アレルギー科後期研修プログラム

鳥取生協病院
鳥取生協病院
アレルギー科 後期研修プログラム
アレルギー専門医(内科系)の到達目標:
内科系アレルギー専門医の到達目標は、内科領域の知識と臨床経験を十分に有した上で、
アレルギー疾患を有した成人患者に対して専門的かつ正確な診療を行うことのできる医師
となることである。
具体的には、以下に精通することが必要である。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
アレルギー疾患全般に対して、各種検査方法を用いて原因アレルゲンの検索と同定が
でき、原因アレルゲンに応じた患者指導と治療ができる。
各種のアナフィラキシー既往者に対して、アレルゲンの同定とその回避指導、アドレ
ナリン自己注射システムの教育指導を含めた長期管理ができる。また急性のアナフィ
ラキシー(様)反応に対し、的確かつ迅速に対応できる。
思春期から、高齢者喘息まで、妊娠中の患者をふくめ幅広い年齢層の気管支喘息患者
の長期管理ができ、特に難治性喘息を的確に管理できる。
急性の重症喘息発作に対して、的確かつ迅速な対応ができる。
特殊喘息(職業性喘息、アスピリン喘息など)の適切な診断と患者指導、治療ができ
る。
慢性咳嗽を正確に鑑別し治療ができる。
各種アレルギー性呼吸器疾患(急性・慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺真菌
症、過敏性肺炎、薬剤性肺炎)の診断と治療ができる。
薬剤過敏症や薬剤アレルギー患者に対する対応や指導ができる。
花粉症・アレルギー性鼻炎の原因アレルゲンを同定し、ガイドラインに基づいた管理・
治療ができる。
奪麻疹・アトピー性皮膚炎に対してガイドラインに基づいた管理・治療ができる。
口腔アレルギー症候群やラテックスアレルギーを的確に診断し指導ができる。
アレルギー性肉芽腫性血管炎を診断し治療ができる。
好酸球増多疾患の鑑別ができる。
以下の項目は所属医療機関の地域や規模等により診療内容に差異があるために必須ではな
いが、アレルギー専門医(内科系)として精通するよう努力すべき項目である。
1)アレルゲン免疫療法
2)アレルゲン皮膚テスト(特にプリックテスト)を中心としたアレルゲンの同定
3)薬剤アレルギーや NSAIDs 不耐症の精査(負荷試験も含め)
4)気道過敏性検査
5)アレルゲン吸入負荷試験
6)誘発喀痰や呼気一酸化窒素濃度測定を用いた気道炎症の評価
7)環境真菌に対する沈降抗体や IgG 抗体測定
1
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アレルギー専門医(内科系)の診療実績目標:
以下は内科系アレルギー専門医の取得に際して望まれる診療実績の目標であり、専門医受
験時の診療実績提出の際に参考とすべきものである。( )に示したものは、所属医療機関
の地域や規模等により診療疾患の内容や数に差異があるため必須とはしていない努力目標
である。
1.
疾患別診療実績
1) 気管支喘息長期管理
:50 例(うち 10 例以上がステップ 4)
2) 急性喘息発作
:中発作 10 例、大発作 3 例
3) 咳瑞息、アトピー性咳嗽
:計 5 例
4) アナフィラキシー(食物依存性運動誘発性アナフイラキシーを含む)
: 5 例(うち急性期 2 例)
5) 花粉症
:20 例
6) アレルギー性鼻炎(通年性)
: 5例
7) 好酸球性肺炎・アレルギー性気管支肺真菌症:(各 2 例)
8) 過敏性肺炎
:(2 例)
9) 昆虫アレルギー(ハチを含む)
:(2 例)
10) 薬物アレルギー
:(2 例)
11) 薬剤性肺炎
:(1 例)
12) 食物アレルギー
: 3例
13) アトピー性皮膚炎
: 3例
14) 葦麻疹/血管浮腫
: 3例
15) 口腔アレルギー症候群
:(3 例)
16) アレルギー性肉芽腫性性血管炎
:(1 例)
17) 好酸球増多症候群
:(1 例)
2.
