1 2012 年度 事業計画書 公益財団法人 武田科学振興財団 当財団の

2012 年度 事業計画書
公益財団法人 武田科学振興財団
当財団の事業活動の財源である武田薬品工業株式会社からの受取配当金は、1988 年度
(財団の受取額 1.50 億円)から増配が始まり、その後は 1994 年度(同 2.51 億円)から
2009 年度(同 32.60 億円)までの 16 年間、途切れることなく増加してきた。このため、
財団の財務基盤は飛躍的に拡大・充実され、財団としてこれを基に広く社会に還元すべく、
研究助成事業をはじめとする各事業の拡充に注力してきた。
受取配当金は 2011 年度と同額の配当据置が見込まれるが、今後は増加を見込みにくい状
況にあることから、財団として当面事業規模は拡大を求めず、中核の研究助成事業につい
て現行 11 の研究助成プログラムを継続することとし、このうち、医学系研究奨励の継続助
成ならびに 2010 年度創設のビジョナリーリサーチ助成について安定的な研究助成事業を
実施する。
また、近年、医学(系)研究科博士課程(基礎医学系)へ進学し研究する医学生の激減
の理由の一つとして、経済的なことが言われており、その支援事業として奨学金の支給を
行う事業を新たに開始する。
さらに、財団設立 50 周年にあたる 2013 年 9 月末までに武田道修町ビル(旧武田本社
ビル)への移転を計画しており、本年度は新たな書庫等の建設を含め、移転に伴う準備を
行う。
(1) 科学技術に関する研究機関および研究者に対する研究助成(研究助成)
① 武田報彰医学研究助成は、理事、評議員、名誉顧問、武田医学賞選考委員、武田
医学賞受賞者、日本学士院会員〔第 7 分科〕
、日本学士院賞受賞者〔1999 年以降
医学関連〕の 87 名から推薦された、研究室立上げ 3 年未満の医学系研究者を対象
に、選考委員会で決定し、1 件 3,000 万円 5 件 計 1 億 5,000 万円を贈呈する。
② 生命科学研究助成は、生命科学分野の研究者を対象に公募を行い、選考委員会で
決定し、1 件 1,000 万円 30 件 計 3 億円を贈呈する。
③ ライフサイエンス研究奨励は、医学・歯学・薬学系研究機関以外の生命科学研究
者を対象に公募を行い、選考委員会で決定し、1 件 300 万円 30 件 計 9,000 万円
1
を贈呈する。
④ 医学系研究奨励は、医学系の研究者を対象に公募を行い、選考委員会で決定し、
1 件 300 万円 (生活習慣病、精神・神経・脳領域、感染症、基礎、臨床;各採択
率は一律とする)計 200 件計 6 億円を贈呈する。
継続助成は、本研究奨励の 2010 年度被助成者を対象に実施する。選考委員会で
決定し、1 件 300 万円 生活習慣病 5 件、精神疾患・脳疾患 3 件、基礎 8 件、臨床
4 件 計 20 件 計 6,000 万円を贈呈する。
⑤ 薬学系研究奨励は、薬学系の研究者を対象に公募を行い、選考委員会で決定し、
1 件 300 万円 40 件 計 1 億 2,000 万円を贈呈する。
継続助成は、本研究奨励の 2010 年度被助成者を対象に実施する。選考委員会で
決定し、1 件 300 万円 5 件 計 1,500 万円を贈呈する。
⑥ 特定研究助成は、研究機関を対象として、我が国の医学の発展に寄与する研究を
対象に公募を行ない、選考委員会で決定し、1 件 5,000 万円~1 億円 10 件~15 件
計 8 億円を贈呈する。
⑦ ビジョナリーリサーチ助成は、医学分野の進歩・発展に貢献する将来に向けて
夢のある、成功すれば卓越した成果が期待できる研究を対象に公募を行い、選考
委員会で決定し、1 件 200 万円 25 件 計 5,000 万円を贈呈する。
さらに成果が期待できる研究に対しては、継続助成として 2 年毎に選考委員会で
決定し、
2014 年度は 1 件 500 万円 5 件以内、2016 年度は 1 件 1,000 万円 5 件以内、
2018 年度は 1 件 3,000 万円 5 件以内を継続して贈呈する。
本年度継続助成は 2010 年度被助成者(2010 年度ホップ)を対象に公募を行い、
選考委員会で決定し、1 件 500 万円 5 件以内 計 2,500 万円を贈呈する。
⑧ 高等学校理科教育振興奨励は、全国の高等学校およびそれに準ずる教育機関に
所属する教員および職員を対象に公募を行い、選考委員会で決定し、1件 30 万円
40 件 計 1,200 万円を贈呈する。
⑨ 中学校理科教育振興奨励は、全国の中学校およびそれに準ずる教育機関に所属
