4/23/2009 生体高分子構造解析装置を利用するにあたって−年度始め諸注意− 1.利用登録 生体高分子構造解析装置(以下、NMR 装置)を利用するためには、他の機器と同様に機器分析実 験施設へ利用登録(指導教員が一括で申請)をしなければならない。AVANCE 400 と AVANCE 500 の利用登録は別々になっているので、両装置を利用する場合はそれぞれの利用登録が必要である。 2.NMR 装置を利用するためには NMR 装置を利用するためには指導教員が責任をもつことが要求されている。したがって、本装置 を利用する研究室の指導教員は、毎年、年度始めの講習会に参加し、最新の注意を熟知していなけれ ばならない。講習会当日に公務等がある場合には事前に申し出て、後日送付される諸注意を熟読して 研究室の学生に周知徹底を図らなければならない。したがって、指導教員が講習会に出席していない 場合には、指導教員およびその研究室の学生・院生がその年度の諸注意を熟知するまでの間、仮登録 扱いとする。 3.NMR 測定を実際に行うためには NMR の単独測定を許可されるためには、装置の作動(信号を検出する仕組み:原理)を十分に理 解していることを確認する筆記試験に合格し、他の人の助力なしで問題なく操作できることを確認す る実技試験に合格しなければならない。それに加えて機器の故障などの利用者間での迅速かつ確実な 連絡をするために、メールアドレスの登録を必要とする。 4.NMR 装置の利用にあたって (1) 共同利用の装置であるので大切に使ってほしい。 (2) 積極的に利用してほしい。 (3) 装置を壊したり劣化させたりしないように注意する。 この装置は注意深く利用すればそんなに簡単に壊れるものではない。しかし、不注意に扱えば 簡単に壊れる。したがって、どんなことをしてはいけないかということをよく考えて利用する。利 用者各人が性能を維持していくように努力する。 (4) 装置に異状を認めたときには必ず使用簿にその状況を記録し、できるだけ早く藤井、谷または右 田に連絡する。装置の故障は早めに修理すれば修理費用も少なく、現状復帰までの期間が短く、良 好な性能を長く維持できる。故障した状態で放置すればするほど、ますます修理に時間とお金がか かるようになり、本装置の多くの利用者に迷惑がかかることになる。 (5) 最も多い故障はコンソール内の分光器制御用コンピュータとホストコンピュータとの間の通信ト ラブルである。AVANCE 400 の場合にはホストコンピュータが Windows XP マシンであるので、 ホストコンピュータを再起動させて通信を復活させれば測定が可能になることがある。装置がうま く動かなくなったら、まず、ICON-NMR と TOPSPIN を終了させる。その後 Windows XP を再 起動させてログインし、TOPSPIN に入る前にコンソール内の CCU ボードのリセットスイッチを 押す。約1分間待ってから TOPSPIN に入って ICON-NMR を立ち上げる。それでも動かなかっ たら、藤井、谷または右田に連絡する。 AVANCE 500 のコンピュータは UNIX マシンであるから、不用意に停止や再起動するとファイ ルシステムが破損する可能性がある。トラブルが生じたら谷または右田に連絡すること。 (6) 測定を迅速に進めるために、 各研究室で溶媒ごとのシムファイルを作成し、それを読み込んで測定を開始すること。この操作 をすることにより、シム調整のための時間を大幅に節約することができる。最適なシム値は試料管、 溶媒によって異なるので、試料管や溶媒ごとにそれぞれ別々のシムファイルをつくっておく。また、 試料が電解質の高濃度溶液であったり、常磁性試料であったりする場合にもシムの値は異なるので、 これらの試料用のシムファイルも作成しておくこと。 試料管によるシム値の変動を低くするためには、研究室の NMR 試料管はできるだけ同じメーカ ーの同じグレードのものにそろえることをお勧めする。装置に熟知したら、マニュアルシムをマス ターすること。 (7) 測定について サンプルチューブはヒビ、反り、ひずみの無い物を使用すること。 サンプル投入前にサンプルチューブおよびホルダーは、エタノールを付けたキムワイプで十分に 清掃すること。 測定中、Q-dip を確認し、問題がある場合は測定せず、担当教員に連絡すること。 ICON NMR 使用時でもロックモニターを確認し、必要に応じてマニュアルで、シム調整をしても よい。 データは定期的に適当な記憶媒体に保存しておくこと。 (8) AVANCE 500 の利用について ハイパワーが出せるので、チューニングとマッチングを慎重に行わなければならない。そのチ ューニングとマッチングは variable condenser の静電容量を変化させて行っている。variable condenser とその周囲にあるチップコンデンサーの機械強度は非常に弱いので、ネジを回すときに はゆっくりと力をかけないようにして回す。 シム調整は基本的にマニュアルで行うので、十分なトレーニングが必要である。ただし、TXI インバースプローブを使用した軽水系(90%H2O/10%D2O)測定の場合のみシム値を自動設定す るグラジエントシムと呼ばれる調整法が利用可能である。 5.