子どもの家事使用人 子どもが他の家庭で行うすべての家事が「児童労働」とみなされるわけではあ りません。子どもに家事労働をさせることは、文化的に容認され、世界中で広く 行われています。ほとんどの場合、親も雇い主も、経済的に苦しい子どもの状況 を改善するものとして正当化しているのが現状です。 しかし、15 歳未満の子どもが学校にも行けず、普通の働く人と同じように相 当時間働くものは「児童労働」です。子どもの家事労働は、個人の家庭で行われ るため、人目につかず、監督検査の対象にもなりません。そのため、わずかな賃 金や金銭の報酬なしに非常に長時間働かされたり、肉体的・精神的・性的虐待な どの搾取を受けやすく、ILO 第 182 号条約が撤廃の対象とする「最悪の形態の児 童労働」とみなされる働き方も多くあります たとえば、以下に挙げるような働く子どもたちです。 ●人身売買の犠牲者 / 家族の借金を負わされている ●金銭での賃金を払われずに働かされている / 非常に長時間働かされている ●隔離され、又は夜働かされている / 肉体的暴力や性的嫌がらせを受けている ●危険で健康に有害な状況で働かされている /非常に幼い ●雇い主の家の中に理由なく閉じ込められている 事実と統計 ・ アフリカのフランス語圏では、幼い少女(15 才未満)たちが、地方から都会 へ移り住んでいることが報告されています。これは、地方の貧困が悪化して、 働きたいと思う人が増える一方、都市では家庭の外で働く女性の数が増加し て家事の補助者を必要としているからです。 ・ 中央アメリカとドミニカ共和国では、推計 7 万人の子どもたちが家事使用人 で、その 87%が少女です。 ・ ハイチでは、子どもの 10%が住み込みの家事使用人として働いていると推計 されます。このうち、およそ 75%が少女です。 ・ 南アメリカで家事使用人として働かされる子どもの大半が 16 才以下の少女 です。雇い主が少女を好み、親も娘を家事使用人として働かせたがる理由は、 ジェンダーによって役割を決定する伝統的な価値観に基づくものです。 ・ ネパールでは、首都カトマンズで働く子ども家事使用人の 53%は賃金を支払 われておらず、45%が長時間労働を強いられ、79%が夜間に働いています。 ・ タンザニアでは、買春される少女の 25%が、元は家事使用人として働いてい ました。
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