平成 27 年度(第 137 期) 事業報告書 (平成 27 年 4 月 1 日~平成 28 年 3 月 31 日) 公益社団法人東京地学協会 Ⅰ.事業方針 地学を奨励し,地学における専門分野の連携を図り,もって総合的な地学の進歩普及を推進する。 Ⅱ.事業内容 1.公益事業 (1)普及・啓発事業(定款第 4 条第 1 号) ①講演会の開催 ⅰ)春季講演会 「より安全な地球環境を目指して」 日時:平成 27 年 6 月 17 日(土)15:30~17:00(参加者 26 名) 場所:東京地学協会地学会館講堂 寒川 旭(産業技術総合研究所客員研究員)「地震考古学から見た遺跡の液状化」 若松加寿江(関東学院大学理工学部教授)「列島 600km にわたる液状化と対策」 ii)秋季講演会 「地球の大きさと形を測る」(伊能忠敬没後 200 年記念事業) 日時:平成 27 年 11 月 28 日(土) 14:00~16:30(参加者 55 名) 場所:弘済会館 野上道男(東京都立大学名誉教授)「古代中国における地の測り方と邪馬台国の位置」 海津 優(元国土地理院地理地殻活動研究センター長)「1800 年前後の日本とフランス」 河瀨和重(国土地理院地理地殻活動研究センター研究管理課長)「我が国における子午線弧 長の計算について」 ⅲ)地学クラブ講演会 (於:東京地学協会地学会館講堂) ・第 290 回 平成 27 年 5 月 23 日(参加者 5 名) “Geodiversity and its role in geoconservation, geoparks and geotourism”, Murray Gray (University of London) ・第 291 回 平成 27 年 7 月 24 日(参加者 24 名) 「天山山脈紀行」上野将司(応用地質株式会社) ・第 292 回 平成 27 年 10 月 23 日(参加者 9 名) 「日本の人造宝石技術、その一断面– 青年宮澤賢治から LED 用基板まで-」白木健一(並木精 密宝石研究所) ・第 293 回(伊能忠敬没後 200 年記念事業)平成 27 年 11 月 16 日(参加者 44 名) 「伊能忠敬」 西川 治(東大名誉教授) ・第 294 回 平成 27 年 12 月 18 日(参加者 23 名) 「紛争と天然資源のダイナミズム:フィリピンミンダナオ島における鉱物資源のガバナンス」 大木優利(ジュネーブ高等国際問題研究所) ・第 295 回 平成 28 年 3 月 14 日(参加者 15 名) 「蘚苔類の繁茂が石灰岩の風化に与える影響-秋吉台と阿武隈の事例」 A.「ドリーネ内の蘚苔類の分布特性と生育環境」乙幡康之(ひがし大雪自然館) B.「蘚苔類による生物風化作用」羽田麻美 (日本大学文理学部) -1- ②見学会の開催 ⅰ)国内見学旅行 「群馬県下仁田地域と埼玉県秩父地域の地質と地形―下仁田ジオパーク・ジ オパーク秩父を中心に」 日時:平成 27 年 10 月 3 日(土)~10 月 4 日(参加者 24 名) 案内者:目代邦康(自然保護助成基金)、青木正博(産業技術総合研究所)、保科 裕 (下仁田自然学校)、関谷友彦(下仁田ジオパーク)、柴田伊廣(文化庁)、井上 素子(埼玉県立自然の博物館) ⅱ)海外見学旅行 「香港ジオツアー」 日時:平性 27 年 11 月 9 日(月)~11 月 13 日(金)(参加者 13 名) 案内者:青木正博(産業技術総合研究所)、Alvin Ng (Hong Kong Global Geopark)、 K.M.Yeung(Hong Kong Global Geopark) ③広報活動 ⅰ)日本地球惑星科学連合大会(平成 27 年 5 月 24 日~5 月 28 日)において,展示ブースを設 け,協会の概要や最近の講演会及び見学旅行を紹介するパネルを展示した。 ⅱ)協会ホームページの充実を図った。 ⅲ)関係学協会にメールによる広報を行うため、受信を許諾する学協会の調査を行った。 ⅳ)メールによる会員等への情報配信システムについての検討を開始するとともに、受信希望者 の調査を行った。 ④日本地学史の編纂 「戦後日本の地学」の最終章となる「研究の成果」のうち、火山学及び海洋学の分野について地 学雑誌掲載用の原稿にまとめ、投稿した。陸水学及び地震学の分野については執筆を進め、地理 学、気象学、地質学の分野についても執筆の準備を始めた。併せて、「日本地学の成立」、「展 開」で素稿として残されている国立科学博物館、齋藤報恩会などの項目について、投稿のための 検討を開始した。 ⑤ 図書室の整理 内外の諸学会・機関から送付される雑誌等を受入れるとともに、現在入手困難となっている協会 刊行の書籍や地図のデジタル化を進め、順次 Web 公開を進めた。また、新たに貴重フィールドノ ートをデジタル化し、試験的 Web 公開を行った。 ⑥ 専門家紹介(ジオエキスパート制度) 2件の専門家紹介依頼があり,それぞれに適切に対応した。 ⅰ)依頼団体:NHK 山形テレビ 要望のあった内容:「蔵王火山の活動史」の番組作成に当たって解説者紹介 ⅱ)依頼団体:PHP 研究所 要望のあった内容:写真集「塩」の出版に当たって、アフリカ地構帯の塩の成因の専門家紹介 また、今後の専門家紹介事業のために、会員各位の詳しい専門内容とご協力頂ける項目について アンケートを実施したところ平成 27 年度中に 106 名の方から回答があった。引き続き、回答を回 収する予定である。 ⑦ 関連団体との協力の推進 ⅰ)日本地球惑星科学連合,日本自然史学会連合,地理学連携機構などの関連団体との連携を進 めたほか,国際地理オリンピック,国際地学オリンピック, GIS day in 東京2015,日本学術会 議ワークショップ「ジオハザードに対処できる人材の育成:防災国際ネットワーク構築に向けた -2- 国内連携のあり方」などへの協賛あるいは後援を行った。また,金沢大学「環日本海域環境研究セ ンター」の全国共同利用・共同研究拠点申請に対し支持する要望書を提出した。 ⅱ)2016年国際地学オリンピック日本大会への寄付,地学オリンピック日本委員会への寄付,地 理オリンピック日本委員会への寄付など,関連諸団体に財政的支援を行った。 ⅲ)日本地球惑星科学連合において,プログラム委員会,環境災害対応委員会などに委員を派遣 した. ⑧ 伊能忠敬没後 200 年記念事業の推進 事業推進の基本方針を理事会で審議するとともに、関連事業の調整を図る「伊能忠敬没後 200 年記念事業構想委員会」を設置し、行事委員会と協力して、講演会を開催した。 (2)出版・頒布事業(定款第 4 条第 2 号) ① 地学雑誌の発行・頒布 会員の研究成果の発表を主目的とした通常号 1 冊と最新の話題や成果を集めた特集号 5 冊、全 1,303 ページ(第 124 巻第 2 号から第 125 巻第 1 号まで)を発行した。 ⅰ)第124巻第2号 特集号:東日本大震災の地理学的検証―津波・地盤災害の多様性と地域性― p. 147-308 12論文(特集号Overview及び巻頭言を含む。)及び地学ニュース(N29-N52) ⅱ)第 124 巻第 3 号 特集号:マントル物質研究の最前線 p. 309-523 13 論文及び地学ニュー ス(N53-N68) ⅲ)第 124 巻第 4 号 通常号 p. 525-674 9 論文及び地学ニュース(N69-N101) ⅳ)第 124 巻第 5 号 特集号:日本の大陸棚画定調査とその海洋底地球科学への貢献 p. 675-876 11 論文(特集号 Overview 及び巻頭言を含む。)及び地学ニュース(N103-N117) ⅴ)第 124 巻第 6 号 特集号:富士山をめぐる人文地理学研究―観光を中心に― p. 877-1084 13 論文(特集号 Preface 及び巻頭言を含む。)及び地学ニュース(N119-N152) ⅵ)第125巻第1号 特集号:火星表面の地形プロセス p.1-184 13論文(特集号Overview及び序 説を含む。)及び地学ニュース(N1-29) なお,本誌発行1ヶ月後を目途に電子版をオンラインジャーナル(J-STAGE)として公開し,地 学協会ホームページからもアクセスできるようにしている。 これらの企画・編集のための委員会を,特集号に関するものを含め 14 回開催した。 ② 地質図幅等の頒布 国立研究開発法人産業技術総合研究所との間で平成 27 年に結ばれた「地球科学図及び地球科学 データ集の有料頒布業務」についての委託契約に基づき,同研究所地質調査総合センター発行 の地球科学図及び地球科学データ集等 762 種の出版物を委託販売により頒布した。なお,平成 23 年 9 月からは海外からの購入希望にも応じている。今年度の頒布実績は,延 1,970 部,払出 総額にして約 296 万円であった。 (3)研究等助成・表彰事業(定款第 4 条第 3 号) ① 研究等助成 今年度の申請件数は,研究・調査助成 12 件及び国際研究集会助成 4 件であった。審査の結 果,以下の通り、前者について 8 件、後者について 2 件を採択した。 ⅰ)調査・研究助成金 ・南雲直子(国土交通省土木研究所)「トンレサップ湖の拡大が洪水特性および微地形の形成 に与える影響に関する研究」 ・鹿野和彦(鹿児島大学)「姶良カルデラにおける後カルデラ火山活動と環境の変遷に関する -3- 研究」 ・岡田篤正(京都大学名誉教授)「琵琶湖北岸、八田部盆地の地下堆積物の層序と編年に基づ く岩熊断層の活動性評価」 ・芳川雅子(京都大学)「地殻から上部マントル捕獲岩の化学・Sr-Nd-Pb同位体組成から構築 する化学的地下構造」 ・吉田英嗣(明治大学)「岩塊斜面の起源は周氷河作用か重力変形か?-UAV-SfM手法による 斜面地形プロセスの解明-」 ・生野賢司(横浜国立大学)「後期白亜紀異常巻きアンモナイトにおける横断面形状の変化様 式の解明」 ・前川匠(熊本大学)「テチス海とパンサラッサ海域における下部三畳系オレネキアン階のコ ノドント生層序」 ・吉田崇博(国立極地研究所)「西ネパール、カリガンダキ川の氷河湖決壊洪水堆積物の起源 と堆積メカニズム」 ⅱ)国際研究集会助成金 ・佐藤比呂志(東京大学地震研究所)「国際シンポジウム「沈み込み帯堆積盆地のリソスフェ ア・ダイナミクス」 ・竹村恵二(京都大学)「国際第四紀学連合第 19 回大会」 ② 表彰 申請がなかった。 2.収益事業(定款第 5 条第 1 号) 地学会館ビルの一部賃貸・会館の保全管理事業:引続き地学会館ビルの一部を賃貸するとともに、3 階~7 階のトイレ及び下水管の修繕等必要に応じた改修を行った。 平成26 年度事業報告には、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則」第34 条第3 項に規定する附属明細書「事業報告の内容を補足する重要な事項」がないので作成しない。 -4-
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