し 報 告 し た CAP と 同 日 付 で 出 さ れ た 大 統 領 令 に よ り 、
海 洋 政 策 委 員 会 が 設 置 さ れ た 。こ の 大 統 領 令 に お い て 、ブ ッ シ ュ 大 統 領 は 次 の 2 項 が 米
国の海洋政策であるべきと宣言した。
・海洋に関する事項について行政府の省庁・機関の活動を統合化された効果的な態様
で調整し、米国の現在及び将来の世代の環境上、経済上及び安全保障上の利益を高
揚すること
・海洋に関する事項について行政府の省庁・機関の活動を統合化された効果的な態様
で調整し、米国の現在及び将来の世代の環境上、経済上及び安全保障上の利益を高
揚 す る こ と 海 洋 に 関 す る 事 項 に つ き 連 邦 、州 、部 族( ア メ リ カ ン・イ ン デ ィ ア ン )、
地方の政府、民間セクター、外国政府及び国際機関の協力・提携を推進するために
適切に調整と協議を促進すること
以下に、関係する政権内の機関、行政組織等について概観する。
2.1 海 洋 政 策 委 員 会 ( Committee on Ocean Policy)
海 洋 政 策 委 員 会 13 は 、 上 述 の と お り 、 2004 年 12 月 17 日 の 大 統 領 令 に よ り 設 置 さ れ 、
大統領及び適切な連邦機関の長に対し、海洋関連事項についてアドバイスを行う。議長
は 、 大 統 領 府 内 の CEQ の 議 長 が 兼 務 し 、 以 下 の 閣 僚 及 び 閣 僚 級 の メ ン バ ー か ら 構 成 さ
れる。
(閣僚)
国務長官、国防長官、内務長官、農務長官、保健厚生長官、労働長官、運輸長官、エ
ネルギー長官、国土安全保障長官、司法長官
(閣僚級)
EPA 長 官 、 行 政 管 理 予 算 局 長 ( The Office of Management and Budget( OMB) ) 、
NASA 長 官 、 国 家 情 報 長 官 ( The Office of National Intelligence) 、
科 学 技 術 計 画 局 長 ( The Office of Science and Technology Policy( OSTP) ) 、
国 立 科 学 財 団 長 官 ( The National Science Foundation( NSF) ) 、
統 合 参 謀 本 部 議 長 、大 統 領 補 佐 官( 国 家 安 全 保 障( National Security Affairs)担 当 、
国 土 安 全 保 障 ( Homeland Security) 担 当 、 国 内 政 策 担 当 、 経 済 政 策 担 当 ) 、
副大統領のチーフ・オブ・スタッフ
海洋政策委員会は、その作業を補佐するため、傘下に次の小委員会、パネルを独自に
あるいは他の機関と共同で設置している。
13
公 式 Website: http://ocean.ceq.gov/about/welcome.html
-8-
・Interagency Committee on Ocean Science and Resource Management Integration
( ICOSRMI)
ICOSRMI は 海 洋 政 策 委 員 会 の 直 下 に 設 置 さ れ 、 科 学 担 当 の OSTP 副 デ ィ レ ク タ
ー と CEQ( 環 境 審 議 会 )の 副 デ ィ レ ク タ ー ま た は チ ー フ・ス タ ッ フ( Chief of Staff)
が共同議長を務めている。構成員は、海洋政策委員会の構成省庁の担当次官または
次 官 補 及 び 大 統 領 副 補 佐 官 で あ る 。関 係 省 庁 等 の 活 動 の 調 整 、政 府 機 関 、NGO、民
間、大学等のパートナーシップの調整、支援、普及啓蒙活動、国の海洋政策策定と
実行につきアドバイスを行う等を任務としており、その活動やアドバイスは、直接
海洋政策委員会の議長に行うこととされている。
・ National Science and Technology Council Joint Subcommittee on Ocean Science
and Technology( JSOST)
JSOST は 、 ICOSRMI の 下 に 設 置 さ れ 、 OSTP、 NSF、 NOAA か ら の メ ン バ ー が
共同議長を務めており、海洋政策委員会の構成省庁の次官補級のメンバーで構成さ
れている。海洋に関する調査研究や技術開発に関する優先課題について関係機関間
の 計 画 や 具 体 化 の 戦 略 を 策 定 す る 作 業 を 主 要 な 任 務 と し て お り 、 1.2.1 で 触 れ た と
お り 海 洋 研 究 優 先 計 画 に つ い て 「 Charting the Course for Ocean Science in the
United States for the next decade」と 題 す る 報 告 書 を ま と め 、ICOSRMI に 提 出 し
ている。
ま た 、海 洋 教 育 、イ ン フ ラ 、海 洋 観 測 、有 害 藻 類 増 殖 、低 酸 素 症 及 び 事 態 の 保 険 、
マ ッ ピ ン グ 、パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 六 つ の 関 係 省 庁 間 作 業 グ ル ー プ が 設 置 さ れ て お り 、
これらの調整も行っている。
・ Subcommittee on Integrated Management of Ocean Resources( SIMOR)
SIMOR は 、ICOSRMI の 下 に 設 置 さ れ 、CEQ、OSTP、NSF、NOAA か ら の メ ン
バーが共同議長を務めており、海洋政策委員会の構成省庁の次官補級のメンバーで
構成されている。海洋資源の管理、教育等を主要な任務としており、その活動やア
ド バ イ ス は 、 ICOSRMI に 行 う こ と と さ れ て い る 。 ま た 、 海 洋 教 育 、 イ ン フ ラ 、 海
洋観測、有害藻類増殖、低酸素症及び事態の保険、マッピング、パートナーシップ
の六つの関係省庁間作業グループが設置されており、これらの調整も行っている。
ま た 、海 洋 政 策 委 員 会 は 、ICOSRMI を 通 じ て 、国 家 安 全 保 障 会 議( NSC)傘 下 の 政
策 調 整 委 員 会( Policy Coordinating Committee)及 び 海 洋 研 究・資 源 に 係 る 諮 問 パ ネ ル
(Ocean Research and Resources Advisory Panel)と の 調 整 も 行 っ て い る 。
海洋政策委員会を初めとする委員会-小委員会の機構図を図表 3 に示す。
-9-
図表 3
海洋政策関係機構
Committee on Ocean Policy
Chair: Council on Environmental
Reporting Lines
Quality (CEQ Chair)
Communication Lines
Cabinet Level membership
ORRAP
Interagency Committee on Ocean Science
and Resource Management Integration
National Security Council
Policy Coordinating
Co-Hairs: Office of Science & Technology
Committee –
Policy (Associate Director) & CEQ (Deputy)
Global Environment
(Ocean Research
and Resources
Advisory Panel)
National Science and Technology
Subcommittee on Integrated
Council Joint Subcommittee on
Management of Ocean Resources
Ocean Science and Technology
(SIMOR)
(JSOST)
Co-Chairs: CEQ, EPA, DOI, & NOAA
注 ) CEQ の Website を 参 考 に 作 成
2.2 海 洋 関 連 立 法 政 策 の 決 定 に 関 わ る 上 下 両 院 の 委 員 会
海洋政策は広範な分野に関係しており、議会においても様々な委員会がその所掌に応
じ て 立 法 活 動 を 行 っ て い る 。 図 表 4 に 第 110 議 会 に お け る 関 係 委 員 会 の 一 覧 を 掲 げ る 。
図表 4
海洋政策関係委員会
下 院 ( House of Representatives)
委 員 会
歳出(Appropriations Committee)
国防(Armed Services Committee)
予算(Budget Committee)
エネルギー・商務(Energy and
Commerce Committee)
天然資源(Natural Resources
Committee)
科学技術(Science and Technology
Committee)
諜報(Intelligence Committee)
運輸及びインフラ(Transportation
and Infrastructure Committee)
小委員会
商務、司法、科学及び関連機関
国防
エネルギー・水資源
内務省・環境及び関連機関
テロリズム、非通常型脅威と対抗能力
戦略的兵力
エネルギー・大気保全
環境及び危険物質
監査・調査
エネルギーと鉱物資源
漁業、野生生物及び海洋
エネルギーと環境
研究と科学教育
宇宙・航空
水資源と環境
沿岸警備隊と海上運輸
- 10 -
主な関係省庁・機関
NOAA、NSF、NASA
ONR、DARPA
DOE
USGS、MMS、EPA
ONR
DARPA
全ての連邦省庁・機関
DOE
EPA、NOAA
EPA、DOE、NOAA
USGS、MMS
NOAA
DOE、EPA、NOAA
NSF
NASA
DOD、DHS
EPA
USCG、MARAD
上 院 ( U.S. Senate)
委 員 会
歳出(Appropriations Committee)
国防(Armed Services Committee)
予算(Budget Committee)
商務、科学及び運輸(Commerce、
Science and Transportation
Committee)
エネルギー及び天然資源(Energy and
Natural Resources Committee)
環境及び公共事業(Environment and
Public Works Committee)
小委員会
商務、司法、科学及び独立機関
国務、外国オペレーションズ及び関連
プログラム
主な関係省庁・機関
NOAA、NSF、NASA
DOS
国防
エネルギー・水資源
内務、環境及び関連機関
ONR、DARPA
DOE
USGS、MMS、EPA、
CEQ
ONR、DARPA
全ての連邦省庁・機関
NOAA、 USCG
台頭する脅威と対抗能力
海洋、気象、漁業及び沿岸警備隊
科学、技術及びイノベーション
宇宙航空及び関連科学
陸上運輸、商業海運インフラ、安全及
びセキュリティ
エネルギー
DOE
地球温暖化と野生生物保護に対する民
間セクター及び消費者の解決策
地球温暖化、監査及び児童の保健への
公共セクターによる解決
スーパーファンド及び環境・保健・医療
外交(Foreign Relations Committee)
特別諜報(Select Intelligence
Committee)
注)
NASA
USCG
DOS
DOD
ONR: Office of Naval Research( 海 軍 省 傘 下 )
DARPA: Defense Advanced Research Projects Agency
USGS: U.S. Geological Survey
MMS: Minerals Management Service
- 11 -
3. 海洋政策及び海洋関係プログラムに係る主要行政機関
海洋政策や関係プログラムには、多数の連邦省庁・機関が関係している。ここでは、
そのうち特に関係が深い以下の 7 省庁・機関について述べる。
3.1 National Oceanic and Atmospheric Administration
NOAA 14 は 、 2009 会 計 年 度 で は 約 45 億 ド ル の 予 算 を 有 す る 連 邦 行 政 府 内 の 最 大 か つ
最も主要な海洋行政機関である。
海洋関連の実行プログラムは、先ず地球観測のための衛星システムを運営しているこ
と が あ げ ら れ る 。そ れ は 、Geostationary Operational Environmental Satellite (GOES)
プログラムであり、気象衛星を利用して気候データの収集・分析を行っている。このプ
ログラムは、地球の理解には必須である。現在開発が進められている次世代気象衛星
GOES-R は 、2008 会 計 年 度 予 算 に お い て も 予 算 が 削 減 さ れ た 。National Ocean Service
( NOS) の Operations, Research and Facilities( ORF) プ ロ グ ラ ム の 中 核 と し て 従 来
レベルの予算の復活が必要であると考えられる。
ま た 、NOS で は 、海 洋 、沿 岸 や 五 大 湖 に 対 す る 理 解 と 管 理 を 向 上 さ せ る こ と に よ り 健
康 の 増 進 や 健 康 に 対 す る リ ス ク の 低 減 を 目 的 と す る 「 Ocean and Human Health
Initiative」や 大 学 と 連 携 し た 研 究 プ ロ グ ラ ム と し て「 National Center for Coastal and
Ocean Science」が あ る 。IOOS に お い て は 、地 域 的 観 測 の た め に 外 部 研 究 機 関 に 対 し 競
争 的 な 助 成 金 を 与 え 、ま た 、NOAA 自 身 の IOOS の 調 整・管 理 活 動 を 行 っ て い る 。IOOS
は米国の沿岸沿海資源管理に必要な情報、製品、サービスのアクセスを連邦・州・地方
の政策決定者に与えている。
Ocean and Atmospheric Research( OAR) は 海 洋 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト を サ ポ ー ト し 、
全 米 海 底 研 究 プ ロ グ ラ ム ( National Undersea Research Program) 及 び 全 米 の 大 学 の
海 洋 研 究 プ ロ グ ラ ム( National Sea Grant Program)の ス ポ ン サ ー と し て の サ ポ ー ト 活
動を行っている。
National Marine Fisheries Service( NMFS) は 海 洋 生 物 資 源 の 管 理 と 保 全 を 担 当 ・
管轄している。特に保護生物種研究と管理へのサポート、及び最近になって再承認され
た マ グ ナ ソ ン - ス テ ィ ー ブ ン ズ 魚 類 保 全 ・ 管 理 法 ( Magnuson-Stevens Fishery
Conservation and Management Act)の 実 際 の 活 動 を 担 っ て い る 。NMFS に は 研 究 プ ロ
グ ラ ム が あ り 、 Bycatch Reduction Engineering プ ロ グ ラ ム 、 プ レ ス コ ッ ト 研 究 助 成
( Prescott Grant) プ ロ グ ラ ム 、 NMFS 共 同 研 究 な ど が 含 ま れ る 。 特 に 海 洋 エ コ シ ス テ
ム 組 織 の 比 較 分 析 ( Comparative Analysis of Marine Ecosystem Organization) は
NOAA と NSF が 係 わ り 、 海 洋 研 究 優 先 計 画 の 短 期 で の 優 先 事 項 で あ る 。
サ ン ゴ 礁 は 貴 重 な 生 物 学 的 及 び 経 済 的 資 源 で あ り 、NOAA に Coral Reef Conservation
Program( CRCP)が あ り 、Coral Reef Conservation Act( 法 )に よ っ て 設 置 さ れ た U.S.
