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第3章
子育てと夫婦関係
高岡 純子
1
夫婦の相互サポート
この節では、育児期の夫婦に焦点をあてて、妻・夫がそれぞれどのように家事・
育児に取り組んでいるかの実態と意識についてみていきたい。
●
○ 家事・育児の実態
ぐずったとき、落ち着かせる」12.9%である。
育児期の妻・夫は、それぞれ家事と育児に
いずれも育児の項目が上位に挙がっているこ
どのくらい取り組んでいるのだろうか。ここ
とから、夫は、家事よりも育児のほうにより
では、家事 3 項目(洗濯、掃除、炊事(食事
多く取り組んでいる様子がうかがえる。
夫の育児では、
「ほとんど毎日する」「週に
の用意・片付け))、育児 4 項目(子どもと遊
ぶ、おむつ替え・トイレ、寝かしつけ、落ち
3 ∼ 5 回する」をあわせた比率でみると、「○
着かせる)の計 7 項目の実態についてきいて
○ちゃんと遊ぶ」は74.5%である。子どもと
いる。育児期妻では(図 3 − 1 − 1 )、家事に
遊ぶことは、父親にとってもっとも取り組み
ついては、「ほとんど毎日する」のは、「炊事
やすい育児のようである。同様の頻度でみる
(食事の用意・片付け)
」89.7%、「洗濯」76.2
と、「○○ちゃんのおむつ替え・トイレ」は
%、「掃除」39.4%の順である。食事は日々
50.9%で、 2 人に 1 人が週に 3 回以上の頻度
必要なことなので、自分で食事の準備・後片
でおむつ替えをしている。「○○ちゃんがぐ
付けに毎日取り組む妻が約 9 割にのぼる。
ずったとき、落ち着かせる」32.4%、「○○
「洗濯」や「掃除」の割合が若干下がるのは、
ちゃんを寝かしつける」22.4%は、どちらも
ある程度まとめて行うことが可能なのであろ
育児としてはやや難易度の高いと思われる項
う。育児については、 4 項目すべてが 9 割以
目であるが、日ごろからかかわっている父親
上となっている。 0 ∼ 2 歳の子どもは、寝か
が 2 ∼ 3 割はいるようである。「○○ちゃん
しつけやおむつ替えなど、生活の世話に手が
を寝かしつける」の比率が少ないのは、子ど
かかる時期であり、ほとんどの妻が毎日これ
もが寝る時刻に、まだ夫が帰宅していないと
らに取り組んでいる様子がうかがえる。
いったケースも含まれるのではないだろう
夫の場合をみてみよう(図 3 − 1 − 2 )。毎
日取り組む項目を上位 3 項目でみると、「○
か。家事については、週に 3 回以上取り組ん
でいる比率は、「炊事」で約 2 割、「洗濯」
○ちゃんと遊ぶ」52.4%、「○○ちゃんのお
「掃除」は 1 割以下となっており、妻の取り
むつ替え・トイレ」24.5%、「○○ちゃんが
組みの比率とかなり離れているといえよう。
― 68 ―
図 3 − 1 − 1 家事・育児の頻度(育児期妻)
ほとんどしない
週に 1 ∼ 2 回する
週に 3 ∼ 5 回する
ほとんど毎日する
無答不明
(%)
洗濯
76.2 17.4 4.5
掃除
39.4 30.2 27.8
炊事(食事の用意・
片付け)
89.7 6.4
○○ちゃんと遊ぶ
95.8
○○ちゃんのおむつ
替え・トイレ
99.1
○○ちゃんを寝かし
つける
92.0 5.0
○○ちゃんがぐずった
とき、落ち着かせる
91.1 4.6
0.4
1.5
0.5
2.1
1.0
1.1
0.2
1.0
2.4 0.6
0.2
0.3
0.3 0.1
1.8
1.6
2.6
0.4
1.0
0.4
1.3
図 3 − 1 − 2 家事・育児の頻度(育児期夫)
ほとんど
毎日する
週に 3 ∼ 5 回する
週に 1 ∼ 2 回する
5.9 4.1
洗濯
17.2
ほとんどしない
無答不明
(%)
72.0
0.9
32.6 62.9
掃除
2.0
0.8
1.7
炊事(食事の用意・
片付け)
9.6
○○ちゃんと遊ぶ
52.4 22.1 22.9
○○ちゃんのおむつ
替え・トイレ
24.5 26.4 30.1 17.9
1.1
○○ちゃんを寝かし
つける
9.3 13.1 31.0 45.3
1.4
○○ちゃんがぐずった
とき、落ち着かせる
12.9 19.5 45.0
10.9
32.4
― 69 ―
45.3
1.7
21.8
1.2
1.4
0.8
第
3
章
子
育
て
と
夫
婦
関
係
夫の家事・育児の取り組みについて、妻の
ぐずったときに子どもを落ち着かせているの
就業別にみたものが図 3 − 1 − 3 、図 3 − 1 −
