平成21年度光産業の戦略的事業展開のための調査研究等補助事業

補助事業番号 21-1
補助事業名 平成21年度光産業の戦略的事業展開のための調査研究等補助事業
補助事業者名 財団法人光産業技術振興協会
1.補助事業の概要
(1) 事業の目的
光産業の戦略的事業展開と基幹産業としての成長発展を図り、先端的な技術開発を推進するために、光産
業に関する基盤調査、研究開発、新規事業の支援及び普及啓発を行い、もって機械工業の振興に寄与する。
(2) 実施内容等
①技術戦略策定
ブレークスルー技術調査
シリコンフォトニクス・ブレークスルー技術
当協会では、2007年度に新たに「シリコンフォトニクス・ブレークスルー技術委員会」を立ち上げた。こ
れは、LSI内にシリコンベースの光配線を集積し、金属配線の消費電力低減や信号処理速度の限界を突破しよ
うという気運が高まってきたからである。2007年度には、通算3回の委員会が持たれた。特に、第3回目には、
このテーマを牽引する5名の講師陣をお招きし、
技術シーズを主題に
「シリコンフォトニクス技術フォーラム」
を開催し、約130名の参加があり活況を呈した。このような1年目の活動は、
「平成19年度シリコンフォトニク
ス・ブレークスルー技術調査報告書」としてまとめられた。
2008年度は、シリコンフォトニクス技術への応用サイドからの期待が、コンピュータから車載にいたるま
で広く盛り上がっている状況を捉え、2008年10月に、同じ名称で2年目の委員会を立ち上げた。この年度は、
通算5回の委員会を開催し、
特にシリコンフォトニクス技術への応用サイドからの要望をニーズの立場から議
論した。その一環で2009年2月5日に「第2回シリコンフォトニクス・ブレークスルー技術フォーラム-シリコ
ンフォトニクスへの期待-」と題するフォーラムを開催し、海外を含めて6名の招待講演者を招き、前年度を
上回る約150名の参加があり活発な討論がなされた。調査結果は、海外からの寄稿二件を含む、
「平成20年度
シリコンフォトニクス・ブレークスルー技術調査報告書」としてまとめられた。
今年度(2009年)は、以上のシーズ調査(2007年度)とニーズ調査(2008年度)を踏まえ、シリコンフォ
トニクスの技術開発を推進するための戦略を明確にする目的で、通算4回の委員会を開催した。第1回目は、
12月4日に開催し、荒川泰彦委員長(東京大学)
、和田一実副委員長(東京大学)の下で、11名の委員の間で
今年度の活動方針が確認された後、西山伸彦氏(東工大)の報告「シリコン/III-V 族半導体ハイブリッド光
デバイスとその関連技術」をテーマに審議された。第2回目は1月27日に開催され、山田博仁氏(東北大学)
の「シリコンフォトニクス集積化技術の現状と展望」
、および、土澤泰氏(日本電信電話㈱)の「シリコン細線
光導波路技術の現状と将来」と題する報告をテーマに議論された。第3回目は2月10日に開催され野田進氏(京
都大学)の「フォトニクス結晶技術の現状と将来展望」
、馬場俊彦氏(横浜国立大学)の「フォトニック結晶
とシリコンフォトニクスの現状」をテーマに審議された。第4回目は3月10日に開催され、斉藤慎一氏(㈱日
立製作所)の「Si 量子井戸の発光素子応用」
、秋山傑氏(㈱富士通研究所)の「シリコン変調器の現況」
、そ
して、岡山秀彰氏(沖電気工業㈱)の「FTTH 用Si 導波路光波長フィルタ」と題する報告をテーマに議論さ
れ、最終回として総括された。その日の午後、本年8月に設立された技術研究組合光電子融合基盤技術研究所
との協賛で、リーガロイヤルホテル東京において「第3回シリコンフォトニクス・ブレークスルー技術フォー
ラム」を開催し、約130名の参加があり、日本の半導体戦略も視野に入れた総合的観点からの討論を行うこと
ができた。本フォーラムでは、座長を副委員長の和田一美氏(東京大学)にお願いし、当協会の小谷泰久専
務理事の挨拶にはじまって、湯之上隆氏(㈱エフエーサービス)による「日本の半導体戦略 -イノベーショ
ンジレンマを越えて-」
、桜井貴康氏(東京大学)による「シリコンLSIの課題と要求されるイノベーション」
と題する講演があり、光技術を取り巻く状況について理解が深められた。後半の座長は、井戸立身氏(㈱日
立製作所) にお願いし、大橋啓之氏(日本電気㈱/Selete)による「半導体MIRAIプロジェクト: LSIオンチ
ップ光配線」
、荒井滋久氏(東京工業大学)による「シリコン/III-V 族ハイブリッド光デバイスの進展」と
題する講演があり、シリコンフォトニクスの最先端情報を参加者全員と共有することができた。そして、最
後に荒川泰彦委員長より、ClosingRemarks をいただき、次世代の日本の半導体戦略を推進するうえで光技術
と電子技術の融合が不可欠であり、これまでの技術の垣根を越えた活発な人的な交流が益々重要になるとの
見識が述べられた。以上の2009年度の委員会活動は「平成22年度シリコンフォトニクス・ブレークスルー技
術調査報告書」としてまとめられた。なお、上記フォーラム終了後、同ホテルにおいて、技術研究組合光電
子融合基盤技術研究所の設立記念会を開催し、経済産業省商務情報局情報通信機器課の吉本豊課長をはじめ
関係各位のご参加とご祝辞をいただき、技術研究組合会長の川崎秀一氏(沖電気工業㈱)より設立記念のご
挨拶をいただいた。
本委員会の活動は、発足以来3年間継続したが、この間、上記技術研究組合光電子融合基盤技術研究所が設
立された。さらに、最先端研究開発支援プログラムの一つとして荒川泰彦教授(東大)を中心研究者とする「フ
ォトニクス・エレクトロニクス融合システム基盤技術開発」が採択された。これにより、シリコンフォトニク
ス技術の研究開発は、平成22年3月より国家プロジェクトとして新たに展開されることになった。これらの成
果により、本委員会は所期の目的を達成し、今年度でその役割を成功裏に終えることができたと考える。
②光産業の戦略的事業展開のための基盤調査
ア.光産業動向
当協会では、1980 年の設立以来、毎年度、関係企業の多大なるご協力と関係委員の精力的な活動のもとに、
「光産業動向に関する調査」を行い、国内生産規模の現状分析と将来予測を行うと共に、光産業のリソース
および海外の光産業の動向等の把握を行っており、産業動向の基礎資料として高い評価を受けてきた。
米国金融不安に端を発する世界状況は、2008 年度上半期までの成長をこの 1 年半で一気に吐き出すこととな
り、われわれに経験したことのない試練を与えている。このような状況では、今までにも増して光産業技術
全体の動向を的確に把握し、それにもとづいて短期的ならびに中・長期的な研究開発および事業の戦略を立
てて行くことが重要であると考えられる。
光産業動向の調査について、本年度は光産業動向調査委員会において下記の 7 項目の基本方針を策定して活
動した。
1.
7 つの分野別調査専門委員会を設置して活動を行う。
2.
国内生産額統計は、① 2008 年度実績、② 2009 年度見込み、③ 2010 年度予測についてアンケート
調査を行う。
3.
光産業リソースに関するアンケート調査を行う。
4.
IOA(International Optoelectronics Association)2009 年会に出席し海外の光産業の動向を調査
する。
5.
光産業の市場動向をタイムリーにまとめ、オプトニュ-ズ(リサーチ&アナリシス)に発表する。
6.
アンケ-ト調査のカバリッジ、回収率、および信頼度を上げるための方策について継続して検討を
進める。
7.
アンケート調査の調査項目について分野別調査専門委員会で検討し、光産業動向調査委員会で整合
性を取る。
1. 光産業の国内生産動向
1.1 光産業の国内生産額調査
光産業の国内生産額調査は、以下のようにして取り組んだ。
日本国内の光製品 (光機器・装置、光部品) 関連生産企業に対して、2008 度生産実績額および 2009 年度生
産見込み額、2010 年度生産予測額のアンケート調査 (アンケート調査発送時期 2009 年 10 月初旬、回収時期:
2009 年 12 月~2010 年 1 月末、対象企業数 336 社) を行う。その結果をもとに、光産業動向調査委員会と、
その下に設置されている 7 つの製品分野別調査専門委員会(情報通信、情報記録、入出力、ディスプレイ、
光エネルギー、レーザ加工、センシング・計測)において検討を行い、日本国内の光産業の生産額等として
まとめる。
光産業は光機器・装置と光部品を合わせて下記の 7 分野に分類する。
1. 情報通信
光伝送機器・装置、光ファイバ融着機、発光素子、受光素子、光ファイバ、光コ
ネクタ、光受動部品など
2. 光ディスク
装置 (再生専用型、記録型)、媒体 (追記型、書換型)、半導体レーザなど
3. 入出力
光学式プリンタ、デジタル複合機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カ
メラ付き携帯電話、アレイ型受光素子など
4. ディスプレイ
フラットパネルディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、発光ダイオード
(表示用) など
5. 太陽電池
太陽光発電システム、太陽電池セル・モジュール
6. レーザ加工
レーザ応用生産装置、医療用レーザ装置、気体レーザなど
7. センシング・計測
光センシング機器、光測定器
8. その他
非通信用個別受光素子、複合光素子など
本年度より、上記下線で示した、カメラ付き携帯電話および太陽光発電システムを追加した。カメラ付き
携帯電話は従来、参考調査していたが、太陽光発電システムは本年度からの調査のため、調査結果は不連続
なものになっている。
1.2 2008、2009、2010 年度国内生産額の調査結果概要
2008 年度生産実績額,2009 年度生産見込み額,2010 年度生産予測額の『総括表』を表 1(a)に示す。
(参考
までに、昨年度までの製品分類による『総括表』を表 1(b)に示す。
)また、3 年間の光産業国内生産増加額に
対する各分野の寄与度を図 1 に示す。
● 2008 年度(実績)は 8 兆 3,426 億円、成長率▲16.7%
未曾有の世界金融危機の中、全体では大幅に減少したが、光伝送機器・装置、記録型光ディスク、発光ダ
イオード (LED)がプラス成長した。
● 2009 年度(見込み)は 7 兆 5,524 億円、成長率▲9.5%
マイナス成長分野が多い中、太陽光発電分野 56%増と大幅成長し、ディスプレイ分野は横ばいと検討した。
● 2010 年度(予測)は 7 兆 8,828 億円、成長率 4.4%
ディスプレイ分野、太陽光発電分野、レーザ加工分野、センシング・計測分野がプラス成長し、通信分野
と情報記録分野は横ばいと予測する。
表 1(a) 光産業の国内生産額(総括表)
項 目
情報通信分野
光伝送機器・装置
幹線系 (MUXを含む)
メトロ系
加入者系
映像伝送 (CATV等)
光ファイバ増幅器
その他
光ファイバ融着機
通信用半導体レーザ
通信用発光ダイオード
受光素子
光伝送リンク
光ファイバケーブル
光コネクタ
複合光素子
光受動部品
光回路部品
情報記録分野
光ディスク
光ディスク装置
再生専用型 (CD, MD, DVD, BR)
記録型 (MD, MO, CD, DVD, BR)
光ディスク媒体
その他 (光ヘッド,製造・検査装置)
半導体レーザ
入出力分野
入出力装置
光学式プリンタ
デジタル複合機 (FAX, コピー, MFP)
バーコードリーダ
イメージスキャナ
デジタルカメラ
デジタルビデオカメラ
カメラ付き携帯電話
その他
受光素子
ディスプレイ分野
ディスプレイ装置
フラットパネルディスプレイ装置
プロジェクションディスプレイ装置
大型ディスプレイ装置 (60型以上)
ディスプレイ素子
発光ダイオード
太陽光発電分野
太陽光発電システム
太陽電池セル・モジュール
レーザ加工分野
レーザ応用生産装置
炭酸ガスレーザ
固体レーザ
エキシマレーザ
その他
医療用レーザ装置
レーザ発振器
センシング・計測分野
光センシング機器
光測定器
その他分野
複合光素子
光ファイバ イメージファイバ等
受光素子
その他 (光回路部品・微小光学部品)
項 目
光機器及び装置 小計
光部品 小計
計
(各分野の集計値は :光機器・装置と :光部品とを単純合計したもの。単位百万円,%)
2008年度実績
2009年度見込み 成長率
2010年度予測
成長率
成長率
532,529
▲0.9 445,219
▲16.4 443,410
▲0.4
257,676
3.6 205,742
▲20.2 196,527
▲4.5
84,139
▲18.5
57,981 ▲31.1
59,516
2.6
59,085
27.7
52,397 ▲11.3
46,614 ▲11.0
70,583
37.9
60,397 ▲14.4
53,063 ▲12.1
14,459
▲5.7
14,198
▲1.8
15,077
6.2
18,041
3.4
12,755 ▲29.3
16,323
28.0
11,369
▲49.3
8,014 ▲29.5
5,934 ▲26.0
15,394
▲9.9
13,334
▲13.4
13,773
3.3
25,294
▲34.9
13,679
▲45.9
15,951
16.6
1,121
▲4.5
904
▲19.4
904
0.0
3,792
▲8.2
3,319
▲12.5
3,745
12.8
53,638
▲0.5
42,492
▲20.8
48,822
14.9
104,429
▲5.8 103,822
▲0.6 102,009
▲1.7
29,498
10.2
26,690
▲9.5
26,932
0.9
1,123
▲33.2
966
▲14.0
844
▲12.6
35,136
16.4
28,458
▲19.0
27,890
▲2.0
5,428
31.0
5,813
7.1
6,013
3.4
509,988
▲15.2 390,299
▲23.5 389,781
▲0.1
470,181
▲14.2 359,639
▲23.5 365,309
1.6
401,025
▲13.4
307,082 ▲23.4
309,470
0.8
232,160
▲26.9
139,813 ▲39.8
129,474
▲7.4
168,865
15.9
167,269
▲0.9
179,996
7.6
48,865
▲12.2
37,273 ▲23.7
38,346
2.9
20,291
▲30.8
15,284 ▲24.7
17,493
14.5
39,807
▲24.9
30,660
▲23.0
24,472
▲20.2
2,897,430
▲24.8 2,176,017
▲24.9 2,141,928
▲1.6
2,595,657
▲25.5 1,913,601
▲26.3 1,901,872
▲0.6
113,307
▲0.8
75,063 ▲33.8
82,940
10.5
184,705
▲11.9
139,137 ▲24.7
131,576
▲5.4
18,315
▲10.2
14,642 ▲20.1
15,174
3.6
18,295
▲40.1
16,926
▲7.5
5,333 ▲68.5
922,864
▲6.1
688,280 ▲25.4
649,063
▲5.7
147,749 ▲39.1
181,612
242,775
▲31.9
22.9
826,793 ▲24.1
828,833
1,089,710
▲37.7
0.2
5,011 ▲11.9
7,341
5,686
▲74.4
46.5
301,773
▲17.6 262,416
▲13.0 240,056
▲8.5
3,195,828
▲10.6 3,202,812
0.2 3,363,566
5.0
1,072,858
▲13.6 1,027,614
▲4.2 1,062,720
3.4
922,330
▲12.3
902,235
▲2.2
933,727
3.5
129,505
▲25.1
101,099 ▲21.9
105,302
4.2
21,023
21.3
24,280
15.5
23,691
▲2.4
1,901,286
▲10.8 1,962,824
3.2 2,025,618
3.2
221,684
10.6 212,374
▲4.2 275,228
29.6
529,084
825,359
56.0 960,333
16.4
162,819
384,005
135.8
456,200
18.8
366,265
▲8.8
441,354
20.5
504,133
14.2
371,582
▲20.8 238,887
▲35.7 282,895
18.4
302,078
▲21.2 180,972
▲40.1 215,034
18.8
83,833
▲13.0
42,746 ▲49.0
58,436
36.7
43,975
▲6.6
36,346 ▲17.3
51,183
40.8
172,955
▲26.1
100,355 ▲42.0
103,555
3.2
1,315
▲77.0
1,525
16.0
1,860
22.0
9,906
23.6
8,973
▲9.4
9,406
4.8
59,598
▲23.5
48,942
▲17.9
58,455
19.4
200,321
▲17.3 179,337
▲10.5 198,288
10.6
192,005
▲17.1 172,612
▲10.1 190,582
10.4
8,316
▲21.7
6,725
▲19.1
7,706
14.6
105,877
▲25.5
94,441
▲10.8 102,579
8.6
30,590
▲33.9
24,625
▲19.5
27,035
9.8
4,176
▲25.4
3,777
▲9.6
3,773
▲0.1
28,423
▲5.7
27,999
▲1.5
24,331
▲13.1
42,688
▲28.9
38,040
▲10.9
47,440
24.7
2008年度実績
5,086,890
3,255,748
8,342,638
2009年度見込み
成長率
▲20.3 4,273,217
▲10.7 3,279,154
▲16.7 7,552,370
2010年度予測
成長率
▲16.0 4,419,129
0.7 3,463,651
▲9.5 7,882,780
成長率
3.4
5.6
4.4
太陽光発電分野において、システムに部品として含まれる太陽電池モジュールの生産額が重複しないよう合計した生産額は次の通りである
項 目
2008年度実績
2009年度見込み 成長率
2010年度予測
成長率
成長率
太陽光発電分野
430,171
637,049
48.1 699,231
9.8
表 1(b) (参考)光産業の国内生産額(総括表)
(従来製品分類;カメラ付き携帯電話及び太陽光発電システムを含まない)
項 目
情報通信分野
光伝送機器・装置
幹線系 (MUXを含む)
メトロ系
加入者系
映像伝送 (CATV等)
光ファイバ増幅器
その他
光ファイバ融着機
通信用半導体レーザ
通信用発光ダイオード
受光素子
光伝送リンク
光ファイバケーブル
光コネクタ
複合光素子
光受動部品
光回路部品
情報記録分野
光ディスク
光ディスク装置
再生専用型 (CD, MD, DVD, BR)
記録型 (MD, MO, CD, DVD, BR)
光ディスク媒体
その他 (光ヘッド,製造・検査装置)
半導体レーザ
入出力分野
入出力装置
光学式プリンタ
デジタル複合機 (FAX, コピー, MFP)
バーコードリーダ
イメージスキャナ
デジタルカメラ
デジタルビデオカメラ
その他
受光素子
ディスプレイ分野
ディスプレイ装置
フラットパネルディスプレイ装置
プロジェクションディスプレイ装置
大型ディスプレイ装置 (60型以上)
ディスプレイ素子
発光ダイオード
太陽電池分野
太陽電池セル・モジュール
レーザ加工分野
レーザ応用生産装置
炭酸ガスレーザ
固体レーザ
エキシマレーザ
その他
医療用レーザ装置
レーザ発振器
センシング・計測分野
光センシング機器
光測定器
その他分野
複合光素子
光ファイバ イメージファイバ等
受光素子
その他 (光回路部品・微小光学部品)
項 目
光機器及び装置 小計
光部品 小計
計
(各分野の集計値は :光機器・装置と :光部品とを単純合計したもの。単位百万円,%)
2008年度実績
2009年度見込み 成長率
2010年度予測
成長率
成長率
532,529
▲0.9 445,219
▲16.4 443,410
▲0.4
257,676
3.6 205,742
▲20.2 196,527
▲4.5
84,139
▲18.5
57,981 ▲31.1
59,516
2.6
59,085
27.7
52,397 ▲11.3
46,614 ▲11.0
70,583
37.9
60,397 ▲14.4
53,063 ▲12.1
14,459
▲5.7
14,198
▲1.8
15,077
6.2
18,041
3.4
12,755 ▲29.3
16,323
28.0
11,369
▲49.3
8,014 ▲29.5
5,934 ▲26.0
15,394
▲9.9
13,334
▲13.4
13,773
3.3
25,294
▲34.9
13,679
▲45.9
15,951
16.6
1,121
▲4.5
904
▲19.4
904
0.0
3,792
▲8.2
3,319
▲12.5
3,745
12.8
53,638
▲0.5
42,492
▲20.8
48,822
14.9
104,429
▲5.8 103,822
▲0.6 102,009
▲1.7
29,498
10.2
26,690
▲9.5
26,932
0.9
1,123
▲33.2
966
▲14.0
844
▲12.6
35,136
16.4
28,458
▲19.0
27,890
▲2.0
5,428
31.0
5,813
7.1
6,013
3.4
509,988
▲15.2 390,299
▲23.5 389,781
▲0.1
470,181
▲14.2 359,639
▲23.5 365,309
1.6
401,025
▲13.4
307,082 ▲23.4
309,470
0.8
232,160
▲26.9
139,813 ▲39.8
129,474
▲7.4
168,865
15.9
167,269
▲0.9
179,996
7.6
48,865
▲12.2
37,273 ▲23.7
38,346
2.9
20,291
▲30.8
15,284 ▲24.7
17,493
14.5
39,807
▲24.9
30,660
▲23.0
24,472
▲20.2
1,807,720
▲14.0 1,349,224
▲25.4 1,313,095
▲2.7
1,505,947
▲13.2 1,086,808
▲27.8 1,073,039
▲1.3
113,307
▲0.8
75,063 ▲33.8
82,940
10.5
184,705
▲11.9
139,137 ▲24.7
131,576
▲5.4
18,315
▲10.2
14,642 ▲20.1
15,174
3.6
18,295
▲40.1
16,926
▲7.5
5,333 ▲68.5
922,864
▲6.1
688,280 ▲25.4
649,063
▲5.7
147,749 ▲39.1
181,612
242,775
▲31.9
22.9
5,011 ▲11.9
7,341
5,686
▲74.4
46.5
301,773
▲17.6 262,416
▲13.0 240,056
▲8.5
3,195,828
▲10.6 3,202,812
0.2 3,363,566
5.0
1,072,858
▲13.6 1,027,614
▲4.2 1,062,720
3.4
922,330
▲12.3
902,235
▲2.2
933,727
3.5
129,505
▲25.1
101,099 ▲21.9
105,302
4.2
21,023
21.3
24,280
15.5
23,691
▲2.4
1,901,286
▲10.8 1,962,824
3.2 2,025,618
3.2
221,684
10.6 212,374
▲4.2 275,228
29.6
366,265
▲8.8 441,354
20.5 504,133
14.2
366,265
▲8.8
441,354
20.5
504,133
14.2
371,582
▲20.8 238,887
▲35.7 282,895
18.4
