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第
3章
1 歳児を持つ夫婦の関係
持田 聖子
子どもの成長に伴って、育児の内容も変化し、妻の就業も増えるなど、家庭には生活の変
化もみられる。また、子どもの誕生によって、母親・父親という新たな役割を担って約 2
年が経った。そのような変化の中、夫婦のお互いへの愛情の変化、家事・育児の分担、共働
き夫婦の仕事と育児の両立など、夫婦の関係性の様相や相互の助け合いをみていきたい。
●
●
● 夫婦関係の変化
初めての子どもが 1 歳後半となり、子どもが家族に加わった生活を培っていく中、夫婦関係は
どのように変化しているだろうか。
1 歳児期のフォローアップ調査でも、夫婦関係については、妊娠期から同じ14項目を「あては
まる」から「あてはまらない」の 5 つの選択肢できき、妊娠期から 0 歳児期、 1 歳児期での変化
をみた。
妻・夫ともに、総じて「あてはまる」の回答割合は 0 歳児期に比べて下降している項目が多い
が、妊娠期から 0 歳児期での下降に比べると、その変化はゆるやかである(図 3 − 1 、図 3 − 2 )
。
妻・夫ともに、 0 歳児期からの下げ幅がもっとも大きいものは、「配偶者といると本当に愛して
いると実感する」であった。「あてはまる」の回答割合で、妻は44.7%から35.7%へ9.0ポイント、
夫は64.3%から54.7%ヘ9.6ポイント下がった。妻は、妊娠期には74.8%が「あてはまる」と回答
していたが、 1 歳児期になると、その割合は 4 割に満たない。次に下げ幅が大きいものは、「私
の配偶者は、私の仕事、家事、子育てをよくねぎらってくれる」で、妻は50.3%から41.6%へ8.7
ポイント、夫は55.9%から48.1%ヘ7.8ポイント低下した。
初めての子どもが生まれ、 1 歳児へと成長する間に、夫婦のお互いへの愛情が低下していくの
はなぜか。また、仕事や育児、家事をお互いにねぎらうことも減っていくのはなぜか。
●
●
● 妻の夫への愛情の変化に影響する要因
妊娠期から 0 歳児期を経て 1 歳児期へと経過する中で、妻において、もっとも夫婦関係で変化
があった「配偶者といると本当に愛していると実感する」について、何が妻の愛情の低下に関係
があるかをみてみたい。
まず、同じく下げ幅の大きかった「私の配偶者は、私の仕事、家事、子育てをよくねぎらって
くれる」という設問との関係をみてみると、夫からのねぎらいが多い群(「あてはまる」+「や
やあてはまる」)は、少ない群(「どちらともいえない」+「あまりあてはまらない」+「あては
まらない」
)より、夫への愛情を実感すると回答した割合が36.0ポイント高かった(図 3 − 3 、「あ
てはまる」+「ややあてはまる」で比較)
。
― 36 ―
― 37 ―
送私
っと
て配
い偶
る者
とは
思幸
うせ
な
結
婚
生
活
を
54.0
60.9
79.8
実配
感偶
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い
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と
本
当
に
愛
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と
35.7
44.7
74.8
注)「あてはまる」の%。
0
20
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80
(%)
100
時私
間の
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しは
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積起私
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う抵庭
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くに題
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るし
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よ私
くの
耳配
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傾者
けは
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く私
れの
る悩
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や
