2012〜2016 年度

添付資料①
2012〜2016 年度
~⾼収益体質を確⽴し、新たな成⻑のステージへ~
2013 年 4 月 30 日
日本航空株式会社
始めに
平素より日本航空をご利⽤頂いているお客さま、国内外の株主の皆さま、各種
お取引を頂いている関係者の皆さまに、厚く御礼を申し上げます。
2012 年 2 月 15 日に「2012〜2016 年度 JAL グループ中期経営計画~⾼収益体質を確⽴し、新
たな成⻑のステージへ~」を発表して約1年が過ぎました。その間、2012 年 9 月 19 日には東京証券
取引所第⼀部に上場し、企業再⽣⽀援機構からの出資⾦ 3500 億円をお返しすることができ、企業と
しての再出発のスタートラインに⽴たせていただきましたことにあらためて感謝申し上げます。JAL グループ
はいわば設⽴ 7 か月の会社と同じであり、まだまだ道半ばの会社です。今後も好業績にも緩むことなく、
過去の失敗を悔恨し、その反省とこれまで賜ったご⽀援に対する感謝を決して忘れず、安全運航の堅持
と快適なサービスのご提供を通じて業績向上に努めてまいります。
中期経営計画の初年度を終えて⼆年⽬を迎えるにあたり、お客さま、株主の皆さま、関係者の皆さまに
あらためて「中期経営計画の経営⽬標を最終年度である 2016 年度までに達成する」という強い気持ち
を、経営陣を代表してお伝えしたいと思います。そして、その思いを実現すべく、現計画の進捗状況を振り
返り、着実な歩みを進めるべく、この「中期経営計画ローリングプラン 2013」を策定いたしました。
これまで、安全運航の堅持を⼤前提に、部⾨別採算制度や JAL フィロソフィの導入により、JAL グループ
社員⼀⼈ひとりの採算意識を⾼めてまいりましたが、ローリングプラン策定にあたっては、収⽀・財務実績
のみならず、固定観念にとらわれることなく振り返りを⾏い、環境変化へ対応した計画の⾒直しも⾏いまし
た。引き続き、路線毎の採算性を⼗分に⾒極めたうえで、継続的に路線の⾒直しを⾏うことで、利便性
の⾼いネットワークを構築することに加え、お客さまに最⾼のサービスをご提供し、企業価値を⾼め、CSR
の観点も加味して様々な形で社会の進歩発展に貢献してまいります。また、株主の皆さまに、継続的な
配当の実施により、積極的な株主還元を実施してまいります。
今後、常に危機意識を持った「⾃⽴的経営」、失敗を恐れず新しいことに臆することなく取り組む「挑戦」、
世の中の変化に素早く対応する「スピード」を意識して、進化した企業グループ作りに取り組んでまいりま
す。今後とも皆さまのお引き⽴てを賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
代表取締役社⻑ 植木義晴
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目次
1. 中期経営計画1年目を終えて (P.3〜)
1-1.中期経営計画ローリングプラン策定にあたり
P.4
1-2.事業環境の変化
P.5
1-3.中期経営計画のポイント
P.6
1-4.「競争に勝ち抜くための差別化」取り組み状況
P.7
1-5.経営⽬標の進捗度
P.8
1-6.各年度の位置づけ
P.11
2. 「振り返り」と「今後の取り組み」 (P.12〜)
2-1. 安全を守る取り組み
P.13
2-2.
P.14
競争⼒改善による収入最⼤化
2-2-1. 路線ネットワーク(国際線・国内線)
P.14
2-2-2.
商品サービス(国際線・国内線)
P.18
2-2-3.
旅客販売
P.21
2-2-4.
貨物郵便事業
P.22
2-2-5.
機材・投資
P.23
2-3. ⽣産性向上による費⽤最小化
P.25
2-3-1. ユニットコストの低減
P.25
2-3-2. ⽣産性向上
P.26
2-4. グループマネジメントと⼈財育成
P.28
2-4-1. グループマネジメント
P.28
2-4-2. ⼈財育成・⼈員計画
P.28
3. 収支・財務計画 (P.29〜)
3-1. 財務⽬標と実績
P.30
3-2. 各種前提
P.30
3-3. 収⽀・財務計画のリスク
P.30
3-4. 収入指標の追加
P.30
3-5. 主要な経営指標(計画)
P.31
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1. 中期経営計画1年目を終えて
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1-1.中期経営計画ローリングプラン策定にあたり
JAL グループには、計画作成を重視する⼀⽅、その実⾏状況や達成度に対する振り返りが⼗分ではなく、
結果についての分析、反省をふまえることなく、以後の経営を進めたという、⼤いに反省すべき過去があり
ます。
よって、現在の「2012〜2016 年度 JAL グループ中期経営計画」においては、⽬標に向かってどのような
施策を実⾏しているのかを常に確認し、必要に応じて⽬標に向けての取り組みを修正し、計画の必達に
向けて⾏動していることを社内は勿論のこと、お客さま、株主の皆さま、関係者の皆さまにご説明すること
が重要であると考えています。
そのために、現在の経営環境を踏まえたうえで、2012〜2016 年度 JAL グループ中期経営計画の経営
⽬標を変更しないことを確認し、
・JAL グループ社員が、「進むべき⽅向を確認し、今我々がどこにいるのかを理解すること」
・お客さま、株主の皆さま、関係者の皆さまへ、「中期経営計画の進捗状況をお示しすること」
を⽬的として、今回、「中期経営計画ローリングプラン 2013」を策定いたしました。
「振り返り」と「今後の取り組み⽅針」 - 過ぎた1年間を謙虚に振り返り、残された4年間で確実に
⽬標を達成するための取り組み⽅針を再確認し、実⾏に移してまいります。また、この経営⽬標の達成を
通じて、JAL グループ企業理念の実現を⽬指します。
【JAL グループ企業理念】
JAL グループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
⼀、 お客さまに最⾼のサービスを提供します。
⼀、企業価値を⾼め、社会の進歩発展に貢献します。
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1-2.事業環境の変化
【振り返り】
中期経営計画 1 年⽬である 2012 年度の世界経済は、欧州の政府債務危機や中国・韓国・台湾の
経済成⻑率低下等により減速し、日本経済も景気回復の動きに⾜踏みがみられました。
この結果、日本発着貨物需要は、円⾼の影響や⽣産拠点の海外シフト等もあり、特に日本発需要が
急速に減少した⼀⽅、旅客需要は、尖閣・竹島問題による影響があったものの、東日本⼤震災からの
回復や為替動向による観光需要を中心に増加しました。
供給環境については、成⽥や関⻄をベースとするローコストキャリア(LCC)が事業を開始し、国際線・国
内線ともに多くの路線を開設したことを主因に、航空輸送供給量は増加しており、特に、韓国線を中心
とした近距離国際線における LCC の存在感は⼤きくなりつつあります。加えて、日本国内においては、他
交通モードによる影響(新幹線の延伸等)が顕在化し、路線によっては需要流出が発⽣しております。
よって、競争環境としては、LCC による新たな需要創出も含めて、旅客需要は堅調に推移している⼀⽅、
供給がそれを上回る勢いで拡⼤傾向にあり、厳しい状態が継続していると認識しています。
また、世界的な航空会社間提携の観点では、「共同事業」の展開による連携強化が加速傾向にあり、
当社も 2011 年 4 月に開始したアメリカン航空(AA)との太平洋線共同事業に加え、2012 年 10 月よ
りブリティッシュ・エアウェイズ(BA)との欧州線共同事業を開始しました。
【今後の⾒通し】
世界経済は、欧州の政府債務危機やアメリカにおける財政問題等のリスクはあるものの、回復基調にあ
り、日本経済も、経済対策や⾦融政策の効果等を背景に、世界経済同様に景気回復へ向かうと考え
られます。
