P OSEU L C 岩手よ もっと 2009 鍛えられ、 たくましくなった1年 危機感を共有し、 気持ちを一つに 株式会社エヅリコエンジニアリング 滝田 麻美さん 展開グループ 株式会社三和ドレス 工藤 由美子さん ジャケット班班長 昨年12月で入社丸2年を迎えました。入社半年後にCADシス テムで設計を行う展開グループに配属され、まったく初めての 経験のため、基礎の基礎から上司に教わってきました。おかげ さまで昨年2月からは、本格的な展開作業も任されるようになり ましたが、まだまだ覚えなければならないことがたくさんあり ます。 私の仕事は、現場で一番最初の工程になります。私がミスを すれば、検査の段階まで行った製品が、また元に戻ってきてし まいます。当初は、 私のミスでみんなに迷惑をかけたこともあり、 重い責任を感じ、すごくつらかったこともありました。でも、 上司の方をはじめ、みんなに励まされ、支えられてきました。 最近は複雑なものにも挑戦させていただき、難しいものが完成 した時には喜びと共に充実感を感じています。 弊社は若い人にどんどんチャンスを与え、大切に育ててくれ る会社です。私も日々、勉強の毎日です。自分の成長につなが ることなので、勉強もすごく楽しく感じています。今年もさら に成長できるように頑張ります。 昨年の景気悪化の影響は、百貨店の売上げ減少につながり、 高級ブランドの婦人フォーマルウエア作りを柱にしている弊社 も、小ロット生産を余儀なくされております。しかしながら、経 営幹部のみなさんのご努力のおかげで、人員削減などの厳しい 状況には至っておりません。私たち現場としては、あらゆる無駄 を無くし、これまで以上に生産効率が上がるように努めていると ころです。 アパレル業界だけでなく、あらゆる業界が危機感を感じてい るのが、今の日本の現状です。私たちもその危機感を共有し、 「私 ひとりくらいは、今のままでいいや」という気持ちではなく、 「こ んな時だからこそ全員が心を一つにして」という自覚を持ち、危 機を乗り切っていくことが大事だと考えています。 弊社には技能五輪で優秀な成績をおさめてきた実績がありま す。どこにも負けない高い技術力と高い意識が継承されておりま す。2009年も、全社員がその誇りを忘れず、高い付加価値を 持った製品作りに一生懸命取り組んでいけば、明るい1年になる と思っております。 ■株式会社エヅリコエンジニアリング 菊池公二郎社長/北上市 工作機械のカバーの設計・製作など ■株式会社三和ドレス 大沢孫蔵社長/二戸市 世界的ブランドを含む高級婦人服、スーツなどを生産 今年は新工房建設と 新製品発表に集中 自ら営業に出て、 チャンスをつかみ取る 株式会社サーガ 佐々木 知子さん 取締役 弊社の「我杯(ワガハイ) 」は、使う人の握り型をそのまま彫り 込んだ木製の杯です。山桜など岩手の素材を、コンピューター のテクノロジーを使って削り上げ、漆を塗り、底材に南部鉄器を 用いたもので、岩手の伝統的な技術と素材を生かし、新しい発 想で製品化しました。会社設立2年目の2007年には、 「我杯」 で『いわてビジネスプラングランプリ』を受賞。08年は東京ビ ッグサイトのギフトショーに単独出展し、 「新しい付加価値を探 していた」という関東、関西方面の方々にも注目されました。し かし、全てが順調だったわけではありません。 長い伝統を持つ、いわば職人の世界に生きてきた方々にとっ て、IT分野から進出した私たちは新参者でした。 「岩手の伝統産業を新発想で盛り上げたい」という私たちの思 いがなかなか伝わらず、創業の難しさと「ベンチャー心」という 概念を体感した1年でした。 09年は、夏過ぎに田沢湖畔に新工房を建設する予定で、規模 が5倍になります。新製品も3つ出します。大変ですが、思い出 に残る年にしたいと思っています。 ■株式会社サーガ 高橋和良社長/盛岡市 地場産業とIT技術の融合でユニークな把持体製品などを製作 株式会社岩本電機 松村 佑介さん 製造課主任 世界的な景気減速は、私たちハーネス部品を製造している業 界にも影響を与えています。弊社は、温度センサー関係、モー ター関係、冷蔵庫関係、自動車関係と大きな柱が4つあることで、 リスクが分散されています。不況の影響も「原則として残業はし ない」という程度ですが、柱が一つしかない会社では倒れるとこ ろも増えてきています。弊社にも最近、いきなり新規の仕事が 飛び込んできました。 私はこれまで社内での仕事が多かったのですが、最近は営業 もやらせていただくようになりました。営業に関しては右も左も 分からない状態ですが、会社・大学の先輩である社長を見習い、 日々頑張っております。ピンチはチャンス。営業を頑張り、ここ を耐えきれば、 多くの仕事を受注できる大きなチャンスが開ける。 これが、営業をやるようになっての私の実感です。言葉は悪いよ うですが「根こそぎ仕事を取ってやろう」という意気込みでいま す。そしてこのチャンスを確実につかみ取っていくには、納期を 確実守ることは当然で、さらにそれを超えるスピードが大事だと 思っています。 ■株式会社岩本電機 岩本明佳社長/洋野町 OA機器・通信機器・家電・自動車部品のハーネス部品製造など と 元気になれ! ! 先の見えない不況。 