検査治療実績
1) アレルゲン同定
:特異的 IgE 抗体測定 30 例(または皮膚テス
ト 20 例)
2) アレルゲン回避指導
:30 例
3) アレルゲン免疫療法
:(導入 10 例、維持療法 20 例)
4) アドレナリン自己注射指導
:(5 例)
5) ピークフロー管理指導
:20 例
6) 気道可逆性検査 1
:(10 例)
2
7) 気道過敏性検査
:(5 例)
8) アレルゲン誘発試験(薬剤アレルギーのチャレンジを含む)
:(5 例)
9) 誘発喀痰または BAL 細胞分画検査 :(5 例)
10) 環境真菌に対するIgG抗体または沈降抗体測定 3 : (2 例)
参考テキスト
1) 臨床アレルギー学
2) Japanese Journal of Allergology 等
1
2
3
一般呼吸機能検査としての保険適応となる。
一般呼吸機能検査としての保険適応となる.
一部が保険適応ではないので注意を要する。
2
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研修計画書
研修計画
週間計画
研修医は若干名のアレルギー疾患ないし膠原病の入院患者及び外来患者を担当し、こ
れらの疾患の検査・治療・管理を学習する。
•
月曜:入院アレルギー疾患及び膠原病の入院患者の症例検討
週間の検査、治療方針の決定
•
火曜:外来アレルギー性疾患患者の診断の研修・症例検討会
•
木曜:入院患者回診、抄読会
•
月曜~土曜:入院・外来のアレルギー・膠原病患者についての検査の指導
(呼気誘発試験、気管支鏡検査、細胞検査、皮膚反応など)
月間計画
1 ヶ月毎に担当患者の経過ようやく、実施検査の結果、学習内容要約を報告し、指導医
の指導・援助を受ける。
心身医学、膠原病学、気管支鏡検査担当の医師より担当患者の検査結果を中心に指導
を受ける。
年間計画
第 1 年度は 2 例、第 2 年度は 4 例以上の症例報告学会、研究会で行う。研修 2 年間に
3 例以上の症例報告を雑誌に掲載する。
3
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アレルギー専門医カリキュラム
【総論】
A:十分理解している
B:概略を理解している
なお制度規程第 5 章の教育研修は、既に認定資格を取得している基盤学会に関連する診療科の教育施設で
当該科のカリキュラムに従い行う。
I.
アレルギー一反応
1.
アレルギー一反応のクームス分類
(I-1V 型、血清病など)
2.
A
アレルゲン
A
3.
サイトカインとケモカイン
A
4.
神経ペプチド
A
5.
急性炎症と慢性炎症
A
A
(2) 食物アレルゲン
A
1.
大気汚染
A
(3) 接触アレルゲン
A
2.
室内汚染物質
A
(4) 薬物アレルゲン
A
(5) 見虫アレルゲン
A
1.
自然免疫(食菌能含む)と獲得免疫
A
(6) ワクチン、ゼラチン
A
2.
免疫学的診断
A
3.
ワクチン、予防注射
A
4.
抗血清、γ グロプリン療法
A
ど)
IV. 環境因子
V. 感染
A
II. 免疫
免疫系の構成と機能
(1) ヘルパーT 細胞とサイトカイ
ン(TH1、TH2 など)
2.
炎症細胞
(1) 吸入(空中)アレルゲン
(7) ラテックス(職業アレルギーな
1.
2.
VI. 関連各臓器の構造と機能
A
VII. 心身医学(検査法と治療)
B
VIII. 検査法
A
1.
アレルゲン皮膚テスト
A
(2) 制御性 T 細胞
A
2.
IgE 抗体検査法
A
(3) 細胞と免疫グロプリン
A
3.
IgG 抗体検査法
A
(4) 樹状細胞と抗原提示
A
4.
細胞免疫検査法
A
(5) Toll 様受容体
A
5.
抗原誘発試験
A
IX. 治療法
免疫遺伝学
(1) 遺伝子多型(HL、SNP など)
A
1.
原因の確認
A
(2) 遺伝子環境相互作用
A
2.
原因の回避
A
A
3.
アレルゲン免疫療法(適応疾患、適応
3.
移植免疫
4.
免疫不全
アレルゲン)
(1) 液性
A
4.
薬物療法
(2) 細胞性・分類不能型
A
5.
副腎皮質ステロイド薬の副作用(追
III. アレルギー性炎症
1.
化学伝達物質
加)
A
6.
4
抗 IgE 療法、サイトカイン療法ほか
A
A
A
A
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【各論】
A:担当医として複数例を経験すること
B:可能な限り 1 例以上を経験すること(コンサルテーションに対応できるレベル)
C:概略を理解していること
I.
全基盤診療科共通
1.
アナフィラキシー(診断・自己注射指
導等治療)
2.
気管支端息(ピークフロー管理、吸
入、ステロイド指導等)
A
2.
