小型ポータブル機器の エネルギー管理 INPUT 3V TO 8V C1 47µF C6 2.2µF 小型携帯機器の設計には、互いに矛盾するような制限が いくつも生じることがあります。サイズと重量という当然 の制限に加えて、コスト制限や厳しいタイムスケジュール、 時間単位でなく週単位で要求されるバッテリ寿命、電源 管理の要求のためにホストコンピュータにかかる過剰負 荷等の制限があります。 L1 D2 1N4148 C2 47µF 2 V+ C5 5 REF 0.1µF EXT 1 D1 1N5817 OUTPUT 5V/0.3A Q1 L2 C3 47µF MAX1771 HI = OFF LO = ON 携帯用アプリケーションに要求される電源条件は、製 品の使用目的によって異なるため、全てのアプリケー ションに対応した最適の電源というものはありません。 使用頻度の少ないデバイスでは最大負荷時での効率よ りも無負荷時の自己消費電流が重要なため、アルカリ バッテリで十分に動作します。これに対して、携帯電 話等では高ピーク負荷と頻繁な使用に対応しなければ なりません。こうした動作では自己消費電流よりも変換 効率が重要となるため、携帯電話には充電式バッテリ の方が適しています。 4 SHDN 6 AGND 7 GND CS 8 R1 0.082Ω FB 3 R3 470k R2 200k C4 47pF L1 & L2 = CTX20-4 COILTRONICS (407) 241-7876 Q1 = 1/2 IRF7101 INTERNATIONAL RECTIFIER (310) 322-3331 EFFICIENCY AT I LOAD INPUT VOLTAGE 3.5V 4.0V 5.0V 6.0V 携帯機器の場合、サイズの制限のために設計の初期段 階でバッテリのセル数が決まることが多く、エンジニア にとってはこれが頭痛の種になります。なぜならセル数 (及び種類)が決まると動作電圧範囲が決まってしまい、 そのため使用できる電源のコストと性能が決まってしま うからです。セル数が多いと、リニアレギュレータが使 用でき回路が単純になる半面、重量増加及び効率低下 という短所が出てきます。セル数が少ないと高コスト のスイッチングレギュレータを使用する必要がありま すが、その反面低コストのバッテリを使えるという長 所があります。 10mA 100mA 200mA 300mA 81% 82% 82% 82% 83% 84% 84% 84% 84% 84% 85% 86% 84% 85% 86% 86% 図1. このレギュレータトポロジーは、3V∼8Vの入力から5Vを供給しま す。ステップアップ変換とステップダウン変換は、出力ステップ 変化やモード変化が生じることなくスムーズに切り換わります。 シャットダウン時に出力は完全にオフになり、電流が流れだしま せん。 BATTERY VIN CURRENT PATH FROM VIN TO VOUT BROKEN BY Q2 TYPICAL BOOST DC-DC CONVERTER 4セル設計 4セル設計は、重量と動作寿命の間の適切なトレード オフを提供します。特にアルカリバッテリの場合は4個 パックで販売されていることが多いため、4セル設計が 普及しています。しかし、4セルバッテリを5V回路用 に使用するというのは設計者にとってチャレンジにな ります。レギュレータはバッテリが放電するに従い、 最初はステップダウンしなければならず、そして最後 にはステップアップする必要があるからです。このた めに、ステップダウン、ステップアップ、または反転 をするだけの単純な単機能レギュレータは使用できま せん。 LOW = OFF SHUTDOWN VOUT TO LOAD Q1 Q2 図2. 一般的なDC-DCブーストコンバータでは、パワーダウン時にも 入力から出力への電流経路が存在します。この経路を切るには切断 スイッチ(Q2)を追加する必要があります。 この構成は、フライバックトランス・レギュレータや ステップアップ/リニアレギュレータに比べていくつか 利点がありますが、トランスが不要という点もその大き な利点です。 この問題に対する効果的な解決法の一つはSEPIC(シン グルエンド一次インダクタンスコンバータ)です。ここ で、V OUTはスイッチング回路に容量結合されます(図1)。 3 INPUT 5V FROM 2C ADAPTOR C1 2.2µF D1 1N4001 D2 1N4148 C3 47µF 16V 8 10k 10k V+ B2 LITHIUM CR2032 D4 1N4148 L1* 22µH LX 7 L2* 22µH D3 1N5817 OUTPUT 3.3V/200mA LOGIC 150k B1 (3 AA CELLS) Q1 Si9433 SILICONIX (408) 988-8000 FB 3 150k 2 LBI 125k 150k REF 5 IC1 MAX761 ON/OFF 4 C2 0.1µF 1.5V LOW WHEN B1 < 3V (OR WHEN ADAPTER VOLTAGE < 3V) LBO 1 SHDN GND 6 * L1 AND L2 ARE SUMIDA CD54 SERIES. SUMIDA (408) 956-0666 図3. この低電流ステップアップ/ステップダウンレギュレータは、3.3V、200mAを供給します。