不
満
に
46.3
43.5
57.1 55.6
57.1
56.5
54.0
53.1 53.1
︵
﹁子私
あ育の
りて配
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とよ者
うくは
﹂ね、
とぎ私
言らの
うっ仕
、て事
なく、
どれ家
︶る事
、
41.6
50.3
62.4
図 3 − 1 夫婦関係(妊娠期妻・0 歳児期妻・1 歳児期妻)
24.8
よ私
くは
耳、
を配
傾偶
け者
ての
い悩
るみ
や
不
満
に
22.4
37.3
言よ私
うくは
、ね、
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︶っ者
ての
い仕
る事
︵
﹁、
あ家
り事
が、
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う育
﹂て
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36.6 36.0
53.1
よど私
くうと
話育配
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るい○
てち
ゃ
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を
44.743.2
38.8
よお私
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話伝配
しい偶
合を者
っ頼は
てめ、
いる○
る人○
やち
場ゃ
所ん
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つ子
い育
てて
の
23.6
20.5 20.5
■
第
3
章
1
歳
児
を
持
つ
夫
婦
の
関
係
をお私
よ互と
くい配
話の偶
しこ者
てとは
い︵子
る仕育
事て
や以
趣外
味の
な
ど
︶
32.0 32.3
53.7
分私
担と
に配
関偶
し者
ては
お、
互子
い育
にて
助や
け家
合事
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49.1
43.2
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、
23.6 24.8
29.2
強今○
くの○
なほち
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たがん
私が
の生
配ま
偶れ
者る
へ前
のよ
愛り
情、
は
20.5
17.1
27.6
1 歳児期妻
妊娠期妻
0 歳児期妻
次に、「私と配偶者は、子育てや家事などの分担に関してお互いに助け合っている」という設
問との関係をみてみると、助け合いの高い群(「あてはまる」+「ややあてはまる」)は、助け合
いの低い群(「どちらともいえない」+「あまりあてはまらない」+「あてはまらない」)より、
夫への愛情を実感する割合が21.2ポイント高かった(図 3 − 4 、「あてはまる」+「ややあてはま
る」で比較)。夫の育児への取り組みの実態との関係もみるため、家事・育児の実態についての
質問から、「○○ちゃんと遊ぶ」「○○ちゃんのおむつ替え・トイレ」「○○ちゃんを寝かしつけ
る」
「○○ちゃんがぐずったとき、落ち着かせる」
「○○ちゃんが悪いことをしたとき、注意する」
という育児に関する 5 項目について取り組む頻度を得点化し、育児頻度得点が高い群と低い群に
分けた上で、対応する妻の夫への愛情と、夫からのねぎらいを受けているかをみた(図 3 − 5 )。
夫の育児頻度得点が高い妻の群では、「配偶者といると本当に愛していると実感する」に「あて
はまる」と回答した割合は42.7%であったが、低い群では29.2%であった。「私の配偶者は、私の
仕事、家事、子育てをよくねぎらってくれる」については、夫の育児頻度得点が高い妻の群では、
48.4%が「あてはまる」と回答したが、低い群では34.2%であった。夫自身が育児に取り組むこ
とで、妻の苦労もより実感し、妻へのねぎらいの気持ちも生まれるのであろうか。
●
●
● 家事・育児の分担
まず、子どもが 0 歳児期と 1 歳児期の育児について、妻のデータで変化をみてみたい。本調査
では、家事についての 3 項目(洗濯、掃除、炊事)と育児についての 4 項目(○○ちゃんと遊ぶ、
おむつ替え・トイレ、寝かしつけ、ぐずったとき落ち着かせる)について、 0 歳児期と 1 歳児期
で、その頻度と大変さについてきいた。頻度は、家事・育児とも、 0 歳児期とほとんど変化はな
かった。育児項目について、大変さ(「とても大変である」+「やや大変である」)について比較