A
(8) 喘息重積状態
A
(9) 咳喘息・慢性咳轍
A
各種アレルギー性呼吸器疾患
(1) アレルギー性気管支肺真菌症
A
(2) 過敏性肺炎
A
(3) 急性・慢性好酸球性肺炎
A
3.
花粉症
A
4.
口腔アレルギー症候群
A
5.
アレルギー性鼻結膜炎
A
6.
じんま疹・血管性浮腫
A
4.
高 IgE 症候群
C
7.
アトピー性皮膚炎
A
5.
NSAIDs 不耐症精査
B
8.
食物アレルギー
A
6.
気道過敏性検査あるいは気道可逆
9.
薬物アレルギー
A
10. 見虫アレルギー
B
11. ラテックスアレルギー・職業アレル
ギー
3.
芽腫性血管炎等)
性試験
B
スト
7.
アレルゲン吸入負荷試験
8.
誘発塔疾または BAL による気道炎
症評価
12. アレルゲン皮膚テスト
(1) プリックテスト・スクラッチテ
好酸球増多症候群(アレルギー性肉
9.
環境真菌に対する抗体検査
A
A
B
A
A
III. 小児科系
A
1.
小児期免疫発達理論に基づく発症
C
(2) パッチテスト
A
13. アレルゲン回避指導
A
2.
乳幼児アトピー性皮膚炎
C
14. アレルゲン免疫療法
A
3.
乳幼児端息
C
4.
学童期・思春期端息
A
5.
運動誘発端息
A
6.
食物アレルギーの確定診断と長期
予防
II. 内科系
1.
各種喘息
(1) 難治性喘息
A
(2) 思春期端息
A
(3) 高齢者端息
A
(4) 職業性端息
A
(5) 妊娠中の喘息患者
A
8.
学校・保育園等集団生活での指導
(6) アスピリン端息
A
9.
先天性(原発性)免疫不全症の診断と
(7) 運動誘発端息
A
管理
7.
食物依存性運動誘発アナフィラキ
シー
治療
5
A
A
B
C
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IV. 耳鼻科系
1.
鼻過敏症の鑑別診断
2.
通年性アレルギー性鼻炎と花粉症
の診断治療
3.
慢性咳嗽・咽喉頭異常感覚症
4.
Wegener 肉芽腫等耳鼻咽喉科領域
の自己免疫疾患
5.
化学物質過敏症
VII. 膠原病とその類縁疾患
C
A
A
C
B
V. 皮膚科
1.
皮膚アレルギー疾患
(1) 接触皮膚炎
B
(2) 難治性アトピー性皮膚炎
B
(3) 難治性蕁麻疹
B
(4) 痒疹
B
(5) 薬疹
B
1. 全身性エリテマトーデス
B
2. 全身性進行性強皮症
B
3. 皮膚筋炎、多発性筋炎
B
4. 結節性動脈周囲炎、壊死性血管炎
B
5. 関節リウマチ
B
6. リウマチ熱
C
7. 混合性結合織病
B
8. Sjogren 症候群
B
9. パーチェット病
B
10. 川崎病
C
VIII. 免疫不全症
1.
C
先天性(原発性)免疫不全症
(1) 伴性(X 連鎖)無ガンマグロプリ
ン血症
2.
天疱瘡など自己免疫性皮膚疾患
C
3.
血管炎、SLE など腰原病の早期鑑別
B
immunodeficiency (分類不能型
4.
好酸球増多疾患の鑑別
A
免疫不全症)
5.
光線過敏症試験
C
6.
金属アレルギー
B
(2) common
1.
アレルギー性結膜疾患の病型分類
他の角結膜疾患の鑑別
2.
フリクテン性角結膜炎他の角結膜
疾患との鑑別
variable
(3) IgM(増加を伴う免疫グロプリ
ン欠乏高 IgM 症候群)
VI. 眼科
(4) 選択的 IgG・IgG サブクラス欠
乏症
C
C
C
C
C
C
(5) 胸腺低形成症(DiGeorge 症候群)
C
(6) 毛細血管拡張性失調症
C
(7) Wiskott-Aldrih 症候群
C
3.
春季カタル
C
(8) 複合免疫不全症
C
4.
アトピー性眼験炎
C
(9) 好中球機能不全症
C
5.
アトピー性白内障・網膜剥離
B
6.
圧迫眼底検査
C
(10) その他
7.
6
C
2.
続発性免疫不全症
B
3.
後天性免疫不全症
B