日本発着旅客需要は、消費税率引上げの影響が⾒込まれるものの、引き続き緩やかに増加すると想
定され、特に、観光需要については、LCC による需要創出要素も含めて活性化すると⾒込まれます。
⼀⽅、貨物需要については、日本発総需要が⾜元で引き続き減少傾向にあり、2013 年度以降におい
ても急激な回復を期待できないと想定しております。
このような需要環境に対して、供給環境としては段階的な首都圏発着枠拡⼤を控えており、また、新幹
線等の他交通モードの整備も進むことから、国際線・国内線ともに引き続き厳しい競争環境が想定され
ますが、利便性が⾼い⽻⽥空港発着枠の拡⼤(2013 年:国内線、2014 年:国際線)に⼤きなビジネ
スチャンスがあると考えております。
このチャンスを確実に捉えるために、継続的な計画の⾒直しと実⾏、競争に勝ち抜くための新たな施策、
パートナーとの協調等がこれまで以上に求められると認識しております。
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1-3.中期経営計画のポイント
競争に勝ち抜くために
競争に勝ち抜くために、特に下記3項目については競合他社に対して差別化を図る。
① JAL ブランドの追求
② 路線ネットワーク・商品・サービス
③ コスト競争⼒
重要な取り組み課題
上記①〜③の差別化を実現するために、下記 5 項目について特に重点的に取り組む。
1. 安全を守る取り組み
2. 路線ネットワーク
3. 商品サービス
4. グループマネジメント
5. 人財育成
経営目標
上記 5 項目に取り組んだ結果として、経営目標としての下記 3 項目を実現する。
1. 安全運航は JAL グループの存⽴基盤であり、社会的責務であることを認識し、
輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして、安全運航を堅持する。
2. お客さまが常に新鮮な感動を得られるような最⾼のサービスをご提供し、
2016 年度までに「顧客満⾜ No.1」(※)を達成する。
3. 景気変動やイベントリスクを吸収しうる収益⼒、財務基盤として、
「5 年連続営業利益率 10%以上、2016 年度末⾃⼰資本⽐率 50%以上」を達成
する。
※お客さまの再利⽤意向率、他者推奨意向率 : 公益法⼈ 日本⽣産性本部 サービス産業⽣産性協議会が公表する JCSI の値
(Japanese Customer Satisfaction Index)
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1-4.「競争に勝ち抜くための差別化」 取り組み状況
本中期経営計画においては、様々な競争環境変化が想定される中で、「お客さまが常に新鮮な感動を
得られるようなサービスをご提供することで、日本、そして世界のお客さまから⼀番に選ばれるエアライング
ループとなる」ために、「JAL ブランドの追求」「路線ネットワーク・商品・サービス」「コスト競争⼒」の3点で
競合他社に対して、明確に差別化することを⽬指しております。
1. 「JAL ブランドの追求」
安全運航を堅持し、国際線機内インターネットサービスや新座席に代表される商品・サービスの品質
向上を図るとともに、定時性世界⼀の達成等、グル-プ全社員が⼀丸となってお客さまに最⾼のサ
-ビスを提供する取り組みを進めております。今後も、ローコストキャリア(LCC)とは明確に異なるフル
サービスキャリアとしての「JAL ブランド」を追求し続けます。
2. 「路線ネットワーク・商品・サービス」
2012 年度には、ボストン、サンディエゴへの新規路線開設や、成⽥=シンガポール線、成⽥=デリ
ー線を増便し、中⻑距離路線のネットワークを迅速に展開しました。また、777-300 機材における
新座席の提供開始、新たなコンセプトでの機内食⼀新、本邦航空会社では唯⼀となる機内インタ
ーネットサービスのご提供等、サービスラインナップを充実致しました。また、国内線では福岡=花巻
線、新潟=札幌線を開設(再開)し、地⽅路線を拡充しました。
2013 年 1 月 16 日以降の 787 機材運航⾒合わせにより、ヘルシンキ線の開設やアジア路線の機
材変更が延期となり、当初の事業展開に遅れが⽣じておりますが、今後も中⻑距離路線(欧米・東
南アジア路線)に経営資源を集中的に投入し、路線ネットワーク・商品・サービスの品質向上を実現
していきます。また、国内線では、⽻⽥発着、伊丹発着を中心に新規路線開設、増便を⾏い、利
便性の⾼いネットワークを展開していきます。
3. 「コスト競争⼒」
安全を守る取り組みの徹底、品質の維持・向上を前提とした「抜本的な費⽤効率化」への取り組み
を継続しており、中期期間中の費⽤効率化⽬標 500 億円のうち、2012 年度は 100 億円を達成
しました。今後も、既成概念にとらわれない更なる創意工夫を含めて、⽬標達成に向けた取り組み
を継続し、為替変動等の外的環境の変化に対しても揺るがないコスト体質の形成を⽬指します。
これらの差別化を実現していくための「重要な取り組み課題」として、
「安全を守る取り組み」「路線ネットワーク」「商品・サービス」「グループマネジメント」「⼈財育成」
の 5 項⽬に取り組んできましたが、この「振り返り」と「今後の取り組み」については、第 2 章にて詳述
いたします。
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1-5.経営目標の進捗度
1.安全運航は JAL グループの存⽴基盤であり、社会的責務であることを認識し、
輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして、安全運航を堅持する。
JAL グループ安全⽬標として、航空事故、重⼤インシデントともにゼロを追求しておりますが、2012 年度
には 1 件の航空事故、4 件の重⼤インシデントが発⽣しました。ご搭乗されたお客さまをはじめ、関係する
皆さまに多⼤なるご心配・ご迷惑をお掛けしたことを心よりお詫び申し上げます。この事実を真摯に受け
止め、原因究明、再発防止策を徹底いたします。
【2012 年度の管理指標と実績】
各指標
実績
航空事故 (*1)
1件
重⼤インシデント
4件
(*2)
概要
2012/11/26 JAL877 便(成⽥-上海浦東)巡航⾼度の 36,000 フィートに到達、シートベルトサインを消灯後に気流の上下
動に遭遇し機体が揺れ、お客さまお⼀⼈がお怪我
2012/7/8 JAC3635 便(福岡-宮崎) 他機が着陸態勢に入る中、管制指示により離陸準備のため滑⾛路進入(※)
2012/10/20 JAL1471 便(⽻⽥-松山) 航⾏中エンジン不具合発⽣により⽻⽥に緊急着陸
2012/10/31 JAC3745 便(⿅児島-屋久島) 屋久島空港滑⾛路⾛⾏中、他機が滑⾛路に進入し離陸(※)
2012/12/25 JAL2837 便(札幌-花巻) 花巻空港着陸後、滑⾛路逸脱(⾃⾛不可)
(※) 運輸安全委員会による原因調査が続いておりますが、これまでのところ JAL グループ側の問題点は指摘されておりません
(*1) 航空機の運航によって発⽣した⼈の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または⽕災、航⾏中の航空機の損傷(⼤修理)等。
(*2) 航空事故には至らないものの、その恐れがあったと認められる事態。滑⾛路からの逸脱、⾮常脱出等。
この他、イレギュラー運航(*3)、お客さまのお怪我(*4)、ヒューマンエラーによる不具合(*5)についても安全⽬
標とし、減少に向けて、さまざまな取り組みを⾏ってまいりました。お客さまのお怪我、ヒューマンエラーによる
不具合については、着実に減少させることができました。お客さまに「安心」してご利⽤いただける航空会
社を⽬指し、引き続き取り組みの強化に努めてまいります。
(*3) 航空機システムの不具合等が発⽣し、⽬的地等が変更される事態。ただちに運航の安全に影響を及ぼすものではない。
(*4) お客さまが機内や空港でお怪我をされ、医療機関を受診された事例を対象とした。(社内統計)
