「平和とは人の痛みがわかる心をもつこと」 校長 清水 憲雄

明るく爽やかな付知中学校
中津川市立付知中学校
学校だより
平成26年7月1日
「平和とは人の痛みがわかる心をもつこと」
校長
清水
憲雄
すでに一ヶ月ほど前になりますが、6月4日(水)~6日(金)3年生が長崎研修に出
かけ、私も同行しました。朝4時30分出発というまだ夜も明けきらないうちからの旅立
ちでした。セントレアから福岡へ、そして長崎へ。飛行機とバスを乗り継いでお昼には長
崎平和公園に到着しました。平和公園や爆心地、原爆資料館等、長崎に投下された原爆の
威力と恐ろしさを目の当たりにしながらの見学でした。
原爆資料館では、被爆者である下平作江さん(79歳)の被爆体験談をお聞きしました。
1時間ほどの講演であり、とつとつと話しをされましたが、それはそれは悲惨な体験談で
した。私もそれまで、本やテレビ等で見たり聞いたりはしていましたが、被爆体験者から
直接話しを聞くことは初めてでした。
戦時中の生活の様子から始まり、現在に至るまで
の体験談をお聞きしました。当時まだ6才でありな
がら、妹さんと二人で無数の死体やもだえ苦しむ人
々のあふれる原爆直後の町をさまよい、奇跡的に助
かった経緯を話していただきました。幼い二人には、
さらにその後の生活も決して平穏なものではありま
せんでした。原爆の後遺症や飢えに耐えきれず、妹さんは汽車に飛び込み自ら命を絶ちま
した。ひとりぼっちになった下平さんも何度も自らの命を絶とうと思いました。それでも、
家族を弔い、生かされている命を大切にし、この戦争の悲惨さを後世に伝えようと生きて
みえました。これまでも世界各地を飛び回り、伝え続けてみえます。そんな下平さんも、
79歳になられる今なお原爆の後遺症に苦しみ、手術を繰り返されています。今後こうし
た経験談をどれだけ話ができるのかもわからないそうです。
お話の終わりに、「過去に目をつむるのは、未来へ
原爆死没者平和祈念館
盲目である」と体験談を伝える意義を述べ、若い生徒
追悼合唱「ふるさと」
達に戦争のない平和で素晴らしい世界をつくっていっ
てほしいと、未来を託されました。そして「平和とは
人の痛みがわかる心をもつこと」と語られ、平和を築
いていくことは、決して難しいことではなく、私達一
人一人が周りを気遣う心をもつことであると教えてい
ただきました。生徒は、この言葉の重さを受け止め、
自分自身の生きる標とすることができました。
一行詩「長崎研修よ」では、次のような詩にあふれていました。
・過去を見て下さい。過去から学んで下さい。私は決めた。同じ過ちを繰り返さないと。
(1組伊藤菜穂)
・長崎に行って「人の痛みがわかる心」をもっていることが平和だとわかった。だから私
からその心を持てるようにして、少しずつ平和を広めていく。(1組原美結)
・長崎で学んだ「平和」を考えて これからの未来を歩んでいきたい。(2組原優樂)
・本物の平和をつくるために 身近なところから平和にしていく。(2組小南颯汰)等々
行事・各学年の研修の様子等、付知中学校ホームページに、随時アップしています。