302,078
▲21.2 180,972
▲40.1 215,034
18.8
83,833
▲13.0
42,746 ▲49.0
58,436
36.7
43,975
▲6.6
36,346 ▲17.3
51,183
40.8
172,955
▲26.1
100,355 ▲42.0
103,555
3.2
1,315
▲77.0
1,525
16.0
1,860
22.0
9,906
23.6
8,973
▲9.4
9,406
4.8
59,598
▲23.5
48,942
▲17.9
58,455
19.4
200,321
▲17.3 179,337
▲10.5 198,288
10.6
192,005
▲17.1 172,612
▲10.1 190,582
10.4
8,316
▲21.7
6,725
▲19.1
7,706
14.6
105,877
▲25.5
94,441
▲10.8 102,579
8.6
30,590
▲33.9
24,625
▲19.5
27,035
9.8
4,176
▲25.4
3,777
▲9.6
3,773
▲0.1
28,423
▲5.7
27,999
▲1.5
24,331
▲13.1
42,688
▲28.9
38,040
▲10.9
47,440
24.7
2008年度実績
3,834,361
3,255,748
7,090,109
2009年度見込み
成長率
▲13.3 3,446,424
▲10.7 3,279,154
▲12.1 6,725,577
2010年度予測
成長率
▲10.1 3,590,296
0.7 3,463,651
▲5.1 7,053,947
成長率
4.2
5.6
4.9
(億円)
5,000
0
その他
センシング・計測
レーザ加工
情報記録
太陽光発電*1
情報通信
入出力
ディスプレイ
-5,000
-10,000
-15,000
-20,000
2008年度実績
-1兆6,404億円
2009年度見込
-7,903億円
2010年度予測
3,304億円
図 1 生産増加額の分野別寄与度推移
*1 2008 年度の対前年度生産増加額には調査開始項目である太陽光発電システムは含まれない
1.3 光産業国内生産額の推移
1991 年度から 2010 年度までの 20 年間の国内生産額の推移を図 2 に示す。また、1980 年度の光産業国内
生産額の調査開始時点から現在までの推移を光機器・装置と光部品とに分けて図 3 に示す。
図 2 には光産業規模の推移を日本経済、他業種の規模の推移と比較するために、名目 GDP と電子工業国内
生産額も参考のために載せてある。この 19 年間、名目 GDP はほぼ 500 兆円前後で推移している。電子工業
国内生産額は、20~25 兆円を推移していたが、2009 年、2010 年は 15 兆円を切る見通しである。一方、光産
業は 1980 年度約 800 億円の規模であったが、以後一貫してプラス成長を持続し 20 年後の 2000 年度には 7
兆円の大台にのった。IT 不況の影響で 2001 年度は調査開始以来初めてマイナス成長を記録したが、2002 年
度にはいち早くプラス成長(対前年度成長率 2.7%)に反転し、2003 年度には再び大きく成長(同 29.2%)
した。生産の海外シフトや単価の下落の影響で 2004~2007 年度は 2006 年度(同 5.3%)以外は横ばいでは
あったが堅調に 9 兆円台で推移した。金融不況に端を発した世界同時不況のため、2008 年度(同▲1.3%減)
、
2009 年度(同▲2.6%減)は 2 期連続のマイナス成長となるが 2010 年度(同 4.4%)はプラス成長となる見
込みである。
図 3 には光部品が全体に占める割合も併せ示してある。
1980 年当時は光部品が全体の約 80%を占めていた。
内訳は、表示用 LED、通信用光ファイバ(マルチモード)
、受光素子などの光部品、光学式プリンタ(気体レ
ーザ)などの光機器・装置が主な製品であった。その後、シングルモードファイバや固体(半導体)レーザ
が登場して市場を拡大し、さらに LCD など新たな光製品も次々と加わり、光産業は製品群が大きく様変わり
しながら拡大発展し現在に至っている。1980 年代前半は光部品生産額が光機器・装置生産額を凌駕していた
が、1980 年代後半以来光部品は 30~40%を推移し、2000 年代に入って 30~45%と、ディスプレイ素子や太陽
電池セル・モジュールなどの光部品とデジタルカメラ、カメラ付き携帯電話、ディスプレイ装置、太陽光発
電システムなどの光機器・装置の増加が均衡する状況となっている。
対前年度成長率
10
光産業国内生産額(年度)
9
0.1
電子工業生産金額(暦年)*2 (x1/10)
8
生産金額(兆円)
1.1
名目GDP(年度)*1 (x 1/100)
0.6
5.3
29.2
▲16.7*3
11.2
7
28.9
6
5 4.9
2.2
2.5
1.9
4
3 11.4
2
0.3
4.3
9.1
2.3
▲15.1
1.0 ▲1.9
12.2
20.5
▲0.7
9.1
2.4
7.1
▲9.5
2.7*3
0.9
▲0.7
0.8
1.0
0.9
1.5
4.4
0.9
0.4
▲2.1 ▲0.8
▲4.2
▲4.3
4.0
4.6
6.6
6.1
0.5
9.6
7.0
▲10.5
▲12.0 ▲5.6
▲18.2
6.5
2.3
6.0
▲0.8▲7.7
▲3.5
▲12.0
1
▲24.5
0
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
年度
08
09
10
見込 予測
図 2 光産業国内生産額、名目 GDP、電子工業国内生産額の推移(1991~2010 年度)
*1 平成 22 年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度,1/22/10(閣議決定)
*2 電子情報産業の世界生産見通し,JEITA,12/16/09
*3 カメラ付き携帯電話の調査開始 (2002)年度および太陽光発電システムの調査開始 (2008)年度の対前年
度成長率には調査開始項目は含まれない
7
100
光機器・装置
光部品
光部品の割合
6
90
生産金額(兆円)
5
70
60
4
50
3
40
光部品の割合(%)
80
30
2
20
1
10
0
09見込
10予測
04
年度
05
06
07
08
03
00
01
02
98
99
95
96
97
91
92
93
94
87
88
89
90
84
85
86
82
83
80
81
0
図 3 光機器・装置/光部品別国内生産額の推移 (1980-2010)
100%
90%
80%
1.3%
2.4%
4.5%
6.1%
1.3%
2.4%
3.2%
5.2%
1.3%
2.5%
3.6%
4.9%
6.3%
10.9%
12.2%
5.9%
5.6%
6.4%
70%
60%
34.7%
28.8%
27.2%
38.3%
42.4%
42.7%
2008実績
8兆3,426億円
2009見込
7兆5,524億円
2010予測
7兆8,828億円
50%
40%
30%
20%
10%
0%
図 4 光製品の分野別構成比率の推移
その他
センシング・計測
レーザ加工
情報記録
太陽光発電
情報通信
入出力
ディスプレイ
4.5
ディスプレイ
4.0
入出力
情報記録
生産金額(兆円)
3.5
情報通信
3.0
レーザ加工
2.5
センシング・計測
太陽光発電
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
見込 予測
年度
図 5 分野別光製品生産額の推移(金額ベース)
1,400
太陽電池セル・モジュール
1,200
太陽光発電全体*1
1,000
800
600
400
200
0
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
年度
07
08
09
10
見込 予測
図 6 太陽光発電生産額の推移(2000 年度 = 100)
*1 光部品である太陽電池セル・モジュールと光機器・装置である太陽光発電システムを単純合計
1.4 光製品分野別推移
1.4.1 光製品分野別構成比率の推移
光製品の分野別構成比率の推移を図 4 に示す。
ディスプレイ分野、
入出力分野で全体の約 7 割を占めるが、
世界金融不況のため、規模を維持している分野は構成比率が増加し、不況の影響を受ける分野は構成比率を
減らしている。太陽光発電分野は、補助金が復活し余剰電力買取制度も始まった 2009 年度に構成比率を大き
く伸ばしている。堅調となる見込みのディスプレイ分野も 2009 年度に構成比率を増加させている。単価は継
続的に下落するもエコポイント制度により国内販売台数は好調で、また中期的にもアナログ放送停波を控え
需要が底堅いという見方がその背景にある。一方で、入出力分野とレーザ加工分野が 2009 年度に大きく構成
比率を下げている。入出力分野は、デジタルカメラが成長を維持できなくなり、オフィス用途が主体のプリ
ンタ・複合機も不況の影響を受けマイナス成長が大きく構成比率でも減少した。半導体産業と自動車産業に
代表される製造業に支えられてきたレーザ加工分野は、不況の影響をもろに受ける形となった。2010 年度は、
レーザ加工分野は半導体産業とともに復調する予測であるが、入出力分野は回復が遅れ構成比率を継続的に
減少させる予測である。
1.4.2 光製品分野別生産額の推移
光製品国内生産額の 1991 年度実績~2010 年度予測の 20 年間の推移を分野別に示したものが図 5 である。
光産業の国内生産額の大きな落ち込みがあった 2001 年度の前年度(2000 年度)までは各分野ともに同じよ
うな傾向で推移していたが、以降の展開は分野ごとに大きく異なる。
ディスプレイ分野、入出力分野は 2001 年度にあまり落ち込まず成長した。レーザ加工分野、センシング・計
測分野は 2001~2002 年度の落ち込みが大きかったがその後 2000 年度レベルに回復した。情報通信分野、情
報記録分野は、2000 年度レベルをいまだ上回っていない。太陽光発電分野は金額の占める割合はまだ 2 強に
届かないものの成長率は大きく、太陽電池セル・モジュールにおいて 2010 年度には 2000 年度の 6 倍を超え
ると予測される。今年度から統計を取り始めた太陽光発電システムとあわせた太陽光発電分野全体とともに
相対値の推移を図 6 に示した。
このように、分野別に状況が異なっており、単純に不況の影響を受けているのではなく、それぞれの市場の
要求を反映しつつ新技術を取り込みながら状況を打開しようとしている。
各分野の詳細な分析については、以降の 2 項から8項で述べる
2. 情報通信分野の動向
2.1 総論
本分野も、世間一般の例にもれず大不況にさらされたことが一目瞭然の結果となった。国内生産額の各項
目はほとんどが 2008 年度実績から 2009 年度見込までマイナス成長一色となっている。ただ、これには NTT
の NGN(Next Generation Network)がサービス開始され、その関連投資が一段落したことも影響していると
みている。後者の場合、マイナス成長が 2009 年度から 2010 年度と 1 年シフトしている可能性があるが、3
年連続してマイナス成長という項目はほとんど見られない。救いは、次年度はほとんどが横ばい、あるいは
プラス成長を予測している点であるが、子細に見ると長期的な減少傾向が明らかな製品群も見いだせる。
長波長帯(1.3 ・m,1.55 μm)半導体レーザは、2007 年度に比べて 2008 年度は半分以下に激減しており、
海外生産にシフトしている。波長多重伝送システム及びフォトニックネットワークの先駆けである波長多重
光リングネットワークノード(ROADM:Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)用に波長可変機能
を持った高機能レーザ光源が広く使用されるようになり、長距離基幹伝送システムは、40 Gb/s システムの
導入を契機として位相変調(PSK:Phase-Shift Keying)
、QPSK(Quadrature Phase-Shift Keying)などの多
値変調システムに移行しつつある。コヒーレント送受信器など高機能光部品が開発され、単純な発光/直接変
調と二乗検波といった単機能的なデバイスから進化する高機能発光/受光素子は研究開発されると同時に実
用に供され、生産額も増えていく。ただし「デジタル コヒーレント」と呼ばれる新しいコヒーレント方式は、
信号のパルス等化や偏波制御など従来分散補償ファイバなどのアナログ光部品を利用してきた機能をデジタ
ル的に実現することを目指していることに注意が必要である。
短波長(0.85 μm)帯半導体レーザに関しては、発光素子(半導体レーザ)
、受光素子共にほぼ国内生産が無
くなり、北米・欧州メーカが独占している。
「光 LAN・光無線 LAN」の項目では、IP ルータやイーサネットスイッチなどの LAN 製品のインタフェース
が送受信トランシーバとして独立し、
「光リンク」トランシーバは供給メーカの自主的な相互合意(MSA:Multi
Source Agreement)というデファクト規格に準じて設計製造するため、ネットワーク運用者は必要に応じて
短波長/長波長(1.3 μm,1.55 μm)の製品群から自由に選択購入できるようになっている。このため、
「光
リンク」は調査できるものの「光 LAN」としては調査をする意味が無くなった。
アナログ放送から地上デジタル放送への完全移行を目前にし、適法違法併せのむ動画コンテンツが大量に
ネットワークを流れる傾向は今後も衰えることはない。加えて引続き流行が懸念される新型インフルエンザ
の影響で、出張を控え社員の安全を確保することに合わせコストカットを図る動きと連動して女性の社会参
加を促進する意味での在宅勤務の導入が進んでいる。この動きはクラウドコンピューティングの流れに整合
する。こうして映像系・動画系に代表される通信トラフィック需要は今後も伸び続け、国内のブロードバン
ドサービスは地域を拡大しサービス進化の努力を行い、光関連製品の生産は堅調に推移する。
2.2 分野別
光伝送機器および装置の 2008 年度は 2,576 億円(前年度比成長率 3.6%)と 2007 年度 2,486 億円(同-8.7%)
に比べ増加に転じたが、2009 年度は 2,057 億円(同-20.2%)
、2010 年度も 1,965 億円(同-4.5%)と減少する。
光伝送リンクの 2008 年度は 536 億円(同-0.5%)と 2007 年度 539 億円(同 38.7%)に比べ横這いであった
が、2009 年度は 424 億円(同-20.8%)と減少する。2010 年度は 488 億円(同 14.9%)に増加する。
通信用半導体レーザ(LD:Laser Diode)全体の 2008 年度は 252 億円(同-34.9%)
、2009 年度 136 億円(同
-45.9%)と 2 年連続で減少する。2010 年度は 159 億円(同 16.6%)に増加する。
通信用個別受光素子の 2008 年度は 37 億円(同-8.2%)と 2007 年度 41 億円(同 24.3%)に比べ減少する。
2009 年度も 33 億円(同-12.5%)と減少するが、2010 年度は 37 億円(同 12.8%)と 2008 年度レベルまで回
復する。
光ファイバケーブルの 2008 年度は 1,044 億円(同-5.8%)
、2009 年度 1,038 億円(同-0.6%)
、2010 年度 1,020
億円(同-1.7%)と減少するも安定している。
光コネクタの 2008 年度は 294 億円(同 10.2%)と増加したが、2009 年度 266 億円(同-9.5%)に減少する。
2010 年度は 269 億円(同 0.9%)と横這いである。
光ファイバ融着接続機の 2008 年度は 153 億円(同-9.9%)
、2009 年度 133 億円(同-13.4%)と連続して減
少する。2010 年度は 137 億円(同 3.3%)と増加する。
光アイソレータ、光減衰器、光分波合波器及び光分岐結合器などの光受動部品並びに光スイッチ及び光変
調器などの光回路部品を合わせた分野の 2008 年度は 405 億円(同 18%)と増加したが、2009 年度 342 億円(同
-16%)
、2010 年度 339 億円(同-1.1%)と減少する。
3. 情報記録分野
本委員会は、継続的活動として、
「光技術を用いた情報記録(光ディスク)の装置・媒体についての、国内生
産額の調査とその結果分析および特徴的な市場トピックスの調査と報告」を実施した。光ディスクの 2008
年度国内生産額の実績は、4,702 億円となり前年度に比べ 14.2%減となった。2009 年度見込みは 3,596 億円
(2008 年度比 23.5%減)となるものの、2010 年度見込みは 3,653 億円(2009 年度比 1.6%増)と横ばいと予
測されている。
2000 年度に光ディスク装置・媒体の国内生産額が、1 兆 1,748 億円とピークを示すまでは、光ディスクは
いわゆる破壊技術として、既存のカセットテープ、VTR 等を置き換え成長して来た。しかし,2001 年度は IT
バブルの終焉、低価格化、生産の海外移転により、国内生産額がはじめて 25.0%減の大幅な減少を示した。
2002~2003 年度は DVD レコーダの登場により再びプラス成長を示したが、2004〜2005 年度には、これも低価
格化、生産の海外移転により国内生産額は減少に転じた。しかし,2006 年度は、BD (Blu-ray Disc)、HDDVD
の台頭がありわずか(2.6%増)ではあるがプラスに転じた。2007~2008 年度は BD の普及、例えば 2008 年末
国内商戦での BD レコーダの数量がビデオレコーダの 60%を占めるなどの急速な普及にも関わらず、MO,MD の
市場の減少、CD に加え DVD の低価格化、大幅な海外生産シフトにより光ディスク装置・媒体の国内生産額全
体は、減少を続けている。これには,2006 年度ごろよりのフラッシュメモリが破壊技術として外部記録装置
を置き換えてきたことが大きく影響している。
このように、CD/DVD の国内生産は急激に減少している。一方、CD/DVD に次いで国内生産額を増やすと期待
される BD (Blu-ray Disc)であるが、日本国内のレコーダ市場では急激に DVD レコーダから BD レコーダへの
転換が進んでいるものの PC 用途への浸透はこれからという状態であり、CD/DVD の減少をカバーするほどに
は生産額は増えていない。北米では、BD プレーヤの低価格化に伴い急速に普及が進んでいるが、その中で高
いシェアを有する国内メーカが市場参入時から海外生産のため、国内生産額に反映されていないことも影響
している。今後 BD 製品の低価格化が進むと予測されるが、それを上回る生産台数の増加が見込まれ、2010
年度には国内生産額はプラスに転じると予測されている。
再生専用装置 (CD, MD, DVD, BD)の国内生産額は、2008 年度 2,322 億円(前年度比 26.9%減)と減少傾向
は続き、さらに 2009 年度は、2008 年後半の需要減衰により大幅な減産の影響を受け、1398 億円(同 39.8%
減)と大きく減少し、2010 年度は緩やかな景気回復基調を受け減少傾向はやや鈍化する(同 7.4%減)見込み
である。2007 年度生産額が急増した BD プレーヤならびに BD を再生できるゲーム機も 2008 年度は大きく減
少し、さらに 2009 年度以降は、価格低下と海外生産シフトにより大幅に生産額が落ちこむ見込みである。ま
た、半導体や HDD を利用したメモリーオーディオへのシフトにより CD・MD の減少傾向は続き、さらにポータ
ブル型低価格カーナビの普及に伴い、カーナビを含む車載用 DVD プレーヤも今後減少傾向が続くものと思わ
れる。
光ディスク記録・再生装置カテゴリーでは、2008 年度国内生産実績総額の約 75%に相当する 1,252 億円を
BD レコーダ、及び BD 記録再生用ドライブが占めている。2009 年度も更にこの傾向が強まり、国内で販売さ
れるビデオ録画機器は急速に BD レコーダへと置き換わりつつある。
その需要を押し上げている要因の一つは、
販売が好調な高画質デジタル放送対応フラットパネル TV と考えられる。また、国内主要パソコンメーカーも
記録型 BD ドライブ搭載 PC を複数モデル市場投入しており、
世界的に見ると日本国内のみに記録型 BD 機器及
びディスク需要が集中するという現象が起っている。これら国内市場向け高付加価値製品も、価格下落によ
るコスト削減圧力により海外生産へのシフトが始まっている。販売数量ベースでは今後も拡大が続くものの
国内生産額の伸び率は鈍ってくるものと思われる。実際 2009 年度はカテゴリー全体の国内生産額として
1,663 億円、そのうち BD 関連は 1,457 億円と見込んでいる。更に、それぞれに対応する 2010 年度の生産額
は 1,792 億円と 1,734 億円を予測しており、ほぼ BD 関連機器に集約されるものと思われる。
光ディスク媒体の国内生産額は、MD,MO の需要が今後も大きく減少すること、及び CD-R や記録型 DVD の
需要減による国内生産の大きな減少が予想されるため、BD の国内生産が増加するにも拘らず、2008 年度:
12.2%、2009 年度:23.7%と引き続き減少することが予想される。しかし 2010 年度は、BD の国内生産の増加
が他の媒体の減少を上回るようになり、僅かながら増加が見込まれる。
平成 21 年報告書は、以上の調査結果を踏まえ、製品別の市場動向分析を、(1) 再生専用装置、(2) 記録・
再生装置、そして、(3) 媒体の順に述べ、最後に、本年度の注目すべき動向及び今後の動向として、(1) ア
ーカイブの重要性を担う光ディスク産業を(2) 産業応用と(3) 医療応用 の各視点からの調査報告があった。
4. 入出力分野
当分野では光を媒体とした光学式プリンタ、MFP(デジタル複写機を含む)
、バーコードリーダ、デジタル
カメラ、同ビデオカメラなどにつき市場動向、生産動向の調査と特徴的な製品動向を調査している。うち、
デジタル複写機は昨今の MFP 化を反映して 2003 年度実績値より MFP と合算しての分析とし、
光学式ファクシ
ミリは単独機能製品の国内生産額が縮小したことから、2005 年度報告分で調査を終了した。
一方、MFP 製品は入力/出力とも光学式技術を用いたものがほとんどだったが、近年出力にインクジェット
を採用した MFP が伸びてきたことを踏まえ、昨 2008 年度から、原稿読み取り部に光学技術を用いたインクジ
ェット出力式 MFP を「インクジェット式 MFP」と定義して区別して調査を開始した。
また 2005 年度実績値から、デジタルカメラは一眼レフとコンパクトの 2 タイプに、デジタルビデオカメラ
はハイビジョン相当と NTSC 相当の 2 タイプにそれぞれ分けて調査・分析している。
4.1 国内生産の動向
入出力装置全体の 2008 年度生産実績は 1 兆 5,059 億円で、2007 年度比で 13.2%の減少となった。この減少
は 2008 年の世界同時不況の影響を受けたのみならず、海外生産へシフトの影響も受けている。
4.2 動向分析
(1) 光学式プリンタ
光学式プリンタの 2008 年度国内生産額は 1,133 億円と前年度比 0.8%の減少とほぼ横ばいであったが、
2009
年度は 751 億円と 33.8%の大幅な減少が見込まれている。2010 年度は 10.5%の増加と予測しているが、低い
水準である。光学式プリンタ市場全体ではここ数年台数ベースで高い成長を遂げてきたが、金融危機の影響
を受け、2008 年の全世界の総出荷台数はここ数年で初の前年割れとなった。成長を支えてきた新興国も例外
なく急激な減少となっている。
(2) 光学式 MFP(デジタル複写機含む)
光学式 MFP の 2008 年度国内生産額は 1,729 億円で前年度比 13.4%の減少であり、昨年度の予測(1,583 億
円)よりは上方に振れた。2009 年度は 25.2%の減少を見込んでいるが、2010 度予測では前年比で 6.3%の程度