(*5) 運航全体の安全に与える影響を考慮し、運航、整備等、部⾨ごとに重点的に撲滅すべきヒューマンエラーによる不具合事例を対象とした。(社内統計)
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2.お客さまが常に新鮮な感動を得られるような最⾼のサービスをご提供し、
2016 年度までに「顧客満⾜ No.1」を達成する。
路線ネットワークの展開、ヒューマンをはじめとする商品・サービスの改善に取り組んだ結果、上位との差は
小さくなっていますが、⽬標達成に向けて「取り組みの継続性」が重要と考えております。2012 年度の結
果分析をふまえて、「スピード感」をもって、新しいサービスを常に展開していくことに「挑戦」していきます。
【JCSI(日本版顧客満⾜指数)】※出典 JCSI 調査
(国際線)
(国内線)
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3.景気変動やイベントリスクを吸収しうる収益⼒、財務基盤として、
「5 年連続営業利益率 10%以上、2016 年度末⾃⼰資本⽐率 50%以上」を達成する。
【2012 年度実績】
国際線旅客収入を中心とした増収、⽣産性向上効果を含めた費⽤減の結果、営業利益 1,952 億円
(中期経営計画対比+572 億円)、営業利益率は「15.8%」となりました。
また、これに伴い 2012 年度末の⾃⼰資本は 5,650 億円(同+970 億円)、
⾃⼰資本比率は、「46.4%」となりました。
【2013 年度計画】
競争⼒向上による増収を⾒込む⼀⽅、為替変動に伴う燃油費を中心とした費⽤増要素が⼤きく、加え
て、787 運航⾒合わせによる収⽀悪化影響を⾒込んでおります。この結果、営業利益は、1,400 億円
(中期経営計画対比±0 億円)、営業利益率は、「11.0%」となる計画です。
また、2013 年度末の⾃⼰資本は 6,440 億円(同+750 億円)となり、
⾃⼰資本比率は、「50.6%」となる⾒通しです。
2013 年度内の⾃⼰資本比率 50%達成が視野に入ってきておりますが、将来における企業成⻑と経
営環境の変化に対応するための投資や強固な財務体質構築に資する内部留保⾦を確保しつつ、株主
の皆様へ継続的に配当を⾏い、利益還元を積極的に⾏っていきたいと考えております。
【収支・財務実績/計画のサマリー】
⾦額単位:億円
2012 年度実績
2013 年度計画
営業収入
12,388
12,720
営業費用
10,435
11,320
営業利益
1,952
1,400
15.8%
11.0%
経常利益
1,858
1,270
当期純利益
1,716
1,180
46.4%
50.6%
営業利益率
⾃⼰資本⽐率
注:上記記載の計画値については、3-2.各種前提に記載しております燃油(シンケロ)、為替の前提値
からの⼤幅な変動、及びテロ・戦争・⼤災害等による急激な需要変動の発⽣を想定しておりません。
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1-6.各年度の位置づけ
中期経営計画の対象期間である 2012 年度から 2016 年度までのうち、その1年⽬を終えた今、あら
ためて各年度の位置づけを下記の通り整理しました。
■2012 年度
中期経営計画の「実⾏⼒」が試された年
決めたことを実⾏できず、その原因分析を⼗分に⾏わないまま、新たな計画策定を⾏ってきた過去を反
省し、「JAL グループは変わった」こと、「ステークホルダーとの約束を守れる会社になった」ことをお示しする
ために、全社⼀丸となって取り組んだ⼀年でした。
2012 年度決算報告のとおり、当初⽬標を達成することができましたが、中期経営計画 5 年のうちの 1
年⽬に過ぎず、結果に慢心することなく、結果に至る過程も⾒直しながら、今後の取り組みに活かしてい
くことが重要と考えております。
■2013 年度
中期経営計画の「真価」が問われる年
787 機材の運航⾒合わせや為替動向といった年度開始時点で顕在化しているリスクを乗り越えて、
「⾼収益体質を確⽴」していけるか、2013 年度は我々の真価が問われていると考えています。
ハード(機材・座席・空港施設等)・ソフト(機内エンターテイメント・機内食等)だけに頼らず、予約・販売
から空港・客室に至るまでの「ヒューマンサービス」を磨き上げ、お客さまが常に新鮮な感動を得られるよう
な最⾼のサービスをご提供するとともに、⽣産性向上による費⽤最小化を継続することで、⾼い収益性を
確保し、本中期経営計画が「ゆるぎなきステークホルダーとの約束」であることをお示しする⼀年とします。
■2014〜2016 年度
中期経営計画の「経営目標を着実に達成」し、新たな成⻑を開始する時期
本中期経営計画の副題は、「⾼収益体質を確⽴し、新たな成⻑ステージへ」です。
2012〜2013 年度は特に「⾼収益体質を確⽴」することに注⼒する⼀⽅、中期経営計画の後半期間
である 2014 年度以降は、「新たな成⻑のステージ」を⽬指していくことが課題であると認識しています。
⽻⽥空港国際線発着枠の増加等のビジネスチャンスを確実に捉えながら、中期経営計画の経営⽬標
を着実に達成したうえで、「⾃⽴」「挑戦」「スピード」をキーワードに、新たな成⻑に向けた施策を具現化
していくことで、「競争に勝ち抜き、永続的に存続・発展していく JAL グループ」となれることをお示しする期
間とします。
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2. 「振り返り」と「今後の取り組み」
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2-1. 安全を守る取り組み
【中期経営計画骨子】
JAL グループの存⽴基盤である安全運航を堅持するために「安全を守る⼈財」「安全を守るシステムの進
化」「安全を守る⽂化の醸成」の3つの取り組みを⾏い、「安全の層」を厚く積み重ねます。
【振り返り】
「安全を守る⼈財」については、JAL グループ全社員の「安全のプロフェッショナル」への育成を⽬的とし、
「JAL グループ安全教育」の実施に向け、安全アドバイザリーグループをはじめとした多くの⽅々の協⼒によ
り教育プログラムを策定し、2012 年 10 月末から教育を開始しました。2013 年 3 月末時点では、JAL
グル-プ全社員の約 2 割にあたる 5,800 名が受講しました。
「安全を守るシステムの進化」については、発⽣した不具合の要因分析と対策⽴案の⽅法を標準化し、
再発防止策を JAL グループ全体に展開するための仕組みと体制を整え、2012 年度下期より運⽤を開
始しました。また、不具合が発⽣する前に予防的対策を取ること(未然防止)を促進するため、JAL グル
ープ全部⾨において、過去不具合等の情報を蓄積するための安全情報データベースの整備を進めてい
ます。
「安全を守る⽂化の醸成」については、社内報へ「提言書のすゝめ」(安全アドバイザリーグループの先⽣
⽅からの解説・メッセージ)を連載するとともに、肉声によるコミュニケーションや基本手順の徹底を定着す
べく、安全キャンペーンを活⽤するなど、年間を通した取り組みを展開しました。この他、⾃発報告制度の
活性化や社内表彰等にも継続して取り組んでいます。
【今後の取り組み】
2014 年度中に「JAL グル-プ安全教育」を JAL グル-プ全社員が受講完了するよう、着実に実施しま
す。また、2013 年度上期中に導入を完了する予定の安全情報データベースと昨年度から運⽤を開始
した JAL グル-プ全体で再発防止策を共有する仕組みを活⽤し、予防的対策の拡充を図ります。そし
て、過去の事故を決して風化させず、JAL グループが持つ厳粛な安全⽂化を継承すると共に、安全アド
バイザリーグループの助言を受けながら、2013 年度は、新たに提言書の中の「マニュアルを磨いていく⽂
化」をテーマとし、引き続き安全を守る⽂化の醸成に取り組んでまいります。
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2-2.