ACアダプタを接続するとQ1が自動的にB1バッテリを 切断し、またダイオードOR回路によってB2が3.3V出力をバックアップします。 ブースト設計では、カットオフスイッチを追加しない 限りシャットダウン時にもバッテリから電流が流れ出し ます(図2参照)。これに対してSEPIC回路のもう一つの 利点は、シャットダウン時には出力が完全にオフになる ことです。通常動作中にV INが低下した場合、SEPIC回路 では、V OUT がV IN に接近しても動作モードを変更するこ となくV OUTをスムーズに安定化させることができます。 電力変換効率は、200mA付近で最高の86%に達します (図1)。 し、最大負荷時でのスタートアップ能力が改善されます。 V INが4V以下に落ちることがない場合は、Q1を3Vスレッ ショルドのFETで置き換え、D2を省略することができま す。この場合、ピン2は直接V IN に接続し、V IN の上限は 16.5Vとなります。 3セルから3.3V出力 図3の回路は図2と同じ原理を応用していますが、バッ テリバックアップ機能が加えられています。また、図3 の回路では外部FETを使用せずに低電流の内部FETを使用 しています。一個のトランスを使用する代わりに、L1と L2 で 別 々 の コ イ ル を 用 い て い る た め、 回 路 の 各 々 で 22µHのコイルが使用できます。これは、例えば3.3V、 5V、12V、30Vの電源を必要とするような製品で必要に なります。入力電圧範囲は3V∼13Vです。 コイルL1とL2(図1)は、同じタイプで同じL値にしま すが、相互のカップリングは必要ありません。同じコア に両方巻いても構いませんが、完全に分離していても回 路は同様に動作します。ピークスイッチング電流 (IPEAK = 100mV/R1 = 1.22A)の半分だけが各コイルに流 れるため、それに適合した定格品で十分です。 コンデンサC2はエネルギーを出力に結合するため、大 きなリップル電流に対応できるようにESRが低くなけれ ばなりません。例えば、ESRの低い三洋OS-CONコンデ ンサを使用すると、安い1µFセラミックコンデンサに比 べて効率が3%向上します。タンタルコンデンサはESRが 高いためにハイリップル電流時に自己発熱することにな り、お勧めできません。 通常動作中は、ACアダプタの5V出力が回路を駆動し、 Q1をオフにします。ACアダプタを切り離すと5Vがなく なりQ1がオンになって、3個の単三電池から電源が供給 されるようになります。入力電圧が3.0V以下に低下する と、IC1のローバッテリ・コンパレータによりLBOがロー になってシステムに警報が発せられます。バックアップ 用としては、ダイオードOR接続によりオプションのリチ ウムバッテリ(コイン型電池B2)が3.3Vの出力を保持し ます。ACアダプタからメインバッテリへの切換え回路を 簡単にするため、この設計ではACアダプタの5V出力が ある程度(4V∼5.5V)安定化されている必要があります。 ダイオードD2は、Q1のドレインでスイッチングパルス を整流することによってIC(ピン2)に電源電圧を供給 します。この電圧(近似的にV IN とV OUT の和)のために、 入力電圧は8Vまでに制限されますが、外部MOSFETへの ゲート電圧が高められるため、低V INにおける効率が向上 4 INPUT 3.8V TO 16V 0.1µF INPUT 3.8V TO 11.5V 100µF 1 IN V+ 0.05Ω 4 SHDN EXT REF OUT FB Q1 Si9430 (SILICONIX) 3 OUTPUT 3.3V/1.5A L1 22µH 1 GND 2 GND 6 7 NSQ03A02L NIHON (805) 867-2555 8 0.1µF LO = OFF OUTPUT 3.3V/400mA 10µF 2 MAX1651 3 8 10µF 5 CS OUT GND MAX604 GND GND 4 OFF SET 7 6 5 330µF SAFE OPERATING REGION AT 70°C 4.0 100 700 DROPOUT LINE EFFICIENCY 600 70 3.6 OUTPUT CURRENT (mA) 3.8 80 DROPOUT (V) EFFICIENCY (%) 90 500 400 300 SAFE REGION 200 60 100 DROPOUT VOLTAGE 3.4 50 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 2 1.2 LOAD CURRENT (A) 図4. 