第4章 中毒環境因子編 目的 ●疑うことが大事です 中毒総論 中 160 中毒各論 中 163 自 自然現象・環境因子によるもの 164 第❹章 中毒環境因子編 中毒総論 診断がついたら⇒救急科 CALL ※入院が必要な急性中毒患者が来院する場合には、早期に(救急隊から の情報の時点でも)オンコール医師を呼び出してください 中毒総論 診察のポイント 飲んだもの・食べたものの内容と量を確認する 家族、救急隊に何をどれくらい飲んだのか確認 飲んだと思われる空の PTP、瓶は必ず持ってきてもらう 検査のポイント 可能な範囲で 定性・定量 の検査をする ■定性検査 ●薬物中毒検出用キット『トライエージ』 ○患者尿数 ml で検査します ○各項目には偽陽性があり 例;AMP・・・ 風邪薬など ☆測定項目 PCP フェンシクリジン類 COC コカイン系麻薬 AMP 覚せい剤 THC 大麻 研修医マニュアル O P I モルヒネ系麻薬 B A R バルビツール酸類 BZO ベンゾジアゼピン系 TCA 三環系抗うつ薬 ●尿中パラコート ■定量検査 ●コリンエステラーゼ 160 わからない時は 中毒情報センター へ問い合わせる 電話番号は毎年更新されます ○看護師事務机右端に、大阪・つくばの中毒情報センターの 電話番号あります 治療のポイント 中毒総論 ○救命救急センター、医師控え室の院外インターネット用 PC 内「お気に入り」に中毒情報センターを登録していて、 薬剤の詳細中毒情報の検索が可能です 第❹章 中毒環境因子編 診断のポイント 速やかに治療を開始する 成人用薬用炭(活性炭)50g +ソルビトール 125ml(1 本)+ 水道水 125ml の投与 ○救命救急センター内に在庫あります ○処方は「投薬」タブ→「チュウドク」もしくは「ヤクヨウスミ」と検索語入力 ○『(中毒 )薬用炭セット= 』が立ち上がり、上記の量も自動入力 される ★日本中毒学会『急性中毒の標準治療』活性炭と胃洗浄の比較「活 性炭投与は適応があれば可能な限り早期に投与すべき」胃洗浄 の適応がなければ、速やかに投与することを推奨しています 胃洗浄 適応 ①毒物を経口的に摂取して、 ②大量服毒の疑いがあるか、毒性の高い物質であり、 ③胃内に多く残留していると推定できる理由(服用 1 時間 以内、腸管運動抑制する毒薬物など)がある 左側臥位 +head down でお湯を使用 チュウブ抜去前に活性炭投与 禁忌 ①酸 ・ アルカリ ②灯油・ガソリン ③意識障害・痙攣 無効 ①酸 ・ アルカリ ②灯油 ・ ガソリン ③アルコール ④重金属 - 鉄・銅・鉛・水銀など 研修医マニュアル 救急室の胃洗浄キットを使用 最後は本で治療方法を調べる 161 分類 薬理学的拮抗作用 第❹章 中毒環境因子編 当院解毒薬一覧 一般名 採用薬品名 (非採用薬品名) 経路 規格 対象中毒 硫酸アトロピン アトロピン硫酸塩 0.5mg「タナベ」 注射 0.5mg/mL 有機リン系殺虫剤 カーバメート系殺虫剤 サリン 化学的拮抗作用 中毒総論 ネオスチグミン ワゴスチグミン注0.5mg 注射 0.5mg/mL 抗コリン剤 ロイコボリンCa ロイコボリン注 3mg 注射 3mg/mL メトトレキサート ビタミン K1、K2 ケイツーN注10mg 注射 10mg/2mL ワルファリン ビタミン B6 ピドキサール注10mg 注射 10mg/mL イソニアジド、銀杏 グルコン酸 Ca カルチコール注射液 注射 8.5% 5mL 10mL フッ化物、シュウ酸 シアン、ヒ素 チオ硫酸 Na デトキソール静注液 注射 2g/20mL ヒドロキソコバラミン シアノキット注射用セット 注射 5g シアン 硫酸プロタミン ノボ硫酸プロタミン 注射 100mg/10mL ヘパリン チオプロニン チオラ錠 経口 100mg 水銀 筋注 100mg/mL ヒ素、水銀、銅、鉛、 金、ビスマス、 クロム、アンチモン 鉛、カドミウム ジメルカプロール バル注 エデト酸Ca・二Na ブライアン注 注射 1g/5mL D - ペニシラミン メタルカプターゼカプセル 経口 100mg 鉛、水銀、銅 スガマデクス Na ブリディオン静注 注射 200mg エスラックス メシル酸 デフェロキサミン デスフェラール注 注射 500mg/ V 鉄 乾燥まむしウマ抗毒素 乾燥まむしウマ抗毒素 注射 6000 単位 まむし毒 注射 6000 単位 はぶ毒 乾燥はぶウマ抗毒素 (乾燥はぶウマ抗毒素) 受容体拮抗作用 代謝・排泄 促進作用 その他 研修医マニュアル 塩酸ナロキソン ナロキソン塩酸塩静注 注射 0.2mg/1mL 麻薬、非麻薬 フルマゼニル フルマゼニル注射液 注射 0.5mg/ 5mL ベンゾジアゼピン系 酒石酸レバロル ファン (ロルファン注) 注射 1mg 麻薬 ヨウ化 プラリドキシム パム注 注射 500mg/ 20mL 有機リン系殺虫剤 サリン 亜硝酸アミル 亜硝酸アミル 吸入 0.25mL/ A シアン、硫化水素 注射 3% 10mL シアン、硫化水素 経口 17. 