の減少を予測している。比較的国内生産の割合が多いとみられる高速機の領域では、景気後退の影響が一段
落するとみている企業が多いためと見られる。
(3) インクジェット式 MFP
既述の通り、原稿読み取り部に光学技術を用いたインクジェット出力式 MFP を「インクジェット式 MFP」
と定義して調査対象に加え、前年度から調査・分析を開始している。
近年高い伸びを示してきたインクジェット式 MFP の 2008 年度国内生産額は 118 億円と 17.9%の増加を示し、
光学式 MFP の 1/15 程度となった。しかし 2009 年度は 98 億円と 17.3%の減少が見込まれている。全世界での
インクジェット式 MFP の総出荷金額は 80 億 US ドルとの調査もあり、光学式プリンタに比べ世界的な不況の
影響が比較的少ないと思われる。
(4) デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラ
デジタルカメラは 2005 年度実績からコンパクトタイプと一眼レフタイプに分けて調査している。2008 年
度実績は一眼レフタイプの 24.8%増にもかかわらず、コンパクトタイプの落ち込みから 9,229 億円と調査開
始以来初の 6.1%減少となった。
2009 年度は更に 25.4%の減少を見込んでおり、
2010 年度も 6,491 億円(5.7%
減)と予測している。
デジタルビデオカメラの 2008 年度国内生産額は 2,428 億円で前年比 31.9%もの減少を示した。
2009 年度見
込み値は 1,477 億円と更に減少した後、
2010 年度は 1,816 億円(22.9%の増)が予測されている。
従来機種(NTSC
相当)は 2008 年度実績で 1,037 億円(59.8%の減)となり、高解像力機種(Hi-V 相当)の 1,391 億円(40.7%増)と
で逆転した。今後この差は更に広がると予想される。
(5) バーコードリーダ
2008 年度の国内生産額は 183 億円で 10.2%の減少となった。2009 年度は 146 億円と 20.1%減が見込まれ、
2010 年度は 152 億円と微増を予測している。
(6) イメージスキャナ
2008 年度の国内生産額は 183 億円で 40.1%の大幅減少となった。
2009 年度は 169 億円の 7.5%減が見込まれ
ている。今後コストダウン要求への対応や主要用途であるデジタル複写機の海外生産移転にともない、イメ
ージスキャナは海外シフトが進むと思われる。
4.3 海外生産動向
当分野では国内メーカの生産活動を正しく掴むために、2000 年度から国内外の各「生産金額と出荷金額」
を調査している。
入出力装置全体の海外生産比率は 1999 年度 19%程度だったが、2003 年度には 47%と増えた後、一旦 2005
年度 41%に減少後、2008 年度は 50%、2010 年度は 60%となる見込みである。
MFP は 1999 年度 38%程度だったが、2008 年度は 81%となり、2010 年度は 87%と予測されている。デジタ
ルカメラは 2003 年度の 36%が 2008 年度には 44%、2100 年度は 57%と予測される。各社とも利益率の高い一
眼レフタイプの生産に注力するようになり、多くは国内で生産されている。コンパクトカメラは海外生産へ
のシフトが進む。2008 年度デジタルビデオカメラの海外生産比率は 27%、光学式プリンタは同じく 81%と
なっている。
5. ディスプレイ分野
5.1
ディスプレイ分野全体の産業動向
関連各社へのアンケート調査結果をベースに解析と検討を加えた結果、本分野の生産額は以下の通りであ
る。ディスプレイ分野全体の国内生産額は、金融危機がもたらした急激な景気落ち込みの影響をうけ、2008
年度には 3 兆 1,958 億円(実績)と、10.6%激減した。2009(平成 21)年度は僅かながら景気が回復し 0.2%
の増加、3 兆 2,028 億円を見込む。また 2010(平成 22)年度は 3 兆 3,636 億円と 5.0%の増加と予測する。
(1) 液晶ディスプレイ装置および素子
世界レベルでの景気後退により、2008 年国内市場では液晶テレビ、パソコン、携帯電話など市場を牽引す
るセット商品において需要低迷と単価ダウンが進み、メーカ各社のパネル生産ラインの稼働率ダウン又は一
時停止を余儀なくされた。2009 年に入り、部品市場から徐々に在庫調整が進み、春からは各社生産も徐々に
上向いた。 しかしながら、景気の本格回復には程遠く、収益改善にはなお時間がかかる見込みで、各社は
低成長時代を耐え抜くための事業構造改革に注力している。
① 装置: 液晶 TV の国内生産金額では 2008 年度 7,106 億円(前年度比 3.1%減)
、2009 年度見込み 7,008 億
円(同 1.4%減)と昨年時点の見方を下回る見通しとなった。しかしエコポイントの継続などを背
景に、2010 年度は 7,571 億円(同 8.0%増)と金額ベースでも緩やかながら増加に転じると予測
される。世界経済に目を転じると、新興国を筆頭に液晶テレビの需要が活発化しており、国内市
場と合わせて市場拡大が期待される。
② 素子: アクティブ液晶パネルの国内生産額は、2007 年度が 1 兆 6,989 億円(1.4%増)
、2008 年度見込みが
1 兆 7,202 億円(1.3%増)
、2009 年度では 1 兆 5,624 億円(9.2%減)と予測する。パッシブ型液晶
パネルの国内生産額は、2007 年度が 1,129 億円(10.1%減)
、2008 年度見込みが 999 億円(11.5%
減)
、2009 年度では 956 億円(4.3%減)と予測する。海外への生産シフトが進み国内生産額はここ
数年継続して減少傾向にあり、当面この傾向は続くものと思われる。
アクティブ液晶パネルの国内生産額は、2008 年度が 1 兆 5,548 億円(8.5%減)
、2009 年度見込みが
1 兆 5,935 億円(2.5%増)
、2010 年度では 1 兆 6,334 億円(2.5%増)と予測する。モニタ用やノー
トパソコン用は既に韓国・台湾メーカがほとんどを占めている。国内メーカの生産は、今後は世界
的なテレビ市場の拡大と国内での大型基板ラインの本格稼働により、テレビ用をターゲットとして
拡大すると予測される。
(2) PDP ディスプレイ装置および素子
プラズマディスプレイ (PDP)は、世界的な景気後退による 2008 年度は 34%のマイナス成長となった。2009
年度は、エコポイント制度とデジタル放送への切り替えの接近による旺盛な需要が数量的に下支えとなり、
価格低下が進みつつも、10.1%の回復が見られる。 PDP パネルの生産は、日本 1 社と韓国 2 社に集約された
状況になっているが、国内生産は、ウォン安に後押しされた韓国に比べると、その回復は鈍い。今後はアメ
リカの需要低迷と、中国やインドを始めとする振興市場の拡大で、低価格製品へのシフトが更に進むと予想
される。
(3) 有機 EL ディスプレイ素子
EL ディスプレイの 2008 年度の国内生産額は約 10 億円と 2007 年度の 156 億円から 93.5%の大幅な減少と
なった。2009 年度には 18.3 億円と 79.5%増加、2010 年度には 21.5 億円と 17.7%増加と徐々に回復する見込
みである。有機 EL の主用途は携帯電話、ワンセグテレビ、フォトフレーム等の小型ディスプレイで、AMOLED
を採用した製品が市場に投入されている。しかし韓国および台湾のメーカが大きなシェアを占めており、国
内生産額は僅かである。
(4) プロジェクションディスプレイ装置
国内生産額の 2008 年度実績は約 1,295 億円、2009 年度見込みは約 1,011 億円である。世界的経済状況の
悪化による需要の低迷に加え、在庫調整、海外生産へのシフトや市場価格の急激な低下、リアプロジェクタ
市場の消滅等の影響により 2 年続けて 20%以上のマイナスとなっている。2010 年度は、新興国における文教
用途への普及促進等により需要の増加が見込まれることから約 1,053 億円と上昇に転じ、その後も回復傾向
に向かうと予想されている。
(5) 大型表示装置
2009 年度国内生産額は約 243 億円と 15.5%増の見込みとなった。
経済不況による投資抑制が懸念されたが、
北京オリンピックなどのビッグイベントの寄与も貢献し増額見込みとなった。景気の段階的な回復とデジタ
ルサイネージ(電子看板)市場拡大により、2010 年度もほぼ横ばいの生産額(予測値 約 237 億円)が期待
されている。
5.2 本年度の注目すべき動向
今年度は、
「有機 EL ディスプレイの産業動向」について調査した。現在の日本国内の有機 EL 産業は、パッ
シブ型でも自動車用途などの付加価値の得られる分野に特化した事業展開を図っている。
アクティブ型では、
ハイエンド市場に的を絞った高機能・高性能パネルの開発に的を絞り、事業化を目指している。市場ニーズ
もその方向に動いているが、LCD 技術の進化・発展が目覚しく、果たして OLED が LCD に勝てるかといった疑
問も投げかけられている。
またアクティブ型は大型 TFT バック・プレーンを必要し、
これをいかに確保するか、
また確保出来たかによって競争力の差が出てくる。LCD でのバック・プレーン確保に向けての事業再編が、必
然的に今後の有機 EL 事業を支配してゆくとおもわれる。これを踏まえて、国内のディスプレイパネルメーカ
の事業の淘汰・統合が始まっている。2008 年に入り、シャープは、ソニーおよび東芝を囲い込んで LCD モジ
ュールの安定供給確保に加え、パイオニアを傘下に収め、有機 EL 事業進出に向けて基盤固めを始めている。
キヤノンは日立と組み、LCD で使っていた G4 ラインを有機 EL に振り向ける戦略を打ち出している。パナソ
ニックは PDP だけでなく LCD も IPS アルファテクノロジを傘下に収め、さらに 1,000 億円超の新規投資によ
る工場建設で工場のキャパ確保を目指している。
これら将来の有機 EL 事業に繋がる戦略であると判断できる。
6. 太陽光発電分野の動向
6.1 2008 年度出荷状況
2008 年度におけるわが国の太陽電池出荷量は表 2 に示すように、1,120.5 MW、対前年比 22.9%増となった。
2006 年度のマイナス成長後 2 年連続のプラス成長となり、2008 年度に初めて年間出荷量 1 GW を達成した。
2006 年度以来の不振の要因であった国内住宅用太陽光発電システム市場が反転し、さらに海外輸出市場が大
きく拡大したことが主な要因として挙げられる。政府による太陽光発電システムの普及支援事業は、経済産
業省から環境省など他省庁や地方自治体にも広がっているが、国内市場を活性化するほどの起爆的な効果は
薄い。一方で、わが国の太陽電池メーカの生産能力拡大のための設備投資は継続されており、新規参入メー
カも生産を拡大するとともに、新たな増強計画も進めている。
用途分野別にみると、民生用分野は 0.4 MW、対前年比でほぼ横ばいとなった。電力用分野は 1,119.0 MW、
対前年比 23.1 MW 増となり、1,000 MW を突破した。総出荷量に占めるシェアは、ほぼ 100%まで高まっており、
日本の太陽電池供給構造は電力用分野が牽引している。研究用・その他分野(自家発電用を含む)はわずか
1.1 MW の出荷であった。
材料別にみると、表 3 に示すように、多結晶 Si 型は対前年比 22.7%増の 632.9 MW となり、600 MW レベル
に成長した。
単結晶 Si 型は 2007 年度以来 2 年連続のマイナス成長となっていたが、
再びプラス成長に転じ、
17.1%増の 363.1 MW となった。単結晶 Si 型は 1999 年度に登場した a-Si/単結晶 Si という変換効率の高い新
しいタイプの単結晶 Si 型太陽電池が中心となっており、このタイプの生産量は上昇基調を持続している。一
方、a-Si 型は 2000 年まで微増微減を繰り返していたが、電力用分野での本格的採用も始まったことから、
生産能力増強を図りながら順調に拡大している。2008 年度の出荷量は 124.5 MW、対前年比 45.5%増となり、
初めて当面の目標としていた 100 MW レベルを達成し、かつての伸びを取り戻している。a-Si 型は、海外の
電力市場で CdTe 型太陽電池と激しい販売競争を繰り広げている。
現状の生産能力及び今後の拡張計画から判
断すると、供給体制は結晶 Si 型が絶対優位にあるものの、欧米の大規模太陽光発電システム(メガソーラー)
市場での需要が高く、コストダウンと変換効率の向上を目指した取り組みが継続して進められている。この
ほか、新規参入を果たした CIS 型あるいは CIGS 型の太陽電池の生産もわずかながら始まったが、本格生産は
2009 年度からスタートする。
国内外需要地別では、表 4 に示すように、国内向けが 236.8 MW、対前年比 12.8%増となった。一方海外向
けは 883.7 MW、対前年比 25.9%増となり、900 MW 規模目前である。国内向けは対前年比で全体の 23.0%から
22.1%に下がり、一方海外向けは 77.0%から 78.9%へ上昇している。2001 年にスタートした欧米への輸出は、
ドイツ及びスペインを中心とするヨーロッパ市場での急激な需要拡大を背景に年々本格化し、2003 年以降劇
的な変化となっている。海外向けは、アメリカ向けが 166.5 MW、ヨーロッパ向けが 620.2 MW、その他向けが
97.1 MW となり、ヨーロッパ向けが 600 MW 規模に達した。日本の太陽電池事業は、太陽光発電システムの世
界的な導入拡大により、国内だけでなく、欧米を中心とする世界市場に焦点を当てた市場展開を強化してい
る。
6.2 太陽光発電産業規模の実績、見込み及び予測
これまでの太陽発電産業規模は、政府による新エネルギーに対する各種の導入支援事業や導入環境整備の実
施により、2005 年度まで毎年驚異的な伸びを持続していたが、2006 年度は国内市場が振るわず 1.48%の減少
となり、これまでの成長に大きなブレーキがかかった。2007 年度及び 2008 年度になるとヨーロッパ市場を
中心に輸出が大きく伸び、2008 年度の太陽光発電産業規模は 4,301 億円に拡大した。2009 年度は、住宅用太
陽光発電システムへの補助金が復活するとともに、新たな余剰電力買取制度がスタートしたことにより、国
内市場が再び活性化し、海外輸出市場も好調であるので、48.1%増の 6,370 億円が見込まれている。さらに、
2010 年度は国内市場と海外市場での太陽光発電システムの需要拡大が続くと予想される一方で、価格低下が
見込まれているので、2010 年度の太陽光発電産業規模は、9.8%増の 6,992 億円と予測される。
表 2 2006 年度~2008 年度における用途別太陽電池出荷量
対前年
対前年
シェア
増加量
伸び率
(MW)
(%)
(MW)
(%)
0.0
0.4
0.0
0.1
47.7
909.2
99.7
1,119.0
99.9
209.8
23.1
0.1
2.1
0.2
1.1
0.1
△1.0
△48.6
100.0
911.6
100.0
1,120.5
100.0
208.9
22.9
2006 年度
2007 年度
出荷量
シェア
出荷量
シェア
出荷量
(MW)
(%)
(MW)
(%)
民生用
0.3
0.0
0.3
電力用
870.1
99.8
1.2
871.6
用途
研究用・その
他
計
2008 年度
表 3 2006 年度~2008 年度における材料別太陽電池出荷量
対前年
対前年
シェア
増加量
伸び率
(MW)
(%)
(MW)
(%)
34.0
363.1
32.4
53.1
17.1
516.0
56.6
632.9
56.5
116.9
22.7
5.8
85.6
9.4
124.5
11.1
39.0
45.5
100.0
911.6
100.0
1,120.5
100.0
209.0
22.9
2006 年度
2007 年度
出荷量
シェア
出荷量
シェア
出荷量
(MW)
(%)
(MW)
(%)
単結晶 Si
318.3
36.5
310.0
多結晶 Si
502.8
57.7
a-Si・その他
50.5
計
871.6
用途
2008 年度
表 4 2006 年度~2008 年度における国内外需要地別太陽電池出荷量
対前年
対前年
シェア
増加量
伸び率
(MW)
(%)
(MW)
(%)
23.0
236.8
21.1
26.9
12.8
701.7
77.0
883.7
78.9
182.0
25.9
911.6
100.0
1,120.5
100.0
209.0
22.9
2006 年度
2007 年度
出荷量
シェア
出荷量
シェア
出荷量
(MW)
(%)
(MW)
(%)
国内向け
268.2
30.8
209.9
海外向け
603.5
69.2
計
871.6
100.0
用途
2008 年度
7. レーザ加工分野の動向
7.1 全般
レーザ加工分野の動向として 2008 年度後半に米国に端を発した世界同時経済不況により、2008 年度は大
きな減少に転じ、さらに 2009 年度はその影響が拡大し 2 年続けての大幅減の見込みとなっている。一方 2009
年度後半から半導体業界、液晶業界では景気回復の兆しが見られ、2010 年度は期待も込めて増加の予想がな
されている。
2009 年度見込み値によるレーザ加工装置の分野別シェアは 2008 年度まではあまり変化はなかったが、医
療用レーザ装置がその割合はまだ小さいながらも、2008 年度の 2.7%から 4.7%へと 1.6 倍近く増加した。こ
れは、レーザ応用生産装置が経済不況の影響で大きく生産額を減らしたのに対し、医療用レーザ装置がその
影響をあまり受けなかったためと考えられる。その結果、各分野のシェアはエキシマレーザ応用が 52.8%、
炭酸ガスレーザが 22.5%、固体レーザが 19.1%となっている。また炭酸ガスレーザと固体レーザでは 2008
年度には 1.7 倍近いシェアの違いがあったが、2009 年度ではその差はあまりなくなっている。
7.2 レーザ応用生産装置
炭酸ガスレーザ装置の生産額では 2008 年度は前年度比 13.0%減、2009 年度も 49.0%の大幅減となった。長
引く経済不況と電気機器,自動車、産業機器分野では円高も逆風となり、この大幅減に影響を与えている。
一方中国向けの輸出は好調であり、また FPD や半導体関連分野での景気回復が見られることから、2010 年度
の成長率は 36.7%という予測がなされている。
固体レーザ応用生産装置では 2008 年度は 6.6%減、2009 年度も 17.3%の大幅減と予測されている。しかし
その減少割合は炭酸ガスレーザと比較した場合小さく、
結果として 2007 年度は倍近い開きがあった生産額が、
2009 年度では炭酸ガスレーザに匹敵する程度になっている。2010 年度の予測は 40.8%の大幅増との回答が得
られている。この予測は、環境関連商品である太陽電池、2 次電池の設備投資が継続すると見られることに
加え、2009 年度後半以降回復してきた半導体業界や液晶業界の設備投資への期待によるものである。
エキシマレーザ応用生産装置も 2007 年度までは順調に生産額は増加したが、2008 年度および 2009 年度は
やはり大幅減となっている。2010 年度は増加を見込んでいるものの、その成長率はわずか 3.2%で、炭酸ガス
レーザならびに固体レーザ応用生産装置と比較するとかなり小さい。
半導体レーザ直接加工装置は、2008 年度対前年度比で 95.6%の大幅なマイナス成長になっている。2009 年
度は、自動車用板金のテーラードブランキング溶接機が復調してきた結果、491.8%の増加になったが、2007
年度に対しては未だ約 74%減の状況である。2010 年度も約 37.9%のプラス成長率を期待しているが、2007 年
度比で約 64%減の状況で、自動車産業が完全に復調しないと 2007 年度レベルへの回復は難しい。
ファイバレーザ応用生産装置は、2008 年度対前年度比で 25.3%の増加である。ほとんどのレーザ応用生産
装置がマイナス成長となった状況下でのプラス成長であり、注目に値する。2009 年度は、2.4%のマイナス成
長となっている。
しかし、
その他のレーザ応用生産装置と比較すると、
落ち込みは少なく 2010 年度では、
18.2%
のプラス成長率が予測されている。
今後、
レーザマーカ用途や車載用大型 2 次電池容器の溶接用への導入等、
ファイバレーザ応用生産装置生産額の飛躍的な伸長が予想されている。
7.3 医療用レーザ装置
医療用レーザ装置の生産額の年度別変動は、レーザ応用生産装置のそれと比較した場合小さい。シェアの
50%以上を占める歯科用レーザ装置の市場環境は非常に厳しいと思われたが、実際には 2008 年度は増加を示
した。また眼下用レーザ装置や外科用レーザ装置の 2008 年度も拡大を示している。2009 年度では、経済不
況の影響により 9.4%減という若干のマイナス成長であったが、それでもレーザ応用生産装置と比較するとそ
の率は小さく、経済状態の影響を受けにくい分野であることがうかがえる。一方医療用レーザ分野は国から
の許認可が必要という特殊事情もあり、今後治験を要するような新たな医療用レーザ装置が開発される可能
性は低く、大きく発展することも予測しづらい。
7.4 レーザ発振器
炭酸ガスレーザ発振器の基本的な動向は、炭酸ガスレーザ応用生産装置と同様の傾向である。固体レーザ
発振器は、近年の LD 励起による高効率・高出力化、波長変換による短波長化により、用途が微細加工から溶
接・切断まで大幅に拡大している。中でも需要が多いのは YAG や YVO4 である。エキシマレーザ発振器は、半
導体,液晶のいずれの市場でも設備投資が冷え込み,2008 年度は前回報告書の見込みをさらに下回った。ま
た景気回復の遅れから 2009 年度も前回報告書の予測を大きく下回った。しかし 2009 年度下期からは景気が
回復傾向を見せており、2010 年度の予測は 15.4%の増加に転じている。ファイバレーザ発振器は、2009 年度
では対前年度比 63.1%の増加である。他のレーザ発振器が経済不況の影響により軒並みその生産額を減らし
ている中、応用生産装置と同様、非常に大きな伸長を示している。2010 年度も 105.7%のプラス成長率を予測
しており、今後もさらなる成長が期待される。これまでファイバレーザは海外製が 95%以上を占めていたが、
近年国産メーカも品質向上を果たし、国産品も使われるようになってきた。したがって、今後ファイバレー
ザの国内生産額は益々増加傾向になると期待される。
8. センシング・計測分野の動向
当委員会では、光計測機器と光センシング機器について調査を行っている。光計測機器は、光のエネルギ
ー、周波数、偏光、強度分布、時間波形、伝搬特性など光の基本的な性質を計測する測定機器と、測定用光
源に関連する製品群である。また光センシング機器は、強度、位相、偏光、波長、周波数などの光の何らか
の性質を利用したセンサおよびセンシング機器全般である。調査対象に含まれる製品群は非常に多岐にわた
り、技術動向などの影響などを強くうけるため、用途、動作原理、製造技術などに基づき分類され継続的調
査の安定性を確保している。そのために調査項目の設定や調査対象企業の選定には専門的で広範囲な知識が
必要であり、調査結果の分析作業にも委員による長時間の議論と補完など多くの努力がなされている。
光測定機器は、可視光から近赤外領域の波長帯を利用する、光スペクトラムアナライザ、光源、障害位置
検出装置、パワーメータ、波形測定機、光ファイバ伝送特性測定機など、本来、光の諸性質を計測する機器
をすべて含むが、産業的に規模が大きいのは、ほとんどが光通信ネットワークシステムの敷設・保守用の計
測器である。そのため、光測定機器の生産額は、光通信ネットワークの拡充と強い関係をもつ。特に光アク
セス系の普及は、インターネット、電話、デジタル放送網の整備とともに、これからも一定の需要が見込ま
れる。また、シリコンフォトニクスを応用した光デバイスの開発にも新しい光測定器が必要となってくると
思われる。光通信、光エレクトロニクス以外の分野でも、大構造物の歪み計測、環境・医療分野などでも、
