骨粗鬆症(1)

平成22年10月29日
1.骨粗鬆症
2.変形性関節症、骨軟化症
骨粗鬆症(1)
¾骨粗鬆症は500-1000万人が罹患。
¾閉経後 (
¾閉経後の(
)に多 (
)に多い:(
)
にもみられる。
¾骨粗鬆症はなぜ、大きな社会問題なのか?
¾骨粗鬆症はなぜ
大きな社会問題なのか?
・高齢者の自立を喪失させる重要な疾患(日本が高齢者社会)
・日本では5人に1人は65歳以上の高齢者
日本では5人に1人は65歳以上の高齢者
現在、高齢者といえども寝たきりは望まない。
健康で自立した生活を送ることを本人、家族、
社会も望んでいる。
高齢者の自立性、活動性を障害する病気として(
)。
骨粗鬆症(2)
が減って、また骨の
が減って
また骨の
も変化して
しまい、
を起こしやすくなった状態
骨粗鬆症を早期発見し、(
)を予防し、あるいは将来の
(
)防止のための治療を行い 患者のQOLの維持 向上
)防止のための治療を行い、患者のQOLの維持・向上
を図ることが大切。
骨粗鬆症の分類
性骨粗鬆症
性骨粗鬆症
内分泌性:
機能亢進症、
骨粗鬆症
機能不全
機能不全、
骨粗鬆症
Cushing 症候群
突発性骨粗鬆症
養
壊血病、たんぱく質欠乏
壊
、
質
(妊娠後骨粗鬆症を含む) 栄養性:
、ヘパリン
薬物性:
不動性: 全身性、局所性
先天性: 骨形成不全症、Marfan症候群
その他: 関節リウマチ、糖尿病、肝疾患
診断の進め方
日本骨代謝学会の診断基準に沿って診断。
Ⅰ.脆弱性骨折あり
Ⅱ.脆弱性骨折なし
ⅰ.骨粗鬆症:骨密度値がYAMの70%未満、
脊椎X線での骨粗鬆症化あり
ⅱ.骨量減少:骨密度値がYAMの70%-80%、
脊椎X線での骨粗鬆症化疑いあり
ⅲ.正常:骨密度値がYAMの80%以上、
脊椎X線での骨粗鬆症化なし
* YAM ((young adult
d l mean):20-44歳の若年成人平均値
) 20 44歳の若年成人平均値
** 骨密度は原則として
密度とする。高齢者において脊椎変形な
どで測定が困難では大腿骨頚部ある は他の部位の骨密度を用 る。
どで測定が困難では大腿骨頚部あるいは他の部位の骨密度を用いる。
*** 骨密度の値は測定部位、測定方法、測定機器別で異なる。基準値も異
なる。
検査の進め方
X 線検査
線検査、骨密度検査に加えて、血液・尿検査を行う。
骨密度検査に加えて 血液 尿検査を行う
骨粗鬆症は血液・尿所見に異常はないが、他の疾患と鑑別するた
めに行い その結果を総合的に判断して診断
めに行い、その結果を総合的に判断して診断。
「
「
低骨量、骨粗鬆症に伴う骨折のリスク因子
」 「過去の骨折歴」 「
」、「過去の骨折歴」、「
(70歳以上の高齢)」
(70歳以上の高齢)」、
マーカーの高値」、「基礎疾患(ステロイド服用、肝・腎疾患)」
* 同じ骨密度で、同じ年齢でも骨折発生率は異なり、高齢ほど骨折を起こしやすい。
**ステロイドは有用な治療薬であるが、その副作用として
がある。
ステロイドを服用患者は注意が必要。
骨代謝マーカー
1.骨吸収マ
1
骨吸収マーカー[尿・血清:
カ [尿 血清:
、 尿:
(デオキシピリジノリン)]
2.骨形成マーカー(
骨型アルカリホスファターゼ:血清)
骨代謝マーカーは将来の骨量減少、骨折リスク、
骨代謝マ
カ は将来の骨量減少、骨折リスク、
さらに治療効果の評価、判定に有用。
I 型コラーゲン架橋N-テロペプチド:NTX(1)
・骨基質の主要構成蛋白である
の分解産物。
・骨の I 型コラーゲン分子間は両端のテロペプチド領域を
中心に、ピリジノリンあるいはデオキシピリジノリンを介し
て安定な架橋構造を形成。
て安定な架橋構造を形成
・骨吸収により分解生成する I 型コラーゲンのペプチド断片
にはこの架橋構造部分が含まれ、骨組織から血中を経て、
最終的に尿中に排泄されるコラーゲン分子N-末端側由来
の産物がNTXである。
の産物がNTXである