競争⼒改善による収入最⼤化
2-2-1. 路線ネットワーク(国際線・国内線)
【中期経営計画骨子】
単に規模拡⼤のみを追うことなく、路線ごとの採算性を⼗分に⾒極めたうえで、日本国内、そして日本と
世界を結ぶ利便性の⾼いネットワークを構築します。
国際線
【中期経営計画骨子】
首都圏発着枠(⽻⽥・成⽥)拡⼤を最⼤のビジネスチャンスと捉え、特に中⻑距離路線(欧米・東南アジ
ア路線)に経営資源を集中的に投入し、ネットワークを迅速に展開・確⽴します。
【振り返り】
ボストン線、サンディエゴ線をスリムな海外拠点体制(費⽤最小化)で新規開設し、また、シンガポール線、
デリー線を増便し、ネットワーク、便数増による利便性向上を図りました。加えて、シンガポール線、モスク
ワ線、北京線の運航機材変更により、迅速な需給適正化を図りました。
また、提携関連では、米州線、アジア線の拡充に伴い、アメリカン航空(AA)との太平洋線共同事業を
深化させるとともに、2012 年 10 月からブリティッシュ・エアウェイズ(BA)との欧州線共同事業を開始し、
成⽥/⽻⽥=ロンドン線で相互にコードシェアを開始するなど、欧州線全体の利便性向上に向けた取り
組みを加速させております。
⼀⽅、2013 年 1 月以降の 787 機材の運航⾒合わせに伴い、欧州線ネットワークの更なる利便性向
上を⽬的としたヘルシンキ線の開設、及び快適性向上を⽬的とした東京=バンコク線の機材変更が延
期(いずれも当初計画 2013 年 2 月以降)となりました。
2012 年度におけるネットワーク展開概要
路線
内容
便数(週間)
備考
成⽥=ボストン
開設
7便
2012 年 4 月開設
成⽥=サンディエゴ
開設
4便
2012 年 12 月開設
成⽥=デリー
増便
5 → 7便
2012 年 10 月以降増便
成⽥=モスクワ
機材変更
3便
777 機材→787 機材に変更
東京=シンガポール
増便/機材変更
14 → 21 便
2012 年 10 月以降増便 767 機材→787 機材に変更
⽻⽥=北京
機材変更
7便
767 機材→787 機材に変更
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【今後の取り組み】
2012 年度に続き、中⻑距離路線(欧米・東南アジア路線)に経営資源を集中的に投入していく⽅針
です。具体的には、新規路線の展開(2013 年 7 月 1 日 ヘルシンキ線開設)、中⻑距離路線(欧米、
東南アジア、ホノルル線)の機材変更等を推進し、機材与件の変化に柔軟に対応しながら、利便性、快
適性の⾼いネットワークを構築していくことに挑戦します。
首都圏発着枠の最⼤活⽤の観点では、⽻⽥については、2013 年度中に中国路線の開設、増便を検
討し、2014 年度以降については、計画されている増枠を最⼤限活⽤していきます。昼間帯及び深夜
早朝帯に欧米・アジア主要路線を積極的に展開し、首都圏発着旅客の利便性を向上させるとともに、
国内地⽅都市と世界主要都市を結ぶ国内⇔国際接続ハブを構築することで、国内地⽅発着旅客の
利便性を⾶躍的に向上させます。
また、2014 年度までに段階的に発着枠が拡⼤していく成⽥においては、国際⇔国際接続ハブ機能を
向上させ、加えて、近距離アジア路線では⾃社運航に加え、国際線展開を予定しているジェットスタージ
ャパンのネットワークを補完的に活⽤していきます。
提携関連では、共同事業の活⽤による利便性の向上、効率性の追求等により、提携効果最⼤化を実
現すべく、各パートナーとの協調により共同事業を成熟化させていくとともに、共同事業の範囲拡⼤や新
規パートナーの追加等を追求していきます。また、新たなパートナー(※)を含めた oneworld 加盟航空
会社のネットワークを最⼤限活⽤していきます。
※マレーシア航空(MH:2013 年 2 月加盟)、カタール航空(QR:2013 年度加盟予定)、スリランカ航空(UL:2013 年度加盟予定)、
TAM 航空(JJ:2014 年度加盟予定)、US エアウェイズ(US:アメリカン航空(AA)との合併会社として加盟予定)
2013 年度以降におけるネットワーク展開概要
路線
内容
備考
成⽥=ヘルシンキ
開設
7 月より 787 機材にて毎日運航
⽻⽥=広州
開設
関係当局との調整、準備が整い次第、運航開始日をご案内予定
機材変更
ニューヨーク線、ロサンゼルス線、シカゴ線、パリ線への SKY SUITE 座席
⽻⽥=上海浦東
欧米線
装着機材の投入
サンフランシスコ線への 787 機材投入
ホノルル線
機材変更
777 機材への変更、767 改修機材の投入により、C クラス座席商品を
改善
東南アジア線
機材変更
オセアニア線
デリー線、シドニー線への 787 機材投入
東京=バンコク線への 777 機材、787 機材投入による C クラス シェル
フラット化
その他路線も、順次、787 機材、767 改修機材を投入し、C クラス座
席商品を改善
関⻄=ソウル
減便
14 便→7 便
上記計画は、関係当局の認可を前提としております
15
国内線
【中期経営計画骨子】
競争環境に鑑み、「対他社競争⼒強化」を主眼におき、メインマーケットである⽻⽥・伊丹の環境変化に
的確に対応し、需給適合を図りつつ収益性の維持・向上を図ります。
【振り返り】
⽻⽥空港発着路線については、早朝時間帯発着枠や暫定枠を活⽤した増便、地⽅発着路線につい
ては、リージョナル機を活⽤した福岡=花巻線、新潟=札幌線の開設(再開)、その他路線の増便を⾏
い、ネットワーク拡充による利便性向上を実現しました。
⼀⽅、2013 年度の⽻⽥空港発着枠増に関する権益配分に関しては、結果として 3 便分(25 便分
中)の配枠となりました。
2012 年度におけるネットワーク展開概要
路線
内容
便数(日)
福岡=花巻
開設(再開)
1便
新潟=札幌
開設(再開)
2便
⽻⽥=熊本
増便
7 → 8便
⽻⽥=北九州
増便
4 → 5便
伊丹=⻘森
増便
2 → 3便
札幌=⼥満別
増便
2 → 3便
中部=札幌
増便
4 → 5便
札幌=仙台
増便
4 → 5便
福岡=宮崎
増便
9 → 10 便
⽻⽥=関⻄
減便
3 → 2便
伊丹=新潟
減便
4 → 3便
福岡=⿅児島
減便
3 → 2便
中部=石垣
運休
1 → 0便
成⽥=関⻄
運休
1 → 0便
【今後の取り組み】
2013 年度に配分を受けた⽻⽥空港発着枠を活⽤し、中部線を開設、沖縄線、札幌線の増便を⾏い、
2014 年度以降の⽻⽥空港国際線増枠を⾒据え、国内線と国際線の乗り継ぎ利便性を向上させます。
また、リージョナル機を活⽤し、伊丹発着 3 路線(松山/函館/三沢)を開設(再開)、既存路線を増便し、
路線の⼤幅な拡充を図ります。
加えて、戦略的パートナーであるジェットスタージャパンとコードシェア、マイレージ提携を締結し、成⽥(札
幌、福岡、関⻄、沖縄、⿅児島、⼤分、松山線)・関⻄(成⽥、札幌、福岡、沖縄線)・中部(福岡、⿅
児島線)を発着する各路線を国際線への接続ネットワークとして補完的に活⽤していきます。
16
2013 年度におけるネットワーク展開概要(発表済み)
路線
内容
便数(日)
運航開始日
⽻⽥=中部
開設
1便
2013 年 3 月 31 日〜
伊丹=松山
開設(再開)
3便
2013 年 3 月 31 日〜
伊丹=函館
開設(再開)
1便
2013 年 3 月 31 日〜
伊丹=三沢
開設(再開)
1便
2013 年 3 月 31 日〜
⽻⽥=札幌
増便
17 → 18 便
2013 年 6 月 1 日〜
⽻⽥=那覇
増便
13 → 14 便
2013 年 6 月 1 日〜
伊丹=札幌
増便
2 → 3便
2013 年 5 月 1 日〜
伊丹=福岡
増便
2 → 5便
2013 年 3 月 31 日〜
伊丹=仙台
増便
6 → 7便
2013 年 3 月 31 日〜
伊丹=花巻
増便
3 → 4便
2013 年 3 月 31 日〜
伊丹=⼤分
増便
2 → 3便
2013 年 3 月 31 日〜
伊丹=宮崎
増便
5 → 6便
2013 年 3 月 31 日〜
札幌=花巻
増便
3 → 4便
2013 年 3 月 31 日〜
福岡=松山
増便
6 → 7便
2013 年 3 月 31 日〜
⿅児島=松山