今後も光測定器は一定の需要が見込まれるであろう。2008 年度は、実績としてマイナス 21.7%の 8,316 百万
円と大きく減少した。2009 年度はマイナス 19.1%の見込、2010 年度はプラス 14.6%と予測され、回復にはし
ばらく時間がかかると予測される。
光センシング機器は、光の諸性質を何らかの形で利用したセンサやセンシング機器全般を指す。個々のセ
ンサの生産規模は決して大きくはないものの、多種多様な製品が存在し、研究開発や生産部門、民生用など
の広範なニーズに答えている。したがって、光電スイッチ、人体センサ、放射温度計・赤外線カメラ、ロー
タリエンコーダ・リニアスケール、長さセンサ、電流・電圧・磁界・電界センサ、振動・圧力・音響センサ、
レーザ顕微鏡、表面検査装置、画像センシング機器、速度センサ、カラーセンサなどの需要は生産設備投資
に大きく左右される。2008 年度は、実績としては 192,005 百万円とマイナス 17.1%となった。これは工場や
ビルなど大型設備投資を控える傾向があったためと思われる。2009 年度はマイナス 10.1%の見込、2010 年度
はプラス 10.4%と予測される。安全、安心、環境分野へのセンシング機器の需要は期待される。部品の類の
単機能のセンサは海外生産に移行していくことが考えられるが、複合的多機能の付加価値の高いセンシング
機器の国内生産の増加に期待したい。
計測・センシング機器は国内光産業の中で約 3.0%程度を占めていて、その規模は 200,321 百万円となって
いる。しかしながらこれらの機器は、あらゆる産業機械の基盤であり、新しい生産設備の投資、産業機器の
開発や光通信網などのインフラの整備のために必要不可欠のものである。
また、
いったん設備投資を行うと、
不況の場合しばらく更新することなく使用する傾向がある。今年度、レーザ顕微鏡はプラス 2.3%の実績、2009
年度はプラス 25.2%の見込、2010 年度はプラス 9.2%の伸びが予測されている。この状況を踏まえ、今後の注
目される動向としては「レーザ顕微鏡」をとりあげた。生命科学分野と工業分野それぞれで新しい機能的応
用が進んでいくと考えられ、こうした付加価値の高い新しいセンシング機器は今後の需要を牽引していくで
あろう。
本年度は昨年度に引き続き調査精度の向上を目指し項目と対象の検討と見直しをおこなった。まず調査票
の項目ごとの定義・範囲・注意事項については、より明確に、具体的に、他の項目との違いがわかるように
改訂した。また、回答率が低い項目については調査対象の見直しを行った。該当製品を製造しているかどう
かを委員会で個別に検討を重ね、調査対象を取捨選択した。回答者が判断しにくいと思われる似たようなカ
テゴリーや、寡占状態と成った項目は統合整理した。シェアが大きいと思われる複数の企業からの回答が得
られないこと、海外生産に拠点を移しつつあり国内生産額が切り分けにくくなっていることなどが問題とな
っている。
委員が把握している項目は精度を上げるよう修正していくが、項目によっては外部の調査機関と情報交換
したり、他の統計データと比較するなど、より精度の高い調査結果が得られる努力をしている。
9 光産業のリソースの動向
9.1 はじめに
国内生産額調査と同時に、光関連の常時雇用従業員数、研究開発者数、研究開発投資額について調査を行
った。昨年度と同様に、2009 年度見込みについての数字を求める定量的アンケート調査と、前年度より「増
加」したのか、
「減少」したのか、あるいは「同等」なのかという定性的アンケート調査を 2009 年度見込み、
2010 年度予測について実施した。全てのアンケート項目に回答していただいた 68 社についてまとめた結果
は以下の通りである。
9.2 2009 年度の産業リソース(見込み)
人的リソースとして 68 社の中央値は、常時雇用従業員数は 100 人~149 人であり、研究開発者数は 20 人
~39 人である。同じ累積社数同士で比較すると常時雇用従業員のうち約 1/5~1/3 が研究開発者であると考
えられる。
また、資金のリソースとして 68 社の中央値は、研究開発投資額は1億円以上 2 億円未満であり、国内生産
額は 50 億円以上 100 億円未満である。同じ累積社数同士で比較すると国内生産額に対して約 1/30~1/10 が
研究開発投資額であると考えられる。
9.3 前年度からの増減(2009 年度見込み、2010 年度予測)
(1) 常時雇用従業員数
2009 年度は、前 (2008)年度より増加したという企業が 12 社、同等が 49 社、減少が 7 社であった。2010
年度は、本 (2009)年度より増加させるという企業が 10 社、同等が 34 社、減少が 24 社であった。
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2009 年度→2010 年度)は、(1) 同等→同等(28 社)
、(1) 同等→
減少(14 社)
、(3) 同等→増加(7社)であった。
(2) 研究開発者数
2009 年度は、前 (2008)年度より増加したという企業が 10 社、同等が 51 社、減少が 7 社であった。2010
年度は、本 (2009)年度より増加させるという企業が 10 社、同等が 43 社、減少が 15 社であった。
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2009 年度→2010 年度)は、(1) 同等→同等(38 社)
、(2) 同等→
減少(7 社)
、(3) 同等→増加(6 社)であった。
(3) 研究開発投資額
2009 年度は、前 (2008)年度より増加したという企業が 13 社、同等が 44 社、減少が 11 社であった。2010
年度は、本 (2009)年度より増加させるという企業が 8 社、同等が 29 社、減少が 31 社であった。
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2009 年度→2010 年度)は、(1) 同等→同等(24 社)
、(2) 同等→
減少(16 社)
、(3) 減少→減少(8 社)であった。
(4) 国内生産額(参考)
2009 年度は、前 (2008)年度より増加したという企業が 31 社、同等が 25 社、減少が 12 社であった。2010
年度は、本 (2009)年度より増加するとした企業が 12 社、同等が 11 社、減少が 45 社であった。
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2009 年度→2010 年度)は、(1) 増加→減少(20 社)
、(2) 同等→
減少(16 社)
、(3) 減少→減少(9 社)であった。
イ.光技術動向
1. はじめに
当協会では、光技術動向調査事業として、毎年、光技術動向調査委員会を設置し、国内外の光関連技術に
ついて最新動向を調査・分析している。本年度は、下記の 8 つの調査項目に対応した分科会(メディカル光
産業技術は時限)を構成し、調査を行った。調査結果は、2010 年 9 月 29 日~10 月 1 日に開催されるインタ
ーオプト 2010 の光技術動向セミナーで紹介される予定である。また、最新の技術動向として、Web 機関紙オ
プトニューズのテクノロジートレンドでそれぞれの分野のトピックスを 17 件の記事として掲載した。
海外の光技術動向の実地調査は、9 月に WC 2009(ミュンヘン)へ、1 月に WT2010(スペイン)へ調査員を
派遣し、各々メディカル関連、光材料・デバイス関連の調査を実施した。
2. 光材料・デバイス
今年度の光材料・デバイスの分科会では、例年通り、数 100 μm~200 nm 付近の波長域において、デバイ
スを中心にモジュールやアプリケーションを調査した。表 1 は波長軸上に分類した技術調査項目である。
表1 技術調査項目一覧
モ ジ ュール/アプリ
波長 域
テ ラHz域
光 通 信用
の近 赤 外 域
1 00μm
・ THzの無線応用
1. 6μm
・ 小型波長可変光源
~モジュール
1. 3μm
・ 10G-PONモジュール
・ 10G用小型モジュール
デバイス
・ 電子デバイスによるTHz帯発生器
・ 量子カスケードレーザ
・ 100Gb イーサネット用光源
・ Siフォトニクス
-集積素子
-発光素子
1. 0μm
60 0nm
可 視~
紫 外域
4 0 0nm
20 0nm
・ 照明
-白色LED照明
-有機EL照明
・ 新規半極性面を用いた緑色レーザ
・ 青紫~青色半導体レーザ
・垂直共振器型面発光レーザ
・ 紫外LED
テラヘルツ域は電波と光波の間の未踏波長領域であり、電波からの高周波化と光波からの長波長化(低周
波化)が進んでいる。昨年度までに発光デバイス⇒受光デバイス⇒装置の順で調査して来たことから、今年
度は 3 年ぶりに発光デバイスを調査した。アプリケーションでは電波と光波の性質を有することから多くの
可能性が検討されており、今年度はミリ波無線の高速化(高周波化)と言う観点でテラヘルツ無線について
調査した。光通信用の近赤外域ではファイバの分散や損失などから波長域が固定されており、伝送距離、速
度、用途などにより各波長帯における素子開発が進んでいる。幹線系、メトロ系、アクセス系での進捗状況
は年度により若干異なり、昨年度は幹線系の伝送記録更新に寄与した多値関係の光素子を中心に調査したの
で、今年度はイーサネット系の高速化や標準化に伴うモジュール関係を中心に調査した。
継続調査項目は光源の高速化と Si フォトニクスであり、Si フォトニクスでは昨年度に受光素子や変調素
子を調査したので、今年度は発光素子と集積化素子を調査した。可視・紫外域では、深紫外域における高出
力化と窒化物系半導体素子における長波長化が進んでいる。
今年度のブレークスルーは窒化物系半導体レーザによる緑色の実現である。継続調査項目は青紫色~青色
半導体レーザ、紫外 LED、GaN 系面発光型レーザであり、トピックス項目としては最近の省エネや環境保全の
観点から、白色 LED 照明と有機 EL 照明を調査した。
昨年度は新しいアプリケーションに向けた基盤技術やデバイスの高性能化などが多かったが、今年度はこ
れらの項目に加え、標準化や省エネに向けたモジュール開発やデバイス開発が多く見られた。以下、テラヘ
ルツ域、近赤外域(光通信用)
、可視・紫外域の各調査項目について概略を述べる。
2.1 テラヘルツ域
テラヘルツ域は光波と電波の中間に位置し、
両者の性質を有することから多くの可能性が検討されており、
今年度はミリ波の延長として高速の無線応用について調べた。現状のミリ波 (60~80 GHz)では数 Gb/s の伝
送速度が最大であるが、テラヘルツ波では理論的に 10~100 Gb/s の伝送が可能となる。ただし大気による減
衰が増大するため、伝送距離は急激に短くなる。
テラヘルツ無線の発生器としては、電波側と光波側から幾つかの方式が検討されており、実際の伝送例と
して 100 GHz~数 THz において 1~10 Gb/s、数 km~1 m ぐらいの伝送が報告されている。電波側からの発生
器では電子デバイスによる発振周波数の高周波化と高出力化が進んでおり、共鳴トンネルダイオードでの
1THz までの基本波発振、HBT や HEMT での 1 THz 付近における電流利得遮断周波数や最大発振周波数が報告さ
れている。またミリ波と言う大きな既存市場があるためか、最近は Si-CMOS での検討も始まった。
一方、光波側からの発生器では量子カスケードレーザによる THz 波発振が検討されている。現在の量子カ
スケードレーザでは 3.1~10.6 μm において室温発振が可能であるが、まだテラヘルツ域における室温発振
は実現されていない。光波では長波長側(低周波数側)ほど厳しく、これまでの最高発振温度は 3 THz での
186 K であり、室温発振に向けた要因分析と活性層構造の検討が進められている。
2.2 近赤外域(光通信用の波長域)
光通信系の波長域では通信容量の増大に伴い、ネットワークにおけるイーサネット系の普及と高速化、イ
ンターフェースにおける光トランシーバの小型化と省電力化などが進んでいる。イーサネット系では 10 Gb
イーサネット (10 GbE)が 2002 年に登場し、今年度は 40/100 GbE の最終仕様が決まり承認待ちの状況であ
る。伝送での大きな違いは 10 GbE までは主にシリアル伝送であったのに対し 40/100 GbE ではパラレル伝送
(4、10 レーン)となっている。このため光源では低コスト化に加え 100 GbE 用(4 レーン)には 1.3 μm
帯での 25 Gbit/s の高速化が求められている。10 km 版では直接変調型レーザの高速化 (10⇒25 Git/s)、40
km 版では幹線系の外部変調器集積型レーザの波長帯を変更(1.55⇒1.3 μm 帯)する検討や省電力化が進ん
でいる。光トランシーバでは伝送装置のポート数増加に伴い、業界共通仕様での小型化と省電力化が求めら
れている。このため、モジュール内ではシリアル/パラレル変換 IC や 3R 機能を有する CDR を外すことなど
で 300pin⇒X2⇒XFP⇒SEP+へと小型化と省電力化を図って来た。
さらに最近の 10 km 用 SFP+では低消費電力の送受一体 IC の開発、40 km 用 SFP+では EA/DFB 光源の高温
動作化や無温調化による省電力化が進められている。波長可変光源でもモジュールへの搭載を念頭にした小
型化や変調器集積化の開発が進んでおり、変調器としては広い波長域に有利な MZ 型が用いられ、38pin のバ
タフライや TOSA および XFP への搭載が進められている。
また波長可変光源自体を小型化する最近の試みとして、シリコン導波路を用いた外部共振器型や InP 系リ
ング共振器のモノリシック集積化などが検討されている。Si 系発光素子では多くの材料系と構造を模索して
いる状況であり、Si のバンドギャップ波長より短波長側で発光させる試みとして量子効果を用いた超薄膜の
Si 発光ダイオードやナノ構造による EL 発光が報告されている。またエピによる Si と III-V 族発光素子の融
合としては希薄窒素系による Si/GaPN/Si 系の成長が実現されており、Si 上の GaPN/GaAsN-SQW による発
光ダイオードが報告されている。
一方、長波長側では Ge に引張り歪を加えることによりバンド構造を直接遷移型に近づける検討、SiGe/
FeSi2/SiGe による発光効率の向上などが検討されている。また集積化については波長フィルター、光変調
器、受光素子など Si-CMOS プロセスと共存できる材料を中心にモノリシック集積化への検討が進められてい
る。
2.3 可視・紫外域
可視・紫外域では窒化物系半導体レーザの波長域拡大と発光ダイオードの高出力化が進んでいる。従来、
窒化物系半導体レーザの長波長化は 500 nm 弱の青緑色止まりであったが、今年度は新しい半極性基板
(20-21)面を用いて、室温パルスで 531 nm、室温連続で 520 nm が実現した。また既存の (0001)C 面を用いて
も 515 nm の室温連続発振が実現しており、半導体レーザの未踏波長域であった緑色が克服された。また純青
色では、従来の横マルチモードに加え、横シングルモードの窒化物系半導体レーザ(パルス 120 mW、連続 60
mW)も開発された。
赤色については DVD 用の 660 nm から視感度を高めた短波長化 (638 nm)が既に実現されており、今年度は
光の 3 原色である青、緑、赤を半導体レーザで揃えることができた。
一方、既存の青紫色窒化物系半導体レーザでは、今後の記録用光ディスクの高速化に対応するため 500 mW
の高出力時においても長期信頼性の確保ができるようになった。また新しい用途に向け、面発光型レーザの
検討が進んでおり、昨年度にフォトニック結晶型や傾斜ミラー型が実現され、今年度は上下に DBR ミラーを
用いた垂直共振器型面発光レーザが実現した。省エネや環境保全への観点からは照明への関心が高まってい
る。窒化物系発光ダイオード (LED)と蛍光体を組み合わせた白色 LED 照明では演色性や効率、光束などにお
いて、電球型蛍光ランプを上回る特性(平均演色評価数: 92、発光効率: 62 lm/W、全光束: 500 lm)が実現
されている。
一方、LED が点光源であるのに対し、有機 EL は面光源であり、開発当初は効率が低く、信頼性に課題があ
ったが、リン光発光材料や周辺技術の開発によって蛍光灯に近い特性が得られるようになって来た。現在、
LED 照明と有機 EL 照明では状況が若干異なるが、
将来的には素子特性の改善に加え、
コスト
(器具の値段: \/
明るさ: lm)や用途、デザインなどとも関係しながら実用化が進むと考えられる。
3. 光通信ネットワーク
2009 年 6 月、国内の FTTH (Fiber to the home)契約数は 1,600 万回線に達し、国内のブロードバンド契約
数(3,100 万)に占める割合が 5 割を越えるに至った。アクセス分野において、DSL(Digital Subscriber Line:
約 1,100 万加入)や CATV(Cable Television:約 400 万加入)などの銅線通信から光ファイバ通信に主役が
交替したことは、名実ともに、光通信ネットワークが国内通信基盤を担う時代に移行したことを意味する。
これに伴い、この 1 年で国内のインターネットトラヒック規模は 1.4 倍に増加しており、2009 年には国内の
ダウンロードトラヒック総量は毎秒 1 テラビット (1 Tb/s)を超えたと推定されている。
こうした情報通信社会の進展は、光通信ネットワークの技術革新に支えられてきた。2009 年のノーベル物
理学賞は、光ファイバ通信の可能性を予言した Kao 博士に贈呈されたが、その予言に基づき、1970 年に低損
失光ファイバが実現されて以来、日本ではこの分野で世界最先端レベルの研究開発、実用化が進んできた。
1980 年代の長距離基幹幹線網の光化、1990 年代のメトロ 10 Gb/s 光リング網導入を経て、2000 年代にはコ
ア/メトロ/アクセスの広帯域光ネットワーク構成に進化している。それぞれの網には、光増幅中継を繰り
返して超長距離 2 点間を結ぶ高密度波長多重 (DWDM)システム、
光分岐挿入&増幅を行う OADM ノード (Optical
Add/Drop Multiplexer)で構成される DWDM リング網システム、光分岐(下り)と光時分割多重(上り)を行
う PON (Passive Optical Network)システムが導入されている。多波長の一括光増幅や光切替などの技術革
新に基づくこうしたシステム導入が、飛躍的な低コスト化を可能にしてきた。たとえば今日の実用 DWDM シス
テムの主力は、10 Gb/s の信号を 40~80 波長ほど束ねて送っており、コア網やメトロ網でのシステム容量は
ファイバあたり 0.4~0.8 Tb/s にも達する。
しかし 2010 年代を迎え、こうした光通信ネットワーク技術の研究開発は転換点にさしかかりつつある。単
純に光を ON/OFF する伝送方式は 1 波長あたり 10 Gb/s で、
またファイバあたりの波長多重数は 100 波程度で、
それぞれ光ファイバの物理限界に達しつつある。
一方、
光技術を取り込んで急速に高速化してきた LAN (Local
Area Network)の Ethernet が、100 Gb/s 規格を 2010 年には標準化する見込であり、LAN の光技術が WAN (Wide
Area Network)に先んじて 100 G 時代に突入する。つまり、光技術の高速化を牽引する役割が WAN から LAN
にシフトしつつあり、さらには機器内部(光インタコネクション)へと向かう様相を呈し始めている。
以上のような背景のもと、第 2 分科会では、今年度の光通信ネットワーク技術動向に関して、以下の 6 つ
の分野毎に技術動向をまとめた。
1. 基幹光伝送システム
2. フォトニックノード
3. 光ネットワーキング
4. アクセスネットワーク
5. 光 LAN/インターコネクト
6. 光ファイバ
基幹光伝送システム分野では、1 波長あたりの伝送速度を 100 Gb/s に高速化する研究・開発の進展が著し
い。デジタル信号処理をベースとしたコヒーレント受信による 100 Gb/s x 100 波程度の長距離伝送システム
が現実味を帯び、業界団体 OIF (Optical Internetworking Forum)による実装部品の標準化も進んだ。さら
なる高速化・大容量化に向けて、無線通信システムと同様の複雑な多値変調方式の検討も始まっている。
フォトニックノード分野では、リング部分への光分岐挿入ノード、ROADM (Reconfigurable OADM)の導入が
進んでいる。複数リングの光相互乗入を可能にする多方路 (Multi-degree)ROADM 技術の開発が進み、ネット
ワーク機器数や設置面積を削減して電力消費を抑制する技術としても期待されている。さらに将来技術とし
て、光バースト/光パケット交換に向けた要素技術開発も進んでいる。
光ネットワーキング分野では、長距離・大容量を実現する光経路切替と、ユーザからのパケットトラヒッ
クを効率よく多重するパケットネットワークとを統合制御する技術開発が続いている。今年度は、省電力ネ
ットワーク設計論、レイヤ間障害回復方式、光信号の到達性を保証するインペアメントルーティング(個々
の光経路の伝送特性までを考慮して経路を設定する方式)などの制御モデルの検討が活発化している。
光アクセス分野では、1 Gb/s 級の FTTH 導入が進む中で、高精細映像配信などの実現に向けた大容量化、
高速化を目指した次世代光アクセスシステムの研究開発が盛んに進められている。2009 年 9 月に標準化が完
了した 10G-EPON (10 G Ethernet PON)の技術開発や、多値変調技術・信号処理技術を適用した次世代の光ア
クセス技術開発が本格化したことが注目される。
光 LAN/インターコネクト分野では、2010 年 6 月に標準化予定の 40 Gb/s および 100 Gb/s Ethernet の技
術開発が佳境を迎えている。また、バックボーン系のルータ/スイッチ最大容量は既に 1 筐体あたり 1 Tb/s
を超え、2010 年以降には 4~10 Tb/s 級のルータ/スイッチが登場すると予想される。これに向けて、チャ
ンネルビットレート≧20 Gb/s の超高速化と、<10 mW/Gb/s の省電力な光デバイス・回路・アセンブリ技術が
脚光を浴びている。
光ファイバ分野では、FTTH の普及に伴い、開通工事のスキルレス化や機器の小型化・配線自由度の向上を
実現する宅内・アクセス系に適した曲げ損失低減型ファイバの技術開発が進む一方で、幹線系での光ファイ
バ伝送容量の物理限界打破を目指すマルチコアファイバの検討も始まっている。
4. 光メモリ・情報処理
2009 年度の光メモリを取り巻く市場状況は、その不透明さが増してきている。半導体メモリの大容量化・低
コスト化やコンテンツのネットワーク配信の普及等が相まって、光メモリの市場性を脅かす一方で、大容量
の光メモリを必要とするコンテンツやカメラのハイビジョン化、3D 表示のディスプレイの発売リリースなど
があり、また、省エネ効果を目的とした光メモリによるアーカイブシステムの構築が検討されてきている。
光情報処理技術については、これまでのメモリシステムや検索システムとしての展開だけでなく、情報セキ
ュリティや計測・加工といった、様々な分野への技術展開を開始した。
今年度の本分野の技術動向調査では、現行や次世代の光メモリシステムの開発動向について調査し、他のス
トレージ技術との相違点・優位点についてまとめた。また、光情報処理の新規展開について調査した。以下
にその概要を述べる。
4.1 青色光ディスクの展開
2009 年度は 3D コンテンツ用の Blu-ray Disc (BD)規格の仕様が発表され、光メモリの大容量化要求が進ん
である。このような状況を受け、現行システム (BD)のさらなる大容量化手法である多層化の技術開発の状況
について調査した。今年度は特に書換型(3 層 100 GB)
、追記型(10 層 320 GB)で多層化が進展した。ROM