低 ド ロ ッ プ ア ウ ト の ス イ ッ チ モ ー ド コ ン ト ロ ー ラ と P チ ャ ネ ル MOSFETが3.8Vの入力電圧から3.3V、1.5Aを供給します。動作範囲 の大部分で効率は90%を超えています。 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 INPUT VOLTAGE (V) 図5. 内部MOSFETパストランジスタとハイパワーSO-8パッケージの組み 合わせによって、低ドロップアウト、15 µAの動作電流、及び 400mA以上の出力を備えたリニアレギュレータが実現されています。 低ドロップアウトのステップダウンコンバータ リニアレギュレータ 3.3V駆動等の低電圧ロジックの場合は、4セル入力で 単純なステップダウン構成が可能なため、効率とコスト を最適化できます。3.3V出力ではドロップアウト電圧 (V IN とV OUT の間の最低許容電圧差)の仕様が重要です。 バッテリの寿命末期の電圧はセルの種類及び製品の使用 パターンによって違っていますが、リチウムバッテリ以 外のバッテリではセル当り0.8V∼1Vの範囲です。このた め、3.6Vという低入力電圧で3.3Vレギュレータが動作す ることも珍しくありません。 リニアレギュレータの効率とバッテリ寿命が許容で き、入力電圧が高い時における消費電力への対応が可能 な限り、多くのステップダウンアプリケーションの中で は、リニアレギュレーションを使用することが最も経済 的な方法です。 ポータブル機器の設計では、単純なリニアレギュレータ でも一筋縄では行かない場合があります。例えば、ドロップ アウト電圧(出力安定性が失われる低VINレベル)は障害では なく正常動作の一部と見なすべき場合がしばしばあります。 つまり、動作時間を延長するために、レギュレータが安定 化範囲内から外れてもシャットダウンしない方が良い 場合があります。こうした設計ではドロップアウト時の レギュレータの挙動(特に自己消費電流)が重要になります。 図4の設計は、4セルから中電流負荷で3.3Vを供給する シンプルな方法を提供します。ICは低スレッショルドの PチャネルMOSFETを駆動し、電流検出電圧が110mVと低 くなっているため、電流検出損失は最小限に抑えられて います。性能を最適化するために、MOSFETのオン抵抗 は回路の最低動作電圧(この場合約3.6V)に合わせて選択 してください。 図5のシンプルなリニアレギュレータは、動作電流にあ まり影響を与えることなく優れたドロップアウト挙動を 示します。実質的には8ピンの表面実装パッケージ1個で、 400mA以上を出力できます。内部パス素子がバイポーラ 5 68µF INPUT 0.9V* TO 3.3V L1 47µH MAX856 Q1 MMDFZP02E MOTOROLA (602) 244-3576 1N5817 LX 8 CONTROL 68µF OUTPUT 3.3V/200mA* 1M MAXIMUM START-UP LOAD CURRENT vs. START-UP VOLTAGE GND 7 0.1µF REF 1000 OUT 6 1 SHDN WITH LOAD SWITCH 3/5 2 1M LBI 5 1.5V LB0 1M Q2 START-UP LOAD CURRENT (mA) 3 100 10 WITHOUT LOAD SWITCH 1 0.1 L0 = OFF 1M 2N3904 1M 0.01 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0 START-UP INPUT VOLTAGE (V) * OPTIONAL CIRCUITRY FOR FULL-LOAD LOW-VOLTAGE START UP. SEE FIGURE 6b. (b) (a) 図6. この低電力CMOSステップアップコンバータ(a)は、1セルまたは2セルの入力から3.3Vを発生します。オプションの負荷切断回路(破線部)を付け れば、0.8Vの入力で回路をスタートできます(b) 。 トランジスタでなくMOSFETのため、軽負荷におけるこ の回路のドロップアウト電圧は殆どゼロです。また、V IN がVOUTに近づいても自己消費電流は増加しません。 は4.5Whで、これとサイズと重量が同等な6セルの9Vアル カリ電池1個のエネルギーは3Whと、前者は後者を50% 上回っています。 この特性は、安定状態の負荷が100µAを越えない小型 ポータブル機器で特に重要です。こうした設計では、バイ ポーラのパストランジスタを内蔵した低ドロップアウト レギュレータが通常そうであるように、自己消費電流が 数ミリアンペア以上に増加すると、バッテリの寿命が尽 きかける一番苦しいときに放電を加速してしまいます。 