増便
1 → 2便
2013 年 3 月 31 日〜
⿅児島=屋久島
増便
5 → 6便
2013 年 3 月 31 日〜
※上記計画は、関係当局の認可を前提としております
機材数の推移、構成について
・2012 年度中に MD90 機材を完全退役させ、機種数削減による効率化を実現しております。
・E170 機材の導入前倒しにより、伊丹発着路線、ローカル路線のネットワーク拡⼤を早期に実現し、利
便性、収益性の向上を図ります。
17
2-2-2. 商品サービス(国際線・国内線)
内際共通/ヒューマンサービス
【中期経営計画骨子】
お客さまが常に新鮮な感動を得られるようなサービスの実現に向けて、教育センターや内外評価を活⽤し、
お客さまの心に寄り添い、ご要望を先取りし、柔軟にお応えできる⼈財の育成を図ります。
【振り返り】
全部⾨を通して、いつでも全てのお客さまに⾼い水準でサービスをご提供できるよう、内外評価を活⽤し、
⼈財育成体系・教育訓練・サービス内容を⾒直しました。具体的には、客室部⾨においては、JAL フィロ
ソフィをベースとした心の教育を展開し、空港部⾨においては、教育センターを活⽤した新しい訓練を開
始・展開するとともに、スタッフのスキル・サービスの内部評価を開始しました。また、予約部⾨においては、
⽣産性向上やスタッフの採⽤・育成により、「つながりやすい」コールセンターを⽬指すとともに、応対品質
の向上に努めました。
【今後の取り組み】
全部⾨を通して、スタッフ⼀⼈ひとりが感謝の気持ちを忘れず、お客さまに喜んでいただくことをやりがいとし
て、お客さまからの評価を真摯に受けとめ、その改善を図り、⾼いレベルの品質を⽬指します。
内際共通/マイレージプログラム
【中期経営計画骨子】
マイレージプログラムにおける最⼤の魅⼒である特典航空券の使いやすさを向上させるとともに、「貯めや
すく、使いやすいプログラム」にします。
【振り返り】
特典航空券については、特典航空券優先フライトを設定することで提供座席数を拡⼤し、また、JAL カ
ード割引設定により、より少ないマイル数で特典座席をご提供することで、「特典座席をもっと予約しやす
く」との声にお応えすべく、取り組みを進めております。
「貯めやすく、使いやすい」については、株式会社ビックカメラ、株式会社ぐるなびとの新規提携等により、
お客さまの⽣活の中や旅先でマイルを貯めていただける機会を増やすと共に、パートナークーポン特典の
開始、JAL クーポン利⽤先拡⼤(温泉マイル提携旅館等)により、特典を充実・拡⼤しました。また、マレ
ーシア航空(MH)、バンコクエアウェイズ(PG)、ジェットスタージャパン(GK)との新規提携により、提携航空
会社をご利⽤いただく場面での「貯める」「使う」機会を拡⼤しております。
【今後の取り組み】
特典航空券については、特典航空券優先フライトの設定、JAL カード割引を 2013 年度においても継続
設定し、更に本中期期間中には、需給に応じて必要マイル数を変更するなど、特典航空券の使いやす
さを向上させます。
「貯めやすく、使いやすい」については、総合オンラインストアの Amazon をはじめとする新たな提携、サー
ビスの検討、具現化により、お客さまの⽣活の中で価値あるプログラムにしていきます。また、oneworld
加盟航空会社、提携航空会社との協調により、航空利⽤におけるサービス強化も図ります。
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内際共通/リゾート
【中期経営計画骨子】
ホノルル、沖縄線を中心に「安心感・信頼感・品質感」のあるリゾート路線ならではのサービスをご提供し
ます。
【振り返り】
2012 年度は新たな取り組みとして、沖縄線において 8 月から「より上質なくつろぎの時間」を演出するフ
ァ-ストクラスを導入し、多くのお客さまにご利⽤いただいております。また 10 月からは Facebook での投
票をもとに選出した沖縄特産品を使った特製カクテルのご提供をファーストクラスで開始しております。
また、ホノルル線ではビジネスクラス座席の改修を開始し、快適性の向上を図りました。
【今後の取り組み】
2013 年度以降は、引き続きホノルル線のビジネスクラス座席の改修をはじめとした機内環境の改善、リ
ゾ-ト路線に求められる機内食の提供等により、JAL グループならではのサ-ビスの充実を図ります。
国際線商品・サービス
【中期計画骨子】
「⾼品質・フルサービス」を追求し、お客さまが常に新鮮な感動を得られるような商品・サービスをご提供す
ることを⽬指します。
【振り返り】
2012 年度より、Welcome! New Sky というアクションスローガンのもと、先進的で今までにない「新
しい空」を作る JAL NEW SKY PROJECT を開始しました。
その第⼀弾として、「1 クラス上の最⾼品質」をテーマに掲げ、全てのクラスの居住性、機能性を⼤きく向
上させた「SKY SUITE 777(スカイスイート 777)」をロンドン線(1 月以降)より導入しております。
ファーストクラスでは機能性を⾼めるとともにデザインを⼀新することで質感を向上し、ビジネスクラスにはファ
ーストクラス並みの居住性を持つフルフラット座席を装着、またプレミアムエコノミー、エコノミークラスの座席
ピッチを世界最⼤級の広さに拡⼤し、お客さまに⼤変ご好評いただいております。
機内食についても「空の上のレストラン」をコンセプトに、ファーストクラス・ビジネスクラスでは日本が世界に
誇るスターシェフと共に最⾼の食材と⾃由な発想でメニューを開発し、プレミアムエコノミー・エコノミークラス
では、日本全国の「旬の美味」をとり入れ開発した空のご当地メニューの提供を開始しております。
加えて、日本で広く愛されているブランドとのコラボレーションメニュー“AIR シリーズ”等、新メニューの開発
も継続的に⾏いました。
また、本邦航空会社では唯⼀となる機内インターネット接続サービス「JAL SKY Wi-Fi」のご提供を開始
し、ニューヨーク線・ロサンゼルス線・シカゴ線・ジャカルタ線に順次導入しました。その他、海外発機内食や
ラウンジの品質向上等、お客さまの評価・ご要望に基づき多くの改善を進めております。
19
【今後の取り組み】
2013 年度には、⻑距離路線を中心に「SKY SUITE 777(スカイスイート 777)」の投入路線を拡充(5
月よりニューヨーク線)、また、767 機材のビジネスクラスのフルフラット化やエコノミークラスへの新座席導入
を⾏い、機内居住性の向上を引き続き図っていきます。
また、機内インターネットサービスは提供路線の拡充、機内食についてはより⼀層の美味しさを追求し、こ
れまで以上に快適な空の旅をご提供します。
ラウンジについては、品質向上のためニューヨーク空港のラウンジをリニューアルするほか、2014 年度に予
定されている⽻⽥空港発着枠拡⼤に際してもお客さまのご期待にお応えできる商品・サービスの改善に
取り組んでまいります。
国内線商品・サービス
【中期経営計画骨子】
「便利さ・シンプルさ」を追求し、お客さまが常に新鮮な感動を得られるような商品・サービスをご提供する
ことを⽬指します。
【振り返り】
予約・購入から空港・機内、ご到着までのお客さまと JAL グループの各接点において「便利でシンプル」な
サ-ビスを⼀貫してご提供し、お客さまの時間価値を最⼤化することを⽬的とし、2012 年度は、「JAL
Schedule」「JAL Countdown」等、お客さまの利便性向上につながるアプリ展開を中心としたスマ-
トフォンでのサ-ビスを拡充しました。また、ご好評いただいているファーストクラス、クラス J については、
777-200 機材全機へのファ-ストクラス導入、737-800 機材全機へのクラス J 導入を⾏い、サービス
提供路線、便数を拡⼤しました。
【今後の取り組み】
2013 年度以降は、「JAL スマ-トスタイル」として空港や機内がより便利となる新たなサービスを順次展
開してまいります。運賃については、システム刷新に合わせ、シンプルでわかりやすい運賃制度の導入、需
要動向へ柔軟に対応可能な運賃設定を⽬指してまいります。
20
2-2-3. 旅客販売
【中期経営計画骨子】
