先端分野に関する国際標準化への 取組事例

資料9
2 0 0 6 年 1 2 月 1 3 日
経済産業省基準認証ユニット
先端分野に関する国際標準化への
取組事例
1.マイクロマシン/MEMS
2.ナノテクノロジー
3.光触媒
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1.マイクロマシン/MEMS分野に関する標準化活動
【概要】
MEMSとは、一般に急速に進歩した半導体微細加工技術等を用いて、可動部品
等の機械構造と電子回路を集積した微細なデバイスと定義されているが、最近で
は機械・電子・光・化学などの複合機能を一体化した微細なデバイス全般を指す場
合もある。高性能かつ省エネ性等に優れた点を活用し、多様な機能を集積化した新
たなる分野への応用が期待されている。
図 MEMS/加速度センサの例
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超小型なマイクロマシン/MEMS装置は、主に薄膜材料から作られているが、耐久性
や信頼性を評価する手段が無いのが実情である。
この課題を克服をするために薄膜材料の各種試験・評価方法について研究開発を行
い、その試験法、評価基準及び標準試料について標準策定、その国際標準化活動を
行っている。
引張試験装置の例
試験片取付部
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【動向】
国際標準化機関においてはIEC/TC47(半導体デバイス)WG4(MEMSデバイス)にて審議が行
われており、日本は2002年より「MEMS専門用語」、「薄膜材料の引張試験法」、「引張試験標準
試験片」の3本の標準案を提案・国際規格化、研究開発と同様、標準化活動においても世界を
リードしており、「MEMS専門用語」についてはこの分野初として2005年に、「引張試験法」、「標
準試験片」については2006年にIS化に成功している。
「疲労試験法」も日本から提案をし、本年度にNPとして採択された。また、本年度基準認証研究
開発事業において、寿命加速度試験とその校正用標準試験片などの規格の標準案を作成する
ための活動を行っている。
【課題】
大学の有する基盤技術において、材料・試験等の標準化を行ってきたが、さらなる産業界ニーズ
などから導きだされる標準化項目・内容の抽出が必要である。また、主要MEMS製品化動向に
ついて予測しつつ、デバイスについての標準化を進めることも重要である。
【今後の予定】
引き続き材料試験法などの基盤的標準について研究開発及び標準策定を行い、さらにデバイス
など日本のMEMS国際競争力強化に必要となる標準化活動を戦略として整理、ロードマップとし
てまとめる。
2007年 10月
IEC/TC47(半導体デバイス)会議(フランス・トゥールーズ)
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2.ナノテクノロジーに関する標準化活動
【概要】
ナノテクノロジーは、あらゆる産業に変革をもたらす可能性のある戦略的な技術
である。現在、黎明期にあるナノテクノロジーの市場展開に向けて研究開発と並
行して、産学官の連携の下、我が国がリードして特に計測・評価技術の国際標準
化に取り組んでいる。
【動向】
(1)2005年5月にISO/TC229(ナノテクノロジー)が発足。
(2)2005年8月に(独)産業技術総合研究所を国内審議団体に指名,同研究所に組織され
たナノテクノロジー標準化国内審議委員会において国内審議活動を実施中。
(3)これまでに、2005年11月に第1回総会がロンドン、2006年6月に第2回総会が東京、
2006年12月に第3回総会がソウルで 開催された。
用語・命名法(WG1),計測計量・特性評価(WG2),環境(WG3)の3つのWGが設立され
ている。(各WGのコンベナーはWG1はカナダ、 WG2は日本((独)産業技術総合研究所
計測フロンティア研究部門長の一村信吾氏。),WG3は米国)
(4)これまでに作業開始された標準化案は次の二つ。
¾技術仕様書(TS)「ナノ粒子用語」( WG1)
¾技術報告書(TR)「ナノテクノロジーに関連する職場環境における現行の安全慣
行」 (WG3)
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(5)第3回総会において、我が国がプロジェクトリーダーを務めるカーボンナノチューブのUS-VISNIRによる計測手法他4項目を含めて、9項目新規提案項目提出の決議をした。
(6)2006年5月に国際電気標準化会議(IEC)において標準管理評議会(SMB)は
IEC/TC113(電気電子製品及びシステムのナノテクノロジー)の設立を決議。10月
にドイツ幹事国、米国議長の体制で正式発足。
【課題】
・ISO,IEC,OECD(工業ナノ粒子安全性部会)を始め各機関の標準化作業の協調的推進
・IEC新TC発足、リエゾンの拡大*に伴う国内取り組み体制整備
・研究開発活動と標準化活動の一体的推進
【今後の予定】
2007年 2月 第1回IEC/TC113総会(ドイツ・フランクフルト)
2007年 6月 第4回ISO/TC229総会(ドイツ・ベルリン)
*ISO TC 24/SC 4(粒子サイズの測定)、*TC61(プラスチック)、TC 146/SC 2(大気の質)、
TC 150(外科用インプラント)、REMCO(標準物質委員会)、EU – JRC(欧州委員会共同研究センター)、
OECD、VAMAS(新材料及び標準に関するベルサイユプロジェクト ) CENとのリエゾン
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3.光触媒試験方法に関する標準化活動
【概要】
光触媒は紫外線等の作用により、環境中の有害有機物分解
などの機能を持ち、環境浄化材料として多方面に応用されて
いる。その一方、性能の疑わしい製品の出現により、市場の
健全な発展の為には公正に評価できる試験法の標準化が必
要となり、下記テーマについて国際標準化に向けた取り組み
を展開中。
(1)セルフクリーニング性能、(2)空気浄化性能(NOX、VOC、
悪臭等)、(3)水質浄化性能、(4)抗菌・防かび性能、
(5)標準光源
【動向】
-2005年9月にISO/TC206(ファインセラミックス)WG37(光触媒評価方
法)が発足し、コンビナ-を日本(竹内浩士氏)が引き受けている。
-「空気浄化性能-Nox除去性能試験方法」の規格原案が、現在
DIS(国際規格案)投票中
-「セルフクリーニング-水接触角測定」、「抗菌・防カビ-抗菌性能試験」
の規格原案がWG37で審議中
-他4件が、NP(新規項目提案)投票の結果、エキスパート不足で
未採択
-2005年9月:ISO/TC206 第12回総会(ハワイ) WG37発足
-2006年7月:ISO/TC206 第13回総会(ジャカルタ)WD(作業文書)
修正
(2件)掲示
【課題】
-光触媒による環境対応技術は、世界共通の課題であるにも関
わらず、情報が各国の研究機関に届いておらず、エキスパート不
足でプロジェクトが成立していないテーマがある
-日本は特にアジア諸国との連携が課題として挙げられる
【今後の予定】
-2007年6月:ISO/TC206 第14回総会(ベルリン)
①NOx除去のイメージ
光
酸化処理
窒素酸化
(中性の硝酸カルシ NOx 物NO2
ウム)
清浄な空
気
光触
媒
光
高機能舗装
排気ガ
ス
(低騒音舗装・排水舗
装)
清浄な空
気
②防汚・セルフクリーニング応用製品
光触媒塗料を塗装したガードレール
注:塗装後1年目の例(左:光触媒塗装品、
右:従来塗装品)
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