6 % 20mL アセトアミノフェン 全般 亜硝酸 Na 《院内製剤》 N- アセチル システイン アセチル システイン内用液 L- メチオニン (L- メチオニン注) 注射 100gm/A グルタチオン (タチオン注) 注射 100mg/A 全般 メチレンブルー 1% メチレンブルー 注射 1%10mL 亜硝酸化合物 メトヘモグロビン血症 経口 50mg 被ばく対策 注射 10mg/ 2mL まむし毒 レボフロキサシン クラビット ヨウ化カリウム ヨウ化カリウム丸 セファランチン 162 セファランチン 炭疽菌対策 ○タバコ誤飲 ・誤飲してから 4 時間経過観察して異常がなければ問題ない ⇒ 帰宅 第❹章 中毒環境因子編 中毒各論 ・明らかに 2cm 以上飲み込んだ時や、 CALL ○急性アルコール中毒 アルコール血中濃度簡易計算式 中毒各論 ニコチンの溶け出した液を飲んだ時 ⇒ 小児科 予想浸透圧 =2 × Na+ 血糖 /18+BUN/2.8 予想血中アルコール濃度 =(実測浸透圧 - 予想浸透圧)× 4.6 アルコール血中濃度と臨床症状 臨床症状 血中濃度 mg/dL 精神 身体 50 ∼ 100 気分高揚 協調運動障害 100 ∼ 200 品行変化 運動失調 200 ∼ 300 傾眠 嘔吐 300 ∼ 400 昏睡 反射消失 低体温 血圧低下 400< 呼吸抑制 心肺停止 研修医マニュアル 163 第❹章 中毒環境因子編 自然現象・環境因子によるもの 1、熱中症 定義 暑熱環境により生じる熱性生体障害 分類 自然現象・環境因子によるもの 新分類 病 態 Ⅰ度 脱水による 循環血液量 減少 塩分喪失性 脱水 Ⅱ度 Ⅲ度 高度脱水 循環障害 体温調節 機能の 破綻 体温上昇 ± + +++ 発 汗 + + - 症 状 軽度意識 障害 * 起立性 低血圧と同様 低Na血症 低K血症痙攣 重 症 度 軽症 中等症 重症 治 外来 入院治療 集中 治療 熱疲労 Heat exhaustion 熱射病 Heat stroke 療 旧 分 類 熱失神 Heat syncope 熱痙攣 Heat cramp *一症状でも該当あれば診断確定 1)中枢神経症状 意識障害、小脳症状、痙攣発作 2)肝・腎機能障害 GOT,GPT,BUN,C rの上昇 3)血液凝固異常 DIC の診断 治療 研修医マニュアル 可及的速やかに短時間で体温を下げる ・冷却輸液点滴…冷蔵庫にソルアセト 1L 冷やしてあります ・体表冷却 ⇒ 霧吹きで微温湯噴射 + 風による蒸泄 …霧吹き、うちわあります 入院適応 ⇒ 救急科 164 CALL 診断 火災・練炭自殺など受傷機転で疑わしければ ⇒ 血液ガス分析で確認 COHb ≧ 10%で確定 なんと言っても ①酸素投与 ・・・ リザーバー 10 L ②心電図 - 心筋虚血をモニター ∼高圧酸素療法の適応∼ COHb にかかわらず高圧酸素療法は実施したほうがよい ➡ ①軽症 仙石病院 ②重症 東北大学救命救急センター ⇒ 救急科 CALL 自然現象・環境因子によるもの 治療 第❹章 中毒環境因子編 2、一酸化炭素中毒 研修医マニュアル 165 第❹章 中毒環境因子編 3、つぶ貝中毒 エゾバイ科エゾボラ属の巻貝の通称である つぶ貝を食べて「複視・酔ったような感じ」で受診します。 2013 2014 2015 3 中毒総論 2 1 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 キーワード 「自分で調理したつぶ貝」を食べた ? 原因 唾液腺に含まれるテトラミンという神経毒 唾液腺を取り除かないで食べることにより発症 研修医マニュアル 166 治療 対症療法 数時間の経過観察
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