ノートパソコンのシステムバックアップ

ノートパソコンのシステムバックアップ
海洋宇宙システム工学
岡田 功
日常使用している Windows マシンが、スイッチを入れても全く動かなかったり、
「システムが見つから
ないので FDD を入れなさい」等のメッセージが出て Windows が立ち上がらない。という経験は、誰でも
一度はあると思います。ハードウェアが物理的に壊れてしまった場合は、諦めも付くのですが、OS がお
かしくなり、
Windows が正常に起動しなくなった場合は、
再インストールをしなければならなくなります。
そうなりますと、OS、使用するソフトの再インストールはもとより、セキュリティアップデート(Windows
Update)の時間が莫迦にならないほど掛かってしまいます。そこで、定期的にシステムパーティション全体
をイメージ化してバックアップを取っています。
システムバックアップに適しているのが、システムがインストールされたパーティション全体をイメー
ジ化してバックアップする方式です。ブートセクタなども含めてバックアップされる為、ブートセクタが
破壊されて Windows が起動しなくなった場合でも簡単に復元できます。今回、物理的に HDD を増設不可
能で、バックアップ先を確保できないノートパソコンの為に、Free なソフトを組み合わせてネットワーク
を介し、他のパソコンにバックアップする方法を紹介します。手間は掛かりますが、ソフトはフリーなの
でコストは、掛かりません。今回、FDD 無し、CD-R/RW 付のノートパソコンを使って紹介します。しか
し、ネットワークソフトとバックアップソフトは MS-DOS 上で動作しますので全てのマシンで動作するか
どうかは、保障できません。
1.目的
ノートパソコンのように物理的に HDD を増設できないハードウェアでシステムパーティションをネット
ワークを介して他のパソコンにストアする。
2.必要な条件
ストア元のマシン
1. CD-ROM から起動できる。(この場合は、起動 CD を作るために CD-R ドライブが必要)
2. OS (Windows2000 or WindowsXP)
3. Windows98 or Windows98 or Msdos 6 のライセンス
4. イーサネットカードが Bart's Network Boot Disk のプラグインに対応している。
http://www.nu2.nu/bootdisk/network/ で対応しているプラグインを探す。先ず、Windows 上でデバ
イスマネージャ→ネットワークアダプタからマシンで使用しているアダプタを確認。次にアダプタに対応するプラグイ
ンを探す。例として、Realtek RTL8139 ならば、web ページ中頃の表を参照すると rtsnd.cab という
プラグインがありますので、それを使用します。
(プラグインが無いとネットワークにアクセスできません。)
ストア先マシン
・FAT32 パーティション(ストアするのに十分な容量が必要)
3.準備
○ストア元のノートパソコン(hp nx6120)
OS WinXP(ライセンスとして Win98 or 95 or Msdos 6)
HDD 40GB
ネットワークアダプタ Broadcom NetXtreme Gigabit Ethernet
-25-
<共通・共同分野>
ソフトウェア
1. Bart's Network Boot Disk (ネットワーク対応起動フロッピー作成)
http://www.nu2.nu/bootdisk/network/ Windows2000 と WindowsXP で動作、Win98 は不可。
2. PIC (http://members.datafast.net.au/dft0802/downloads/pci.zip) (何処のネットワークカードかわから
ない時に使用)必ず必要なソフトではない。(DOS ソフト)
3. Partition Savig (システムパーティションをイメージ化してストアする。)
http://www.partition-saving.com/ zip 形式のファイルを解凍する。実行に必要なファイルは
「allocxms.com」,「drvpart.sys」,「savepart.exe」 (DOS ソフト)
今回のノートは CD-ROM でしか起動できないので、起動 CD を作成するために以下のソフトも必要。
4. Virtual Floppy Drive (仮想フロッピードライブ)
http://chitchat.at.infoseek.co.jp/vmware/vfdj.html#version2 仮想 CD-ROM ドライブなどと同様に仮想フ
ロッピーディスクドライブを作成し、あたかもフロッピーディスクドライブを搭載しているかのよ
うに利用できる。(Windows ソフト)
5. RawWrite for Windows (フロッピードライブのイメージ化)
http://uranus.it.swin.edu.au/~jn/linux/rawwrite.htm フロッピディスクから ディスクイメージを作成す
る、またはその逆を行うことができる。 (Windows ソフト)
6. burnatonce (CD-R/RW ライティングソフト)
http://www.burnatonce.com/downloads/ 起動フロッピーディスクイメージを CD-R/RW に書き込む。