Coral Reef Institutes が 米 国 内 に 3 ヵ 所 に 現 存 す る 。
14
公 式 Website: http://www.noaa.gov/
- 12 -
ま た 、 NOAA に は 海 洋 教 育 部 ( Office of Ocean Education) が あ り 、 海 洋 ・ 沿 岸 保 全
及び将来の海洋科学者の養成・訓練プログラムが実行されている。
3.2 National Science Foundation
NSF 15 は 海 洋 研 究 と 教 育 プ ロ グ ラ ム に つ い て 最 大 の 連 邦 リ ソ ー ス の 源 と な っ て い る 。
と く に 地 球 科 学 部 門 ( Directorate for Geosciences( GEO) ) と そ の 下 に 海 洋 科 学 部
( Division of Ocean Sciences( GEO/OCE) ) が あ り 、 変 動 す る 地 球 に お け る 海 洋 の 役
割 を 理 解 す る た め の 重 要 研 究 へ の 資 金 サ ポ ー ト を 行 っ て い る 。NSF は 海 洋 研 究 優 先 計 画
で明記されている目標の具体実施のため、他の連邦機関との間の調整役を果している。
海洋科学は海へのアクセスを必要とし、チャレンジの多い環境で海洋科学を実践する
た め に 必 要 な イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー の た め の 資 金 支 援 を NSF は 行 っ て い る 。NSF は 、
科学調査船の重要なサポーターであり、これは複雑な海洋システムの理解に必要なデー
タの取得によって、海洋への知識を増加進歩させるための基本措置である。科学海洋調
査船のサポートには、老朽化した調査船の代替建造への支援が含まれる。例えば、アラ
ス カ 地 域 調 査 船( The Alaska Regional Research Vessel)は 、気 候 変 動 や 海 洋 循 環 、北
極エコシステムを明らかにするための研究に利用され、をサポートするのである。
NSF は ま た 、 Integrated Ocean Drilling Program 及 び 海 洋 科 学 削 掘 船 ( Scientific
Ocean Drilling Vessel) を サ ポ ー ト し て お り 、 過 去 1 億 年 に わ た る 気 候 変 動 を 含 む 地 球
の変化と構造の理解を助けるため海底から地層を取得している。
さ ら に NSF は 、 海 洋 研 究 関 連 の 大 規 模 施 設 の 建 設 も 支 援 し て い る ( Major Research
Equipment and Facilities Construction( MREFC))。海 洋 観 測 所 イ ニ シ ア テ ィ ブ( The
Ocean Observatories Initiative)は 観 測 機 器 の 新 規 開 発 、最 先 端 技 術 の 利 用 に よ り 、従
来 よ り も 極 め て 短 時 間 で 観 測 デ ー タ を 研 究 者 等 に も た ら す も の で あ り 、NSF の 支 援 に よ
り実施される。
3.3 National Aeronautics and Space Administration
NASA 16 は 地 球 科 学 と 海 洋 学 的 リ モ ー ト ・ セ ン シ ン グ ( Oceanographic Remote
Sensing) に お い て 、 自 ら 研 究 を 行 う ほ か 、 他 の 機 関 と 共 同 で 衛 星 開 発 を 行 い 衛 星 の 運
用、観測データの提供等により、グローバルなスケールでの気象予報と気候予測、及び
地球エコシステムのより良い理解のための能力を高めて来た。
現 在 、 NASA は 多 く の チ ャ レ ン ジ に 直 面 し て お り 、 課 題 の 優 先 順 位 の 決 定 が 必 要 と な
っ て い る 。 デ カ ダ ル 調 査 ( The Decadal Survey) で は NASA の 地 球 科 学 へ の 研 究 拠 出
が 減 少 し て 来 て い る こ と が 示 さ れ て い る 。 NASA の 地 球 科 学 関 連 の 連 邦 予 算 が 2000 年
レベルに回復し、地球環境の観測、調査、予測がミッション戦略に適合することが要望
される。
15
16
公 式 Website: http://www.nsf.gov/
公 式 Website: http://www.nasa.gov/home/index.html
- 13 -
3.4 U.S. Geologic Survey
内 務 省 ( DOI) は 広 大 な 海 洋 ・ 沿 岸 の 管 理 ・ 保 全 の 責 任 を 有 し て い る 。 沿 岸 総 延 長 3
万 5,000 マ イ ル 以 上 、 大 陸 棚 外 側 の 海 底 ( Seabed) 18 億 エ ー カ ー を 管 理 し 、 排 他 的 経
済 水 域 ( Exclusive Economic Zones) の 監 督 を 他 の 連 邦 機 関 と 分 担 し て い る 。 そ の 機 関
の 一 つ で あ る の USGS 17 は 、 資 源 探 査 や 地 震 観 測 を 通 じ て 、 地 球 科 学 の 分 野 で 多 大 な 貢
献 を し て き て い る 。 USGS の Coastal and Marine Geology Program の フ ィ ー ル ド ・ セ
ンターは、海洋や沿岸において地質学的調査、環境・生物の生息状況、エネルギーや鉱
物資源に関連するデータ収集と状況モニターを行っている。
2009 会 計 年 度 予 算 案 に は Ocean and Coastal Frontier Initiative( OCFI) の 開 始 が
盛 り 込 ま れ た 。 OCFI は 、 海 洋 ご み の 浄 化 、 サ ン ゴ 礁 の 保 全 、 海 洋 科 学 の 向 上 ・ 改 良 及
び米国の拡大された大陸棚の重要な領域のマッピングのためのパートナーシップの形成
に あ り 、 DOI に よ る OAP の 具 体 策 と な っ て い る 。 OCFI は 、 国 連 海 洋 法 条 約 の 下 で 拡
大された大陸棚の米国の領域を定義することにもなる。北極に境界を接する多くの国々
が 200 マ イ ル の 限 定 を 越 え て 海 底 の 利 益 を 主 張 し て お り 、こ の 領 域 に お け る 鉱 物・エ ネ
ル ギ ー 資 源 の 権 利 確 保 を 意 図 し て い る 。 OCFI に お け る 拡 大 さ れ た 大 陸 棚 の 領 域 の 決 定
の た め に は マ ッ ピ ン グ の 努 力 と NOAA と の 密 接 な 提 携 が 進 め ら れ る こ と が 期 待 さ れ て
いる。
ま た 、 USGS は National Biological Information Infrastructure( NBII) 18 に も 係 わ
っている。NBII は、生物学的資源に関するデータと情報への更なるアクセスを提供する共同
計 画 で あ り 、 USGS は 生 物 多 様 性 に 係 る デ ー タ ベ ー ス で あ る Ocean Biogeographic
Information System 19 を サ ポ ー ト し て い る 。
更 に 、 USGS は 、 National Water Quality Monitoring Network 実 施 に 向 け 、 既 存 の
地域的沿岸観測システムを向上させている。
3.5 U.S. Navy( Office of Naval Research、 Naval Research Laboratory)
海軍の主要戦闘スペースである海洋につき海面とその上部・下部についての明確な理
解 は 必 須 で あ り 、50 年 以 上 に わ た り 米 国 の 学 会 は 、海 軍 に 対 し ア ド バ イ ス と イ ノ ベ ー シ
ョンに富んだ研究成果の提供に重要な役割を果たしており、また、海軍はその基礎研究
( カ テ ゴ リ ー 6.1 ) の サ ポ ー ト を 提 供 し て い る 。 海 軍 は The University National
Oceanographic Laboratory System( UNOLS) 20 へ の 主 要 な サ ポ ー タ ー で あ り 、 逆 に
UNOLS は 海 軍 に 対 し 海 中 戦 闘 と 本 土 防 衛 活 動 を サ ポ ー ト し て い る 。
UNOLS は 専 用 の 調 査 船 を 保 有 し て い る が 老 朽 化 し て お り 、 新 船 の 建 造 が 必 要 と な っ
て い る 。海 軍 は Ocean Class の 調 査 船 二 隻 の 調 達 に コ ミ ッ ト し て い る 。さ ら に 海 軍 が 所
有 し て い る UNOLS 用 の 船 舶 の 一 層 の 使 用 と テ ク ニ カ ル ・ サ ポ ー ト が 要 望 さ れ て い る 。
この船舶は海軍の種々のプロジェクトで試験・評価・システム開発及び環境データの取
得などのためのものであり、海上での利用が必要である。
17
18
19
20
公式
公式
公式
公式
Website: http://www.usgs.gov/
Website: http://www.nbii.gov/portal/server.pt
Website: http://www.iobis.org/
Website: http://www.unols.org/
- 14 -
海 軍 自 ら の 海 洋 関 連 の 研 究 は 、Office of Naval Research( ONL) 21 と そ の 下 の Naval
Research Laboratory( NRL)22 を 通 じ て 実 施 さ れ て い る 。NRL は 海 軍 関 連 だ け で な く 、
全般的科学の基礎科学研究所としても米国及び世界の研究者からも非常に高く評価され
ている。
3.6 National Institutes of Health( The National Institute of Environmental Health
Sciences)
海洋は人間の生存に必須の資源を提供すると共に、公衆衛生との危険も呈する。公衆
衛生への脅威は海洋からも派生し、気候(伝染病ベクター)、気象天候(洪水)、沿岸
の危険(ハリケーンや津波)及び海洋の毒性物及び病原菌や有害な藻類増殖等が原因と
なる。
海洋はまた、海洋生物から派生した薬品とバイオ・アクティブなエージェント及び海
洋 微 生 物 ( organisms) で バ イ オ メ デ ィ カ ル 研 究 の た め の モ デ ル を 供 す る 。
NSF の 協 力 の も と The National Institute of Environmental Health Sciences
( NIEHS) 23 は Oceans and Human Health( OHH) の 実 施 に よ っ て こ の 分 野 で の リ ー
ダーシップを取って来ており、学際的研究をサポートしている。全米国民人口の半分以
上が沿岸地帯に住んでおり、よって海洋環境に触れている。しかし「海洋と人体健康」
に つ い て の 研 究 は 資 金 サ ポ ー ト も 非 常 に 少 な い 。OHH 科 学 セ ン タ ー の 継 続 と NIEHS の
研究ポートフォリオのこの分野での拡大は、公衆衛生・保健のリスクを低め、バイオメ
ディカルの能力を高めるのに必要である。
3.7 U.S. Coast Guard
USCG 24 の ミ ッ シ ョ ン の 一 つ は 自 然 資 源 保 護 で あ る 。 今 日 の 主 要 な 危 険 は 、 過 剰 な 漁
獲 と 違 法 な 密 漁 で あ る 。米 国 の 排 他 経 済 水 域 内 で の 水 産 資 源 保 護 の た め 、USCG は 活 動
している。また、他の連邦機関及び外国機関との密接な協力により、太平洋におけるド
リ フ ト・ネ ッ ト の 違 法 使 用 に USCG は 対 処 し て い る 。USCG の 巡 視 船 は 水 産 資 源 の 豊 か
な ア ラ ス カ に お け る 外 国 船 の 密 漁 を 防 ぐ た め 、ベ ー リ ン グ 海 を 常 時 パ ト ロ ー ル し て い る 。
USCG は ま た 、脅 威 を 受 け 、絶 滅 す る 魚 種 を 保 護 す る 米 国 の 努 力 に 重 要 な 役 割 を 果 し
ている。例えば、メキシコ湾における魚網からのウミガメの保護や、大西洋沿岸では漁
網 か ら の 北 方 セ ミ グ ジ ラ の 保 護 で あ る 。ま た 、ハ ワ イ で は USCG の ブ イ が サ ン ゴ 礁 保 護
の た め 海 洋 ゴ ミ を 除 去 し て い る 。こ の よ う に 、USCG は 米 国 に よ る 海 洋 保 護 生 物 種 の 健
全な数の回復と維持に重要な役割を果している。
ま た 、 USCG は 海 洋 汚 染 に 対 す る 闘 い の パ イ オ ニ ア の 役 を 果 た し て 来 て い る 。 USCG
の チ ー ム は 1 日 24 時 間 体 制 で 海 洋 環 境 に お け る 事 故 と 油 漏 れ に 対 応 し て い る 。 USCG
は ま た 、あ ら ゆ る タ イ プ の 船 舶 か ら の 廃 棄 物 の 排 出 を 削 減 す る 連 邦 規 制 を 執 行 し て い る 。
「 海 洋 パ ー ト ナ ー 」と 名 付 け ら れ た 公 共 教 育 プ ロ グ ラ ム を 通 じ 、USCG は 清 浄 な 海 洋
環境の重要さの認識を向上させている。
21
22
23
24
公式
公式
公式
公式
Website: http://www.onr.navy.mil/
Website: http://www.nrl.navy.mil/
Website: http://www.niehs.nih.gov/
Website: http://www.uscg.mil/
- 15 -
4. 海洋政策の形成に影響を及ぼす非政府グループ・団体
海洋政策の形成と立法化などに影響を及ぼすと考えられる海洋関係の利益及び政策提
唱のグループ・団体が議会及び行政機関の外に存在し、その活動も積極的である。
そ の 一 つ は 、 1.2.2 で 触 れ た JOCI で あ る 。
ま た 、 Consortium for Ocean Leadership( COL) は 、 特 に 広 範 な 海 洋 科 学 研 究 と 教
育実践において活発に活動している。
更 に 、NOAA の 海 洋 計 画 か ら 利 益 を 直 接 、間 接 に 受 け る 大 学 、研 究 所 、ビ ジ ネ ス ・ グ
ル ー プ 等 が 、NOAA の 支 持 者 、受 益 者 及 び パ ー ト ナ ー シ ッ プ の グ ル ー プ と し て Friends of
NOAA を 構 成 し 、 海 洋 ・ 気 象 分 野 に お け る NOAA の 活 動 と 貢 献 に つ い て の 公 共 広 報 的
活 動 を 支 援 し て い る 。こ の よ う な 活 動 を 通 じ 議 会 に よ る 毎 年 の NOAA 予 算 承 認 に つ い て
好ましい結果をもたらそうとしている。
この他、海洋研究だけでなく米国の科学・技術全般のための連邦予算のソースとなる
二 つ の 連 邦 機 関 、 即 ち NSF と 国 防 省 ( 特 に 海 軍 ) の 好 ま し い 予 算 拠 出 を 求 め る 活 動 を
支 持 す る た め に 二 つ の 支 援 グ ル ー プ が あ る 。 一 つ は Coalition for National Science
Funding で あ り 、 も う 一 つ は Coalition for National Security Research で あ る 。
こ こ で は 、 JOCI、 COL 及 び Friends of NOAA に つ い て 、 概 観 す る 。
4.1 Joint Ocean Commission Initiative
1.2.2 で 述 べ た と お り 、 JOCI は USCOP と Pew Oceans Commission が 合 同 し た も の
で あ る 。JOCI は 、二 つ の 前 コ ミ ッ シ ョ ン の 議 長 、USCOP の 議 長 で あ っ た Admiral James
D. Watkins( 退 役 海 軍 大 将 ) と Pew Oceans Commission の 議 長 で あ っ た Mr. Leon
Panetta( 元 カ リ フ ォ ル ニ ア 出 身 下 院 議 員 、 元 ク リ ン ト ン 政 権 の 首 席 補 佐 官 、 オ バ マ 大