I 型コラーゲン架橋N-テロペプチド:NTX(2)
・ピリジノリン架橋構造は成熟コラーゲン線維にのみ存在し、
その量は骨基質量に相関することから NTXの尿中排泄
その量は骨基質量に相関することから、NTXの尿中排泄
量は骨吸収状態の有用な指標となる。
・骨粗鬆症における骨吸収抑制剤投与後の尿中NTX排泄
量の経時的変化は薬剤の
を反映し、骨塩量
増加群では有意に低下する。
増加群では有意に低下する
骨吸収抑制剤に対する反応性は他の骨吸収マーカーに比べても鋭敏
であり、NTXのモニタリングマーカーとしての意義が高い。
骨格の発育を受けて代謝回転が活発な 歳未満の成長期、骨吸収が
骨格の発育を受けて代謝回転が活発な20歳未満の成長期、骨吸収が
亢進する閉経後女性ではNTXが
となる。
DPD(デオキシピリジノリン)
・DPDは、骨のコラーゲンのみに含まれているため、骨吸
DPDは 骨のコラ ゲンのみに含まれているため 骨吸
収マーカーとしては有用。
・骨コラーゲンの破壊を反映し、骨吸収に特異的な指標。
骨コラ ゲンの破壊を反映し 骨吸収に特異的な指標
食事で摂取したコラーゲンは、腸管からは吸収されないた
食事で摂取したコラ
ゲンは 腸管からは吸収されないた
め、検査が
による影響を受けることはない。
DPDの値は、閉経後の女性で
。男性は、30~60
歳では ほぼ 定の値を示し 60歳以降では
歳では、ほぼ一定の値を示し、60歳以降では
。
治療
治療目標:骨折を予防し、QOLを高める(骨粗鬆症では骨
治療目標
骨折を予防し
を高める(骨粗鬆症 は骨
折が最も問題)。
治療:
治療
・栄養、運動療法が基本。必要に応じて薬物療法。
・手術(疼痛が続く、骨の癒合が不良、神経が圧迫されて
手術(疼痛が続く 骨の癒合が不良 神経が圧迫されて
障害がある場合など)
カルシウムの1日所要量
カルシウムの1日所要量:
mg(日本では不足がち)
(日本では不足がち)
特に高齢者(中でも施設入居者)は
不足、ビ
タミンD不足 また 若い女性でも数回にわたる不適切な
タミンD不足。また、若い女性でも数回にわたる不適切な
ダイエットや極端な偏食で不足している例では栄養不足。
・運動:歩行(歩行習慣が大腿骨頚部骨折発生率を低減
する)。
する)
薬物治療
骨粗鬆症薬剤:作用別分類
・骨
抑制剤、骨
剤
→骨密度の増加効果
骨折防止効果
・特に、脊椎圧迫骨折
大腿骨頚部骨折
・疼痛対策(除痛)
促進剤
・補充(ホルモン、ビタミンなど)
→ビタミンD:
日本人高齢者の半数は不足。
骨密度の増加効果は軽度だが、
骨折予防効果がある。
治療効果の評価
・愁訴:痛みが取れているか
・骨
値
骨折予防効果
・骨折予防効果
・QOL
転倒防止、環境整備:高齢者では骨がもろく、
骨折しやすい。
骨折しやすい
家の中を整理整頓。
階段など足元を明るくする。
変形性関節症(1)
定義:「関節軟骨の変性・摩耗とその後の軟骨・骨の新生増殖およ
び二次性
などに基づく進行性の変性関節疾患」
①何らかの原因で関節の軟骨が傷み すり減る
①何らかの原因で関節の軟骨が傷み、すり減る。
②人間の体はそれを修復しようとする。
③しかし正常な状態に修復することはできず 周囲の負担の
③しかし正常な状態に修復することはできず、周囲の負担の
かかっていない部位に
異常軟骨や(
)
として増殖。
④こうして関節の変形が
進行し 変化に伴い
進行し、変化に伴い、
関節内の滑膜という組
織が炎症を起こし異常
に増殖して、関節内に
が貯まる。
変形性関節症(2)
関節の変形は、全身のどの関節にも発生し、加齢と
ともに発生頻度は増加 しかし関節の変形があって
ともに発生頻度は増加。しかし関節の変形があって
も、特に体重のかからない関節では傷みなどの症状
が全くな 場合も多く 関節の変形に症状が伴 た
が全くない場合も多く、関節の変形に症状が伴った
状態を「
」と呼ぶ。
体重がかかり酷使される機会が多い
関節
や