図5のICは、ドロップアウト状態であってもなくても 15µA(typ)の電流しか消費しません。 図6aに示すステップアップレギュレータは、2セル及び 1セル入力で88%の高効率を提供します。また、スイッ チング周波数が500kHzと高いため、超小型のインダクタ を使うことができます。このICの自己消費電流は、軽負 荷時又は無負荷時には僅か60µAです。この特長は、製品 がオフ時でも電源電圧がアクティブであることを必要と するポータブル製品に適しています。製品がアイドル (サスペンド)モードに入ったときは、負荷電流はマイクロ アンペアのレベルまで低下してしまうため、レギュレータ ICがその大部分を消費してしまうようでは困ります。完 全にシャットダウンする機器の場合、このICは1µA以下 の電流を消費するだけの超低電流シャットダウンモード を提供します。 バッテリのセル数が少ない場合の昇圧 古い世代の設計ではバッテリのセル数が多くなってい ました。これは供給エネルギーを増やすためではなく、 低コストのリニアレギュレータ(あるいはレギュレータ なし)でシステム電圧を発生するためでした。一方、最新 の電圧変換ICは最小限の外付部品を用いるだけでセル数 を削減できるようになっています。セル数の削減による 利益(小型化、軽量化、そしてときにはバッテリ寿命 の延長)の方が余分にかかるコストよりも大きいのが通 常です。例えば、2個の単三電池の利用可能エネルギー 1セル・レギュレータ サイズが最も重要な要因である場合は、1セルバッテリ による駆動が適しています。今日では1V以下の入力でも 適度の効率とコストが実現できるため、多くのハンド ヘルドアプリケーションが1セル動作の対象になってい 6 INPUT 1V TO 6V 省スペースのインダクタレス・コンバータ 10µH 1 ILIM 2 IN 5 LX OUT 6 ACTIVE RECTIFIER 7 SHDN LO = OFF インダクタ式のスイッチングレギュレータはかなり進 歩したにも拘わらず、設計者はインダクタのない変換回 路を今でも理想と考えています。代替方式としてのコン デンサ式(チャージポンプコンバータ)は、安定化能力が なく、しかも出力電流が限られているといった問題をこ れまで抱えていました。しかし、チャージポンプの出力 電流は、スイッチングレギュレータに比べてまだ低いと はいうものの、多くの設計に使用できるレベルにまで達 しています。また、低コスト、小型、低EMIというチャージ ポンプの利点が用途によっては有利に働きます。チャージ ポンプは、部品の高さが制限されるPCMCIAシステム等、 「クレジットカード」製品のアプリケーションでは特に重 要です。 RLIM 1kΩ 47µF OUTPUT 3.3V/ 100mA 47µF CONTROL 1 N SEL 8 REF MAX778 PGND 4 AGND 3 図8、図9、図10にインダクタが不要な電圧コンバータ を3種類に示します。図8は、2セルバッテリ等の低電圧 源の出力を5V±4%の安定化電圧に変換します。このIC は入力電圧に従って動作モードが変化します。低V INでは トリプラ、高V INではダブラ、中間域では各スイッチング サイクルでモードを変えるトリプラ・ダブラです。効率 は65%∼85%の範囲です。消費電流が低いため(無負荷 動作状態で75µA typ、シャットダウン時に1µA) 、DRAM やPSRAM用のコインセル駆動のバックアップ電源に適し ています。 図7. このシングルICブーストコンバータは、同期整流器を内蔵し、1V∼6V の入力から3.3Vの安定化出力を供給します。 ます。低コストICのスイッチング周波数は1MHz近くになっ ているため、複数のメーカーが供給している小型磁性部品 を使用することができます。このためDC-DC回路でバッ テリを置き換えた場合、バッテリよりもその回路の方が スペースが小さくなることも珍しくありません。 図8のオプションのダイオード・コンデンサネット ワークは、-1.4V∼-3Vの非安定化マイナス電圧を発生し ます。この出力はマイナス電源の役割を果たすことで、低 コストのオペアンプが使用できるため、アナログ設計が 図6aの破線の枠内のQ1とQ2を追加することにより、低 入力電圧、重負荷電流でこのレギュレータをスタートす ることができます。また、Q1はシャットダウン中に負荷 とバッテリの間の接続を切断します。内蔵コンパレータ の働きにより、Q1はVOUTが少なくとも3Vまで上昇するま ではオンになりません。図6bには、この回路の負荷状態 でのスタートアップ能力及びスタートアップ電圧(typ) が0.8Vと著しく低いことが示されています。 INPUT 2V TO 3.6V 10µF LO = ON 図7にはやはり負荷状態でスタートアップする部品点 数の少ないステップアップレギュレータを示します。こ れも入力電圧が0.8Vと低くなっています。スイッチング 周波数が500kHzでコイルのピーク電流が調整可能(RLIM で設定)なため、小型で低コストの表面実装コイルを使 うことができます。