統 領 新 政 権 下 で CIA 長 官 に 指 名 さ れ 、議 会 に よ っ て 承 認 さ れ た )が JOCI 初 代 共 同 議 長
を務め、合同以降の活動を主導して来た。
な お 、 JOCI の リ ー ダ ー シ ッ プ の 評 価 は 高 く 共 同 議 長 と 委 員 の 中 に は オ バ マ 政 権 入 り
をしたり、大統領国民市民賞を授与されたりしている。
4.1.1 JOCI の 目 標 と 理 念
両 共 同 議 長 が 、 JOCI の 目 標 と 理 念 に つ い て 、 エ コ シ ス テ ム を ベ ー ス と す る 海 洋 管 理
と 経 済 成 長 を 支 え な が ら Ecosystem の 持 続 性 と そ の 長 期 的 健 全 さ の バ ラ ン ス 取 り を 強
調 し て い る 。 こ う す る た め に は 海 洋 統 治 ( Ocean Governance) を 改 革 し 、 海 洋 管 理 決
定における科学の役割を高め、教育へのコミットメントを増大し、海洋・沿岸政策実施
プログラムへの適正な予算提供のための行動を取ることが国家リーダーに要求されてい
る 、 と し て い る 。 さ ら に JOCI と し て 連 邦 ・ 州 ・ 地 方 政 府 を 始 め 、 非 政 府 機 関 ・ 大 学 ・
私的セクターの利益のために建設的支援を提供するコミットメントを表明しており、こ
の た め 米 国 を 一 層 良 く 調 整 さ れ た 国 家 海 洋 政 策 に 向 か わ せ 、ガ バ ナ ン ス の 枠 組 を 向 上 し 、
政策遂行の管理手段を改善させる必要を論じている。
- 16 -
4.1.2 JOCI の 海 洋 政 策 の 基 本 枠 組 ( 政 策 優 先 分 野 )
以下の 7 項目を海洋政策の基本目標としている。
・ 国 家 海 洋 統 治 ( Governance) の 改 革
・ 地 域 及 び 州 の 海 洋 統 治 ( Governance)
・ 国 際 的 リ ー ダ ー シ ッ プ ( Leadership)
・海洋研究・科学及び教育
・漁業管理の改革
・海洋政策プログラム計画への新しい連邦予算資金
・海洋と気候変動の相互関連
4.1.3 JOCI の 委 員 と 科 学 ア ド バ イ ザ ー 及 び ス タ ッ フ
委 員 は 計 20 名 で USCOP と Pew Oceans Commission の 委 員 各 10 名 ず つ に な っ て 居
る。委員は大学の海洋学・気象学・宇宙(地球)科学の教授が最も多く、次いで州・地
方 政 府 の 関 係 者( 州 知 事 、市 長 等 )、海 運 業 界 関 係 者 、科 学 研 究 財 団 、元 USCG の 責 任
者 、 NOAA の 科 学 者 や 漁 業 界 代 表 、 水 族 館 ・ 海 洋 パ ー ク の 関 係 者 な ど で あ る 。
約 30 名 に の ぼ る 科 学 ア ド バ イ ザ ー が 指 名 さ れ て い る 。 そ の 多 く は 大 学 の 海 洋 学 ・ 海
洋生物学、水族館の科学者、海洋自然管理専門のコンサルタント、大学ロースクールの
海洋法の教授などから構成されている。
ス タ ッ フ は ワ シ ン ト ン 所 在 の 科 学 政 策 専 門 の シ ン ク タ ン ク・研 究 グ ル ー プ の Meridian
Institute の ス タ ッ フ が 兼 任 し て い る が 、中 に は 独 立 し た 海 洋 問 題 の 専 門 コ ン サ ル タ ン ト
で JOCI の ス タ ッ フ を 兼 任 し て い る も の も い る 。
4.1.4 JOCI の 調 査 ・ 分 析 の 報 告 活 動 及 び 公 共 啓 蒙 活 動 25
JOCI は 海 洋 政 策 に 関 連 す る 調 査・分 析 の 報 告 活 動 を 活 発 に 行 っ て お り 、2005 年 以 降
毎 年 の 年 次 的 調 査 リ ポ ー ト の 準 備 刊 行 し て い る 。 そ の 最 た る も の は 1.2.3 で 述 べ た
「 Ocean Policy Report Card」 で あ る 。
更 に 2006 年 以 降 毎 年 政 策 優 先 分 野 の 一 つ に 焦 点 を 当 て て 政 策 分 析 報 告 書 を 公 表 し て
いる。
・ One Coast, One Future (2009 年 1 月 )
西海岸 3 州(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン)の州・地方自治体の代表か
らの要請に応じた報告書
・ From Sea to Shining Sea (2006 年 3 月 )
1.2.2 で ふ れ た 、 議 会 上 院 の 超 党 派 メ ン バ ー か ら の 要 請 に 答 え た 調 査 報 告 書 で あ る 。
議 会 に よ る ト ッ プ 10 位 の 事 項 に つ い て 予 算 拠 出 の 優 先 と 必 要 な 立 法 変 更 と 予 算 プ
ロセスの実施策を説明している。
・ An agenda for Action (2007 年 8 月 )
地方地域海洋ガバナンスの進歩のため協力・協同的な地方地域の活動能力を強化・
拡大する具体的な行動措置を勧告している。
25
http://www.jointoceancommission.org/rc-reports.html に 各 報 告 書 へ の リ ン ク が あ る 。
- 17 -
・ Addressing Oceans and Climate Change in Federal Legislation( 2007 年 7 月 )
JOCI に よ る ホ ワ イ ト ・ ペ ー パ ー で 、 気 候 変 動 に 関 す る 立 法 に お い て 更 に 多 く の 海
洋関係条項を奨励するために海洋と気候変動の重要なリンクを説明している。
そ の 他 の 公 共 啓 蒙 ・ 教 育 の た め の 活 動 と し て JOCI は 議 会 に お け る 関 係 立 法 の 審 議 に
おいて、公聴会で証言を行ったり、議会委員会に対し法案について推薦・勧告書簡を送
っている。
4.2 Consortium for Ocean Leadership
COL 26 は ワ シ ン ト ン DC に 本 拠 を お く 非 営 利 組 織 で あ り 、 深 海 掘 削 に よ る 調 査 研 究 を
行 っ て き た コ ン ソ ー シ ア ム で あ る Joint Oceanographic Institutions( JOI)と 海 洋 科 学
と 教 育 及 び そ の 政 策 を 前 進 さ せ る こ と に 目 標 と す る Consortium for Oceanographic
Research and Education( CORE)が 2007 年 に 合 併 し て 発 足 し た 。現 在 、計 94 の 主 要
な公的及び私的な海洋研究、海洋教育機関及び水族館ならびに海洋関連産業ビジネス団
体 が 加 入 し て い る 。COL の 目 標 は 海 洋 研 究 と 教 育 の 進 歩 と 健 全 な 海 洋 政 策 の 推 進 を 図 る
ことにある。
4.2.1 COL の 活 動
COL は 、 科 学 的 海 洋 掘 削 ( Ocean Drilling) 、 海 洋 観 測 ( Ocean Observing) 、 海 洋
探 査 ( Ocean Exploration) 及 び 海 洋 関 連 パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 分 野 に お け る 研 究 と 教 育
の プ ロ グ ラ ム を 運 営 管 理 し て い る 。首 都 ワ シ ン ト ン に お い て 海 洋 研 究 /教 育 界 の 声 を 代 表
する提唱・主張者の役割を果すと共に、種々の地域全体にわたるプログラムを運営して
おり、主なプログラムを次に掲げる。
・ Integrated Ocean Drilling Program( IODP) 27
従 来 の Ocean Drilling Program( DOP)を 後 継 す る 統 合 国 際 深 海 掘 削 計 画 の 米 国 に
お け る 活 動 を 主 導 し て い る 。IODP は 2003 年 10 月 に 開 始 さ れ 千 数 百 億 円 を 投 じ て
地球深部探査船ちきゅう等を使用して地震発生の仕組みの解明や地殻内の生命の探
究 な ど に 挑 戦 し て い る 。 ま た 、 IODP 関 連 プ ロ グ ラ ム と し て 、 U.S. Implementing
Organization ( USIO ) が あ り 、 COL と テ キ サ ス A&M 大 学 、 コ ロ ン ビ ア 大 学
Lamont-Doherty 地 球 観 測 所 が 米 国 の 活 動 を リ ー ド し て い る 。
・ National Oceanographic Partnership Program( NOPP)
NOPP は 、大 学 ・ 政 府 機 関 ・ 産 業 界 及 び 非 政 府 機 関 と の 研 究 パ ー ト ナ ー シ ッ プ に 連
邦 予 算 資 金 を 拠 出 す る 計 15 の 連 邦 機 関 の イ ノ ベ ー シ ョ ン に 富 ん だ 協 力 提 携 で あ る 。
1996 年 議 会 に よ っ て 立 法 上 設 置 さ れ 、海 洋 関 連 デ ー タ 、リ ソ ー ス 、教 育 及 び コ ミ ュ
ニケーション領域における海洋科学上の努力活動を調整し強化することにある。
26
27
公 式 Website: http://www.oceanleadership.org/
極く最近その事務局長に日本人として初めて海洋研究開発機構理事の末広潔氏が選任された。
日 米 両 国 が 主 導 し 、ヨ ー ロ ッ パ と 中 国・韓 国 な ど の 計 21 ヶ 国 が 参 加 す る 国 際 研 究 プ ロ ジ ェ ク
ト で あ り 、 事 務 局 を COL が 運 営 管 理 し て い る 。 末 広 事 務 局 長 は 2009 年 5 月 に 就 任 予 定 で あ
り、任期は 3 年間である。
- 18 -
・ Census of Marine Life( CoML)
CoML は 海 洋 生 物 の 調 査 に 特 化 し た 最 初 の 国 際 プ ロ グ ラ ム で あ る 。 CoML は 、 海 洋
の 生 命 、 多 様 性 、 分 布 及 び 豊 富 さ の 評 価 ・ 説 明 の た め に 10 年 間 の イ ニ シ ア テ ィ ブ
に 携 わ っ て い る 80 カ 国 以 上 の 国 々 の 研 究 者 の 拡 大 す る グ ロ ー バ ル ・ ネ ッ ト ワ ー ク
で あ る 。 CoML は 、 フ ィ ー ル ド 調 査 、 歴 史 的 デ ー タ 及 び 動 向 ・ 予 測 モ デ ル を 用 い て
海 洋 生 物 の 多 様 性 を 理 解 し 予 測 す る の で あ る 。COL は 国 際 事 務 局 の 本 部 場 所 を 提 供
すると共に、米国プログラムの調整を行っている。
・ U.S. Science Support Program
IODP へ の 米 国 人 科 学 者 の 参 加 を サ ポ ー ト す る 。
・ Ocean Observatories Initiative( OOI)
科学によって促進される海洋観測システムについて新たなネットワークのための科
学、技術及び普及に焦点をおいている。
・ Ocean Drilling Program( ODP)
ODP は 科 学 的 海 洋 掘 削 に よ っ て 地 球 の 順 次 的 変 化 と 構 造 を 探 究 す る た め に 組 織 化
さ れ た 科 学 者 と 研 究 機 関 の 20 年 間 に わ た る 国 際 パ ー ト ナ ー シ ッ プ で あ っ た 。 ODP
は 終 了 し た が 、 COL は ODP の 成 果 を そ の パ ー ト ナ ー で あ る テ キ サ ス A&M 大 学 と
コ ロ ン ビ ア 大 学 Lamont-Doherty 地 球 観 測 所 と 共 同 で 管 理 公 表 し て い る 。
・ National Ocean Science Bowl( NOSB)
NOSB は 海 洋 科 学 へ の 興 味・関 心 を 奨 励 す る よ う に ハ イ ス ク ー ル 学 生 の ア カ デ ミ ッ
ク な 調 査 研 究 発 表 で あ る 。1998 年 に 設 置 さ れ 、最 近 で は 毎 年 全 米 25 地 域 の 地 区 予
選 に 約 300 校 か ら 約 2,000 人 の 学 生 が 参 加 し て い る 。こ れ ま で に NOSB に 参 加 し た
学 生 と 教 師 は 、 延 べ 16,000 人 に 達 し て お り 、 多 く の 学 生 が 次 世 代 の 海 洋 科 学 者 、
海洋政策担当者、教師、海洋探究者等になることを促している。
・ Centers for Ocean Sciences Education Excellence( COSEE)
海洋科学研究のアカデミック・センターを学校、学校区及び水族館・博物館などの
インフォーマルな学習センターにリンクさせる協同パートナーシップの全米ネット
ワークである。このネットワークの使命目標は海洋での発見及び国民生活における
海洋の重要な役割を知らせるために科学者と教育者との協同・協力を触発させ育成
するためである。
・ Deep Earth Academy
科学的海洋掘削の研究と関連するプログラムの探査と発見に基づくプログラムと教
材を開発し、学生の数学、科学及び生涯学習の分析的スキルを強化する。
・ Ship Conversion
全 米 科 学 財 団 ( NSF) の 科 学 ・ エ ン ジ ニ ア リ ン グ の フ ロ ン テ ィ ア で の 発 見 を 可 能 に
す る 研 究 ・ 教 育 の た め の 先 端 の ツ ー ル へ の 投 資 プ ロ グ ラ ム は 、 NSF の 主 要 研 究 機
器 ・ 施 設 建 造 ( MREFC) の 予 算 計 画 に 入 る 。 科 学 的 海 洋 掘 削 用 船 舶 ( SODV) は
NSF の MREFC 分 類 の 予 算 か ら 資 金 を 受 け て い る 。 最 先 端 の 海 洋 関 係 界 の
Riser-less( 上 昇 部 分 の な い )掘 削( Drilling)の 研 究 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と し て は も
と よ り 、 国 際 プ ロ グ ラ ム で あ る 統 合 海 洋 掘 削 プ ロ グ ラ ム ( IODP) の 科 学 ミ ッ シ ョ
ン を サ ポ ー ト す る 米 国 の 貢 献 で あ る 。 IODP は 海 洋 の 地 球 科 学 の 基 礎 研 究 で あ り 、
- 19 -
NSF と 多 く の 国 際 パ ー ト ナ ー に よ っ て サ ポ ー ト さ れ て い る 。
こ の プ ロ グ ラ ム の も と 、IODP 調 査 船 JOIDES Resolution 号 が シ ン ガ ポ ー ル 造 船 所
で同船の近代化と機能向上のための改造を終了した。シンガポールを出港し、シナ
海 で 海 上 テ ス ト を 行 い 、ハ ワ イ の ホ ノ ル ル へ 向 か っ た 。同 船 舶 は Sub-Seafloor の 探
査とモニターのための調査船である。
こ れ ら の 他 、COL は 活 発 な 教 育 プ ロ グ ラ ム 及 び 学 生 、教 師 、地 方 自 治 体 の 公 職 者 及 び
一般の人々が海洋研究の関連性と評価はもとより、研究の発見と成果を良く理解するこ
とに役立つコミュニティ関与のプログラムを有している。
4.2.2 COL の メ ン バ ー
COL は 計 94 の 公 的 ・ 私 的 な 海 洋 研 究 、 教 育 機 関 、 水 族 館 及 び 海 洋 産 業 ビ ジ ネ ス の 団
体の代表から構成されている。海洋科学、海洋生物学、海洋環境・気象学などの専門分
野 の 学 部・学 科 を 有 す る 全 米 の 大 学 、独 立 ま た は 大 学・研 究 所 の 関 連 傘 下 の 海 洋 研 究 所 、
海洋観測所などが公式(意思決定の投票権を持つ)メンバーである。準メンバー(投票
権なし)には水族館、全般的な科学技術研究所、海洋関連の共同研究機構や学術団体、
海 洋 関 連 産 業 団 体 ( Marine Technology Society 等 ) 及 び NOAA 所 属 の 諸 種 の 研 究 セ ン
タ ー( NOAA Fisheries Science Centers 等 )や 計 画 部 署 、海 洋 関 連 の コ ミ ッ シ ョ ン( U.S.