は15.0%、寝かしつけは11.3%である。妻が
4 である。
働いていない場合は、すべての項目で、比率
が低くなっている。
働いている妻を持つ夫の場合、「炊事」を
全体的にみて、妻が仕事をしている夫は、
「ほとんど毎日する」人は15.7%、「洗濯」は
10.2%であり、夫の10∼15%は毎日している
妻が仕事をしていない夫に比べて家事・育児
ことになる。働いていない妻を持つ夫では、
をする比率は高い。しかし、妻が仕事をして
いずれの項目も働いている妻を持つ夫の約半
いる場合でも、「洗濯」「掃除」を「ほとんど
分以下の比率になる。
しない」と回答している夫は、半数以上いる。
育児に関する項目では、働いている妻を持
「炊事」では、「ほとんどしない」は36.9%で
つ場合、毎日おむつを替えている夫は29.9%、
ある。育児では、おむつ替えや、ぐずったと
図 3 − 1 − 3 家事・育児の頻度(育児期夫、妻は仕事を持っている)
ほとんど毎日する
週に 3 ∼ 5 回する
ほとんどしない
週に 1 ∼ 2 回する
無答不明
(%)
10.2
洗濯
7.3
24.1
2.9
掃除
58.0
40.5
0.4
0.7
53.6
2.2
炊事(食事の用意・
片付け)
15.7
12.0
34.3
56.6
○○ちゃんと遊ぶ
○○ちゃんのおむつ
替え・トイレ
19.0
29.9
○○ちゃんを寝かし
つける
11.3
○○ちゃんがぐずった
とき、落ち着かせる
19.7
14.6
15.0
20.8
32.1
2.6 1.1
0.7
17.5
33.2
21.2
1.1
36.9
1.1
39.8
42.3
0.4
21.2
(サンプル数 274人)
図 3 − 1 − 4 家事・育児の頻度(育児期夫、妻は仕事を持っていない)
週に 3 ∼ 5 回する
週に 1 ∼ 2 回する
ほとんど
毎日する
4.4 3.3
洗濯
掃除
炊事(食事の用意・
片付け)
7.6
10.6
31.9
23.1
7.8
11.8
1.0
0.7
65.8
23.5
27.9
12.8
23.5
29.7
30.6
18.7
1.9
48.0
50.5
○○ちゃんのおむつ
替え・トイレ
○○ちゃんがぐずった
とき、落ち着かせる
76.5
30.2
○○ちゃんと遊ぶ
○○ちゃんを寝かし
つける
(%)
14.8
1.5
1.7
無答不明
ほとんどしない
18.1
1.2
1.2
1.2
47.4
46.1
1.4
22.5
(サンプル数 978人)
― 70 ―
0.9
きに落ち着かせることを「ほとんどしない」
37.6%、「○○ちゃんを寝かしつける」32.6%
夫は約 2 割いる。妻が仕事をしていても、項
であった。「炊事」は、妻の89.7%がほとん
目によっては夫の家事・育児への協力を得ら
ど毎日取り組んでいる項目であり、その大変
れないケースが存在するようである。
さが反映されていると思われる。一方、夫の
場合で30%を超えている項目は、「○○ちゃ
それぞれの家事・育児を、どの程度大変に
感じているかについて、育児期の妻・夫にき
んがぐずったとき、落ち着かせる」44.9%、
いたものが図 3 − 1 − 5 、図 3 − 1 − 6 である。
「○○ちゃんを寝かしつける」38.9%である。
妻が大変だと思う項目(「とても大変であ
育児とひと口にいっても、その内容によって
る」+「やや大変である」)で、30%を超える
夫の大変さは変わってくるようである。子ど
ものは「炊事」56.7%、「○○ちゃんがぐずっ
もと遊ぶことや子どものおむつを替えること
た と き 、 落 ち 着 か せ る 」 3 9 . 2 % 、「 掃 除 」
はあまり大変ではないが、ぐずっているのを
図 3 − 1 − 5 家事・育児は大変か(育児期妻)
とても大変である
やや大変である
まったく
大変ではない
どちらともいえない
あまり大変ではない
(%)
1.3
洗濯
掃除
20.3
5.3
炊事(食事の用意・
片付け)
○○ちゃんがぐずった
とき、落ち着かせる
34.4
44.2
16.4
2.0
12.3
15.9
17.6
20.8
32.5
17.4
30.9
6.7
24.8
38.8
27.2
8.3
10.2
39.2
14.5
5.4
18.1
17.9
12.5
○○ちゃんのおむつ
2.0
替え・トイレ
48.0
32.3
○○ちゃんと遊ぶ
○○ちゃんを寝かし
つける
12.3
33.2
16.5
16.9
31.9
12.5
注)「無答不明」は除く。