では既に 16 層 400 GB が発表されており、多層化により、現在考えられている全ての光メモリの形態で 100 GB
以上の容量が実証されたことになる。
アーカイバル用途、ブロードキャスト用途、省エネルギーをキーワードに、他のストレージ技術との差別化
を図るために必要な技術の動向について調査した。長寿命、可搬、省エネという特長を持つ光ディスクが磁
気ディスク、磁気テープと伍してアーカイバル用途等に採用されていくためには、大容量化とともに転送速
度を高めていくことが重要な課題であることが明確になった。
4.2 次世代大容量化技術
次世代大容量化技術として開発が進められている、近接場光ディスク、超解像ディスク、ホログラム、3D bit
by bit 記録、また、それら大容量化への要素技術としての、信号処理技術 、サーボ技術、コンポーネント
について進展状況を調査した。今年度は、超解像ディスクによる初めてのコンテンツの再生(50 GB(BD×2)
、
2 倍速)や、bit by bit の体積記録の1つであるマイクロリフレクターによる 34 層・204 GB の実現があり、
実用化に向けて一歩踏み出した技術が現れて来ていることを確認した。
4.3 光情報処理
様々な分野へ進展し始めた光情報処理研究のトピックスとして、情報セキュリティ技術、3D 情報技術、およ
び新潮流を取り上げ、それぞれの技術動向について調査した。これらの代表例として、デジタルオプティク
スの技術動向、ホログラムを用いた超高速 2 次元光情報検索システム、近接場光相互作用に基づく階層型メ
モリ、フォトニックスマートメディアを取り上げた。これらの開発は、現在のところ“学”中心で進んでい
る部分があり、分野展開の中で産業化への進化を期待したい
5. ディスプレイ
世界不況で需要の低迷が続く中、ディスプレイは急激な価格下落と、エコポイント制度と 2011 年のデジタ
ル放送への切り替えが近づいた事による旺盛な需要が、同時に起こった。世界的には、アメリカの需要低迷
と中国、インドを始めとする振興市場の拡大で、低価格製品の需要が急激に増加している。同時に低エネル
ギ社会への変換が世界的に望まれ、
その先頭を切ってディスプレイの消費電力の低減が、
エナジスター、
EuP、
省エネ法の改定(2010 年度)など具体的な省エネ目標を挙げ規制強化され始め、低コスト化技術、消費電力
低減技術、省資源技術がますます重要となってきている。また 3D が内外展示会で大きな話題を占め、2010
年は 3D 元年・新たな市場の登場として多くの製品の発売が計画されている。
5.1 電子ディスプレイデバイス
5.1.1 LCD
今年の大きな流れは、立体画像とフレキシブルであり、どちらも LCD にとって新しい応用分野を広げる流
れとなった。液晶は発光素子ではなく、偏光制御デバイスであるため、3D 表示はうってつけの応用分野であ
る。一方、フレキシブルでは、有機物半導体や酸化物半導体の特性が進歩し、プラスチック基板を用いたフ
レキシブルディスプレイの開発が進められている。流動性があり、電圧駆動である液晶はフレキシブルディ
スプレイの表示素子として適している。また地球温暖化防止の観点からバックライトの光透過率をさらに改
善する表示モードや構造が開発された。
5.1.2
PDP
PDP のパネル生産は日本では 1 社となり、世界では韓国 2 社と合わせて 3 社に絞り込まれたが、パネルの
需要は増加傾向が続き、効率的な新ラインの増設、稼動も始まっている。また中国やインドで新しいパネル
供給も始まりつつある。リーマンショック後もディスプレイの更なる低価格化が続き、低コスト技術が一層
進歩した。また、低電力技術は継続して進歩している。さらスーパーハイビジョン(4k×8k の精細度)やデ
ジタルシネマ (2k×4k)などの高精細要望から、2k×4k パネルの試作や、3D PDP の展示も行われた。
5.1.3 有機 EL
有機 EL テレビは、大型化やバックプレーン、低コスト化等の課題の解決が遅れ、期待された市場が形成さ
れるまでには至っていない。さらに、液晶ディスプレイや PDP に低コスト化でも水をあけられている。しか
しながら、3 インチ以下の小型ディスプレイでは、携帯電話や MP3 等の分野でシェアを徐々に伸ばしている。
バックプレーンの問題も、酸化物半導体が解決の糸口となる可能性がある。また、メガネ方式の 3D テレビで
は、リフレッシュレートは将来的に 240 Hz 以上必要になると考えられ、応答速度が速い有機 EL ディスプレ
イの追い風になる可能性もある。
5.1.4 FED および MEMS
MEMS 技術を用い、フィールドエミッタアレイ を電子源としたフィールドエミッションディスプレイ の研
究開発が活発に行われている。また光源、液晶ディスプレイ用バックライトにも低環境負荷であることが求
められ、水銀を用いず環境汚染が無く、平面・異型光源作製可能なフィールドエミッションランプの研究も
急激に盛んになってきた。さらに近年、MEMS マイクロミラーによる光の反射、回折、干渉現象を用いて、あ
るいは、MEMS 光シャッターによる光変調を用いて画像表示する MEMS ディスプレイや量子ドットを用いたデ
ィスプレイの研究開発も活発に行われ始めている。
5.1.5 電子ペーパー
電子ペーパーでは、電気泳動方式が電子書籍端末として先陣を切る状況になりつつある。しかし技術的に
は粉体移動方式、ツイストボール方式、双安定液晶方式、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッテ
ィング方式等々、種々の方式の開発が盛んに行われ、用途面でも汎用文書端末、値札、POP 広告等々にも展
開の動向が見られている。
5.1.6 プロジェクション
今年度は、各種プロジェクタ(マイクロプロジェクタ、超短焦点プロジェクタ、3D プロジェクタ等)の最
新状況、およびプロジェクタ用光源の技術、ライトバブル技術、新方式の光学系技術、スクリーン技術につ
いて調査した。
5.1.7 立体ディスプレイ
2010 年は「立体ディスプレイ元年」として本格的な市場の立ち上がりが始まるとして期待されている。し
かし、立体ディスプレイの測定法は未だ共通の概念が十分に形成されておらず、測定法の確立が世界的な急
務となっている。立体ディスプレイの測定法とその国際標準化状況、および各種立体ディスプレイデバイス
の最新状況について調査した。
5.2 電子ディスプレイ基礎技術
ディスプレイの動画質および色再現改善の最新状況に関して調査を行った。
5.3 トピックス
トピックスとして、フレキシブルディスプレイの今後と課題、湾曲画像の効果を取り上げた。
6. ヒューマンインタフェース
本分科会では入力デバイスから応用技術まで、幅広くヒューマンインタフェースの最新技術動向を調査し
ている。従来から調査してきた「イメージセンサデバイス」
「画像入力デバイス・機器」
「防災関連システム」
「バイオメトリクス」
「ユビキタスインタラクション」
「在宅安心・安全サービス」の各分野に、新たに 2~3
年計画で「ブレインマシンインタフェース」分野を加えて、技術動向を調査した。
6.1 イメージセンサデバイス
IISW (International Image Sensor Workshop)を中心に、関係学会(ISSCC、映像情報メディアなど)での
発表と関連ジャーナルをもとにイメージセンサデバイスの動向を解説する。画素微細化競争を背景に裏面照
射型イメージセンサ開発が活発化している。
しかし微細化は早晩終焉を迎えるとの考えから CMOS イメージセ
ンサは高性能化(高速化、広ダイナミックレンジ化、高感度化)や、イメージング以外の機能を搭載した高
機能化(3 次元距離計測やバイオ医療応用)などが重要視されている。
6.2 防災関連システム(自治体における防災情報システム)
今年度は市区町村の防災情報システムの動向を調査した。避難勧告・指示は市区町村長にしか発令権限が
ないため、その判断材料を収集・管理し発令伝達する手段をどのように整備するかは非常に重要な課題であ
る。従来の自治体防災システムは防災行政無線など独立した専用システムであったが、市町村合併の影響を
大きく受けその再構築に課題を抱えている。一方、WEB や LAN など情報通信技術の進展、地上波デジタル放
送や緊急エリアメールの普及に伴って今後数年の間に大きく姿を変える可能性がある。
6.3 バイオメトリクス(ネットワークカメラとバイオメトリクスの応用)
日本では家庭のブロードバンド普及率も 60%を超えた。2010 年には高帯域無線通信(WiMAX、XGP、LTE 等)
が出そろい、ネットブックやスマートフォンなどの利用が更に拡大すると予想される。一方、カメラ付き携
帯電話や Web カメラ、IP カメラが普及し画像データが簡便に大量に扱えるようになったので画像処理技術や
生物測定技術 (Biometrics)により、
大量のライブ映像から必要な情報を瞬時に取り出せるインテリジェント
ビデオ機能が重要になる。これらの応用技術についても最新情報を報告した。
6.4 画像入力デバイス・機器
最近増えてきた一眼レフデジタルカメラはレンズ交換の際にイメージセンサ(正しくはローパスフィルタ
上)にゴミが付着し画質を損なうため、さまざまな取り組みがされている。そこで最近のゴミ付着を防止す
る技術を紹介する。また、輝度差の大きな被写体を撮影する際のダイナミックレンジ拡大技術や新コンセプ
トのデジタルカメラモジュールに関する技術についても紹介した。
6.5 ユビキタスインタラクション(ウェブのユニバーサルデザイン)
ウェブユニバーサルデザインの目的は高齢者・障がい者を含む多くの人がウェブを利用し易くすることで
ある。そのための技術として 2007 年度のウェブコンテンツの作成支援技術、2008 年度のコンテンツの出力
支援技術に続き、今年度はウェブユニバーサルデザインの評価技術について調査した。評価の課題としては
①評価基準の明確化、②評価対象の膨大化、③評価結果の表示方法などがある。評価のガイドラインとして
EU の UWEM 1.2、WCAG 2.0 で規定されている適合評価の仕組み、および JIS X 8341-3 改定の概要、日本のウ
ェブ技術の抱える課題などについて調査した。
6.6 ブレインマシンインタフェース
近年の脳機能計測技術の進歩に伴い、脳機能の解明が進むとともにブレインマシンインタフェース (BMI)
と呼ばれる技術が研究開発されてきた。BMI は脳の活動を計測し解析することで「考えるだけで動作する」
ような究極のインタフェースとも言われる。BMI は主に身体の自由は効かないが思考は正常な患者の意思伝
達手段や環境制御手段として開発されてきた。ここではその基本的構成とユーザのタスク、主要技術である
脳活動の計測技術、および BMI の例として P300 Speller について紹介する。
6.7 在宅安全・安心サービス(ヘルスケア情報・社会保障サービスの電子化、カード化)
高齢化に対応した医療福祉技術の高度化と同時に、一人ひとりの体質や病気にあった投薬、治療を行う個
別化医療が重視されている。医療制度改革では、健康、予防、リハビリ、介護との効果的、効率的なヘルス
ケアを推進するためのインフラとして、1 枚で年金手帳、健康保険証、介護保険証の役割を果たす社会保障
カードへの統合の議論が進められている。これらの背景のもと社会保障・医療分野の IT 化先進諸国の調査、
光技術とその応用例、セキュリティ等々関連技術を調査した。
7. 加工・計測
今年度の加工・計測の調査では、加工用光源技術として「ファイバレーザ」
、
「ハイブリッドレーザ」
、
「チ
ャープパルス発振器」を、加工周辺技術として「スキャナ」
、加工技術として各種のレーザによる接合技術を、
計測技術として「デジタルホログラフィ」
、
「超高速度画像計測」を取り上げた。
7.1 加工用光源技術
加工用光源としてのファイバレーザの有用性が注目を集めているが、
「深紫外パルス光源」は国産ファイバ
レーザ技術であり、すでに検査装置として工場で稼働している。
「超短パルスファイバレーザ」は医療分野で
は LASIK、半導体分野では基板割断用途に既に製品化が実現しており今後、その拡大が期待される。
「ハブリッドレーザ」は定義が定着しているわけではないが、今回の報告では固体レーザ、半導体レーザ、
ファイバレーザがもつ長所を組み合わせたレーザであると位置付けて、安定なファイバレーザからの種光を
固体レーザで増幅するタイプや、半導体レーザ励起ファイバレーザで固体レーザを励起するタイプ、半導体
レーザにマルチモードファイバ、シングルモードファイバを直列結合させるタイプについてまとめた。
「チャープパルス発振器」では、レーザ発振器からの超短パルスを外部でストレッチしてチャープパルス
を得るスキームに替わり、発振器内部でチャープパルスを直接発生させるという新しいスキームの研究がな
されている。この方式ならそのまま増幅器へつないでチャープパルス増幅する事が可能であり、発振器単体
からのパルス出力が大きく取れるため簡単なレーザ加工にも利用することができる。
7.2 加工周辺技術
「スキャナ」は、レーザ加工のスループットを向上させるための重要な技術であるが、加工用レーザの高出
力化に伴い、レーザビームの高速掃引が不可欠となってきている。
「デジタル高速スキャナ」として機械的に
高速で掃引させる技術としてガルバノスキャナをデジタル制御とし、位置センサに光学式エンコーダを採用
した技術を取り上げた。又「電気光学効果スキャナ」として電気的にビームを掃引させる電気光学効果を応
用したマルチプリズム型スキャナ、KTN スキャナについてまとめた。
7.3 加工技術
これまで材料同士をつなぎ合わせる技術としては金属同士を「接合」させる溶接が主流であったが、最近、
金属やプラスチック等の異種材料を接合させる技術開発が進められている。今年度は、
「超短パルスを用いた
接合技術」
、
「CW レーザを用いた接合技術」
、
「インサート材を用いたレーザ接合技術」の調査を行ったが、レ
ーザの精密な入熱制御を行う事で接合部付近のみへの入熱が可能となり、
ガラス同士の接合、
ガラスと金属、
更には金属とプラスチック(樹脂)間の接合等様々な異種材料同士の接合が実現している。
7.4 計測技術
「デジタルホログラフィ」は従来の写真乾板に替わり CCD 等の撮像素子で記録した画像をデジタル化し、計
算機内で数値再生する技術であるが、現像処理が不要であり、得られたデジタル情報を遠隔地で高速処理で
きるため、様々な応用が期待されている。
「超高速度画像計測」では、100 万コマ/秒以上の撮影速度が可能な「超」高速度撮影カメラについてまと
めた。既に 410×720 (295,200)画素で最高 200 万コマ/秒のカラービデオカメラが放送用として使用されて
おり、今後も超高速化・超高感度化によりその役割は益々大きくなるとものと考えられている。
8 太陽光エネルギー
8.1 結晶系シリコン太陽電池
結晶系シリコン太陽電池の低コスト化・高効率化に対する要求はさらに強まっていて、20%を超える非常に
高い変換効率を有するセルが量産レベルでも実現されている。さらなる高効率化は、設置コストなどを含め
た太陽電池システム全体におけるコスト競争において、他のいわゆる効率は決して高くはないが低コストな
セルを用いた発電システムと対抗する上で重要である。その観点において、HIT 太陽電池や、エミッタラッ
プスルーや裏面接合型構造による裏面に p および n 層に対するいずれの電極も存在する構造による高効率太
陽電池の開発が着実に進められている。一方、低コスト化の点からは、多結晶シリコンインゴットの品質の
向上や新たな単結晶成長技術の開発が世界的に進められている。昨年 BP Solar から発表されたキャスト法に
よる単結晶成長技術 MONO2 に関しては、本方法により成長させた単結晶の評価が着実に進められている。本
技術に関しては、中国などにおいても新たに研究開発が始められているようである。新たな低コスト原料技
術や基板作製技術の重要性が今後さらに増すことが予想される。
8.2 シリコン薄膜系太陽電池
特筆すべきは、薄膜シリコンモジュール面積である。大半の会社が 1.4 m2 以上であり他の薄膜モジュール
の 2 倍程度はある。特に Sun Film から報告された 5.7 m2 で 472 W は圧巻である。今後このジャンボサイズ
での設置が標準化されれば、配線部材等が大幅に削減され効率向上がなくてもシステムコスト低減が図れ、
魅力的な商品になる可能性がある。
性能向上は、Oerlicon 社の小面積アモルファスシリコンで 10%の効率が報告された。アモルファスの本技
術を利用しタンデム太陽電池の効率向上に繋がる可能性があるので今後の展開を期待したい。
学術面からは、新しい流れが見られる。それは特に光閉じ込め効果に、Plasmonic, Photonics を応用した報
告である。但し効率向上にはまだ繋がってない。一部には太陽電池のようなワイドレンジの波長の適用にお
いて果たして効果があるのかとの意見もあるが、今後の展開を見守りたい。
8.3 化合物薄膜太陽電池
First Solar(米)の CdTe 太陽電池モジュールの躍進が目立った年となった。一方、CIGS 太陽電池も日米
欧の各国企業から、製造規模の大幅な拡大計画が発表され、本格的な市場参入が始まろうとしている。CIGS
モジュールの変換効率の進展も見られ、開口面積 60×120 cm の変換効率で 13.5%が達成され、市販のモジュ
ール効率は 10~12%となった。米国では、政府の支援のもとで、フレキシブル太陽電池モジュールを製造す
る多くのベンチャー企業が設立された。本年度の新たな流れとしては、装置製造メーカによる CIGS 太陽電池
のターンキービジネスの開始がある。また、台湾、韓国が政府の支援のもとで CIGS モジュールの研究開発を
開始するなど、全世界的な競争の時代に入った感がある。
現状の CIGS モジュールの変換効率は小面積セルに比べて 6%程度の差があり、改善の余地が大きい。他方、
小面積セルでは多くの研究機関で 19%を超える変換効率が得られるようになったが、
理論効率は 24%程度であ
ることから、まだ改善の余地がある。更に禁制帯幅 1.4 eV で理想的な pn 接合形成に成功すれば、単接合で
も 25%達成の可能性が出てくる。これらの研究成果はひいては大面積モジュールの大幅な改善に寄与し、他
との差別化が可能となる。
8.4 色素増感型太陽電池
今年度はこれまでの公認記録を塗り替えるセルの変換効率の更新はなかったが、EPFL での測定結果として
12%を超える効率に迫る発表があった。サブモジュールでは、効率の公認記録 8.4%が Solar Cell Efficiency
Tables7) に追加された。各種耐久試験も進み、耐久性に関するデータも公開され、材料の改良が図られつつ
ある。さらに、屋外でのフィールドテストでの実証も進み、色素増感型太陽電池ならではのデザイン性をい
かした用途をイメージできる試作品の公開や一部リースの開始など、一般ユーザーに向けた実用化をめざし
た取り組みが目立った。世界各国でも、エネルギー・環境問題の流れに乗って、次世代太陽電池の候補とし
て色素増感型太陽電池は注目され、ベンチャー設立や各種プロジェクトの動きが活発である。技術や材料の
裾野の広がりによって、色素増感型太陽電池の実用化に近づくことを期待したい。
8.5 有機薄膜太陽電池
最高効率に関し、2008 年度は 5%台で推移していたのが、本年度は 6%~7%台に向上しており急速に進化し
ている状況が伺える。全体的な傾向を述べると、最高効率を報告した開発機関はすべて大学発のベンチャー
で、政府、機関投資家及び企業等から供与された資金で開発を行っている。
これまでのところ、高い効率が得られているセルの大半は、n 型にフラーレンを用い、p 型の有機半導体と
ブレンドされたバルクヘテロ接合型が用いられている。内容的には昨年度から本格化してきた有機薄膜太陽電
池用に特化した新規ドナー材料の開発とその材料を応用したセル構造開発が変換効率の向上に寄与している。
8.6 超高効率太陽電池
長らく世界最高効率となっていた NREL(米国国立再生可能エネルギー研究所)の逆成長格子不整合型 3 接
合セルの記録(40.8 %)がフラウンホッファ研(41.1 %)
、引き続きボーイング SPL(41.6 %)に相次いで破
られるなど、記録更新が続いたが、小幅なアップであった。最近シャープから新聞発表された逆成長格子不
整合型 3 接合セル(35.8 %、非集光)で流れが変わるかもしれない。おそらく 2010 年の効率の記録は一気に
ジャンプし、ここ最近の特性向上が著しい 4 接合セルとともに、2010 年はラボレベルで 43~44 %を睨む展開
となるだろう。
8.7 第 3 世代太陽電池
ナノテクノロジーの太陽電池応用として、第 3 世代太陽電池の取り組みが近年増加している。当初は、中
間バンドあるいはホットキャリアが提案・研究されてきた。現状は、これら初期に提案された太陽電池より
も、Si ナノワイヤー、量子ドット、ナノ金属を用いた光のマネジメント(含:プラズモン)などにおいて変
換効率を用いた議論が成されるようになってきている。先ずは従来の半導体技術の延長線上にある、量子ド
ット、量子ナノワイヤーなどから太陽電池応用の可能性が試されると思われる。
8.8 評価技術
太陽光発電の発展に伴って性能評価の精度向上に対する要求が強まると共に、実効的な発電量・発電コスト
に影響する長期信頼性を正確に評価する技術の高度化・高精度化が求められている。性能評価技術の動向、信
頼性評価技術の動向と標準化の最近の動向について報告した。また、各国の認証の動向についても報告した。
9. メディカル光産業技術
第 8 分科会・メディカル光産業技術分科会は、光技術の医療産業への応用動向調査や医療応用が抱える特
有の問題点の具体化を目的として、平成 20 年度より調査活動を行っている。
今年度は、新しい光医療技術として、近年の生体光学分野でのホットトピックスである生体非侵襲断層イ
メージング診断技術の Optical Coherence Tomography (OCT)と、脳の血流情報より脳機能等に関する新たな
知見を得る近赤外光トポグラフィを取り上げた。さらに厚生労働省が認定する「先進医療」において光医療
に関する技術についても調査を行った。また昨年度に引き続き、日本におけるレーザ医療の市場性について
も調査を行い、日本のメディカル光産業技術が抱える課題について言及した。
9.1 新しい光医療技術
9.1.1 光断層イメージング
OCT は、生体表皮下 1~2 mm の深さの断層像を 10 ・ m オーダの空間分解能でイメージングできる技術であ
り、装置構成が簡便で、かつ光波の特徴を巧みに活かした生体計測技術である。OCT は、低コヒーレンス光
干渉を基本としており、生体組織に光を照射して組織内部から反射してくる直進光成分を選択的に検出し、
これをもとにして 2 次元の断層イメージを構築する。この技術は 1990 年初頭に提案され、わずか 5 年後に眼
科の網膜診断に実用化された。いまや眼科臨床では不可欠の検査法であるとともに、今後とも一層の発展が
見込まれている。また、高分解能化や高速化の検討が進むことにより、皮膚科を始め、消化器外科、産婦人
科、泌尿器科等へと臨床応用の範囲が広がりつつある。
9.1.2 近赤外光トポグラフィ
F. F. Jobsis の提案した近赤外分光法(1977 年)による脳血流計測の原理を応用し、脳活動に伴う脳内血
行動態変化を画像化する近赤外光トポグラフィ法(1995 年)が開発された。点の計測から面の計測へ展開す
ることによって、
神経性発作の部位の検査や言語優位半球の判定など臨床医療への応用が実現された。
また、
基礎脳科学の分野においては、従来の計測技術ではアプローチが難しかった出生直後の新生児の言語機能に
関して、新しい知見が得られ、発達科学において重要な方法論となりつつある。さらに近赤外光トポグラフ
ィは、多くの部品を半導体で構成することができ、原理的に小型化が可能であるという特筆するべき特長を
有している。今後、研究開発の進捗によって、汎用的な脳機能画像化技術への成長が期待されている。
9.2 先進医療の認定を受けるレーザ医療
厚生労働省が認定する「先進医療」とは、先端的な診療技術で、国民の安全性を確保し患者負担の増大を
防止し、かつ、国民の選択肢を拡げ利便性を向上するために、高度な診療技術と保険診療との併用を必要に