内蔵されたアクティブ(同期)整流器 は、外付ダイオードを不要とするだけでなく、シャット ダウン入力で出力を完全にオフにすることができます。 これはブースト設計には珍しい便利な特長で、図6では このために外部FETが必要になっています。 2 IN OUT MAX619 7 1 GND 3 6 10µF OUTPUT 5V/20mA FOR VIN > 2V 5V/50mA FOR VIN > 3V SHDN C1+ C2+ 4 C1 0.22µF C2 0.22µF 8 C1- C2- 5 CMPSH-35 DUAL SCHOTTKY CENTRAL SEMICONDUCTOR (516) 435-1110 0.1µF -1.4V TO -3V/5mA 2.2µF CIRCUITRY FOR OPTIONAL NEGATIVE OUTPUT 図7のICのアクティブ整流器と制御回路は、6.2Vまでの 入力で安定性を維持します。この特長は1セル設計では 不要ですが、用途によっては有用です。但し、こうした 改良の結果自己消費電流は増加し、図6の回路が30µAで あるのに対して図7の回路は190µAになっています。 図8. 数個の外付コンデンサを取り付けるだけで、1個のICが2セル又は3セル 入力を5Vまで昇圧し、50mA(3V入力の場合)の電流を供給します。 自己消費電流は僅か75µAです。またSOT-23デュアルダイオードと 2個のコンデンサを追加すれば、小さなマイナス出力も発生できます。 7 INPUT 4.5V TO 10V 1 IN 8 C1+ 1µF INPUT 4.75V TO 5V 2 CHARGE PUMP OUT 6 3 5 1µF 1µF MAX850 C1C4 4.7µF NEGOUT VCC 4 C2+ S1 C3 0.1µF S2 0.22µF VOUT 6 R2 3 C2- S1 ERROR AMP LO = OFF OUTPUT 12V/30mA FLASH VPP OUTPUT OUTPUT -4.1V/-5mA 10µF 4 SHDN FB 5 ERROR AMP -1.28V REF C5 4.7µF R1 S2 7 C1+ S1 0.22µF GND 7 VREF SHDN 8 HI = ON OUTPUT NOISE AND RIPPLE S2 1 C1- MAX662A S1 OSCILLATOR GND 500µV/div SWITCH CLOSURES SHOWN FOR CHARGE PUMP IN THE TRANSFER MODE 10µs/div VIN = 6.0V, VOUT = -4.1V, IOUT = 5mA, AC COUPLED 図9. この回路は、インダクタを使わず、フラッシュメモリのプログラミ ング用に12V/30mAの安定化プログラミング電圧を発生します。 この回路は小さいのでクレジットカード大の「スマートカード」に 納まります。 図10. 高効率のGaAsFET RFパワーアンプのバイアス用に設計されたこの チャージポンプ電圧インバータには、出力リップルとノイズを 1mVp-p以下に抑制した極めて静かなリニアレギュレータが内蔵され ています。 簡単になります。マイナス電源電圧が供給できるため、 オペアンプが完全にグランドまでスイングします。 GaAsFETは高効率の反面、コストも高く、またマイナス の小さなバイアス電圧を必要とします。通常のチャージ ポンプをこのアプリケーションに用いるのはノイズが大 きすぎて不適切ですが、図10のチップの出力電圧レギュ レータでは、出力ノイズとリップルが1mVp-p以下に抑え られています。FB端子をグランドに接続すると、安定化 出力が-4.1Vに設定されます。外付抵抗を2個使えば他の 出力レベルも設定できます。図8と図9の回路ではチャージ ポンプのスイッチング動作をゲートすることによって 安定化がなされるのに対して、この回路では安定化と 低ノイズは出力リニアレギュレータの働きによって実現 されています。 もう一つのチャージポンプ回路は、ボード面積が僅か 0.6cm 2で、5Vを「フラッシュ」メモリチップに必要な 12Vレベルに変換します(図9)。PCMCIAカードで一般的 なフラッシュメモリは、省スペースで不揮発性記憶大容 量を実現でき、また読み書き時にだけ電力を必要とする ため、小型ポータブルアプリケーション用に普及してい ます。フラッシュメモリチップによっては5V動作のもの もありますが、メモリ密度の高いものはプログラミング に12Vを必要とします。 チャージポンプを用いた第三のアプリケーションは、 携帯電話等の音声/データ無線トランシーバのRFトランス ミッタの効率を最適化することです。トランシーバの 「トークタイム」を拡張するために、バイポーラトラン ジスタよりも効率の良いガリウム砒素FET(GaAsFET)の パワーアンプが使用されています。 