図 3 − 1 − 6 家事・育児は大変か(育児期夫)
洗濯
9.0
掃除
9.3
17.3
炊事(食事の用意・
片付け)
10.8
14.0
○○ちゃんと遊ぶ
1.9
○○ちゃんのおむつ
替え・トイレ
○○ちゃんを寝かし
つける
○○ちゃんがぐずった
とき、落ち着かせる
13.3
10.8
4.4
14.2
17.2
15.7
まったく
大変ではない
どちらともいえない
あまり大変ではない
とても大変である
やや大変である
16.4
24.4
18.2
23.3
16.1
12.7
36.8
31.9
28.7
30.5
31.6
12.4
21.7
43.0
33.0
13.5
29.2
13.5
注)
「無答不明」は除く。
― 71 ―
36.0
19.8
27.9
21.3
20.3
(%)
第
3
章
子
育
て
と
夫
婦
関
係
なだめたり、寝かしつけたりすることは、大
も、ほぼ同様の傾向で大変さは高いが、ほと
変なようである。
んど毎日する場合は、大変さが28.1%と低く
図 3 − 1 − 7 は、夫の家事・育児の大変さ
なっている。日々の習慣とすることで大変さ
についてのグラフである。「○○ちゃんがぐ
が軽減されるのだろうか。「ほとんどしない」
ずったとき、落ち着かせる」は、取り組む頻
場合は、おむつ替え以外の家事・育児の大変
度にかかわらず、大変であるという回答率が
さで、「週に 1 ∼ 2 回する」よりも高くなっ
もっとも高く、頻度が少なくなるほど、大変
ている。
さは高くなる。「○○ちゃんを寝かしつける」
図 3 − 1 − 7 家事・育児は大変か(育児期夫、家事・育児の頻度別)
(%)
50
46.7
47.0
42.8
42.3
40.6
38.8
40
36.3
33.6
32.0
30
31.8
29.6
29.6
28.3
28.6
28.1
23.8
21.7
21.1
25.6
18.9
20
15.8
19.0
16.5
( )
16.3
13.4
ぐずったとき落ち
着かせる
寝かしつけ
10
11.6
炊事
11.6
11.6
掃除
遊ぶ
洗濯
おむつ
0
ほとんど毎日する
週に 3 ∼ 5 回する
週に 1 ∼ 2 回する
注 1 )「とても大変である」+「やや大変である」の%。
注 2 )項目は一部、略記した。詳細は図 3 − 1 − 6 を参照のこと。
― 72 ―
ほとんどしない
2
夫婦関係
この節では、妊娠期、育児期それぞれの時期における夫婦の関係についてみて
いきたい。
図 3 − 2 − 1 は、妊娠期の妻・夫の夫婦関
/私は、配偶者の体調をよく気遣っている」
係に関するものを妻の「あてはまる」数値の
(妻65.1%>夫49.9%で15.2ポイントの差)、
高い順に並べたものである。「あてはまる」
「私の配偶者は、私の仕事、家事をよくねぎ
が高い順にみていこう。上位 2 項目は、妻・
らってくれる」(妻51.2%<夫62.4%で、11.2
夫ともに同じ項目である。「私と配偶者は幸
ポイントの差)、「私は、配偶者に/私の配偶
せな結婚生活を送っていると思う」「配偶者
者は、出産に立ち会ってほしいと思っている」
といると本当に愛していると実感する」で、
(妻41.3%<夫48.7%で、7.4ポイントの差)、
いずれも70%を超えている。「ややあてはま
「(配偶者の)妊娠前と比べると、私と配偶者
る」をあわせると90%を超えることから、結
の関係はよくなった」
(妻35.4%>夫28.0%で、
婚に対する幸せの度合い・配偶者への愛情
7.4ポイントの差)。自分に対する配偶者のね
は、妊娠期では妻・夫ともに高い。ついで第
ぎらいについての評価は、夫よりも妻のほう
3 位は、妻が「私の配偶者は、私の体調をよ
が低い。
く気遣ってくれる」65.1%である。調査対象
図 3 − 2 − 2 は、妻と夫をカップリングし
時期の妊娠後期は、まもなく出産を迎えるこ
たデータをみたものである。「私は、配偶者
ろであるため、妻を気遣う夫の様子がうかが
の仕事、家事をよくねぎらっている」(夫)
える。夫の第 3 位は「私の配偶者は、私の仕
と「私の配偶者は、私の仕事、家事をよくね
事、家事をよくねぎらってくれる」62.4%で
ぎらってくれる」(妻)の回答は必ずしも一
あった。
致しない。夫が妻のことを「よくねぎらって
逆に「あてはまる」の数値がもっとも低い
いる」と自己評価した比率(「あてはまる」)
項目は、妻・夫ともに「私と配偶者は、おな
は40.9%、その妻のうち、夫は自分を「よく