(Windows ソフト)
○ストア先のマシンで用意する物
パソコン(OS Win98 or Win2000 or WinXP)
但し、ストア先のパーティションは FAT32 でフォーマットされていること。
4.作業
○起動 CD-ROM の作成
FDD が無くCD-ROM ドライブでしか
起動できない場合は、起動 CD-ROM
起動FDD又はCD-ROM作成条件及び手順
を作成する必要があります。Virtual
Floppy driver をインストールして仮想
FDD又はCD-ROM起動できる
ネットワークアダプタに対応したプラグインがある
フロッピードライブ(A ドライブ)を作り、
Windows98 or Windows98 or Msdos 6のライセンス がある
正常にマイコンピュータからアクセ
スできるように設定する。
FDDの場合
CD-ROMの場合
Bart's Network Boot Disk を
Virtual Floppy driver で
Bart‘s Network
仮想FDD(A:)を作成
Boot Disk で作成
http://www.nu2.nu/bootdisk/network/か
FDDの場合と同様に起動
ディスク作成
らダウンロードして適当な所に解凍
Partition Savig の
する。此処では、G:\bfd とする。次に
RawWrite for Windows
3つのファイルをコピー。
で起動FDDのイメージ作成
ストア元のネットワークカードに対
応したプラグイン(cab ファイル→今回の
burnatonce でイメージを
CD-RRWに書き込む
図1
マシンは Broadcom NetXtreme Gigabit
Ethernet なので b57.cab)を同ページか
らダウンロードして bfd ホルダー以下 cabs→drivers→ndis ホルダーにコピーする。この時、元から
入っているプラグインファイル(cab ファイル)は、必要ないので削除する。
コマンドプロンプトから G:\bfd へ移動して「bfd msnet」と打ち込むと仮想フロッピードライブ(A
ドライブ)に起動フロッピーディスクが作成される。
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<共通・共同分野>
Partion Savig(Ver.2.90)を適当なホルダーに解凍して「allocxms.com」,「drvpart.sys」,「savepart.exe」を仮
想フロッピードライブにコピーする。(注 Ver.2.90 でないとファイルが大きいのでコピー出来ませ
ん。)
以上で仮想フロッピードライブは、起動用 FD になりましたが、仮想なのでこのイメージを取り
だして、CD-R や CD-RW に書き込んで起動 CD-ROM にしなければなりません。
そのイメージを作成するには、RawWrite for Windows を起動して read tab で、仮想フロッピード
ライブ(A ドライブ)の起動ディスクイメージを作成する。
CD-R/RW ドライブ搭載マシンで burnatonce を起動して、ディスクの作成→データ CD を選択し、ISO
設定→ブータブルイメージをチェックし、RawWrite for Windows で作成した起動ディスクイメージファイ
ルを指定。CD-R/RW に書き込みを行って正常に終了すれば、起動 CD-ROM の作成は、終了です。
但し、書き込みには、ISO 書き込みに対応していれば、どのソフトを使ってもかまわない。(B’s
recorder, DVD Decrypter 等々)
○
ネットワーク環境
ネットワーク環境は、図 2 に示します。ストア元マシン(A)は、C, D, E とパーテションが作られて
いて、システムパーティションは、C です。
WANへ
ストア先マシン(B)
FAT32 6GB FAT32 6GB
FAT32 18GB
は、OS に
M
B
Windows2000、コン
C:
D:
E:
R
ピュータ名 EPSON、
共有ホルダー
A
J:\partsav、共有ホル
ネットワークを介して他のマシ
ンへセーブ
ダーに書き込み許
ブロードバンドルータ
可を与える、このホ
FAT32 6GB FAT32 6GB
FAT32 6GB
FAT32 4GB
ルダーがストア先
M
B
J:¥partsav
になります。又、B
C:
D:
E:
F:
J:
R
マシンにファイア
共有ホルダー J:¥partsav
ウォール等のセキ
OS:Windows2000
ュリティソフトが
コンピュータ名:EPSON
B
図2
インストールされ
ている場合は、その
機能を一時停止させてください。そのソフトの為に共有ホルダーにアクセスできなくなることがあ
るためです。ストア作業は、プライベート IP アドレス(LAN)内で行った方がよいでしょう。セキュ
リティが確保できませんのでグローバル IP アドレスは、避けて下さい。
AマシンのCパーティションのイメージをBマシンの共有ホルダーJ:\partsav にストアしていきま
す。
○ ネットワークログオン
作成した起動 CD-ROM から起動して、ネットワークにログオンし、共有ホルダーにアクセスする。
但し、英語 MS-DOS なのでキー入力が合わない所があるので注意する。
ストア元マシンの BIOS を CD-ROM 起動優先に変更。起動すると Menu 画面が出てきます。