商品・サービスの戦略と連動性を持った販売、旅⾏商品造成を⾏うことを基軸に、特に、個⼈化、Web
化への対応を重点課題とし、適切な販売チャネル構成を⾒極め、収入最⼤化を図ります。
ネットワークの展開を⾒据えたうえで、日本地区法⼈販売体制の強化、旅⾏会社各社とのコラボレーショ
ン強化、JAL パックの活⽤・Web 化対応による観光販売促進等を推進します。
また、中⻑期における収入最⼤化を⽬指し、これまで以上に海外発のお客さまへ JAL のネットワーク、商
品、サービスをご案内し、⼀層の販売促進に取り組みます。
【振り返り】
当社ホームページ jal.co.jp 及び企業情報ページ「JAL 企業サイト」を⼤幅にリニューアル、海外現地向
けサイト jal.com を全面リニューアルするなど、機能を改善致しました。中でも、「JAL ホームページ」は日
本ブランド戦略研究所の「Web サイト価値ランキング 2012」で 1 位に選ばれ、また、企業ウェブ・グランプ
リにおいて、「企業情報・IR 部⾨」「ソーシャルネットワーク部⾨」「商品・製品・サービス紹介部⾨」の 3 部
⾨にてグランプリを受賞するなど、社外から⾼い評価を頂戴しております。成⻑著しいスマートフォンについ
ては、サイトを全面リニューアルし、10 種類の専⽤アプリを揃えました(ダウンロード数:100 万超)。また、
国内線・国際線ともにスマートフォンからのダイナミックパッケージの予約・購入を開始しました。こうした取り
組みの結果、2012 年度の WEB 販売比率は、それぞれ前年から約 2%上昇し、国内線旅客で 5 割、
国際線旅客で 2 割に達する⾒込みです。
日本地区の法⼈販売については、企業ごとのご利⽤実績に応じて特典を提供する JAL コーポレートフラ
イトメリットを内際⼀体評価にリニューアルし、また、企業向け出張予約・購入サイト「JAL オンライン」の予
約・購買フローを JAL ホームページと融合させました。
海外発需要については、アメリカン航空(AA)及びブリティッシュ・エアウェイズ(BA)との共同事業を活⽤し
て、海外発日本⾏き需要(AA との共同事業ではアジア=北米需要も含む)の販売に取り組みました。コ
ールセンターについては、⽣産性向上や社員の採⽤・育成、JAL マイレージバンク(JMB)会員専⽤の予
約窓口設置等により、特に 2012 年度の後半以降は「つながりやすく」、「より便利」を⽬指した改善を進
めています。レベニューマネジメントシステムについては、ネットワーク全体の収入極⼤化を⽬指し、業務プ
ロセスの改善、⾃社システム改修を進めております。
【今後の取り組み】
WEB については、いままでにない宣伝手法の導入や⼀⼈ひとりのお客さまのニーズに沿ったご提案、ダイ
ナミックパッケージの商品拡充やご購入⽅法改善を図っていきます。
観光販売促進については、ネットワークの展開を⾒据えたうえで、旅⾏会社各社とのコラボレーションや
JAL パックの活⽤により、需要創出に取り組みます。
海外発については、欧米においてパートナーとの共同事業を活⽤し、相互販売額をより⼀層増やしていく
と同時に、アジアにおいて現地旅⾏会社との連携を深めていきます。また、コールセンターについては、「つ
ながりやすい」「お待たせしない」を引き続き追求し、レベニューマネジメントについては、ネットワーク収入極
⼤化に向け、引き続き業務プロセス及び⾃社システムを整備してまいります。
21
2-2-4. 貨物郵便事業
【中期経営計画骨子】
2014 年度に国際線運航が増加する⽻⽥空港発着貨物を積極的に取り込んでいきます。付加価値の
⾼い J-PRODUCTS、当社の強みを活かしたテーラーメード商品(J-SOLUTIONS)の開発・拡販等によ
り収入最⼤化を図ります。JAL グループにおいて国際貨物フォワーダーを担当するジュピター・グローバル・
リミテッド(JPT)の戦略的活⽤を図ります。
【振り返り】
⽻⽥空港発着便のマーケティングを展開し、エクスプレス貨物や⽣鮮貨物を中心とした取り込み増を図り
ました。また、付加価値の⾼い J-PRODUCTS についても、輸送時間に関する要望が⾼い商品の取り込
み、医薬品等の⾼付加価値貨物の温度管理輸送サービスの拡販等により、着実に実績を伸ばしていま
す。JPT については、三菱倉庫との協働により海外拠点の競争⼒向上や強みである東南アジアネットワ
ークの拡充を図りました。しかしながら、日本発総需要の急減を背景とした競争激化と日本経由貨物の
比率増加による単価下落により、国際貨物収入は前年対比で減少しました。
【今後の取り組み】
日本発総需要の急減を踏まえ、レベニューマネジメントにより日本発着貨物と日本経由貨物の構成比
最適化を⽬指すとともに、アジア・中国等成⻑マーケットにおける更なる貨物取り込みを図っていきます。
また、2014 年度の⽻⽥における国際線運航増を⾒据えて、郵便、エクスプレス貨物、内際接続貨物
(J-LINK)、⽣鮮貨物等を積極的に取り込んでいくとともに、当社の強みを発揮できる付加価値貨物の
販売増を図っていきます。JPT については、アジア・中国マーケットにおける市場開拓や⽻⽥便への貨物
誘致等に活⽤していきます。
22
2-2-5. 機材・投資
【中期経営計画骨子】
投資対効果の⼗分な検証と継続的なモニタリングを実施することを前提に、
航空機投資(含む整備部品)については、787 機材 29 機、737-800 機材 9 機をはじめとした新機材
の導入等、JAL グループ全体で約 4,780 億円の投資を予定しています。
また、地上投資については、客室改修を中心とした商品・サービス関連投資により顧客選好性を向上さ
せ、旅客系システムを中心とした各分野の基幹システムを刷新します。
【振り返り】
航空機投資については、787 機材を 7 機受領(当初計画 8 機)、737-800 機材を 8 機受領(計画
通り)し、また、E170 機材については当初計画を上回る 2 機(当初計画 1 機)を受領しました。⼀⽅、
MD90 機材の完全退役を完了し、保有機材の効率化を実現しております。
また、地上投資については、国際線インターネットサービス、777 機材の新商品(SKY SUITE)の供⽤を
開始し、お客さまから⼤変好評を頂いております。
【今後の取り組み】
航空機投資については、期間中における 787 機材受領のスケジュールに変更の可能性があるものの、
2016 年度末時点での計画に変更はなく、787 導入機数は合計で 33 機、⻑胴型の 787-9 の導入
開始年度は 2015 年度を予定しております。また、2013 年度中に国際線 767 機材 6 機の改修
(Winglet の装着)を⾏うことで燃費効率を向上し、費⽤削減を推進します。加えて、国内線ネットワー
クを迅速に展開すべく、E170 機材を当初計画より前倒しで受領する予定です。
⼀⽅、経年化する 777 機材、767 機材の退役を進め、保有機材の効率化を着実に進めていきます。
2016 年度末時点の JAL グループにおける総機数は、
222 機(国際線 83 機、国内線 139 機)となり、中期経営計画からの変更はございません。
なお、本中期期間における航空機投資額は、5,170 億円となる⾒通しです。
地上投資については、客室改修を中心とした商品・サービス関連投資を計画通り実施し、顧客選好性
の向上に向けた取り組みを加速します。⼀⽅、旅客系システムを中心とした各分野の基幹システム刷新
については、要件調整難航等の理由で刷新遅延リスクが顕在化しておりますが、プロジェクト体制と工程
管理手法を⾒直して遅延を最小限に留め、2016 年末までに完遂することを⽬指します。
JAL グループ航空機投資額(単位:億円)
年度
2012 年度
2013 年度
2014 年度
2015 年度
2016 年度
合計
中期経営計画
630
610
960
1,330
1,260
4,780
1,030
640
950
1,310
1,240
5,170
今回計画
23
JAL グループ機材数推移(※)
(
250
(212)213
(214)220
(217)218
(222)222
)中期経営計画
(222)222
⼤型機
200
中型機
150
100
小型機
50
