「国産材競争に生き残るために必要な取組みと課題」 [PDF:315KB]

斐伊川・日野川流域連携プロジェクト報告
産地化講演会「国産材競争に生き残るために必要な取組みと課題」
両県から、関係者80名が参加し3月12日に開催される。
講師には、鹿児島大学の遠藤日雄教授を招き連携プロジェクトの第3弾としてホテル
宍道湖を会場として開催をした。
講演中の遠藤教授
講演スライドから講演の主だった部分を以下に掲載します。
①木材デフレから木材インフレへ
木材デフレから木材インフレへ
• 外材の産地価格は軒並み上昇(あるいは強含み)
• 1989年のベルリンの壁崩壊を契機に旧ソ連、東欧社会主
義諸国の自滅
• 安いヒト(安価な労働力)・モノが東から西へ
• あらゆるものが生産過剰に。デフレ状態(資源デフレ)。
• デフレの終焉→インフレ(石油、天然ガス、鉱物、農産物など
の資源インフレ)。木材も例外ではない。
• 中国、ロシア、インド、中東産油国などの台頭。衣食から住
へ(建築用木材の需要)。
• 木材過剰から木材不足へ(新価格体系の形成)。
• 買い叩きビジネスの終焉
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②
国産材工場の大型化
Ⅱ 大型化する国産材製材
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第1位
第2位
第3位
第4位
第5位
第6位
中国木材:178万?
オービス:26.4万?
東亜林業:21.6万?
鶴居産業:18.7万? (含原板)
マルホ:19.2万?
ハイテクウッド:10.8万? (原板)
第7位 サトウ:14.6万? (カラマツ)
第8位 石甚:11万? (含原板)
第9位 黒川木材工業:9.1万? (含原板)
第10位 アプトシンコー:9.9万? (含原
板)
第11位 木脇産業:8.2万? (スギ)
第12位 田島木材:9.8万?
第13位 協和木材:9.8万? (スギ)
第14位 柴木材:10.5万?
第15位 タチカワ:6.6万?
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第16位
第17位
第18位
第19位
第20位
第21位
第22位
第23位
第24位
第25位
第26位
第27位
第28位
ネクスト:7.6万?
立川林産:6.6万?
石灰木材:7.0万?
カネミ:4.8万? (原板)
山下木材工業:6.6万?
吉野木材:7.2万? (含原板)
外山木材:6.4万?
中井産業:6.4万(含)
原野製材:6.6万?
下澤産業:6.6万?
スナダヤ:6.6万?
瀬戸製材:5.4万?
吉源木材:7.2万? (含原板)
第29位 トーセン:6.2万?
第30位 南部木材:3万?
このように、国内の製材工場の消費原木上位30社には、国産材製材が6社いるが、こ
の中にスギ材を専門に取り扱う工場があることに注目するべきである。
③国産材製材大型化の地域性
国産材製材大型化の地域性
• 1 福島県南・栃木県北(八溝山系を取り巻く
形で立地しているスギ材産地)
• 2 都城・日田を中心とした南九州(大分、宮
崎、熊本)
• 上記2産地を焦点とした楕円の形で大型化が
進んでいる
-2-
従来と異なり、スギ原木の供
給力の強いところに誕生して
いる
④国産材製材大型化の2タイプ
福島県の共和木材の取り組みでは、自社で積極的に山林を確保している。
そのため次の写真に見られるように、大型乾燥機で乾燥するスギ材がまるごと一つの
山から生産された材で、乾燥効率が格段に良い。
今後の展開方向
・外材供給力の低下と、国産材需要の持ち直し傾向。
・従来の木造住宅用だけではなく、マンションやツーバイフォー住宅など新たな需要あ
り。
・それらの相手には、従来の木材慣行が通用しない。
・一般の商取引が求められる。具体的には、定時配達や、積み直しなどをしなくてもす
ぐにクレーンにかけられるような梱包(重量が均一)が求められる。
質疑から
全国一律の長伐期化は疑問
地域によって、最も価格がよい径級は異なる。
九州では、柱材的寸を頂点とした価格形成となっている。
東北では、32センチに向かって、価格が上昇しているが、それ以上ではあまり良くな
らない。
そういう中での長伐期化は、果たして良いのか。
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地域への遠藤教授からのコメント
①県境を越えて、関係者が協議、検討を行っているのは全国でもこの地域だけである。
発展させて欲しい。
②これまで、山陰地方の木材産業は弱いというイメージであったが、今回の動きや、合
板、オロチなど、具体的なテーマをもって活動がされており、大いに見直した。
③両流域で安定した原木供給体制を構築して欲しい。
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