Arctic Research Commission 等 )な ど が 含 ま れ る 。賛 助 会 員 的 メ ン バ ー に は 、海 洋 技 術・
造 船 及 び 海 洋 科 学 を ベ ー ス と す る シ ス テ ム 企 業・研 究 企 業 が 多 く 含 ま れ る( Harris Corp.、
Maritime Communications 社 、 Lockheed Martin 社 、 SAIC 社 等 ) 。
COL の 会 長 、 副 会 長 及 び 理 事 会 メ ン バ ー ( 12 名 ) は 、 米 国 の 主 要 大 学 の 海 洋 科 学 、
海洋生物学、海洋環境学の教授で学部・学科長及び海洋研究所の所長などの任にある専
門家である。
4.3 Friends of NOAA
NOAA の 海 洋 計 画 か ら 直 接・間 接 に 利 益 を 受 け る 大 学 海 洋 学 部 と 研 究 セ ン タ ー 、各 種
の海洋研究所と研究機関、地方・州の海洋・水産関係の機関やグループ、海洋産業ビジ
ネ ス・グ ル ー プ な ど が 集 合 し 、NOAA の 支 持 者 、受 益 者 及 び パ ー ト ナ ー シ ッ プ の グ ル ー
プ と し て 、 Friends of NOAA 28 を 形 成 し て い る 。 海 洋 ・ 気 象 の 分 野 に お け る NOAA の 活
動 と そ の 貢 献 に つ い て 、そ の 公 式 Website で 広 報 活 動 を 行 っ て い る 。こ れ は 、NOAA の
広報活動を支援するものである。
Friends of NOAA は こ の よ う な 活 動 と 直 接・間 接 の ロ ビ ー ン グ を 通 じ て 毎 年 の NOAA
の 予 算 に つ い て 好 ま し い 結 果 を も た ら そ う と し て い る 。ち な み に 、上 述 の JOCI と COL
も Friends of NOAA の メ ン バ ー で あ る 。
28
公 式 Website: http://www.friendsofnoaa.org/Default.htm
- 20 -
4.3.1 メ ン バ ー
Friends of NOAA の メ ン バ ー に は 、 以 下 の 者 が 含 ま れ る 。
・ Alaska Oceans Program
Fish, Wildlife, Seabirds な ど を 含 め た 北 太 平 洋 地 帯 の 海 洋 エ コ ロ ジ ー の 多 様 性 を 保
護・回復することを使命目標としている。
・ American Red Cross
その災害対策オペレーションは衛星ネットワークなどを通じ気象データの回収と分
析を行っている。
・ American Zoo and Aquarium Association
自然保全、教育、科学、リクリエーションの分野での動物園と水族館の進歩に専念
した活動を行っている。
・ Coastal States Organization
35 の 沿 岸 州 の 知 事 の 利 益 ・ 関 心 を 代 表 し 、 健 全 な 沿 岸 、 五 大 湖 に 関 す る 連 邦 立 法 、
行政及び政策に注意を払っている。
・ Environmental Defense
環境保護キャンペーンを活発に行っている。
・ Marne Technology Society
海洋調査の船舶や調査・モニター用の機器、海洋観測システム技術などの製造メー
カーや研究開発の企業や団体で構成されており、海洋技術の広範なグローバル問題
への関連有効性の理解促進をはかっている。
・ National Association of Marine Laboratories
120 余 の 海 洋 研 究 所 を 代 表 し 、 傘 下 に 1 万 人 を 越 え る 科 学 者 、 エ ン ジ ニ ア 、 他 の プ
ロフェッショナルを含む。
・ National Federation of Regional Associations for Coastal and Ocean Observing
沿岸・海洋観測の地域協会の全米連合会。地域協会は地域沿岸・海洋観測システム
のデザインと調整されたオペレーションズの責任を担っている。
・ National Fisheries Institute
全米漁業水産協会。国連の責任ある漁業の原則を支持して水産業界が海洋の持続的
管理と環境保全にコミットし、そのための主要な団体である。
・ National Weather Service Employees Organization
全 米 気 象 サ ー ビ ス 局 の 気 象 予 測 官 を 含 む NOAA の 4,000 人 の 職 員 組 合 で あ る 。
・ National Resources Defense Council
全米で最も有効な環境保護アクションの組織である。法律と科学を用い、地球の野
生生態の保護のための活動家メンバーをサポートする。
・ Sea Grant Association
30 校 の 州 立 の Sea Grant の 大 学 及 び そ れ ら の 研 究 ・ 教 育 及 び 普 及 プ ロ グ ラ ム に 関
与する研究者・教育者の全米組織
・ Shipbuilders Council of America
米国の三大沿岸、五大湖に施設が所在する米国造船所を代表する最大かつ最も広範
な業界団体
- 21 -
・ The Ocean Conservancy
健全で多様性の高い海洋エコシステムを促進し、海洋生物の脅威となる実際慣行に
反対する海洋環境保護団体
・ United Fisherman’s Marketing Association
漁業・水産業者の業界団体であり、安定価格と消費者への保護・安全な水産物の秩
序ある流通を促進する。
4.3.2 NOAA の 支 持 ・ 支 援 の 理 由
Friends of NOAA は 、NOAA が そ の 目 標 使 命 を 遂 行 す る た め に 、議 会 に 対 し 適 正 な サ
ポ ー ト と 予 算 拠 出 を 与 え る よ う に 働 き か け て い る 。NOAA は 連 邦 政 府 に お い て 主 要 で 優
秀な科学機関の一つであり、政策策定者に対し米国の経済、安全保障、環境及び生活の
質 を 向 上 さ せ る た め の 重 要 な デ ー タ 、ワ ー ク・プ ロ ダ ク ト 及 び サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。
米国の海洋、気象及び人間の保健、国家安全保障及び海洋上・気象上の物理的・生物
学 的 プ ロ セ ス に 関 連 し た 経 済 イ ン パ ク ト に 対 し 高 ま る 認 識 と 理 解 の た め に 、NOAA が リ
ー ド 的 連 邦 機 関 の 役 割 を 果 し て い る こ と に 鑑 み 、NOAA に 対 す る 拡 大 さ れ た 連 邦 投 資 が
今 こ そ 必 要 で あ る 、 と Friends of NOAA は 確 信 し て い る 。
5. 海洋政策関連立法活動
第 110 議 会 ( 2007~ 2008 年 ) で 提 案 さ れ 、 審 議 さ れ 、 ま た は 成 立 し た 海 洋 、 沿 岸 に
関 す る 法 案 、 法 律 の 状 況 と 内 容 に つ い て 整 理 し た 29 。 な お 、 日 本 語 法 律 ・ 法 案 名 は 、 仮
訳である。
5.1 第 110 議 会 に お い て 成 立 し た 法 律
5.1.1 America Creating Opportunities to Meaningfully Promote Excellence in Technology,
Education, and Science Act( America COMPETES Act)( 米 国 競 争 法 – 米 国 公 法
P.L. 69 号 )
研究・開発によるイノベーションへの投資を要求しており、米国の競争力を向上させ
る 目 的 で あ る 。 今 後 3 年 間 に わ た り NOAA を 含 む 計 6 の 連 邦 機 関 に お け る 多 数 の R&D
プ ロ グ ラ ム に 総 額 430 億 ド ル の 予 算 支 出 を 承 認 し て い る 。 ま た 、 NOAA と NASA に 対
し 、基 礎 及 び 応 用 の 海 洋・気 象 研 究 に お け る 米 国 の リ ー ダ ー シ ッ プ を 確 証 す る た め に「 先
端技術と分析的手法」を開発することを目指したプログラムを確立することを指示して
い る 。加 え て 、NOAA に 対 し て は 海 洋 、気 象 及 び 沿 岸 の 海 洋 科 学 に つ い て の 公 共 の 理 解
を向上させるための教育と他の普及の活動努力を増大することを指示している。
29
海洋関連法案の検索と該当法案のフルテキストの入手は、米議会図書館トーマス立法情報シ
ス テ ム http://thomas.loc.gov/を 利 用 さ れ た い 。 ま た 、 JOCI、 COL の Website に お い て も 海
洋政策関連法案の情報が掲示されているので、適宜参照されたい。
- 22 -
5.1.2 Water Resource Development Act( 水 資 源 開 発 法 – 米 国 公 法 P.L. 114 号 )
航 海 、 エ コ シ ス テ ム と 環 境 回 復 、 ハ リ ケ ー ン 、 洪 水 、 嵐 に よ る 損 害 防 止 に つ い て 200
件以上のプロジェクトについての予算資金を承認している。更に、陸軍長官(陸軍工兵
隊 ( Army Corps of Engineers) ) に 対 し ル イ ジ ア ナ の 沿 岸 エ コ シ ス テ ム の 回 復 ・ 再 生
を遂行することを認めている。
5.1.3 Creating Long-Term Energy Alternatives for the Nation (CLEAN) Energy Act( 国
家 エ ネ ル ギ ー の た め の 長 期 的 代 替 エ ネ ル ギ ー 創 成 法 –米 国 公 法 P.L. 140 号 )
再生エネルギー技術への投資によってエネルギー自立と安全保障の増大を奨励し、さ
らに自動車の燃費効率を増大させ、家屋・建物、家庭電化製品の新しいエネルギー(消
費)基準を設定する。海洋及び水力発電に関する条項は、再生エネルギー技術の加速化
さ れ た 研 究・開 発 プ ロ グ ラ ム の 下 に 含 ま れ て い る 。海 洋・気 象 担 当 の 商 務 省 次 官( NOAA
長官)は、海洋及び水力発電の再生エネルギー生産を拡大する研究・開発・デモンスト
レーションならびに商業応用化を確立することを要求されている。
全米海洋再生エネルギーの研究・開発・デモンストレーションのセンターを確立する
た め に 大 学 教 育 の コ ン ソ ー シ ア ム ま た は 研 究 機 関 に 助 成 金( Grants)が 給 付 さ れ る べ き
である、としている。加えて、石油・ガス産業にとって或る種の税削減を繰り下げてお
り 、 か つ 2005 年 エ ネ ル ギ ー 政 策 法 に 含 ま れ て い た 深 海 の 掘 削 許 可 ロ イ ヤ ル テ ィ 条 項 を
除去している。本法律による連邦収入は、再生・代替エネルギー源を促進し研究を実行
する目的を有する別に関連した立法のコストをオフセットするための基金として納付さ
れなければならない、とされている。
5.2 第 110 議 会 に お い て 審 議 さ れ た 法 案
第 110 議 会 に 提 案 さ れ た も の の 審 議 未 了 と な っ た 海 洋 関 連 法 案 は 、以 下 の と お り で あ
る。
5.2.1 包 括 的 海 洋 法 案
(1) Ocean Conservation, Education, and National Strategy for the 21st Century Act
( OCEAN 21) 下 院 法 案 H.R.21「 21 世 紀 向 け 海 洋 保 全 、 教 育 及 び 国 家 戦 略 法 案 」
(法案要旨)
・海洋政策について大統領への国家海洋アドバイザー及び連邦アドバイザー機関の
確立
・地域コーディネーション及びエコシステム・プランニングのガイドラインの提供
・海洋及び五大湖保全信託基金の確立
・ NOAA の 公 式 承 認 ( 下 院 法 案 H.R. 250 の 条 項 全 文 を 用 い て )
( 提 案 議 員 ) Farr 議 員 ( 民 主 - カ リ フ ォ ル ニ ア )
提 出 日 : 2007 年 1 月 4 日
(委員会-小委員会)自然資源-漁業・海洋
公 聴 会 : 2007 年 4 月 26 日
エネルギー・環境小委員会
法 案 条 項 審 議 ( マ ー ク ア ッ プ ) 終 了 : 2008 年 4 月 23 日
小 委 員 会 通 過 と 委 員 会 へ 付 託 : 2008 年 4 月 28 日 ( 修 正 付 き )
- 23 -
5.2.2 包 括 的 水 資 源 法 案
(1) Clean Water Restoration Act of 2007
下 院 法 案 H.R.2421「 2007 年 清 浄 水 資 源 再
生法」
(法案要旨)
・ Clean Water Act の 法 管 轄 を め ぐ る 2001 年 及 び 2006 年 の 最 高 裁 判 決 の 撤 回 を 求
めるため、「航海できる水域」という語句を取り除き、「米国の領海」と定義し
て 司 法 解 釈 に よ っ て 除 外 さ れ て し ま っ た Wetlands( 湿 地 ) 及 び 他 の 水 域 を 含 め
る。
( 提 案 議 員 ) Oberstar 議 員 ( 民 主 - ミ ネ ソ タ )
提 出 日 : 2007 年 5 月 22 日
(委員会-小委員会)運輸-水資源・エネルギー
公 聴 会 : 2007 年 7 月 17、 19 日
(2) Great Lakes Collaboration Implementation Act of 2007
下 院 法 案 H.R.1350
「 2007 年 五 大 湖 協 力 の た め の 具 体 実 施 法 案 」
(法案要旨)
・排水インフラストラクチャーの向上・改善のための連邦支援の付与
・五大湖へのアジア鯉の侵入を防ぐための電気的障害の設置
・魚類及び野生生物の回復と汚染された泥沈殿物の浄化
( 提 案 議 員 ) Ehlers 議 員 ( 共 和 - ミ シ ガ ン )
提 出 日 : 2007 年 3 月 6 日
(委員会-小委員会)
運輸-水資源、自然資源-漁業・海洋科学及びエネルギー・環境
(3) Gulf of Mexico Restoration and Protection Act
上 院 法 案 S.1126「 メ キ シ コ 湾 再
生・保護法」
(法案要旨)
・「 連 邦 水 汚 染 コ ン ト ロ ー ル 法 」を 改 正 し 、メ キ シ コ 湾 プ ロ グ ラ ム・オ フ ィ ス を EPA
のオフィスとして再確立
・同 オ フ ィ ス に つ い て 、EPA 及 び 他 の 連 邦・州・地 方 機 関 と 自 治 体 の 行 動 を 調 整 す
ること
・プログラムを実行する特定の行動計画の策定を補佐すること
・計画とプロジェクトの回復のための優先事項の調整、実施
・メキシコ湾の保全を振興する普及プログラムの実施
・メキシコ湾の環境の質と生息リソースについての情報を整備発信
・ メ キ シ コ 湾 岸 州 協 定 の メ キ シ コ 側 メ ン バ ー と メ キ シ コ EPA の 担 当 相 手 側 と の 連
絡調整
( 提 案 議 員 ) Lott 議 員 ( 共 和 - ミ シ シ ッ ピ )
提 出 日 : 2007 年 4 月 17 日
(委員会-小委員会)環境
(4) Great Lakes Collaboration Act of 2007
上 院 法 案 S.791「 2007 年 五 大 湖 協 力 実 施
法」
(法案要旨)
・ 下 院 法 案 H.R.1350( 上 記 (2)) に 相 当 す る 上 院 法 案
( 提 案 議 員 ) Levin 議 員 ( 民 主 - ミ シ ガ ン )
(委員会-小委員会)環境
- 24 -
提 出 日 : 2007 年 3 月 7 日
5.2.3 気 候 変 動
(1) New Direction for Energy Independence, National Security, and Consumer
Protection Act 下 院 法 案 H.R.3221「 エ ネ ル ギ ー 自 立 、 国 家 安 全 保 障 及 び 消 費 者 保
護のための新方向の法案」
(法案要旨)
・波、潮汐、海流、海洋エネルギー転換などから派生するエネルギー・ソースを含
む海洋再生エネルギーの研究・開発の奨励
・気候変動の適応性に関する政府機関間パネルの確立
・代替的エネルギー開発の探究を沿岸州が行うための補助金の承認
・オフショアの代替エネルギーを始め、気候変動の影響を予測し、かつ削減するた
め に NOAA に 「 海 洋 政 策 と 地 球 温 暖 化 」 プ ロ グ ラ ム を 設 定
・ 各 州 に 地 球 気 候 変 動 の 堅 固 な 政 策 を 自 発 的 に 開 発 さ せ る よ う CZMA 30 を 改 正
・ 気 候 変 化 の 影 響 に つ い て 報 告 書 を 提 出 す る よ う NOAA に 義 務 付 け ( CZMA を 改
正)
・全米海洋研究リーダーシップ会議を通じて大統領に対し連邦及び非連邦の組織か
らなる「全米統合沿岸・海洋観測システム」を確立し維持することを指示
・ 地 域 的 な 調 整 機 関 ・ 機 構 ( Coordination Entities) の 設 置
・気候変動及び海洋・沿岸及び五大湖のダイナミックスの理解を向上するため海洋
及び沿岸観測技術、モデリング・システム及び他の能力について基礎及び応用研
究を実施
・海洋・沿岸及び五大湖と気候変動の影響の認識を増大するために公共意識の向
上、教育及び訓練のプログラムの制度化
・ 船 舶 か ら の 汚 染 防 止 の た め CZMA の 改 正
( 提 案 議 員 ) Pelosi 議 員 ( 民 主 - カ リ フ ォ ル ニ ア 、 下 院 議 長 )
提 出 日 : 2007 年 7 月 30 日
(委員会-小委員会)天然資源、エネルギー・商業、科学・技術
他計 7 委員会
全 般 討 議 : 2007 年 8 月 4 日
下 院 可 決 通 過 : 241 票 対 172 票 ( 修 正 付 )
2007 年 9 月 5 日 上 院 に 付 託 さ れ 審 議 予 定 に 載 る が 、 2008 年 2 月 28 日 審 議 時 間 制
限 ( Cloture) の 措 置 が 取 ら れ ず 、 審 議 未 了 と な る 。
(2) Energy Policy Reform and Revitalization Act of 2007
下 院 法 案 H.R.2337「 2007
年エネルギー政策改革・再活性化法」
(法案要旨)
・気候変動適応の政府機関間パネルの設置
・代替エネルギー開発の探究のため沿岸州への補助金の承認
( 提 案 議 員 ) Rahall 議 員 ( 民 主 - ウ エ ス ト バ ー ジ ニ ア ) 提 出 日 : 2007 年 5 月 16 日
(委員会-小委員会)
天 然 資 源 、 農 業 - USDA オ ペ レ ー シ ョ ン ズ 、 科 学 ・ 技 術 - エ ネ ル ギ ー ・ 環 境