応じて認めた医療制度のことである。
「先進医療」に認定される光技術に関しては、将来的な保険導入が期待
されるため、今後注目していく必要がある。しかしながら、例えば、椎間板ヘルニアに適用される経皮的レ
ーザ椎間板減圧術(レーザによる椎間板内髄核組織の蒸散治療)のように先進医療に認定されながらも、国
内のほとんどの症例が民間病院の自由診療で行われていたり、適応症例を厳選しないと効果が得にくいとい
う治療原理自体に疑問が残るレーザ治療技術も存在する。今後、レーザによる治療は、適応症とその機序が
科学的に明らかにされることが先決であり、その上で施行されていかなければならない。
9.3 日本におけるレーザ医療の市場性
日本における 2009 年度の医療用レーザ機器の生産・販売状況は、残念ながら『前年以上に厳しい状況にあ
る』といわざるを得ない。厳しい状況が慢性化している原因は、長らく日本のレーザ市場を牽引してきた歯
科用レーザ市場が 2002 年度をピークに漸減を続けていることにある。本来なら、これだけの年月を経れば歯
科用レーザに取って代わる新製品が生まれてもおかしくないのであるがその兆しは見えてこない。このこと
は日本の医療用レーザ界が危険な状態にあることを示唆するものである。
このような状況を打破するためには、医療用レーザ機器の開発において官・学・産が手を取り合って、同じ
方向性で考えていかなくてはならない。医学系と工学系との双方からの新しいアイデアを基に、国際競争力の
ある企業が国のバックアップを得ることで、始めて高品質な日本製の医用レーザ機器の開発が可能となり、日
本からの世界の福祉への貢献が可能となる。このような好循環を起こすためにも今後の動向に注目したい。
10. 海外実地調査
光技術動向調査委員会活動の一環として、毎年、海外実地調査を実施しており海外の光技術開発状況・動
向の調査を行っている。
本年度は,9 月にメディカル関連で WC 2009(ミュンヘン)会議へ、1 月に光材料・デバイス関連で欧州実
地調査へ派遣した。以下にそれぞれについて概略を報告する。
(1) WC 2009(ミュンヘン)会議
出張者: 酒井 真理(大阪大学)
同行者: 石井 克典(大阪大学、第 8 分科会オブザーバ)
出張先: International Congress Center Munich
日 程: 2009 年 9 月 6 日~13 日
概 要: 生体医工学分野における光技術の研究動向について調査した。放射線治療、画像診断、画像・生
体信号処理、シミュレーション、バイオメカニクス、遠隔治療、外科治療・内視鏡治療、診断・
治療装置、医療用システム、埋込能動医療機器、バイオセンサー、神経工学、リハビリテーショ
ン、生体材料・人工臓器など、多彩な研究分野の発表を調査することができたが、光技術の研究
報告が非常に少ないことを痛感した。
医療やバイオ分野への光技術の応用研究は多いはずである。
実際に現場で利用する臨床医やコメディカルが多く参加する生体医工学分野の会議において議論
することは重要ではないかと考えた。
(2) WT 2010(スペイン)会議 マドリード工科大学 LPI 社訪問
出張者: 勝山 俊夫(福井大学)
立野 公男(光産業技術振興協会)
出張先: Winter Topicals 2010 (Majorca, Spain)
Universidad Politechnik de Madrid 訪問
日 程: 2010 年 1 月 9 日~18 日
概 要: Winter Topicals 2010 は、IEEE Photonics Society(旧 LEOS)が主催し、毎年、夏と冬の 2 回開
催され、今回は 3 回目に当たり、
”Next Generation Photonic Devices and Applications”と銘
打って、2010 年 1 月 11 日~13 日の間開催された。取り上げられたトピックスは、最近最も注目
を浴びているフォトニクスの重要分野であり、タイムリーなテーマ選定である。全体として 6 割
程度が招待講演という構成で、セッションごとに密度の高い議論が交わされた。参加者は、100
人を超える程度であるが、それぞれが、専門家としての高い水準をもっており、密度の高い議論
が交わされた。
マドリード工科大学では、
太陽光エネルギーに関する研究所を組織化し、
Intermediate Band Solar
Cell (IBSC)の研究を精力的に進めている。材料としては、量子ドット、合金等が試みられている。
LPI 社は、UPD の Prof. Minano, Prof. Benezi が技術指導しているベンチャーであり、太陽光を
効率よくソーラーセルに集光するための非球面レンズ、LED 光用の照明光学系の設計技術などを
開発している。光学設計技術は日本のお家芸であり、新たなコンペティタが出現した。わが国の
政策として、この分野への積極投資が期待される。
11. 国際会議速報
国際会議速報は、主要国際会議での光技術研究開発の先端動向を、執筆者の主観的な意見を交え、会議終
了後 1~2 週間以内に E メール配信する情報提供サービスである。本年度は 44 件の速報を発行した。速報タ
イトル、開催期間、技術分野を以下の表 2 に示す。
表2
2009(平成 21)年度国際会議速報発行リスト
No.
速報タイトル
1 OFC/NFOEC 2009 速報[光デバイス関連]
2 OFC/NFOEC 2009 ショート速報[光アクセス関連]
3 OFC/NFOEC2009 ショート速報[基幹伝送]
OFC/NFOEC2009 ショート速報[光ネットワーク制御・アーキテクチ
4
ャ]
5 DSC-IC2009 ショート速報
6 ODS2009 ショート速報
7 SID2009 ショート速報[LCD 関連]
8 SID2009 ショート速報[PDP 関連]
9 IEEE 光起電力専門家会議ショート速報[太陽電池]
10 MORIS2009 ショート速報
11 LiM2009 ショート速報
12 CSSC3ショート速報
13 IISW2009 ショート速報[イメージセンサ関連]
14 LAMP2009 ショート速報
15 ECBO 2009 および Medical Laser Applications 2009 速報
16 HCII2009 ショート速報
17 OECC2009 ショート速報[伝送関連]
18 HCII2009 ショート速報[ユニバーサルアクセス関連]
19 TDLS 2009 ショート速報
20 SPIE Optics+Photonics 2009 ショート速報 [加工・計測関連]
21 CLEO/Pacific Rim 2009 ショート速報
22 GFP2009 ショート速報[シリコンフォトニクス]
23 EU-PVSEC ショート速報[結晶 Si 関連]
24 FLAIR2009 ショート速報
25 ECOC2009 速報[光材料・デバイス]
26 IDRC2009 ショート速報 [液晶関連]
27 ECOC2009 ショート速報[光ファイバ関連]
28 ECOC2009 ショート速報[基幹伝送]
29 PS2009 ショート速報[光信号処理デバイス]
30 WC 2009 ショート速報 [光医療・バイオ応用関連]
31 ISOM09 ショート速報[大容量光メモリ]
32 ECOC2009 ショート速報[アクセス関連]
33 EU-PVSEC ショート速報[化合物薄膜太陽電池関連]
34 ICNS-8 ショート速報 [窒化物半導体の進展]
35 ECOC2009 ショート速報[アーキテクチャ・ネットワーク制御]
36 IRMMW-THz2009 ショート速報
37 ICALEO2009 ショート速報
38 MOC ’09 速報
39 PVSEC19 ショート速報[化合物薄膜太陽電池関連]
40 IDW’09 ショート速報[3D 関連]
41 IDW’09 ショート速報[OLED 関連]
42 IDW’09 ショート速報[LCD 関連]
43 IDW’09 ショート速報[PDP 関連]
44 Photonics West BiOS 2010 速報 [医療・バイオ応用関連]
開催期間
2009/3/22-26
2009/3/22-26
2009/3/22-26
分野
1
2
2
2009/3/22-26
2
2009/4/22-24
2009/5/10-13
2009/5/31-6/5
2009/5/31-6/5
2009/6/7-12
2009/6/16-18
2009/6/15–18
2009/6/3-5
2009/6/26-28
2009/6/29-7/2
2009/6/14~18
2009/7/19-24
2009/7/13-17
2009/7/19-24
2009/7/13-17
2009/8/2-6
2009/8/30-9/2
2009/9/9~11
2009/9/21-25
2009/9/6-11
2009/9/20-24
2009/9/14-17
2009/9/20-24
2009/9/20-24
2009/ 9/15-18
2009/9/7~12
2009/10/4-8
2009/9/20-24
2009/9/21-25
2009/10/18-23
2009/9/20-24
2009/9/21-25
2009/11/2-5
2009/10/25-28
2009/11/9-13
2009/12/9-12
2009/12/9-12
2009/12/9-12
2009/12/9-12
2010/1/23-28
7
3
4
4
7
3
6
7
5
6
8
5
2
5
1
6
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1
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3
2
7
1
2
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5
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4
4
4
4
8
第 1 分野:光材料・デバイス、第 2 分野:光通信ネットワーク、第 3 分野:光メモリ・情報処理、第 4 分野:ディスプレイ
第 5 分野:ヒューマンインタフェース、第 6 分野:加工・計測、第 7 分野:太陽光エネルギー、第 8 分野:メディカル光産業技術
12. 特許動向調査委員会
12.1 光技術に関する特許動向調査
今年度もワーキング・グループ制を継続して,調査・分析を実施した。光通信ネットワーク、光メモリ、デ
ィスプレイ、太陽光エネルギの各産業分野の特許出願動向の定点観測に加え、本年度は ROF、メカニカル光
スイッチ、光ファイバ増幅器、シリコン系太陽電池、集光型太陽電池の各技術領域について、その詳細な特
許動向分析を実施した。
12.2 特許庁との懇談会(2009 年 12 月 9 日)
特許庁からは特許審査第一部 西村 光 デバイス審査監理官はじめ 6 名の方々、特許動向調査委員会か
らは、伊藤委員長はじめ 10 名の委員に出席いただいた。本年度は、光協会より、
「光技術産業の特許出願動
向と特許庁への要望」と題して伊藤委員長が講演を行なった。
また特許庁より、
“特許行政の最近の動向”と題して、西村審査監理官に講演いただいた。特に国際出願の国
際的な負担低減や調和に対する取り組み、審査の質向上への施策、シフト補正への対応法等について説明い
ただいた。またこれら講演内容を交えて、出席者間で熱心な意見交換が行なわれた。
12.3 特許フォーラム
本年度の特許動向調査結果の報告と特別講演からなる光協会特許フォーラムを 2010 年 2 月 24 日に学士会館
(東京都千代田区)で開催した。賛助会員、一般参加、合わせて約 80 名の方々に出席いただいた。
本年度は特別講演として、長く知財高裁にて判事として活躍され、日本の知財訴訟の第一人者である
三村量一 弁護士/長島・大野・常松法律事務所に「知財紛争と企業 -特許関係争訟における実務上の留
意点-」
、読売新聞社の元論説委員で、知財戦略や中国問題の専門家である馬場錬成 教授/東京理科大学に
「中国の科学技術力と特許動向」の 2 件のご講演を頂いた。
③創業・新事業展開支援
ア.技術アドバイザ
本制度は、光技術に関わる新規事業創造を支援するための技術指導を行う目的で運営されており、光関連
ベンチャー・中小企業等からの相談・質問に応じて指導相談員(技術アドバイザ)を紹介し、アドバイスを
行うものである。相談分野は新規事業創造に関するものだけでなく、新商品開発や販売などで必要となる技
術相談も行っている。技術アドバイザは、大学教官が中心であるが、光技術全般がカバーできるよう民間の
方にも委嘱している。
1. 実施方法
相談内容が本制度の趣旨に合致するかどうかを判断し、本制度を適用する場合は専門分野などから最適な
技術アドバイザを選定し、本人の了解を得て後術相談をお願いした。相談内容等は厳重に秘密保持に努めて
おり、相談者から要請があった場合は機密保持契約を締結できる規定が設けられているが、2009 年度は該当
案件がなかった。
2. 情報の公開
相談内容に一般性があり、普及効果が高いと思われる案件については、相談者と技術アドバイザの了解の
もとで、協会のホームページに公開した。ホームページには 2009 年度の技術相談例(38 件の件名)
、レーザ
安全関連の相談で普及効果のあるもの 14 件についてその相談内容と回答を、前年度掲載分(2008 年度以前
の技術相談例)とともに掲載した。
3. 技術相談の特徴
本年度の本制度及び本制度に関連するものと位置づけられた技術相談件数は 60 件であり、昨年度の 77 件
は下回ったが、技術アドバイザ制度の認知度は定着してきていると思われる。この中で制度を適用して技術
アドバイザを選任し、
技術相談を実施した案件は 38 件であった。
残りの 22 件に関しては事務局で対応した。
相談分野を大別すると以下の通りである:
レーザ 45 件(レーザ加工装置 3 件、レーザ測定器 12 件、ディスプレイ用レーザ 4 件、医療用レーザ 6 件、
その他 20 件)
、LED15 件
本年度の相談企業数は 48 社であり、再利用の企業も多数ある。制度利用の簡便さ・有効性が評価されたも
のと思われる。
相談内容としては、レーザ安全にかかわる相談が例年通り多かった。レーザ安全の国際規格である IEC
60825-1 は 2007 年改正でレーザと LED が分離されたが、60825 規格群のその他の規格については LED がまだ
対象に含まれている。また、国内規格である JIS C 6802(最新版は 2005 年改正)は LED を対象にしたまま
である。さらに、国際規格でも 60825 規格群に変わり LED 安全を受け持つことになった 62471 規格群は通則
ができたところで測定方法の詳細が明らかになっていない。
国内法で JIS C 6802 を参照しているものもあり、このような状況が、問合せの多い一員である考えられる。
このようなニーズに対し、当協会としては、レーザ安全の標準化の国際対応に真正面から取り組んでいきな
がら、技術相談の窓口としてもそれを補完していきたい。
イ. 新規事業創造支援
光技術を応用した光機器、光装置あるいはシステムの研究、開発、製造、販売にかかわる中小企業、ベン
チャー企業(大学発ベンチャー等を含む)に対し、
「OITDA 注目される光技術展 2009」への出展支援および
「OITDA 注目される光技術セミナー」への講演支援を実施した。実施概要を表 1 に示す。
表 1 OITDA 注目される光技術展 2009 および OITDA 注目される光技術セミナーへの支援社一覧
出展社
株式会社トリマティス
株式会社渡辺製作所
株式会社オプトデバイス研究
所
株式会社ゼオシステム
株式会社大光デンシ
株式会社白山製作所
展示内容
光高速制御技術とその応用製品の紹介
擬似ランダム符号相関方式を基礎とする時間
差透過/反射比計測方式を利用する動歪セン
シング製品
セミナーテーマ
パルス出力 LD ドライブ回路の紹介
反射型 LED とその可視光通信応用製品
高出力反射型 LED の応用と可視光通信
株式会社オプトデザイン
LED 光源、受光素子を組み込んだ通信装置。
散乱可視光通信
MT フェルール、MPO プラグ他の光関連製品
高精度・高分解能スペクトル制御技術(超高速
光通信、各種パルス応用)
LED 直下型フラットパネル「UniBrite」
株式会社メガオプト
加工・計測用レーザ光源
株式会社オプトクエスト
株式会社メカトロニクス
(長崎工業技術センター)
導光技術合同会社
新しいファイバセンシング
- Push-pull Ratiometric Reflectometry -
-
-
-
帯域可変スペクトルシェイバー
高輝度 LED を用いた直下型フラット照明技術
マイクロマシニング加工に適した
超短パルスレーザーの開発
分光法を用いた非破壊糖度測定技術
新方式の非破壊計測技術 - TFDRS 法 -
中空光ファイバを用いた各種診断技術の開発
-
LED 照明に真の実用化をもたらす
ケミコンレス駆動回路
シアリング干渉微小非球面光学素子測定装置
株式会社タキオン
LED 照明に真の実用化をもたらす駆動回路
夏目光学株式会社
シアリング干渉微小非球面光学素子測定装置
ウ.開発プロジェクト
開発プロジェクトは,正式には「光技術応用機器,装置,システムの開発プロジェクト」と称し,競輪補
助事業として,当協会が実施するもので,次の条件を満たすテーマを対象とする。
『光技術を応用した機器,装置またはシステムで,実用化が可能と予想され,かつこれらの開発・試作お
よび試用・評価を通して光エレクトロニクス技術の実用性,将来性などが実証し得るもの。
』
具体的には,年度始めにベンチャー企業,中小企業などを中心にプロジェクト提案を公募し,この応募プ
ロジェクトを開発テーマの候補とする。候補となったテーマは,光協会の「開発プロジェクト審査・評価委
員会」にプロジェクト提案され,提案者に対するヒアリングを行って,採否を審議する。
委員会には,技術的学識経験者の他に,事業投資に見識を持つ委員並びに経営財務に見識を持つ委員を加
え,①技術の新規性,②光産業市場への貢献度,③成果の社会的貢献度,④事業化計画の信頼性,⑤産学の
連携度合いを十分審査できるよう配慮している。
現在のプロジェクトの標準的な進め方は「開発・試作」と引き続き行われる「試用・評価」である。委託
先は,開発・試作フェーズ(初年度:期間 9 ヶ月)において開発を実施してシステムないし機器を試作し,続
く試用・評価フェーズ(次年度:期間 1 ヵ年)においてあらかじめ定めておいた「試用者」にこの試作品を託
して試用してもらい,第三者の目で製品化を見据えたときの利点や問題点を評価してもらうことになってい
る。したがって,最終時点では,実用化の見通し,ないしは少なくとも今後どのような努力をすれば実用化
に結びつき得るかの情報を得ることができる。また,開発プロジェクト審査・評価委員会には,各プロジェ
クトについて,各年度の開始には基本計画書,年度中間には進捗報告書,年度終了には成果報告書案を評価
いただくので,的確な助言を得ることができる。
本年度は,表 2 の開発推進フェーズに示す 3 件のプロジェクトを採択し,同 3 件と昨年度に開発推進フェ
ーズを終了し次年度の試用・評価フェーズに入った 3 件のプロジェクトを実施した。また,試用・評価フェ
ーズの 3 件のプロジェクトは,平成 21 年 9 月開催の「注目される光技術展 ‘09」において試作品を展示し,
本制度とその成果の PR をした。
開発推進フェーズの 3 プロジェクトは,
おのおの次年度への展開が大いに期待できる重要な成果をあげて,
初年度を終了できた。また,試用・評価フェーズの 3 プロジェクトも,その研究成果を市場向けの製品に効
果的に結びつけるためには,もちろん更なる努力と実証を要するにしても,それぞれに非常に有望な見通し
を得て完了できたものと評価される。
表 2 2009 (平成 21) 年度に実施した開発プロジェクト
フェーズ
プロジェクト名称
自動追尾顕微鏡システムの開発
開発・試作
補償光学機能付眼底観察撮影装置の開発
次世代 OCT 用高速波長走査型レーザの開発
18GHz 対応 EMC 計測用光伝送装置の試用・評価
試用・評価
委託先
(株)エクスビジョン
(株)コーナン・メディカル
santec(株)
住友大阪セメント(株)
LED 照明に真の実用化をもたらす駆動回路の試用・評価
(株)タキオン
シアリング干渉微小非球面光学素子測定装置の試用・評価
夏目光学(株)
以下に各プロジェクトの今年度の進捗の詳細を記す。
1. 次世代 OCT 用高速波長走査型レーザの開発
1.1 開発委託先
サンテック株式会社
光コヒーレンストモグラフィー (OCT: Optical Coherence Tomography)は、光の可干渉性を用いて生体の
断面断層画像を測定する技術であり、特に非侵襲性が問われる眼科医療では広く受け入れられている。また
眼科以外でも、消化器系の癌検査、歯科検査、冠動脈中のプラークの測定など様々な研究が進んでいる。OCT
の性能は、撮像速度、分解能、測定光の深達度(観察できる深さ)などを指標値とするが、特に速度が重要
である。これは、複数の断層を重ねて 3 次元画像化したり、人体への負荷を低減したり、また測定回数を増
すことで実効的にノイズを低減し測定精度を向上させるためである。初期の眼底検査装置が 1 枚の断層撮影
に数秒を要していたのに対し、現在では 10 msec 以下が要求される。
OCT の深さ方向の情報を取得する方法として、現在ではフーリエドメイン方式、特に波長走査レーザを用
いた SS-OCT (Swept Source Optical Coherence Tomography)が主流となっている。撮像速度は光源の波長走
査速度に依存し、現在の装置は 20~30 kHz に対して、上述の速度を実現するためには 100 kHz 程度まで高速
化する必要がある。光源の高速化には 2 つの課題がある。一つは高速走査するための機構であり、もう一つ
は、走査速度の上昇に伴う深達度の低下である。光源のスペクトルが急峻なほど光の深達度は上がるが、外
部共振器型レーザの波長走査速度を上げると、スペクトルが広がるため深達度は下がる。本提案では、次の
ような施策によりこれらの課題を解決した。
1.2 2 自由度系 MEMS による高速走査機構の開発
(a) 従来方式のチルトミラー
(b) 本提案のチルトミラー
図 1 MEMS ミラー
MEMS はミラーや駆動機構が小型軽量で摩擦もないため高速走査に適しているが、構造的に振幅が大きく取
りにくい。
またミラーは共振状態で使用されるが、
高速走査のための共振周波数の上昇は振幅の低下を招く。
これらの解決のために、図 1(b)のような 2 自由度系 MEMS ミラーを開発した。(a)の従来型ミラーでは、ミラ
ーとアクチュエータを 1 対の Hinge(バネ)で支えているのに対して、(b)ではミラーと構造体の間に第二の
Hinge が追加されている。このため共振周波数が 2 つとなり、小さなアクチュエータの変位が大きなミラー
の変位に増幅される。従って、ミラーを高速で大きく振動させることができる。
1.3 疑似位相同期波長可変機構の開発
波長走査に用いる外部共振器型レーザは長い(数十 cm~数 m)共振器を持ち、多数の縦モードの中からい
くつかを、共振器内の狭線幅フィルタによって選択増幅する。通常はフィルタの波長走査に従って、隣接す
る縦モードが次々と増幅されていくが、走査速度が速くなると、各縦モードの利得が充分得られないため線
幅が太くなり、測定深度も浅くなる。この問題を解決するために、波長走査と同期して共振器長を変調し疑
似的に位相を同期させる、疑似位相同期可変機構を開発した。
これらにより、表 3 に示すような充分な性能を持つ SS-OCT が試作できた。参考までに、本試作で得られた
140 kHz の OCT 画像を、従来型の 25 kHz の画像と比較して図 2 に示す。従来型よりも遥かに鮮明な画像が得
られている。
表 3 光源の目標仕様とプロジェクトの成果
走査速度
帯域(分解能)
目標仕様
100 kHz
130 nm (7 µm)
プロジェクトの成果
140 kHz
100 nm (9 µm)
線幅(コヒーレン
ス長)
最大光出力
S/N
0.1~0.15 nm
(10~15 mm)
15 mW min.