すると、子どもが 1 歳になって大変さが減ったものは、「○○ちゃんのおむつ替え・トイレ」( 0
歳児期20.5%、 1 歳児期15.8%)と「○○ちゃんを寝かしつける」( 0 歳児期42.5%、 1 歳児期
31.7%)であった(図 3 − 6 )。子どもが 1 歳になって大変さが増えたものは、
「○○ちゃんと遊
ぶ」( 0 歳児期15.8%、 1 歳児期27.0%)と「○○ちゃんがぐずったとき、落ち着かせる」( 0 歳
児期37.5%、 1 歳児期42.2%)であった。また、 1 歳児期のみの設問で「○○ちゃんが悪いこと
をしたとき、注意する」は、約 4 割の妻が大変だと感じている。子どもが 1 歳になり、歩くよう
になって活動範囲が広がり、言葉も発達し、自我も芽生え、母親への子どもの要求も多くなって
くる。そんな子どもの成長に伴って、母親が大変だと感じる内容が変わってくるようである。
夫の家事・育児の実態をみると、家事については、総じて「ほとんどしない」という回答が多
い(「洗濯」61.2%、「掃除」50.3%、「炊事」33.5%)(図 3 − 7 )。家事を行う場合でも、頻度は
「週に 1 ∼ 2 回する」程度が多い(「洗濯」24.8%、「掃除」43.8%、「炊事」35.1%)。おそらく仕
事に追われ、家事は定休日や週末などに行っているのだろう。 育児については、「○○ちゃんと
遊ぶ」と「おむつ替え・トイレ」については、「ほとんど毎日する」という回答がもっとも多い
(「○○ちゃんと遊ぶ」41.9%、「おむつ替え・トイレ」31.1%)が、「○○ちゃんを寝かしつける」
や「○○ちゃんがぐずったとき、落ち着かせる」は、家事同様、「週に 1 ∼ 2 回する」や「ほと
んどしない」が多くなっている。子どもと遊ぶことやおむつ替えなどは、朝や仕事から帰った後、
短時間でも取り組めることであるが、寝かしつけのように、仕事からの帰宅が遅いと取り組みに
― 38 ―
― 39 ―
送私
っと
て配
い偶
る者
とは
思幸
うせ
な
結
婚
生
活
を
64.3
60.2
79.2
実配
感偶
す者
ると
い
る
と
本
当
に
愛
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と
時私
間の
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力者
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作族
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積起私
極この
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解と者
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く私
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る悩
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や
不
満
に
59.0
57.8
54.7 54.3 54.0 54.0 56.2 53.4
47.5
41.9
64.3
74.5
注)
「あてはまる」の%。
0
20
40
60
80
(%)
100
︵
﹁子私
あ育の
りて配
がを偶
とよ者
うくは
﹂ね、
とぎ私
言らの
うっ仕
、て事
なく、
どれ家
︶る事
、
48.1
55.9
64.3
図 3 − 2 夫婦関係(妊娠期夫・0 歳児期夫・1 歳児期夫)
よ私
くは
耳、
を配
傾偶
け者
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い悩
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不
満
に
29.5
25.8
36.6
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うくは
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り事
が、
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う育
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よど私
くうと
話育配
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っかは
てに、
いつ○
るい○
てち
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ん