高磁場環境への対応策 高磁場の超伝導磁石であるために、この超伝導磁石が故障する事態を引き起こす加害者とならない ようにする注意と、逆に超伝導磁石から被害を被る被害者にならないようにする注意がある。 ●加害者にならないためには 磁性体の持込が最も避けなければならないことである。 5ガウスライン以内では磁場の作用が大きいのでこの範囲以内に磁性体を入れない。 マグネットの上や下が最も危ない。 磁性体:超伝導マグネットの破壊、分解能の低下の原因となる。 ガスボンベ、鉄製の工具、ナイフ、カッター、掃除機の本体部分、クリップ、ホッチキスのピン、 ヘアーピン、針、釘、ボルトナット、木ねじ(この部屋で使うことが許されているものはステンレ ス製の釘や木ねじ)、砂鉄(つまり土)。しんちゅう製のキーや硬貨は無害(超伝導磁石にくっつけ ろと言っている訳ではない) ●試料挿入のとき超伝導マグネットに寄りかからないようにする。(超伝導コイルがゆれると超伝導 状態が破壊されてクェンチが起こる可能性がある。危ないし、装置が受ける被害も大きい。 ) ●被害者にならないためには ペースメーカー、磁気カード、針式の時計などを5ガウスライン以内に入れない。 6.その他の測定上の注意 ●多核測定のときには必ず Q-dip で電波の伝送に問題がないことを確かめる(インピーダンス調整) 。 ●観測用のパルス(30゜パルス)以外のパルス強度やパルス幅を標準メニューの値とは違うものに変 えて積算する測定を企画したときには右田に相談する。 ●温度可変実験をするときには藤井または谷に連絡する。 ●超伝導磁石以外の部分への注意 ほこり:電子機器部分の故障の原因となる。←これは最も深刻なトラブルの原因である。 コンプレッサーに溜まった水:気が付いたら抜く。 エアコンが不調のとき:機器分析実験施設の森福さんに伝える。 7.安全面の対策 液体窒素タンク:前室に固定して転倒防止している。 超伝導マグネットからガスの噴出しがあったらすぐに非常口から脱出して連絡。(自分で何とかしよ うとは考えない。まして一人の時には、脱出することのみを考えて行動する。) 8.非常時(停電、地震など) 停電になると測定室内は完全に真っ暗になる。慌てず、出口・非常口を探し外へ出る。瞬断があった 場合はシステムがフリーズすることがある。状況の回復を待ってリスタートする。分からない時は担 当教員や管理者または管理補助者に相談する。 地震の場合は測定者の安全を最優先する。机の下など安全なところに避難する。停電を併発した場合 は上記停電時に準じて行動する。 非難口は常に意識しておくこと。 9.測定室内の清掃その他 測定室内にホコリが溜まらないようにするために、週 1 回当番が掃除をする。 当番に当たった人は全員が掃除をする。例年見ていると、特定の人しかやっていないようである。 掃除の量はかなり多いので、たくさんの人が分担してやる。掃除の時間があまりにも短いならばその 掃除は不十分な証拠である。 当番でなくても、測定室内の汚れに気がついたら、自発的に掃除をすること。 掃除の対象:操作卓、実験台など、床(ケーブルの下も)、前室の床などすべて。 掃除機でホコリを吸い取った後、よく絞った雑巾で操作卓や床面を拭く。 特に扉付近と非常口(ホコリの侵入口)付近を丁寧に掃除する。 スリッパの裏も汚れていることが多いので雑巾で拭くこと。 蒸留したエタノールが少なくなったら、補充当番が補充すること。 通常の測定の際、注意しておく こと。 記録用の PPC 用紙が最後の1冊になったり、プリンタのトナーの残量が少なくなったりしたときに は連絡する。 ホコリを測定室に入れないために、前室に入る時、および測定室に入る時にはそれぞれ専用のスリッ パに履き替える。衛生上、裸足ではスリッパを使用しないこと。 10.予約システムの利用について 400MHz: http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~stani/web-login/NMR/avance400/jp/jtop.cgi 500MHz: http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~stani/web-login/NMR/avance500/jp/jtop.cgi 予約システムによる運用を原則としているけれども、AVANCE 500 に関しては特殊測定を目的と しているので、仮に予約をとっていても、測定の都合でキャンセルしてもらうことがある。例えば、 宇部地区から測定に来たときに、特殊測定をするグループの利用のために測定できないことがある。 そのような事態が生じることを防ぐために、あらかじめメールで世話人に連絡しておくこと。 連絡先 機器分析実験施設(森福):083-933-5773 NMR 測定室:電話 083-933-5799 藤井:電話 083-933-5739(内線5739) 谷 :電話 083-933-5737(内線5737) 右田:電話 083-933-5733(内線5733) e-mail:[email protected] e-mail:[email protected] e-mail:[email protected]
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