かの赤ちゃんの子育てのお手伝いを頼める人
ねぎらってくれる」と回答している(「あて
や場所についてよく話し合っている」で、と
はまる」)のは69.1%であった。23.0%は「や
もに20%台であった。「ややあてはまる」を
やあてはまる」、7.8%は「どちらともいえな
あわせると約半数となるが、子どもが生まれ
い」「あまりあてはまらない」「あてはまらな
たあとのことについては、まだ具体的に話題
い」と回答している。逆のケースをみてみる
にならないことが多いと思われる。
と、妻が夫のことを「よくねぎらっている」
それでは、妊娠期の妻と夫で回答に差があ
と回答した割合は45.8%、その夫のうち、妻
るのはどのような項目であろうか。夫婦共通
が「よくねぎらってくれる」と回答している
の質問14項目のうちで、 5 ポイント以上の差
(「あてはまる」)夫は、78.7%であった。夫
がみられたのは、以下の 4 項目であった。「私
から妻への評価のほうが、妻から夫への評価
の配偶者は、私の体調をよく気遣ってくれる
よりも高くなっている。
― 73 ―
第
3
章
子
育
て
と
夫
婦
関
係
図 3 − 2 − 1 夫婦関係(妊娠期妻・夫)
あてはまらない
あまりあてはまらない
無答
不明
どちらともいえない
(%)
ややあてはまる
0.5
20.6
3.0 0.7
0.1
あてはまる
75.0
私と配偶者は幸せな結婚 妻
生活を送っていると思う
夫
76.9
70.9
配偶者といると本当に愛 妻
していると実感する
夫
0.3 0.3
0.5
5.9 0.8
21.6
73.0
0.0
3.1 0.3
23.0
0.5
私の配偶者/私は、私/ 妻
配偶者の体調をよく気遣
夫
ってくれる/いる
65.1
6.5 2.1 0.1
0.7
9.6 1.9 0.2
0.3
25.5
49.9
38.1
私の配偶者は家庭内で問 妻
題を積極的に解決しよう
夫
としてくれる
53.6
私の配偶者は、私の悩み 妻
や不満によく耳を傾けて
夫
くれる
52.9
私の配偶者は家族と一緒 妻
に過ごす時間を努力して
夫
作っている
52.1
54.4
23.8
16.0
私の配偶者は、私の仕事、 妻
家事をよくねぎらってく
夫
れる
51.2
28.7
12.2
2.8
11.7
3.8
29.0
30.4
1.4
0.7
2.8 2.6 0.3
5.5
27.8
7.7
1.4
50.3
32.3
45.5
39.3
40.9
38.6
43.0
37.2
40.7
16.6
48.7
13.9
40.0
17.4
35.4
28.0
15.9
17.7
1.9 0.1
0.7
13.7
4.5 0.5
1.0
9.0
24.2
4.9
0.9
9.3 4.0 0.8
19.7
7.3
0.8
12.9
19.0
37.6
22.1
3.3 0.0
0.3
15.5
4.5
15.1
18.4
20.5
12.5
3.5 0.7
0.3
6.2
29.9
37.6
私の配偶者/私は、出産 妻
への立ち会いを希望して
夫
いる
19.5
30.8
39.0
1.9 0.0
0.3
12.5
15.3
40.0
私と配偶者は、家事など 妻
の分担に関してお互いに
夫
助け合っている
14.6
16.0
43.1
41.3
1.6
0.7
0.3
0.3
0.7
10.4 2.3 0.8
35.4
50.8
私は、配偶者に/私の配 妻
偶者は、出産に立ち会っ
夫
てほしいと思っている
私と配偶者は、おなかの赤 妻
ちゃんの子育てのお手伝い
を頼める人や場所について 夫
よく話し合っている
1.7
0.2
0.4
10.4 4.0 0.8
0.7
10.1 2.6 0.2
12.9
31.5
62.4
私と配偶者は、おなかの赤 妻
ちゃんをどう育てるかにつ
夫
いてよく話し合っている
妻
私は、配偶者の悩みや不
満によく耳を傾けている 夫
4.1 0.4
0.7
13.9
27.7
57.4
私は、配偶者の仕事、家 妻
事をよくねぎらっている 夫
(配偶者の)妊娠前より、 妻
今のほうが私の配偶者へ
夫
の愛情は強くなった
27.3
54.8
私と配偶者はお互いのこ 妻
と(仕事や趣味など)を
夫
よく話している
(配偶者の)妊娠前と比べ 妻
ると、私と配偶者の関係
夫
はよくなった
0.2
2.8 0.2
19.7
0.3
2.1
1.1
0.3
2.7 2.6 1.1
41.0
2.4 5.7 0.7
33.7
17.7
41.5
3.3 3.0 0.8
31.5
21.4