を
42.2
41.9 40.4 41.0
37.3
35.1
よお私
く手と
話伝配
しい偶
合を者
っ頼は
てめ、
いる○
る人○
やち
場ゃ
所ん
にの
つ子
い育
てて
の
15.5
22.0 21.4
をお私
よ互と
くい配
話の偶
しこ者
てとは
い︵子
る仕育
事て
や以
趣外
味の
な
ど
︶
24.5
30.4
51.9
■
第
3
章
1
歳
児
を
持
つ
夫
婦
の
関
係
私○
と○
配ち
偶ゃ
者ん
のが
関生
係ま
はれ
よる
く前
なと
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、
27.3 26.1 26.4
33.2
分私
担と
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にて
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30.1
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くの○
なほち
っうゃ
たがん
私が
の生
配ま
偶れ
者る
へ前
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愛り
情、
は
30.7
27.0 27.6
1 歳児期夫
妊娠期夫
0 歳児期夫
図 3 − 3 配偶者といると本当に愛していると実感する
(1歳児期妻、夫からのねぎらいが多い・少ない群別)
あてはまる
ややあてはまる
(%)
夫からのねぎらいが多い群 (223人)
47.1
夫からのねぎらいが少ない群(98人)
10.2
39.9
40.8
注)夫からのねぎらいが多い群=妻の「私の配偶者は、私の仕事、家事、子育てをよくねぎらってくれる」で、
「あてはまる」+「や
やあてはまる」と回答した人。
夫からのねぎらいが少ない群=妻の「私の配偶者は、私の仕事、家事、子育てをよくねぎらってくれる」で、「どちらともいえ
ない」+「あまりあてはまらない」+「あてはまらない」と回答した人。
図 3 − 4 配偶者といると本当に愛していると実感する(1歳児期妻、妻・助け合い高・低群別)
あてはまる
ややあてはまる
(%)
妻・助け合い高群(238人)
41.2
妻・助け合い低群 (83人)
20.5
40.3
39.8
注)妻・助け合い高群=妻の「私と配偶者は、子育てや家事などの分担に関してお互いに助け合っている」で、
「あてはまる」+「ややあてはまる」と回答した人。
妻・助け合い低群=妻の「私と配偶者は、子育てや家事などの分担に関してお互いに助け合っている」で、
「どちらともいえない」+「あまりあてはまらない」+「あてはまらない」と回答した人。
図 3 − 5 夫の育児への取り組みと妻の夫への愛情・夫からのねぎらい
(1歳児期妻、夫の育児頻度得点が高い・低い群別)
あてはまる
ややあてはまる
(%)
配偶者といると
本当に愛している
と実感する
私の配偶者は、
私の仕事、家事、
子育てをよく
ねぎらってくれる
夫の育児頻度得点が高い
妻の群 (157人)
42.7
夫の育児頻度得点が低い
妻の群 (161人)
29.2
夫の育児頻度得点が高い
妻の群 (157人)
夫の育児頻度得点が低い
妻の群 (161人)
38.9
41.0
48.4
29.3
34.2 26.1
注)夫の育児への取り組み(遊ぶ、おむつ替え・トイレ、寝かしつけ、ぐずったときの落ち着かせ、悪いことをしたときの注意)の頻度を
得点化し、育児頻度得点の高い群と低い群に分けた上で、対応する妻の「配偶者といると本当に愛していると実感する」と「私の配偶者
は、私の仕事、家事、子育てをよくねぎらってくれる」についての割合を出した。
― 40 ―
図 3 − 6 家事・育児の大変さ(0 歳児期妻・1 歳児期妻)
とても大変である
やや大変である
○○ちゃんの
おむつ替え・トイレ
○○ちゃんを
寝かしつける
無答不明
どちらともいえない
あまり大変ではない
まったく大変ではない
1.9
18.6 12.7
1.9
1 歳児期妻
13.0 13.7 40.4 30.1
2.8
0.0
0 歳児期妻
9.0 33.5 16.5 1.2
1 歳児期妻
9.3 22.4 16.1
0 歳児期妻
14.6 13.7 41.9 27.0
1.6
1 歳児期妻
1.2
22.7 20.2 37.3 15.5
0.0
○○ちゃんと遊ぶ
36.0
(%)
0 歳児期妻
28.9
25.5 14.3
32.0
19.6
0.6
4.3
0 歳児期妻
9.9 27.6 19.6 26.4 14.6
1.9
1 歳児期妻
9.9 32.3 17.7 28.0 12.1
0.0
○○ちゃんが
