農業生産環境対策事業 2.2.2 セネガル (1)基礎情報 セネガルはアフリカ西部に位置し、大西洋に面している。セネガルの位置を図 2.2-3 に示す。 図 2.2-3 セネガルの位置 - 44 - 輸入原料安定確保調査等事業 セネガルの概況を表 2.2-7 に示す。 表 2.2-7 セネガルの概況 国名 Republic of Senegal 面積 197,161km2 人口 ※2008 年 人口密度 ※2008 年 約 1,270 万人 63.4 人/km2 首都 ダカール 民族 ウォロフ(44%)、プル(23%)、セレール(15%)他 公用語 フランス語(公用語)、ウォロフ語などの各民族語 宗教 イスラム教(95%)、キリスト教(5%)、伝統的宗教 独立 1960 年(フランスより独立) 通貨 CFA フラン セネガルの政治体制を表 2.2-8 に、歴史を表 2.2-9 に、それぞれ示す。共和制を布 いている。2007 年に再選したワッド大統領は、同年の国民議会の与党圧勝を受け、 安定した政治基盤を築いている。いっぽう、一部住民による分離独立運動が活発化し ており、政府軍とたびたび衝突している。 表 2.2-8 セネガルの政治体制 政体 共和制 大統領 アブドゥライ・ワッド 首相 スレイマン・ンデーネ・ンディアイ 表 2.2-9 セネガルの歴史 1960 年 フランスより独立 社会党政権 2000 年 2004 年 ワッド大統領(セネガル民主党)選出・就任 南部カザマンス地方のカザマンス民主勢力運動(MFDC)との和 平合意 2007 年 ワッド大統領再選 2009 年 MFDC 内部分裂による南部カザマンス地方の独立運動再燃 - 45 - 農業生産環境対策事業 セネガルの経済状況を表 2.2-10 に示す。1 人あたり GNI は 970US$にすぎない。わ が国はセネガルに対し、1976 年 11 月に貿易取極を交わしており、経済・技術協力を 行っている。 表 2.2-10 セネガルの経済(2009 年) GDP(億 US ドル) 103 GDP 成長率(%) 2.5% 1 人当たり GNI(US ドル) 970 物価上昇率 7.3% 失業率(2006 年) 11.1% 為替レート(固定レート) 1 ユーロ=655.957CFA フラン 主要輸出品 魚介類、精油、リン酸製品、落花生製品 主要援助国 仏、加、西、米、日 (2)投資環境等調査 セネガルの鉱業政策は、エネルギー・鉱山・水力発電省が所掌している。その権限 は、全ての鉱区権及び租税権を発行し、探査・探鉱活動を監督することである。 探査権の有効期間は、4 年間(独占的権利)であり、延長は 2 回(各 3 回)まで認 められる。すなわち延長を含め 10 年まで探査可能である。探査権を取得にあたって 国籍要件は特段無い。探査により発見された鉱物については、発見者は採掘許可ある いは租鉱権の申請において、絶対的優先権を持つ。 採掘許可の期限は 5 年間であり、5 年ごとに更新が可能である。租鉱権は 25 年間 で、25 年間の延長が可能である。 セネガルの投資環境は、以下のとおりである。 z 開発後の利益配分は企業と政府で都度決定(50:50 が多い) z 経済開発に寄与すると認められた場合は、利益や所得等を外国へ送金可能 z 国家の開発計画を実現させる企業は、優先企業として、租税・関税免除の特典 あり(一定以上のセネガル人の雇用等が必要) セネガルにおける租税は、以下のとおりである。 z 企業所得税: 35% z 付加価値税: 18% z 価格調整税: 地方での購買に 2%、輸入品に 5% - 46 - 輸入原料安定確保調査等事業 (3)資源量・輸出入の状況 米国地質調査所(2011)によると、セネガルにおけるリンの資源量は、180 百万 t と されている。リン鉱石の生産推移を図 2.2-4 に、リン酸の生産推移を図 2.2-5 に、そ れぞれ示す。2006 年以降、生産量が減少している。 図 2.2-4 リン鉱石の生産推移 図 2.2-5 リン酸の生産推移 - 47 - 農業生産環境対策事業 国連貿易統計によると、セネガルのリン鉱石の輸出状況は、表 2.2-11 のとおりで ある。また、輸入については、2009 年にフランスから 24t 輸入している。 表 2.2-11 輸出相手国 リン鉱石の輸出量(2009 年) 輸出量(kg) 割合 スペイン 15,988,000 36.5% イタリア 9,398,000 21.5% コートジボアール 6,500,000 14.8% 英国 5,306,000 12.1% フランス 4,110,000 9.4% ガーナ 2,400,000 5.5% 80,000 0.2% 1,200 0.0% コンゴ民主共和国 米国 43783200 世界全体 (出典)国連貿易統計より作成 - 48 - 輸入原料安定確保調査等事業 (4)最近の動向 セネガルでリン酸肥料の生産を行っている企業は、Industries Chimiques du Sénégal (ICS)である。これはインド系資本であり、発行株式のうち 85%を所有している。残 りの 15%はセネガル政府が所有している。 鉱山は首都ダカールから 50km 離れたところに位置する Taiba 鉱山である。位置を 図 2.2-6 に示す。 リン酸生産施設は年産 66 万 t の能力を有しており、主にインド向けに輸出してき たが、2006 年に一部生産停止している。停止した理由は財政上の問題だとされてい る。 (出典)Pedro A. Sanchez(2002), “Rocks for Crops: Agrominerals of sub-Saharan Africa” 図 2.2-6 鉱山の位置 - 49 -
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