RJ機以下
0
2012
2013
※年度末運航機材数ベース(退役待ち機材除く)
※2012 年度末の保有機数 216 機(決算短信記載)
※⼤型機 777 中型機 787/767 小型機 737/MD90
2014
2015
2016
RJ(リージョナル)機以下 ERJ/CRJ/Q100〜Q400/SAAB
24
2-3. 生産性向上による費用最小化
2-3-1. ユニットコストの低減
【中期経営計画骨子】
全社的な費⽤管理にあたり、有効座席キロ(ASK)あたり航空運送連結営業費⽤(以下ユニットコスト)
を指標とし、⽬標値の設定と達成に向けモニタリングを⾏います。2016 年度のユニットコスト⽬標値は
「11.0 円」に設定し、2016 年度までに 500 億円規模の費⽤効率化を進め、この⽬標を達成します。
【振り返り】
中期経営計画において、2012 年度の ASK は前年比 105%を計画しておりましたが、第 4 四半期に
おける 787 機材の運航⾒合わせ等の影響により、同 103%となりました。
⼀⽅、営業費⽤については、各種サービス強化施策等による上振れ要素がありましたが、⽣産性向上に
よる費⽤削減、部⾨別採算制度による意識改⾰により、前年比 105%に抑制しました。この結果、
2012 年度のユニットコストは、⽬標値 11.5 円を達成しております。
なお、中期期間中の効率化⽬標 500 億円のうち、2012 年度は 100 億円を達成しました(⽣産性の
向上:60 億円、部⾨別採算制度の浸透:40 億円)。
【今後の取り組み】
これまでは、グループ航空 6 社の連結営業費⽤と ASK によるユニットコストを指標としておりましたが、航
空運送事業のコスト構造が実質的には多くのグループ会社の業務にも及んでいることに鑑み、ユニットコス
ト低減に向けたグループ全体での取り組みを強化することを⽬的に、2013 年度より、航空運送連結対
象会社を 32 社に拡⼤し、より適切な費⽤管理体制を構築することとします。
また、費⽤項⽬を燃油費と燃油費以外に⼤別し、各々のユニットコストを試算することにより、「⾃助努
⼒」によって削減可能な「燃油費以外」の規模感を明確にし、⽬標値として追加します。
中期経営計画における 2013 年度グループ ASK は 2011 年度対比 109%を計画しておりましたが、
国際線機材仕様の変更(座席商品の強化に伴う総座席数減)や 787 機材の運航⾒合わせにより同
108%となる計画です。⼀⽅、営業費⽤については、費⽤効率化施策を推進するものの、⼈財の確保
や施設の拡充等、2014 年度からの⽻⽥空港の国際線拡⼤を⾒据えた準備を着実に実施することに
加え、為替を中心とする与件変化もあり、中期経営計画値を上回る計画となっております。
この結果、供給増幅の縮小、費⽤増により、2013 年度のユニットコストは、総費⽤ベースでは 12.0 円
(当初計画比+0.6 円)、燃油費以外ベースでは 8.6 円(当初計画比+0.3 円)となる計画です。
2016 年度についても、与件変化による費⽤増、供給前提の変更(ASK は、国際線機材仕様変更に
より 2011 年度対比 113%→111%に変更)がありますが、全社員⼀丸となってこれを受け止め、ユニッ
トコスト 8.0 円(燃油費以外)を必達⽬標と位置付け、コスト競争⼒の更なる向上に挑戦していきます。
ユニットコスト(単位:円)
オリジナル
中期経営計画
実績・⾒通し
2012 年度
総費⽤(6 社)
総費⽤(32 社)
内、燃油費以外
総費⽤(32 社)(*1)
内、燃油費以外(*1)
(*1)2012 年度は対象会社拡⼤前の実績値。
25
2013 年度
2016 年度
11.5
11.3
11.0
-
11.4
-
8.3
11.5
12.0
-
8.5
8.6
-
→
11.1
8.0
2-3-2. 生産性向上
人的生産性向上
【中期経営計画骨子】
間接部⾨のスリム化、運航・客室部⾨における⼀⼈あたり稼働の向上、空港・整備部⾨におけるマルチ
スキル化と勤務形態最適化等によるグループ社員⼀⼈ひとりの⽣産性向上と IT 環境整備(旅客系、空
港系、貨物系システム刷新)に伴う⼈員配置の⾒直し、適正化を⾏います。
【振り返り】
間接部⾨のスリム化については、IT 刷新に伴う⼈員増を実施した⼀⽅、全社的な業務の⾒直しや業務
量の平準化等の継続した取り組みにより、間接部⾨⼈員数は、前年並みを維持しており、計画通りに
進んでおります。
運航部⾨においては、スタンバイ⼈数の適正化や機種移⾏訓練期間の短縮等に取り組み、客室部⾨
においては、スタンバイ⼈数の適正化等に取り組んだ結果、両部⾨ともに⽣産性が前年比で約 5%向
上しました。また、空港・整備部⾨では、⼈員効率化施策により部⾨全体のコスト削減を実現しました。
加えて、各現業部⾨(運航/客室/空港/整備)においては、787 機材運航⾒合わせに対しても、限られ
たリソースの中で、最⼤限の運航確保に努めました。
【今後の取り組み】
ユニットコストの低減に向け、あらゆる部⾨で今後も⽣産性向上の取り組みを継続してまいります。
経営資源の効率的活用
【中期経営計画骨子】
経営資源を適正配置し⽣産性を向上させるとともに、あらゆる無駄の削減に中期計画で取り組みます。
【振り返り】
2012 年度は整備計画や路線・ダイヤの工夫等による効率的な航空機材運⽤で、航空機の稼働率を
向上させ、航空機という当社にとって最⼤の経営資源の効率的活⽤に努めました。また各地の施設設
備の統廃合も進め、在庫の適正化にも取り組みました。
【今後の取り組み】
2013 年度以降も創意工夫を重ねてあらゆる分野での改善に取り組みます。
特に、2014 年度における⽻⽥空港国際線発着枠拡⼤という⼤きな環境変化を控え、機体整備拠点
の⽻⽥集約等、環境に合わせた経営資源の配置を進めるとともに、調達プロセスの整理・標準化、社内
物流改⾰、在庫の適正化について課題として取り組みます。
26
環境変化への対応
【中期経営計画骨子】
2014 年度に予定されている⽻⽥空港国際線発着枠増に伴う費⽤増を最小に抑えるとともに、IT シス
テム更新によりシステム費⽤全体を抑制しつつ、変動費化を図ります。
【振り返り】
⽻⽥空港発着便増加による影響が⼤きい貨物関連費⽤については、成⽥・⽻⽥間の貨物搬送費⽤
の抑制等に取り組みました。
また、IT については、既存システムに対する新技術の積極的採⽤、システム安定化対策への取り組みに
より運営コストの効率化が進んでいる⼀⽅、システムの開発、更新に関連するコストについては、更なる
効率化の余地があると考えております。
【今後の取り組み】
国際旅客事業及び貨物郵便事業における費⽤増極小化施策の検討を進め、IT については、プロジェ
クト体制を増強して優先すべき案件に着実に取り組み、遅延を最小限にするとともに、早期のコスト削
減・変動費化を進めてまいります。
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2-4. グループマネジメントと人財育成
2-4-1. グループマネジメント
【中期経営計画骨子】
JAL フィロソフィの浸透、部⾨別採算制度の展開により、グル-プの全社員が経営に参画するとともに、
各社が⾃⽴的かつ健全な経営を確⽴し、⾼い⽣産性と利益水準を実現します。
【振り返り】
JAL フィロソフィのグループ全社員への浸透を⽬指し「JAL フィロソフィ教育」を昨年度に引き続き、実施し
ました。3ケ月間を 1 テ-マの期間とし、年間で 4 つのテーマをグループ全社員が受講することとし、首都
圏地区においては、延べ 544 日間に 61,000 ⼈が受講しました。また、首都圏以外の地区、海外につ
いても教材の送付、教育担当者の派遣等、全社員への浸透につながる工夫を施しました。
部⾨別採算制度については、主要連結⼦会社 35 社への制度導入(2015 年度末までに)を⽬標とし
た取り組みを進めており、2012 年度は、9 社に導入しました。
【今後の取り組み】
現在と同頻度での「JAL フィロソフィ教育」を継続し、その浸透に努めるとともに、グループ会社への部⾨別
採算制度導入・展開(中期期間中・各年 7~8 社)を進めることにより、グループ全社員⼀⼈ひとりが経