30
Coastal Zone Management Act
- 25 -
2007 年 8 月 3 日 小 委 員 会 を 通 過 し 、 下 院 本 会 議 審 議 予 定 に 載 る が 審 議 未 了
(3) Global Change Research and Data Management Act of 2007
下 院 法 案 H.R.906
「 2007 年 地 球 気 候 変 動 研 究 と デ ー タ 管 理 法 」
(法案要旨)
・気候変動及び海洋生物と沿岸の居住適性に関する政府機関間パネルの設置
・身体、経済及び人口動向を含む研究目標と優先順位を定めた「国家気候変動研究
計画」の策定
・気候変動に係る国際的な取決めを締結している国との協議
( 提 案 議 員 ) Udall 議 員 ( 民 主 - コ ロ ラ ド )
提 出 日 : 2007 年 2 月 7 日
(委員会-小委員会)科学・技術-エネルギー・環境、国際関係
委員会は可決されたが、下院本会議で審議未了となった。
(4) Climate Stewardship Act of 2007
下 院 法 案 H.R.620「 2007 年 気 候 保 全 法 」
(法案要旨)
・魚類及び野生動物生息プログラムに用いられる収入をあげるため、温室効果ガス
の排出権市場の確立
・海洋及び海洋エコシステム、魚類・野生生物と生息、沿岸地域社会への気候変動
の 影 響 に 関 す る 報 告 を 5 年 間 毎 に 議 会 に 提 出 す る よ う NOAA に 義 務 付 け
( 提 案 議 員 ) Olver 議 員 ( 民 主 - マ サ チ ュ ー セ ッ ツ )
提 出 日 : 2007 年 1 月 22 日
(委員会-小委員会)エネルギー・商業、自然資源
(5) Coastal State Climate Change Planning Act of 2008
下 院 法 案 H.R.5453「 2008
年沿岸州気候変化プランニング法」
(法案要旨)
・気候変化の影響を最小化し、沿岸ゾーンの気象変化のネガティブな結果を削減す
る準備のための承認された管理計画に従い、沿岸州が自発的に沿岸気候変化への
適応計画を開発するための援助の提供
( 提 案 議 員 ) Capps 議 員 ( 民 主 - カ リ フ ォ ル ニ ア )
提 出 日 : 2008 年 2 月 14 日
(委員会-小委員会)天然資源、
公 聴 会 : 2008 年 2 月 28 日
5.2.4 沿 岸 保 全 ・ 保 護
(1) Keep Our Waterfronts Working Act of 2007
下 院 法 案 H.R.3223「 2007 年 ウ ォ ー
ターフロント活性化法」
(法案要旨)
・ CZMA を 改 正 し 、商 業 漁 業 、リ ク リ エ ー シ ョ ン の フ ィ ッ シ ン グ 及 び 他 の 海 洋 ・ 沿
岸関連ビジネスへの沿岸アクセスを確証する補助計画の設定
( 提 案 議 員 ) Allen 議 員 ( 民 主 - メ イ ン )
提 出 日 : 2007 年 7 月 30 日
(委員会-小委員会)自然資源-漁業・海洋
公 聴 会 : 2008 年 2 月 28 日
(2) Coastal and Estuarine Land Protection Act
下 院 法 案 H.R.1907「 沿 岸 及 び 入 江 ・
河口地の保護法案」
(法案要旨)
・ NOAA に 州 が 重 要 な 環 境 に 優 し く 、美 し く 、レ ク リ エ ー シ ョ ナ ル 、ま た は 歴 史 的
- 26 -
価 値 の あ る 未 開 発 地 帯 の 土 地 を 取 得 す る の に 役 立 つ 連 邦 助 成 ( Grant) プ ロ グ ラ
ムの設置する
( 提 案 議 員 ) Saxton 議 員 ( 共 和 - ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー )
提 出 日 : 2007 年 4 月 23 日
(委員会-小委員会)自然資源-漁業・海洋
(3) Coastal Zone Enhancement Reauthorization Act of 2007
上 院 法 案 S.1579「 2007
年沿岸ゾーン改良再承認法」
(法案要旨)
・汚染防止及び沿岸生息生物の創生、回復、保全を支援する沿岸ゾーン管理助成
( Grant) を 含 め 、 改 善 さ れ た 沿 岸 管 理 の た め の 管 理 助 成 ( Grant) の 再 承 認
( 提 案 議 員 ) Snowe 議 員 ( 共 和 - メ イ ン )
提 出 日 : 2007 年 6 月 7 日
(委員会-小委員会)商務
(4) Coastal and Estuarine Land Protection Act
上 院 法 案 S.1142「 沿 岸 及 び 河 口 地 帯
土地保護法」
(法案要旨)
・ 下 院 法 案 H.R.1907( 上 記 (2)) に 相 当 す る 上 院 法 案
( 提 案 議 員 ) Judd 議 員 ( 共 和 - ニ ュ ー ハ ン プ シ ャ ー )
提 出 日 : 2007 年 4 月 18 日
(委員会-小委員会)商務
2007 年 6 月 5 日 委 員 会 を 通 過 、 上 院 本 会 議 の 審 議 予 定 に 載 る が 審 議 未 了
(5) Coastal Zone Reauthorization Act of 2008
下 院 法 案 H.R.5451「 2008 年 沿 岸 ゾ ー
ン再承認法」
(法案要旨)
・ 沿 岸 ゾ ー ン の 下 に 各 種 プ ロ グ ラ ム へ の 予 算 歳 出 を 2011 年 ま で 承 認 す る
( 提 案 議 員 ) Bordallo 議 員 ( 民 主 - ジ ョ ー ジ ア )
提 出 日 : 2008 年 2 月 14 日
(委員会-小委員会)天然資源
公 聴 会 : 2008 年 2 月 28 日
5.2.5 サ ン ゴ 礁 保 全 ・ 保 護
(1) Coral Reef Conservation Amendments Act of 2007
下 院 法 案 H.R.1205「 2007 年
サンゴ礁保護・保全改正法」
(法案要旨)
・ 2000 年 サ ン ゴ 礁 保 護 ・ 保 全 法 の 再 承 認
・ U.S. Coral Reef Task Force の 法 的 設 置
( 提 案 議 員 ) Faleomavaega 議 員 ( 民 主 - ア ラ ス カ )
提 出 日:2007 年 2 月 27 日
(委員会-小委員会)天然資源-漁業・海洋、科学・技術-エネルギー・環境
委員会を通過、下院本会議にて審議未了
(2) Coral Reef
Ecosystem Conservation Amendments Act of 2007
上 院 法 案 S.1583
「 2007 年 サ ン ゴ 礁 エ コ シ ス テ ム 保 全 ・ 保 護 改 正 法 」
(法案要旨)
・ 下 院 法 案 H.R.1205( 上 記 (1)) に 相 当 す る 上 院 法 案
( 提 案 議 員 ) Inouye 議 員 ( 民 主 - ハ ワ イ )
(委員会-小委員会)商務
- 27 -
提 出 日 : 2007 年 6 月 7 日
5.2.6 漁 業 ・ 養 殖
(1) National Offshore Aquaculture Act of 2007
下 院 法 案 H.R.2010「 2007 年 全 米 オ
フショア養殖法」
(法案要旨)
・ オ フ シ ョ ア 養 殖 の 許 可 証 ( Permits) の 発 行 を 商 務 長 官 に 認 め る
・許可されたオフショア養殖を、大きさ、季節及び漁獲方法を制限する漁業規制の
例外とする
( 提 案 議 員 ) Rahall 議 員 ( 民 主 - ウ ェ ス ト バ ー ジ ニ ア ) 提 出 日 : 2007 年 4 月 24 日
(委員会-小委員会)自然資源
(2) Salmon Economic Analysis and Planning Act
下 院 法 案 H.R.1507「 鮭 経 済 分 析 ・
計画法」
(法案要旨)
・連邦政府による鮭の保護・回復・回収の措置の科学的分析に関する全米科学アカ
デミーとの協定締結を商務長官に義務付け
( 提 案 議 員 ) McDermott 議 員 ( 民 主 - ワ シ ン ト ン )
提 出 日 : 2007 年 3 月 13 日
(委員会-小委員会)天然資源-漁業・海洋
(3) National Offshore Aquaculture Act of 2007
上 院 法 案 S.1609「 2007 年 全 米 オ フ
ショア養殖法」
(法案要旨)
・ 下 院 法 案 H.R.2010( 上 記 (1)) に 相 当 す る 上 院 法 案
( 提 案 議 員 ) Inouye 議 員 ( 民 主 - ハ ワ イ )
提 出 日 : 2007 年 6 月 13 日
(委員会-小委員会)商務
(4) Natural Stock Conservation Act of 2007
上 院 法 案 S.533「 2007 年 自 然 魚 族 保 全
法」
(法案要旨)
・1980 年 全 米 海 水 養 殖 法 を 改 正 し 、許 可 書 の 義 務 事 項 が 立 法 化 さ れ る ま で 、許 可 発
行を禁止する
( 提 案 議 員 ) Murkowski 議 員 ( 共 和 - ア ラ ス カ )
提 出 日 : 2007 年 2 月 8 日
(委員会-小委員会)農業
5.2.7 侵 入 生 物 類
(1) Ballast Water Management Act of 2007
下 院 法 案 H.R.2423「 2007 年 バ ラ ス ト 水
管理法」
(法案要旨)
・国際的なバラスト水管理の義務要求の米国法規への取入れ
・ バ ラ ス ト 水 の 排 出 に つ き 、 現 行 の 国 際 基 準 よ り も 100 倍 厳 し い 基 準 の 設 定
( 提 案 議 員 ) LaTourette 議 員 ( 共 和 - オ ハ イ オ )
提 出 日 : 2007 年 5 月 22 日
(委員会-小委員会)運輸
(2) Prevention of Aquatic Invasive Species Act
防止法」
- 28 -
下 院 法 案 H.R.889「 水 中 侵 入 生 物 種
(法案要旨)
・ Non-indigenous Aquatic Nuisance Prevention Act of 1990 を 改 正 し 、 船 舶 バ ラ
スト・ウォーター管理の義務要求を設定
( 提 案 議 員 ) Miller 議 員 ( 共 和 - ミ シ シ ッ ピ )
提 出 日 : 2007 年 2 月 7 日
(委員会-小委員会)運輸-沿岸警備隊・水資源、天然資源-漁業・海洋
(3) Great Lakes Invasive Species Control Act
下 院 法 案 H.R.801「 五 大 湖 侵 入 生 物 種
コントロール法」
(法案要旨)
・ Non-indigenous Aquatic Nuisance Prevention Act of 1990 を 改 正 し 、 五 大 湖 内
入港前に、バラスト水の交換または代替のバラスト水管理を行うため全船舶にバ
ラスト水タンクの設置の義務付け
( 提 案 議 員 ) Kirk( 共 和 - イ リ ノ イ )
提 出 日 : 2007 年 2 月 5 日
(委員会-小委員会)運輸-沿岸警備隊・水資源
(4) Aquatic Invasive Species Research Act
下 院 法 案 H.R.260「 水 中 侵 入 生 物 種 研 究
法」
(法案要旨)
・海 水 及 び 淡 水 の 研 究・開 発・デ モ ン ス ト レ ー シ ョ ン の プ ロ グ ラ ム を 設 置 し 、市 民 ・
利害関係者を教育し、エコシステムの回復、侵入生物種の防止・管理・除去の努
力活動を支援
( 提 案 議 員 ) Ehlers 議 員 ( 共 和 - ミ シ ガ ン )
提 出 日 : 2007 年 1 月 5 日
(委員会-小委員会)
科学-エネルギー・環境、運輸-沿岸警備隊・水資源、天然資源-漁業・海洋
(5) Ballast Water Management Act of 2007
上 院 法 案 S.1578「 2007 年 バ ラ ス ト 水 管
理法」
(法案要旨)
・バラスト水に含まれる侵入生物種に対処する全米的管理プログラムの提供
( 提 案 議 員 ) Inouye 議 員 ( 民 主 - ハ ワ イ )
提 出 日 : 2007 年 6 月 7 日
(委員会-小委員会)商務
2007 年 9 月 27 日 委 員 会 を 修 正 案 が 通 過 し た が 、 本 会 議 に て 審 議 未 了
(6) National Aquatic Invasive Species Act of 2007
上 院 法 案 S.725「 2007 年 全 米 海
中侵入生物種法」
(法案要旨)
・ Non-indigenous Aquatic Nuisance Prevention Act of 1990 を 改 正 し 、 米 国 領 海
内を運行する船舶について、水中侵入生物種の削減と防止の義務付け
( 提 案 議 員 ) Levin 議 員 ( 民 主 - ミ シ ガ ン )
(委員会-小委員会)環境
- 29 -
提 出 日 : 2007 年 3 月 1 日
5.2.8 海 洋 及 び 沿 岸 汚 染
(1) Chesapeake’s Healthy and Environmental Sound Stewardship of Energy Act
(CHESSEA)
下 院 法 案 H.R.1766「 チ ェ サ ピ ー ク 湾 の 健 康 的 か つ 環 境 的 な エ ネ ル ギ
ー管理法」
(法案要旨)
・ Food Security Act of 1985 を 改 正 し 、 環 境 の 質 の 向 上 を 奨 励 す る プ ロ グ ラ ム へ の
連邦資金供与を拡大する
( 提 案 議 員 ) Van Hollen 議 員 ( 民 主 - メ リ ー ラ ン ド )
提 出 日 : 2007 年 3 月 29 日
(委員会-小委員会)漁業-保全関連
(2) Save Our Shores Act
下 院 法 案 H.R.1091「 米 国 沿 岸 保 護 法 」
(法案要旨)
・Harmful Algal Bloom and Hypoxia Research and Control Act of 1998 を 改 正 し 、
有害な藻類増殖及び(水中の)酸素欠乏状態の防止、削減、コントロールに関す
る活動の研究、教育、モニタリングへの予算歳出を拡大する
( 提 案 議 員 ) Mack 議 員 ( 民 主 - フ ロ リ ダ )
提 出 日 : 2007 年 2 月 15 日
(委員会-小委員会)科学技術-エネルギー・環境、天然資源-漁業・海洋
(3) Safe Water Improvement and Modernization Act of 2007
下 院 法 案 H.R.909
「 2007 年 安 全 水 資 源 の 向 上 及 び 近 代 化 法 」
(法案要旨)
・沿岸リクリエーション水資源の質向上の活動に予算歳出を承認
( 提 案 議 員 ) Bilbray 議 員 ( 共 和 - カ リ フ ォ ル ニ ア )
提 出 日 : 2007 年 2 月 8 日
(委員会-小委員会)運輸-水資源・エネルギー
(4) Maritime Pollution Prevention Act of 2007
下 院 法 案 H.R.802「 2007 年 海 洋 汚 染
防止法」
(法案要旨)
・ 船 舶 か ら 排 出 さ れ る NO X 、 SO X 及 び オ ゾ ン 層 破 壊 化 学 物 質 の 制 限 と MARPOL
Annex VI へ の 米 国 関 連 法 の 合 致 と 順 守
( 提 案 議 員 ) Oberstar 議 員 ( 民 主 - ミ ネ ソ タ )
提 出 日 : 2007 年 2 月 5 日
(委員会-小委員会)運輸
下院を通過したが、上院で審議未了
(5) Chesapeake’s Healthy and Environmental Sound Stewardship of Energy Act
(CHESSEA)
上 院 法 案 S.1346「 チ ェ サ ピ ー ク 湾 の 健 康 的 か つ 環 境 的 な エ ネ ル ギ ー
管理法」
(法案要旨)
・ 下 院 法 案 H.R.1766( 上 記 (1)) に 相 当 す る 上 院 法 案
( 提 案 議 員 ) Mikulski 議 員 ( 民 主 - メ リ ー ラ ン ド )
提 出 日 : 2007 年 5 月 9 日
(委員会-小委員会)農業
(6) Beach Protection Act of 2008
下 院 法 案 H.R.2537「 2008 年 海 岸 保 護 法 」
(法案要旨)
・ Federal Water Pollution Control Act を 改 正 し 、 海 岸 監 視 等 を 実 施
- 30 -
・連邦及び州政府による沿岸のレクリエーション域のモニタリングと通知プログラ
ムの確立する
・ 2001~ 2005 会 計 年 度 の 3000 万 ド ル か ら 2008~ 2012 会 計 年 度 4000 万 ド ル に 予
算の増額
( 提 案 議 員 ) Pallone 議 員 ( 民 主 - ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー )
提 出 日 : 2007 年 5 月 27 日
(委員会-小委員会)運輸-水資源、環境
2008 年 4 月 17 日 下 院 を 通 過 し た が 、 上 院 で 審 議 未 了
(7) Beach Protection Act of 2008
上 院 法 案 S.2844「 2008 年 海 岸 保 護 法 」
(法案要旨)
・ Federal Water Pollution Control Act を 改 正 し 、 海 岸 監 視 等 を 実 施
・ 2001~ 2005 会 計 年 度 の 3000 万 ド ル か ら 2008~ 2012 会 計 年 度 6000 万 ド ル に 予
算の増額
( 提 案 議 員 )Lautenberg 議員(民主-ニュージャージー) 提出日:2008 年 4 月 17 日
(委員会-小委員会)環境
(8) Clean Cruise Ship Act of 2008
上 院 法 案 S.2881「 2008 年 ク リ ー ン ・ ク ル ー ズ 船
法」
(法案要旨)
・ 沿 岸 12 マ イ ル 以 内 で の ク ル ー ズ 船 か ら の 処 理 済 の 汚 水 、 グ レ ー ウ ォ ー タ ー 、 ビ
ルジの排出を禁止する新基準の制定
・米国水域におけるクルーズ船からの未処理の汚水、グレーウォーター、ビルジ、
スラッジ、焼却炉灰及び有害廃棄物の排出の禁止
( 提 案 議 員 ) Durbin 議 員 ( 民 主 - イ リ ノ イ )
提 出 日 : 2008 年 4 月 17 日
(委員会-小委員会)商務
5.2.9 海 洋 哺 乳 類
(1) To amend the Marine Mammal Protection Act of 1972 to repeal the long-term
goal for reducing to zero the incidental mortality and serious injury of marine
mammals in commercial fishing...
