第 190 回 葛飾高砂会:加藤内科クリニック(葛飾)患者会 校正 編集担当 中村野香 加藤光敏院長・加藤則子管理栄養士 平成 27 年 10 月 22 日(木)午後 12 時 30 分から同 14 時 30 分まで、クリニック地下一階集会室に て、10 月の定例患者会が多数参加のもとに開かれました。 ~カンバセーションマップ~ 1.カンバセーションマップとは 院長:本日は大石和子看護師が中心となって、『カンバセーションマップ』をやりますので、4つ のグループにわかれましょう。 大石:それでは、本日は『カンバセーションマップ~糖尿病とともに歩む~』をみんなでやります。 少しでも皆さん、自己管理力を高めていただければと思います。2012 年に国際糖尿病学会、京都 で 20 人くらいのグループでやったことがありま す。世界的にも使われているすごろくのようなも のです。 一つ目のグループは加藤則子先生、二つ目は金村 看護師と池田管理栄養士、三つめは院長と森川看 護師、四つ目は中村管理栄養士と、私がスタッフ として入ります。 まずはみなさん、自己紹介をしていただいて、 この短い間に何を勉強したいかもお話しくださ い。トピックスとしていくつか用意してあります ので、『この話題について話したい』、や『ウソ・本当カード』を使って会話を楽しんでください。 基礎知識の質問カードも入っていますので、糖尿病について、これはウソなのか本当なのか、みん なでやっていきましょう。まずは自己紹介。基礎知識の問題はどこ(血糖・インスリン・腎臓・肝 臓・脂肪・筋肉)に当てはまるかをやってみましょう。 ~各グループでのディスカッションは大いに盛り上がりました~ ・カンバセーションマップとは 「糖尿病カンバセーション・マップ」は、糖尿病患者さんや家族、友人が 5~10 人程度のグループ で話し合い、境遇を共にする。患者さんの知識や体験から糖尿病について互いに学び合う、全く新 しい糖尿病の学習教材です。 グループの興味関心に従い、4つのテーマの中から1つを選び、ファシリテーターの医療スタッ フと共にそれぞれのテーマについて1時間ほど話し合います。そして、グループでの会話を通じて、 糖尿病に関する知識を整理し、糖尿病の療養に対する自らの感情を見直し、前向きな療養生活を送 る目標作りを行ってもらいます。 『糖尿病とともに歩む』は、糖尿病とは何か、どのようなものが糖尿病に関する誤解なのか、とい うことをはじめとして糖尿病の全般的な知識を幅広く話 し合うマップです。糖尿病に対して参加者が抱く気持ちを 話し合うパートや、血糖及び HbA1c の一般的な目標値を含 め、良好な血糖管理とは何かということを学ぶパートもあ ります。マップ最後に、参加者が糖尿病管理のために何が できるのか、ということを簡単に話し合います 皆さんの感想 ・今までわかっているようで、わからないこともあった。 ・糖尿病を知るのは、頭を使うわね。 ・基礎知識はわかっていた。 ・ 『ウソ・本当』の質問内容が簡単。我々も進歩しているの だから、ゲームを作る人も進歩してほしいね。回答は○× だけでなく、『~という場合もある』とか。 ・糖尿病になったこと自体が楽しい。いかに楽しんで、人 のためになれるか、ということ。この前、大腸がんになっ たが、手術をしてくださる先生にこう言いました。「先生、 これまでたくさんの手術をしてこられたでしょう。これま で、僕のために力を蓄えてくれてありがとう!」と(笑)。 糖尿病でも楽しく生きていきたいです。 加藤:私たちのグループでは、Oさんから質問がありました。 Oさん:私は低血糖も高血糖も感じたことがありません。薬局でも聞かれますが、よくわからない のです。 院長: (Oさんのご了承を得て治療内容について簡単に説明)Oさんは治療開始が早めだったから、 強い低血糖を起こす治療をしないで済んでいます。まだ、インスリンを作る力も残っていました。 加藤:低血糖はゆっくりと血糖が下がったときは、感じにくいこともあります。血糖が高い人が 120mg/dL くらいまで急落すると、血糖自体は低く無くとも急に下がって低血糖と感じることがあ ります。 院長:トレーニングで低血糖が自分で判りやすくなれる方もいるようで、『低血糖トレーニング』 という本もあります。 糖尿病にはいろいろなタイプの方がいらっしゃいます。 ○×クイズでは、『アルコールは血糖値を下げる』とありましたが、みなさんわかりましたか?ま ず、普段肝臓は何をしているか、というと、血糖値が 90mg/dL よりも下がると、糖新生といって血 糖値を維持するように、糖をつくっています。しかし、アルコールを多量に飲むと肝臓はアルコー ルの代謝で手いっぱいになり、糖新生がおろそかになってしまいます。さらに、おつまみで刺身や 肉だけ、炭水化物量が少ないと、使っている薬によっては低血糖になることもあります。飲酒中に 低血糖で倒れた人もいますよ。考えてみてください、たくさん食べてアルコールを飲んだ後に、〆 (しめ)にラーメンを食べるって異常だと思わないですか? 各グループとも、大いに盛り上がりました!みなさん、高砂会に足をお運びください! さかえを読む会 10月号 司会 鈴木恒久・加藤則子管理栄養士 1.患者会活動は患者会の手で 鈴木:こんにちは。今月は私の司会です。よろしくお願いいたします。それでは、10 月号のさか えを見ていきましょう。まず、3 ページ、『患者会活動は患者会の手で』とあります。群馬県の糖 尿病協会会長さんの記事ですが、昨年度末、この患者会が病院都合でなくなってしまったそうです。 高砂会は加藤院長、則子先生が頑張ってくださっているので、無事存続しておりますが、患者会を 続けていくためには『真の患者会活動は患者会自体がリードをするのが理想の姿』と書かれていま した。 2.糖質の種類と血糖値の上がり方 続いて、38ページ『糖質の種類と血糖値の上がり方~甘く切ない糖のお話し~』です。一番下 の段にかいてあります、『血糖値を上げない工夫として、ゆっくりたべる、玄米食、野菜を先に食 べる』ということです。年中言われていることですが、血糖値の上昇を抑える基本はこういうこと ですね。39ページをみると、甘い思い出が脳に残っているそうです。甘い思い出は、数週間忘れ られず、忘れてもつい手が出たり急に欲しくなるそうです。皆さんもそんなご経験はありません か?私もおせんべい屋さんの前を通ると、間食は良くないと言われても買ってしまいます(笑)。 加藤:醤油派ですか?塩派ですか? 鈴木:なんでもいいんです。歯ごたえがいいんです。海苔が巻いてあるとか、砂糖がまぶしてある とか。 それでは、今日の本題に入ります。34ページ、『食欲の秋 フルーツの秋と糖尿病』です。2 段 目に書かれている『甘いものを食べすぎると太ったり血糖値が上がったりしますよ、と説明しても 果物は体に良いと思っていて、患者さんとの意識のズレを埋めるのは容易ではない。』とあります。 果物の摂取量は、健康意識の高まる 50 歳代以降になると急に増加し、それに伴いビタミンCの摂 取量も増加するそうですが、まさにその通り。この時期は、柿とかみかんとか、ぶどうとか、先ほ どの話と合わせると、甘い物の記憶が脳に残っていまして、ついつい食べてしまいます。先生方か らすると患者さんとの意識のズレというが、本人も控えるのは容易ではないです。 加藤:別腹ですね。 鈴木:そうですね。血糖値を上げないように、ゆっくり食べるとか食物繊維から食べるとか色々あ りますね。フルーツの場合は、36ページに書いてありますが、インスリンを打っている人は、血 糖値測定を食前後 1 時間で測ってみて、血糖コントロールを悪化させない量を知るのもいいのでは ないでしょうか。私は、柿をつい1個食べちゃう。むいちゃうとね、つい。柿を食べた場合とリン ゴを食べた場合と、皆さん試してもらいたい。それについてどう思っているか、本日は話していた だきたい。 Uさん:フルーツは良く食べますね。家族で好きだし、弁当にもいれるし。朝とか昼とか、余って いるとつい。夜は一番まずいです。翌朝の血糖値が高くなります。果物ではないですが、うっかり アイスをたべると特に高いです。食べながら測ったことがあります。アイスはすごいです。次の日 まで高くなります。 加藤:(血糖が)いつくからいくつになりましたか。 Uさん:食後は 200 から 300mg/dL まで上がります。翌朝は普段は 130 ですが、160 位になり、ま ずいと感じます。アイスの大きさはハーゲンダッツよりも小さいサイズでした。なるべく昼とか、 運動前に食べるほうがいい。食べないのが一番いいと分かっているんですが・・・。 加藤:なかなか参考になりますね。