する教員および職員を対象に公募を行い、選考委員会で決定し、1 件 30 万円 30
件 計 900 万円を贈呈する。
⑩ 研究会等の開催支援は、国内で開催される小規模な研究会等を対象に公募を行い、
選考委員会で決定し、1 件 100 万円 20 件 計 2,000 万円を贈呈する。
⑪ 杏雨書屋研究奨励は、杏雨書屋所蔵資料に関連する研究を対象に公募を行い、
選考委員会で決定し、1 件 50~100 万円 7 件程度 計 500 万円を贈呈する。
2
以上、
研究助成の贈呈金総額は 22 億 5,600 万円(対前年度計画比 2,800 万円増)となる。
(2) 研究者および学生に対する奨学助成(奨学助成)
① 外国人留学研究者に対する助成(外国人留学助成)
日本において医学・薬学などの医療分野で研究する外国人留学研究者に対する留学
助成を行う。
a. 7 指定国(下表参照)については、各国選考委員会で選考され、かつ日本国内の研
究機関より受入れが確認された留学研究者候補について所定の審査のうえ、理事
長の承認を経て決定し、計 40 名に留学助成を行う。なお、このうち 6 名は、台湾
(1 名)
、タイ(1 名)
、フィリピン(1 名)
、中国(2 名)ならびにインドネシア
(1 名)の 35 歳以下の基礎研究者(留学助成期間は原則 1 年以上 2 年以内)とす
る。
b. 7 指定国以外の国については、留学助成の対象となる留学研究者は 5 名とし、日
本国内の研究者が申請した被招聘者について、日本国内の選考委員会で選考し、
理事長の承認を経て決定する。
c. 留学助成金は月額 25 万円とする。
d. 留学助成する留学研究者数の内訳は、次の通りである。
(
国
名
台
湾
タ
イ
フ ィ リ ピ ン
韓
国
中
国
イ ン ド ネ シ ア
ベ ト ナ ム
7 指定国 小計
上記 7 指定国以外
合
)は基礎研究者数
2012・2013 各年度人数計画
6 名(1 名)
6 名 (1 名)
5 名 (1 名)
3 名
10 名 (2 名)
6 名 (1 名)
4 名
40 名 (6 名)
5名
計
45 名(6 名)
e. 本年度は、韓国、インドネシアの留学助成事業がそれぞれ 40 周年と 30 周年に
当たり、次の通り記念事業を行う。
ⅰ)韓 国
40 周年記念事業: 時期 10 月 16 日~17 日(ソウル)
ⅱ)インドネシア 30 周年記念事業: 時期 10 月予定(ジャカルタ)
3
② 医学部博士課程入学者に対する助成(医学部博士課程奨学助成)
医学部医学科卒業見込学生および医学部医学科卒業者で国内の指定大学の医学
(系)研究科博士課程(基礎医学系)への入学者に対し、奨学金(月額 30 万円、
最大 4 年間)の支給を行う事業を新たに開始する。
2011 年度中に、指定大学(東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学)から
募集、選考、推薦された 8 名の候補者について、理事長が最終決定し、4 月から
一人当たり年間 360 万円 総額 2,880 万円を奨学助成する。
(3) 科学技術に関する注目すべき研究業績に対する褒賞(武田医学賞)
武田医学賞は、理事、評議員、名誉顧問、武田医学賞選考委員、武田医学賞受賞者、日本学
士院会員(第 7 分科)
、日本学士院賞受賞者(1999 年以降医学関連)の 87 名から推薦
された、医学界において顕著な業績を挙げられた候補者につき、選考委員会で受賞者 2
名または 2 件を決定し、武田医学賞(賞状・賞牌・盾)および 副賞(1 件 1,500 万円)を
贈呈する。11 月 12 日(月)に贈呈式ならびに祝賀式を行う。
(4) 科学技術に関する時流に合ったテーマによる国際シンポジウムの開催(国際シンポジ
ウム)
生命科学ならびに薬科学における未解決の問題を解明するために、国内外の科学者が
一堂に会し、その時期のニーズに適切にマッチしたテーマを基にその叡智と知識を交
換する国際シンポジウムを開催する。
① 本年度はまず、第 6 回 武田科学振興財団薬科学シンポジウム The 6th Takeda
Science Foundation Symposium on PharmaSciences を開催する。(他学会、テーマ、
演者等を勘案して 2011 年度の開催は見合わせていた。)
テ - マ:
「魅惑いっぱい有機合成化学」
“How Fascinating the Synthetic Organic Chemistry Is!”
