法社会学(吉岡すずか)

法社会学(吉岡すずか)
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2、3年前期
選択必修
2単位
15回
科目内容・目標
法社会学は、社会に存在する「法」のさまざまな現象を対象とし、それらを経験科学の方法によって観察し、事
実の説明を行おうとする学問です。
本講義では、わが国の法社会学における主要なテーマを中心に、具体的事例やデータにもとづき、「法」現象
を理解することを目的とします。また、近年、関心が集まっているテーマもとりあげ、「法」に関するさまざまな現象
がいかに存在し、動態的であるかにふれていただきます。
講義を通じて、「法」を観察し、そこにある問題を考察する視角を養うことを目標とします。
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授業の基本方針
主として、講義形式で行います。必要に応じて、具体的な問題を設定し、考察する機会をもうけます。
質問や活発な対話が生まれることを歓迎します。
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成績評価
試験(40%)、平常点(授業内の質問や発言 20%)、期末レポート(40%)。
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教材
[教科書]
宮澤節生・武蔵勝宏・上石圭一・大塚浩『ブリッジブック法システム入門〔第 2 版〕』(信山社、2011 年)
講義のレジュメを毎回配布する予定です。
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授業計画
第 1 回 イントロダクション
講義の概要を説明します。法社会学の歴史を概観した上で、扱う対象と方法を学びます。
第 2 回 法・紛争とはなにか
社会における「法」、トラブルや紛争とは、どういったものなのか、法社会学の視角を学びます。
第 3 回 裁判過程
わが国における訴訟利用について、具体的なデータに依拠しながら、理解を深めます。
第 4 回 立法・行政過程
立法過程、行政過程における法社会学の重要な問題をとりあげ、学習します。
第 5 回 法使用・自主的解決・ADR
紛争における法使用行動について、学習します。また、ADR、調停等について、理解を深めます。
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第 6 回 刑事司法・裁判員裁判
刑事司法過程、裁判員裁判における法社会学の主要な問題をとりあげ、学習します。
第 7 回 裁判官・検察官、法曹人口・養成問題
諸外国との比較において、わが国の法曹の特徴を概観します。そして、法曹人口と法曹養成に関する問題の
背景を探ります。
第 8 回 弁護士の実勢、職域と活動
わが国の弁護士の実勢、伝統的なプラクティス、法律事務所、プロボノ等について学習します。また、組織内
弁護士、任期付公務員や新しい活動領域について理解を深めます。
第 9 回 弁護士の集中と過疎偏在
わが国において、弁護士の大都市集中と過疎偏在現象がなぜ生じているのか、過去から現在の状況をみて
いきます。また、偏在解消のため実施されている各種の取組み・施策について知り、法サービスの需要と供給構
造について考えます。
第 10 回 司法アクセス
司法アクセスに由来する諸現象をとりあげ、その背景を探ります。また、司法アクセス拡充/障害解消の取組み
や相談事業がどのような効果をもたらしているかにつき、理解を深めます。その上で、市民にとっての司法アク
セスについて考えます。
第 11 回 さまざまな法専門職
さまざまな法専門職の実勢を学びます。また、わが国に存在する多様な相談・支援職にも注目します。そして、
異業種士間連携のあり方、業際問題の克服について考えます。
第 12 回 地域と司法
地域と司法という観点から、法の現象を観察し、そこにある問題と実施されている施策について考えます。
総合法律支援法、地域司法計画、裁判所支部問題等をとりあげる予定です。
第 13 回 修復的司法
犯罪被害者支援、被害者参加制度について、具体的な事例をもとに、理解を深めます。諸外国の状況も参照
しつつ、わが国の修復的司法について考えます。
第 14 回 民事法律扶助・司法関連予算
わが国の民事法律扶助制度の特徴を学習し、日本司法支援センターの業務内容、常勤弁護士の活動につい
て、理解を深めます。そして、司法関連予算との関係から、わが国の司法を考えます。
第 15 回 まとめ
講義全体のまとめを行い、わが国の法社会学における重要な理論を整理します。そして、今後の法曹のあり
方や、わが国における「法」利用等について、法社会学の視角から考察します。
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