営に参画する強固な組織運営体制を構築し、JAL グル-プ企業理念の実現、中期経営⽬標の達成
を⽬指してまいります。
2-4-2. 人財育成・人員計画
【中期経営計画骨子】
JAL グループの求める⼈財像を策定のうえ、必要かつ適正数の採⽤を実施します。また、リーダ-⼈財、
安全・サ-ビスのプロフェッショナル⼈財の育成を主眼に置き、JAL グル-プ共通の基本教育・研修体系
の整備及び同教育を実施します。これらの⼈財育成、各本部における⽣産性向上により、事業規模の
増加に対して、必要⼈員数は本計画期間を通じ、現⾏の 32,000 ⼈(グループ連結⼈員数)レベルを
維持します。
【振り返り】
⼈財育成については、JAL グループ共通の基本教育・研修体系の策定を完了し、それに沿った教育・研
修プログラムを策定・実施しました。また、JAL グル-プ共通の求める⼈財像を策定したうえで、採⽤を実
施しました(JAL グル-プ計 2012 年度入社 約 1,300 名、2013 年度入社 約 1,000 名)。
尚、2012 年度末のグル-プ連結⼈員数は、30,882 ⼈となり、⽬標である 32,000 ⼈を下回る実績
となっております。
【今後の取り組み】
意識改⾰・⼈財育成を含めて⼈財に関わる部⾨を集結させ、⼀体的に取り組んでいくために、新たに
「⼈財本部」を創設しました。
今後も必要かつ適正な⼈数の採⽤を継続実施するとともに、⼈財育成については、「JAL 教育センター」
の機能を活⽤することで全社的なプログラム管理等、実施効果を最⼤にするための課題に取り組みます。
⼈財育成、各本部における⽣産性向上への取り組みにより、必要⼈員数は、中期経営計画・⽬標レベ
ルである 32,000 ⼈(グル-プ連結⼈員数)を維持していきます。
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3. 収支・財務計画
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3-1. 財務目標と実績
2012〜2016 年度連結財務目標
2012 年度実績
営業利益率
10%以上
各年度達成
15.8%
⾃⼰資本比率
50%以上
2016 年度までに達成
46.4%
3-2. 各種前提
燃油(シンケロ)
為替
ヘッジ⽅針
2012 年度実績
2013〜2016 年度
127.1 ドル/bbl
127 ドル/bbl
82.4 円/ドル
95 円/ドル
営業利益への感応度
(ヘッジなしの場合)
原油 1 ドル/bbl の変動:20 億円
1 円/ドルの変動:25 億円
取引の工夫や燃油消費量の抑制努⼒を前提に、短期的な市況の騰落の影響を
極小化するヘッジ(期間分散型ヘッジ)と、費⽤を固定化するヘッジ(費⽤確定型ヘッ
ジ)を組み合わせております。
消費税
2014 年 4 月以降 8%、2015 年 10 月以降 10%
787
2013 年 6 月より運航再開
3-3. 収支・財務計画のリスク
収⽀・財務計画の達成の蓋然性を⾼めるべく、当社が認識すべきリスクの⽅向性を整理したうえで、
「下向き」としたリスクの⼀部を収⽀・財務計画に織り込んでいます。具体的には、競争環境の変化等
の環境変化リスクについて収入計画に⼀定額を織り込んでいます。なお、景気変動リスクはバランスし
ていること、イベントリスクは財務的な耐久性が⾼まってきたことから織り込んでおりません。
3-4. 収入指標の追加
費⽤面については、2-3-1. ユニットコストの低減にありますように、「継続的にコスト削減に取り組む
『⽂化』を組織に埋め込む」ことが重要との認識から、社員がイメージしやすく、グローバルでベンチマーク
可能な、「コスト競争⼒」を示すユニットコスト(UC)を共通言語化し、低減に努めてまいりました。⼀⽅、
収入面については、各種指標(RPK、イールド、L/F 等)を参照してきましたが、UC 同様に、イメージし
やすく、⼤路別にベンチマーク可能な、「稼ぐ⼒」を示すユニットレベニュー(UR)を共通言語化し、全社
員で追いかけていく経営指標としてまいります。
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3-5.
主要な経営指標(計画)
全社連結 PL
⾦額単位:億円
2012 年度
2013 年度
(国際旅客収入)
4,066
4,260
(国内旅客収入)
4,852
4,920
(貨物郵便収入)
848
840
(その他収入)
2,621
2,700
12,388
12,720
(燃油費)
2,463
2,900
(燃油費以外)
7,972
8,420
営業費用
10,435
11,320
営業利益
1,952
1,400
15.8%
11.0%
経常利益
1,858
1,270
当期純利益
1,716
1,180
営業収入
営業利益率
全社連結 BS
⾦額単位:億円
総資産
⾃⼰資本
⾃⼰資本⽐率
2012 年度末
2013 年度末
12,166
12,730
5,650
6,440
46.4%
50.6%
1,601
1,290
0.03x
▲0.15x
(関連指標)
有利子負債残⾼
1
Net D/E レシオ
1
ネット D/E レシオ=(オンバランス有利⼦負債+オフバランス未経過リース料-現預⾦)/(⾃⼰資本)
予想値に関しては航空機未経過リース料予想値を⽤いる
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全社連結 CF
⾦額単位:億円
2012 年度
営業 CF 計
投資 CF 計2
2013 年度
2,648
2,270
▲1,290
▲1,270
▲606
▲620
2,762
2,230
22.3%
17.5%
3,071
2,530
24.8%
19.9%
財務 CF 計
(関連指標)
EBITDA3
4
EBITDA マージン
5
EBITDAR
6
EBITDAR マージン
収入関連指標 (UR/RPK/イールドは FY11 実績=100 で表示)
2012 年度
UR
7
RPK8
イールド9
L/F10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2013 年度
国際旅客
102
102
国内旅客
98
95
合計
100
98
国際旅客
112
117
国内旅客
103
105
合計
109
112
国際旅客
94
94
国内旅客
98
97
合計
95
95
国際旅客
76.1%
76.6%
国内旅客
63.1%
61.4%
合計
70.3%
69.7%
2012 年度は定期預⾦除く
Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization =営業利益+減価償却費
EBITDA/営業収入
Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, Amortization and Rent=営業利益+減価償却費+航空機材賃借料
EBITDAR/営業収入
ASK あたり旅客収入=イールド X L/F
有償旅客キロ(コードシェア便含む)
RPK あたり旅客収入
RPK/ASK
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運航諸元(ASK は FY11 実績=100 で表示)
2012 年度
11
ASK
12
便数
2013 年度
2016 年度
国際旅客
104
109
122
国内旅客
103
107
98
合計
103
108
国際
104
108
118
国内
101
107
106
合計
102
107
108
→
111
※当社の RPK 及び ASK は、国際線/国内線とも直線距離に近い⼤圏距離を前提としております。
注:3-5 に記載の計画値については、3-2.各種前提に記載しております燃油(シンケロ)、為替の前
提値からの⼤幅な変動、及びテロ・戦争・⼤災害等による急激な需要変動の発⽣を想定しておりませ
ん。
以 上
11
12
有効座席キロ(コードシェア便含む)
⾃主運航のみ
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