下 院 法 案 H.R.1007「 漁 業 に よ り 付 帯 的 に 発 生
す る 海 洋 哺 乳 類 の 死 亡 ・ 重 傷 を ゼ ロ と す る 長 期 目 標 を 廃 止 す る た め の 1972 年 海 洋
哺乳類保護法を改正する法律」
(法案要旨)
・1972 年 海 洋 哺 乳 類 保 護 法 の 商 業 漁 業 に よ る 付 帯 的 な 死 亡・重 傷 率 を ゼ ロ と す る 長
期目標を廃止し、「付帯的な死亡・重傷を減少させる」と規定
( 提 案 議 員 ) Young 議 員 ( 共 和 - ア ラ ス カ )
提 出 日 : 2007 年 2 月 13 日
(委員会-小委員会)天然資源-漁業、海洋
5.2.10 NOAA 組 織 法
(1) National Oceanic and Atmospheric Administration Act
「 NOAA 組 織 法 」
(法案要旨)
- 31 -
下 院 法 案 H.R.250
・ NOAA を 公 式 に 連 邦 商 務 省 参 加 の 機 関 と し て 承 認 す る
・NOAA を「 全 米 気 象 サ ー ビ ス 」、「 研 究 と 教 育 」、「 オ ペ レ ー シ ョ ン と サ ー ビ ス 」
及び「資源管理」の 4 領域を中心に再編
・「科学アドバイス委員会」の設置
( 提 案 議 員 ) Ehlers 議 員 ( 共 和 - ミ シ ガ ン )
提 出 日 : 2007 年 1 月 5 日
(委員会-小委員会)天然資源-漁業・海洋、科学-エネルギー・環境
5.2.11 海 洋 観 測 と 探 査 ・ 研 究
(1) National Integrated Coastal and Ocean Observation System Act of 2007
下院法
案 H.R.2342「 2007 年 全 米 海 洋 ・ 沿 岸 統 合 観 測 シ ス テ ム 法 」
(法案要旨)
・政府及び非政府組織からなる国家統合海洋観測システムの確立
・地域調整機能のネットワークの設立
・海洋と気候変動の理解を向上させる海洋観察技術、モデルシステム等の基礎及び
応用研究の実施
・海洋と気候変動に関する認識の向上のための教育とトレーニング等の計画の立案
( 提 案 議 員 ) Allen 議 員 ( 民 主 - メ イ ン )
提 出 日 : 2007 年 5 月 16 日
(委員会-小委員会)天然資源-漁業、海洋、科学-エネルギー、環境
2008 年 3 月 31 日 、天 然 資 源 委 員 会 で は 修 正 の 上 可 決 、科 学 委 員 会 で は 否 決 さ れ た
が 、 下 院 本 会 議 で は 可 決 さ れ た 。 た だ し 、 本 法 案 は 、 5.2.3(1)の 下 院 法 案 H.R.3221
に吸収された。
(2) National Ocean Exploration Program Act
下 院 法 案 H.R.1834「 全 米 海 洋 探 査 計
画法」
(法案要旨)
・ NOAA の プ ロ グ ラ ム と し て 、 海 洋 探 査 計 画 と 国 家 海 中 研 究 計 画 を 策 定
( 提 案 議 員 ) Saxton 議 員 ( 共 和 - ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー )
提 出 日 : 2007 年 3 月 29 日
(委員会-小委員会)科学-エネルギー・環境、天然資源-漁業・海洋、国防-テロ
科 学 技 術 、天 然 資 源 、軍 事 の 3 委 員 会 を 通 過 し 、2008 年 2 月 14 日 下 院 本 会 議 で 可
決されたが、上院で審議未了
(3) Coastal and Ocean Observation System Act of 2007
上 院 法 案 S.950「 2007 年 沿
岸・海洋観測システム法」
(法案要旨)
・米国の社会、経済及びエコロジカルなシステムに影響を及ぼす海洋と沿岸環境に
起る変化の適時な探査と予測のための統合システムを確立し、維持する。
・ NOAA を 政 府 機 関 の 中 心 と し 、 統 合 海 洋 観 測 プ ロ グ ラ ム 部 署 の 確 立 を 義 務 付 け
( 提 案 議 員 ) Snowe 議 員 ( 共 和 - メ イ ン )
提 出 日 : 2007 年 3 月 21 日
(委員会-小委員会)商務
2007 年 3 月 21 日 商 務 委 員 会 で 可 決 さ れ た が 、 本 会 議 の 審 議 未 了
(4) Ocean and Coastal Exploration and NOAA Act( OCEAN Act) 上 院 法 案 S.39「 海
洋 ・ 沿 岸 探 査 と NOAA に 関 す る 法 律 ( OCEAN 法 ) 」
- 32 -
(法案要旨)
・ NOAA に 調 整 の 取 れ た 全 米 海 洋 探 究 プ ロ グ ラ ム を 確 立 す る
・ 海 洋 技 術 と イ ン フ ラ の タ ス ク ・ フ ォ ー ス の 設 置 を NOAA に 義 務 付 け
( 提 案 議 員 ) Stevens 議 員 ( 共 和 - ア ラ ス カ )
提 出 日 : 2007 年 1 月 4 日
(委員会-小委員会)商務
2007 年 2 月 13 日 商 務 委 員 会 で 可 決 さ れ た が 、 本 会 議 の 審 議 未 了
5.2.12 オ フ シ ョ ア ・ エ ネ ル ギ ー
(1) Marine Renewable Energy Research and Development Act of 2007
下院法案
H.R.2313「 2007 年 海 洋 再 生 エ ネ ル ギ ー 研 究 ・ 開 発 法 」
(法案要旨)
・波、潮汐及び海流などのソースから電力生産を行う技術の研究・開発の支援
・ 2008 年 ~ 2012 年 の 期 間 に 毎 年 5,000 万 ド ル の 予 算 支 出 の 承 認
( 提 案 議 員 ) Hooley 議 員 ( 民 主 - オ レ ゴ ン )
提 出 日 : 2007 年 5 月 15 日
(委員会-小委員会)科学-エネルギー・環境
2007 年 6 月 13 日 科 学 委 員 会 で 可 決 さ れ た が 、 本 会 議 の 審 議 未 了
(2) Marine and Hydrokinetic Renewable Energy Promotion Act of 2007
下院法案
H.R.2036「 2007 年 海 洋 ・ 水 力 再 生 エ ネ ル ギ ー 推 進 法 」
(法案要旨)
・波、潮汐及び海流による発電の推進
・海洋で流体動力再生可能エネルギー研究のプログラムの確立
・海洋の再生可能エネルギーを利用するプロジェクトに提供するための「適用可能
な管理と環境基金」の設立
( 提 案 議 員 ) Inslee 議 員 ( 民 主 - ワ シ ン ト ン )
提 出 日 : 2007 年 4 月 25 日
(委員会-小委員会)
エネルギー、科学-エネルギー・環境、歳入、天然資源-漁業・海洋
(3) Marine and Hydrokinetic Renewable Energy Promotion Act of 2007
上院法案
S.1511「 2007 年 海 洋 ・ 水 力 再 生 エ ネ ル ギ ー 推 進 法 」
(法案要旨)
・ 下 院 法 案 H.R.2036( 上 記 (2)) に 相 当 す る 上 院 法 案
( 提 案 議 員 ) Akaka 議 員 ( 民 主 - ハ ワ イ )
提 出 日 : 2007 年 5 月 24 日
(委員会-小委員会)財務
(4) Renewable
Energy,
Enhancement Act
Fuel
Reduction,
and
Economic
Stabilization
and
上 院 法 案 S.298: 「 再 生 エ ネ ル ギ ー 、燃 料 削 減 、及 び 経 済 安 定
化と改善法」
(法案要旨)
・波、潮汐、海流、熱エネルギーを含むオフショア・エネルギーの開発に補助
(Grants) 提 供 を 義 務 付 け 、 こ の 目 的 に 1 億 ド ル の 支 出 を 承 認 す る
( 提 案 議 員 ) Markowgki 議 員 ( 共 和 - ア ラ ス カ )
(委員会-小委員会)財務
- 33 -
提 出 日 : 2007 年 1 月 16 日
(5) California Ocean and Coastal Protection Act
上 院 法 案 S.151「 カ リ フ ォ ル ニ ア 海
洋・沿岸保護法」
(法案要旨)
・外側大陸棚土台に関する法律を改正し、カリフォルニア州沿岸における石油・天
然ガスのリーシング準備、リーシング及び関連活動を禁止する。
( 提 案 議 員 ) Boxer 議 員 ( 民 主 - カ リ フ ォ ル ニ ア )
提 出 日 : 2007 年 1 月 4 日
(委員会-小委員会)エネルギー、天然資源
(6) Coastal State Renewable Energy Promotion Act of 2008
下 院 法 案 H.R.5452:
「 2008 年 沿 岸 州 再 生 エ ネ ル ギ ー 推 進 法 」
(法案要旨)
・ CZMA を 改 正 し 、 沿 岸 州 に 対 し 補 助 ( Grant) を 与 え 、 州 沿 岸 ゾ ー ン に 隣 接 す る
州・連邦の土地の測量をサポートし、探査、開発及び再生エネルギーの生産に潜
在的に適合または不適合を識別する。
( 提 案 議 員 ) Capps 議 員 ( 民 主 - カ リ フ ォ ル ニ ア )
提 出 日:2008 年 2 月 14 日
(委員会-小委員会) 天然資源
公 聴 会:2008 年 2 月 28 日
5.2.13 海 洋 研 究 、 科 学 及 び 教 育 法 案
(1) Hydrographic Services Improvement Act Amendments
下 院 法 案 H.R.3352「 水
路サービス向上法(改正法)」
(法案要旨)
・ Hydrographic Services Improvement Act of 1998 を 改 正 し 、 水 路 デ ー タ の 作 成 、
使 用 に あ た っ て の NOAA の 業 務 を 強 化
・NOAA に 、ハ リ ケ ー ン の よ う な 自 然 、人 工 の 災 害 に 対 応 し て デ ー タ を 提 供 す る 責
務を付与
( 提 案 議 員 ) Young 議 員 ( 共 和 - ア ラ ス カ )
提 出 日 : 2008 年 2 月 7 日
(委員会-小委員会)天然資源
2008 年 3 月 31 日 下 院 通 過
(2) National Sea Grant College Program Act
下 院 法 案 H.R.2836「 全 米 海 洋 助 成 大 学
プログラム法」
(法案要旨)
・ National Sea Grant College Program Act を 改 正 し 、 同 プ ロ グ ラ ム の 2009~ 2013
会計年度の予算歳出を承認する
( 提 案 議 員 ) Faleomavaega 議 員 ( 民 主 - ア ラ ス カ )
提 出 日:2007 年 6 月 23 日
(委員会-小委員会)天然資源-漁業・海洋
(3) Ocean and Coastal Mapping and Integration Act
下 院 法 案 H.R.2400「 海 洋 ・ 沿
岸マッピング及び統合化法」
(法案要旨)
・ NOAA に 対 し 統 合 海 洋・沿 岸 マ ッ ピ ン グ の プ ロ グ ラ ム を 五 大 湖 及 び 沿 海( 沿 岸 州 )
について設置することを指示する。
( 提 案 議 員 ) Bordallo 議 員 ( 民 主 - グ ア ム )
- 34 -
提 出 日 : 2007 年 5 月 21 日
(委員会-小委員会)天然資源-漁業・海洋
2007 年 7 月 23 日 下 院 通 過
(4) Hydrographic Services Improvement Act Amendments
上 院 法 案 S.1582「 水 路 サ
ービス向上法(改正法)」
(法案要旨)
・ 下 院 法 案 H.R.3352( 上 記 (1)) に 相 当 す る 上 院 法 案
( 提 案 議 員 ) Inouye 議 員 ( 民 主 - ハ ワ イ )
提 出 日 : 2007 年 6 月 7 日
(委員会-小委員会)商務
2007 年 7 月 19 日 委 員 会 を 通 過 し た が 、 審 議 未 了
(5) Federal Ocean Acidifications Research and Monitoring (FOARAM)
上院法案
S.1581「 連 邦 海 洋 酸 性 化 研 究 ・ モ ニ タ リ ン グ 法 」
(法案要旨)
・海洋酸性化のプロセスと結果を探証するために研究とモニタリング及び教育を提
供する連邦プログラムを確立する
( 提 案 議 員 )Lautenberg 議 員( 民 主 - ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー )提 出 日 : 2007 年 6 月 7 日
(委員会-小委員会)商務
2007 年 12 月 4 日 委 員 会 を 通 過 し 、 上 院 本 会 議 に 付 託
5.3 第 111 議 会 に お け る 立 法 活 動
第 111 議 会 は 始 ま っ た ば か り で あ る が 、 2009 年 1 月 15 日 、 上 院 は 上 院 法 案 S.22 を
賛 成 73 票 、反 対 21 票 で 可 決 し た 。同 法 案 は 、Omnibus Public Land Management Act
of 2009( 2009 年 包 括 的 公 共 領 地 管 理 法 ) と 称 さ れ 、 こ れ に は 、 次 の 五 つ の 海 洋 政 策 法
が盛り込まれている。
(1) Ocean Exploration and NOAA’s Undersea Research Program Act( 海 洋 探 査 ・ 探
究 /NOAA 海 底 研 究 計 画 法 )
(2) Ocean and Coastal Mapping Integration Act( 海 洋 及 び /沿 岸 マ ッ ピ ン グ 総 合 法 )
(3) Integrated Coastal and Ocean Observation System Act of 2009( 2009 年 統 合 海 洋
観測システム法)
(4) Federal Ocean Acidification Research and Monitoring Act of 2009( 2009 年 連 邦
海洋酸性化研究及びモニタリング法)
(5) Coastal and Estuarine Land Conservation Program( 沿 岸 及 び 沿 岸 河 口 土 地 保 全
計画)
下 院 は 、 S.22 法 案 を 構 成 す る こ れ ら 五 つ の 法 案 の 条 項 を 含 む S.22 法 案 と は 別 の 法 案
を 全 て 第 110 議 会 で 既 に 可 決 し て い た 。 下 院 に S.22 法 案 が 提 出 さ れ た 場 合 、 本 法 案 を
管 轄 す る と 見 ら れ る 下 院 天 然 資 源 委 員 会 の 委 員 長 Nick Rahall 議 員 ( 民 主 党 ウ ェ ス ト バ
ージニア州選出)はこの法案の支持を示唆しており、可決に向けて障害はほとんど無い
ものと考えられる。
- 35 -
6. 海洋関連施策に係る予算
ここでは、連邦政府機関毎の海洋関連施策の予算状況について概観するとともに、主
要 な 海 洋 関 連 施 策 の 実 施 機 関 で あ る NOAA に つ い て そ の 状 況 を 整 理 す る 。
6.1 連 邦 政 府 機 関 に お け る 海 洋 関 連 施 策 に 係 る 予 算
ICOSRMI が ま と め た 議 会 へ の 報 告 書 「 2007 Federal Activities Report to the U.S.