悪いことをしたとき、 1 歳児期妻
注意する*
9.6 30.1 24.8 23.3 11.8
0.3
○○ちゃんが
ぐずったとき、
落ち着かせる
注)*は 1 歳児期のみの設問。
図 3 − 7 家事・育児の頻度(1 歳児期夫)
ほとんどしない
ほとんど毎日する
週に 3 ∼ 5 回する
無答不明
週に 1 ∼ 2 回する
(%)
洗濯
61.2 24.8 7.1 6.8
掃除
50.3 43.8
4.0
0.0
0.0
1.9
炊事(食事の用意・片付け)
33.5 35.1 17.4 13.0
0.9
○○ちゃんと遊ぶ
28.6 27.6 41.9
1.9
0.0
○○ちゃんのおむつ替え・トイレ
11.2 28.9 28.6 31.1
0.3
○○ちゃんを寝かしつける
46.6 25.5 15.5 11.8
0.6
○○ちゃんがぐずったとき、
落ち着かせる
18.0 47.8 22.4 11.5
0.3
○○ちゃんが悪いことをしたとき、 9.9 39.8 28.0 22.4
注意する
― 41 ―
0.0
■
第
3
章
1
歳
児
を
持
つ
夫
婦
の
関
係
くいことは、頻度が下がっている。妻が、仕事で疲れた夫に頼むのを遠慮しているということも
あろう。
妻との家事・育児の分担状況について、夫のデータで、「私と配偶者は、子育てや家事などの
分担に関してお互いに助け合っている」の設問に対する回答によって、助け合いの高い群(「あ
てはまる」+「ややあてはまる」)と助け合いの低い群(「どちらともいえない」+「あまりあて
はまらない」+「あてはまらない」
)に分け、家事・育児の取り組み状況を比べてみた(図 3 − 8 )
。
その結果、夫の自己評価ではあるが、家事・育児項目いずれも、助け合いの高い群のほうが、取
り組む頻度が高い。仕事が休みの日はパパが担当、というように、夫婦の間で取り決めがされて
いるのだろうか。
― 42 ―
図 3 − 8 家事・育児の頻度(1 歳児期夫、夫・助け合い高・低群別)
ほとんど毎日する
週に 3 ∼ 5 回する
週に 1 ∼ 2 回する
ほとんどしない
無答
不明
(%)
夫・助け合い高群 51.4
31.0 9.0 8.6
0.0
洗濯
夫・助け合い低群 80.0 12.7
0.0
3.6
夫・助け合い高群 41.4
3.6
0.0
51.0
掃除
5.2
夫・助け合い低群 67.3
2.4
0.0
30.0
1.8
0.9
夫・助け合い高群 24.8 35.2 21.9 18.1
0.0
炊事
(食事の用意・片付け)
夫・助け合い低群 50.0 35.5 8.2
2.7
3.6
0.0
夫・助け合い高群 21.4 26.2 51.4
○○ちゃんと遊ぶ
1.0
夫・助け合い低群 42.7 30.9 22.7
0.0
3.6
夫・助け合い高群 6.2 25.2 31.0 37.1
0.5
夫・助け合い低群 20.0 36.4 0.0
○○ちゃんの
おむつ替え・トイレ
24.5 19.1
夫・助け合い高群 38.1 30.5 17.1 13.8
0.5
夫・助け合い低群 63.6 16.4 11.8 7.3
0.9
夫・助け合い高群 13.8 0.5
○○ちゃんを
寝かしつける
○○ちゃんがぐずった
とき、落ち着かせる
45.7 26.2 13.8
夫・助け合い低群 26.4 52.7 15.5
5.5 0.0
夫・助け合い高群 7.1 35.7 33.3 23.8
0.0
夫・助け合い低群 15.5 48.2
0.0
○○ちゃんが悪いこと
をしたとき、注意する
18.2 18.2
注)夫・助け合い高群(210 人)=夫の「私と配偶者は、子育てや家事などの分担に関してお互いに助け合っている」で、「あてはまる」+
「ややあてはまる」と回答した人。
夫・助け合い低群(110 人)=夫の「私と配偶者は、子育てや家事などの分担に関してお互いに助け合っている」で、「どちらともいえ
ない」+「あまりあてはまらない」+「あてはまらない」と回答した人。
― 43 ―
■
第
3
章
1
歳
児
を
持
つ
夫
婦
の
関
係
●
●
● 妻の就業
本調査では、妻を対象に、妊娠期からの就業状況の変遷を追っている。現在、仕事を持ってい
るかどうかを妻にきいたところ、 1 歳児期では30.7%が仕事を持っていた(図 3 − 9 )。 0 歳児期
では仕事を持っている妻は16.5%だったが、1 歳児期になって妻の就業率は妊娠期の32.6%とほぼ
同じ割合に回復した。
○○ちゃんの妊娠・出産と就業状況を追ってみると、現在、仕事を持っている妻の67.0%は、
○○ちゃんの妊娠を機に仕事を「やめなかった」と回答している(図 3 − 10)。出産後、新たな
仕事を始めるというより、産休・育児休業などを経て復職をした妻が多いと推測される。
女性と仕事についての考えをきいた設問では、現在仕事を持つ妻の46.5%が「結婚して子ども
