血管の病気(4) あしのボコボコ あしのボコボコ・ ボコボコ・美脚の 美脚の敵下肢静脈瘤 あしの表面近くにある静脈(表在静脈)がボコボコとふくれあがり、曲がりくねってコ ブ(瘤)のように皮膚から浮き出した状態を下肢静脈瘤といいます。血管には「動脈」 と「静脈」があります。心臓から出た血液は動脈を通って身体の隅々に行き渡り、そ の後は静脈を経由して心臓に戻ります。足では深いところを走る「深部静脈」と皮膚 表面近くを走る「表在静脈」ありその間は「交通枝」という短い血管でつながれていま す。表在静脈には20前後、深部静脈に10前後の静脈弁があり、また。交通枝にも 弁があります。全身を回った血液は静脈から心臓に戻りますが、静脈弁は血液の逆 流を防ぎ一方向へ血液の流れを進める役割を担っています。血液には重力がかか りますので、2本足で立 っている人間では血液 はその重みで下の方 へ戻ろうとします。静脈 弁は、この下への逆流 を食い止める働きをし ておりますが、静脈弁 が壊れると血液が滞り、 静脈が拡張し下肢静 脈瘤となります。 たくさん静脈瘤がで きても全く症状のない 人もいます。しかし、静脈瘤ができると、あしがむくむ、だるい、重い、痛む、ほてるな どの症状がよくでます。あしの筋肉がつる、いわゆる「こむら返り」も起こりやすくなり ます。症状が重くなると湿疹ができ、その部に茶褐色の色素が沈着したり、皮膚が 崩れ潰瘍ができたりします。見た目が悪くなり恥ずかしくて短いスカートがはけなくな るなど悩みの原因にもなり、女性にとっては美脚の敵ともいえる病気です。 下肢の静脈瘤は血管の病気の中でもっとも多く、女性では約40%の人が静脈瘤 を持っており、中年以上では60%以上の人がその症状に悩まされているといわれ ています。静脈瘤ができやすい条件、すなわち危険因子としては、お母さんや姉妹 に静脈瘤がある女性にできやすく、妊娠をきっかけに静脈瘤ができ、立ち仕事に従 事するひとや、年齢がすすむにつれて病状が進行するといえます。 静脈瘤の治療法は弾力ストッキング、ストリッピング手術、硬化療法の3つがあります。 弾力ストッキングは、静脈瘤を強く圧迫することよって静脈還流を改善させ、血液が 足に貯留しないようにするものです。弾力ストッキングをはくと、多くの患者さんが「足 が軽くなった」と喜ばれます。また、弾力ストッキングは手術野硬化療法の時も使用 されます。 ストリッピング手術は、皮膚に小さな切開を加え、そこから静脈瘤を引き抜いたり 切除したりします。全身麻酔や下半身麻酔で行われます。小さな傷が残り、2,3日 の入院が必要となります。硬化療法は、直接静脈瘤にくすり(硬化剤)を注射するも のです。程度の軽い静脈瘤は、弾力ストッキングや硬化療法で治療されますが、大 きな静脈瘤や潰瘍をつくっている患者さんでは確実に直しためにストリッピング手術 が進められます。 静脈瘤のある患者さんでは、症状を軽くさせ、静脈瘤を悪化させないために長時 間の立位を避け、弾力ストッキング着用します。また、夜寝るときにあしに座布団など を当て、足を心臓より高くして休みます。静脈瘤があると、あしに湿疹ができかゆみ が出やすくなります。あしを常に清潔にし、かき傷や外傷を避け潰瘍をつくらないよ うにすることが大切です。
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