MDK 海外留学支援制度 月例報告書 3 月分 鋸谷卓磨 今月はモントリオールとケベックシティへの旅から始まり、予想外にも体調を崩してし まい、学校にしばらく行けず病院通いになったり、バンクーバーで行ってきた Pray for Japan from Vancouver の活動を Pray for Japan from Toronto という名前の元トロントで も行うことができるようになったりと留学から8か月が経つ中でもまた新しい経験をした 1か月になりました。 Montreal, Quebec City を訪れて感じた内発的動機付け 今回訪れた街は、カナダにありながらフランス語圏という日本に住んでいる私からは想 像もつかないモントリオールとケベックシティでした。出発前はフランス語が全く分から ない自分だが大丈夫かという不安と同時にどんな旅 行になるのかというわくわく感もありました。バス の移動ではモントリオールに近づけば近づくほど標 識もフランス語がメインの標識になり(トロントや バンクーバーでは英語の標識の下にフランス語が書 かれている) 、違う国に向かっているような感覚が高 まりました。 実際現地につくと、街ははやりフランス語で埋め 尽くされており、本当にカナダにいるのかと疑うほどでした。街を歩いていると現地の人 や店員さんと話す機会があり、多くの人は英語を話せるので基本的にコミュニケーション に困ることはありませんでした。しかし中にはフランス語しか話せない、もしくは英語が ほとんど話せないという人もいて、コミュニケーションを図るのに困ることもありました。 そこで感じたことは、 「少しでもフランス語がわかったらもっと楽しいだろうし、もっと新 しい発見があるだろうに」ということでした。これはまさしく英語教育で言う内発的動機 付けに値するものだと感じました。自分からやりたい、学びたいという場を設けることは とても重要視されている今、そのような経験を自分ができたことはとても貴重だと感じま した。今回自分が感じ取ったようなことと同じことを生徒に体験させることは難しいが、 何か形を変えて生徒に伝えられるよう努力したいです。 カナダの病院について 今月は2週間ほど病院に通っていました。その期間は自分もつらい思いをしただけでは なく、そこでも日本との違いを発見し、これまで目を向けたことがなかった医療システム にも少し興味をもつようになりました。今回はカナダの医療システムについて少しお話し たいと思います。 日本での医療システムは、もし耳が痛いと感じたら耳鼻科に行ったり、目が気になる場 合は眼科に行ったりというものです。つまり、病院に行く前にある程度自分でどこに問題 があるか判断をして行くというものです。しかしカナダでは、ほぼ全ての家庭がかかりつ け医(ホームドクター)というものを持っており、何かあるとまずそこに行きます。逆に 言えば、いきなり日本のような専門医に行くということは不可能なの です。もし体に異常を感じてもまずかかりつけ医に行き、そこで紹介 状を書いてもらい、やっと専門医行くことができるのです。グラフに すると横のような順番になります。 かかりつけ医、ウォ ークインクリニック 専門医への紹介状を もらう ホームドクターがいることで、患者と医者との関係が深く、医者 も患者の状態を把握しやすいという利点がこの関係にはあると言わ 専門医へ予約 れています。一方で、わざわざ紹介状 を書いてもらいそこからの予約になる 専門医での診察 ので、専門医に診てもらうのに1か月 以上かかることはざらにあると言われています。よって急を 要する場合は向いてないシステムと言えます。また、留学生 のようにホームドクターを持っていない人にはウォークイン クリニックという病院があり、私も最寄りのウォークインク リニックに行きました。ちなみに中は個室になっており、診 療台のようなものとテレビとシンクのようなものがありこじ んまりしたもので、そこに患者が待ち、他の患者の診察を終 えた医師がその部屋に入ってくるというシステムでした。 (写 真は私が行った病院の個室です) この経験で、日本にいるときは日本の医療システムが当たり前だと思っていたけれども、 トロントに来てトロントのシステムを知り、経験することで他のシステムがあることを知 りました。このように当たり前だと考えていたことが覆される経験をすることで、日本を さらに知ることができると同時に日本や自分の周りの環境をより良くするために何かでき ないか考えるのに助けになると思いました。 第1回 Pray for Japan from Toronto を通して これまでバンクーバーで続けてきた東日本大震災のボランティアをトロントでも開催す ることができました。トロントで行うのは初めてだったため、場所などの具体的なことを 決めることから始めました。バンクーバーで行ってきたとは言っても、人も場所も違う中 で行うため不安も初めはありました。 当日集まったボランティアの人数は予想していたよりも多かったです。また、活動を始 めてみると多くの人が地震のことを知っていて、心配や復興への期待を抱いてくれていま した。 今回でカナダでのボランティア活動に参加することは最後になってしまいました。これ まで日本にいるときには、行こう、行こうと思っていてもなかなか行動できずに時間だけ が過ぎ去ってしまい、そんな自分に対してがっかりしていました。しかし今回カナダで出 来たボランティア活動は、実際に現地に行くようなボランティアのように直接的には関わ ることはできなかったけれども、少なくとも 自分のこれからには影響を及ぼすと実感して います。日本から離れた地でも被災地を応援 している人たち、復興を願っている人たちが いるということを知って、日本に帰る自分は その人たちの思いを少しでも形にしたいと今 思っています。日本に帰ったらまずこれまで 何かとできなかった被災地でボランティアさ せてもらい、現状というものをしっかり把握したうえで、これからまた自分に何ができる かを考えたいです。またこの活動は私が日本に帰った後でも続く活動だと願っているので、 日本からでも被災地の現状をこの団体に伝えたり、私たちが集めたフラッグを被災地に届 けたりするといった活動の手伝いはぜひしたいと思っています。
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