が生まれてもずっと仕事を持ち続けるのがよい」(就業継続志向)と回答している(図 3 − 11)。
次に多いのは「仕事は持つが、結婚して子どもが生まれたら一時やめて、子どもが大きくなった
らまた仕事を持つのがよい」という再就職志向で、44.4%であった。対して、現在仕事を持たな
い妻は、77.3%が再就職志向の回答で、就業継続志向はわずか10.5%であった。 夫にも女性と仕
事についての考え方をきいたが、仕事を持つ妻の夫は、女性と仕事についての就業継続志向は
34.3%いたが、再就職志向がもっとも多く50.5%であった。仕事を持たない妻の夫の場合は、再
就職志向が63.2%で、就業継続志向はわずか5.0%であった。仕事を持たない妻の夫は、「仕事は
持つが、結婚して子どもが生まれたらやめるのがよい」という考え方の人も10.0%おり、再就職
志向と合わせると 7 割以上が、子どもが生まれたら女性が仕事をやめることを望んでいる。妻が
妊娠・出産を機に仕事をやめるのは、夫からの要望も影響しているのかもしれない。
●
●
● 仕事と育児の両立の助け合い
現在仕事を持っている妻・夫に、子どもの病気などが原因で会社を休んだり、遅刻・早退した
りしたことがあるかどうかをきいた。図 3 − 12は、仕事を持つ妻と、その夫でその頻度をみたも
のである。妻の 4 人に 1 人が、「月に 1 ∼ 2 回程度ある」(28.3%)か「 2 ∼ 3 か月に 1 回程度あ
る」(26.3%)と回答している。子どもを保育園などに預けるとすると、特に入園当初は頻繁に、
また突然に熱を出したりすることがある。もし月に 2 日仕事を休むと、年間では子どもの病気の
ために20日以上休まねばならないことになる。改正育児・介護休業法では、未就学児が 2 人以上
いる場合は、保護者は年間10日まで看護休暇がとれることになるが(現在は子どもの数にかかわ
らず 5 日まで)、その早い施行と定着が望まれる。妻が仕事を持っている夫の場合、「 2 ∼ 3 か月
に 1 回程度ある」と回答した夫は20.4%いるが、「月に 1 ∼ 2 回程度ある」はわずか8.2%で、「ほ
とんどない」が31.6%、「まったくない」が24.5%もいる。共働きの夫婦であっても、子どもが病
気などの時の対応や看病は、妻などにゆだねる夫が多い実態がうかがわれる。
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図 3 − 9 妻の就業状況(妊娠期妻・0 歳児期妻・1 歳児期妻)
(現在、仕事を)持っている
持っていない
無答不明
(%)
妊娠期妻
32.6
0 歳児期妻
66.5
16.5
0.9
82.3
1 歳児期妻
30.7
1.2
0.9
68.3
図 3 − 10 妊娠・出産を機に仕事をやめたか(1 歳児期妻)
やめた
やめなかった
■
無答不明
第
3
章
1
歳
児
を
持
つ
夫
婦
の
関
係
(%)
30.8
2.2
67.0
注)○○ちゃんの妊娠がわかった時点で仕事を持っていたと回答した235人のうち、現在仕事を持っている91人に
ついての割合。
図 3 − 11 女性と仕事についての考え方(1 歳児期妻・夫、妻の仕事の有無別)
仕事はずっと持たないほうがよい
結婚しないで、ずっと
仕事を持ち続けるのが
よい
仕事は持つが、結婚したらやめるのがよい
仕事は持つが、結婚して子どもが生まれたら
一時やめて、子どもが大きくなったら
また仕事を持つのがよい
その他
無答
不明
結婚して子どもが生まれても
ずっと仕事を持ち続けるのがよい
(%)
仕事を持つ妻(99人) 0.0
1.0
44.4
4.0 1.0
46.5
2.0
仕事を持たない妻
(220人)
0.9
1.0
5.0
77.3
仕事を持つ妻の夫
(99人)
5.1
2.0
1.0
仕事を持たない
4.1
妻の夫 (220人)
2.3
0.5
10.5
2.3
0.5
50.5
34.3
3.2
1.0
6.1
0.0
10.0
63.2
5.0
仕事は持つが、結婚して子どもが生まれたらやめるのがよい
15.5
0.0
0.0
図 3 − 12 子どもの病気などによる欠勤、遅刻・早退(1 歳児期妻・夫)
毎週ある
仕事を持つ妻(99人)
月に 1 ∼ 2 回
程度ある
28.3
2 ∼ 3 か月に
1 回程度ある
半年に 1 回程度ある
ほとんどない まったくない
無答不明
(%)
26.3 5.1 10.1 17.2 11.1
2.0
仕事を持つ妻の夫
8.2
(98人)
20.4 11.2 31.6
24.5 4.1
0.0
注)仕事を持つ妻の夫99人のうち、現在仕事を持っている98人についての割合。
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