最高の思い出作り

最高の思い出作り
広島工業大学高等学校
教 諭
垣 鍔
拓 史
生徒が描いた似顔絵です
学校行事とクラス作り
を共 有しました。すると、
クラブが終わ
他から低い評価を受けることになった
ゃんと反 省して評 価 することで、将 来
「思い出に残る高校生活を送らせた
っても教室で作業をしていたら手伝っ
生徒は、
「結局なんだったの」と感じる
の 物 事 へ の 取り組 む 姿 勢 や 能 力 が
てくれる生徒も現れ始めました。
でしょう。なんか 上 手に乗 せられたけ
向 上 することでしょう。全 体 のなかの
オリエンテーションで「 3 大 行 事 3 連
次の問 題は、初めてのことなのでな
ど、疲れただけと感じる生 徒や、他 人
自分という位 置 づけもはっきりしたし、
覇!」の目標を掲げます。
( 体 育 祭・クラ
かなか 協 力して作 業 するレベルに達
の思 惑で動くのはもう止めたいと思う
前 向きな生 徒は新たな目的を見 つけ
スマッチ・学 校 祭 我 が 校の 三 大 行
しないということです 。
どうしても、1 人
生徒が出てきます。
ることが出 来たはずです 。何となく高
事です。)
か2 人が突出する形で作 業が進んで
クラス集 団では本 質 的にみんなで
校 生 活を送ってマンネリを感じていた
もう古 いやり方だと思 います が 、学
いって、他の生 徒は遠 巻きにしてそれ
集まって何 かをやることが 好きでない
生 徒には転 機になるでしょう。
また、人
校 行 事を中心において3 0 年 間 、同じ
を見ているという構図になります。それ
生 徒 の 比 率 が 高 いので 、こういう問
に動かされる立 場ではなく、人を動か
スタンスでクラス作りを行ってきました。
で必 死で頑 張っている人 が 何でも自
題が表 面 化しやすいのです 。行 事が
すときのことにも目を向けられるように
分で決めてしまうので、他の人はだん
終わって多くの生 徒 が 満 足 感と虚 脱
なったと思います。
だん面白くなくなってきます。
「どうせお
感の混ざった状 態にあるときに、これ
前 が 全 部 気 に 入 るように す るん だ
らの感情をうまく処理できないと、次の
込んだりすることで、
どんどん自らの地
ろ。」
というような感情の問題です。
行動には進めないと思います。
平線が開けていくと思います。行動の
い。」その一心で、
入学式にのぞみます。
困難を乗り越えて
運 動 が 苦 手な生 徒 が 集まったクラ
スを持 つと、体 育 祭 やクラスマッチは
種をまいておきます 。悔しさをあおっ
て、次につなげる方法です。
運 動 系で結 果 が出なかった場 合 、
この問 題は、こちらから意 図 的にリ
「打ち上げ」と称した反省会orパーテ
ーダーを作ろうとしてもうまくいきませ
ィーを開催し、
うまくまとめてくれていま
んでした。自然 発 生を待 つしかありま
した。
( 当然担任の知らないところで)
クラスの一 人ひとりの隠れた力を引き
せん。
( 代わりに私 が
出すのは、学校祭しかありません。
リードした時は、良い
一 つ一 つが自分の新しい世 界を開く
礎になっているのかもしれません。
2006クラス『MANEKI神社』 優秀賞 受賞
クラス一丸となって
しかし、学 校 祭をやることで、
クラス
作品とはなりませんで
難しいことに挑 戦して、みんなで協
の中に溝ができてしまう可 能 性があり
したが)
この時 生まれ
力 することで一 体 感も高まったし、技
ます。
たリーダーは 強 力 で
術 力も向 上しました。参 加した生 徒は
例えば 、学 校 祭で苦 労した人の持
うまく指 示を出し、ま
少 な からず そ の 実 感 が あるは ず で
つ、
クラブの試合等で参加できない人
わりに 配 慮 が できる
に対 する感 情の問 題です 。別に意 図
生 徒 が 多 かったよう
して差 別しているわけでもないし、そ
です。
ったという想いです。
2007クラス『空飛ぶクジラ』 優秀賞 受賞
2011年『プラネタリウム』 最優秀賞 受賞
す 。たとえ賞 が 取 れなくても、自分 が
最後に
全 力で取り組んだという達 成 感 があ
2005クラス『スフィンクスとピラミッド』
るに違 いありません。これはやらない
と得られない、多 分 一 番 大 切な収 穫
れぞ れいろんな事 情 があるのも分っ
ていても、おなじ体 験を共 有できなか
です。
精 神 力も、時 間も
随 分 使ったので 、満
クラスのみんなとも、
より本音が出や
2008クラス
『階段アート』
優秀賞 受賞
どの写真も、満足感が漂っています。
自信に満ちた顔、満 足した顔、自慢
げな顔 。
こんないい顔をしている生 徒
足 感 がある反 面 、疲
すい形でコミュニケーションできて、お
労 感もあります 。それ
互いの本 質 がよく分ったはずです 。
く
H R 通 信で彼らの 活 躍を大々的にみ
で自分 達 の やったこ
だらない会 話を幾ら積み重ねてもこう
誰もが 予 想していた以 上に立 派なも
んなに知らせることをしました 。朝 の
とに 点 数 が つけられ
いう体 験はできません。部 分 的にぶつ
のができ上がったときの生徒の顔。
S H Rでは、自然と拍 手がわきます 。逆
ます 。勝 者と敗 者 が
かったとしても、全 体としては信 頼 感
にみんなの 取り組んでいる姿を写 真
できるので、負けたわ
や、一体感が高まったと思います。
に収めて毎日H R 通 信を発 行し、意 識
けではないにしても、
この問 題は、簡 単に解 決しました。
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何かに積 極 的に取り組んだり、打ち
しかし 歴 代 の 強 力なリーダーは 、
悲 惨な結 果となります 。
しかしここで
2010クラス『噴水』 優秀賞 受賞
『自由の女神とモアイ像』
それから、自分 達のやったことをち
たちを見るのが大好きです。
できあがるまで不安の毎日。
しかし、
このクラスで一 緒にいられる時 間を
2009クラス『模擬店』
大切に共有してくれることを願って…。
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