特集全国短歌フォーラムin塩尻 学生の部」(P4~5)(PDF:678KB)

全国短歌フォーラムin塩尻
「学生の部」入選作品発表
社会教育課社会教育係
問
☎02630280 内線3136
昨年11月29日に開催された短歌フォーラムin塩尻「学生
の部」には、全国から12,474首もの短歌が寄せられました。
みずみずしい感性が光る入賞作品を紹介します。
最優秀賞
最優秀賞を受賞した作品を、作者
インタビューと併せて紹介します。
ねがいごとおおくわがたがげんきにと
たんざくにかくかなうといいな
広丘小学校1年 髙橋 功基さん
早起きをして、お父さんと一緒に捕りに行った大好きなクワガタ。
ずっと元気でいてほしいと、七夕にお願いしたことを、短歌にしました。
きもだめしゾクットするね楽しいね
おばけの人はどういう気持ち
洗馬小学校5年 塩原 穂乃佳さん
夏休みに、地区の行事で肝だめし。友だちと歩く暗い道は、怖さと
楽しさが半分半分。お化け役の気持ちを考えながら作りました。
車から車いすに移る時
田名部
寛乃さん
舞い落ちてきたやわらかい桜
青森県立八戸第一養護学校中学部2年
4月下旬の朝。学校の駐車場で、車から車いすに移る時、自分の元
に舞ってきた桜を触るとやわらかく、その時の思いを詠みました。
蝉時雨炎天直下の木漏れ日が
私に光の斑点着せる
田川高等学校1年 今井 凜さん
す。その言葉に合わせ、詠んだ時の響きを考えながら作りました。
「斑点着せる」は、高校に入る頃に思いつき、温めていた言葉で
小学生 優秀賞
ゲコゲコとつりあげられた草フグの
神奈川県 森村学園初等部6年 武藤 立馬さん
鳴き声響く夜の堤防
ひみつきちあめがすごくてかさをさす
つるつるすべってのぼれないさか
片丘小学校1年 原 拓実さん
太陽がぎらぎらぼくに体当り
のどがかわいて水へ近づく
木曽楢川小学校5年 小平 時ノ介さん
はい後からせまり来る雨気付かずに
塩尻西小学校5年 碓井 大都さん
歩いていれば雨が追いぬく
げきでぼくブルドーザーのいせえびだ
広丘小学校2年 竹下 創大さん
ドドドドドドドはしり回るよ
きょうれつな臭いと共にやってくる
まあるい宝たまねぎ畑
吉田小学校3年 奥山 礼晏さん
まるたぎりうまくきれないでこぼこだ
のこぎりキラリかがやいていた
吉田小学校3年 有賀 伊吹さん
兄ちゃんが野球をしてて気がついた
グランド内にカモシカがいる
富士見町立富士見小学校6年 髙木 ひかるさん
ちょうな持ち山かけ上がり目をこらす
伊那市立伊那小学校6年 唐澤 嘉一さん
竹のすき間に筍見える
4
あつあつのあゆの し お や き せ な か か ら
シャープペン芯が折れたら心折れ
壁のむこうのよく響く声聞こえきて
明気さん
国語の授業英語に変わる
加藤
空らんの数に不安がよぎる
新学期桜咲く頃きこえるは
塩尻志学館高等学校2年
祭りの日人生初のワンピース
田川高等学校1年 百瀬 信二さん
まだうろ覚え校歌流れる
このかさん
雨の日に届いた手紙和紙のように
K君が最後にねると言いながら
川上
岐阜県立飛騨神岡高等学校3年 中林 楓さん
風と一緒に包まれた私
授業中カーテン丸く膨んで
岐阜県立飛騨神岡高等学校2年
柔らかくなり夏が始まる
肌荒れ治す時間ください
この星の自転速度に目が回る
高校生 優秀賞
愛知県 碧南市立南中学校2年 加藤 柊哉さん
結局最初にねていたなあ
木曽町立福島中学校2年 高橋 香帆さん
ゆれるゆらゆら夏の思い出
塩尻西部中学校2年 塩原 滉太さん
しんちょうにたべほねだけのこす
岐阜県 郡上市立大和南小学校2年
歳藤 悠宇さん
中学生 優秀賞
祖父と乗る夢の中 で の 観 覧 車
お盆休みのある日の夜に
埼玉県 行田市立西中学校3年
増田 納央さん
真っ黒な連符は指 が ま わ ら な い
一瞬きえるフルートの音
北海道旭川商業高等学校3年 野崎 花純さん
仰向けに星を眺める七日目の
選者(歌人)による講評
千葉市立幕張本郷中学校2年
浅野 玲奈さん
授業中窓から外を 見 て み れ ば
華菜子さん
勝田
蝉の誰にも聞かれぬさやうなら
帰宅途中春の香りに包まれて
栃木県 宇都宮短期大学附属高等学校3年
沼野井 万希子さん
深くなる空きみも見てるかな
薄い月真っ白な月金の月
栃木県 宇都宮短期大学附属高等学校2年
小澤 紗季さん
ラムネの泡とは違う感覚
浴衣出し君との記憶が蘇る
茨城県立下妻第一高等学校2年
見知らぬおばちゃんチャリで爆走
神奈川県 平塚市立金目中学校2年
高橋 翔也さん
ふわふわと風に揺 れ て る カ ー テ ン に
小さいころからパンチをしてる
上田市立菅平中学校1年 小山 翔大さん
「ただいま」と一 回 言 え ば か え さ れ た
もう聞けない祖母の「おかえりおかえり」
上田市立菅平中学校2年 宮澤 和希さん
授業中全員同時に 外 を 見 る
色あざやかなキジが鳴いてる
埼玉県立桶川西高等学校3年 荒井 春南さん
私は私を静かに変える
風通り体育館の床ひかり
丘中学校1年 清水 遥海さん
母さんのゆかたは 地 味 で い や だ っ た
学習院女子高等科1年 中川 百合子さん
みんなの足が踏み音鳴らす
東京都
母似の私すごく似合った
塩尻中学校3年 土田 彩乃さん
広報しおじり 2015.2.15
5
生まれてから大人になるまでの一瞬
一瞬は、奇跡のようなものです。短歌
は作者だけでなく、読者も一緒にそう
した瞬間に立ち会わせてくれます。こ
れからも奇跡のような瞬間を大事に歌
っていってほしいと思います。
小島 ゆかりさん
穂村 弘さん
皆さんはこれから社会的に生きて
いくすべを学び、大人になっていく
わけですが、今あるやわらかさや何
とも言えないおもしろさといった、
宝物のように輝く感性は持ち続けて
いってほしいと思います。