Iさんはいかがでしょうか。 Iさん:私をあてないでください(笑)。本当に不真面目で。食後2時間後で高くて 185~203mg/dL とかです。 加藤:食後2時間値だとそんなものですよ。上手く果物と付き合っているよ、という方いますか? あら、Fさん! Fさん:食べ方としては、朝食べる、果物を種類多く、一つの量は少なく食べる、というのがポイ ントです。一日の量は 150gぐらいです。それにヨーグルトと自家製のジャムをいれて食べます。 昼とか夜は食べません。食べても梨なら 8 分の 1 までです。 加藤:節制ができていますね!(拍手)Oさんはいかがですか? Oさん:私は果物が好きじゃない。梨は市川が産地なので頂きますが、8 月下旬にきたものがまだ 冷蔵庫にあります。少しは食べたほうがいいといわれています。 加藤:果物を必ずサラダに入れる方もいます。そうすると梨もなくなりますよ。 Sさん:りんごもね! Fさん:柿とかレーズンとかもね! 加藤:アメリカに行ったときに、サラダにイチゴとかベリーなど彩りの良い果物にカッテージチー ズをかけたものがでてきました。そういうものが流行っているそうです。アメリカでは、果物は野 菜のうち、という考え。赤い物が入ると彩がぐんとよくなりますし、レタスなどを一緒だとヘルシ ーな感じもします。 Fさん:ベリー系は冷凍もいいですよ。安いです。 加藤:ヨーグルトが入ると、乳脂肪が入るので、血糖がゆっくり上がります。少しでも満足感が得 られます。 ただ、我々の今の季節の問題は、庭になった柿とかイチジクとか、親戚からたくさん送られたも の、これが傷んじゃうからたくさん食べちゃう、さあどうしましょうか。 鈴木:さっきのやり方で、ヨーグルトに入れてはどうですか。他にありますか? Hさん:人に差し上げる。私は、庭で取れるブルーベリーは、朝、バナナなどとジュースにして飲 みますが、1日で摂る果物はそれくらいですね。 加藤:さっき話した方は、夕食後に柿1個と梨半分を食べて、1か月で 1.5kg 体重が増えたそうで す。どうも止まらないらしいのです。今日の話にもあったように、甘みの記憶が残っていて、どう しても繰り返してしまう。 Uさん、アイスをやめたきっかけはなんですか? Uさん:買わなきゃいいのです。 加藤:買わなきゃいいのですね!そうすると、煎餅屋の前も通らなければいいのですね(笑)。 Sさん:買わないのも難しいので、買って食べてもなんとかなるようにしたいと・・。さっきのよ うに、夜食べるのではなく、朝ヨーグルトに入れて食べるとか。 加藤:朝食べる、ヨーグルトに入れる、と2つでましたね。 Aさん:質問ですが、果物でもグレープフルーツは食前に摂ると血糖の上昇をゆっくりするといっ てましが、本当ですか。 加藤:柑橘類は GI 値が他の果物に比べ低いのです。あと、水溶性食物繊維も入っています。甘味 はブドウ糖と果糖がありますが、果糖はそんなに血糖をあげない。ただ、果糖は多いと中性脂肪を 高くして、蓄えられて脂肪にもなります。夜に果物を食べすぎる人は中性脂肪が高め。例えば、女 性でお酒飲まなくて果物食べ過ぎの人などです。同じカロリーで比較すると、バナナに比べてミカ ンの方が血糖は上がりにくいはずです。しかしミカンも山盛り食べると、手が黄色になり、高血糖 の人が増えます。長野県はリンゴ、四国は柿、といった具合に、地域差もあります。 Iさん:温州ミカンを食べすぎると上がりますので、皮ごと食べるようにしています。 Fさん:今から 20 年前、山梨の奥に転勤になりました。当時の病院で、2つ気を付けること、と 言われました。山梨は風が強いから気を付けて。もう一つは、果物が多いので気を付けて。これは 心に残っています。 加藤:確かに、ブドウは血糖が上がりますね。 院長:最近は、果物農家の方々は糖度を上げるのにやっきになっています。弘前のマラソンにでま したが、ゴールした時に、水とリンゴを配られました。すごく甘くてびっくりしました。 鈴木:それでは、果物の美味しい季節ですが、今日の話を参考に秋も血糖コントロールしていきま しょう! 【不許転載、患者指導利用可 加藤内科クリニック(葛飾)加藤光敏・加藤則子】 次回は、11月24日(火)の予定です。
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