関節に発症しやすい傾向にあり スポ
関節に発症しやすい傾向にあり、スポー
女性など
ツ選手や重労働者、中年以降の
に多く発症する。
日本では畳、布団という下肢の関節に負担がかかり
日本では畳
布団という下肢の関節に負担がかかり
やすい生活様式も関与している。
変形性関節症(3)
形性関節症は、「一次性」と「二次性」に分類。
次性関節症 関節にもともと既存障害や形の異
一次性関節症:関節にもともと既存障害や形の異
常がなく、加齢変化に体重や運動など
の負荷がかかり発症する。
の負荷がかかり発症する
や
・半月板損傷
二次性関節症:
などの外傷や股関節
の形態異常、化膿性
関節炎、痛風、リウマ
チなどの病気の後に
発症。
変形性関節症(4)
膝関節では
の割合が多く、中年以降
の
に多い病気。
に多
病気。
股関節の場合日本では、先天性股関節脱臼や関
股関節の場合日本では
先天性股関節脱臼や関
節の屋根の作りが足りない臼蓋 形成不全という
病態に基づく二次性の割合が多い。
病態に基づく二次性の割合が多い
ほとんどが女性で、膝関節の場合よりも若い年齢
発症。
で発症。
その他、変形性肩関節症、変形性指関節症も比較
その他
変形性肩関節症 変形性指関節症も比較
的多い病気。
骨軟化症(1)
骨粗鬆症が骨の
骨軟化症は骨の
な病気。
が不足したために起こる病気。
の異常によって生じる代表的
骨における
や
などのミネラルの沈着が
減少した状態で、
していない骨組織(類骨
して
な 骨組織(類骨
という)が多量にみられる。
小児に生じたものを
生 たも を
成人に起こったものを
。
。
骨は病名のように硬さが減少して、荷重に対して
骨は病名のように硬さが減少して
荷重に対して
0
たわんだり変形する。
骨軟化症(2)
原因:
原因
と
の減少によって生じ、
・体液中の
特に
の働きが損なわれている場合に多く
。
みられる。
・ビタミンDは紫外線にあたることで皮膚で合成さ
れるが 食事からも摂取 きる
れるが、食事からも摂取できる。
・ビタミンDが体内で正常に働くには肝臓や腎臓で
活性化される必要がある。
・
、
、消化管疾患による吸収不
消化管疾患による吸収不
良、肝臓・腎臓疾患、長期間の
の服用
などが原因になる。
骨軟化症(3)
検査と診断
注意:一般に
注意:
般に、骨粗鬆症と混同されやすい。
骨粗鬆症と混同されやすい。
血液中や尿中のカルシウムやリン:
値
血液中のアルカリフォスファタ ゼ(ALP)
血液中のアルカリフォスファターゼ(ALP):
(骨粗鬆症:血液検査では正常)
値
恥骨や大腿骨、肋骨などのX線写真
特徴:骨表面に垂直な病的な骨折
治療
・日光浴と
の投与。原因となる病気があ
れば その治療も必要 時には
れば、その治療も必要。時には
製剤の併用
も有効。
骨軟化症(およびくる病)の分類(1)
1.
代謝産物欠乏原性
(1)ビタミンD欠乏
(
) タ
欠乏
1.ビタミンD欠乏性(低栄養・偏食・過度のダイエットなど)
2.吸収不良症候群:腸疾患(限局性腸炎など)、胃切除・
吸収不良症候群 腸疾患(限局性腸炎な )、胃切除
腸切除、膵疾患
3.肝・胆道疾患
肝 胆道疾
(2)ビタミンD活性化障害
1.ビタミンD依存性I型
2.肝硬変(ビタミンD25位水酸化障害)
3.慢性腎不全(25水酸化ビタミンD1位水酸化障害)
慢
4.抗痙攣薬長期投与
(3)ビタミンD受容機構異常
機
1.ビタミンD依存性Ⅱ型
骨軟化症(およびくる病)の分類(2)
2.
性疾患原性
(1)低P血症(尿細管リン再吸収障害など)
1.家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性(原発性低リン
血症性)
2.Fanconi症候群
3.尿細管性アシドーシス
(2)石灰化障害物質
1.アルミニウム・カドミウムなど
2.フッ素剤
(3)腫瘍性骨軟化症
瘍
軟 症
(4)アルカリホスファターゼ欠乏:低アルカリホスファター
ゼ血症