断続的な高電流負荷 ハンドヘルドワイヤレス設計における第二の必要条件 は、突然の負荷変化に対する迅速な応答です。こうした 電源は殆どの時は数ミリアンプレベルでアイドル状態に ありますが、短いRF送信やバースト的なCPU動作に対応 するために短時間だけ高いピーク電流を供給することが 8 INPUT 3 CELLS (3V...5V) HALT RUN 1 4 3 L1 10µH 33µF LX SHDN OUT LBO C1 22µF 6 MAX757 REF FB 2 GBI GND 7 0.1µF 5 D1 8 R1 1Ω OUTPUT 5.8V C2 C3 C4 R2 54.9k C5 IOUT 1.5A R3 15k 577µs 4.6ms 5.8V 5.35V L1 = SUMIDA CD75 (708) 956-0666 D1 = NIHON EC15Q502L (805) 867-2555 C1 = 22µF TANTALUM C2–C5 = 470µF TANTALUM VOUT TIME 図11. この回路は、GSM携帯電話に1.5Aのトランジェント電流を供給できる大容量コンデンサを備えています。平均負荷は僅か200mAのため、この8ピン 表面実装ブーストレギュレータICは外部MOSFETを必要としません。 必要となります。GSM携帯電話等のTDMA(時間分割マルチ アクセス)技術を用いたディジタルワイヤレス機器の RFトランスミッタでは要求が特に厳しくなっています。 タルコントロールあるいは外部ポテンショメータによっ て制御されます。この回路はスイッチング周波数が高く、 インダクタの電流制限が調整可能なため、小型の表面実 装インダクタと出力フィルタコンデンサを使用すること ができます。例えば、負荷が10mA以下の場合、高さが 僅か2.6mmの村田製作所のLQH4コイル(図参照)を利用 できます。 携帯電話のハンドセットには小型、軽量という点で 3セルのニカド電池が適しています。携帯電話用の一番 低コストのRFトランスミッタは約6Vで動作します。設計 者のなかには、6Vで2Wの電力を供給できるスイッチング レギュレータはコストがかかり過ぎるため5セルバッテリ を使わなければならないと思われる人がいるかもしれま せん 。 し か し 高 電 流は 10 % の デ ュ ー テ ィ サ イ ク ル で 約600µsだけ必要なため、小型のステップアップICで必要 負荷に十分対応できます。 ポテンショメータの構成は任意ではありません(図12 のオプション回路を参照)。FBとV OUTでなく、FBとグラ ンドの間にポテンショメータを接続することにより、ワ イパーがオープン又はノイズに起因する出力電圧異常 が、最大(破壊的)ではなく最低に抑えることができます。 さらに、ポットとワイパーをグランドに接続することに よりFBでのトレース面積が最小限になります。R8とR9 を交換するとVOUTノイズは増加します。 図11の出力コンデンサは、TDMAロジックとRF回路の 両方を駆動します。コンデンサが供給するのは平均すれ ば200mAだけですが、1.5Aを577µs出力した後の出力 ドロップは僅か500mV以下です。1Ωの抵抗(R1)がRF負荷 とDC-DCコンバータICをアイソレートしています。4 個 の470µFコンデンサはハンドヘルド機器のバッファ容量と しては相当大きいものですが、それでも表面実装コンデンサ 4個はバッテリを2セル追加することに比べるとずっと小 さく、低コストです。この回路の平均電力変換効率は80%、 自己消費電流は僅か60µAです。 2又は3セルのアプリケーションでは、ICをバッテリ電 圧でなく、(もし可能ならば)5Vでバイアスすることに より効率を最適化できます。インダクタへはバッテリか ら電流が流れますが、チップのV+ピンに高い電圧が印 加されるとQ1へのゲート駆動電圧が高くなってオン抵 抗が低下するため、効率がよくなります。バッテリ電圧 が5Vを超える場合はV+を直接バッテリに接続してくだ さい。V OUTは、4ビット、3.3VのCMOSディジタルコード あるいは図中のオプションのポテンショメータで調節 可能です。 LCDバイアス電源 ポータブル機器のLCDパネルのバイアスに必要な電圧 と電流は、ディスプレイの技術、画面サイズ及びコスト によって様々です。バイアス電圧はプラス、又はマイナス で最大でも±30Vです。例えば、図12のブーストコン バータは20V∼30Vの範囲の出力を発生し、電圧はディジ 9 して3.3Vの電源電圧をサポートします。また、5Vと3.3V のメイン出力は、PNPリニアレギュレータ(Q2とQ4)に よってオーバーライドされます。これらのリニアレギュ レータは、ユーザーが外部の非安定化DC電源を接続し たときにアクティブになります。この動作によりメイン バッテリも無負荷になります。2個のICには4種類の出力 電圧に加えていくつかの制御・監視ラインが含まれてい ます。 