-120 dB
0.25 nm
(6 mm)
20 mW min.
-100 dB
備考
往復走査使用
1,310 nm 帯
(空気中)
コヒーレンス長=片
側測定深度x4
(a)
種
果肉
100μm
(b)
図 2 高速走査による画質の改善(イチゴの断層)(a) 140 kHz、 (b) 25 kHz
2. 補償光学機能付眼底観察撮影装置の開発
2.1 開発委託先
株式会社コーナン・メディカル
2.2 開発の目的と概要
現在臨床使用されている眼底カメラの観察視野は、約 40 度から 60 度で、その主な目的は、眼底のマクロ
的観察である。この場合、眼球光学系のもつ収差は、ほとんど問題にならない。しかし、糖尿病網膜症・緑
内障・黄斑変性症・網膜色素変性症の早期発見等を目的とした眼底の視細胞や新生血管の微細構造を観察す
るためには、解像度 2.5 μm 以上のミクロ的な観察が必要である。そのための眼底観察撮影装置には、回折
限界に近い解像力を得るための光学瞳径(φ4 mm 以上)と眼球光学系の収差を補正するための補償光学技術
を備えることが要求される。これを実現するために、コーナン・メディカルがこれまで開発を進めてきた高
倍眼底撮影光学系の解像度向上を目的とした改善を行うことにより、補償光学機能付眼底観察撮影光学系の
開発を行う。
2.3 契約期間中に達成された主な開発項目とその内容
2.3.1 眼底撮影光学系の開発
通常の眼底カメラに比較し光学瞳径が大きくなることによる横収差発生と、波面計測光と撮影光の波長差
が大きいことによる波面補正効果のリニアリティを重視して設計開発を行った(図 3)
。収差計測及び波面補
正は、Hartmann-Shack 方式の波面センサとエレメント数 32 のデフォーマブルミラーを使用し、波面計測光
は波長 780 nm の SLD、高倍眼底撮影用カメラには白黒冷却 CCD カメラを使用した。
図 3 光学(展開)図
また、瞳孔上直径 5 mm、波長 510~550 nm の条件でシミュレーションした眼底上の MTF 特性は図 4 に示す
ように回折限界に近い性能が得られるよう設計した(解像度約 1.25 µm)
。
図 4 眼底上の MTF 特性
2.3.2 実験装置の開発
開発した装置(図 5)は、本体部、架台部、コンピュータ部及びデフォーマブルミラーコントローラから
なり、本体部と架台部の大きさは 650 mm (H)×430 mm (W)×600 mm (D)、重量は 40 kg とコンパクト化と合
わせて軽量化も実現した。コンパクト化、軽量化は実際の医療現場での仕様・評価には必須項目である。
図 5 補償光学機能付眼底観察撮影装置
2.3.3 波面センサの改良
デフォーマブルミラー、波面センサ、高倍カメラ画像、低倍カメラ画像の表示及び制御を一元化するソフ
トウェアを開発し(図 6)
、デフォーマブルミラー動作に必要なパラメータ等を自動で読込むようにした。ま
た、波面収差補正値(RMS 値)と連動させることにより最適な状態で撮影できる機能と患者データなどを入
力できる機能を新しく追加した。開発したソフトの制御画面を図 6 に示す。
低倍カメラ画面
波面センサ画面
高倍カメラ画面
図 6 制御画面
2.4 開発完成評価
2.4.1 光学性能の改善効果
これまでコーナン・メディカルが開発を進めてきた眼底撮影光学系の解像度は、3.1 µm が限界であったが
(図 7)
、今回開発を行った眼底撮影光学系では、目標の解像度 2.5 µm 以上の約 1.4 µm であった(図 8)
。こ
れは、図 2 で示した解像限界に近い性能であり、光学系を折りたたみコンパクト化した影響はなく、設計性
能を満足した装置であることを確認できた。
図 7 光学瞳径直径 2 mm
図 8 光学瞳径直径 5 mm
(これまでの弊社の眼底撮影光学系)
(開発を行った眼底撮影光学系)
2.4.2 補償動作の性能評価
波面補正前の状態を図 9 に示す。この負荷状態で波面補正を行った結果、解像度約 4 µm であり目標の解像
度 2.5 µm は得られていない(図 10)
。原因は、装置のコンパクト化のために光路を 3 次元に折り曲げること
により調整が複雑化し、デフォーマブルミラーの光軸と眼底撮影光学系の光軸調整が完全には行えていない
ことであると考えられ、今後はこの不具合部分の再調整を行う必要がある。
図 9 波面補正前の解像度
図 10 波面補正後の解像度
2.5 今後の予定と試用・評価
解像度が目標に達成しない原因と推定される光学調整の問題点(デフォーマブルミラーの光軸ズレが原因
による解像度不足)を、調整冶具及び光学系構造の改良により早急に解決し、解像度の目標値を達成した後、
論証試験及び試用・評価を開始する。
眼科ドクターによる試用・評価では補償光学機能付眼底観察撮影装置による眼底(糖尿病網膜症及び黄斑
変性症の新生血管、緑内障及び網膜色素変性症の視細胞)の微細変化の観察・評価への応用等を検討する。
さらにコストダウンを含め競合他社の開発品に対し優位性のある製品仕様を決定し、本装置の早期製品化を
目指す。
3. 自動追尾顕微鏡システムの開発(エクスビジョン)
3.1 当初設定された開発のねらい、成果目標
本開発は、東京大学石川・奥らの研究グループが開発した微生物トラッキングの実証システムを実用化す
るために、実用品を使って再構成するのが目的である。
図 11 は、本開発品のブロック図である。顕微鏡によって、観察された微生物体は、高速 CMOS カメラによ
って撮像される。高速カメラからの高速動画像は、高速ビジョンシステム PB-1 によって処理され、対象であ
る微生物体の位置情報を獲得し、
微生物体の移動を相殺するように微生物体が置かれた自動 xy ステージの制
御信号を計算する。制御信号はコントローラに送られ、自動 xy ステージを制御する。操作や処理結果観察等
はモニタ用 PC で行う。なお自動 xy ステージの下には手動 xy ステージを配置し、操作性を向上させる。
本開発品の技術的成果目標は以下である。
① トラッキングなどシステムの基本性能については、実証システムと同程度。
② 実証システムでの課題であったセンサのドリフトを抑制する。センサのドリフトのため、実証システ
ムでは定期的にセンサのキャリブレーションを行う必要があった。
③ 実証システムのユーザーインターフェイスは実用上問題があるので、PB-1 上に新規に開発する。実証
システムでは、トラッキングを行うために 2 台の PC を操作しなければならず、ユーザビリティは実用レ
ベルを満たしていない。
高速CMOSカメラ
モニタ用PC
PB-1
インターフェイス
観察対象
顕微鏡
コントローラ
xyステージ(自動+手動)
図 11 今回開発した自動追跡顕微鏡システムのブロック図
表 4 基本的性能の成果目標
センサ
ドリフト
ピクセル×ピクセル
フレーム
レート
frame/s
232×232
1000fps
あり
256×256
1000fps
なし
解像度
実証
システム
本開発
システム
操作性
2台のPCを操作。
難易度高
1台のPCを操作。
難易度低
ステージ部分は、両システム共にサーボモータ駆動、制御サンプリングレート 1 kHz、分解能 0.25 μm
3.2 契約期間中に達成された開発項目とその内容
(1) トラッキングについて
開発目標を達成していることを確認するため、クラミドモナスと呼ばれる 20 μm 程度の大きさをもつ生物
の「死骸」を倍率 20 倍で観察した。これは東京大学医学系研究科吉川研にて試用対象予定の生物である。試
作機開発段階では、クラミドモナスの死骸が乗ったスライドガラスを手動で動かしたものをトラッキングす
ることで、その性能を確認した。
図 12 がその結果である。(a)全体では約 8000 フレーム分つまり 8 秒分が、(b)トラッキング開始直後では
約 100 フレーム、つまり 0.1 秒分が示されている。赤線が画像処理により計算された対象物体の座標、青線
がステージの位置である。
図 12 に示されるように、
ステージが対象物体を正しくトラッキングしている。
また(b)に示されるように、
開始直後中心から 35 μm 程度離れていた対象を約 40 ms 程度で捕捉している。ステージのステップ応答が
50 ms 程度であり、ステージの性能を十分に引き出している。
この結果によって今後生きたクラミドモナスを対象としてトラッキングしながら観察・記録できる性能を
本試作機が持つことが確認された。
また今後幅広い対象に適応することを視野にトラッキング動作について仕様の指標について検討した。現
在試用の可能性が高いのはクラミドモナスとホヤの精子である。これらの移動速度はそれぞれ 150 μm/s、
300 μm/s 程度であり、また両者とも x20 の対物レンズで観察することが想定される。EOSENS カメラの画素
ピッチは 14 μm であり、すなわち 1000 fps での移動速度はそれぞれ 0.21 ピクセル/フレーム、0.43 ピクセ
ル/フレームとなる。トラッキングの性能としてはこの指標を用いることとして、ノイズ等の影響も考え、1
ピクセル/フレームで移動する対象を追跡できることを仕様とした。
(a) 全体
(b) 開始直後領域の拡大
図 4.3.2 トラッキング結果 (横軸がフレーム番号、縦軸が物体の x 座標[μm])
(2) センサドリフト抑制について
図 4.3.3 はセンサドリフトが抑制されている様子を示す結果である。対象を 2 値化パラメータを固定した
まま 2 時間連続で観測し、30 分毎に 2 値化処理結果を記録した。トラッキングを行うのに必要な画像が時間
を経過しても得られていることがわかる。
(a) 対象画像
(c)30 分毎の測定結果
(b)測定開始直後の2
値化画像
図 13 センサドリフト抑制の様子
4. 18 GHz 対応 EMC 計測用光伝送装置の試用・評価(住友大阪セメント)
4.1 開発委託先
住友大阪セメント株式会社
4.2 開発のねらい
開発のねらいは、電気・光変換および光ケーブル伝送技術を用いて検出信号の高周波化、伝送距離の拡大
を図ることにより、18 GHz 対応 EMC 計測用光伝送装置を製品化し、次世代 EMC 測定システムの実現および規
格制定に向けた技術的検討に寄与することである。電気・光変換機能を有する LN 変調器を用いて 1~18 GHz
の伝送帯域を持つ広帯域な光伝送装置の開発を行い EMC 計測への適用評価を行った。
図 14 に開発した光伝送
装置の概略構成を示す。
電波暗室
光ファイバ
30m
アンテナ
1.5μm帯
LD光源
カプラ
測定室
アンプ
RF-OUT
OE
変換器
計測器
アンプ
RF-IN
EO変換器
(LN変調器)
変調器
制御回路
電源回路
ヘッド部
コントローラ部
図 14 EMC 測定用光伝送装置の概略構成
4.3 契約期間中に達成された成果
4.3.1 試作機の試用評価
試用評価先の産業技術総合研究所にて EMC 測定設備におけるサイト VSWR 計測 (SVSWR)を行い、1~18 GHz
の測定評価を行った。また、実際のノイズ測定環境での評価方法のひとつであるコムジェネレータを使用し
た電磁波測定、および、同軸ケーブルと光伝送装置との性能比較を行った。図 15 に示すように、同軸ケーブ
ルを使用した場合には 10 GHz 以上では SN 比の劣化が大きいのに対して、
光伝送装置を使用した場合は、
18 GHz
までコムジェネレータの出力を測定できている。
以上等の結果から、測定環境として電波暗室内に測定機器類を持ち込まずに 30 m の光ファイバを使用して
測定室で測定が出来ることを実証した。これにより、本開発の光伝送装置を使用することで従来の測定環境
に大きな変更を行わないでも 1~18 GHz の EMC 試験が行えることが確認できたものと考える。
図 15 コムジェネレータによる EMI 測定結果
4.3.2 EMC 規格制定への技術貢献
取得したサイト VSWR 測定結果を元に、
光産業技術振興協会主催の展示会
「OITDA 注目される光技術展 2009」
に出展すると共に「注目される光技術セミナー」にて講演を行った。さらに、開発した光伝送装置の認知度
の向上を目的として、EMC 計測の関係者が多く出席する研究会での研究発表(4 件)や技術広告(1 件)
、専
門雑誌への投稿(1 件)を行った。
4.3.3 製品仕様の検討、抽出課題の改善
試用評価者である産業技術総合研究所の評価に加え、EMC 測定システム全体を提供するシステムインテグ
レータでの顧客による試用評価を実施することで、開発当初の目標仕様の見直し及び製品仕様を決定し、改
善点を抽出した。抽出課題を表 5 に示す。
表 5 抽出した課題リスト
項目
1
2
3
4
内
容
100 MHz 以下の周波数領域におけるノイズの低減
電源が入った状態で高周波入力コネクタが開放の場合の
サージ対策
入出力信号レベルの異常検出機能
電源供給ラインを無くしたバッテリ駆動化
項目 1 については今年度改善を行った。項目 2、3 は次年度に設計検討を行い製品に組み込む。項目 4 はヘ
ッド部の低消費電力化が鍵であり検討を行っていく。
4.3.4 高周波回路の低コスト化検討
高周波部品の低コスト化を目的として、高周波専用基板を入手しテストパターンにて伝送特性評価を行っ
た。また、高周波専用基板と一般に使用されている基板とのハイブリッド基板でも評価を行い、1~18GHz で
の伝送特性と機械的な強度の確保の両方を満足することを確認した。
4.4.4 知的財産権等の出願、取得状況
今年度の契約期間中に、高周波信号過入力時の警告に関する特許の出願を行っている。
発明の名称
出願番
号
発明者
電磁波計測用光伝送
装置
2 月出願
宮崎徳一、坂井猛、牟禮
勝仁
4.4.5 プロジェクト終了後の予定と将来展望
産業技術総合研究所および EMC 測定のシステムインテグレータに積極的な試用・評価を行って頂いた結果、
商品として必要な機能が定まった。システムインテグレータの評価や学会発表を通じて、光伝送装置の需要
としては世界で年間 100 台程度は存在し、規格の内容によってはさらに多くの需要が見込まれることが確認
できた。
今後、上記必要な機能を付加した製品の商品化を進めると同時に、試用・評価データの蓄積を行い、光伝
送装置の優位性について、学会・研究会などで積極的に発表していく予定である。これにより、本光伝送装
置を広く EMC 測定関係者に使用、評価して頂くことができると考える。また、CISPR 等国際標準化の国内委
員会メンバの方々に直接情報を提供し、さらには試作機を用いて技術検討に協力することにより、国際規格
制定に貢献する
本プロジェクトで期待される成果である光回路と電気回路との広帯域インピーダンス整合技術は、以下の
用途への応用展開が可能である。
i) 21 GHz 帯を用いたスーパーハイビジョン信号伝送
ii) 超広帯域無線 (UWB: ultra wide band)信号の伝送
iii) 防災無線などのファイバ無線 (ROF: radio on fiber)システム
本年度に試作した装置の試用・評価を踏まえて、大阪大学 村田博司准教授に指導助言を頂きながら広帯域
アナログ伝送技術という観点から、どのようなシステムへの展開が可能かに関して検討を進める。
5. LED 照明に真の実用化をもたらすコンデンサレス駆動回路の試用・評価
5.1 開発委託先
株式会社 タキオン
5.2 目的
照明用途が全電力消費に占める割合は世界平均で約 19%、日本国内で約 18%に達する。LED 照明は同光量
であれば電球型蛍光灯に比べて単体での消費電力では約 20%、白熱電球と蛍光灯を併用する使用方法と比較
すると約 40%削減が見込める上に、長寿命である。しかし、LED の電源に使用される電解コンデンサは、受
熱により寿命が制限され、LED 電球の寿命は LED ではなく、電解コンデンサの寿命が律則することになる。
本開発は、電解コンデンサを不要とする LED 駆動方式とその LSI 開発による小型化を実現し、LED 照明の長
寿命という本来のポテンシャルを引き出すことにある。
5.3 概要
本年度は、昨年度に開発した LED 電源 LSI の信頼性試験及び試用評価と、試作した電球型 LED ランプの寿
命試験を行い、開発目標の達成検証と実用検証を実施した。
5.4 LED 電源 LSI の信頼性試験
LSI の信頼性試験は、社団法人電子情報技術産業協会 (JEITA)の試験規格に従って全 23 項目、延べ 341 サ
ンプルに対して実施し、全試験項目に対して全サンプル合格した。
5.5 電球型 LED ランプの寿命試験
加速試験により試作した電球型 LED ランプの寿命予測を行った。
加速試験は、60℃/RH60%、85℃/RH60%、60℃/RH85%、85℃/RH86%の 4 条件で、それぞれ 5 個の試料を 2,000
時間まで実施した。加速試験の結果より、以下のステップで寿命予測を行った。
<Step.1>各試料の故障時間の推定
ランプ光束は時間数関数的に減少、故障条件を光束維持率 70%として、各試験試料の故障時間を外挿する。
85℃/RH86%の加速試験結果(実測値)と外挿(推定値)を図 16 に示す。
条件4 温度:85℃ 湿度:85%
6.2
6.0
ln
5.8
5.6
5.4
5.2
推測値(延長線)
実測値
5.0
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000
10000
時間(h)
図 16 85℃/RH86%の加速試験結果
<Step.2>加速条件での寿命時間の算出
Step1 で求めた故障推定時間と累積故障率を確率紙にプロットする(ワイブルプロット)
。電球型 LED ラン
プの各温度の寿命時間として累積故障率 1%に到達する時間と設定し、プロットより、各加速条件での寿命時
間を算出。
今回は、加速試験の結果、湿度依存が極めて少なかったこと、また、電球型 LED ランプの構成部品も湿度
依存性は少ないものばかりであることを考慮し、湿度条件は破棄し 60 度と 85 度の温度の試料群に束ねて寿
命推定を実施した。その結果、60 度と 85 度の寿命時間はそれぞれ、3,200 時間、1,500 時間となった。
5.0 lnln(1/(1‐F(t))
T=85℃
T=60℃
0.0 F(t)=1%
‐5.0 1,500hrs
3,200hrs
‐10.0 100 1,000 10,000 100,000 時間 [hrs]
図 17 ワイブルプロット
1,000,000 <Step.3>予測寿命の算出
各温度条件の寿命時間より、簡易アレニウス式
Life=A・exp(Ea/kT)
k:ボルツマン定数
の定数は、それぞれ Ea=0.3113[eV]、A=1.02 となり、これに基づき目標温度条件 25℃のときの寿命予測値
188,000 時間≒22 年
を得た。
5.6 試用試験
試用試験の結果、全項目で合格の判定を得た。
5.7 競合他社品との優位性比較
市販の電球型 LED ランプに内臓されている他社製駆動回路との比較結果を表 6 に示す。
表 6 他社製駆動回路との比較
開発品
T社
P社
S社
単位
φ35
52×20
φ45
60×36
mm
部品実装時高さ
22
18
60
30
mm
部品点数
17
30
23
42
個
電解コンデンサ
0
3
2
1
個
基板サイズ
開発した駆動回路は実装サイズ、高さ、部品点数いずれにおいても競合品を凌駕している。また他社製駆
動回路は LED ランプの寿命を律する電解コンデンサを搭載しており、他者製 LED ランプの定格寿命はいずれ
も 40,000 時間で、開発品を用いた試作 LED ランプの寿命推定値 188,000 時間を大きく下回っている。これら
より開発品は現時点において、サイズ(実装スペース)
、寿命で明らかな優位性を有している。既定のスペー
ス制限があり、また発熱問題が極めて厳しくなる電球型 LED ランプでは、電源回路の小型化はランプ全体の
放熱設計に大きな自由度と効果を与える重要要素である。また部品点数や基板面積の少なさはコスト的にも
有利である。
6. シアリング干渉微小非球面光学素子測定装置の試用・評価
6.1 開発委託先
開発委託先:夏目光学株式会社
6.2 試用・評価の目的
光学機器の高機能化、多様化、小型化などの市場ニーズの変化とレンズ加工技術の向上に伴い、レンズの
形状も球面から非球面さらに自由曲面へと変化し、サイズも数 mm からサブ mm へと小型化している。本開発
装置は、光学素子表面形状の測定だけでなく、偏芯測定などの光学素子の主要な光学評価を可能にする多機
能装置を目指し、更に用途面では金属加工、金型などの表面形状測定にも利用可能となることを期待した。
しかし、昨年度試作した装置では、一応の完成はみたものの不具合も多く見つかった。今年度は、まずそ
の不具合を修正することから始めた。また本試作装置に採用した横シアによる方式の原理的な弱点として、1
断面しか測定できないこと、および従来のフィゾー干渉計と比較して精度が劣ることが予想された。
そこで、これらの不具合の解決を優先と考え、その上で最重要課題である全面での表面形状測定に限定す
ることとし、試用・評価を進めた。
6.3 装置の改造について
試用・評価に先立ち、試料の自動アライメント機能の追加や干渉縞解析アルゴリズムの改良等を始めとする