組織委員: 冨士 薫 博士 (京都大学名誉教授)
柴崎 正勝 博士 (微生物化学研究所所長、
東京大学名誉教授、北海道大学名誉教授)
講
演: 16 名を予定(国内 8 名、国外 8 名)
ポスター発表(公募)
会
期: 2012 年 9 月 13 日(木)~14 日(金)
場
所: 武田薬品研修所 <大阪府吹田市>
(Center for Learning and Innovation)
4
参 加 者: 200 名(参加費・宿泊費無料、事前登録制)
募集方法: 財団ホームページ・ポスター・メールによる会告配信などによる案内
なお、シンポジウムポスター褒賞は、第 6 回武田科学振興財団薬科学シンポジウムに
応募したポスター発表者を対象に、シンポジウム組織委員で構成する選考委員会で決
定し、1 件 50 万円 5 件 計 250 万円を贈呈する。(褒賞)
② 本年度は次に、第 17 回 武田科学振興財団生命科学シンポジウム The 17th
Takeda Science Foundation Symposium on Bioscience を開催する。
テ - マ:
「神経変性疾患の治療法を求めて-アルツハイマー病とパーキンソン病
を中心に-」
“Therapeutic Approach for Neurogenerative Diseases: Focusing on
Alzheimer & Parkinson Diseases”
組織委員:岩坪 威 博士
(東京大学教授)
髙橋 良輔 博士 (京都大学教授)
講
演: 20 名を予定(国内 10 名、国外 10 名)
ポスター発表(公募)
会
期: 2012 年 12 月 6 日(木)~7日(金)
場
所:武田薬品研修所 <大阪府吹田市>
(Center for Learning and Innovation)
参 加 者: 200 名(参加費・宿泊費無料、事前登録制)
募集方法: 財団ホームページ・ポスター・メールによる会告配信などによる案内
なお、シンポジウムポスター褒賞は、第 17 回武田科学振興財団生命科学シンポジウム
に応募したポスター発表者を対象に、シンポジウム組織委員で構成する選考委員会で
決定し、1 件 50 万円 5 件 計 250 万円を贈呈する。(褒賞)
(5) 科学技術の振興に関する出版物の発刊(発刊)
きょう う し ょ お く
① 杏 雨書屋蔵書の複製本や学術書を発刊する。
本年度の発刊予定は、
「本草品彙精要」・「毛詩正義」の復刻版、「敦煌秘笈」の影
片および「松木文庫目録」
、「小曽戸文庫目録」である。
② 杏雨書屋機関誌「杏雨」15 号を発刊する。
(6) 東洋医書その他図書資料の保管、整理、収集および公開(杏雨書屋)
① 研究者を対象にした閲覧、複写サービス、保管図書資料の常設展示および年 2 回
5
テーマを決めた特別展示会を行う。
② 特別展示会のテーマに基づく研究講演会を年 2 回開催する。
③ 図書資料の解読・調査作業および目録作成(電子化を含む。
)
、所蔵図書複写、蔵書
補修、書套作製を継続する。
④ 本草書・東洋医書を中心とした関連図書の収集を進め、所蔵図書の充実を図る。
(7) 当財団の武田道修町ビル(旧武田本社ビル)への移転
① 当財団杏雨書屋(武田薬品大阪工場敷地内)の事業の一つである図書資料の保管に
おいて、近年、移管される書籍等が増加し、書庫収納スペースが限界に近づいて
いる状況である。そのため財団として書庫の建て増しを検討していた。
一方、武田薬品は、大阪市から武田道修町ビルの保存を要望されており、同ビルの
有効活用について検討を行っていた。その結果、武田薬品としては武田科学振興
財団が同ビルに入居するのが最も相応しいという結論に至った。
当財団としても相応しい移転先と考えている。
② 武田道修町ビルへの入居の主な利点は次のとおりである。
a. 杏雨書屋所蔵の重要書籍等を将来に亘り確実かつ安定的に保存できる。
(このよ
うに対応できる設備にする。また、将来に備え、
収納スペースも十分に確保する。
)
b. 杏雨書屋所蔵の書籍等を歴史ある建物で公開できる。
c. 武田薬品発祥の地である。
d. 交通の便が良い。
③ 移転に伴う費用は約 9 億円を見込んでいる。
(2012 年度 1 億円、2013 年度 8 億円)
(8)財団設立 50 周年記念誌の発刊準備
①2013 年 9 月 30 日に財団設立 50 年を迎えるにあたって記念誌を発刊する。
②発刊部数は 1,000 部、作成費用は約 800 万円を予定している。
以 上
6
事業年度 2012 年 4 月 1 日~2013 年 3 月 31 日
資金調達及び設備投資の見込みについて
(1) 資金調達の見込みについて
当期中における借入れの予定の有無を記載し、借入れ予定がある場合には、その借入れ先等を
記載してください。
借入れの予定
事業番号
借入れ先
□
あり
■
金額
なし
使途
(2) 設備投資の見込みについて
当期中における重要な設備投資(除却又は売却を含む。
)の有無を記載し、設備投資の予定が
ある場合には、その内容等を記載してください。
設備投資の予定
■
あり
□
なし
事業番号
設備投資の内容
支出又は収入の予定額
資金調達方法又は取得資金の使途
公6
新書屋建設資金
100,000,000 円
自己資金
公6
重要古書の購入
400,000,000 円
自己資金