3V TO 16V BATTERY INPUT D1 1N5819 2 V+ EXT HI = OFF 4 5 0.1µF 6 MAX1771 CS SHDN 1 FB 3 R3 25k OUTPUT +20V TO + 30V/10mA Q1 22µF 35V 8 シンプルなバッテリ充電 R1 0.4Ω REF AGND 22µF L1 47µH 5V 0.1µF GND 7 小型ハンドヘルド製品の場合、スペースの不足と予算 面の制約から、高度なバッテリ監視・充電方式を採用する ことはできません。こうした場合には最も単純なハード ウェアから最大限の性能を引き出すことが目標になりま す。もっともCPUが使える場合には、これと低コストの アナログ回路を組み合せることで簡単な充電制御手段が 得られます。 L1 = MURATA ERIE LQH4 OR SUMIDA CD54 R2 392k R4 300k BIT 3 R5 600k R6 1.2M BIT 2 BIT 1 R7 2.4M 16-STEP OUTPUT ADJUSTS FROM +20V TO +30V. ASSUMES 0V AND 3.3V CMOSLOGIC LEVELS. BIT 0 図14の8ピン・ステップダウンレギュレータICは、高 効率の1A電流ソースとして構成されていて、ロジック レベルの信号によって起動します。オペアンプ(IC2)は 検出抵抗(R10)で充電電流を監視し、レギュレータチップ にフィードバックをかけます。 「ハイサイド」電流検出方 式が用いられているため、バッテリのマイナス端子を直 接グランドに接続することができます。 TO FB TO OUTPUT R8 10k R9 25k R10 470k POTENTIOMETER CIRCUIT ADJUSTS FROM +22V TO +30V WITH VALUES SHOWN スイッチモードのバッテリ充電は低コストアプリケー ションの場合にも利点があります。即ち、電力消費が少 ないことと、電力源としてACアダプタをフルに利用でき ることです。リニアレギュレータの設計では、ACライン 電圧の高低の極限を考慮した上で必要とされる電力定格 の通常は2倍のACアダプタが必要となります。また、リ ニア設計では急速充電用のヒートシンクも必要です。 図12. この回路はLCDパネル用のバイアス(コントラスト)電圧を発生し ます。バイアス電圧は、ポテンショメータ又は4ビットの手作りD/A コンバータで調節することができます。 多出力電源 ポータブル設計では多くの場合複数の電源電圧が必要 になります。ICメーカーは標準の3.3Vと5V駆動の機能を 加えるようになっていますが、それでも性能、重量、バッ テリ寿命、コストを最適化するために他の電圧が加えら れてしまいます。しかし多出力ICを使えば、こうした追 加電圧を生成するために必要な部品点数を最小限に抑え ることができます。これらのICは、ボード面積を削減す ると共に必要な外部部品点数を減らし、システムの軽負 荷効率等の性能パラメータを改善します。 図に示す回路は、3セルバッテリを充電するための安定 化電流を発生します。5.1Vのツェナーダイオード(D3)は、 バッテリを取り外した時でも、出力を約6.3Vでクランプ します。R5、R10及びD3を変えることで、他のバッテリ 電圧及び電流用に調節することができます。動作電圧範 囲は5V∼16Vですが、24Vまでのサージが許容されます (多少の出力誤差が出ます)。 急速充電は必要だがCPUが利用できないという場合に は、 「全機能内蔵」のコントローラで解決できることがあ ります(図15)。IC1は、低損失のスイッチモード充電構 成で動作する低コストのニカド充電コントローラです。 DRV端子はバイポーラトランジスタバッファQ1-Q2を経 由しPチャネルMOSFET(Q1)を駆動します。セル数(2∼ 16)、充電速度及びトリクル充電電流は、ICのPGM0PBM3入力端子を選択することによってプログラミング できます。 2個のICで、ハンドヘルド電子手帳、コンピュータ、 データターミナル用の4出力の電源を設計することがで きます(図13)。出力電圧はPCMCIAスロットとアナログ 回路用が5V、CPUとRAM用が3.3V、フラッシュメモリ用 が12V、LCDバックプレーンバイアス用が-17Vです。 5番目のレギュレータ(マイクロパワーブースト回路) は、バッテリ交換中のバックアップ用です。