38.4
1.9 6.3 0.5
32.8
43.5
37.4
19.8
42.4
23.4
36.1
24.7
31.1
注)項目は一部、略記した。詳細は「調査票見本」(p.143)を参照のこと。
― 74 ―
23.8
28.5
2.9 0.3
0.7
16.9
2.6 0.3
0.3
10.9
5.1 0.8
11.1 4.0 0.5
図 3 − 2 − 2 仕事、家事へのねぎらい(妊娠期妻・夫)
私は、配偶者の仕事、家事をよくねぎらっている(夫)
あてはまらない 0.7
無答不明 0.4
あまりあてはまらない 3.6
(%)
どちらとも
いえない
15.8
あてはまる
40.9
ややあてはまる
38.7
(サンプル数 563人)
注)夫婦をカップリングしたデータであるため、
基礎集計表の数値とは異なっている。
「あてはまる」と回答した夫(230人)の妻の回答
私の配偶者は、私の仕事、家事をよくねぎらって
くれる(妻)
あてはまらない 0.4
あまりあてはまらない 0.9
どちらともいえない
無答不明 0.0
(%)
6.5
ややあて
はまる
23.0
あてはまる
69.1
(サンプル数 230人)
注)夫婦をカップリングしたデータであるため、
基礎集計表の数値とは異なっている。
― 75 ―
第
3
章
子
育
て
と
夫
婦
関
係
図 3 − 2 − 3 は、育児期の妻・夫の夫婦関係
り、幸せな結婚生活だと実感しているが、妻
に関するものを妻の「あてはまる」数値の高
の回答率は低く、夫ほど配偶者を高く評価し
い順に並べたものである。妊娠期と同様に
ていないようである。
妻と夫で差があった項目について、子ども
「私と配偶者は幸せな結婚生活を送っている
と思う」が妻・夫ともに第 1 位(妻52.0%、
の年齢別に傾向をみてみよう。図 3 − 2 − 4 、
夫60.0%)で、半数以上が「あてはまる」と
図 3 − 2 − 5 は「配偶者といると本当に愛し
回答している。他 3 位以内に入るものは、妻・
ていると実感する」について、妊娠期から子
夫ともに「私の配偶者は家族と一緒に過ごす
どもが 2 歳になるまでをみたものである。妻・
時間を努力して作っている」、夫では「配偶者
夫ともに、子どもの年齢が上がるほど、
「あて
といると本当に愛していると実感する」
54.9%、
はまる」の数値が低下していく。妊娠期では、
妻では「私の配偶者は家庭内で問題を積極的
妻70.9%、夫73.0%でその差は2.1ポイントで
に解決しようとしてくれる」43.5%である。第
あるが、妻・夫ともに徐々に数値が下がり、
1 子が 0 ∼ 2 歳の夫婦では、家族と一緒に過
子どもが 2 歳になると、妻22.7%、夫43.1%
ごす時間を大切にし、家庭内の問題には夫婦
でその差は20.4ポイントに開く。夫よりも妻
で積極的に解決に向けて対応することが多い
のほうが減少する幅が大きい。「私の配偶者
ようである。
は、私の仕事、家事(子育て)をよくねぎらっ
「あてはまる」の数値がもっとも低い項目は、
てくれる」
(図 3 − 2 − 6 、図 3 − 2 − 7 )では、
妻は「出産前より、今のほうが私の配偶者へ
妊娠期で「あてはまる」は妻51.2%、夫62.4%
の愛情は強くなった」13.4%で、夫は「私と配
であるが、子どもが 2 歳になると妻26.7%、夫
偶者は、○○ちゃんの子育てのお手伝いを頼
42.0%となる。妻・夫の差は開かないが、どち
める人や場所についてよく話し合っている」
らも20ポイント以上減少している。「あまりあ
15.5%である。
てはまらない」「あてはまらない」は、妻は
育児期の妻と夫で 5 ポイント以上回答に差
子どもの年齢が上がるにつれて増加しており、
があるのは、以下の 6 項目であった。「私と
2 歳になると 3 割弱を占めるようになる。 4
配偶者は幸せな結婚生活を送っていると思
人に 1 人は、夫が自分をねぎらってくれるこ
う」(妻52.0%<夫60.0%で、8.0ポイントの
とに否定的な回答をしている。一方、夫は「あ
差)、「私の配偶者は家族と一緒に過ごす時間
てはまる」比率が、妊娠期から 0 歳の間で、8.9
を努力して作っている」(妻45.0%<夫52.9%
ポイント下がる。この時期に比率が下がること
で、7.9ポイントの差)、「私の配偶者は家庭
から、子どもが生まれた後に、妻から夫へのね
内で問題を積極的に解決しようとしてくれる」
ぎらいが少なくなっていく様子がうかがえる。
(妻43.5%<夫51.7%で、8.2ポイントの差)、