Congress 31 」( 2008 年 1 月 )に お い て は 、連 邦 政 府 全 体 を 通 じ 海 洋 プ ロ グ ラ ム 活 動 に 携
わ る 政 府 機 関 毎 の 予 算 規 模 に つ い て ( 図 表 5) 、 ま た 、 OAP に 掲 げ ら れ た 政 策 分 野 6
分 野 ( 1.1.2 参 照 ) の う ち 4 分 野 を 明 記 し そ れ ぞ れ の 予 算 規 模 に つ い て 、 記 載 さ れ て い
る ( 図 表 6) 。
図表 5
連邦行政機関別海洋関連施策に係る予算
(単位:百万ドル)
年度
機関名
2006
実 績
2007
承認額
2008
要求額
2009
見込額
2010
見込額
2011
見込額
2012
見込額
Department of Agriculture
630
656
710
655
672
677
682
Department of Commerce
2,189
1,913
1,881
2,019
2,104
2,028
1,935
Department of Defense
1,596
1,513
1,455
1,414
1,433
1,402
1,373
31
36
15
14
14
15
15
681
967
741
741
741
741
356
9
9
9
9
9
9
9
2,495
2,455
2,610
2,679
2,775
2,878
2,983
691
975
962
961
961
711
711
3
3
2
2
3
3
3
National Aeronautics and
Space Administration
127
165
139
90
56
51
50
National Science
Foundation
383
413
437
445
451
458
465
1
1
1
1
1
1
1
91
77
74
51
51
51
51
519
519
392
392
392
392
392
12
10
13
10
10
10
10
9,456
9,711
9,440
9,482
9,671
9,424
9,034
Department of Energy
Environmental Protection
Agency
Department of Health
and Human Services
Department of Homeland
Security
Department of the Interior
Marine Mammal
Commission
Smithsonian Institution
Department of State and
USAID
Department of
Transportation
Department of Treasury
計
注 ) 出 典 : 2007 Federal Activities Report to the U.S. Congress( ICOSRMI)
2009 会 計 年 度 以 降 の 「 見 込 額 」 は 2008 会 計 年 度 予 算 要 求 時 の 額 で あ る 。
http://ocean.ceq.gov/2007_Oceans_Report_final.pdf
た施策についても記述されている。
31
- 36 -
こ の 報 告 書 に は 、連 邦 政 府 機 関 が 執 っ
図表 6
政 策 課 題 別 2008 会 計 年 度 要 求 額
(単位:百万ドル)
施策
機関名
Department of Agriculture
Department of Commerce
Department of Defense
Department of Energy
Environmental Protection
Agency
Department of Health and
Human Services
Department of Homeland
Security (FEMA+CG)
Department of the
Interior
Marine Mammal
Commission
National Aeronautics and
Space Administration
National Science
Foundation
Smithsonian Institution
Department of State and
USAID
Department of
Transportation
Department of Treasury
Total
海洋、沿岸 国際的な海
海洋、沿岸及
び五大湖の資 海上輸送へ 及び五大湖 洋科学及び
についての 海洋政策の
源の利用と保
の支援
推進
理解の増進
全を向上
その他
計
707
982
77
0
0
200
890
0
0
555
35
5
0
9
0
0
3
135
453
10
710
1,881
1,455
15
697
0
36
5
3
741
0
0
9
0
0
9
1417
1183
9
2
0
2610
844
6
99
6
7
962
1
0
1
0
0
2
0
0
139
0
0
139
2
0
404
31
0
437
0
0
1
0
0
1
27
0
7
33
7
74
22
370
0
0
0
392
0
4,775
0
2,648
0
1,299
0
87
13
631
13
9,440
注 ) 出 典 : 2007 Federal Activities Report to the U.S. Congress( ICOSRMI)
Department of Commerce( DOC)の 予 算 に は 、NOAA と NIST( National Institute
of Standerds and Technology) が 含 ま れ る が 、 そ の ほ と ん ど が NOAA 予 算 で あ る 。
Department of Defence( DOD) に は 、 海 軍 の 他 、 陸 軍 ( 工 兵 隊 、 Corps of Engnieers)
等 が 含 ま れ 、 米 国 に お い て 港 湾 ・ 航 路 の 整 備 ・ 維 持 を 担 当 す る 陸 軍 工 兵 隊 予 算 が DOD
の 海 洋 施 策 関 連 予 算 の 4 割 前 後 を 占 め て い る 。 Department of Homeland Security
( DHS) の 海 洋 施 策 関 係 予 算 は 、 USCG と FEMA( Federal Emagency Management
Agency) の 予 算 が 含 ま れ る が 、 ほ と ん ど が USCG の 予 算 で あ る 。 Department of the
Interior の 予 算 に は 、 USGS の 他 NPS、 Fish and Wildlife Service( FWS) 等 が 含 ま れ
る。
OAP の 6 分 野 の う ち 、海 洋 資 源 の 利 用・保 全 施 策 に 最 も 予 算 が 配 分 さ れ て お り 、次 い
で海上輸送支援施策、理解の増進(研究及び教育)関係施策となっている。なお、海上
輸送支援施策の中には、港湾建設・維持、航路の維持・改良といったインフラ整備のた
めの経費も含まれている。
- 37 -
ま た 、 3.に 述 べ た 主 要 行 政 機 関 の 予 算 状 況 と 政 策 課 題 毎 の 予 算 配 分 を 図 表 7 に 示 す 。
予算額の大きい陸軍工兵隊も、併せて記載した。
図表 7
主要行政機関の予算状況と政策課題毎の配分
(単位:百万ドル)
海洋、沿岸
海洋、沿岸 国際的な海
及び五大湖
海上輸送へ 及び五大湖 洋科学及び
の資源の利
の支援
についての 海洋政策の
用と保全を
理解の増進
推進
向上
2006
実績
2007
承認額
2008
要求額
2,185.32
1,909.47
1,877.06
52%
11%
30%
0%
7%
NSF
383.22
412.61
437.24
0%
0%
92%
7%
0%
NASA
126.87
164.94
138.81
0%
0%
100%
0%
0%
USGS
110.96
110.16
113.95
57%
0%
42%
0%
0%
海軍
424.5
435.4
452.8
0%
0%
0%
0%
100%
NIH
8.7
8.8
8.6
USCG
2,452.72
2,413.13
2,568.31
54%
46%
0%
0%
0%
陸軍工兵隊
1,167.26
1,068.72
993.15
7%
90%
4%
0%
0%
NOAA
その他
100%
注 2007 Federal Activities Report to the U.S. Congress( ICOSRMI) を 基 に 作 成
政 策 課 題 毎 の 百 分 率 は 、 各 機 関 の 個 々 の 業 務 に つ い て 政 策 課 題 毎 の 百 分 率 と 2008 会 計 年
度 要 求 額 を 示 し て お り 、こ れ ら を 基 に 算 出 し た も の で あ る 。四 捨 五 入 の 関 係 で 合 計 が 100%
に必ずしもならない。
6.2 National Oceanic and Atmospheric Administration の 海 洋 関 連 施 策 と 予 算
NOAA 全 体 の 計 画 に 対 す る 2009 会 計 年 度 の 大 統 領 予 算 案 は 、41 億 980 万 ド ル で あ り 、
2008 会 計 年 度 歳 出 承 認 予 算 39 億 730 万 ド ル に 比 べ 2 億 260 万 ド ル 、 5.2%の 増 加 と な
っ て い る 32 。
6.2.1 2009 会 計 年 度 予 算 案 重 点 要 求 事 項
2009 会 計 年 度 予 算 案 に お い て は 、 以 下 の 5 項 目 に 重 点 を お い て い る 。
(1) 主 た る 業 務 ・ サ ー ビ ス の 継 続
主 た る 業 務・サ ー ビ ス の 継 続 の た め は 、NOAA は 衛 星 や 航 空 機 、船 舶 に よ る デ ー タ
収集が必須であり、現衛星の運用や更新、航空機、船舶の維持・保守に重点をおいて
い る 。現 在 開 発 中 の GOES-R プ ロ グ ラ ム 継 続 の た め 、2 億 4,220 万 ド ル の 増 額 が 要 求
さ れ て い る 。 ま た 、 調 査 船 RAINER 号 の 大 修 理 の た め 610 万 ド ル 、 航 空 機 の 延 命 及
び 運 用 と 保 守 の た め 400 万 ド ル を 要 求 し て い る 。
(2) 「 大 統 領 の 海 洋 イ ニ シ ア テ ィ ブ 」 の サ ポ ー ト
「大統領の海洋イニシアティブ」をサポートするために海洋資源の知識と管理の強
化 を 目 指 し て い る 。 そ の た め 4,910 万 ド ル の 予 算 増 加 が 含 ま れ て い る 。 こ の 増 額 に は
新 た に 施 行 さ れ た Marine Debris Act の 実 施 の た め に 400 万 ド ル が 計 上 さ れ て い る 。
http://www.corporateservices.noaa.gov/~nbo/09bluebook_highlights.html に 、 NOAA の
2009 会 計 年 度 予 算 関 係 資 料 が 掲 載 さ れ て い る 。
32
- 38 -
そ の 他 、 デ ー タ 管 理 と 海 洋 観 測 を サ ポ ー ト す る た め IOOS へ 700 万 ド ル 、 PORTS
( Physical Oceanographic Real-Time System) プ ロ グ ラ ム 33 に 200 万 ド ル を 要 求 し
ている。また、適正な年間漁獲量制限の設定に必要な科学データの独立第三者機関に
よ る レ ビ ュ ー プ ロ セ ス の 向 上 の た め 510 万 ド ル を 要 求 し て い る 。
更 に Magnuson-Stevens Fishery Conservation and Management Act で 2011 年 に
実行が義務付けられている過剰漁獲の禁止のためのサンプリング・プログラム実施に
850 万 ド ル 、 深 海 サ ン ゴ 研 究 に 150 万 ド ル を 要 求 し て い る 。 NOAA は ま た 、
Magnuson-Stevens Fishery Conservation and Management Act に よ り 義 務 づ け ら れ
た 施 策 の た め 、 3,180 万 ド ル を 要 求 し て い る 。
(3) 気 象 警 報 と 天 気 予 報 の 向 上
こ の 予 算 要 求 は 主 た る 業 務・サ ー ビ ス を 維 持 し 向 上 さ せ る た め 、NOAA の 能 力 を 強
化 す る こ と に あ る 。ハ リ ケ ー ン 強 度 予 測 の 改 善 の た め の 研 究 加 速 化 の 予 算 400 万 ド ル
を 含 ん で い る 。 さ ら に 、 カ リ ブ 海 、 メ キ シ コ 湾 及 び 大 西 洋 に 設 置 さ れ た 15 基 の 観 測
ブ イ( Data Buoys)の 運 用 と 保 守 に 300 万 ド ル が 計 上 さ れ て い る 。高 度 気 象 イ ン タ ラ
ク タ ィ ブ 処 理 シ ス テ ム ( Advanced Weather Interactive Processing System
( AWIPS) 34 ) に 660 万 ド ル 、 ウ ィ ン ド プ ロ フ ァ イ ラ ネ ッ ト ワ ー ク ( NOAA Profiler
Network 35 )の 機 能 向 上 と 更 新 の た め に 480 万 ド ル 計 上 さ れ て い る 。NOAA は 、業 務 ・
サービスの維持向上のため、重要不可欠な気象インフラの保守・整備を図っている。
(4) 気 候 モ ニ タ リ ン グ と 研 究 ・ 調 査
NOAA は 全 て の ユ ー ザ ー 、グ ル ー プ へ の 気 候 サ ー ビ ス の 拡 大 と そ の 研 究・調 査 の 向
上 に 関 与 し て い る 。「 全 米 統 合 干 ば つ 情 報 シ ス テ ム 」( National Integrated Drought
Information System( NIDIS) 36 ) の サ ポ ー ト に 重 点 が 置 か れ 、 次 世 代 気 候 予 測 シ ス
テ ム( Climate Forecast System( CFS) 37 )の 開 発 と 運 用 の た め に 200 万 ド ル 要 求 し
ている。数十年間にわたる気候を記録するための衛星用の重要な気候センサーの開発
に 7,400 万 ド ル が に 用 い ら れ る 予 定 で あ る 。
(5) 施 設 へ の 投 資
NOAA は 業 務・サ ー ビ ス 実 施 に 不 可 欠 な 施 設 の 管 理 と 近 代 化 の た め 投 資 を 継 続 し て
おり、職員に対し安全かつ効率の高い作業環境を与える努力を続けている。ハワイ・
ホ ノ ル ル の Ford 島 の 新 し い 太 平 洋 地 域 セ ン タ ー の 建 設 継 続 の た め 4,030 万 ド ル を 要
求している。米南西部の魚類科学センターの施設代替のためのデザインの完了と初期
準 備 に 1,210 万 ド ル が 当 て ら れ る 。 ア ラ ス カ ・ フ ェ ア バ ン ク ス の National
Environmental Satellite, Data and Information Service( NESDIS) 38 司 令 及 び デ ー
タ 収 集 ス テ ー シ ョ ン に お け る オ ペ レ ー シ ョ ン 総 合 施 設 の 建 替 え に 1,170 万 ド ル の 予 算
が計上された。
33
34
35
36
37
38
http://tidesandcurrents.noaa.gov/ports.html
http://www.nws.noaa.gov/ops2/ops24/awips.htm
http://www.profiler.noaa.gov/npn/
http://www.drought.gov/index.html
http://cfs.ncep.noaa.gov/
http://www.nesdis.noaa.gov/
- 39 -
6.2.2 海 洋 施 策 関 連 部 局 の 2009 会 計 年 度 予 算 案
(1) National Ocean Service
NOS の 2009 会 計 年 度 の 予 算 案 は 4 億 8,800 万 ド ル で あ り 2008 会 計 年 度 予 算 案 に
比 べ 2,280 万 ド ル の 増 加 で あ る が 、同 年 の 歳 出 予 算 か ら は 4,790 万 ド ル の 減 少 と な る 。
この予算要求は船舶・航空機の運航のための情報等とサービスの向上、海洋・沿岸観
測の全米ネットワークの調整、海洋廃棄物への対策、及び科学、管理と修復による米
国 の 沿 岸 エ コ シ ス テ ム の 向 上 等 の NOAA の 活 動 を 行 う た め の も の で あ る 。主 な 事 項 は
以下のとおりである。
・ 統 合 海 洋 観 測 シ ス テ ム ( Integrated Ocean Observing System) ····· 700 万 ド ル 増
・チャート・インフラストラクチャーのストリーミングの試み
( Ping to Chart Infrastructure Streaming) ······························· 100 万 ド ル 増
・ 自 動 海 底 ビ ー ク ル ( Autonomous Underwater Vehicle) ················· 70 万 ド ル 増
・物理的・海洋学的リアルタイム・システム
( Physical Oceanographic Real-Time System: PORTS) ················ 200 万 ド ル 増
・全米沿岸河口リザーブ・システムの調査
( National Estuarine Reserve System Research) ······················· 520 万 ド ル 増
・ 海 洋 廃 棄 物 ・ 瓦 礫 ( Marine Debris) ········································ 400 万 ド ル 増
・ 部 署 の ベ ー ス 予 算 ( Response and Restoration Base) ···················· 520 万 ド ル
・沿岸及び河口地域の土地保全プログラム
( Coastal and Estuarine Conservation Program) ······················· 700 万 ド ル 増
・ 海 洋 研 究 優 先 計 画 の 実 施 ······················································ 1,000 万 ド ル 増
(2) National Marine Fisheries Service
2009 会 計 年 度 予 算 と し て NMFS は 7 億 8,230 万 ド ル を 要 求 し 、2008 会 計 年 度 の 予
算 案 に 比 べ 1,370 万 ド ル の 減 少 で あ り 、 さ ら に 同 年 の 歳 出 予 算 か ら は 4,610 万 ド ル の
減 少 と な っ て い る 。 ま た 、 2009 会 計 年 度 予 算 案 は 、 Magnuson-Stevens Fishery
Conservation and Management Act の 再 承 認 法 に よ る 新 し い 要 求 事 項 、 す な わ ち 、
過剰漁獲の禁止、魚類再生、市場ベースの管理手法の推進、レクリエーションに関す
るデータの収集、共同研究プログラムの拡大、かつ漁業に係る国際取決めの執行の強
化には対応したものである。主な事項は以下のとおりである。
・ 漁 獲 資 源 量 の 評 価 ································································· 850 万 ド ル 増
・ 年 間 漁 獲 制 限 ( Annual Catch Limits: ACLs) と 割 当 ···················· 510 万 ド ル 増
・ レ ジ ャ ー フ ィ ッ シ ン グ の 統 計 ·················································· 300 万 ド ル 増
・ 経 済 学 及 び 社 会 学 的 な 研 究 調 査 ················································ 470 万 ド ル 増
・ 違 法 ま た は 不 適 切 な 釣 の 規 制 と 監 督 ·········································· 320 万 ド ル 増
・ 西 部 及 び 中 部 太 平 洋 漁 業 管 理 コ ミ ッ シ ョ ン ································· 100 万 ド ル 増
・ 深 海 サ ン ゴ の 研 究 調 査 ··························································· 150 万 ド ル 増
・ Magnuson-Stevens Fishery Conservation and Management Act に 係 る
協 同 研 究 調 査 ······································································ 120 万 ド ル 増
・ バ イ チ ャ ッ チ ( Bycatch) の 削 減 ················································ 60 万 ド ル 増
・ 北 極 生 物 資 源 調 査 ··································································· 50 万 ド ル 増