最初の MENU では、1 番を選択、続いて「Continue or goto config?->OK」「Auto detect PCI
adapter?->Auto」「select protocol->TCP/IP」と出てきますが全てデフォルトを選択。次の「TCP/IP
parameters」では、LAN 内に DHCP が使える場合は、そのまま「OK」を押して次へ進む。手動で指定
する場合は、「Enable DHCP」のチェックを外し、IP address 等を設定する。(マウスドライバが組み
-27-
<共通・共同分野>
図3
込まれているのでチェックを外す操作もマウスで出来る、もし使えない場合は、TAB キーで移動し
チェックはスペースキーで外す。) 「Identification Settings」では、図2の B マシンで共有ホルダーを
作成した UserID と Password をログオン名とパスワードとして指定し、ワークグループ名も同じに
する。→プロンプトが表示されるので「msnet」と入力。「msnet config」画面で「Map」を選択。「Map
drive」画面でドライブレターとパスを指定する。図2の B マシンを例にするとドライブレターに「J」、
パスに「\\EPSON\partsav」を指定する。(注 ドライブレターは、ストア元マシンに無いドライブレタ
ーを指定しないと、後でストアする時にソフトウェアがストア元のドライブと区別が出来ないので
失敗する。)
成功すると DOS 画面に successful の文字が現れ、「Map drive」画面に戻るので「EXIT」で抜ける。全
てを表示できないが、設定が必要と思われるスクリーンショットを図3に示す。
○ Partition saving によるストア
上記の手順を経てようやくストアする為の準備完了。
上記 DOS 画面から A:と入
力し A ドライブに移り、
savepart と入力し、Partition
saving を起動する。途中に
色々な画面が出てくるが、
重要と思われる画面は図
示して説明する。「Action
choice 画 面 ->Save an
elements 選択」→「Support
choice 画面->Disk number
選択」 HDD を選択する
画面です。HDD が複数台
の場合は、複数表示されま
図4
す 。 → 「 Source element
choice 画面->C」システム
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<共通・共同分野>
パーティションを選択する。
NTFS ファイルシステムでもセーブすることが出来ます。
→「part to save
画面->occupied sectors 選択」→「Destination file number 1 画面」(図4)では、ストアする為のディレクト
リー情報や各ドライブのフリースペース情報を見ることが出来る。今回ストア先は、J Drive なので
Drives:で J を選択、ディレクトリは選択する必要無し。最後に File 名を入力する。各項の移動は、マウスが
使えるが、
TAB キーや alt+TAB キーを使っても移動できる。
[x]チェックの解除はスペースキーも使用できる。
「Maximum file size 画面」ファイルサイズ上限が 2047MB です。DOS なので 1 ファイル 2GB(2047MB)です。
図5
しかし、ストア元が 3GB ありましたら 2GB+残りに分割してストアされだけですので、気にする必
要はありません。後で CD-R/RW 等に書き込む場合は、640MB 等適宜設定する。
「Deflating 画面->1 選択」 圧縮設定画面、無圧縮 0、圧縮レベル 1~9 段階あるが、圧縮率は、1 以
外は低いし、セーブ時間がかなり延びてしまうので1を選択することをおすすめします。
「Saving element 画面(図5)」 セーブ実行画面、経過状況が簡単なバーで示され、経過時間と残り時
間も表示される。これは、おおよその目安でありあまり正確ではありません。
5.現状の問題点
起動 CD-ROM を作成するところまでは、Windows ソフトを使いますが、ネットワークにログオンす
るソフトとメインの patition saving も、DOS ソフトな為に使いにくいという事は否めません。又、英
語 DOS なので日本語キーボードではコロン(:)は, (shift+;)と打たなければなりません。これらのキーバ
インドの違いは、実際に打ってみて探すしかなく、少し不便です。しかし、市販のソフトも少し前は
DOS ベースで動いていましたし、こちらの方法は、ソフトにコストが掛からないという利点があり
ます。
ストア先のファイルシステムが FAT32 で無ければならない点も将来不安になる点です。OS のバージョ
ンアップに伴ってサポートされなくなる可能性があります。
新しい LAN カードのプラグインも web ページのメンテナンスの終了に伴いサポートされそうにありませ
ん。今現在は、対応カードもかなりあり、大丈夫です。しかし、これからは、市販のソフトに頼らな
ければならなくなる時が来るかもしれません。
6.参考文献
PCJapan
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<共通・共同分野>