そんな中でも「これを自己改革のきっかけに」 「ピンチこそチャンス」と前向きに捉えている人も多い。 各企業の若手リーダーに、その声を聞いた。 独自技術開発に挑戦し、 さらに強い企業に 有限会社ジーエフ・トップ 村上 大悟さん 第2製造課係長 ニーズとトレンドを、 敏感に捉えて 銀河フードサービス「小十郎グリル」銀河モール花巻店 村田 麻美子さん ホール主任 昨年は展示会、工場見学、講習会、講演会と外に出してもら う機会をたくさんいただき、自社以外の状況を知ることができま した。それにより勉強になったこと、自信を持てたこと、考えさ せられることがあり中身の濃い充実した1年でした。 特に印象に残っているのは、世界でもトップレベルにある、某 金属加工機械メーカーの工場を訪問したときのことです。工場の 規模や管理体制を始め、すべてに驚くことばかりでした。なかで も感心したのは、モノがうまく流れるように、すごく工程が整理 されていることでした。それは、生産性向上のさまざまなことに つながる基本ですので、すぐに取り入れていきたいと思いました。 また、他社にない独自の技術を持っており、 「こういう企業は 強いなぁ」とあらためて感じました。 私どもの業界も不況の波をかぶっております。しかし、減産 等で生じた余力を、独自技術を開発する力にシフトするなど、マ イナスをプラスに転じる好機と捉え、あらゆる事に挑戦していく ことが大事だと考えています。 地域最大級の大型商業施設として話題を呼んだ「銀河モール花 巻」 のオープンは昨年4月。弊店も施設オープンと同時に入店し、 昔なつかしい洋食メニューと、創作料理的な洋風和食を中心に 運営をスタートさせました。開店直後に大型連休があり、夏休み、 お盆と、お客様の来店は好調に推移しました。秋に少し落ち着い た時期がありましたが、12月に入り再び盛り返しました。 ふり返ると、昨年は新しいデータの収集とノウハウの蓄積が できた年でした。弊社は「小十郎グリル」等の展開のために新し く設立された会社で、銀河モール花巻店は1号店。何もかもが初 めての経験でした。メニューも当初の頃より、洋食の定番やパス タ、ピザなどがよく出ることが分かり、12月には種類を増やし ました。 今年は、昨年のデータを分析し、これまで以上にお客様のご 要望をスタッフ全員で感じ取り、またトレンドも敏感に感じ取っ て、お客様のニーズを捉えたメニュー構成で、たくさんのお客 様によろこんでいただきたいと思っています。 ■有限会社ジーエフ・トップ 後藤辰男社長/金ケ崎町 各種精密金型の部品製作・製造など ■株式会社銀河フードサービス 佐々木村雄社長/花巻市 「小十郎グリル」などの事業展開のために昨年設立 経験を重ね、 マシニングを自分のものに 自分の視点で 考古学の魅力を開く 株式会社小林機械 株式会社ラング 瀬川 翔太さん 北田 暁香さん 製造課 2007年3月に入社し、製造課で半導体製造装置などの部品製 造に携わってきました。ずっと手動の工作機械を担当していたの ですが、昨年2月から大型のマシニングセンタの操作を任される ようになりました。最初は 「難しそうだな、 自分にできるだろうか」 と不安になったこともありましたが、先輩に教えていただきなが ら取り組んできました。同期や近い先輩の方々とも、いろんな経 験を話し合いながら、互いに高め合っています。 先輩の指導を受けるたびに、 「ものづくりは、やはり経験が大 事だな」と、つくづく感じています。工作機械は進歩し、プログ ラミングを正確に打ち込めば、あとは機械が自動的に作業をやっ てくれる時代になっています。 しかし、高い品質を維持していくためには作り手の感性や経 験も大事だという気がしています。刃物の回転数をどうするかと か、材質の特徴などについて、マニュアルだけでなく、先輩の経 験を聞いたり、いろいろ確認をするように心掛けています。今年 はさらに経験を積み、機械を完全に自分のものにしていきたいと 思っています。 弊社は、地形情報処理技術を応用した独自の「ラングシステム」 を開発し、 考古遺物(石器、 土器など)の形状計測や図化の省力化、 高精度化を実現しています。私は2008年1月に入社し、コンピ ューターの知識やオペレーター業務の経験も何もないままに、今 の業務にたずさわるようになりました。学生時代に芸術を勉強し て、絵を描くことは経験していても、考古学の分野に触れるのは 初めて。最初はわからないことが多かったのですが、しだいに考 古学への興味も開かれ、その魅力も少しずつわかってきたよう な気がしています。以前は水晶のような石が魅力的かなと思って いたのですが、今は何万年も前の人の手が加えられた石に「理由 があってこの形があるんだ」と魅力を感じています。この1年で 道端にある石の見方も変わりました。 弊社はまだ若い会社です。経営側との垣根も低く、何でも気 兼ね無く話ができ、現場のアイデアもどんどん聞いていただける 環境にあります。今年は自分自身の視点でも、考古学にかかわっ ていければと思っています。 ■株式会社小林機械 小林康行社長/奥州市 半導体・液晶部品製造装置組立、自動車金型部品製造など ■株式会社ラング 横山真社長/盛岡市 情報処理技術と考古学を結びつけた文化財アーカイブ事業など
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