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(3) Office of Oceanic and Atmospheric Research
OAR は 2009 会 計 年 度 に 3 億 8,200 万 ド ル の 予 算 要 求 を 行 い 、 2008 会 計 年 度 予 算
要 求 に 比 べ 1,390 万 ド ル の 増 加 で あ る が 、 同 年 の 歳 出 予 算 レ ベ ル か ら 1,540 万 ド ル の
純減少となっている。主な事項は以下のとおりである。
・ NIDIS、 CFS ······································································· 200 万 ド ル 増
・ 海 洋 蒸 発 プ ロ セ ス 研 究 調 査 ( Water Vapor Process Research) ········· 90 万 ド ル 増
・北極探査無人航空システム・データ分析
( Arctic Unmanned Aircraft Systems (UAS) Data Analysis) ··········· 30 万 ド ル 増
・大西洋子午線海洋逆流循環のアセスメント
(A-MOC: Asses Atlantic Meridional Overturning Circulation) ····· 100 万 ド ル 増
・オペレーション上の天候予測、数値的予報開発のテスト台センターの改善向上
( DTC Improve-ments to Operational Weather Forecasts, Numerical
Prediction Development Test-bed
Center) ······························· 10 万 ド ル 増
・ 無 人 航 空 シ ス テ ム ( UAS: Unmanned Aircraft Systems) ·············· 300 万 ド ル 増
・ 2008 会 計 年 度 包 括 歳 出 予 算 法 か ら の プ ロ グ ラ ム 復 活 ····················· 160 万 ド ル 増
(4) National Weather Service
NWS の 2009 会 計 年 度 予 算 案 は 9 億 3,070 万 ド ル で あ り 、 2008 会 計 年 度 予 算 案 か
ら 2,720 万 ド ル の 純 増 で あ り 、 ま た 2008 会 計 年 度 歳 出 予 算 に 比 べ 1,930 万 ド ル の 純
増にもなっている。生命を守るため信頼できる予報・警報を生み出し、実用に供する
最先端技術を採用し、コスト効率の高い方法で、かつ天候、海洋・河川水及び気候情
報の経済価値を向上させている。
・ 2008 会 計 年 度 包 括 歳 出 予 算 法 か ら の プ ロ グ ラ ム 復 活
( 天 候 予 報 、 気 象 警 報 関 連 の プ ロ グ ラ ム が 多 い ) ························ 1,010 万 ド ル 増
・ハリケーン及び気候変動のサポート・オペレーション
( Hurricane and Climate Support Operations) ·························· 530 万 ド ル 増
・ NOAA 天 候 ラ ジ オ ・ シ ス テ ム ( NOAA Weather Radio) ··············· 290 万 ド ル 増
・ AWIPS ·············································································· 660 万 ド ル 増
・ NOAA Profiler Network ························································ 480 万 ド ル 増
・ハリケーン予報モデリングの運用・保守整備
( Hurricane Forecast Modeling( HWRF) ) ······························ 430 万 ド ル 増
・ 観 測 ブ イ 、 海 洋 セ ン サ ー の 運 用 ・ 保 守 ( Data Buoy Ocean Sensor) 140 万 ド ル 増
・自動海面観測システム
( ASOS: Automated Surface Observing System) ·························· 70 万 ド ル 増
・ 航 空 気 象 シ ス テ ム ( Aviation Weather Systems) ·························· 70 万 ド ル 増
・ 火 災 天 候 モ デ リ ン グ ・ サ ポ ー ト ( Fire Weather Modeling Support) ·· 60 万 ド ル 増
(5) National Environmental Satellite, Data and Information System
NESDIS は 2009 会 計 年 度 に 総 額 11 億 5,790 万 ド ル の 予 算 を 要 求 し 、 2008 会 計 年
度 レ ベ ル の 予 算 案 に 比 べ 1 億 7,960 万 ド ル の 純 増 と な り 、 ま た 、 2008 会 計 年 度 歳 出
予 算 に 比 べ 2 億 280 万 ド ル の 純 増 と な っ て い る 。 こ の 予 算 案 は NOAA の 衛 星 及 び 情
報サービス、衛星によるデータ収集及びその支援インフラの活動を可能にするもので
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ある。これらの活動は、地球のモニター、資源の管理を通じて米国経済及び人命・財
産 の 保 護 等 の NOAA の 使 命 達 成 を サ ポ ー ト す る の で あ る 。
・航行安全のための海氷の衛星イメージ
( Ice Satellite Imagery for Navigation Safety) ···························· 50 万 ド ル 増
・ 気候観測センサーとデータ記録(Climate Sensors and Data Records) 7,400 万 ド ル 増
・ 地 上 シ ス テ ム の 改 良 ・ 向 上 ( Ground Systems Improvements) ········ 50 万 ド ル 増
・ 海 洋 海 面 ベ ク タ ー 風 力 調 査 ( Ocean Surface Vector Winds Studies) 300 万 ド ル 増
・ GOES-R プ ロ グ ラ ム ························································· 2 億 4,220 ド ル 増
・ 地球極周回衛星システム(POES: Polar-orbiting Satellite System) ··· 4,890 万 ド ル 減
・ 軌 道 静 止 衛 星 シ ス テ ム ( GOES-N-Series) ································· 700 万 ド ル 減
(6) Office of Marine and Aviation Operations
OMAO は 2009 会 計 年 度 に 1 億 9,820 万 ド ル の 予 算 を 要 求 し 、 2008 会 計 年 度 予 算
案 か ら 1,330 万 ド ル の 純 増 で あ り 、 か つ 2008 会 計 年 度 歳 出 予 算 に 比 べ 1,620 万 ド ル
の純増となっている。
・ NOAA 船 舶 ク ル ー の 安 全 と 勤 務 ロ ー テ ー シ ョ ン
( Maritime Crew Safety and Rotation) ···································· 170 万 ド ル 増
・ NOAA 航 空 機 の 追 加 オ ペ レ ー シ ョ ン と メ ン テ ナ ン ス
( Additional Operations and Maintenance for NOAA Aircraft) ····· 400 万 ド ル 増
・ NOAA 調 査 船 RAINIER 号 の 大 修 理
( Major Repair Period (MRP) for the RAINIER) ························ 610 万 ド ル 増
・海洋哺乳動物・エコシステムのモニタリング・システム
の キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン ( Bell M. SHIMADA Calibration) ············· 100 万 ド ル 増
(7) NOAA Program Support
PS の 予 算 案 は 2009 会 計 年 度 に お い て は 3 億 2,090 万 ド ル で あ り 、 2008 会 計 年 度
予 算 案 提 起 か ら 6,360 万 ド ル の 純 増 で あ り 、 ま た 、 2008 会 計 年 度 歳 出 予 算 に 比 べ て
5,710 万 ド ル の 純 増 と な っ て い る 。
・ 追 加 的 調 達 と 助 成 金 ( Grant) 部 署 へ の サ ポ ー ト
( Additional Acquisition and Grant Office
(AGO) Support) ········ 120 万 ド ル
・ 競 争 的 教 育 グ ラ ン ト ( Competitive Educational Grants) ············· 100 万 ド ル 増
・南西部地域魚類科学センター
( Southwest Fisheries Science Center) ·································· 1,210 万 ド ル 増
・ 太 平 洋 地 域 ( 海 洋 ) セ ン タ ー ( PRC: Pacific Regional Center) ···· 4,030 万 ド ル 増
・フェアバンクス指令及びデータ収集ステーション
( CDAS: Fairbanks Command and Data Acquisition Station) ····· 1,170 万 ド ル 増
6.3 National Oceanic and Atmospheric Administration の 自 己 評 価
ク リ ン ト ン 前 政 権 下 の 1990 年 代 に 「 政 府 の 予 算 計 画 実 績 と 成 果 に 関 す る 法 」
( Government Performance & Results Act( GPRA))が 施 行 さ れ 、閣 僚 レ ベ ル の 省 庁
機 関 は 毎 年 の 予 算 案 準 備 の 際 に 、 大 統 領 府 の 管 理 予 算 局 ( Office of Management and
Budget( OMB) ) に 対 し 少 な く と も そ の 予 算 年 度 の 前 年 、 前 々 年 の 予 算 計 画 の 実 績 ・
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成果の自己評価を提出し、その予算要求書の一部とすることが義務付けられている。
NOAA は 商 務 省 の 自 己 評 価 と は 別 に 、 単 独 で 自 己 評 価 を 行 っ て い る 。 NOAA の 2009
会 計 年 度 予 算 要 求 書 の 第 一 章 は 「 2007 年 NOAA の プ ロ グ ラ ム 実 績 と そ の 成 果 」 と 題 さ
れ て い る 39 。 そ の 中 で 、 NOAA は 主 要 政 策 措 置 の 分 類 分 野 を 構 成 す る プ ロ グ ラ ム 細 目 事
項 に つ い て 以 下 の と お り 、2007 会 計 年 度 の 目 標 と 実 際 の 成 果 を 数 値 化 し 百 分 率 で 提 示 し 、
か つ A~ D の 全 般 評 価 を 行 っ て い る 。そ の 概 要 は 以 下 の と お り で あ る 。( A: 目 標 を 超 越
し た 成 果 、 B: 目 標 に 合 致 し た 成 果 、 C: 目 標 を 僅 か に 下 回 っ た 結 果 、 D: 目 標 達 成 に 至
らず)
・天候と海洋
事項例:米国の気温予測(累積的なスキルのスコアー)
2007 会 計 年 度 の 目 標 : 19
2007 会 計 年 度 の 実 績 : 29
総合評価点:A
・気候
事項例:海面温度のグローバル測定における誤りの削減
2007 会 計 年 度 の 目 標 : 0.5℃
2007 会 計 年 度 の 実 績 : 0.5℃
総合評価点:B
・エコシステム
事 項 例:海 洋 生 物 資 源( LMR)に つ い て 適 正 な 生 物 人 口 の ア セ ス メ ン ト と 予 測 の
成功比率
2007 会 計 年 度 の 目 標 : 40%
2007 会 計 年 度 の 実 績 : 40.6%
総合評価点: B
・商業及び運輸:
事 項 例 : 海 洋 、 沿 岸 及 び 五 大 湖 の 生 息 地 区 ( Habitat) と し て 長 期 的 保 護 区 と し
て取得または指定された年間のエーカー面積
2007 会 計 年 度 の 目 標 : 2,000 エ ー カ ー
2007 会 計 年 度 の 実 績 : 3,020 エ ー カ ー
総合評価点: A
・ 使 命 達 成 ( Mission) サ ポ ー ト
Mission サ ポ ー ト 目 標 に 関 連 し た GPRA 測 定 は 無 い
3 9 http://www.corporateservices.noaa.gov/~nbo/FY09_Rollout_Materials/Chapter_1_NOAA_A
ccomplishments.pdf
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7. 海洋政策に係る課題
オ バ マ 新 政 権 の 誕 生 を 控 え た 2008 年 末 、 JOCI( 4.1 参 照 ) や COL( 4.2 参 照 ) は オ
バマ政権が取り組むべき海洋政策の優先課題について提言を行った。ここでは、今後米
国が取り組まなければならないであろう海洋政策の課題について、考察する。
7.1 Joint Ocean Commission Initiative の 提 言
JOCI の 提 言 は 、「 Joint Ocean Commission Initiative Calls On New Federal Agency
Leadership To Prioritirize Oceans 40 」と 題 す る 2008 年 12 月 10 日 付 の プ レ ス リ リ ー ス
をもって行われた。その概要は、以下のとおりである。
・エ ネ ル ギ ー 長 官 と EPA 長 官 は 、新 設 の 気 候 変 動 担 当 大 統 領 補 佐 官 と と も に 、海 洋 ・
沿岸に影響を及ぼしている大きな問題に対処するために、商務長官と直ちに作業を
始めなければならない。
・まず最初に、包括的な海洋政策を確立し、海洋・気候科学への投資を増加させ、国
連海洋法条約の批准を通して、経済と安全保障を確保しなければならない。
・海洋、沿岸及び五大湖が非常な経済的で生態学的な価値を持つことは、否定できな
い 。 地 球 の 70%は 青 い 海 で あ り 、 米 国 の GDP の 半 分 、 6 兆 1,000 億 ド ル は 海 洋 経
済から生じる。したがって、オバマ政権は、新政権は将来の経済発展を確保し海洋
の継続的な悪化を抑制するために、攻撃的アプローチを執らなければならない。
・地球温暖化の最初の犠牲者は海洋である。これを認識しないことは、地球温暖化と
気候変動がコミュニティに及ぼす影響を認めることができないこと以上に、米国と
世界に対する大きな脅威となる。土地・海洋・大気の連結を認識し反応するととも
に、きれいな空気ときれいな水を得たのと同様の優先度で「健康な海」を識別する
包括的な国家政策を策定しなければならない。
・産官学横断的な人材及び専門家、かつ、気候変動における海洋の役割と経済及びエ
コシステムへの影響を理解するとともに国際的な海洋政策における米国のリーダー
シ ッ プ の 再 構 築 の た め の 追 加 資 金 の も と 、海 洋 は 新 た な 管 理 手 法 を 必 要 と し て い る 。
JOCI は 、 ブ ッ シ ュ 政 権 と は 異 な り 、 環 境 重 視 の 姿 勢 を 打 ち 出 し た オ バ マ 政 権 に 一 定
の評価をしつつも、実行の速度を求めて提言を行ったものと思われる。
なお、提言においても改めて指摘された国連海洋法条約批准については、民主、共和
両 党 に 批 准 賛 成 の 議 員 が 多 数 い る に も か か わ ら ず 、第 110 議 会 で も 上 院 本 会 議 に お い て
批准が承認されていない。相当量の資源が埋蔵されると推定される北極海の領有問題と
も関係し、オバマ政権における重要かつ困難な課題の一つとなる可能性がある。
4 0 http://www.jointoceancommission.org/news-room/news-releases/2008-12-10_Joint_Initiati
ve_Calls_on_New_Federal_Agency_Leadership_to_Prioritize_Oceans.pdf
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7.2 Consortium for Ocean Leadership の 提 言
COL の 提 言 は 、 「 Ocean Science Priorities for the Obama Administration 41 」 と 題
するメモをもって行われた。その概要は、以下のとおりである。
(1) 科 学 技 術 を 重 視 し た 政 策 を 遂 行 す る こ と 。
ブッシュ政権においては、政治任命された者が科学研究の成果の公表内容が制限
された結果、国民の信頼を失い科学技術への取組みを後退させた。したがって、①
閣 僚 級 の 「 大 統 領 科 学 ア ド バ イ ザ ー 」 ポ ス ト を 再 設 置 す る こ と 、 ② NSF を 通 じ て 、
科 学 研 究 へ の 投 資 を 拡 大 す る こ と 、ま た 、そ の 一 部 と し て NOAA の 海 洋・気 象 プ ロ
グ ラ ム 、 NASA の 地 球 科 学 プ ロ グ ラ ム 、 USGS の 海 洋 ・ 沿 岸 プ ロ グ ラ ム を 含 め る こ
と、③連邦政府の科学者がその研究成果につき国民や政策責任者と自由な情報交換
ができるよう措置すべきである。
(2) 気 候 変 動 に 対 し 、 的 確 に 取 り 組 む こ と 。
海洋は、熱、水分、空気の吸収・放出を通じて気候に対し大きな影響を与える。
しかしながら、現在起こっている塩分濃度の変化や水温上昇等海洋の変化は充分解
明されていない。海洋と沿岸の資源を管理していくためには、過去と現在の状況を
正確に評価し、海洋が気象に影響与えるプロセスの将来の気候変動について信頼で
き る 予 測 が 必 要 で あ る 。ま た 、沿 岸 地 帯 が 米 国 の 国 内 生 産 高( GDP)の 半 分 以 上 を
生み出しており、気候変動がもたらす最も大きな影響を考えれば、海洋は気候変動
の議論の中で、もっと取り上げられるべきである。海洋における二酸化炭素や他の
温室効果ガスの管理と貯蔵に係る戦略は、研究成果に基づかなければならない。ま
た、二酸化炭素排出権取引による財源等が海洋科学活動に提供されることは、①海
洋資源の管理・使用に関する研究と同様、急速に変化する海洋の大気または陸との
相互作用、酸性化、生産性、海面高さその他の物理的、化学的、生物的基礎研究の
促進、②陸上施設や調査船、衛星等を通じたモニタリングデータの質の向上、③こ
れらのデータを活用した分析、モデル化、予測の向上、に繋がる。
(3) エ ネ ル ギ ー 安 全 保 障 の 強 化
米国は石油、天然ガス等を外国に依存しており、メキシコ湾沖合のオフショア開
発が進んだとしても、需要を満たすことはできない。海洋は、相当量の再生可能エ
ネルギーが潜在していると考えられる。海洋エネルギーの利用により、海外石油・
天然ガス依存度の低減、汚染物質・温室効果ガス排出低減ができる。このため、オ
フショア開発のロイヤリティの一部が「海洋信託基金」を通じて、①海流、潮汐、
波、熱による再生可能エネルギーの利用、②海洋の現状を把握して将来像をモデル
化するとともに海洋及び沿岸における気候変動の影響を評価できるモニタリングシ
ステム、③海洋・沿岸管理者に対する適合・影響緩和戦略、再投資されるべきであ
る。
COL は 、米 国 の 人 口 が 海 岸 線 地 帯 に 集 中 し て い る こ と か ら 、経 済 、セ キ ュ リ テ ィ 、生
活 の 質 が 海 洋 に 依 存 し て い る と 指 摘 し て い る 。COL は 、オ バ マ 政 権 に 対 し 、海 洋 科 学 ・
エンジニアリングの重視と進歩を奨励し、技術開発、商業及び外交を通して米国の国家
持続性、米国の経済的軍事的優位性確保に役立つ、としている。
41
http://www.oceanleadership.org/files/oceansciencepriorities.pdf
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この報告書は競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成しました。
米国海洋政策の現状と課題
2009 年 ( 平 成 21 年 ) 3 月 発 行
発行
社団法人 日本中小型造船工業会
〒 105-0001
東 京 都 港 区 虎 ノ 門 1-15-16 海 洋 船 舶 ビ ル
TEL 03-3502-2063
FAX 03-3503-1479
本書の無断転載、複写、複製を禁じます。
米国海洋政策の現状と課題
二〇〇九年三月