1857.現実がよく見えた人だった。なだいなださんは、ネット上の仮想政党「老人党」をつくり、… 朝日新聞「天声人語」2013.6.11. (傍線:吉田祐起引用) 現実がよく見えた人だった。なだいなださんは、ネット上の仮想政党「老人党」をつくり、政権交代 を目指した。09年、民主党政権ができる直前、日本政治の惨状を肺炎に見立てた 。交代が実現し ても「患者の熱が一時下がっただけのようなもの」と、本紙に語っている ▼政権交代を3回、4回と重ね、治療を続けてやっと肺炎は治っていく。政治が一挙に変わるかの ような空気の中、この精神科医が下した診断は透徹していた。多才な文筆家でもあった、なださん が亡くなった ▼現実を見すえつつ楽観主義を貫いた。名著『権威と権力』では、〈絶望的な状況でも、希望を失わ ない人間〉に自身をなぞらえる。そして理想とは〈たどりつけるもの〉ではなく、〈見つめるべきもの〉 である ▼権威も権力もない社会は来ないとわかった上で、状況への発言を続けた。第1次安倍政権のナ ショナリズムへの傾斜を「国家中毒」と批判した。いまのアベノミクスも疑い、先月末には〈浮いた気 分も、もう終わりでしょう〉と書いた ▼大切にした臨床での心得がいい。アルコール依存症は「治す」のではなく、患者と「つき合う」。医 師の仕事は「人間というものがよく見えるし、自分自身のいいところ悪いところが鏡のように映る」 ▼残り少なくなった日々、周りの家族のつらさを深々と気遣っている。ブログに〈結局死んでいくぼく が一番楽なのかもしれない〉と綴(つづ)った。「自分から一歩外に出て自分を見る」流儀を最後まで 通して逝った。 ヨシダコメント: 「なだいなだ」さんのことを知らなかったことからグーグルしたら、偶然下記の写真記事に出会った のでそのまま添付します。本名は「堀内秀さん」・精神科医・享年83歳。ヨシダより1歳余のお兄さ んのご年齢でした。 精神科医のなだいなださん死去 NHK ニュース2013.6.9. アルコール依存症の研究の先駆者として知られ、エッセーや小説など作家としても活動した神奈 川県在住の精神科医、なだいなださんが亡くなりました。83歳でした。 -1- なだいなださん、本名、堀内秀さんは昭和4年、東京で生まれ、慶応大学医学部を卒業したあと、 フランスに留学し、精神科医としてアルコール依存症の治療について研究しました。 昭和30年からは作家としての活動も始め、スペイン語で「何も無いと何も無い」を意味する「なだ いなだ」のペンネームで『娘の学校』や『お医者さん』などのエッセーや小説を発表したほか、社会 情勢についての評論も行いました。さらに、平成15年には、インターネット上のバーチャル政党「老 人党」を立ち上げ、「老人を含む弱い立場にいる人の暮らしやすい社会をつくるために行動しよう」 と広く呼びかけて話題になりました。 なだいなださんは、出版社のPR誌にコラムを連載するなど、最近も執筆活動を続けていました が、自身のブログではがんを患い、闘病していることを明かし、最後の更新となった今月6日の記 事では「痛み止めに頼る生活だ。月末、フランスに行って、そこでフランス語で最後の講演をするつ もりだったが、どうもこの状況では難しくなってきた」と記していました。 ヨシダコメント(つづき) 精神科医は心に病をもつ患者の心と正面から向かい合い、治癒に手を貸す職業。それだけに、人 間的な心の深さがあると思考します。政治批判に発展するのはその延長線上にあるものと思考し ます。 ・・・アルコール依存症は「治す」のではなく、患者と「つき合う」。医師の仕事は「人間というものがよ く見えるし、自分自身のいいところ悪いところが鏡のように映る・・・がそのことを如実に語ります。 ご自身のブログで最期まで発信し続けられた同氏の御霊に謹んで哀悼の意を表します。人間、かく あるべし、と肝に銘じてヨシダは生きていきます。合掌 No.1(1-300) No.2(301-400) No.3(401-500) No.4(501-700) No.8(1101-1300) No.9(1301-1500) No.10(1501-1700) -2- No.5(701-900) No.7(996-1100) No.11(1701-1900)
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