妻が仕事を持っている場合、夫婦の関係は
「配偶者といると本当に愛していると実感す
どうなるのだろうか。図 3 − 2 − 8 ∼図 3 −
る」(妻34.1%<夫54.9%で、20.8ポイントの
2 − 10 は、妻が働いている場合と働いていな
差)、「私の配偶者は、私の仕事、家事、子育
い場合に分け、夫の評価を比べたものである。
てをよくねぎらってくれる」
(妻33.0%<夫
「配偶者といると本当に愛していると実感す
47.3%で、14.3ポイントの差)、「出産前より、
る」「私と配偶者は幸せな結婚生活を送って
今のほうが私の配偶者への愛情は強くなった」
いると思う」「○○ちゃんが生まれる前と比
(妻13.4%<夫21.6%で、8.2ポイントの差)
べると、私と配偶者の関係はよくなった」の
である。いずれの項目でも、妻が低く、夫の
3 項目で、妻が働いているほうが、夫の「あ
ほうが高くなっている。夫は、配偶者は自分
てはまる」数値が低くなっている。いずれの
をよくねぎらってくれ、家族の問題に積極的
項目も「ややあてはまる」を加えると、妻の
に対応してくれる存在であると認識してお
仕事の有無による差はわずかとなる。
― 76 ―
あてはまらない
あまりあてはまらない
どちらともいえない
ややあてはまる
図 3 − 2 − 3 夫婦関係(育児期妻・夫)
あてはまる
52.0
妻
私と配偶者は幸せな結婚
生活を送っていると思う 夫
60.0
28.9
52.9
33.5
31.1
34.4
私と配偶者は、子育てや 妻
家事などの分担に関して
お互いに助け合っている 夫
32.2
27.7
29.9
31.7
私と配偶者はお互いのこ 妻
と(仕事や趣味など)を
よく話している
夫
私は、配偶者の仕事、家 妻
事、子育てをよくねぎら
っている
夫
出産前より、今のほうが 妻
私の配偶者への愛情は強
くなった
夫
16.6
29.3
40.6
30.2
36.9
25.4
44.9
23.9
16.6
22.7
15.5
24.2
16.4
18.4
32.3
注)項目は一部、略記した。詳細は「調査票見本」(p.156)を参照のこと。
― 77 ―
1.2
2.6
9.1 3.5 2.6
6.6
1.2
1.6
6.9
2.2
13.2
17.3
12.2
45.5
1.2
2.6
2.7
2.4
5.6 4.6 1.0
44.2
26.9
2.4
8.7
7.8
46.0
22.1
6.2
26.7
19.4
20.7
21.6
26.7
38.4
18.8
8.1
18.8
21.7
3.9 1.1
8.5 4.2
20.8
35.6
21.1
1.1
2.1
7.0
2.3
10.5
17.0
0.9
1.4
2.2
5.7
13.7
22.9
37.5
8.8
15.0
17.1
29.8
5.1
13.0
28.7
36.7
13.4
18.2
26.5
31.2
1.0
1.7
4.2 3.7 2.2
11.2
1.1
0.8 1.0
7.3 2.9 2.3
19.6
40.8
47.3
3.5
5.4
19.0
54.9
33.0
私と配偶者は、○○ちゃ 妻
んの子育てのお手伝いを
頼める人や場所について 夫
よく話し合っている
17.9
36.7
私の配偶者は、私の仕事、 妻
家事、子育てをよくねぎ
らってくれる
夫
1.1
2.7
5.9 3.5 2.2
1.1
0.8
8.5 4.1 2.2
15.7
32.7
33.7
3.6
13.5
31.7
41.3
私と配偶者は、○○ちゃ 妻
んをどう育てるかについ
夫
てよく話し合っている
16.0
29.4
37.9
34.1
13.9
28.9
51.7
配偶者といると本当に愛 妻
していると実感する
夫
出産前と比べると、私と 妻
配偶者の関係はよくなっ
た
夫
14.2
25.8
43.5
私の配偶者は、私の悩み 妻
や不満によく耳を傾けて
くれる
夫
夫
8.2
30.2
45.0
私の配偶者は家庭内で問 妻
題を積極的に解決しよう
としてくれる
夫
妻
(%)
2.4
2.0
0.7
7.5
0.9
0.7
5.8 3.9 2.3
33.5
1.8
私の配偶者は家族と一緒 妻
に過ごす時間を努力して
作っている
夫
私は、配偶者の悩みや不
満によく耳を傾けている
無答
不明
9.7
2.3
1.0
9.5
2.5
4.9 4.6
1.2
第
3
章
子
育
て
と
夫
婦
関
係
図 3 − 2 − 4 配偶者といると本当に愛していると実感する(妻、子どもの年齢別)