これはメイン バッテリが消耗するか取り外されるまでアイドル状態に あり、必要が生じるとリチウムコインセルの出力を昇圧 10 B2 LITHIUM CR2032 C5 100µF V1 +3.3V 250mA L1 D1 22µH 1N5817 C1 100µF L2 C4 22µH 0.1µF 16 15 V+ D12 LX3 CS12 L3 220µH 7 D4 1N914 D3 1N4001 8 13 Q2 2N2955 5 C2 47µF R1 0.22Ω LXB FB12 FB3 PFO LIN BKUP VREF C3 0.22µF B1 2x AA CELLS Q1 V2 +12V/120mA Flash VPP 11 MAX718 DCIN R2 330Ω 12 D2 1N5817 12ON AGND 12/5 GND 14 10 9 3.3V LOW 3 WALL CUBE ON 1 ACTIVATE BACKUP 2 12V ON 4 TO 3.3V 6 C6 100µF C7 0.1µF L4 D5 22µH 1N5817 V3 +5V 200mA 16 15 V+ CS+ LX3 C8 100µF D7 1N4001 EXTERNAL ≈ 9V DC SOURCE R3 1Ω CS- 10 7 MAX722 DHI FB3 DLO 13 Q4 2N2955 9 R6 330Ω 3 2 1 11 D6 Q3 1N5818 L5 47µH LIN FBN C9 2.2µF SHDN GND 14 R4 1.5M 8 3/5 NEGON V4 -17V LCD POWER 12 R5 110k VREF 5 PFO 4 AGND 6 5V LOW C10 0.22µF 5V AND LCD OFF LCD ON 図13. これら2個のICは、2個の単三電池から駆動されるシステムの電源機能をサポートします。即ち、4種類の電源発生、システム電源の監視、リチウム のバックアップバッテリの制御、及びバッテリとACアダプタの切替えを行います。 この回路は、バッテリ電圧の変化がマイナススロープ になったことを検出すると自動的に急速充電を終了しま す。また、充電終了のバックアップとして可変タイム アウトを備えています。ニッケル水素バッテリはマイナス スロープでなくゼロスロープで終了する必要があること に注意してください。ニッケル水素バッテリの場合は、 MAX713をピンコンパチブルのMAX712に置き換えてく ださい。 PGM3の接続では、急速充電速度が1A、トリクル充電速 度がその16分の1に設定されています。バックアップタ イマは90分に設定されています。 図15は、自動車バッテリ等の公称12Vの入力電圧で動 作するようになっているため、充電できるのは6セルま でのバッテリに限られています。図に示されたPBM0- 参考文献: (資料請求番号:1) 1. High Frequency Power Converters、Stevens and Wittlinger, Harris. 11 Si9405 Q1 0.15Ω R5 0.15Ω DALE IHSM-5832 L1 22µH R10 0.15Ω IOUT 1A ±5% VIN 16µF 16µF D2 6 CS 7 EXT 5 V+ C4 10µF 16V D1 1N4740 10V N.C. 1 MAX649 OUT REF SHDN 3 R1 200Ω 1W R9 1k, 1% D3 1N4733 5.1V IC1 FB C6 220µF 2 R11 1k, 1% IC2 R6 2.7k 4 GND 8 MC34071 (MOTOROLA) R7 10k, 1% 0.1µF R8 10k, 1% U2 = MOTOROLA MC34071 R4 100k R2 510k OFF R3 100k ON Q1 2N3904 図14. この1Aのスイッチモード電流源は、「ハイサイド」電流検出を用いることでグランドに接続されたバッテリに充電用電流を供給します。オペアンプ が出力電流を検出してDC-DCコンバータにフィードバックします。 Q3 IRF9024 INPUT 8V TO 16V LED D3 R1 1k C5 10µF R2 4.7k C6 10µF D2 L1 COILCRAFT (708) 639-6400 D03340 220µH Q1 CMPTA06 FAST CHARGE Q4 CMPTA06 Q2 2N2907 CENTRAL SEMICONDUCTOR (516) 435-1110 D1 D1, D2 ARE MBRS340T3 MOTOROLA (602) 244-3576 470Ω 5 THI 8 15 V+ 14 C1 1µF DRV FASTCHG BATT+ BATT+ 3 PGM SETTINGS SHOWN ARE FOR 3 CELLS, 1C CHARGE RATE, AND 90 MIN TIMEOUT. 4 9 10 1 AMP (FAST) 2 PGM0 MAX713 BATT- C3 10µF 12 BATT- PGM1 TLO 6 R3 0.25Ω PGM2 GND 13 PGM3 REF VLIMIT TEMP CC 16 1 7 11 C2 220pF C4 0.1µF 図15. 低コストのバッテリ充電コントローラが、低消費電力の急速充電スイッチモード回路の心臓部になっています。バッテリが完全に充電されると、 回路は自動的にC/16のトリクル充電に移行します。 12
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