8 項目について、改造を行った。図 18 に装置の外観を示す。昨年度の段階で装置本体に組み込んでいた電装
部(レーザ電源、ステージ駆動電源、シアプレート回転モータ電源など)を切り離し独立させた。これらの
改造によって、測定時間の短縮と精度向上を可能にするとともに、試料全面の表面形状を測定できるように
した。
装置本体
電装部
表示部
図 18 装置の外観
6.4 試用・評価の概要
試用・評価は、当社工場内の 24 時間空調の測定室において行った。一例として、本装置の精度のうち重要
な指標である表面形状の測定再現性についての概要を以下に示す。ある特定球面を有する試料の表面形状の
測定回数 20 回における測定データ再現性について評価した。結果、測定データの標準偏差σから算出される
3σの平均は、目標値とするλ/20 が得られた。
しかし、測定値の絶対値については、基準とする Zygo 社製の市販干渉計による値に比較して大きな差が認
められた。干渉計固有のシステムエラーが大きいこと、および、0-90°回転機構の不安定性が主原因と考え
ている。これらの改善により、測定精度は現状の 2 倍以上に向上すると見込んでいる。
6.5 プロジェクト終了後の予定と将来展望
本装置はまだ開発途上であるが、当社の主力製品である Mf(Multi-Form・Multi-Function・Multi-Field)
レンズの品質向上に役立つことを期待し、社内用に改良しながらこの装置を完成させていく予定である。
④光技術の人材育成・普及啓発
1. 第 29 回光産業技術シンポジウム
当協会主催、経済産業省後援による第 29 回光産業技術シンポジウムが、
「光イノベーションのグローバル
戦略 -国際競争力の一層の向上を目差して-」と題して、12 月 2 日(水)にリーガロイヤルホテル東京に
て開催された。当日は、当協会の小谷泰久専務理事の開会挨拶に続き、経済産業省商務情報政策局 情報通
信機器課長 吉本豊氏より来賓のご挨拶を頂いた。
その中で同氏は、
「3 年前、NEDO パリ事務所赴任の最初の仕事が、欧州最大の光通信関係の国際会議/展示
会である ECOC2006 で、NEDO が委託し光協会が中心となって開発した光スイッチノード動態展示の成果発表
であり、光技術においても基礎研究から実用化まで年月がかかることを実感した。欧州勤務の経験的立場か
ら見ると、日本は、技術オリエントで、しかも国内だけで固まっていると上手く行くという内向きの傾向が
ある。これに対し、欧州では国の垣根を取り払い、アジアやアフリカへまで広げようというオープンイノベ
ーションを指向している。これからの日本は、30 年先を見据えながら基礎はやりつつ、その成果による標準
化の先導など、
いかに経済的価値に結びつけていくかという戦略を継続しなければならない。
そしてさらに、
国際連携という新たなチャレンジを加える必要があり、これら 3 者のバランスをとりながら推進することが
重要である。その意味で、今回のシンポジウムのタイトル「光イノベーションのグローバル戦略 -国際競争
力の一層の向上を目指して-」はいかにも時宜を得ている。本日は、光技術の最先端の成果や技術戦略を拝聴
し、光技術の益々の発展を期待しつつ今後の政策に結び付けたい。
」と激励の言葉を述べられた。
続いて、
(独)産業技術総合研究所 情報通信・エレクトロニクス分野担当理事の一村信吾氏による基調講
演があった。ここでは、「産業技術総合研究所は、旧通産省(工業技術院)傘下の 15 の国立研究所が一体
となった独立行政法人として、2001 年 4 月に発足した。発足後既に 8 年が経過し、我が国の産業技術振興の
核となる研究機関としての位置づけの発揮が強く求められている。加えて、オープンイノベーションに向け
た産学官連携の重要性が高まるなか、産総研はじめ多数の研究機関が集積しているつくば地区においても、
イノベーションハブ機能の構築が求められ始めている。
」と述べられ、諸般の事情から流動的側面は残るもの
の、上記状況を踏まえた「産総研の情報通信・エレクトロニクス戦略をつくば拠点構想」が紹介された。
次に、NTT 未来ねっと研究所所長の中島隆氏による特別講演が「望まれる革新的光通信技術」と題して行
われた。ここでは、
「1981 年の光伝送システム導入からまもなく 30 年が経とうとしており、ダウンロードト
ラフィックの総量が 1 Tbps を超え、昨年からの伸び率は 40%という報告がある。また、これら急増するトラ
ヒックを運ぶアクセスシステムとして GE-PON による FTTH の普及もめざましい。この間、シングルモードフ
ァイバと DFB レーザの実現に始まり、WDM と光増幅器、そして、近年ではデジタルコヒーレント技術による
更なる大容量化など幾多の技術的限界を乗り越えてきた。しかしながらここに来て、振幅・位相・波長・偏
波とほぼパラメータを使い果たし、ファイバ入力パワーの限界あるいは、非線形効果の顕在化など物理的限
界も見え始め、これまでになく高い限界の壁が立ちはだかりつつある。今こそ次の時代を担う革新的光通信
技術の創出が強く望まれる。
」と述べられた。
午後は、4 つの講演があった。まず、Ericsson Japan の Paolo Serra 氏(Executive Board, Photonics21;
Head Optical Products, Ericsson の Alfredo Viglienzoni 氏と連名)により、
「Photonics21 - Towards a joint
strategy for Europe」と題する招待講演があった。
「欧州テクノロジープラットフォームPhotonics21は、
欧州委員会の振興策に従い産業界のイニシアチブを土
台として2004年より運営されている。現在、Photonics21は、27のEU加盟国など49カ国から、1,400人以上の
メンバーが参加している。Photonics21の構成メンバーは、産業界(光技術の製造メーカー、および、ユーザ
を含む)と学術界からのメンバーの間でバランスのとれた構成となっている。企業会員の約4分の3は、中小
企業 (SMEs: Small and Medium-sized Enterprises)からのメンバーである。 Photonics21は、ヨーロッパ全
体の経済的Value Chainに沿っての多数の主導的な光産業および関連するR&Dのステークホルダー達を束ねる
ものであり、Photonics21のミラー (Mirror)グループを通じて、資金調達活動を開始している。」と述べら
れた。
次に、㈱富士通研究所 フェローの桑原秀夫氏により、「蘇るコヒーレント光通信 -過去、現在、未来
-」と題する講演があり、1980年代後半の取組みが振り返えられ、途中のほぼ凍結の時期と復活した経緯な
どを紹介された。コヒーレント光通信は、概念自体は60年代末から提唱されていたが、研究が盛んになって
きたのは80年頃からであり、富士通においても、86年から本格的に研究を開始し、装置ベンダーとして実用
化を強く念頭においた研究開発を進め、
86年での社内動展示をはじめとしてInterOptoで動展示するなどの実
証を進めた。しかし、その後のEDFA技術の立ち上がりなどからその魅力が薄れ、93年にはコヒーレント光通
信の研究開発を凍結した。
ところが、近年、10 Gb/s 伝送技術が Commodity になり、40 Gb/s、100 Gb/s が開発されているが、電子回
路の高速化も限界に近づいており、コヒーレント光通信が基本的に線形検波であり、多値変調や偏波多重方
式でも動作することが確認され、現在は 100 Gb/s に向けて標準化活動と高速の ADC と DSP を実現する段階と
なってきた。今後、無線から学ぶこともまだまだあると思われ、将来の研究におけるシナジー効果が期待さ
れる。
」と述べられた。
午後の 3 つ目は、
「GaN 系半導体の青~緑色レーザー」と題して、日亜化学工業㈱ 長濱 慎一氏の講演が
あった。
「1995 年に GaN 系半導体材料を用いた波長 405 nm の紫色半導体レーザー (laser diode; LD)が発表
されて、約 15 年が経過した。現在では、紫色 LD(波長: 405nm)を用いた大容量光ディスク(Blu-ray ディ
スク)の実用化をはじめ、バイオ、医療、印刷、露光用光源など新たな分野への応用が既に始まっている。
近年、GaN 系 LD の発振波長域は、紫色域から青色、緑色域へと拡大して、レーザーを用いたディスプレイへ
の応用が期待されている。緑色 LD(波長 518 nm)においては、現状の光出力は低出力 (5 mW)であるためそ
の応用範囲は限定されるものの、実用デバイスとしての十分なレーザー性能に達していることを確認した。
」
と述べられた。
最後は大阪大学 光科学センター 教授の山本和久氏が、
「ユビキタスレーザーディスプレイ」と題して講
演された。21 世紀に入り、半導体レーザーをベースとした赤色、青色だけでなく、緑色のレーザー光源が実
用レベルになったこと、および課題であったスペックルノイズ低減技術が提案されたことにより、レーザー
ディスプレイの研究開発が活発化している。レーザーディスプレイは、従来の sRGB 規格に対し色再現範囲を
約 2 倍程度広げることが可能であることに加え、光源の高効率化により超低消費電力化および超小型化が可
能という特徴も加わり、小型低出力レーザーを搭載した超小型プロジェクターに加えレーザーヘッドマウン
トディスプレイの研究開発も加速している。ここでは、現状機器を凌駕するだけでなく究極のユビキタス情
報表示手段となり得るレーザーディスプレイについて、その構成、特徴、課題および応用展開も含め概観さ
れた。今年度の参加者数は、約 170 名に達しご参加いただいた方々の本テーマへの関心の高さが示された。
2. 第 13 回光技術シンポジウム
第 13 回光技術シンポジウムを 2010 年 2 月 25 日に(独)産業総合研究所(以下、産総研と略)臨海副都
心センター別館において産総研 光技術研究部門と当協との共催により開催した。今回は『有機デバイス』
と題し、アクティブ素子としての有機材料の最近の進展につき、ソニー、DIC および東京大学から特別講演
として最先端の研究開発をお話しいただくとともに、産総研・光技術研究部門の研究紹介を交えながら、こ
の分野の最新動向について幅広い内容で講演が行われた。当日は産業界、関係研究機関等から 120 名を越え
る方々の参加があり、当該分野に関心を寄せる多くの方々による有意義な議論も展開され大盛況のうちに閉
幕した。
ソニー占部様からは現在脚光を浴びている有機 EL ディスプレイにおける有機 EL デバイス・プロセス技術
とそれを駆動する TFT 技術の今後の展望についてのお話があった。又 DIC 株式会社 米原氏からは電子写真
感光体、レーザープリンター用感光体の光導電性物質として盛んに利用されている OTiPc 薄膜における特性
について、更に東京大学染谷先生からはアンビエントエレクトロニクスとして伸縮性デバイス、伸縮性導体
の開発についてのお話があった。その他、産総研光技術研究部門の各グループからは「高分子配向膜作成技
術とそれを用いた偏光 EL 素子」
「有機デバイス作製時のダメージ評価」を始めとして有機デバイスに関する
製造方法、プロセス開発から特性面、性能面の改善に至るまで様々な成果報告があった。
いずれの講演も大変貴重かつ興味ある内容であり、低コスト、低消費電力、柔軟性等、次世代の光関連技
術、産業の有力な担い手としてさらなる発展が期待できる有機デバイス技術の開発に無限の可能性を感じさ
せた。
3. 光産業技術標準化シンポジウム
本年度の標準化シンポジウムは 2010 年 1 月 19 日(火)
、六本木ヒルズのアカデミーヒルズ 49「オーディ
トリアム」で、 ドイツ・ナノプラス社の CEO であるヨハネス・ケース氏及び米国・ワンテラビット社の社長
であるアトゥール・スリヴァスタバ氏のお二方を講師として招き開催した。
ケース博士は、「センサー応用のための3~4 μm 帯域のシングルモードレーザ」と題し、欧州3 大学での
材料開発をナノプラス社がレーザ光源としてまとめ、ドイツおよび英国のメーカがセンシング機器として応
用開発を進めるEU プロジェクトであるSensHy プロジェクトについて、センシング機器にとって重要な波長
帯域である3~4 μm 帯域でのレーザの開発から応用技術の展開に至る同プロジェクトの概要について紹介
した。
スリヴァスタバ博士は二つの講演を行った。
一番目の講演は「光増幅器の標準化における最近の進捗状況」と題し、大容量 DWDM ネットワーク実現の鍵
を握る光増幅器についての簡単な歴史に触れ、ここ数年の光ネットワークの発展と共に、高ビットレート・
チャンネルの導入に焦点を当て、光増幅器には今まで以上のスピードが求められ、高速管理のための電子機
器、シングル・チャンネルそしてラマン増幅器を含めた高出力での増幅が必要であると説明された。更に光
増幅器に関する IEC/SC 86C/WG 3 における最近の活動にも焦点があてられた
二番目の講演は「100G 市場の見通し及び標準化の進捗状況」と題し、ユーザが求める帯域要件に関する現
在の傾向と、100 Gb/s の高データレートおよび 2 bits/s-Hz の高スペクトラム効率双方について、中核ネ
ットワークでの要件に与える影響について触れられた。
講演に引き続き、極めて友好的なレセプションが催され、参加者がリラックスした雰囲気の中で懇親を深
め、様々な議論が展開した。
4. マンスリーセミナー
光産業・技術に関する研究者・技術者を講師に迎え、光技術に関するトピックスや最新の情報をテーマ
に、わかりやすく解説するセミナーを毎月第 3 火曜日に開催し、この 3 月で第 322 回を迎えた。
2009 年度光産業技術マンスリーセミナー開催概要一覧表
回数
開催日
講演テーマ
講師(敬称略)
311
2009/
4/21
「光通信デバイスの動向」~ 石英系 PLC、InP 系 PIC
及び Silicon Photonics について~
312
5/19
「100 Gbit/s 級高速光伝送技術の最新動向」
313
6/16
有機 EL 照明の技術開発動向と将来展望
314
7/21
ナノスケール光学:表面プラズモンポラリトン
315
8/18
大洋横断光海底ケーブルシステムの現状と展望
アイディ株式会社 最高技術管理者
NTT R&D フェロー 岡本勝就
株式会社 KDDI 研究所 光ネットワークアーキテクチャーグループ
グループリーダー 森田逸郎
パナソニック電工株式会社
先行技術開発研究所 技監 菰田卓哉
筑波大学 数理物質科学研究科
物理学専攻 助教 久保敦
日本電気株式会社 ブロードバンドネットワーク事業本部
海洋システム事業部 事業部長代理 青木恭弘
316
9/15
半導体レーザの医療診断への応用
-周波数領域 OCT-
317
10/20
固体レーザーとマイクロ固体フォトニクスの展望
-ジャイアントマイクロフォトニクス-
318
11/17
透明酸化物半導体の探索から実現した 2 つの超伝導物質:
鉄オキシニクタイドとエレクトライド
319
12/15
太陽光エネルギーを利用した環境作り
-ナノレベルで表面構造制御された可視光応答型光触媒-
320
2010/
1/19
高速光パケット処理技術および光ルータの現状と展望
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通信用光コネクタ技術の現状と展望
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レーザーによる高エネルギー密度新材料・
新デバイス創生へ向けて
北里大学 理学部 物理学科 教授 吉國裕三
大学共同利用機関法人自然科学研究機構
分子科学研究所 分子制御レーザー開発研究センター
先端レーザー開発研究部門 准教授 平等拓範
東京工業大学 大学院総合理工学研究科材料物理科学専攻
フロンティア研究センター&応用セラミックス研究所
教授 細野秀雄
九州工業大学大学院 工学研究院
物質工学研究系応用化学部門 教授 横野照尚
日本電信電話株式会社 先端技術総合研究所
フォトニクス研究所 先端光エレクトロニクス研究部
グループリーダ 高橋亮
千葉工業大学 工学部 機械サイエンス学科
教授 長瀬亮
大阪大学大学院 光科学センター長
兼大学院 工学研究科 高エネルギー密度科学領域
高エネルギー密度工学領域 教授 兒玉了祐
5. OITDA 注目される光技術展 2009
OITDA 注目される光技術展 2009 は 2009 年 9 月 16 日(水)~17 日(木)の二日間、横浜みなとみらいの、
パシフィコ横浜展示ホールにおいて開催された。本年のインターオプトは、昨年秋米国に端を発した世界的
金融危機の影響等、諸般の状況により中止としたが、財団法人光産業技術振興協会、以下光協会が行ってい
る調査、研究活動、新規事業創造支援、普及・啓発活動、技術開発、標準化の推進等広範な活動の成果を発
表する本年の展示会として、国内・国外 21 社 24 小間が、株式会社 ICS コンベンションデザインおよび米国
Pennwell Corporation 主催による、今回が第 2 回目の開催となる LED JAPAN Strategies in Light および、
同じく株式会社 ICS コンベンションデザイン主催の今回が初開催となる BioOpto Japan 2009 と 3 展同時に開
催され、二日間の来場者は 7,132 名(同時開催含む)であった。
パシフィコ横浜展示ホールでは、
光技術動向委員会 8 分科会のうち 6 分科会
(光通信ネットワーク分科会、
光メモリ・情報処理分科会、ヒューマンインターフェース分科会、加工・計測分科会、太陽光エネルギー分
科会、メディカル光産業技術分科会)推薦の企業 9 社が推薦の技術を、光協会が光関連の新規事業に対して
行っている展示会出展支援を受けた中・小企業 13 社が出展支援の技術を、光協会が開発を委託して昨年度開
発を終了した、光技術応用機器、装置、システムの開発プロジェクトの、18 GHz 対応 EMC 計測用光伝送装置
(住友大阪セメント株式会社)
、LED 照明に真の実用化をもたらす駆動回路(株式会社タキオン)
、シアリン
グ干渉微少非球面光学素子測定装置(夏目光学株式会社)の各企業が前述の技術を、一方光協会ブースは光
技術・光産業の調査研究を、光協会ストレージ・ナノフォトニクス研究推進部ブースは低損失オプティカル
新機能部材技術開発を、および光協会次世代ネットワーク推進機構ブースは次世代高効率ネットワークデバ
イス技術開発プロジェクトを、それぞれ展示し紹介を行った。国外からは米国の光関連の団体である Optical
Society of America が参加し、会議・書籍の広報を行った。
景気低迷の中で開催の展示会ではあるが現状注目されている太陽電池、LED 関係の出展ブースはもとより、
注目度が増えつつあるバイオオプト・メディカルフォトニクス、その他光関係の新しい技術出展ブースも、
天候にもめぐまれ、注目される分野・新たな分野を目指して多数来場した参観者の質問等を受け盛況を呈し
ていた、またデモンストレーションごとに通路をふさぐほど人だかりができるブースもあり、業績回復につ
ながる技術を求め来場している参観者の真剣な姿が目立っていた。
展示会場内で展示ブースに隣接して開催されたオープンステージの本展出展者が講演する注目される光技
術セミナーも両日共に活況で 13 件となり、立ち見となるテーマも見受けられた。又展示会と同時に展示ホー
ルと隣接するアネックスホールでは、9 月 16 日(水)に光産業動向セミナー、9 月 17 日(木)は光技術動向
セミナーが開催された。昨年開催した記念講演に引き続き、本年は特別講演として、日栄 彰二氏(株式会社
矢野経済研究所、CM&EO 事業本部エレクトロニクス&オプティクス部)には 9 月 16 日に「照明用途白色 LED
市場の動向」を、菊池 和朗氏(東京大学 大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 融合情報学コース 教授)
には 9 月 17 日に「コヒーレント光通信技術」をテーマにそれぞれご講演頂いた。本年注目されている内容の
特別講演、および光産業動向・光技術動向の各分野別講演も、テーマによっては聴講席が足りなくなり急遽
椅子席を増設するなど連日盛況であった。
なお、来年は本年中止となったインターオプト展を再開し、会期は夏から重要な商談期である秋の 2010
年 9 月 29 日(水)~10 月 1 日(金)の 3 日間、会場は光産業が多く展開されている神奈川や多摩地区から
のアクセスが良い、パシフィコ横浜にて開催予定である。また、本年、OITDA 注目される光技術展 2009 と同
時開催となった LED JAPAN Strategies in Light および BioOpto Japan の両展も、来年は日程を 2 日開催か
ら 3 日間に拡大し、インターオプト展と同会場、同日程にて同時開催を予定している。
イ.普及啓発・国際化のための資料作成
2008 年度技術情報レポート,Annual Technical Report 2008(英文誌)を発行した。