妊娠期妻
(728人)
0 歳
(832人)
1 歳
(623人)
2 歳 (405人)
あまりあてはまらない
あてはまらない
無答不明
どちらともいえない
ややあてはまる
あてはまる
(%)
70.9 21.6 5.9 0.8
0.3 0.5
40.4 37.3 14.9 3.0 2.2
2.3
33.2
36.0 20.5 4.3 4.0 1.9
22.7 36.8 25.2 6.7 5.9 2.7
図 3 − 2 − 5 配偶者といると本当に愛していると実感する(夫、子どもの年齢別)
妊娠期夫
(575人)
0 歳
(602人)
1 歳
(438人)
2 歳 (276人)
73.0
あまりあてはまらない
あてはまらない
無答不明
どちらともいえない
ややあてはまる
あてはまる
(%)
23.0
3.1 0.3
0.5 0.0
62.6 27.7 7.6 0.7
0.7 0.7
1.4
51.6 33.1 12.8
0.2 0.9
43.1 35.1 16.7 1.4
1.8 1.8
図 3 − 2 − 6 私の配偶者は、私の仕事、家事(子育て)をよくねぎらってくれる(妻、子どもの年齢別)
あてはまる
妊娠期妻
(728人)
0 歳
(832人)
1 歳
(623人)
2 歳 (405人)
どちらともいえない
ややあてはまる
あまりあてはまらない
あてはまらない
無答不明
(%)
51.2 28.7 12.2 5.5 0.7 1.6
37.6 27.2 15.5 10.1 7.3 2.3 31.0 27.8 15.4 13.8 10.3 1.8
26.7 23.2 20.5 17.5 9.4 2.7
図 3 − 2 − 7 私の配偶者は、私の仕事、家事(子育て)をよくねぎらってくれる(夫、子どもの年齢別)
どちらともいえない
ややあてはまる
あてはまる
妊娠期夫
(575人)
0 歳
(602人)
1 歳
(438人)
2 歳 (276人)
あまりあてはまらない
あてはまらない
無答不明
(%)
62.4 27.8 7.7 0.3
1.4 0.3
53.5
27.6 12.3 4.3 1.0
1.3
42.2 30.8 17.8 5.7 1.1
2.3
42.0 27.9 16.7 8.7 1.4
3.3
― 78 ―
図 3 − 2 − 8 配偶者といると本当に愛していると実感する(育児期夫、妻の仕事の有無別)
あまりあてはまらない
どちらともいえない
ややあてはまる
あてはまる
あてはまらない
無答不明
(%)
妻は仕事を持って
いない(978人)
57.7
29.4 10.5
0.7
0.7
妻は仕事を持って
いる(274人)
0.9
45.3 37.2 14.2
1.1
1.1
1.1
図 3 − 2 − 9 私と配偶者は幸せな結婚生活を送っていると思う(育児期夫、妻の仕事の有無別)
あまりあてはまらない
どちらともいえない
ややあてはまる
あてはまる
あてはまらない
無答不明
(%)
妻は仕事を持って
いない(978人)
64.0 27.3 6.7
0.6
0.7 0.6
妻は仕事を持って
いる(274人)
49.3 38.3 10.2 0.7
0.7 0.7
図 3 − 2 −10 ○○ちゃんが生まれる前と比べると、私と配偶者の関係はよくなった
(育児期夫、妻の仕事の有無別)
あてはまる
ややあてはまる
あまりあてはまらない
どちらともいえない
あてはまらない
無答不明
(%)
妻は仕事を持って
いない(978人)
妻は仕事を持って
いる(274人)
21.7 24.0 44.0 5.4 4.2
0.7
16.4 24.5 46.0 7.3 5.1 0.7
― 79 ―
第
3
章
子
育
て
と
夫
婦
関
係
3
役割配分
この節では、妊娠期・育児期の妻・夫が、自分の役割配分(親として、妻/夫
として、社会人・職業人として、個人として)をどのようにとらえているのか
についてみていきたい。
妊娠期あるいは育児期の妻・夫は、自分の
いった状況がうかがえる。
役割配分をどのようにとらえているのだろう
育児期妻の場合は(図 3 − 3 − 3 )、「親と
か。 4 つの役割について、その理想と現実の
しての自分」は、現実よりも理想のほうが低
配分をきいてみた。 4 つの配分は、「親とし
く、「個人としての自分」や「社会人・職業
ての自分(出産の準備、妊娠のケア、子育て
人としての自分」「妻としての自分」は現実
の情報収集/子どもとの関係など)」「妻/夫
よりも理想のほうが高くなっている。子育て
としての自分(配偶者との関係など)」「社会
をする中で、もう少し個人や社会人・職業人
人・職業人としての自分(仕事・ボランティ
としての役割を増やしたいと思うが、現実に
アなどの社会活動)」「個人としての自分(地
は、子どもの世話などの親としての役割比重
域社会との関係、趣味など)」である。 4 つ
が大きくなっているということだろう。育児
の役割を、足して全体で100%となるように
期妻の「親としての自分」の現実と理想の差
配分を回答してもらった。
は大きく、15.5ポイントとなっている。
図 3 − 3 − 1 では、妊娠期妻の回答の平均
育児期夫では(図 3 − 3 − 4 )、「社会人・
を理想と現実で比べている(以下同)。妊娠
職業人としての自分」は、現実より理想のほ
期妻は、現実と理想に大きな差はみられない。
うが低くなっており、その差は12.0ポイント
現実の比率でみると、「親としての自分」が
である。それ以外の役割では、現実より理想
約 4 割、
「妻としての自分」が 4 割、
「社会人・
のほうが高くなっている。仕事が忙しく、
「社
職業人としての自分」が約 1 割、「個人とし
会人・職業人としての自分」の役割がもっと
ての自分」が約1.5割という配分になってい
も大きくなっており、その分、親として、夫
る。
として、個人としての役割の比重が理想より
妊娠期夫の場合では(図 3 − 3 − 2 )、「親
も小さくなっている状況がうかがえる。ワー
としての自分」は、現実よりも理想のほうが
クライフバランス(第 5 章を参照)に対する
高く、逆に「社会人・職業人としての自分」
不満がもっとも大きいのも育児期夫であり、
は現実より理想のほうが低くなっている。は
仕事とそのほかの生活とのバランスがうまく
じめての子どもを迎えるにあたっての準備な
とれていない状況にあるといえる。育児期の
ど、親としての役割をもっと増やすことが理
場合、今後、そのあたりのバランスをどのよ
想だが、現実には、仕事などが忙しく、職業
うに改善するかといった課題がもっとも大き
人としての役割のほうが大きくなっていると
い。
― 80 ―
図 3 − 3 − 1 役割配分:理想と現実(妊娠期妻)
(%)
70
60
現実
理想
50
40
39.6
37.9
40.0
36.1
30
20
17.0
16.1
19.0
10.9
10
0
︵
子出親
育産と
てのし
の準て
情備の
報、自
収妊分
集娠
なの
どケ
︶ア
、
︵
配妻
偶と
者し
とて
のの
関自
係分
な
ど
︶
テし社
ィて会
アの人
な自・
ど分
職
の︵
業
仕
社事人
会・と
活
動ボ
︶ラ
ン
な︵個
ど地人
︶域と
社
会し
とて
のの
関自
係分
、
趣
味
図 3 − 3 − 2 役割配分:理想と現実(妊娠期夫)
(%)
70
60
現実
理想
50
39.9
40
28.5
30
20
30.1
28.4 29.0
19.9
16.9 17.8
10
0
︵
集娠配親
なの偶と
どケ者し
︶アのて
、出の
子
自
育産分
の
て
の準
情備
報や
収妊
︵
配夫
偶と
者し
とて
のの
関自
係分
な
ど
︶
テし社
ィて会
アの人
な自・
ど分
︵職
の仕業
社事人
会・と
活ボ
動ラ
︶ン
― 81 ―
な︵個
ど地人
︶域と
社
会し
とて
のの
関自
係分
、
趣
味
第
3
章
子
育
て
と
夫
婦
関
係
図 3 − 3 − 3 役割配分:理想と現実(育児期妻)
(%)
70
60
60.5
現実
理想
50
45.0
40
28.3
30
24.0
20
9.8
9.3
10
0
16.7
16.2
︵
子親
どと
もし
とて
のの
関自
係分
な
ど
︶
︵
配妻
偶と
者し
とて
のの
関自
係分
な
ど
︶
テし社
ィて会
アの人
な自・
ど分
職
の︵
業
仕
社事人
会・と
活ボ
動ラ
︶ン
な︵個
ど地人
︶域と
社
会し
とて
のの
関自
係分
、
趣
味
図 3 − 3 − 4 役割配分:理想と現実(育児期夫)
(%)
70
60
現実
理想
50
43.4
40
30
27.8
31.4
31.4
26.8
20.5
20
17.4
13.2
10
0
︵
子親
どと
もし
とて
のの
関自
係分
な
ど
︶
︵
配夫
偶と
者し
とて
のの
関自
係分
な
ど
︶
テし社
ィて会
アの人
な自・
ど分
︵職
の仕業
社事人
会・と
活ボ
動ラ
︶ン
― 82 ―
な︵個
ど地人
︶域と
社
会し
とて
のの
関自
係分
、
趣
味